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桐蔭学園が2年連続の優勝、負傷の賀持喜道欠くも決勝はライバル東海大相模に完勝・第67回インターハイ柔道競技神奈川県予選男子団体戦速報レポート

(2018年6月20日)

※ eJudoメルマガ版6月17日掲載記事より転載・編集しています。
桐蔭学園が2年連続の優勝、負傷の賀持喜道欠くも決勝はライバル東海大相模に完勝
第67回インターハイ柔道競技神奈川県予選男子団体戦速報レポート
第67回インターハイ柔道競技(8月8日~12日、三重県津市・サオリーナ)の神奈川県予選が16日、神奈川県武道館(横浜市)で行われ、男子団体戦は桐蔭学園高が優勝した。桐蔭学園は2年連続7回目の優勝。

戦評、入賞者と高松正裕・桐蔭学園監督のコメント、決勝トーナメントの結果および準決勝以降の対戦詳細は下記。


取材・文:古田英毅

■ 戦評
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ポイントゲッター賀持喜道が負傷のため肘を手術、前年度「三冠」獲得の桐蔭学園高・高松正裕監督は難しい舵取りを迫られる。

昨年の全国「三冠」奪取チームで春の全国高校選手権3位の桐蔭学園高と、同じくベスト4まで進出した東海大相模高の対決が今年も神奈川県大会最大のみどころ。

桐蔭学園の今代は昨年度三冠達成時のメンバーからポイントゲッターである村尾三四郎、千野根有我、賀持喜道の3枚が残った強大チームだが、春は賀持が2月の練習試合で負った負傷のため機能せず、かつ5番手以降の戦力不足が祟ってチームとしては上り詰められなかった。賀持はその後患部の肘を手術して戦線離脱、フル戦力であれば彼我の戦力差で東海大相模に遅れをとることはないはずだが、賀持の離脱と今代の特徴である戦力の極端な凹凸、そして毎回必ず揉めるライバル関係まで考えると、対東海大相模戦は相当な難関。昨年の全国中学校大会最重量級の覇者である1年生・中野智博の加入でどう戦力の底が上がったかが、ひとつ勝負の鍵を握る。

一方の東海大相模は昨年度から一段スケールは下がったものの、榎田大人、大村康太という重量級のポイントゲッター2枚の保有があり、桐蔭学園の戦力に凹凸がある現況、かつこの「点取り」という戦線全体に駒を張り巡らせなければならないレギュレーションを考えれば、作戦次第でアップセットが可能なところまで彼我の戦力差を詰めている印象。両軍の勝敗の帰趨はまず作戦、具体的にはその配列順に掛かる。

双方、申込登録時(※5月14日締め切り、事前に開示される)の時点でのオーダーは下記の通り。

桐蔭学園高 - 東海大相模高
(先)奥田訓平 - 山本銀河
(次)高山康太 - 工藤海人
(中)安藤健志 - 近藤悠瑞
(副)賀持喜道 - 谷内竜太郎
(大)村尾三四郎 - 成澤登夢
(補)千野根有我 ・ 榎田大人
(※)中野智博 ・ 大村康太

桐蔭学園はリハビリ中の賀持喜道を副将に登録、ポイントゲッターの千野根を補欠に取り置いて投入位置を探る。そしておそらく選手変更の手駒としては、期待の1年生・中野智博を準備しているはず。

一方の東海大相模は榎田大人と大村康太の2人をともにスターティング5人に登録せず。大駒2つを手元に取り置いて投入位置を選べる完全偵察オーダー。「後出し」で対桐蔭学園用のカスタムオーダーを組む作戦を採ったことになる。

この申込時配列は連盟(神奈川県高体連柔道専門部)のウェブサイトでも事前に公開されており、今大会は両軍の作戦にも非常な注目が集まった。

まず桐蔭学園。負傷で大事を取りたいはずの賀持は、本来であれば出場しても勝負どころの1試合のはず。であれば補欠登録が妥当なはずで、初戦から出場しなければならないこの配列はやや不自然。陽動作戦の可能性がある。オーダー配列最大の不確定要素は千野根と中野をそれぞれどの位置に投入するか。中堅安藤という「替えどころ」の候補は残るものの、それぞれを先鋒と、賀持を登録してあるこの副将ポジションに置くと見るのが妥当か。

