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了徳寺学園が優勝、ウルフアロンは復帰戦を全勝で飾る・第68回全日本実業団体対抗大会男子第3部即日レポート

(2018年6月9日)

※ eJudoメルマガ版6月9日掲載記事より転載・編集しています。
了徳寺学園が優勝、ウルフアロンは復帰戦を全勝で飾る・第68回全日本実業団体対抗大会男子第3部即日レポート
第68回全日本実業柔道団体対抗大会は9日、久留米アリーナ(福岡県久留米市)で開幕。初日は2カテゴリの競技が行われ、50チームが参加した男子第3部は了徳寺学園が優勝した。

渡邉勇人、阪本健介ら錚々たるメンバーで臨んだ了徳寺学園だが、ひときわ注目を集めたのは負傷のため約6か月試合から遠ざかっていた(※2017年11月の全日本学生柔道体重別団体優勝大会以来)ウルフアロンの復帰。山田利彦監督が「70パーセントくらい」、本人が「10段階のうち、5段目」と評したとおりまだまだ本調子とはいかないようだったが、出場6試合をきちんと全勝で締め、順調な回復ぶりを見せていた。戦後は報道陣の求めに応じて、パワー、筋持久力、技術と的確な自己分析を披露。世界の頂点に上り詰めた最大の因である観察眼の確かさに、周囲は感じ入ることしきりだった。

決勝戦評、入賞者、山田利彦監督とウルフアロン選手のコメント、ウルフアロン選手の全試合結果、3回戦のスコアと準々決勝以降の対戦詳細は下記。


取材・文:古田英毅

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決勝が開始される

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渡邊勇人が川端龍を膝車で崩す

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渡邊の左釣腰が決まり「一本」

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田上創が関根太三から崩上四方固「一本

【決勝戦評】

決勝で相まみえたのは第1シードのセンコーと、了徳寺学園の強豪2チーム。多くの関係者が戦前に予想した鉄板カードの実現となった。センコーはここまでセントラル警備保障を3-0、アドヴィックスを3-0、山場となった準々決勝の国分自衛隊戦を2-2の代表戦、準決勝で松前柔道クラブを3-1というスコアで勝ち抜いての決勝進出。一方の了徳寺学園は1回戦で十全会おおりん病院を5-0、2回戦で福岡拘置所を5-0、3回戦は九州電力を4-0、そして山場と目された準々決勝の福岡県警察戦も3-0で制し、準決勝は京葉ガスを5-0で下して決勝へと勝ち進んで来た。

先鋒戦は軽中量級の強者同士がマッチアップ。左相四つのセンコー・岩渕侑生と了徳寺学園・六郷雄平ともに相譲らず引き分け。

次鋒戦はもと60kg級強化選手の川端龍と、81kg級の強豪渡邊勇人がマッチアップ。川端は強者だが、4月の全日本選手権本戦でも勝利を挙げている渡邊はさすがに難敵。渡邊は一の矢で放った引込返こそ読まれて不発だったが、ここからは「軽い選手殺し」のセオリーをしっかり踏んで隙を見せず。場外際に追い詰め、逃げる方向に膝車の罠を張って大きく浮かせて49秒川端に「指導」。さらに敢えて緩やかに左小外刈を当て、さらに足を差し入れてから踏み込む大内刈で攻め立てる。プレッシャーが十分利いたとみるや、今度は背中を掴んで左釣腰の大技。敢えて先に体を回して相手の体を背中に沿わせ、抜き上げる強引な技法に「体対体」の勝負を強いられる形となった軽量の川端吹っ飛び1分39秒「一本」。貴重な先制点は了徳寺学園が得る。

中堅戦はセンコー・関根太三に了徳寺学園・田上創がマッチアップ。関根は組み際の払釣込足に長け、右相四つの田上に組み手時間の消費を強いてはこの技で鋭く蹴り上げる。田上がひときわ大きく浮き、崩れ伏せた直後の46秒「指導」。田上は得意の右大内刈で攻め返すが、関根は短躯を利して接近しては組み際の払釣込足を連発。田上は都度大きく浮き、危うくポイント失陥という場面が続く。

