PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

天理が中野寛太の一撃で大牟田振り切る、国士舘はエース斉藤立取り置いたまま決勝へ・第92回金鷲旗高校柔道大会マッチレポート④準決勝

(2018年8月6日)

※ eJudoメルマガ版8月6日掲載記事より転載・編集しています。
天理が中野寛太の一撃で大牟田振り切る、国士舘はエース斉藤立取り置いたまま決勝へ
第92回金鷲旗高校柔道大会マッチレポート④準決勝
eJudo Photo
国士舘はここで先鋒をスイッチ、長谷川碧を畳に送り出す

eJudo Photo
長谷川は開始早々に内股を押し込み、藤原秀奨から「技有」。

eJudo Photo
藤原終盤に意地の一撃、長谷川から小外掛「技有」奪回で第1試合は引き分け。

取材・撮影:eJudo編集部
文責:古田英毅

■準決勝

国士舘高(東京)○不戦1人△日体大荏原高(東京)
(先)長谷川碧×引分×藤原秀奨(先)
(次)安藤稀梧△反則[指導3](2:57)〇平山才稀(次)
(中)藤永龍太郎〇内股(2:01)△平山才稀(次)
(中)藤永龍太郎〇内股(0:58)△藤原直生(中)
(中)藤永龍太郎〇横四方固(1:55)△グリーンカラニ海斗(副)
(中)藤永龍太郎△支釣込足(2:07)〇内藤彪我(大)
(副)道下新大×引分×内藤彪我(大)
(大)斉藤立

国士舘はここまで大奮戦の林将太郎を下げ、満を持して先鋒に長谷川碧を投入。日体大荏原は良い形で機能しているこれまでの布陣を維持して対峙。

先鋒戦は長谷川が左、藤原秀奨が右組みのケンカ四つ。25秒に長谷川が両襟の左内股、回旋足りずも体ごと押し込む得意の形で「技有」奪取。以後も体ごと両足で畳を擦るように前進してはフェイントの左小外掛、左内股と攻め、この内股に藤原が潰れ伏せた1分31秒には藤原に「指導1」。藤原右体落で抗するが長谷川は出足払と内股で弾き返す。しかし長谷川が投げ損ないを続けるうちに藤原が慣れ始め、かつ長谷川の動きが鈍り始める。もともと切れ味があるタイプというわけではない長谷川からその投げのエンジンである突進力が減じ、中盤からやや試合膠着。長谷川攻めるには攻めるがむしろ一撃投げ損なうたびに自信を失っていく印象。2分28秒双方に取り組まない咎による「指導」。スコア的には藤原はこれで後がなくなり、長谷川としてはそれでも道のり自体は順調。ところが直後の2分33秒に状況一変。藤原が釣り手で相手の左袖を制して袖釣込腰様に右大外刈を2連発、その3発目に合わせて長谷川釣り手で奥襟を叩きに掛かるが、ここに藤原が抱きつきながら右小外掛。完全に懐に潜り込まれた長谷川剛体となって崩落、「技有」失陥。

藤原の執念に、長谷川の泣きどころである受けの脆さがクロスした形。以降試合は動かず、この試合は引き分けに終わった。ポイントを挙げ、さらにあと「指導」1つで勝利というところまで相手を追い詰めながら追いつかれた長谷川の試合ぶりはまさしく不首尾、先鋒が果たすべき職責から考えれば控えめに言って相当にまずい立ち上がり。

eJudo Photo
日体大荏原の次鋒平山才稀が安藤稀梧から小外掛「技有」

次鋒同士の第2試合は、追いついた側の日体大荏原の勢いが国士舘を飲み込む。安藤稀梧、平山才稀ともに左組みのこの試合は組み手争いが続き、47秒まず双方に消極的の「指導」。その後互いに引き手での袖の確保をめぐって組み手争いがしばし続くが、上背に勝る平山が釣り手で上から背中をガッチリ掴む場面が増えて優位を確保。安藤腰を引いて防御する形が目立ち、2分20秒安藤に極端な防御姿勢による「指導2」が宣告される。この「指導」が大きく試合を動かし、後のなくなった安藤は直後組み負けた状態から背中を抱えて「やぐら投げ」の大技。あるいは抱きつきの大内刈を狙ったか、しかし平山左小外掛で迎え撃って弾き返し、安藤仰け反るように倒れて2分24秒決定的な「技有」。安藤これで心折れたか、平山が引き手で袖を折り込むと思わず潰れてしまい、主審は合議を招集。結果、安藤に偽装攻撃で「指導3」が宣告されて試合終了。試合時間2分57秒、先制点は日体大荏原の手に落ちる。

