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国士舘高が優勝、大接戦の末「最後の2枠目」は足立学園高が得る・第67回インターハイ柔道競技東京都予選男子団体戦速報レポート

(2018年6月23日)

※ eJudoメルマガ版6月18日掲載記事より転載・編集しています。
国士舘高が優勝、大接戦の末「最後の2枠目」は足立学園高が得る
第67回インターハイ柔道競技東京都予選男子団体戦速報レポート
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開会式。東京都予選、今回のみどころは「2枠目」の行方だ。

平成30年度インターハイ柔道競技(8月8日~12日、三重県津市サオリーナ)の東京都男子団体戦の予選が17日、講道館で行われた。

全国屈指の激戦区である東京都からの出場枠は例年通り「2」(※31年度からは1枠に削減)。各校の戦力を見渡すと、このうち1枠は、絶対のエース斉藤立を擁して3月の全国高校選手権を制した国士舘高の手に落ちることはまず間違いない。この日のみどころは間違いなく2枠目争いだ。

その2位争いはまことに混沌。小型ながら今年も練度の高い選手を揃えて個人戦で3階級を制覇、2年連続の本戦進出を狙う足立学園高と、内藤彪我に平山才稀ら才能ある選手を揃えながら今年全国大会進出者なしの悔しい結果に燃える日体大荏原高、大型の小嶋洸成を中心に伝統のチームワークでアップセットを狙う修徳高、そして3年生代の全国中学校大会優勝チームである安田学園高とどこが勝ってもおかしくない陣容。

大会形式は、まず前年度ベスト4チームをそれぞれ1校ずつ配した予選トーナメントを行い、その勝者4チームが決勝リーグに進出するというもの。まず簡単に予選トーナメントの様相を、続いて決勝リーグ全試合の様子を追いかけてみたい。

※予選トーナメントの試合時間3分、決勝リーグ4分


取材:古田英毅/林さとる
文責:古田英毅

■ 予選トーナメント
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3回戦、国士舘高の中堅長谷川碧が田無高・後藤大崇から内股「一本」

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3回戦、国士舘高の大将酒井陸が田無高・鈴木涼から出足払「一本」

支部予選を勝ち抜いて今大会に登録を許されたのは計52チーム。Aブロックに国士舘高、Bブロックに修徳高、Cブロックに足立学園高、Dブロックに日体大荏原高がそれぞれ配された。

注目の安田学園高は抽選の結果、なんとAブロックに配置。十分2位入賞があり得る戦力を擁しながら、そしてここ以外であれば十分戦えると目されながら、唯一絶対に引いてはならない国士舘の山を引くこととなってしまった。

国士舘はまずエース斉藤を取り置き、先鋒から藤永龍太郎、道下新大、長谷川碧、安藤稀梧、酒井陸という布陣で郁文館高を5-0、田無高を5-0で下す。一方の安田学園高は、副将で登録していた主戦の田邉勇斗を下げてここにポイントゲッター奥谷優佑を入れるという少々意外なスターティング。先鋒から小林翔太、中田航成、増地遼汰朗、奥谷、今田光星という布陣で、城北高を5-0、本郷高を5-0で下して予選トーナメント決勝進出決定。この試合から国士舘は斉藤立、安田学園は金野晃大というエースの投入が確実。その投入位置が注目された。

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国士舘高の先鋒藤永龍太郎が安田学園高・小林翔太から内股「技有」

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藤永は大内返「技有」も獲得して一本勝ち、早くも試合の行方は決した感あり。

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道下新大と金野晃大による次鋒戦

【予選トーナメント決勝】

国士舘高 4-0 安田学園高
(先)藤永龍太郎〇合技 [内股・大内返]△小林翔太
(次)道下新大〇×引分×金野晃大
(中)長谷川碧〇合技[内股・袈裟固](0:42)△増地遼汰朗
(副)斉藤立〇内股(2:10)△奥谷優佑
(大)酒井陸〇小外刈(1:34)△今田光星

国士舘の完勝。オーダー配列の時点でまず優位が確定し、その中で迎えた先鋒戦の勝利で八割がた試合が決してしまった感あり。

安田学園はポイントゲッター金野晃大を、投入が予想された中堅ではなく次鋒に配置。おそらく中堅に斉藤立が配されると読んでの措置だが、国士舘は安藤稀梧を下げて斉藤を副将に配置。結果、国士舘は6番手評価の長谷川碧を、安田学園ではもっとも防御力が薄い増地遼汰朗に充てることに成功。周辺戦力同士の対決で1点確保が見込める状況を作ってしまった。一方の安田学園は中田航成と田邉勇斗という100kg級の主戦2人を畳に送り込めぬまま、盤面上に取りどころを作れぬまま試合開始を迎えることとなる。

先鋒戦はケンカ四つ、安田学園・小林翔太は大内刈を中心に粘るが、2分3秒藤永龍太郎が背中を抱えた左内股で「技有」獲得。安田学園がアップセットを起こすとすれば全5戦通じて失点を「1」以内に抑えることが必須だが、試合開始2分強でこの目算がほぼ崩れたことになる、非常に痛い失点。小林これで気力が尽きたか、残り18秒には藤永の大内返を食って「技有」失陥。合技「一本」で国士舘が先制。

次鋒戦は道下新大が長いリーチを巧みに駆使して金野晃大の一発を封殺。両手を巧みに開閉しては遠間からの左足車、左大外刈、左内股で先んじて攻め、金野は組み際の技以外に有効打が繰り出せぬ状況。2分11秒金野に消極の「指導」が与えられたのみでこの試合は引き分け。