この2つのうちいずれのポジションが適正か。桐蔭学園は村尾三四郎を大将に置いており、登録時の「副将賀持」を前提にするならば重心は後ろ。登録時のオーダーでは、前衛に軽量の奥田、春までの不安定さから実力を大きく上げたものの関東大会の出来を見る限り一線級にはまだ「取られる」危険が高い高山、全国大会では戦力になり切れなかった安藤、と防壁の弱い戦力が3枚並んでしまっている。相手方の並びによっては大量失点すら考えられるわけで、ここにはやはり戦力の手当てが必須。普通に考えれば千野根を先鋒に前出しして1点を確保してしまいたいところだ。団体戦は先制がセオリー、かつ、ここに配置されている山本銀河は東海大相模にとっては代替が利かない戦力で下げることは非現実的、桐蔭学園にとってはタイプ的にしっかりスコアが読める顔合わせになる。つまりは千野根を先鋒、中野副将が穏当な作戦。

一方の東海大相模。相手方に村尾三四郎という誰を当てても止め難い大駒がある中で、ここはどう考えても捨てるべき。最終戦での1点失点を前提に、取り得る戦略は大雑把にいって2つある。1つは、榎田と大村の2枚のうちいずれかを、千野根に対する防壁として充てて周辺戦力の点取り合戦に持ち込むこと。もう1つは村尾、千野根以外であれば誰でも得点可能なこの2人(負傷後のサイズ差に苦しむ試合ぶりを考えれば、賀持相手にも勝利を計算できる)を点取り役として、ハイスコアゲームに持ち込むこと。より現実的、かつ効果的な戦略は後者だ。もちろんこの際、2人が「消す」選手の戦力は高ければ高いほどいい。2人が勝利できる範疇のうち、もっともその実力の喫水線が高い選手を倒して、桐蔭学園にダメージを与えるとともに配列的に周囲の味方選手を利したい。この考え方でいけば副将配置(賀持に手当する)も十分考えられる。ただし桐蔭学園がこのポジションを「囮」に使っている場合、誘われて投入した大村が千野根に消される、あるいは中野相手の「他でも取り得る可能性がある1点」にその投入効果を矮小化される可能性がある。

とはいえ、登録時配列で中堅ポジションの安藤-近藤戦は、実は個人戦で安藤が勝利を収めているカード。東海大相模としてはここの手当ては必須であろう。これに大村・榎田いずれかを当てることをまず決め、次なる狙いどころを考えることになる。ターゲットの第1は次鋒高山、そして副将賀持。次鋒と中堅にこの2人を突っ込むのが妥当な案。

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準決勝、桐蔭学園の副将千野根有我が武相・三柴滉斗から払腰「一本」

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準決勝、東海大相模の先鋒山本銀河が相洋・長谷川隼斗から内股「一本」

両軍はともに予選リーグ試合、決勝トーナメント2試合(準々決勝、決勝)を危なげなく無失点で勝ち上がって決勝に進出。この過程で、決勝に臨むオーダーも明らかになった。

桐蔭学園は千野根を、先鋒ではなく副将に起用。先鋒から奥田、高山、安藤、千野根、村尾というオーダーで横浜翠嵐・港北高(合同チーム)を5-0、厚木北・弥栄高(合同チーム)を5-0、準々決勝は奥田の引き分け以降4連続一本勝ちで武相高を4-0で下す。そして準決勝の立花学園高戦で先鋒に中野を入れてオーダー確定。この試合は安藤の引き分けを挟んで一本勝ちを並べ、4-0で勝利して決勝進出決定。

東海大相模は榎田を次鋒に投入、決勝での高山戦を想定。予選リーグは山本、榎田、近藤、谷内、成澤というオーダーで逗子開成高を5-0、希望が丘高を5-0で下す。最後に残った大村の起用位置が注目されたが、準々決勝から投入されたその配置は中堅。この試合は3-0で強敵横浜高を下し、準決勝は相洋高を4-0で圧倒。あっさり決勝進出を決める。

