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平成30年全日本選抜柔道体重別選手権女子マッチレポート①(48kg級、52kg級、57kg級)

(2018年5月11日)

※ eJudoメルマガ版5月11日掲載記事より転載・編集しています。
平成30年全日本選抜柔道体重別選手権女子マッチレポート①
(48kg級、52kg級、57kg級)
取材:eJudo編集部
撮影:乾晋也

■ 48㎏級 トップ2人が敗れる波乱。山﨑珠美が遠藤宏美を破り初優勝
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準決勝、山﨑珠美が渡名喜風南から右小外刈「技有」

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渡名喜猛追撃も、山崎しっかり捌いてタイムアップ。

【決勝まで】

昨年のブダペスト世界選手権優勝の渡名喜風南(パーク24)と、同大会3位で2014年チェリャビンスク世界選手権優勝の近藤亜美(三井住友海上)。同い年の新旧世界女王が優勝候補として注目を集めた。

第1シードの渡名喜は初戦で坂上綾(三井住友海上)と対戦。体の動きも悪く「指導」を先行される展開となるも、GSでの両者「指導」を宣告を経た6分8秒に坂上の内股を返して「技有」奪取。これで辛くも準決勝進出を果たす。

しかし続いてマッチアップした山﨑珠美(自衛隊体育学校)には、左大外刈からの右小外刈の連続攻撃を許して「技有」失陥。その後の反撃空しくタイムアップ、決勝には山﨑が駒を進めることとなった。

渡名喜は新鋭ダリア・ビロディド(ウクライナ)とベテランのムンクフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)に連敗したグランドスラム・パリで残した下降線イメージを払拭出来ず。出世以前、一昨年までの渡名喜は高い実力を誇りながら勝負どころで勝ち切れず、なかなか序列を上げられなかった選手。柔道がオーソドックスなだけに、コンディション、モチベーションと前提条件をキッチリ揃えなければ実力が結果に繋がりにくいというナイーブさがある。続けて勝つには、毎回なんらかの上積みを持ち込むことが必須。どこにそれを見出すのか、注目したい。

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1回戦、田中芽衣が近藤亜美から隅落「技有」。このあと近藤は崩袈裟固に捉え返し「一本」を得るが先行き不安なスタート。

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準決勝、遠藤宏美が近藤亜美を攻める。この試合は遠藤が「指導3」を得て勝利。

一方、第2シードの近藤も決勝へ勝ち進めず。初戦の田中芽生(龍谷大4年)戦は、試合時間残り1分を切ってから隅落で「技有」を奪われるという絶体絶命のピンチを崩袈裟固「一本」による逆転で突破(3分44秒)したものの、これで精神的なリソースを使い切った感あり。準決勝の遠藤宏美(ALSOK)にはGS延長戦合わせて9分13秒という消耗戦の末に、「指導3」の反則負けを喫した。寝技では優位な展開を見せたものの立ち技に精彩を欠き、遠藤に大内刈、小外刈、背負投で攻め込まれるシーンが目についた。これも、勝負強さという曰く言葉にし難い武器をテコに他者を凌いで来た近藤が、これぞという絶対の武器(技術的な)を得られぬまま、己の柔道を良く知る相手を突破出来なかったという極めて女子軽量級的な現象。払腰一発で世界を獲り、もともと得意な固技に舵を切り、大外落を積んでとその時々、しっかり「次に積むもの」を選択してトップに座り続けてきたこの選手が、ふたたび訪れたこの閉塞に今度はどう活路を見出すか。以後に注目である。

2月のグランドスラム・エカテリンブルグで優勝を果たした遠藤は、この大会でも好調。初戦の和田君華(大成高3年)戦でも、和田を一方的に攻め込み、わずか3分ほどで「指導」3つを奪って勝利。ケガなどで不調が続いていたが、全盛期の攻撃的な柔道が戻ってきた印象。らしさを発揮しての決勝進出劇であった。

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決勝、序盤は遠藤が袖釣込腰で攻める。

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山﨑は強気の組み手から大内刈で攻撃。

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山﨑の右小外掛が「技有」

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復活を果たした形の山﨑。優勝決定直後は感無量の表情。

【決勝】
山﨑珠美(自衛隊体育学校)〇GS技有・小外掛 (4:42)△遠藤宏美(ALSOK)

