PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

平成30年度全日本カデ柔道体重別選手権大会・男子7階級レポート

(2018年4月21日)

※ eJudoメルマガ版4月21日掲載記事より転載・編集しています。
平成30年度全日本カデ柔道体重別選手権大会・男子7階級レポート
取材:林さとる/古田英毅
撮影:坂口美貴

■ 55kg級・福田大晟が順当に優勝、中学生後藤颯太が健闘2位
eJudo Photo
55kg級準決勝、福田大晟が笠川竜生からGS延長戦で左小内刈「技有」。

(エントリー8名)

【決勝まで】

決勝へと勝ち上がったのは、3月の高校選手権で60kg級3位を獲得している優勝候補・福田大晟(比叡山高2年)と、昨年の全国中学校柔道大会50kg級王者の後藤颯太(鎌ヶ谷第二中3年)。福田は初戦で大藪太郎(大成高1年)に早々に「指導3」を奪っての反則(2:27)で勝利すると、準決勝では笠川竜生(奈良高3年)をGS延長戦開始直後の小内刈「技有」で撃破。順当に決勝へと駒を進める。

一方の後藤は初戦で南遥稀(大垣日大高1年)に隅落「一本」(3:28)、準決勝で伊藤大輔(東海大山形高1年)に払腰「一本」(1:51)と、一本勝ちを2つ並べて決勝の畳へと辿り着いた。

eJudo Photo
55kg級決勝、福田大晟が後藤颯太から小外掛「技有」

eJudo Photo
そのまま縦四方固で抑え込んで合技「一本」を獲得する

【決勝】

福田大晟〇合技[小外刈・縦四方固](4:05)△後藤颯太
福田が左、後藤が右組みのケンカ四つ。釣り手だけを持っての引き手争いから、福田が相手を寄せての小内刈、釣り手だけの体落と技を積む。53秒、後藤に片手の「指導1」。これ以降も福田の攻勢は続き、奥襟を持って、あるいは片手の状態から小内刈と体落で攻め続ける。さらに一方的な組み手から体落を仕掛けた2分14秒、消極的の咎で後藤に「指導2」が加えられる。このまま福田のペースで試合が終わるかと思われたが、ここから後藤が奮起、奥襟を叩くことで流れを取り戻す。展開が拮抗したまま迎えた残り25秒、後藤が背中を持って片手の釣込腰。福田はこれを体を開いて凌ぐと、相手の背中側に食らいついて左小外掛、後藤体を「く」の字に屈して耐えるが強引に押し込んで決定的な「技有」を奪取。続いて絡まれた足を抜いて縦四方固で抑え込み、4分4秒に合技「一本」を獲得す。福田が前評判通りの強さで優勝を飾った。

入賞者および、優勝した福田大晟選手のコメント、全試合の結果は下記。

eJudo Photo
55kg級優勝の福田大晟

【入賞者】
優 勝:福田大晟(比叡山高2年)
準優勝:後藤颯太(鎌ヶ谷第二中3年)

福田大晟選手のコメント
「受けに回らず、最後まで先々に技を掛けていけました。これが比叡山高の柔道です。立技から寝技への移行を早くするように、普段から心掛けています。得意技は背負投。寝技にも自信があります。今日は周りから優勝候補だと思われていてプレッシャーがありましたが、その重圧に打ち勝つことができて嬉しいです。インターハイでは60kg級で日本一を目指します。」

【準々決勝】
笠川竜生(奈良高3年)○優勢[技有・隅返]△吉田泰生(南筑高1年)
福田大晟(比叡山高2年)○反則[指導3](2:27)△大藪太郎(大成高1年)
後藤颯太(鎌ヶ谷第二中3年)○隅落(3:28)△南遥稀(大垣日大高1年)
伊藤大輔(東海大山形高1年)○GS技有・大内刈(GS1:33)△小倉元輝(柳ヶ浦高1年)

【準決勝】
福田大晟○GS技有・小内刈(GS0:12)△笠川竜生
後藤颯太○払腰(1:51)△伊藤大輔

【決勝】
福田大晟〇合技[小外刈・縦四方固](4:05)△後藤颯太

■ 60kg級・近藤隼斗がオール一本勝ちで連覇、一段違う強さ見せつける
eJudo Photo
60kg級準々決勝、近藤隼斗が池﨑晴登から左体落「技有」

(エントリー8名)