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決勝に臨む桐蔭学園高。先鋒には1年生中野智博を投入。

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東海大相模高は前重心、「3タテ」狙いで勝負に出た。

かくて迎えた決勝、決戦に臨む両軍のオーダーは下記。

桐蔭学園高 - 東海大相模高
(先)中野智博 - 山本銀河
(次)髙山康太 - 榎田大人
(中)安藤健志 - 大村康太
(副)千野根有我 - 谷内竜太郎
(大)村尾三四郎 - 成澤登夢

オーダー順だけで見れば、「相模の試合」である。星取り勘定におぼれすぎることなく、格上を倒すには強気の打撃を入れ続けるに如くはなし、とでもいうべきその意気や良し。完全な前重心で、先に点を取って試合を決めてしまおうという積極策に打って出た。

桐蔭学園の中野は本格派の技を持ちながら粘戦の効く、相手の巧さを殺しながら一発を狙える試合巧者タイプ。1年生ゆえまだフィジカルに課題があり、個人戦では大村康太に敗れているが、相手がさほど技巧にケレン味のない山本であれば十分耐えることは可能。ただし普通に考えれば1学年上で体格的にも勝る山本の有利は否めない。

次鋒戦、中堅戦はこれまでの対戦歴からも純実力からも、東海大相模の得点が濃厚。先鋒戦の勝敗次第では東海大相模の「3タテ」、つまりは桐蔭学園のポイントゲッター登場前に試合が終わってしまう可能性すらある。ただし、逆に東海大相模としてはこの「3タテ」以外での勝利のシナリオは僅少。東海大相模が取りたい、桐蔭学園が耐えたい先鋒戦、この試合にチームの勝敗の帰趨が掛かる。

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山本銀河の右小外刈、「技有」もあり得たが合議の結果ノーポイント。

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最終盤、中野智博は掛け潰れを繰り返すがなんとか時間一杯戦い切る

注目の先鋒戦は桐蔭学園・中野智博、東海大相模・山本銀河ともに左組みの相四つ。自身のミッションを良く知る山本は試合が始まるなり突進、奥襟を叩いて前に出るが肩越しのまま圧を掛け続けてしまい18秒早くも片襟の「指導」。中野は横変形にずれて構え、支釣込足を打ちながら巨漢山本の圧力を耐える。1分49秒、山本が前に出ると中野またもや横変形に体勢をずらして力を逃がすが、山本そこに左大外刈。良い技だったが、中野崩れながら背負投に変換する得意の粘り強い受けで回避「待て」。

山本に自由に組ませては苦しい中野は釣り手で袖を絞り込む。山本は巻き込みの形に腕を捌いてこれを剥がすが、この釣り手を肩越しに入れたままウォッチしてしまう。意外なほどに長い時間がこの体勢のまま流れ、主審は試合を止めてまたもや片襟の咎で山本に「指導2」宣告。山本は痛恨の反則、最初の「指導」はともかく、これは明らかなミス。

試合時間はこの時点で残り1分39秒。このまま試合が終われば負け確定の山本は奮起、再開直後の組み際に思い切った左大外刈から右小外刈。首をがっちり抱え込んだ強烈な一撃にたまらず中野は畳に落下。この一発は「技有」が入ってもおかしくないものであったが、審判団はビデオチェックの結果ノーポイントと判断。試合は続行される。

試合の潮目の変化を敏感に察知した中野はここで退いてはならじと前に出て大外刈を仕掛けるが、山本は逆に圧力を掛け返し猛攻。たまらず中野は払巻込に潰れ、3分2秒偽装攻撃の「指導」。これで僅差優勢に必要な「2」差は消滅。山本はさらに前進、急速に体力を失った中野はなす術なく、残り23秒で首抜きの反則を犯し2つ目の「指導」失陥。山本は勝利に必要なあと1つの「指導」を求めて猛攻。中野はここからの20秒で3度巻き込み潰れを繰り返し、偽装攻撃の「指導」が入ってもまったくおかしくない状況だったが、審判は決断に至らずスルー。結果このまま試合は終了となり、双方2つずつの「指導」を失ったこの先鋒戦は引き分けに終わった。前で耐えたい桐蔭学園にとっては会心の、前衛で勝利を決めるしかない東海大相模にとっては非常に痛い結果。