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国士舘は中堅長谷川碧が袈裟固で合技の一本勝ち、この時点でスコアは2-0。

安田学園の得点の可能性がもっとも高かったこの次鋒戦が引き分けに終わった時点で、しかもスコアは1-0で国士舘がリード。国士舘はここから一気の加速、中堅長谷川碧は体格差を生かして前に出、81kg級の増地遼汰朗から23秒左内股「技有」、そのまま袈裟固に抑え込んで合技の一本勝ち。副将斉藤立は奥谷優佑から「指導」2つを得ると、豪快な左内股一撃「一本」。大将酒井陸は今田光星を片手の小外刈で崩し、そのまま体を浴びせて押し込み「一本」。

結果最終スコアは4-0にまで伸びた。全国中学大会優勝チーム安田学園、ここで敗退。

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2回戦、足立学園高の次鋒松村士が東京実業高・小川駿から背負投「一本」

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2回戦、日体大荏原高の中堅藤原直生が成城高・中村来寿から内股「一本」

前述の通り、他チームは順当に予選トーナメントを突破。2枠目突破の最有力と目される足立学園は2回戦で東京実業高を5-0、3回戦で京華商高を4-0、迎えた予選トーナメント決勝は大型選手を揃えた正則学園高を5-0と無失点で決勝リーグ進出。小型チームながらその戦闘力の高さは素晴らしく、特に今春好調を続ける押領司龍星の出来の良さが際立つ。

日体大荏原高は2回戦で成城高を5-0、3回戦は日本学園高を5-0、そしてトーナメント決勝は前戦で明大中野高を3-0で下した岩倉高を5-0で下し、こちらも無失点で決勝リーグへ。修徳高は小石川高を5-0、八王子学園高を4-0で下すと、決勝は東海大高輪台高を2-1で振り切ってぶじ決勝リーグ到達。

足立学園、日体大荏原、そして修徳の「配列順」を見ると、今大会の様相は明らか。どのチームも明らかに、対国士舘戦のことなど考えていない。たとえ国士舘に大敗したとしてもそれはそれ、絶対に2位を獲得すべく「実」を採った実戦的オーダーだ。

■ 決勝リーグ
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足立学園高の先鋒押領司龍星がグリーンカラニ海斗に左背負投

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見事投げ切り「一本」

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松村士が内藤彪我の技に応じ、反時計回りに捩じり返す

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最後まで投げ切ったこの技は「技有」

【第一巡】

いきなりの大一番。事実上の2位決定戦と目される足立学園と日体大荏原の対戦がこの第一巡で組まれた。隣の試合場で進行するのは今季の全国優勝候補筆頭に挙げられる国士舘と修徳の試合だが、会場の目は第3試合場で組まれたこのカードに集まった。予想されるシナリオ分岐まことに多数、どちらが勝ってもおかしくない注目対決だ。

足立学園高 3-1 日体大荏原高
(先)押領司龍星〇背負投(1:16)△グリーンカラニ海斗
(次)松村士〇優勢[技有・浮腰]△内藤彪我
(中)樋口誠二朗△足車〇藤原直生
(副)川田武史〇合技[袖釣込腰・大外落](1:30)△藤原秀奨
(大)吉井拓実×引分×平山才稀

絶好調の81kg級東京代表押領司龍星を先鋒に突っ込んだ足立学園の積極策が奏功。100kg級の強者グリーンカラニ海斗から豪快な片襟の左背負投「一本」で勝利して足立学園がまず先制。グリーンカラニは組み手を絞っては背負投を狙う押領司の作戦を心得て回転を許さず、組み手を高く、作用脚を突っ込んでケンケンに繋ぐ内股で攻勢だったが、最後は押領司得意の一発に沈んだ。会心の一撃に押領司思わず拳を握りしめる。

そして続く次鋒戦では66kg級の松村士が日体大荏原のエース内藤彪我から勝利。右相四つのこの試合も攻勢権は内藤、後重心に引っ込む松村を組んだまま前に引っ張り出し続け、体格の利を十分意識した柔道を展開、松村が横変形にずれると次々取り味のある右大外刈を叩きこむ。松村は良い右背負投を一発見せたもののさすがに耐えかね、2分18秒には消極の「指導」失陥。しかし直後、奥襟をガッチリ掴んだ内藤が首を抱いて時計回りの浮落で捩じり倒しに掛かると、横変形で頭を下げていた松村は右内股を合わせる形で回し返し、2分42秒浮腰「技有」奪取。怒気を発した内藤は猛攻、右足車に右内股、相手の背負投を潰しての横三角と怒涛の攻めを見せるが、「立て」とのベンチの指示をスルーして食いついた良い横三角を川田に凌がれてしまい、この時点で残り時間は21秒。内藤思い切った右内股を見せるが川田取り合わず、残り9秒で防御姿勢の「指導2」が宣せられたものの大勢には影響なし。この試合は川田が「技有」優勢で勝利し、足立学園は会心の2-0リード獲得。

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藤原直生が樋口誠二朗から足車「一本」、日体大荏原が1点を返す。

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川田武史が藤原秀奨から袖釣込腰「技有」

中堅戦は樋口誠二朗が左、藤原直生が右組みのケンカ四つ。インターハイ個人戦60kg級の出場権を手にしている樋口だが、さすがに90kg級の強者藤原は難敵。38秒に藤原が右足車、体捌きの良い樋口を固定する形で膝を捕まえ、しっかり回し切って鮮やか「一本」。これで日体大荏原が1点を返し、スコアは2-1となる。