【決勝まで】

第1シードで昨年の本大会王者、3月の高校選手権でも優勝を飾っている近藤隼斗(佐賀工高2年)と、昨年の本大会55kg級2位の田中祥(長崎南山高2年)が決勝に進出。近藤は初戦で池﨑晴登(長崎日大高2年)に予想外の苦戦を強いられるが、2分50秒に体落「技有」を得ると、残り20秒には内股透「技有」を追加して一本勝ち(3:40)。続く準決勝では大垣麟太郎(国士舘高2年)を豪快な大外刈「一本」(2:39)で畳に沈め、調子を上げて決勝へと勝ち上がる。

対する田中は、初戦で工藤大和(木造高2年)を内股透「一本」(2:52)で下すと、準決勝では昨年の全国中学校大会王者・辻岡慶次(大成高1年)に小外刈「技有」で勝利。階級を一つ上げて2年連続の決勝進出を果たす。

eJudo Photo
60kg級決勝、近藤隼斗が田中祥から左体落で2つ目の「技有」

【決勝】

近藤隼斗〇合技[内股透・体落](0:36)△田中祥
近藤が左、田中が右組みのケンカ四つ。田中は組むなり先制の右内股、近藤はこれをハンドル操作を効かせて股中で透かし、開志僅か13秒で内股透「技有」を得る。
続く展開、田中が釣り手で背中を叩くと、近藤は引き手で袖を握り込んで一方的な組み手を完成、間を置かずに低く潜り込むような左体落。36秒に放ったこの強烈な一撃が「技有」となり、合技「一本」で試合決着。近藤が相手に何もさせないまま、圧倒的な強さで大会2連覇を決めた。

入賞者および、優勝した近藤隼斗選手のコメント、全試合の結果は下記。

eJudo Photo
60kg級優勝の近藤隼斗

【入賞者】
優 勝:近藤隼斗(佐賀工高2年)
準優勝:田中祥(長崎南山高2年)

近藤隼斗選手のコメント
「去年この大会で優勝できて、そこから成長できた。九州だけでなく色々なところに出稽古して、色々なタイプと練習していることが身になっています。得意技は腰技です。持ち上げてから捻ることを心掛けています。体落、背負投も得意です。怪我をしないように気を引き締めて頑張っていきたいです。阿部一二三選手のような豪快に投げる柔道に憧れます。」

【準々決勝】
近藤隼斗(佐賀工高2年)○合技[体落・内股透](3:40)△池﨑晴登(長崎日大高2年)
大垣麟太郎(国士舘高2年)○GS袈裟固(GS0:17)△中島瑞貴(西日本短大附属高1年)
辻岡慶次(大成高1年)○GS浮腰(GS2:46)△光岡岳人(大牟田高1年)
田中祥(長崎南山高2年)○内股透(2:52)△工藤大和(木造高2年)

【準決勝】
近藤隼斗○大外刈(2:39)△大垣麟太郎
田中祥○優勢[技有・小外刈]△辻岡慶次

【決勝】
近藤隼斗〇合技[内股透・体落](0:36)△田中祥

■ 66kg級・田中龍馬がタイトル獲得、巧みな組み手に投げの威力盛って内容充実
eJudo Photo
66kg級決勝、田中龍馬が高田顕矢を豪快な右背負投「一本」に仕留める

(エントリー8名)

【決勝まで】

田中龍馬(佐賀商高2年)と高田顕矢(足立学園高1年)が決勝に進出。一昨年全国中学校大会55kg級を制している田中は初戦で秋山将大(長崎日大高1年)に袖釣込腰「一本」で勝利すると、準決勝では岡田悠之介(埼玉栄高2年)と壮絶な投げ合い。背負投「技有」をリードで迎えた残り3秒に背中に食らいつかれての小外掛で「技有」を追いつかれるも、GS延長戦で豪快な一本背負投「一本」(GS1:23)を決めて決勝進出を果たす。

一方混戦となった下側のブロックを勝ち上がった高田顕矢(足立学園高1年)は、初戦で浅野元輝(開志国際高1年)を内股「一本」(2:47)で破ると、準決勝では林大智(大成高3年)に一本背負投「技有」で勝利。決勝へと駒を進めた。