率直に言って想定外の顔合わせ。22歳の近藤と渡名喜がトップになる以前、ともにエース候補として期待されながら登り詰めるに至らなかったふたりが、それぞれ世界王者を破って決勝進出。当時の軽量級としては異次元の「奥襟ファイト」からの裏投と逆一本背負投というパワフルな柔道でジュニア時代に存在感を発揮した山﨑に、こちらはこれぞ軽量級という丁寧な組み手をベースとした担ぎ技と小内刈を武器に世界ジュニアを獲り、どころかワールドマスターズ優勝(2013)まで果たした遠藤。かつてのエース候補という共通項を持ち、そして荒々しさと緻密さという対照的なスタイルを持つ2人が、2018年度国内最重量級の覇者を争う。


山﨑左組み、遠藤右組みのケンカ四つ。
組み手争いが続き、なかなか組み合わない両者に「指導」。遠藤の左一本背負投に合わせて山﨑は出足払。逆に山﨑が左内股を出せば、遠藤もすかさず内股、さらに山﨑の小外刈に袖釣込腰を合わせるなど、両者、相手の技に素早く反応する展開が続くが、先に左奥襟を叩いて技を出す山﨑に対し、後手に回った遠藤に2つ目の「指導」が与えられる。経過時間は1分35秒。

山﨑はその後も攻撃の手を緩めず、右の一本背負投、小外刈、さらに背負投と攻め込む。残り34秒、山﨑が小外刈で執拗に攻め込むと、遠藤は大腰で切り返そうとするも肩から縺れて倒れ「技有」。しかし、これは不十分として取り消しとなる。

GS延長戦に入ってすぐ、遠藤が釣り手だけの背負投を出すと、山﨑は前に回り込みながら大腰を仕掛け、遠藤がそれを隅落に切り返し両者縺れて倒れるもポイントはなし。再開後、山﨑が抱き着くように小外掛に入ると、遠藤は力尽きるように腰から崩れ落ちて「技有」。試合時間は4分42秒、前に出て技を出し続けた山﨑がついに優勝を勝ち取った。山﨑は今大会初優勝。

渡名喜、近藤の2人に絞り込まれていた48㎏級の代表決定レースだったが、思わぬ伏兵の登場で二人の対決は実現せず。バクー世界選手権代表には、昨年の世界チャンピオンであり、12月のワールドマスターズ優勝という形で国際大会の実績も積んだ渡名喜が選出された。近藤は世界選手権では3位、グランドスラム東京で渡名喜に勝利して優勝したことで代表レースでは互角と目されていたが、左膝のケガのためにグランドスラム・パリ出場を回避したことが大きく影響した。

一時はトップ戦線から離脱していた山﨑と遠藤だが、今大会の戦いぶりは全盛期を彷彿させるものがあった。国際大会の成績次第では階級の力関係を揺るがす可能性も十分あり。今後の戦いぶりに注目したい。

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48kg級入賞者。優勝の山﨑と2位の遠藤

【入賞者】
優勝:山﨑珠美(自衛隊体育学校)
準優勝:遠藤宏美(ALSOK)

【バクー世界選手権代表】
渡名喜風南(パーク24)

山﨑珠美選手のコメント
「自分の柔道をしようと攻めの柔道に徹しました。ずっと優勝を目指していましたが、負けてばかりで、勝てない時期が続きました。今まで、たくさんの人に支えてもらってようやく優勝できました。まだ一度だけの優勝ですし、強い選手がいっぱいいるので、一戦一戦戦っていくだけです」

近藤亜美選手のコメント
「いつか取られるなとは思っていました。遠藤選手のうまさに封じ込められた感じです。膝のほうは完治しています。2ヶ月間努力してきたつもりですが、それを結果に結びつけられなかったのが残念です。」

【1回戦】
渡名喜風南(パーク24)〇GS技有・内股返(6:08)△坂上綾(三井住友海上)
山﨑珠美(自衛隊体育学校)〇小外掛(2:23)△森﨑由理江(宮崎大教)
近藤亜美(三井住友海上)〇崩袈裟固(3:44)△田中芽生(龍谷大4年)
遠藤宏美(ALSOK)〇反則[指導3](3:01)△和田君華(大成高3年)

【準決勝】
山﨑珠美〇技有・小外刈△渡名喜風南
遠藤宏美〇GS反則[指導3] (9:13)△近藤亜美

【決勝】
山﨑珠美〇GS技有・小外掛(7:48)△遠藤宏美

■ 52㎏級 角田夏実が優勝果たすも、代表は昨年世界女王の志々目愛に。注目の阿部詩は角田の壁を破れず。
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1回戦、阿部詩が古瀬舞から小外掛「一本」