eJudo Photo
藤永龍太郎が左内股、平山が耐えるとまず左小内刈に繋ぐ

eJudo Photo
崩れた平山に再度の左内股「一本」

eJudo Photo
第5試合、藤永が藤原直生から左内股「一本」

第3試合は国士舘高の中堅藤永龍太郎、畳に残った平山才稀ともに左組みの相四つ。平山藤永の技術に飲み込まれまいと長いリーチを生かし背中を抱えての密着を選択。1分15秒にはこの体勢からの左小外掛で一発勝負、藤永が譲らず時計回りに捩じり返すという危うい攻防も現出。藤永は足技を駆使して距離を出し入れしながら刃の入れどころを探す。この藤永の粘り強い進退が試合時間2分に迫らんとするところで結実、巧みな組み手のバーターの結果引き手で袖、釣り手で奥襟を得ることに成功。平山が反応するとすかさず釣り手で横抱きに後帯を抱えなおし、相手の腕を内側に潰しながらケンケンの左内股。長身の平山たたらを踏んで耐えるが藤永は左内股から左小内刈に連絡、後ろに崩すなりさらに左内股と技を継続。あくまでこのチャンスを生かさんとしぶとく追い込む藤永の前に平山ついに一回転、「一本」。試合時間は2分1秒、国士舘がタイスコアに追いつく。

第5試合は中堅同士の対決、畳に残った藤永が左、日体大荏原の藤原直生が右組みのケンカ四つ。対右組みが得手の藤永は得意の送足払を入れながらタイミングを測り、藤原は右袖釣込腰で対抗。藤永、50秒を超えたところで粘り強い組み手で引き手で袖を引き寄せ、釣り手で藤原の二の腕を抱え込んだまま後帯をガッチリ握ることに成功。間髪入れずに体落様に作用足を落としながら左浮腰、藤原が左足を出してこれを乗り越えると着地の際を狙って左内股一発。二段攻撃で崩された藤原たまらず体ごと一回転「一本」。試合時間58秒、ここでこの試合初めて国士舘がリードを得る。

先鋒戦の引き分けで失い、第2試合の失点で日体大荏原に渡った試合の流れはここでようやく国士舘に。藤永は1人で相手の流れを堰き止め、そして奪い返してとこの試合も大車輪の活躍。

eJudo Photo
第6試合、藤永が日体大荏原の副将グリーンカラニ海斗の腕を抱えて押し込む

eJudo Photo
腕緘の形に極めて横四方固に移行。藤永はこれで3人抜き達成。

第6試合は畳に残った藤永、日体大荏原の副将グリーンカラニ海斗ともに左組みの相四つ。藤永が引き手で相手の左を抱え込み、抗したグリーンはいったん離れて引き手で袖を確保、奥襟を叩いて前へ。しかしここでグリーンに袖口を絞り込んだ咎による「指導」が与えられる。試合時間は29秒。グリーンしかし心折れず、引き手で袖を掴んで織り込んでは前進。奥襟を叩いて圧を掛けようと図り続け、藤永は組み手をずらし、切って切らせるバーター取り引きを繰り返してなんとかこれをしのぐという展開。1分17秒にはグリーンに奥襟を許した藤永が耐え切れず、はたき込まれて潰れてしまい消極の「指導」失陥。

手ごたえを得たグリーンは試合が再開されると駆け引きなしにまず左釣り手で奥襟を叩き、右引き手で胴を抱えて前進。しかし藤永は外巻込の形で相手の左腕を抱え込んで対応。グリーン構わず右小外掛で倒してしまおうと絡みつくが、藤永左内股で一回体勢を開くと左小内刈、グリーンが膝を着いて崩れると抱えた腕に体重を掛けて浴びせ倒す。