副将戦はこれもかなり体格差のある対戦、73kg級ながら足立学園のポイントゲッターを務める川田武史と90kg級の藤原秀奨がマッチアップ。左相四つのこの対戦、一見すると藤原の前進を川田が凌ぐという絵が続くが、川田は絞り、ずらし、的確に刃を入れる間合いを探って精神的な主導権は決して譲らない。そして1分6秒、組み際に左袖釣込腰を入れて「技有」獲得。藤原体格を利して迫るが、川田今度は背負投崩れの右大外落に滑り込み、1分30秒藤原を右後隅に転がして「技有」。これで合技「一本」、同時にスコアは3-1となり、この大一番における足立学園の勝利が決まった。大将戦はケンカ四つの腰の入れ合いが続いて引き分けとなり、スコアは変わらず。足立学園が3-1でフィニッシュ、インターハイ出場をほぼ決定づけると言って良い、貴重な勝利を得た。

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前戦で確定した国士舘高の決戦オーダー。安藤稀梧を下げ、斉藤立は副将に入った。

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道下新大が岡田直樹から大外刈「技有」

国士舘高 4-0 修徳高
(先)藤永龍太郎〇反則[指導3](2:56)△福地竜一朗
(次)道下新大〇優勢[技有・大外刈]△岡田尚樹
(中)長谷川碧〇内股(1:55)△名取涼太
(副)斉藤立〇払腰(0:30)△永川昴
(大)酒井陸×引分×小嶋洸成

先鋒戦は90kg級の国士舘・藤永龍太郎に最軽量級の修徳・福地竜一朗がマッチアップ。この試合は左相四つ。体格差をじゅうぶん意識した福地は先に引き手で袖を確保しての先手攻撃を志向、組み際に攻防一致の低い担ぎ技を放って手数勝負に出る。しかし組み手が上手く足技もある藤永は落ち着いて組み手の手順を進めながら圧を掛けて前進、福地の技へのカウンターを狙いつつ、相手が伏せるたびに寝技で激しく攻め立てる。この試合構成が詰将棋的に福地を圧迫、残り2分の時点で福地は「指導2」失陥。3分19秒に藤永が奥襟を持つともはや手立てのない福地は思わずその場に伏せてしまい、偽装攻撃で3つ目の「指導」が宣せられて試合決着。先鋒戦は国士舘の勝利に終わる。

次鋒戦は国士舘が道下新大、対する修徳はポイントゲッターの岡田尚樹が出動。この試合は左相四つ。道下が奥襟を得て組み手では優位も、岡田は引き手で脇下を突いて凌ぎ続ける。序盤に捨身技の形で寝技に引き込んだ岡田に道下が被さり返して抑え込む場面があったが、これはすぐに解けて「待て」。試合は一進一退のまま終盤まで進行する。残り1分間際、道下が釣り手で奥襟、引き手で袖と二本を得て左払腰。岡田はバックを取り、横に食らいついて潜り込んで返そうとするが、道下は技を止めず、被って押し込み「技有」。この一撃で道下が優勢勝ち、国士舘が2勝目を上げる。

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長谷川碧が名取涼太から内股「一本」

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斉藤立が永川昴から払腰「一本」

中堅戦は国士舘・長谷川碧が左、修徳・名取涼太が右組みのケンカ四つ。長谷川は一気に試合を決めてしまおうと圧を掛けながら前進。得意の左内股を連発する。しかし、30秒過ぎに長谷川の動作の起こりに名取が出足払を合わせる美技、長谷川は大きくバランスを崩して転がり「技有」。ビハインドを負った長谷川はさらにペースを上げて猛攻、名取良く凌ぐが、1分55秒に長谷川が両襟で密着した状態から得意の浴びせるような左内股を仕掛けるとついに陥落。体重をまともに食った名取ぐしゃりと音を立てて畳に落ち「一本」。国士舘は3連勝、この時点でチームの勝利を決定。

国士舘のエース斉藤立、修徳・永川昴がマッチアップした副将戦は左相四つ。開始早々に斉藤が両襟の左大外刈を仕掛けると永川一瞬宙に浮いてしまうが、両襟ゆえの拘束の甘さを利用して腹這いで逃れる。続く攻防、永川が組み際に左外巻込を仕掛けると斉藤がこれについていく形となり、修徳ベンチは大きく沸く。しかし永川の見せ場はここまで。30秒、斉藤は再び両襟の形を作ると左大外刈。崩れた永川は右手を着いて凌ごうとするが、斉藤はそこから更に一段大きく跳ね上げ最後まで投げ切る。これは「一本」、国士舘は無傷のまま4連勝。

大将戦、国士舘・酒井陸に対して修徳はこちらも大型選手の小嶋洸成。すでに自軍の勝利が決定している酒井はあまり無理をせず、これに小嶋が付き合う形で大きな動きがないまま試合が進む。膠着しやすいケンカ四つの試合でもあり、酒井が得意の右払腰を散発して小嶋がそれにカウンターを狙うという構図のまま4分間が終了。この試合は引き分けとなり、スコアは動かず。最終スコア4-1で国士舘の勝利が決まった。

[第一巡終了時]
①国士舘 1勝0敗 総得点4 一本勝ち3
②足立学園 1勝0敗 総得点3 一本勝ち2
③日体大荏原 0勝1敗 総得点1 一本勝ち1
④修徳 0勝1敗 総得点0 一本勝ち0