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次鋒戦、高山康太が榎田大人を攻める

次鋒戦は桐蔭学園・高山康太、東海大相模のエース榎田大人ともに左組みの相四つ。高山が袖を絞ると榎田唸る勢いで右袖釣込腰、高山が伏せて「待て」。

榎田の強烈な先制攻撃であったが、以降は高山が榎田の技を封殺。ベンチの「(気を付けるのは)小内刈だぞ!」との声そのままに、榎田が一本背負投とのコンビネーションで入ってくるこの技が可能な位置関係を決して許さぬまま、まず引き手で袖、次いで奥襟を叩いては遠間から圧力を掛けて動かし、足を飛ばして榎田を伏せさせる。榎田は組み際の飛び込み以外にこの高山の戦い方に明確な打開策を打ち出せず失速、意外なほどに大人しい試合ぶり。2分半を過ぎると高山は明らかに疲労するが、一段ギアを入れ直し、左大内刈から小内刈に繋いで蹴り崩すタフさを見せる。榎田潰れて「待て」。

この攻防でどうやら精神的にも技術的にも以後の榎田の反攻なきことが見えた感あり。高山はプラン通りに奥襟を持ったまま遠間で相手を動かし、引き出しの左小内刈で崩して冷静な試合ぶり。奮起した榎田が「一本大外」に飛び込むが高山これも耐え切り、2分50秒過ぎに榎田が放った背負投には左大内刈を合わせて潰すとしっかり寝勝負で時間を使う。

榎田は左大外刈、終了間際には左内股巻込を見せるが明らかに成算薄きことを自覚した技で利かず。高山はこれを冷静に潰してタイムアップを迎える。この試合は引き分けに終わり、勝敗の天秤はさらに一段桐蔭学園の側に傾く。

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中堅戦、桐蔭学園の安藤健志が東海大相模のポイントゲッター大村康太から殊勲の左一本背負投「技有」。

中堅戦は桐蔭学園・安藤健志が右、東海大相模の大村康太が左組みのケンカ四つ。桐蔭学園の泣きどころのはずのポジション、かつ東海大相模のポイントゲッター位置であるはずのこの試合だが、前戦同様少々雰囲気が違う。安藤はまず左一本背負投を叩きこんで先制攻撃、続いて大村の左内股を切って自身の右内股に切り返すと、以降は釣り手をあるいは突いて、あるいは狭く構え、左一本背負投を交えながらじわじわ前進。窮屈な釣り手に耐えかねた大村がこれを巻き返して左内股を狙うが投げ切れず。

大村は幾度か釣り手を巻き返しての内股を狙うが、安藤は釣り手を狭く保ってこれを弾き返しては、突いて前進。大村は釣り手の巻き返し、あるいは体ごと釣り手を引き上げる動作で投げに至る作りを図るが安藤ことごとく心得て動ぜず。巻き返しは肘を狭く保ってディフェンス、引き上げには応じず重心を低く保って体勢を作り直す。

あっという間に残り時間は1分を切る。焦った大村は左内股、さらに右袖釣込腰で安藤を伏せさせるが、この再開直後の3分22秒に安藤が組み際に左一本背負投。いままで幾度も潰されて来た技だが、今回は大村の焦りに乗じたこと、左「一本大外」から繋いだところ足を固定された大村が右にずれて捌いて担ぎが利く位置に入り込めたこと、そして落下までのタイミングを早く取ったことが奏功。一瞬で二人が畳に転がり、主審の判定は「技有」。

まさかの失点まで喫した大村は怒気を発して前進、しかしリードを得た安藤は取り合わず釣り手を張って耐える。残り18秒に安藤が一本背負投に潰れて偽装攻撃の「指導」。再開後、残り14秒でも同じ咎で「指導2」が与えられてやや場が煮詰まるが、直後追いかける大村が左内股に潰れてしまい、安藤が食いついてしっかり時間を使いタイムアップ。

貴重な1点獲得でスコアは1-0。専守防衛がミッションと思われた前衛3枚で逆にアドバンテージを作り出した桐蔭学園は、実質ここで勝利決定と言える状況。

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桐蔭学園は副将千野根有我が谷内竜太郎から小外掛で「技有」奪取。

