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注目は「2枠目」の行方、世界選手権代表争いを占う・平成30年全日本選抜体重別選手権大会男子7階級ひとこと展望

(2018年4月6日)

※ eJudoメルマガ版4月5日掲載記事より転載・編集しています。
注目は「2枠目」の行方、世界選手権代表争いを占う
平成30年全日本選抜体重別選手権大会男子7階級ひとこと展望
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昨年度大会の開会式

バクー世界柔道選手権の日本代表選手最終選考会(※最重量級以外)を兼ねる年1回の体重別日本一決定戦、平成30年全日本選抜柔道体重別選手権大会(4月7日~8日、福岡国際センター)の開幕がいよいよあす7日に迫った。

言うまでもなくこの大会は体重別の国内最高権威大会、出場すること自体が至難の業であるこのジャンルの峰であるが、この大会は長いスパンで世界選手権あるいはオリンピックの最終選考会としての性格が強まり続けており、ついに今年は制度変更によって既に代表に内定している60kg級の髙藤直寿(パーク24)と66kg級の阿部一二三(日本体育大)が出場せず。ひとつの節目を迎えることとなった。

本稿もこの「世界選手権代表選考が最大の注目ポイント」という大きな文脈に沿いつつ、簡単に各階級のみどころを紹介していきたい。

世界選手権代表は、男女それぞれ7階級9名。このうち1階級に同時出場する選手は2人が最大であり、現行制度においてはこの「2枠目」の選考が非常な注目ポイント。これがかなりのみどころとなる。「2枠目」を目指す選手、また既に2枠目を目指すしかない選手のライバルは眼前ではなく他階級にあり、ゆえに単に勝つだけでは選ばれない可能性が高く、これが選手のモチベーションと試合展開の加速装置として非常に大きい。

もう1つ、今年は4年に1度のアジア競技大会開催年であることも忘れてはならない。現行の選考システムから考えれば、2020年東京五輪の代表選考対象者は今年の世界選手権に出る(2枠目、団体戦も含む)選手と、アジア大会代表に選ばれた選手までで事実上「足切り」。この選抜体重別は五輪を目指す選手にとって絶対に負けてはならない、五輪ロードマップ上の本年度最重要大会なのだ。

この選抜体重別は「最終選考会でありながら、選ばれる権利のない選手も参加している」ことが観戦上の大きなポイント。(五輪に向けた制度矛盾の最たるものであるが)。誰が「権利者」であるかもここで1度確認しておきたい。

※最重量級と100kg級の代表とアジア大会代表の代表発表は4月29日の全日本柔道選手権(女子は4月22日の皇后盃全日本女子柔道選手権)終了後。2枠目代表もここに合わせて発表される可能性が高い。

■ 男子
2枠目選考のオーバービューとして。現時点で2枠派遣の可能性が高いのはまず第一に73kg級。次いで60kg級、さらに100kg超級と90kg級かと考える。

73kg級には大野将平と橋本壮市と2人の世界王者がおり、かつ立川新が橋本を破ってグランドスラム東京で優勝を飾るなど躍進中。60kg級は昨年世界選手権で結果を残せなかった永山竜樹がワールドマスターズとグランプリ・デュッセルドルフに優勝、かつ2枠目の羅バルたちを大きく凌ぐ「国内ランキングポイント」を得ており、選考に一定の「理」がある状態。100kg超級は復調の原沢久喜をはじめ、国際大会で実績を残した「権利者」が4人、ベイカー茉秋の復帰なった90kg級は3人ひしめいており、選抜のシナリオ次第では十分ここに割って入る可能性がある。

昨年の時点では戦力的に2枠派遣の可能性が高かった100kg級は羽賀龍之介とウルフアロンの世界王者2名がともに負傷で長期離脱中、飯田健太郎も今季の国際大会では冴えず一気に空白地帯化。ただしこの階級は逆に言えば2020年に向けて潜在能力のある「矢」が既に3本ある状態でもあり、敢えて世界選手権に代表を送らずに他階級に「枠」を振り向ける施策すら考えられる。一時は「代表なし」が現実的であった81kg級、昨年実際に代表を送らなかった90kg級に若手が勃興している折でもあり、これも視野に入れて全体を観察するべきだ。変数まことに多し、どの階級の結果も、そしてその内容からも目が離せない。

■ 60kg級 永山竜樹の出来に注目集まる、「爆勝」が2枠目選考の必須条件
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ワールドマスターズを制した永山竜樹が2年連続の代表入りを狙う

代表内定者;髙藤直寿(パーク24) ※出場せず
選考対象者:永山竜樹(東海大4年)、志々目徹(了徳寺学園職)