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押領司龍星が福地竜一朗から袖釣込腰「一本」、先制点は足立学園。

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修徳高・岡田直樹が松村士から大外刈「一本」

【第二巡】

第二巡は足立学園に修徳がマッチアップ。前戦でライバル日体大荏原に勝利している足立学園はここで勝利すればインターハイ出場が確定、一方前戦で「捨て試合」の国士舘戦を既に終えている修徳はここからが本番。眦を決して大一番に臨む。

修徳高 3-2 足立学園高
(先)福地竜一朗△袖釣込腰(1:44)〇押領司龍星
(次)岡田尚樹〇大外刈(2:02)△松村士
(中)名取涼太〇合技[内股・小内刈](2:37)△樋口誠二朗
(副)永川昴〇優勢[技有・谷落]△川田武史
(大)小嶋洸成△背負投(2:48)〇吉井拓実

先鋒戦は修徳・福地竜一朗、足立学園・押領司龍星ともに左組みの相四つ。この試合は好調押領司が軽量級の強者福地にまったく仕事をさせず。1分5秒に相手のブロッキングで「指導」を得ると、1分44秒には両袖の形から袖釣込腰で打点高く釣り上げ豪快な「一本」。まずは足立学園が1勝を先行。

次鋒戦は修徳・岡田尚樹が左、足立学園・松村士が右組みのケンカ四つ。この試合は岡田の左内股と松村の担ぎ技の激しい応酬となる。1分間際に松村が場外に出ながら肘抜きの右背負投。これは「一本」級の技であったが既に主審が「待て」を掛けており、ポイントにはならず。この技に手ごたえを得たか、以降は松村が一方的に担ぎ技で攻め込む時間帯が続く。しかし松村が完全に試合の主導権を掌握したと思われた2分2秒、岡田が引き手で袖口付近の良い位置を得ると、これを嫌った松村が一歩後退。このチャンスを見逃さず岡田が左大外刈を打ち込むと、重心移動の際を捉えられた松村は勢い良く後方に吹き飛び豪快「一本」。修徳が1点を返してスコアは1-1のタイとなる。

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修徳高の中堅名取涼太が樋口誠二朗から小内刈で2つ目の「技有」

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修徳は副将永川昴が川田武史から谷落「技有」獲得、これで勝利確定の3点目に辿り着く。

中堅戦は修徳・名取涼太が右、足立学園・樋口誠二朗が左組みのケンカ四つ。岡田の勝利で勢いづく名取は組み合うなり右内股。さらに樋口の左背負投を抱き止めてカウンターで後の先の一発を狙う。一方、樋口は両手で釣り手側の襟を持った左背負投で名取を大きく崩し、さらに続く展開でも場外際で右背負投を放って展開を持ち直し、1分15秒、名取に消極的との咎で「指導1」。序盤戦で主導権を得たのは樋口という形。しかし直後の1分40秒、名取は釣り手で相手の上腕を握ると間を置かずに右内股。相手を乗り越えながら捲り投げたこの一撃は「技有」。リードを許した樋口は再度両手で釣り手側の襟を持った右背負投を仕掛けるが、名取は形上崩れながらも余裕を持ってこれを回避。2分37秒、樋口が左小内巻込を仕掛けると相手が良く見えている名取はこれに左小内刈を合わせて浴びせ倒すように投げ切って会心の「技有」。結果、合技「一本」で名取の勝利が決まった。これで修徳が逆転、スコアはこの時点で2-1となる。

副将戦は修徳・永川昴が左、足立学園・川田武史が右組みのケンカ四つ。1勝のビハインドを負っている川田は体格で勝る永川に対してリスク無視の接近戦を挑む。脇を差して密着しては小外掛に裏投と大技を狙い、いずれの選手にポイントが入ってもおかしくない緊張感のある試合が続く。1分2秒には川田が右背負投からの右小内巻込で永川を勢い良く背中から転がすが、これは場外による「待て」の後でノーポイント。打ち続く川田の猛攻に永川の陥落は時間の問題かと思われる情勢だが、しかし1分57秒、川田の強引な右背負投を永川が抱きついて止めると、カウンターの谷落。体を捩じって逃れようとする相手の背中をしっかりと畳に着け決定的な「技有」を獲得する。川田は追い上げを図るが、担ぎ系の小型が体格差のある相手を追い掛けるのは至難の業、焦りのためか生命線である技の精度を欠いてしまい却って失速。結局2分29秒に永川に極端な防御姿勢による「指導1」が与えられたのみで試合が終わり、この時点でスコアは3-1。修徳が「2枠目」候補一番手と目された足立学園を見事撃破することとなった。

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足立学園の大将吉井拓実が小嶋洸成から背負投「一本」

大将戦は、修徳・小嶋洸成が左、足立学園・吉井拓実が右組みのケンカ四つ。総得点差による順位決定の可能性から出来得ればもう1勝を挙げておきたい小嶋は、釣り手で奥を叩いて猛チャージ。試合は小嶋が圧を掛けながら左内股を仕掛け、その戻り際に吉井が右背負投を打ち込むという形で進行する。攻勢を掛けるのは小嶋だが、組み手の上手い吉井は釣り手で敢えて低い位置を持って相手を間合いに入れず、一発を仕掛けるチャンスを窺い続ける。試合が終盤に差し掛かろうという2分48秒、焦れた小嶋が釣り手で背中を抱いたまま場外に向かって吉井を押し込むと、吉井が釣り手のみを持った状態から低い右背負投に潜り込む。相手に被さる形で前進していた小嶋は支えを外された形となり一回転。この技は文句なしの「一本」。最終スコアは3-2となった。