副将戦は巨漢・千野根有我がケンカ四つの谷内竜太郎に対し両襟で距離を詰め、じわりと攻める。姿勢良く構えては右大外刈、右内股と一発攻勢。谷内が都度右袖釣込腰に左一本背負投と攻め返すため「指導」には至らずも、盤面状況からして焦る必要のない千野根は相変わらず背筋を伸ばしては両襟を掴み、内股に出足払、相手の落ち際に素早く食いついての「腰絞め」と極めて冷静に、そして手立てを変えながら次々取り味のある攻撃を繰り出す。

3分4秒、千野根が前技フェイントを入れての右小外掛に谷内を捕まえ「技有」。以降も出足払を繰り出しながら大技一発のチャンスを伺うが、谷内に反攻の姿勢薄いため逆に機会も僅少。千野根が無理をせぬまま4分間が過ぎ去り、「技有」優勢で試合終了。桐蔭学園が1点追加したこの時点でスコアは2-0。ここで桐蔭学園の優勝が決まった。

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大将戦、村尾三四郎は成澤登夢に幾度も大外刈を試みるが、あと一段の刈り込みに至らず。

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大将戦は桐蔭学園の村尾三四郎、東海大相模の成澤登夢ともに左組みの相四つ。村尾は片襟の大内刈で成澤を潰し、さらに引き手の袖を絞って左大外刈。腰が太く、重心の低い成澤は心得て耐えるが、それでも常の村尾ならもう一段踏み込んで投げ切れる状況。しかし村尾は無理をせずいったん鉾を収める。

続いて村尾は引き手で袖、釣り手で奥襟を確保する完璧な組み手を作り出す。成澤は頭を下げて専守防衛、村尾は貝殻に引っ込んだ相手を引きずり出すべく引き出しの小内刈に蹴り崩すような支釣込足で「作り」を続けるが、主審はこの攻撃準備を膠着と判断。1分32秒両者に対して消極的との咎で「指導」を与える。

村尾は片襟の左大外刈を2連発、成澤潰れて「待て」。村尾続いてまたもや左大外刈、激しく乗り込むと成澤が耐えたまま潰れ、2分8秒成澤に「指導2」。村尾やはり強引に投げ切ろうとはせず、どこか無理を避けている印象。

村尾が追い込むと成澤潰れ、続いて引き出しの左小内刈で崩すと成澤は首を抜いて圧力を回避。成澤はこの「首抜き」を2度犯すがこのテクニカルファウルを主審はスルー、3分34秒には逆に村尾の側に片襟の咎で「指導2」を宣告する。内容は村尾の圧倒的優勢ながらスコアにそれが反映されないという、難しい試合。

最後まで村尾は大外刈で攻め、かつ刈り込みの最終段階ではまたもや無理をせずというこの戦いぶりを保ったまま試合終了。この試合は引き分けとなり、スコア2-0で桐蔭学園の優勝が決まった。

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決勝終了後、高松正裕監督が選手に訓示。

桐蔭学園高 2-0 東海大相模高
(先)中野智博×引分×山本銀河
(次)髙山康太×引分×榎田大人
(中)安藤健志○優勢[技有・一本背負投]△大村康太
(副)千野根有我○優勢[技有・小外掛]△谷内竜太郎
(大)村尾三四郎×引分×成澤登夢
桐蔭学園の完勝。スコアこそ2-0だが、配列の利が東海大相模にあったことに鑑みればちょっとあっけないくらいのワンサイドゲームであった。

殊勲者は桐蔭学園の前衛3名。東海大相模のポイントゲッター達にまったく仕事をさせなかったばかりか1点アドバンテージまで作り出し、そこで試合を終わらせてしまった。

試合後、高松正裕監督に「なぜ千野根は先鋒でなかったのか?」と率直な問いをぶつけると「きょうの勝ちだけを考えるなら千野根先鋒だが、それで勝っても全国では通用しないので、敢えて厳しい配列で臨んだ」とのこと。ここまでやって勝つのだから、前述の「完勝」感はさらに高まる。

内容的にも桐蔭学園は東海大相模の上をいった。高山と安藤は明確かつ具体的な榎田対策、大村対策を練ってそれをしっかり実行していたが、一方の東海大相模の側はこれまでの対戦実績と戦力的優位を前提に戦いを組み立ててしまい、安藤らが組んだカスタム作戦を打ち破るだけの準備が出来ていなかったという印象。挑む側であったはずの東海大相模がいつの間にか「挑まれる側」に押し込められ、普段以上の力を出さないと突破できない立場に立たされていた感があった。