【決勝】

田中龍馬〇背負投(1:44)△高田顕矢
右相四つ。バチバチの激しい組み手争いから試合がスタート。組み手巧みな田中は先んじて引き手で袖を織り込んで持つと、37秒に右小内刈で相手を転がし伏せさせ流れるような動きで腕挫十字固を狙う。ここは高田が凌ぎ切って「待て」。高田も引き手で袖を絞り込んでの右大外刈を仕掛けるが、田中は突き放して動ぜず。ここから再び激しい組み手争いが続き、1分30秒、一手目の引き手確保にこだわって膠着した両者に取り組まない咎による「指導1」。直後、田中は引き手の絞り合いから抜け出して片襟で相手を煽り、そのまま右背負投に飛び込む。打点高く、一瞬で相手の体を腰に引っ掛ける大技。高田は足をばたつかせて逃れようとするが、田中は体を投げ出して相手の上を転がるように投げ切り「一本」獲得。近藤に続いて佐賀県勢が2階級を制することとなった。

入賞者および、優勝した田中龍馬選手のコメント、全試合の結果は下記。

eJudo Photo
66kg級優勝の田中龍馬

【入賞者】
優 勝:田中龍馬(佐賀商高2年)
準優勝:高田顕矢(足立学園高1年)

田中龍馬選手のコメント
「目の前で近藤君が優勝していたので、自分も負けられないなと思って畳に上がりました。インターハイでも同学年の彼と一緒に勝ちたいです。組み手を徹底して、競った試合に負けないようにしています。組み際が得意で、崩れたり、変則的な形からでも自身を持って攻められることが武器です。」

【準々決勝】
岡田悠之介(埼玉栄高2年)○横四方固(3:45)△吉岡正晃(鎮西高2年)
田中龍馬(佐賀商高2年)○袖釣込腰(3:09)△秋山将大(長崎日大高1年)
林大智(大成高3年)○反則[指導3](3:47)△朝田隼(東海大仰星高1年)
高田顕矢(足立学園高1年)○内股(2:47)△浅野元輝(開志国際高1年)

【準決勝】
田中龍馬○GS一本背負投(GS1:23)△岡田悠之介
林大智○優勢[技有・一本背負投]△林大智

【決勝】
田中龍馬〇背負投(1:44)△高田顕矢

■ 73kg級・中矢琉斗が優勝、体幹の強さベースに一瞬のチャンス逃さず
eJudo Photo
73kg級準決勝、中矢琉斗が北野隼佑から大外刈「技有」、谷落を狙う相手に乗り上げて投げ切る

(エントリー8名)

【決勝まで】

決勝に進んだのは小田桐美生(国士舘高1年) と中矢琉斗(新田高1年)。

小田桐は初戦で第1シード配置の2016年全国中学校柔道大会王者・吉野天成(延岡学園高2年)と対戦、この強敵をGS延長戦での大内刈「技有」(GS1:07)で破ると、続く準決勝では宮本和志(九州学院高2年)に肩車と小内刈による合技「一本」(2:39)で快勝。見事決勝へと駒を進める。

一方の中矢も初戦で第2シードに配された昨年の全国中学校大会王者・津嘉山稔(国士舘高1年)を大外刈「技有」で撃破。準決勝では昨年同大会決勝で津嘉山と戦った北野隼佑(沖学園高1年)に大外刈「技有」で勝利して決勝進出を果たす。

eJudo Photo
73kg級決勝、中矢琉斗が小田桐美生の左内股を捲り返して「技有」

【決勝】

中矢琉斗〇優勢[技有・内股返]△小田桐美生
中矢が右、小田桐が左のケンカ四つ。序盤は小田桐が攻勢、あっさり両手を得ると、左内股、次いで左大内刈と技を繋げる。続くシークエンスでは左大内刈から左内股に連絡、ローリングからの抑え込みを狙うが、ここは中矢が足を絡んで耐えて「待て」。小田切1分を過ぎた頃からは肘抜きの左背負投を連発してさらに攻勢を強める。同様の形から反対に抜き落としてあわやポイントという場面も作るが、相手の背中を着け切れずにノーポイント。以降も小田桐が一方的に攻める形で試合が進むが、中矢ことごとく際で耐え切り、あと一歩でポイントには至らず。終盤には奮起した中矢が右大内刈を打ちながら前に出、展開が少しずつ拮抗し始める。3分過ぎには中矢の組みつきながらの右小外刈に小田切が浮き上がり、続いて中矢が右内股から右小内刈に繋いで投げに出ると小田切が左内股で切り返す五分の攻防。