既に試合自体の勝利を確定し、次戦でのインターハイ出場権獲得に向けて士気を上げねばならぬ修徳にとって大将戦の一本負けはまさしく不首尾。確かに1勝の積み上げを狙うべきではあるがそれはあくまで足し算要素。ギャンブル的な組み手は避けるべきであるし、試合が終盤に至ったとなればリスクを回避してキッチリ試合を纏めて帰陣すべき状況であった。大森淳司監督は椅子に座ったまま片手で顔を覆ってガックリ。チームワークが命のはずの修徳、快勝に意気揚がるはずが、戦力が「線」になり切れず得失点差争いの可能性がある相手に余計な1点献上。不安の残るフィニッシュだった。

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先鋒戦、藤永龍太郎がグリーンカラニ海斗を出足払で大きく崩す。

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中盤以降はグリーンカラニが主導権を得、大外巻込で藤永を崩す

国士舘高 3-1 日体大荏原高
(先)藤永龍太郎△優勢[僅差]〇グリーンカラニ海斗
(次)道下新大〇優勢[僅差]△内藤彪我
(中)長谷川碧〇浮落(2:50)△藤原直生
(副)斉藤立〇合技[大外刈・袈裟固](2:55)△藤原秀奨
(大)酒井陸×引分×平山才稀

先鋒戦は敗戦のショックから立ち直らんと日体大荏原・グリーンカラニ海斗が奮闘、左相四つの藤永龍太郎の巧みな足技と組み手を体幹の強さで塗りつぶす形で前進。35秒に藤永が組み手の駆け引きに合わせた巧みな出足払でグリーンカラニに宙を舞わせる場面があったが、これは合議の結果ノーポイント。以降は奥襟を確保して組み勝ったグリーンカラニが腰を突き出すように圧を掛け、大外刈を叩きこんで攻勢。1分58には藤永に消極の「指導」。藤永は右袖釣込腰に出足払と要所の一発でなんとか相手に刃を入れようと試みるが、奥襟を掴んでは大外刈を仕掛けるグリーンカラニのパワーが攻防の随所に染み込み、展開を塗りつぶす。グリーンカラニが大外巻込を見せた直後の3分30秒「指導2」を失うと藤永にもはや抵抗の手立ては薄く、そのまま試合は終了。日体大荏原は強敵相手の1点先制で息を吹き返す。

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副将斉藤立が藤原秀奨を袈裟固に抑え込み合技「一本」、これで国士舘の勝利が決まる。

しかし次鋒戦、国士舘・道下新大が内藤彪我の裏投一発攻勢を凌いで終盤加速、立て続けに2つの「指導」を得て勝利すると以降は完全に国士舘ペース。中堅戦は長谷川碧がケンカ四つの藤原直生に煮え切らぬ試合も、勝利を焦って抱きつき一発勝負に打って出た相手を捕まえ、捻り投げての浮落「一本」を得て勝ち越し。副将戦は斉藤立が左大外刈「技有」から袈裟固に抑え込んで藤原秀奨から盤石の「一本」。これでチームの勝利は確定、酒井陸は平山才稀を相手にこれも煮え切らぬ試合もリスクを冒すことはなく、3分12秒に「指導」1つを得ての引き分けでフィニッシュ。最終スコア3-1でこの試合は終了となり、国士舘はこの時点でインターハイ出場(2位以内)を決定。

国士舘以外の3チームは足立学園と修徳が1勝1敗、日体大荏原が0勝2敗。総得点数の差で足立学園が2位、しかし最下位の日体大荏原までを含めた全チームに2位獲得の可能性があるという状況で、試合は運命の最終節へと引き継がれる。

[第二巡終了時]
①国士舘 2勝0敗 総得点7 一本勝ち5
②足立学園 1勝1敗 総得点5 一本勝ち4
③修徳 1勝1敗 総得点3 一本勝ち2
④日体大荏原 0勝2敗 総得点2 一本勝ち1

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最終節が開始される。この時点で最下位の日体大荏原は大量得点による勝利に、インターハイ進出の僅かな望みをかける。

【決勝リーグ第三巡】

ここまで0勝2敗の日体大荏原と、1勝1敗の修徳がマッチアップ。隣の試合場ではおそらく国士舘が足立学園を下すはずであり、いずれのチームにも2位獲得の可能性がある。

国士舘が勝ち、足立学園が敗れることを前提として。修徳はこの試合で勝利すれば2勝1敗となり、その時点で2位が確定、引き分けであっても唯一の1勝1敗1分けチームとなって2位滑り込みが決まるという状況。一方日体大荏原が勝利した場合は3チームが1勝2敗で並ぶこととなり、順位決定は総得点争いに縺れ込む。現時点での総得点は足立学園が「5」、日体大荏原が「2」。隣の試合場の配列に鑑みれば足立学園が国士舘から得点を挙げる可能性は非常に低く、となれば、日体大荏原がその細い糸を手繰ってインターハイに辿り着くのに必要なのはこの試合の勝利と、足立学園を凌ぐ総得点「6」に達する、4点以上の得点。率直に言って、非常に高いハードルだ。

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先鋒戦、日体大荏原のグリーンカラニ海斗が福地竜一朗から大外巻込「技有」