両陣営ともエースが不発、全体として熱量少なき試合ではあったが、ゆえに今回は桐蔭学園の作戦立案能力、遂行能力の高さというこれまでとは違うアスペクトが際立った。展望決して明るくないと思われていたインターハイであるが、用兵の巧みさ、研究能力の高さは上昇装置としてかなりの好材料。賀持を欠いて一段戦力が落ちたと思われていた桐蔭学園であるが、夏も面白い試合を見せてくれそうだ。

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連覇達成の桐蔭学園高

【入賞者】
(エントリー38チーム)
優 勝:桐蔭学園高
準優勝:東海大相模高
第三位:立花学園高、相洋高

高松正裕・桐蔭学園監督のコメント
「選手が良く頑張りました。ギリギリで決めたオーダー、厳しい勝負でしたがよくやってくれたと思います。(-千野根選手を先鋒ではなく副将に起用しましたね?)千野根を先鋒に置くパターンももちろん考えていて、ギリギリまで悩みました。決めたのは昨日の稽古が終わってから。きょうの結果だけを考えて先鋒に置けば勝てる可能性は非常に高くなるが、全国を見据えて敢えて厳しいオーダーで戦いました。これで負けたらそこまでのチーム、どうせ全国でも勝てません。選手にもそう檄を飛ばしての試合でしたが、彼らを信じて良かったと思っています。(-昨年から試し続けた安藤選手がついに仕事をしましたね?)トーナメントの組み合わせを考えれば東海大相模戦だけを考えれば良い状況で、かつ相手に大村選手が来ることがほぼ確実。1人のことだけを考えて対策すれば良い状況だったので、これがそのまま実力通りというわけでは勿論ありません。全国大会で戦うにははまだ厳しいレベル。ただ、本人の中でこれが自信になってくれればいいなと思います。 (-新戦力の中野選手も頑張りましたね?)まだ体力がないので、本当に強い相手だと1試合しか持たない。彼が準々決勝くらいから立て続けに戦えるくらいになってくれればチームもだいぶ違ってくると思います。(-村尾選手に元気がなかったように感じましたが?)一週間くらい前に膝に水がたまってパンパンになり、その時は屈伸もままならない状況。調整だけして出たという状態ですし、決勝は勝敗が決まってからの出場だったのであまり無理をさせませんでした。(-賀持選手の状態は?)まだまだリハビリ。インターハイに間に合えば良いですが、ギリギリと思っています。千野根は関東大会でも良かったし、彼に体力がもう少しつけば金鷲旗も面白い。高校選手権は逃しましたが、残る2つのうち、どちらでもいいから1つ獲りたい。生徒には(連勝ではなく)『連覇』が目標だと言ってあります。金鷲旗で決勝まで進んで、波に乗ってインターハイを取ると、そういう上がり目で行きたいですね。」


【決勝トーナメント1回戦】
武相高 3-2 藤沢翔洋高
日大藤沢高 4-1 総合科学高
慶應義塾高 5-0 日大高
横浜高 5-0 湘南学院高

【準々決勝】
桐蔭学園高 4-0 武相高
立花学園高 4-1 日大藤沢高
相洋高 ②-2 慶應義塾高
東海大相模高 3-0 横浜高

【準決勝】

桐蔭学園高 4-0 立花学苑高
(先)中野智博○背負投△北村紋乃丈
(次)髙山康太○合技[]△山下拓斗
(中)安藤健志×引分×田倉海来
(副)千野根有我○払腰△三柴滉斗
(大)村尾三四郎○送襟絞△芝田光輝

東海大相模高 4-0 相洋高
(先)山本銀河○内股△長谷川隼斗
(次)榎田大人○横四方固△江畑龍生
(中)大村康太○内股△荒井竜河
(副)谷内竜太郎×引分×吉田陽翔
(大)成澤登夢○合技[外巻込・後袈裟固]△中島大成

【決勝】

桐蔭学園高 2-0 東海大相模高
(先)中野智博×引分×山本銀河
(次)髙山康太×引分×榎田大人
(中)安藤健志○優勢[技有・一本背負投]△大村康太
(副)千野根有我○優勢[技有・小外掛]△谷内竜太郎
(大)村尾三四郎×引分×成澤登夢

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