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準決勝、角田夏実が阿部詩に巴投。阿部まさしく真っ逆さまに宙を舞う。

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角田はしっかり阿部の身体をコントロール「技有」

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1回戦の角田。寝技師今井優貴に腕挫十字固「一本」で完勝

【決勝まで】

第1シードはブダペスト世界選手権優勝の志々目愛(了德寺学園職)、第2シードは昨年12月のグランドスラム東京、今年2月のグランドスラム・パリと圧倒的な強さを見せつけて優勝し、志々目を猛追する阿部詩(夙川学院高3年)、そして、第3シードはブダペスト世界選手権2位、昨年の選抜体重別で優勝している角田夏実(了德寺学園職)。世界でもトップレベルの3人が顔を揃えた52㎏級は熾烈な戦いが予想された。

そのなかでも最も注目を集めていたのが阿部。昨年のこの大会(志々目に敗れて3位)以降、別格の強さで連戦連勝。今大会も前評判は昨年の世界選手権で決勝を争った志々目と角田よりも上、優勝候補の筆頭と目されていた。

しかし阿部は初戦の全日本ジュニア王者・古瀬舞(帝京大2年)戦を小外掛「一本」で突破して好スタートを切ったものの、準決勝では、一昨年のグランドスラム東京で敗れている(腕挫十字固「一本」)角田に、巴投で一本負け。この試合では角田が長いリーチを生かして組み手を完全に支配し、阿部に攻撃の機会を与えず。とにかく角田の巧さだけが際立った試合だった。角田は初戦でマッチアップした今井優貴(コマツ、旧姓橋本)にも、巴投「技有」からの腕挫十字固で完勝(0:41)。寝技を武器に世界の強豪を次々倒し、世界選手権の表彰台にまで登った(2013年リオ大会3位)今井をしても角田の十字固から逃れることはできなかった。

一方の志々目は初戦で対戦した前田千島(三井住友海上)に、隅返で「技有」を先行され大苦戦。「指導3」を奪って何とか逆転勝ちしたものの、残り時間はわずか4秒。冷や汗ものの滑り出しであった。しかし準決勝の武田亮子(龍谷大2年)には開始23秒、内股で「技有」を先取。その後も組み勝って小外刈や大内刈で優位に攻め、最後は武田に「指導3」が与えられて試合終了。結果的には順当に決勝進出を決めた。

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序盤は志々目が攻勢、支釣込足から突進

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「指導2」ビハインドの角田が延長戦で絶妙な巴投。

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見事決め切って「技有」。

【決勝】
角田夏実(了德寺学園職)〇GS技有・巴投(4:46)△志々目愛(了德寺学園職)

昨年の決勝、そして昨年の世界選手権決勝と同じ顔合わせとなった一番。昨年のこの大会では志々目がGS延長戦の大外刈「技有」で勝利し、世界選手権でも志々目が「指導2」ビハインドから内股で逆転勝ちを収めている。

角田、志々目ともに左組みの相四つ。
組み際、志々目が小外刈を仕掛けるも角田も志々目の足技は十分心得て流す。手の内を知り合う両者、なかなか組み合わずに34秒「指導」。角田が左小外刈を掛ければ、志々目は左一本背負投。角田が奥襟を取りに来たところに志々目大内刈を合わせ、さらに続けて掛けた小外刈で崩すも角田は尻餅でポイントにはならず。角田の巴投は、志々目はしっかりと止めてそのまま角田を持ち上げて「待て」。ここで角田に2つ目の「指導」(1:36)。

後のなくなった角田、前に出て志々目の奥襟を掴んで組み勝つと小外刈、内股と連続攻撃。志々目も負けじと角田を場外際に追い込みながら小外刈、大内刈と連続攻撃で応戦。さらに左小内から釣り手で右に振りながらの左大外刈と攻めたところで本戦4分が終了、試合はGS延長戦に突入することとなった。

GS開始早々、志々目が角田が奥襟を取りに来たタイミングに合わせて小外刈。角田大きく崩れるもうつ伏せでポイントはなし。志々目はこれに手ごたえを得たかさらに左小外刈を引っ掛けながら前に出るが、ここに角田が絶妙な巴投。まさに必殺の一撃、志々目はこれをかわせず横倒し「技有」(4:46)。これで角田の逆転勝利が決まった。