深く入れば投げ切れると踏んだ小田切は終盤再度猛攻。残り30秒を過ぎてから左大腰に左小内刈と繋ぐがしかし中矢またもや踏みとどまり、続いて小田切が繰り出した左大腰から左小外刈と繋いだ良い攻めにも揺るがず。もはや受け切ることでかえって展開を掴みつつある感あり。

そして残り時間が10秒を切ったところで、中矢の奥襟に反応した小田桐が脇を差して左内股。体を捨てて強引に投げ切ろうとするが、中矢はこれを抱き止め、ハンドル操作を効かせて乗り上げるようにして捲り投げる。小田切は空転、自らの回転を利用される形になって背中から落下「技有」。この時点で残り時間は1秒しかなく、そのまま試合が終了。劇的な形で中矢が優勝を飾った。小田桐は試合の大半を支配し続けたが、最後の最後でミスを犯してしまい、悔しい敗戦となった。

本年度大会はセンスある選手が揃い、特に決勝は投げによる華やかな決着が続いたが、その中にあって体の強さをベースに勝ち切った中矢の戦いぶりは異色。決勝は入っても入っても投げられない展開に相手が焦り、結果強引な技で自滅することになった「体幹の強さで勝った」とでも評すべき内容。新1年生ながらいかにも新田高の選手らしいしぶとい戦いぶりだった。

入賞者および、優勝した中矢琉斗選手のコメント、全試合の結果は下記。

eJudo Photo
73kg級優勝の中矢琉斗

【入賞者】
優 勝:中矢琉斗(新田高1年)
準優勝:小田桐美生(国士舘高1年)

中矢琉斗選手のコメント
「勝って歓声が上がったときは、本当に勝ったのか信じられませんでした。とにかく必死でした。組み手をしっかりやってきたつもりだったのですが、レベルが高すぎて通用しなかった。なので、とにかくガツガツ前に出ることを意識しました。大野将平選手のような、技の切れる柔道に憧れます。得意技は大内刈です。少しでも掛かれば決め切るように心掛けています。」

【準々決勝】
小田桐美生(国士舘高1年)○GS技有・大内刈(5:07)△吉野天成(延岡学園高2年)
宮本和志(九州学院高2年)○小外掛(2:34)△伊藤好誠(名張高1年)
中矢琉斗(新田高1年)○優勢[技有・大外刈]△津嘉山稔(国士舘高1年)
北野隼佑(沖学園高1年)○背負投(2:55)△宇津山英弥(浜松城北工高1年)

【準決勝】
小田桐美生○合技[肩車・小内刈](2:39)△宮本和志
中矢琉斗○優勢[技有・大外刈]△北野隼佑

【決勝】
中矢琉斗〇優勢[技有・内股返]△小田桐美生

■ 81kg級・菅原幸大が全試合一本勝ちで優勝、決勝は大竹龍之助との攻撃型対決を制す
eJudo Photo
81kg級準決勝、菅原幸大が菅野浩輝から引込返「技有」

eJudo Photo
81kg級準決勝、大竹龍之助が鎌田直人に右大外刈で一本勝ち

(エントリー8名)

【決勝まで】

菅原幸大(柴田高2年)と大竹龍之助(大成高2年)、ともに攻撃的なスタイルを特徴とする優勝候補2名が順当に決勝に進出。

菅原は初戦で松永蓮太郎(慶應義塾高1年)を内股「一本」(1:00)で下すと、準決勝では組み手を駆使して粘りに粘る菅野浩輝(四日市中央工高3年)を引込返「技有」からの横四方固で抑え込み、合技「一本」(2:28)で撃破。2戦ともに姿勢極めて良く、投げ一発を晒して相手を圧倒する素場らしい内容での決勝進出。

