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【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第58回

(2018年7月23日)

※ eJudoメルマガ版7月23日掲載記事より転載・編集しています。
【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第58回
私は、平素特に養生もしない、しかし不養生もしないことを主義としている。
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嘉納治五郎師範
資料提供 公益財団法人講道館
copyright:Kodokan Judo Institute

※写真の無断転載および転用を厳に禁じます

出典:「夏期の柔道について」
柔道6巻8号  昭和10年8月 (『嘉納治五郎大系』2巻289頁)

暑い日が続いています・・・。
ただ暑いだけでも大変ですが、場所によっては極端に冷房が効いているところもあり、寒暖差で体調を崩す人もいるのではないでしょうか。日常の健康管理が難しいところです。

今回は、嘉納師範が健康について、自身の主義を述べた「ひとこと」です。

貝原益軒(1630-1714)の『養生訓』で有名な<養生>ですが、「生活に気をつけて健康を増進すること」くらいに思っていただければ十分でしょう。

そんな養生について、師範は<養生もしない、不養生もしない>と言います。
不養生をしない、つまり生活において健康に悪いことをしない。これは分かりやすいでしょう。飲み過ぎや食べ過ぎを避ける。あるいは夜更かしいない、そういったことが想像できます。

では、養生もしないというのはどういうことでしょうか?この場合の養生をしないとは、養生について気にしすぎない、大げさにしない、というような意味であることが前後の文から読み取れます。

師範は、養生にこだわりすぎると(=健康に気をつかいすぎると)、消極的な人になり、不規則な社会での活動に適応出来ないと言います。健康に関するこだわりが多すぎると、様々な場面で自分を制限し、積極的な行動を妨げることになるでしょう。
また、夜更かしが良くないことであっても、時には仕事や家庭の都合などで、突然、せざるを得ないことがあります。しかし、養生にこだわりすぎると、やるべき事が出来ません。これでは社会生活を営めません。こういった事例は多々あるでしょう。
さらに、衛生面に気を使うあまり、かえって抵抗力が弱くなり、不健康になるということもあるかもしれません。

今回の<ひとこと>に含まれる考え方は、難しく言えば<中庸>。くだけた言い方をすれば、<バランス>と言えます。こういった偏らない考え方が必要とされることは多いのではないでしょうか。
例えば、真夏日「暑い」からとすぐに稽古を止めてしまっては「修行」にはなりません。ある程度の困難があって始めて「修行」と言えるでしょう。だからと言って逆に、「暑さ」を精神論だけで乗り越えようとするのも危険です。本当に危ないときは、取り返しがつかなくなる前に、止めるという決断が必要でしょう。

あまりに偏りすぎると、本来の目的や本質から遠ざかっていく。健康に関する<ひとこと>ですが、そこに含まれている考え方から学べることは、大きいのではないでしょうか。
 

※読みやすさを考慮して引用は『嘉納治五郎大系』から行っています。

著者:元 敏季(ハジメ・トシキ)
1975年生まれ。柔道は中学校から始め、大学までは競技を中心に行うが、卒業論文を機に柔道の文化的側面に関心を持ち、大学院へ進学。凡そ10年、大学院・研究機関に所属するも、研究とは異なる分野の仕事に就き現在に至る。ライフワークとして嘉納治五郎に関する史料を蒐集・研究し、その成果を柔道振興のため発信しようとしている。

※ eJudoメルマガ版7月23日掲載記事より転載・編集しています。

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