日体大荏原高 4-1 修徳高
(先)グリーンカラニ海斗〇優勢[技有・大外巻込]△福地竜一朗
(次)内藤彪我〇合技[小外掛・崩袈裟固](1:04)△岡田尚樹
(中)藤原直生〇大外落(0:55)△名取涼太
(副)藤原秀奨〇合技[浮腰・崩袈裟固](1:42)△永川昴
(大)平山才稀△優勢[技有・払巻込]〇小嶋洸成

先鋒戦は日体大荏原・グリーンカラニ海斗、修徳・福地竜一朗ともに左組みの相四つ。両者の体重差はおよそ40kg、この試合を引き分けて次鋒戦以降に襷を繋ぎたい福地は、相手の釣り手に食らいつき、横にずれた形から低い担ぎ技を連発するセオリーどおりの試合構成。一方のグリーンカラニは釣り手を絞られたまま巻き込み技を狙うが、相手を固定し切れておらぬゆえいずれも不発に終わってしまう。福地が良く攻めて試合の流れを掴みかけた2分2秒、グリーンカラニが両手で引き手を抱いての左大外刈。これに対して福地は思わず相手に抱きつき背中側に回り込んでしまうミスを犯す。堪えきれないと悟った福地は自ら飛んで腹這いで着地しようとするが、しっかり上体を固定されていたために回り切れず、半身のまま畳に落ちて「技有」。リードを得たグリーンカラニはさらに「一本」を得ようとここからペースを上げて攻めるが、福地も「一本」だけは与えてはならぬと激しく抵抗。2分40秒と3分22秒に福地に片襟の「指導」が与えられるも、これ以降はスコアの変動なく試合終了。日体大荏原がまずは「技有」優勢で1勝を先行。

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次鋒戦、内藤彪我が岡田尚樹から小外掛「技有」。内藤はそのまま抑え込んで日体大荏原が2点目を獲得。

次鋒戦は日体大荏原・内藤彪我が右、修徳・岡田尚樹が左組みのケンカ四つ。ファーストコンタクトで内藤が勢い良く背中を叩くと、岡田がこれに応じて左大腰。右小外掛で返そうとする内藤との力比べとなり、両者もつれるように伏せて「待て」。続く展開、再び内藤が奥を叩くと岡田はまたもや左大腰で勝負に出る。これに対して内藤も再び右小外掛でカウンターを狙い、力が拮抗した両者の動きが一瞬止まる。満場固唾を飲む中、この攻防を制したのは内藤。均衡が崩れると同時に岡田が激しく背中から畳に落下し「技有」。そのまま内藤が崩袈裟固で抑え込み、1分4秒「一本」。日体大荏原は2連勝。

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中堅藤原直生が名取涼太から大外落「一本」、日体大荏原は3連勝。

中堅戦は日体大荏原の藤原直生、修徳・名取涼太ともに右組みの相四つ。藤原は一気に勝敗を決すべく試合開始からフルスロットル、右内股に右内股巻込と不十分な形からも強引に技を仕掛けて勝負を急ぐ。開始55秒、両者が奥襟を持ち合うがっぷり四つの形が生まれると藤原が思い切った右大外刈。入った瞬間手ごたえを得たか、藤原は刈り足を畳につけて一気に浴びせ倒し、右大外落「一本」。日体大荏原はこれで3連勝。スコア3-0となったこの時点で日体大荏原の勝利自体は確定、2位争いは日体大荏原と足立学園、そして修徳による総得点争いというステージに移る。この時点での総得点は足立学園が5、日体大荏原が5、修徳が3。

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副将戦、日体大荏原の藤原秀奨が永川昴から浮腰「技有」。藤原そのまま抑え込んで、日体大荏原は逆転2位獲得のノルマである4点奪取を完遂。

副将戦は日体大荏原・藤原秀奨が右、修徳・永川昴が左組みのケンカ四つ。開始直後の10秒、藤原が腰を切りながら圧を掛けると、永川あっさりと畳を割って、故意に場外に出た咎により「指導1」。直後の15秒、再び藤原が腰を切りながら永川を場外際に追い込むと、永川が腰に食らいついて得意の裏投一発。そのまま浴びせ潰そうとした藤原とほとんど同体で倒れる形となり、ポイントの行方を巡ってケアシステムによる確認が行われる。結果は両者同体と判断されたか、ノーポイント。以降は藤原が奥襟を得て腰を切りながら攻勢を仕掛け、永川がこれを凌ぎながらカウンターを狙う形で試合が進む。2分間際、藤原が脇を差した形から谷落に飛び込むと永川は腰を切ってこれを回避、両者がもつれるエアポケットが生まれる。ここでいち早く次のアクションを起こしたのは藤原、すかさず腰を差し入れて右浮腰に連絡する。バランスを失っていた永川は堪らず転がり落ちて「技有」。藤原は場外でそのまま崩袈裟固でしっかりと固めて合技「一本」を獲得する。

日体大荏原はこれでついにこの試合「4勝」のノルマ達成。隣の試合場の足立学園を凌ぎ、総得点「6」に辿り着いた。最終節開始時点での最下位から奇跡的な4連勝を成し遂げ、インターハイ出場を確信したベンチの選手たちは、早くも感涙にむせぶ。

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大将戦、これまで完全に小嶋洸成を捌いていた平山才稀はまさかの「技有」失陥。スコア4-1でこの試合は終了となった。