対する大竹は1回戦で昨年の全国中学校柔道大会王者・阿河陸人(崇徳高1年)と対戦、「指導1」を取り合って迎えたGS延長戦で内股「一本」(GS1:44)を得て勝ち上がる。続く準決勝も接戦となり、昨年全国中学大会決勝で阿河と激戦を繰り広げた鎌田直人(高知高1年)に払腰を返されて28秒に「技有」失陥、それでも1分8秒に強烈な大外刈「一本」(1:08)を決めて逆転勝ちで決勝へと辿り着く。

eJudo Photo
81kg級決勝、菅原幸大が大竹龍之助から右小外掛「一本」

【決勝】

菅原幸大〇小外掛(1:14)△大竹龍之助

右相四つ。菅原が奥襟と引き手を得ると大竹もこれに応じ、開始早々ともに投げを狙ったがっぷり四つの組み合いが出来上がる。
菅原はここから右大内刈、大竹は大きく崩れるものけぞりながら耐える。30秒過ぎに再び組み合うと横変形に位置をずらした大竹右大外刈を引っ掛けんと試みるが、菅原は立ったまま受け切り、背筋を伸ばして間合いを作ると右大内刈から思い切った右内股に繋ぐ。十分ポイントが想起されるタイミングだったが、大竹腰を切って受け切り右大内刈で反撃、菅原が立ったまま耐えて「待て」。菅原が一発を狙い、大竹がこれに怖じず技を打ち返すという展開、経過時間は41秒。

再開直後、菅原は引き手で袖、釣り手で奥襟を得ると、大竹がこれを絞り落とした瞬間、持たせたまま両袖の右内股に飛び込む。回しこみの効いた一撃に大竹激しく飛んで主審は「一本」を宣告。息詰まる投げ合いこれで決着かと思われたが、ビデオによる確認の結果これは「技有」に訂正、試合は継続されることとなる。

これで後がなくなった大竹の激しい抵抗が予想され、以後の展開は予断を許さず。しかし試合が再開されると菅原はすかさず引き手で袖、釣り手で奥襟を持つ完璧な組み手を作り出し、さらに間を置かず内股フェイントからの右小外掛。相手に乗り上げるように浴びせ倒して、今度は文句なしの「一本」。

菅原は一昨年の全国中学校大会73kg級の準優勝者。この時は不運な判定で形上敗れたが、線の細さにも関わらず次々内股を決める投げのセンスと正統派の柔道で関係者の評価極めて高かった選手だ。背筋を伸ばした姿勢の良さと内股の切れ味は飯田健太郎(現国士舘大)を彷彿とさせるものがあったが、「内股を警戒されてなかなか投げられない」1年間の辛苦を経て得た方法論はまず内股のバリエーションを増やすことと出足払に小外掛、そして王道の組み手に繋ぐための手順の獲得。成長プロセスも同選手の高校時代に相似だ。大器がようやくその資質にふさわしいタイトルを得た、そして地方校でもしっかり成長出来ていることが確認出来た貴重な1日であったと言える。

入賞者および、優勝した菅原幸大選手のコメント、全試合の結果は下記。

eJudo Photo
81kg級優勝の菅原幸大

【入賞者】
優 勝:菅原幸大(柴田高2年)
準優勝:大竹龍之助(大成高2年)

菅原幸大選手のコメント
「最初に『一本』を取り消されましたが、動揺せずに、また投げればいいんだと気を引き締め直しました。得意技は内股、寝技は練習中です。全日本カデは3回目で、そろそろをイトルを獲れればと思っていました。少し自信になります。今年のインターハイと、来年の高校選手権でも結果を出したいです。」

【準々決勝】
菅野浩輝(四日市中央工高3年)○巴投(3:34)△井上太陽(新田高2年)
菅原幸大(柴田高2年)○内股(1:00)△松永蓮太郎(慶應義塾高1年)
大竹龍之助(大成高2年)○GS内股(GS1:44)△阿河陸人(崇徳高1年)
鎌田直人(高知高1年)○縦四方固(3:35)△五十嵐勁太(羽黒高2年)

【準決勝】
菅原幸大○合技[引込返・横四方固](2:28)△菅野浩輝
大竹龍之助○大外刈(1:08)△鎌田直人

【決勝】
菅原幸大〇小外掛(1:14)△大竹龍之助

■ 90kg級・森健心が圧勝、決勝は掴んだ引き手最後まで離さず
eJudo Photo
90kg級準決勝、森健心が三浦啓瑚を所謂「シバロック」の形で抑え込む

eJudo Photo
90kg級準決勝、戸高淳之介が近藤那生樹の左大内刈を返して「技有」

(エントリー8名)