グリーン横倒しの形のまま耐えてポイントこそ回避したが、藤永に腕を制されて半ば死に体。藤永慌てず、密着を解かずにじっくり体重を掛けて相手の左腕を腕緘に展開。粘りに粘ったグリーンだがこれには耐え切れず、横倒しを解いて仰向け。藤永は崩上四方固に連絡して「抑え込み」の宣告を聞き、最後は横四方固に連絡して「一本」。試合時間1分55秒、藤永の3人抜きで国士館のリードは「2」に広がる。

eJudo Photo
7試合、日体大荏原の大将内藤彪我が藤永から支釣込足「一本」

第7試合は畳に残った藤永が左、日体大荏原の大将内藤彪我が右組みのケンカ四つ。藤永は送足払、さらに釣り手で背を抱えての左内股と取り味のある技を連発するが、よく心得た内藤は釣り手で横襟を掴んで背筋を伸ばし、上背の差を十分生かしてこれを捌き切る。藤永この位押しに屈し、自身の技を打ち終わったところで内藤の膝車を食うと自ら膝を着いてしまう。続く展開も藤永は釣り手で横から後帯を握るが、内藤応じてその下から背を抱えると右浮腰。鋭く肘を上げて前腕の操作を利かせたこの技に、藤永辛くも着地。しかし中腰の姿勢のまま立ち上がる危険を感じて自ら潰れることとなり、50秒消極的との咎で「指導」。以後も組み手の有利は内藤にあり、藤永は得意の横抱きで打開を図るが内藤が背筋を伸ばして応じるため形上態勢悪し。藤永がいったん離れておいての組み際に気合一発、「フッ」という声とともに鋭い送足払を見せたが投げ切れず、内藤ここから左内股を連発。1分40秒には藤永に2つ目の「指導」。

もはや仕留める段階とみた内藤はじっくり組み合ったまま前へ。引き手をしっかり引き寄せたまま藤永の抱き勝負に応じて背中を抱え、じわりと距離を詰める。そして場外を背負った藤永が中へ入ろうと動いた瞬間、待ち構えて支釣込足一発。動きの先に罠を仕掛けられた藤永吹っ飛んで「一本」。試合時間2分7秒、内藤が1人を抜き返して両軍の差は「1」に詰まる。

eJudo Photo
最終盤、奮起した道下新大が内藤に思い切った左大外刈。

eJudo Photo
日体大荏原はベスト4で終戦。力を出し切った大会だった。

第8試合は国士舘の副将・道下新大が左、畳に残った内藤彪我が右組みのケンカ四つ。道下が組み合ったままじわじわ前進、内藤を場外に押し出すまで歩を進めるが、主審は試合を止めると双方に消極的との咎で「指導」。手先の組み手争いを経て背を抱き合う形で両者が対峙、道下が左体落を見せるが、内藤に後から捕まえられると危機を感じたか背を見せたまま両手を離して場外に向かって自ら潰れ、1分40秒場外の「指導2」。

勝負の針が久々日体大荏原の側に振れた時間帯。あるいは今大会初めて国士舘の大将斉藤立の登場ありやと場内色めきたつが、ここで道下が踏ん張る。背を抱えてくる内藤の接近を左大外刈と左体落で剥がし、2分47秒には思い切りの良い左大外刈から大外巻込に連絡、ここで内藤にも2つ目の「指導」。

直後内藤は引き手で肘裏、釣り手で奥襟を掴み、両手を狭く保っての右大外刈。明らかに勝負に出た技であったが、道下身を捩じって辛くもこれを逃れると、以降は前進することで内藤の攻撃を凌ぐ。このまま試合は引き分けに終わり、スコア不戦1人で国士館の勝利が決まった。