しかし2分半を過ぎたところで状況一変。あと一歩踏み込めば良しと一計を案じた関根がひときわ勢いよく払釣込足、そのまま素早く浴びせてポイントに繋げようとするが田上の崩れの角度が予想より小さく、前に突っ伏した相手の背の上に被る格好となったその動作は空回り。田上は頭の上を仰向けに落ちて来た相手に乗り込み返して抑え込み、崩上四方固「一本」。了徳寺学園が2点目を得る。

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阪本健介が茅野圭祐から出足払「一本」

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ウルフアロンが高橋亨介から小外刈「一本」

副将戦はこの日足技に冴えを見せる100kg級の強者・阪本健介が持ち味発揮。茅野圭祐を相手に左大外刈から右出足払の連携を度々見せ、茅野は都度大きく崩れる。阪本は組み手も誠実そのもの、しっかり引き手で袖、さらに奥襟を確保する妥協のない形に茅野はなかなか攻め手を見いだせない。2分過ぎ、阪本が刈り足をひときわ大きく伸ばして左大外刈。茅野これはなんとか耐えたが、阪本は戻るなり引き手で袖を折り込んで右出足払の妙技。まさしく「打撃」、マスコットバットのような阪本の太い脚に叩かれた茅野の体は一瞬で宙を舞い、文句なしの「一本」。これで了徳寺学園の勝利が決まった。

大将戦は満を持して100kg級世界王者・ウルフアロンが登場。高橋亨介は長い手足を利してウルフに密着を許さぬまま、左、右と出足払を放って粘る。ここでウルフが為した選択は左小外刈。出足払ともいうべき素早いタイミングでまず踵を掴まえ、次いで後方に押し込んで「一本」の有終。了徳寺学園がスコア4-0の大差で優勝を決めることとなった。

了徳寺学園はその陣容の豪華さを裏切らぬ圧勝。足技の進境著しい阪本健介、膝の故障を抱えながらも抜群の技の切れ味をこの日も発揮した渡邊勇人と、しっかり次に繋がる大会だった。

ウルフの出来は本人が語る通り、まだまだ。時間を掛けずにあっという間に自分の形に持ち込み、そしてこちらが思うよりも一間早いタイミングで投げて試合を決めてしまうような絶頂時の爆発力はまだ感じられない。復帰戦で暖機運転の時間を長めに取ったということもあろうが、作りの部分でのもたつきが感じられた。ただしもちろんそれは試合を壊すようなものではなく、むしろこの状態でも隙を見せず、出来ることをしっかり選択して勝ち切るところにはウルフの地力の高さと、なにより持ち味である柔道頭の良さが存分に感じられた。世界選手権までの現在位置、失ったものと逆にこの期間に得たもの、試合の中でのトライアンドエラーに、自身の特徴に向いた新たな海外勢対策と、自己分析もしっかり出来ている様子。ひとまず復帰の道程は順調と見て良いだろう。

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優勝の了徳寺学園

【入賞者】
優 勝:了徳寺学園
準優勝:センコー
第三位:松前柔道クラブ、京葉ガス

優秀選手:渡邊勇人、阪本健介、ウルフアロン(了徳寺学園)、岩渕侑生(センコー)、穴井亮平(松前柔道クラブ)

了徳寺学園・山田利彦監督のコメント
「優勝候補だ、なぜ3部に出るんだと思われる方もいるかもしれませんが、手術明けのウルフと田上をはじめ、ケガ人が多くて、選手にとっては簡単な試合ではなかったと思います。その中でしっかりやってくれました。全員次に繋がる試合だったのではないでしょうか。ウルフは半月板の負傷でしたが、幸い後遺症が残るようなタイプの怪我でもなく、手術したことで時間はかかりましたがこのほうが良かったと思います。まだ70%くらいの出来ではと思いますし、試合よりも稽古のほうがだいぶ良いという状況ですが、色々試してもいたし、復帰戦としては良かったと思います。本人も、今の状態がしっかり把握できたのではないでしょうか」