【決勝まで】

有力選手多数の激戦階級。その中を第1シードで昨年の世界カデ2位の森健心(大牟田高2年)と、初戦でアップセットを演じて勝ち上がった戸高淳之介(延岡学園高1年)が決勝に勝ち上がった。

森は初戦で工藤海人(東海大相模高1年)を背負投「技有」で破ると、準決勝では初戦で津幡高のエース寺島悠太(津幡高2年)を破った三浦啓瑚(大成高2年)と対戦、勢いに乗る相手を大外刈と縦四方固の合技「一本」(2:53)で下して決勝へと駒を進める。

一方の戸高は接戦の連続を制しての決勝進出、初戦で優勝候補の一角と目された平山才稀(日体大荏原高2年)に1分30秒までに「指導2」をリードされるが、残り28秒に小外刈「技有」を奪い逆転勝利。続く準決勝の近藤那生樹(東海大相模高1年)戦も「指導2」を取り合ってGS延長戦へともつれ込んだ末に、大内刈「技有」を得て決勝へと辿り着く。

eJudo Photo
90kg級決勝、森は一度掴んだ引き手を放さず

eJudo Photo
最後は右袖釣込腰で「一本」を奪う

eJudo Photo
90kg級優勝の森健心

eJudo Photo
90kg級準々決勝、三浦啓瑚が寺島悠太を左払腰「一本」で破る

【決勝】

森健心〇袖釣込腰(0:44)△戸高淳之介
左相四つ。森は試合が始まるとすぐに引き手で袖を確保、以降試合が終わる44秒までこの手を一度も放さず。森はまず片襟を得て引き出しの左小内刈、次いで左内股、左大外刈、両袖の右袖釣込腰と技を繋げる。その間戸高は何度も、あらゆる手立てでこの引き手を切ろうと試みるが、しっかりと握り込んだ森はあくまで離さず。40秒、森が奥襟を得ると、これを嫌った戸高が切りに掛かる。森はこれに反応して右に腰を切って一気の右袖釣込腰、相手の上を転がりながら投げ切って「一本」。素晴らしい内容で優勝を飾った。

戸高は森の引き手を切れず、釣り手を制され続けることで精神的に追い込まれていた感あり、既に気持ちの糸が切れていたかのような投げられ方。森の強さが際立った一番だった。

入賞者および、優勝した森健心選手のコメント、全試合の結果は下記。

【入賞者】
優 勝:森健心(大牟田高2年)
準優勝:戸高淳之介(延岡学園高1年)

森健心選手のコメント
「相手に組ませなかったことが勝因です。両袖の技を上手く使えました。以前スタミナが切れて負けたことがあって、それを反省点として練習してきました。今日は一度も息が上がっていません。足技には自信があります。大会に出るチャンスがあればすべて、しっかり優勝したい。インターハイを目指して明日からしっかりやっていきます。」

【準々決勝】
森健心(大牟田高2年)○優勢[技有・背負投]△工藤海人(東海大相模高1年)
三浦啓瑚(大成高2年)○払腰(3:58)△寺島悠太(津幡高2年)
戸高淳之介(延岡学園高1年)○優勢[技有・小外刈]△平山才稀(日体大荏原高2年)
近藤那生樹(東海大相模高1年)○不戦△佐々木健翔(大成高1年)

【準決勝】
森健心○合技[大外刈・縦四方固](2:53)△三浦啓瑚
戸高淳之介○GS技有・大内刈(GS1:14)△近藤那生樹

【決勝】
森健心〇袖釣込腰(0:44)△戸高淳之介

■ 90kg超級・福永夏生が開眼、『一本』連発で頂点に立つ
eJudo Photo
90kg超級準決勝、福永夏生が中野智博から右内股「一本」

eJudo Photo
90kg超級準決勝、相馬勇紀が井上直弥を切れ味鋭い小外刈「一本」に仕留める

(エントリー12名)