日体大荏原はここで敗退。今季高校選手権、インターハイともに東京予選で敗れ、個人戦も1人も本戦に選手を送り込めかった同校であったが、今大会は意地のベスト4進出。稀に見る僅差で代表権を逃したインターハイ予選の悔しさをそのまま畳に持ち込んだ、気合いの入った戦いぶりであった。

eJudo Photo
先鋒戦、天理の植岡虎太郎が大牟田・服部大喜から背負投「一本」

天理高(奈良)○大将同士△大牟田高(福岡)
(先)植岡虎太郎○背負投(2:00)△服部大喜(先)
(先)植岡虎太郎○背負投(3:20)△久保田皓晴(次)
(先)植岡虎太郎△谷落(2:01)○立石泰勝(中)
(次)池田凱翔×引分×立石泰勝(中)
(中)水上世嵐○優勢[技有・浮腰]△竹市大祐(副)
(中)水上世嵐△大外刈(1:37)○森健心(大)
(副)井上直弥△優勢[技有・内股]○森健心(大)
(大)中野寛太○袖釣込腰(0:28)△森健心(大)

第1試合は植岡虎太郎が右、服部大喜が左組みのケンカ四つ。植岡は釣り手を下から持つと19秒に右背負投。逆側に落ちた相手を押し込んで早くも「技有」獲得。以降も右背負投に右小内刈と一方的に技を出し続ける植岡が攻勢。1分23秒には服部が植岡の右背負投にカウンターの左内股を狙うが、これは不発に終わる。2分0秒、植岡は相手が釣り手を持ち替えたタイミングに鋭い右背負投。相手の股中懐深くまで潜り込んで「一本」。

eJudo Photo
第2試合、久保田皓晴が畳に残った植岡を攻めこむ

eJudo Photo
植岡がワンチャンスを生かし右背負投「一本」、2人抜きを達成。

第2試合は畳に残った植岡と大牟田の次鋒久保田皓晴、ともに右組みの相四つ。激しい組み手争いから試合がスタート。
40秒に久保田が右一本背負投。植岡が逆側に抜け落ちるとバックを取ってローリングから抑え込みを狙う。一度は転がすことに成功するが、ここは植岡が伏せて凌ぎ切り「待て」。植岡は右背負投を放って反撃するが、ことごとく逆側に抜けてしまい決め切ることができない。1分50秒、久保田はケンケンの右大内刈で場外までしつこく追いかけあわやポイントかという場面を作る。足を上げてなんとか凌いだ植岡は一度正座してから立ち上がり、どうやらかなり消耗が激しい様子。久保田は直後の攻防でも右内股を仕掛けて攻勢止まず、2分12秒、植岡に消極的の「指導1」。

勝負どころとみた久保田は奥襟を狙いながら激しく前に出る。2分54秒には相手が奥襟を嫌って体を開いたタイミングに谷落を合わせて再びあわやポイントという場面を作る。久保田が払巻込を仕掛けた直後の3分8秒、植岡に消極的の「指導2」。ついに僅差勝利に必要な「指導」2つの差が出来上がる。しかし、引き分けがなくなったことで奮起したかここから植岡が息を吹き返し、3分12秒には右小内刈で久保田を大きく崩して畳に這わせる。さらに直後の3分20秒、植岡は一度左構えの形で右の「小内払い」、久保田がバランスを崩すと一瞬で引き手を右袖、釣り手を右片襟に持ち替えて右背負投に飛び込む。棒立ちでこれを受けてしまった久保田は完全に背中に乗ってしまい一回転。これは文句なしの「一本」。植岡が逆転で2人抜きを果たす。植岡は疲労を隠せず、十分時間を使って服装を直し3戦目に備える。

eJudo Photo
第3試合、大牟田の中堅立石泰勝が植岡の背負投を引っこ抜き返し「一本」

eJudo Photo

第3試合は畳に残った植岡が右、大牟田の中堅立石泰勝が左組みのケンカ四つ。立石は植岡の背負投を警戒して釣り手を閂のように脇下に差し入れ、相手の右釣り手を抱え込む形で試合を開始。植岡は構わず右背負投を仕掛けて立石を大きく崩すが、ここは決め切れず。

前段の攻防を受けて植岡の肘を内に入れておくのは危険と判断したか、立石は今度は上から内側に肘を突っ込む形に組み手を変更。股中に左体落を落として植岡を畳に這わせ、1分0秒には同じ形で相手を潰して寝技を展開、背中側から引き込んで縦四方固を狙う。一瞬相手の体に被さることに成功するが、植岡が反対方向に向き直り伏せて「待て」。