大将戦、もう1勝を積み上げたい日体大荏原・平山才稀と意地を見せたい修徳・小嶋洸成の対決は左相四つ。この試合は一貫して組み手技術に勝る平山のペース。引き手で相手の釣り手を落とし、釣り手で奥襟を持った万全の形で一方的に攻め続ける。23秒に首抜きの咎で小嶋に「指導1」、さらに2分6秒には両者に消極的「指導」が与えられ、試合時間を半分残して小嶋は後がなくなってしまう。しかし、ここから小嶋が袖を絞らせたままの強引な巻き込みやクロスグリップからの技を多用するようになると試合は膠着。平山の側もあくまでもう1勝を積み上げんという吶喊姿勢ではなく、「指導」奪取で勝ち切ろうという、バックグランドの鍔迫り合い状況に比すればどこか鷹揚な試合ぶり。残り30秒を切ったあたりから平山はあと1つの「指導」を奪取すべく前進、右で絞った相手の釣り手を自身の左肩付近に載せて相手に片襟の形を強いるが、主審はこれをスルー。そして残り時間5秒に小嶋が左払巻込を仕掛けると、平山は無理やり返しを狙ったまま巻き込まれてしまい反対に「技有」を失ってしまう。投げ終わりの時点で試合終了となり、最終スコアは4対1。勝利した日体大荏原は隣の会場で行われている国士舘対足立学園の大将戦の行方に本戦出場を懸けることとなった。この時点で国士舘-足立学園戦は大将戦が進行中、足立学園の側にいまだ得点はなく、総得点は日体大荏原が「6」、足立学園は「5」。一本勝ち数は日体大荏原と足立学園ともに「4」。

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藤永龍太郎と押領司龍星による先鋒戦

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道下新大が松村士を谷落「一本」に仕留める。

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斉藤立の一本勝ちで国士舘の優勝が確定。

国士舘高 3-1 足立学園高
(先)藤永龍太郎×引分×押領司龍星
(次)道下新大〇谷落(2:44)△松村士
(中)長谷川碧〇反則[指導3](3:58)△樋口誠二朗
(副)斉藤立〇支釣込足(1:11)△川田武史
(大)酒井陸△横四方固(3:32)〇吉井拓実

藤永龍太郎と押領司龍星による先鋒戦は、藤永の練れた組み手と足技、そして押領司が時々繰り出す鉈を振るうような担ぎ技という展開で相譲らず。双方ポイント級の技があったが、1つの「指導」もないままこの試合は引き分け。足立学園にとってはこの先鋒戦が得点の可能性がもっとも高い試合であり、これで最終節における「総得点」の積み上げが非常に難しくなってしまった。

次鋒戦は道下新大が左、松村士が右組みのケンカ四つ。松村が良く動いては肘抜きの右背負投に膝をついての右背負投と担ぎ技を仕掛け、道下が小外刈と左足車で相手を固定に掛かるという展開。どちらかというと松村が志向した散発の仕掛け合いに重心が傾いた試合という印象であったが、2分半を過ぎたところで両襟をしっかり絞った道下が左足車。抗した松村が右背負投に切り返すとついに掴まえたとばかりに道下は谷落に連絡。前襟を握った釣り手を相手の首下に入れてしっかり制動、体捌きが利かぬ反り返った体勢で一撃を食った軽量の松村たまらずひっくり返り「一本」。試合時間は2分44秒、国士舘が先制。

中堅戦は巨漢長谷川碧に60kg級の強者樋口誠二朗がマッチアップ。左小内巻込、左背負投、左一本背負投と技を繰り出すのは樋口、長谷川は前に出ては樋口の技を突き飛ばして圧力、寝技で攻めるという戦略性乏しい戦いぶりであったがその重量はやはり圧倒的。樋口には「袖口を絞り込む」「偽装攻撃」とテクニカルファウルが重なり、残り2秒でついに3つ目の「指導」。この試合は樋口の反則負けとなり、国士舘はリードを2-0と広げる。

副将戦は関東大会代表戦の再現カード、斉藤立に川田武史がマッチアップ。その際は「指導3」で斉藤が勝利しているこのカードは、30秒川田に片手の「指導」、川田が片手の背負投で攻めた直後の1分3秒にも裾を持って背負投を仕掛けた川田に「指導2」が与えられる。直後、奮起した川田が組み付くと斉藤焦らず呼び込み、身を閃かせて支釣込足。1分11秒鮮やか「一本」で試合決着、この時点でスコアは3-0となり、国士舘の勝利と1位勝ち抜けが決まった。

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大将戦、「指導2」ビハインドの吉井拓実が酒井陸に袖釣込腰。

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そのまま寝技に繋ぐと、横四方固に抑え込んで「一本」。足立学園が再逆転でインターハイ出場権を手にした。

続く大将戦は最重量級の強者酒井陸、100kg級の吉井拓実ともに右組みの相四つ。開始早々吉井に首抜きの「指導」、続いて酒井が両襟を高く持って圧力を掛けると吉井再び首を抜き、35秒早くも2つ目の「指導」宣告。以降両者とも加速すること少なく、酒井は腰の切り返しで相手を威嚇しながらやや鷹揚な柔道。試合はこのまま酒井の僅差優勢勝ちに落ち着くことが濃厚な情勢。