【決勝まで】

強者揃いの最激戦区。その中を2016年全国中学校柔道大会準優勝者である福永夏生(崇徳高2年)と、ノーシードから勝ち上がった伏兵の相馬勇紀(青森北高3年)が決勝に勝ち上がった。

福永はベスト8からの登場、海堀陽弥(日体大荏原高1年)を僅か1分30秒余りの間に内股で2度投げつける合技「一本」(1:32)で快調に滑り出す。準決勝の相手は前戦で道下新大(国士舘高2年)を内股「一本」(GS3:03)で破った昨年の全国中学校大会王者・中野智博(桐蔭学園高1年)。担ぎ技を主体とし、かつ不思議な受けの強さで相手の技の威力を吸収してしまう難敵だが、福永はほとんど何もさせないまま内股で「技有」、さらに「一本」(1:09)と連取して一蹴。抜群の内容で決勝へと駒を進める。

一方の相馬は、1回戦で九州新人大会王者・野田隆世(福岡大大濠高3年)との高3対決をGS延長戦での大内刈「技有」(GS1:41)で制して初戦を突破。準々決勝では昨年全国中学校大会2位の本格派・菅原光輝(東海大相模高1年)を一方的に攻め続けて大外刈「技有」で下す。続く準決勝では高校選手権団体戦で大活躍したばかりの天理のポイントゲッター井上直弥(天理高2年)を切れ味鋭い小外刈「一本」(1:39)で破るアップセットを演じ、堂々決勝進出を果たした。

eJudo Photo
90kg超級決勝、福永夏生が豪快な右払腰で相馬勇紀を「一本」秒殺

【決勝】

福永夏生〇払腰(0:06)△相馬勇紀
右相四つ。試合開始と同時に福永は一気に前に出て引き手と奥襟を確保、一連の流れのまま足を掛け、右払腰で豪快に跳ね上げる。相馬は為す術なく吹き飛び、背中から激しく畳に落下。主審は迷うことなく「一本」を宣告する。ここまでの試合時間僅か6秒、衝撃的な秒殺で福永が優勝を飾った。

福永は2016年の全国中学校柔道大会決勝で斉藤立(国士舘高2年)と優勝を争い、決勝でGS延長戦「指導3」対「指導2」の大激戦を演じた大物。高校入学後はやや停滞の感ありだったが、崇徳高の育成どうやら閾値に達したか、1年の雌伏を経て久々本領発揮。ついにブレイクを果たした大会であった。

入賞者および、優勝した福永夏生選手のコメント、全試合の結果は下記。

eJudo Photo
90kg超級優勝の福永夏生

【入賞者】
優 勝:福永夏生(崇徳高2年)
準優勝:相馬勇紀(青森北高3年)

福永夏生選手のコメント
「内股の入り方を研究して臨み、その成果が出ました。自己採点では90点。マイナス10点は組み手の部分です。柔道は兄の影響で4歳から、山口の中家塾で始めました。いまは体力アップが課題、しっかり走り込みをしています。インターハイでは団体と個人の両方で優勝することが目標です。高校選手権での斉藤君の活躍が刺激になりました。もっと強くなって、日本を代表する選手になりたいです。」

【1回戦】
道下新大(国士舘高2年)○優勢[技有・内股返]△橋口佳尚(明桜館高2年)
海堀陽弥(日体大荏原高1年)○GS技有・体落(GS1:03)△中村心(大成高1年)
相馬勇紀(青森北高3年)○GS技有・大内刈(GS1:41)△野田隆世(福岡大大濠高3年)
井上直弥(天理高2年)○優勢[技有・大外刈]△岡田陸(国士舘高1年)

【準々決勝】
中野智博(桐蔭学園高1年)○GS内股(GS7:03)△道下新大(国士舘高2年)
福永夏生(崇徳高2年)○合技[内股・内股](1:32)△海堀陽弥(日体大荏原高1年)
相馬勇紀(青森北高3年)○優勢[技有・大外刈]△菅原光輝(東海大相模高1年)
井上直弥(天理高2年)○GS大内刈(GS2:23)△山野井爽(埼玉栄高2年)

【準決勝】
福永夏生○内股(1:09)△中野智博
相馬勇紀○小外刈(1:39)△井上直弥

【決勝】
福永夏生〇払腰(0:06)△相馬勇紀

※ eJudoメルマガ版4月21日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.