直後の攻防で植岡は釣り手で煽りながら右背負投を放つが、足がついてこずに相手にぶらさがる形となり、体を伸ばして畳に横たわってしまう。ここまで2人を抜いた植岡は疲労困憊、しかし立石は焦らず、釣り手を上から内側に落とし込んで圧を掛けながら左体落、あくまでじっくりと攻め続ける。2分1秒、植岡が再び釣り手を振りながら右背負投に入ると、立石はこれを抱き止めて谷落。踏ん張る植岡を引っこ抜いて文句なしの「一本」。大牟田がここでついに植岡を止め、抜き返して試合は天理の1人差リードに変わる。

第4試合は天理の次鋒池田凱翔が右、畳に残った立石が左組みのケンカ四つ。まずは池田が右背負投に右方向の「韓国背負い」と連続で技を出して、前戦の疲れの残る立石を激しく攻め立てる。立石は技の終わりに寝技を狙うが、池田がしっかりと守るためほとんど展開出来ず。この形での攻防が1分過ぎまで続き、そこからさらに両者釣り手のみを持っての探り合いが約1分間にわたって続く。1分55秒、両者に片手の咎で「指導」。以降も池田は右内股に右背負投と技を出し続けて攻勢を維持し、3分0秒に立石に消極的との咎で「指導2」追加。池田は試合を決めるあと1つの「指導」を取らんと前に出るが、立石は巧みな釣り手管理でこれをガード。残り18秒に押し込まれた立石が場外に出てしまい三審による合議が持たれたが、結局そのまま試合は続行。残り8秒、焦って不十分な右袖釣込腰で潰れた池田に偽装攻撃の「指導2」が与えられ、そのまま4分間が終了。ともに「指導2」を失ったこの試合は引き分けに終わる。

eJudo Photo
第4試合、水上世嵐が右浮腰。これは竹市大祐からくも耐えたが、水上はこの後同じ技で「技有」を得る。

eJudo Photo
第5試合、森健心が水上から右出足払「技有」

eJudo Photo
森は大外刈「一本」も追加して水上を撃破、両軍の差は「1」に縮まる。

第5試合は天理の中堅水上世嵐が右、大牟田の副将竹市大祐が左組みのケンカ四つ。試合が始まると竹市は下から釣り手を突いて圧を掛けながら前進。水上は場外際まで押し込まれてしまうが、36秒に片手の右内股で竹市を大きく崩して状況をリセット。

続く展開、竹市は再び釣り手を突いて圧を掛け、引き手の攻防から前技フェイントの左小外掛。水上は後方に大きく崩れるが、もつれながら腹這いで畳に落ちてポイント失陥は回避。以後、水上は竹市の前進圧力に対して引き手で奥襟を叩き、相手に被さる様な形で対抗。脇の差し合いから竹市が左への肩車に潜り込んだ1分50秒にはこれを抱き止めてハンドル操作で派手に一回転させ、浮落「技有」が宣告される。しかし、このポイントは副審2人の訂正により取り消し。再開後、竹市は再び圧を掛けて前進し、水上は低い片手の大内刈に掛け潰れてこれを凌ぐ。竹市が奥襟を得て水上を場外に押し出す攻防を経ての3分10秒、再び竹市が背中を叩いて前に出ると水上は脇を救う形でこれに応じ、場外際で右浮腰。竹市は自身の前進圧力が仇となって転がってしまい、水上の「技有」。リードを得た水上はこれを守り抜かんと腰を引き、低く構える防御の姿勢。竹市は必死で追い上げを図るが残り8秒に場外の「指導1」を得たところでタイムアップ。天理のリードは再び広がり「2」。大牟田高は大将・森健心が早くも出動することとなる。