総体的には志々目ペースの試合だったが、徹底警戒されながら、それでも取り切ってしまう角田の巴投一撃の威力に凱歌。角田の強さ、巧さが集約した試合だった。

角田といえば、巴投と腕挫十字固。そして舞台は、世界で名声を誇るチャンピオンたちが国内のライバルの徹底研究にさらされて潰されるのがある種の「定番」である全日本選抜体重別である。この過酷な場で、今井を腕挫十字固、阿部を巴投、そして志々目を巴投と、まさにその「狙われている」技でライバルたちを屠り去ったのだから、角田の技術がいかに卓越しているものであるかがわかる。相手の研究の上をいくだけの引き出しをしっかり用意して臨んできていると評するほかはない。「昨日までは(巴投が)全然かからなかった」と話した角田だが、本番でしっかりと軌道修正できるのが、今の角田の強さの所以だろう。
昨年は敗れながらも1枠目の代表選出された角田だが、今年は世界選手権後の国際大会で十分な結果が得られていないため、優勝しながらも代表1枠目には選出されず。志々目が代表に選出された。

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52kg級入賞者。優勝の角田と2位の志々目。

【入賞者】
優勝:角田夏実(了德寺学園職)
準優勝:志々目愛(了德寺学園職)

【バクー世界選手権代表】
志々目愛(了德寺学園職)

角田夏実選手のコメント
「昨年の世界選手権以後、何度も負けていたので勝ててうれしい。巴投は、世界選手権のあとかからなくなって封印していて、練習でも昨日までは全然かからなかったんですが、今日は決まってよかった。もう一度、世界選手権の金メダルを取りに行きたい」

阿部詩選手のコメント
「やるべきことはやってきたと思っています。でも最後に自分の甘さが出てしまったかなと。こういう(優勝候補と言われる)立場になって初めてプレッシャーを味わった。自分に達成できるか不安な一ヶ月間だった。そういう気持ちがこの結果に繋がったのだと思います。相手の方が一枚上手でした。」

【1回戦】
志々目愛(了德寺学園職)〇反則[指導3](3:56)△前田千島(三井住友海上)
武田亮子(龍谷大2年)〇GS反則[指導3](7:01)△立川莉奈(福岡大4年)
阿部詩(夙川学院高3年)〇小外掛(1:28)△古瀬舞(帝京大2年)
角田夏実(了德寺学園職)〇腕挫十字固(0:41)△今井優貴(コマツ)
【準決勝】
志々目愛〇反則[指導3](2:09)△武田亮子
角田夏実〇巴投(3:04)△阿部詩

【決勝】
角田夏実〇GS技有・巴投(4:46)△志々目愛

■ 57㎏級 玉置桃が舟久保遥香との同門対決制し初優勝、世界代表は昨年の銀メダリスト芳田司が選出
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57kg級準決勝、代表選出確実と目された芳田司が舟久保遥香に「指導3」の反則で敗れる。

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準決勝、玉置桃が宇高菜絵から巴投「技有」

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1回戦、舟久保が柳楽祐里から横四方固「一本」

【決勝まで】

ブダペスト世界選手権2位、第1シードの芳田司(コマツ)は、初戦こそ富沢佳奈(東海大1年)を「指導3」の反則(3:27)で破るも、続く準決勝の舟久保遥香(三井住友海上)との対戦では逆に「指導」を先に2つ取られる厳しい展開。GS延長戦に入って「指導」を1つ取り返したものの、舟久保に組み負け、小外掛、内股などで攻められて3つ目の「指導」を取られて反則負け(7:46)となった。

第2シードの宇髙菜絵(コマツ)も、初戦の渡部優花(ALSOK)には「指導」を先行されながら送襟絞で逆転勝ち(1:30)したが、続く準決勝の玉置桃(三井住友海上)には、逆に「指導」を先行しながら左袖釣込腰で「技有」を奪われ、さらに終了間際にも巴投で「技有」を奪われ合技で一本負け。第1、第2シードが揃って決勝を前に姿を消すこととなった。

決勝に勝ち上がったのは舟久保と玉置。

舟久保は初戦で柳楽祐里(JR東日本)とマッチアップ。柳楽は国際大会で俗に「舟久保固め」と呼ばれる抑込技術を駆使して勝利を重ねており、一部ファンの間では?元祖“との戦いということで注目を集めた一番。この試合は元祖の意地を見せつける形で、舟久保が横四方固(3:19)で柳楽に勝利した。玉置は1回戦で髙沢眞冴(JR東日本)を肩車「技有」で破った。