しかし、残り1分に差し掛かったところで吉井が右袖釣込腰。これは投げ切れず酒井は腹ばいで落ちたが、一連の動きとしてプランしていたがごとく吉井はすかさず寝勝負に食いつく。相手の腹下に潜り込んでいた頭を上げると、両手を離さぬままめくり返しに掛かり、数合のやり取りを制してなんと横四方固で酒井をガッチリ抑え込む。
もしこの試合がこのまま酒井の僅差優勢勝ちで、あるいは引き分けで終わっていればインターハイ2枠目出場は日体大荏原。しかし、この抑え込みが決まれば総得点で並び、一本勝ち数で勝る足立学園が再逆転で2位に滑り込むこととなる。歓声と悲鳴が渦巻く中、もがいた酒井の動きに合わせて吉井が体勢を直したところで、誰が見ても抑え込みは完璧な形で固着。大歓声の中「一本」が宣せられる。この試合だけを見れば足立学園が「1点を返した」という形で勝敗は変わらず、しかしこの一本勝ち1個の重みは比類なし。

試合は3-1で国士舘が勝利して優勝確定。そして最後の最後に挙げた1点を以て足立学園が劇的な2位入賞を果たし、インターハイ2枠目の進出権を得ることとなった。

[第三巡終了]
① 国士舘高 3勝0敗 総得点10 一本勝ち8
② 足立学園高 1勝2敗 総得点6 一本勝ち5
③ 日体大荏原高 1勝2敗 総得点6 一本勝ち4
④ 修徳高 1勝2敗 総得点4 一本勝ち2

前述の通り、日体大荏原が総得点差による暫定2位で全試合を終えた時点で、国士舘-足立学園は大将戦が進行中、しかも情勢は誰がどう見ても酒井陸の僅差優勢勝ちが濃厚、控えめにいって吉井逆転のシナリオは考え難い情勢であった。ほんの数分前、インターハイ出場を確信して感涙にむせんだばかりの日体大荏原の面々は一転失意の号泣。古参の誰に聞いても「覚えがない」と唸った、おそらく4校リーグ制度が始まって初めての「勝敗で3校が並び、総得点で2校が並び、一本勝ち数で順位が決まる」という大激戦。東京都のインターハイ出場枠が来年から「1」に削減される中にあって、まさしく「最後の2枠」を巡って繰り広げられた、史上に残る死闘であった。

紆余曲折はあったが、これぞ事実上の決定戦と目された日体大荏原戦を制した足立学園の本戦進出は妥当なところ。そして、大一番と踏んだ日体大荏原戦で全員が最高の仕事を果たした足立学園の勝負強さ、大量得点を得るしかないという状況に追い詰められた最終節で発揮された日体大荏原の凄まじい爆発力、そして伝統のチームワークをテコに今回も見せてくれた修徳の「意地」。「2枠目」に絡んだ3チームの戦いぶりは、いずれも称賛に値する。足立学園の勝負強さ、日体大荏原の爆発力、修徳の意地、いずれもチームの「看板」ともいうべき特徴であるが、すべてがこちらの予想以上であった。

一方、形上圧勝で優勝した国士舘の戦いぶりはどこか冴えなかった。超高校級の斉藤はさておき、他の4枚は率直に言って不出来。技の切れる安藤を下げたゆえ見た目の派手さが減じたきらいはあるが、スコアの高さよりは、むしろ煮え切らぬ試合ぶりのほうが印象に残った1日だった。最後の最後で抑えられた酒井の試合ぶりなど、常の国士舘であれば絶対に許されぬ、レギュラーはく奪もののエラーであるはずだ。「ここで慢心するより、課題が出てしまったほうがいい」と語った岩渕公一監督が、夏までどう再び「やすりを掛けて」くるか。注目である。

入賞者と岩渕公一監督のコメントは下記。

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優勝した国士舘高

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2位入賞の足立学園高

【入賞者】
(エントリー52チーム)
優 勝:国士舘高(決勝リーグ3勝0敗 総得点10 一本勝ち8)
準優勝:足立学園高(決勝リーグ1勝2敗 総得点6 一本勝ち5)
第三位:日体大荏原高(決勝リーグ1勝2敗 総得点6 一本勝ち4)
第四位:修徳高(決勝リーグ1勝2敗 総得点4 一本勝ち2)

国士舘高・岩渕公一監督のコメント
「ダメですね。内容が悪い。腹が立ちます。正直もっと良いかなと思っていたんですが、残念。組み手も良くないし、後の先を狙い過ぎるし。本来もっと早くパッと組んで、先に勝負を仕掛けないといけないんです。ただ、ここで内容が悪いのは、夏に向けては逆に良いこと。本番で課題が出てしまうより、ここで直すべきものがはっきりしたほうがいいし、何より選手の気持ちが引き締まります。ここで上手くいって慢心するよりはずっと良いですよ。インターハイに向けては、これまで勝った代のチームを見ても、もう一段層を厚くすることが必要だと思っています。斉藤の他の選手をもう一段上げるのもそうだし、高校選手権に出た6枚のほか、7枚目を強くすることも大事。林(※将太郎。東京都予選100kg超級で決勝まで進出)というのが非常によくなってきているので、この選手を入れた7名で戦えるようになるとだいぶ違ってきますね。頑張ります。」

【予選トーナメント決勝】

国士舘高 4-0 安田学園高
修徳高 2-1 東海大高輪台高
足立学園高 5-0 正則学園高
日体大荏原高 5-0 岩倉高

【決勝リーグ】

国士舘高 4-0 修徳高
足立学園高 3-1 日体大荏原高

国士舘高 3-1 日体大荏原高
修徳高 3-2 足立学園高

国士舘高 3-1 足立学園高
日体大荏原高 4-1 修徳高

※ eJudoメルマガ版6月18日掲載記事より転載・編集しています。

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