第5試合は畳に残った天理の中堅水上が右、森が左組みのケンカ四つ。後のないはずの森だがあくまで冷静、極めて丁寧に組み手の手順を進める。水上が場外に出たことによる「待て」を挟んだ33秒、森は相手を手前に引き出しながら右引き手で袖、左釣り手で襟を持った万全の形を作ると、まず相手の右に左小外刈を当て、応じた相手の下がり際に強烈な右出足払一閃。ハンドル操作を効かせて相手を吹き飛ばした森得意のこの技は「技有」。リードを得て以降も森はペースを変えることなく淡々と試合を進め、水上が右内股で掛け潰れると背中側に着いてヤスケビッチ式の腕挫十字固を狙う。1分37秒、森は再び袖と襟を得ると、再び左小外刈を当てて相手を下がらせての右出足払、さらに今度は左大外刈と計3つの技を繋げる魅力的な攻撃。三段目の大外刈を食ったときには水上ほとんど棒立ち、一瞬で吹っ飛び「一本」。森が1人を抜き返し、両軍の差は「1」に縮まる。

eJudo Photo
第6試合、森健心が井上直弥から左内股「技有」

第6試合は天理の副将井上直弥が右、畳に残った森が左組みのケンカ四つ。大きく体格に勝る井上だが自軍リードという状況を考えてか、まず釣り手を突いて凌ぐ形で試合をスタート。しかし森は片手の左体落を股中に落として伏せさせ、寝勝負を試みる。ここは井上がしっかり守って「待て」。この攻防を受けて井上は両襟の形で組み合うことを選択、これによって圧がしっかり掛かるようになり、以後展開が膠着。51秒、両者に消極的の「指導1」。続く展開でも井上は再び引き手で襟を持ちに掛かるが、森は袖口を得て引き手を切り、これを許さない。以降、勝負の焦点は井上の引き手による襟確保の有無に絞られた感あり。1分50秒、両襟を得た井上が圧を利かせて森を場外際まで押し込むが、森は相手の引き手を切り、釣り手を瞬時に袖に持ち替えて左内股。両手をまとめられた井上は前転を強いられ一回転、これは「技有」。ここからは再び引き手の攻防による膠着状態が続き、2分38秒に両者に消極的の「指導2」。以降は森が左体落と左背負投、井上が右内股でそれぞれ攻め合うも大きな動きがないまま試合終了。森の「技有」優勢による勝利でついに両軍にスコア差がなくなる。森は主審の服装を正せとの指示に一度帯を完全に解いて時間を掛け、続く大一番に向けて体力の回復を図る。

eJudo Photo
大将同士の対決、中野寛太が森健心を袖釣込腰「一本」に仕留める。

eJudo Photo
中野の袖釣込腰「一本」(別角度)

大将同士の対決は中野寛太と畳に残った森、ともに左組みの相四つ。森は中野の周囲を回って一手目を探り、あきらかに間合いを取りながら刃の入れどころを探る構え。これを捕まえんと中野は敢えて右構え、引き手で襟を持って試合をスタート。相手の腕を手繰って引き手を袖口に持ち替えると、森は釣り手を片襟に差してディフェンス。中野は釣り手で奥襟を狙う動作をブラフにまず片襟を差しての左背負投。これで森の守備を剥がすと、戻り際に釣り手で相手の右袖を得て両袖の形を作り、打点の高い左袖釣込腰で森を畳から引っこ抜く。片襟を差した腕ごと抱き込まれた森にはこれを防ぐ手立てがなく、綺麗な放物線を描いて畳に落下、僅か28秒「一本」。豪快、かつあまりに一方的な結末に会場からどよめきが上がる。これで天理の決勝進出が決まった。

大牟田はここで終戦も、大健闘。2年生中心ながら充実の代と騒がれ、九州大会は秋の新人戦、夏の全九州大会と連勝。しかし福岡県予選を勝ち抜けず全国大会の檜舞台を踏めない苦しい1年であったが、初めてその力にふさわしい結果を残した大会であったと言える。大器の呼び声高い2年生・森もなかなか突き抜けられず苦しんだ1年間であったが、今代のまとめの大会であるこの金鷲旗はひさびさその才能を見せつける、大活躍であった。

結果決まった第92回金鷲旗高校柔道大会決勝カードは全国高校選手権決勝の再戦、

国士舘高(東京) - 天理高(奈良)

となった。

※ eJudoメルマガ版8月6日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.