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試合後、詰めかけた報道陣の取材に応えるウルフアロン

ウルフアロン選手のコメント
「50パーセントくらいの出来だったと思います。(-どういう部分でそれを感じますか?)組み手や試合運びが思ったようにいかないことなどで強く感じますが、何より、ノーステップの内股が思ったほど掛からないことですね。(-ウルフ選手の柔道の軸では?)そうですね。稽古では掛かるんですが、試合ではまだイメージ通りにいかない。筋力的な問題ではなく、まさにこの技の作りのステップで膝を怪我したので、体がまだ怖がっているところがあるのではと感じています。他の技から繋げば普通に掛かりますし、技の幅も広げていくのは当然ですけど、まずこれをしっかり戻した上で、ですね。本番までこのペースであれば100パーセントには戻せます。それ以上のものを積めるかどうかが勝負です。外国人対策の体落など、自分の柔道に盛っていくのに適した技を考えて、新しいチャレンジももちろんしています。(-世界選手権の代表に関して?)たまたま自分がいないときに他の選手が結果を出せなかったから選ばれたというだけで、自分の実力で掴んだものだとは思っていません。世界選手権で勝って力を証明するために、しっかりやっていきたい。」

【ウルフアロン試合結果】

1回戦 ウルフアロン〇不戦△ (十全会おおりん病院)
2回戦 ウルフアロン〇大外刈(0:33)△甲斐(福岡拘置所)
3回戦 ウルフアロン〇合技(2:14)△前田(九州電力)
準々決勝 ウルフアロン○反則[指導3](3:42)△上林山裕馬(福岡県警察)
準決勝 ウルフアロン〇肩車(1:31)△花本隆司(京葉ガス)
決勝 ウルフアロン○小外刈(1:09)△高橋亨介(センコー)

【3回戦】

センコー 3-0 アドヴィックス
国分自衛隊 4-0 十全会回生病院
松前柔道クラブ 4-1 日本生命保険
ハイジェント柔道クラブ 3-2 三菱ケミカル大竹
京葉ガス 4-1 福岡刑務所
JR九州 3-0 日本通運
福岡県警察 4-0 安川電機
了徳寺学園 4-0 九州電力


【準々決勝】

センコー ②代-2 国分自衛隊
(先)岩渕侑生○優勢[技有]△有田竜之介
(次)川端龍△優勢[技有]○上迫治希
(中)関根太三×引分×保池泰成
(副)茅野圭祐○小外刈(1:21)△國分貴弘
(大)高橋亨介△反則[指導3](1:13)○福山真悟
(代)岩渕侑生○一本背負投(0:03)△保池泰成

松前柔道クラブ 4-1 ハイジェント柔道クラブ
(先)本間大地○反則(1:57)△倉田勇樹
(次)伊丹直喜△体落(3:42)○窪田和樹
(中)手島尚宏○不戦△
(副)穴井亮平○※抑込(0:25)△土屋樹
(大)秋吉渓○反則(0:56)△寺島光済

※公式記録ママ

京葉ガス 4-1 JR九州
(先)西岡和志○一本背負投(1:12)△南川真輝
(次)手塚龍大○小外刈(1:17)△進藤一馬
(中)紺野大輔△小外刈(2:49)○古園井新成
(副)須藤紘司○大内刈(0:18)△植山恵介
(大)花本隆司○払腰(2:56)△植田祐太

了徳寺学園 3-0 福岡県警察
(先)尾方寿應×引分×秋吉俊汰
(次)渡邉勇人○反則(0:10)△中園史寛
(中)田上創×引分×安田知史
(副)阪本健介○優勢[技有]△松雪直斗
(大)ウルフアロン○反則[指導3](3:42)△上林山裕馬

【準決勝】

センコー 3-1 松前柔道クラブ
(先)岩渕侑生○一本背負投(0:44)△本間大地
(次)川端龍○出足払(2:33)△伊丹直喜
(中)関根太三×引分×手島尚宏
(副)茅野圭祐△肩車(0:37)○穴井亮平
(大)高橋亨介○上四方固(1:18)△秋吉渓

了徳寺学園 5-0 京葉ガス
(先)六郷雄平○背負投(2:06)△西岡和志
(次)渡邉勇人○背負投(2:32)△手塚龍大
(中)田上創○反則[指導3](1:26)△紺野大輔
(副)阪本健介○出足払(2:29)△須藤紘司
(大)ウルフアロン○肩車(1:31)△花本隆司

【決勝】

了徳寺学園 4-0 センコー
(先)六郷雄平×引分×岩渕侑生
(次)渡邉勇人○釣腰(1:39)△川端龍
(中)田上創○崩上四方固(2:47)△関根太三
(副)阪本健介○出足払(2:07)△茅野圭祐
(大)ウルフアロン○小外刈(1:09)△高橋亨介

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