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決勝は足技の応酬。舟久保が玉置を大きく崩す。

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玉置も担ぎ技で攻め返し、試合は延長戦へ。

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玉置が舟久保の足車に食いつき、斜め後方に返して「技有」

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激戦に終止符、勝ち残ったのは玉置。

【決勝】
玉置桃(三井住友海上)〇GS技有・隅落(9:43)△舟久保遥香(三井住友海上)

玉置、舟久保の同門対決は両者右組みの相四つ。ともに手の内を知り尽くしており、なかなか思い切った技を出せない。それでも後輩の舟久保が果敢に大外刈を仕掛ければ、玉置は支釣込足で応じて崩れた舟久保の横につくが「待て」。その後もともに足技を仕掛けて様子をうかがう展開が続く。舟久保が奥を取ると玉置がこれを嫌がり、首を抜いて逃れたため1分37秒「指導」。その後は両者が足技の応酬で鍔迫り合い、これぞという山場ないまま本戦4分が終了。GS延長戦に入って技の出ない玉置に2つ目の「指導」が与えられるが、玉置が左一本背負投、支釣込足、さらに大外刈と連続攻撃を見せると、逆に舟久保に「指導」。そして両者に疲れが見え始めたGS5分43秒、遠い間合いから舟久保が足車を仕掛けると、玉置はここぞとばかり後ろに密着し左に回りながら足を掛け、谷落のような形で舟久保を崩して「技有」(9:43)。これで総試合時間10分に及ばんとする激戦に終止符が打たれた。

第1シードの芳田、第2シードの宇髙がともに準決勝で敗れる波乱となったこの階級。世界選手権の代表には昨年のブダペスト大会で抜群のパフォーマンスを見せ、銀メダルに輝いた芳田が選ばれることとなった。芳田の国際大会の好成績、欧州に派遣されて形上代表を争う形となっていた宇高と山本杏が結果を残せなかった周囲の状況を考えれば
からもこれは妥当なところ。選抜体重別開始前に事実上決定していたはずで、それでも自身を徹底研究してくるライバルたちと「勝利の果実少なき大一番」を戦わねばならない芳田は少々気の毒であった。

とはいえ組み力の強い舟久保に対して、ペースを掴めないまま「指導」3つを取られて敗れたその内容には本人も不満が残るだろう。国内で勝ち切れないとの評を払拭することも出来ずなかった。

今夏からは松本薫も戦線復帰し国内に強者多きこの階級。国際大会に強い芳田にとっては「代表権」は実は何よりのアドバンテージのはず。ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)、ラファエラ・シウバ(ブラジル)らライバルは既に射程内。バクー世界選手権では昨年のリベンジを果たし、金メダル獲得に期待したい。

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57kg級入賞者。優勝の玉置と2位の舟久保。

【入賞者】
優勝:玉置桃(三井住友海上)
準優勝:舟久保遥香(三井住友海上)

【バクー世界選手権代表】
芳田司(コマツ)

玉置桃選手のコメント
「相手の舟久保が会社の後輩だったので、何が何でも勝ちたかったです。世界選手権に選ばれたら、優勝目指して頑張りたいと思います」

芳田司選手のコメント
「舟久保選手には一回負けていて、今回で新しい自分が出せたらいいなと思っていた。私の階級は同じくらいのレベルのところで戦っている。甘くない。ゴールデンスコアで勝ち切れるかどうか、そういう部分で一段上の勝負が出来るかどうかが課題だと思います」

【1回戦】
芳田司(コマツ)〇反則勝(3:27)△富沢佳奈(東海大1年)
舟久保遥香(三井住友海上)〇横四方固(3:19)△柳楽祐里(JR東日本)
宇髙菜絵(コマツ)〇送襟絞(1:30)△渡部優花(ALSOK)
玉置桃(三井住友海上)〇GS技有・肩車(4:39)△高澤眞冴(JR東日本)

【準決勝】
舟久保遥香〇GS反則[指導3](7:46)△芳田司
玉置桃〇合技(袖釣込腰・巴投)(3:55)△宇髙菜絵

【決勝】
玉置桃〇GS技有・隅落(9:43)△舟久保遥香

※ eJudoメルマガ版5月11日掲載記事より転載・編集しています。

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