【1回戦カード】
永山竜樹(東海大4年) - 米村克麻(センコー)
山本達彦(東海大3年)- 宮本拓実(自衛隊体育学校)
志々目徹(了徳寺学園職)- 大島優磨(旭化成)
宮之原誠也(福岡県警察)- 市川龍之介(東海大1年)
※宮之原は棄権

12月のワールドマスターズ、そして1月のグランドスラム・デュッセルドルフで優勝している永山竜樹が代表争いでは大きくリード。グランドスラム・パリで優勝している志々目も形上権利者であるが、反則による勝利3試合と相手の負傷棄権1試合(「技有」奪取後)、対戦相手のグレードも高くないという同大会の内容、そして彼らが代表権を争うライバルがこの階級ではなく他階級にあることを考えると、この時点での「権利者」は事実上永山のみではないかと考えられる。永山が圧勝したときのみ、2枠目として代表選考の俎上に上るというシナリオで間違いないはずだ。

第1シードに置かれた永山の山は、準決勝までは無風。志々目あるいは大島優磨(旭化成)と戦うであろう決勝が唯一最大のアピールチャンスということになる。永山は自身の置かれた状況を誰よりもよく知っているはず、左右の担ぎに軽量級離れした裏投げ一発、そしてどこからでも飛び出す鋭い足技ともともとその柔道は超攻撃型。高いモチベーションを得てこの持ち味が一段高いところで発揮されるような、面白い試合に期待したい。

1回戦最大の注目カードは志々目と大島の対決。内股の威力が持ち味の志々目、グランドスラム・エカテリンブルク大会で超強豪に連勝して(最終結果は3位)好調の大島の対決はどちらが勝ってもまったくおかしくない。この山では、高校カテゴリで3度日本一に輝くという偉業を成し遂げた市川龍之介(東海大1年)の選抜デビューにも注目だ。

■ 66kg級 優勝争いの軸はシード扱いの丸山と磯田、好選手目白押しも2枠目選出への展望厳しい状況
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66kg級の第1シードは丸山城志郎

代表内定者:阿部一二三(日本体育大3年) ※出場せず
選考対象者:丸山城志郎(ミキハウス)、磯田範仁(国士舘大職) 、田川兼三(筑波大4年)

【1回戦カード】
丸山城志郎(ミキハウス) - 髙上智史(旭化成)
藤阪太郎(大阪府警察) - 末木貴将(センコー)
磯田範仁(国士舘大職) - 牧野壮一郎(天理大4年)
田川兼三(筑波大4年) - 橋口祐葵(パーク24)

丸山はその投技の威力で、磯田は海外サイトがわざわざ技術特集を組んだほどの巧みなその小外刈で、いずれも内外に素晴らしいインパクトを残したシーズンであったが、残った結果は両者とも国際大会での優勝なし。丸山はグランドスラム東京とグランドスラム・パリでいずれも2位、磯田は両大会とも3位に終わっている。グランドスラム・デュッセルドルフで驚きの優勝を飾った田川兼三(筑波大4年)とともに、形上選考の俎上に上がる権利はあるが、現実的には誰がどのような形で勝っても2枠目への到達は相当に厳しいはず。いずれかが凄まじい勝ちぶりでこの大会を制し、あとは他階級の結果待ちということになる。66kg級に2枠目派遣が行使されるとすれば「強すぎる阿部一二三のバックアッパー養成」という論理が受け入れられた場合であるが、今年はアジア大会というビッグイベントがもう1つあることもあり、このロジックが他階級の事情を凌ぐ説得力を持つのは難しいだろう。

組み合わせは第1シードが丸山で第2シードが磯田、磯田の山には対抗馬として田川とグランドスラム・デュッセルドルフ代表(予選ラウンドで敗退)の橋口祐葵(パーク24)が配置された。丸山は初戦で、ロンドン-リオ期を代表する強豪の高上智史(旭化成)とマッチアップ、ともに攻撃型の両選手が戦うこの1回戦第1試合が前半戦の山場だ。

磯田は小外刈が徹底マークされる中で国内、そして国際大会を勝ち抜いてきた。警戒されても、相手が来るとわかっていても、それでも小外刈で勝ち抜きそのたび大歓声を浴びてきた磯田だが、今大会でもその異次元の取り味を発揮できるか。田川は唯一の国際大会勝者としてその実力を証明したいところ。

■ 73kg級 初日の最注目階級、大野将平と橋本壮市の直接対決軸に「国内最強」立川新が絡む
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現役世界王者の橋本壮市

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リオ五輪の金メダリスト大野将平

選考対象者:橋本壮市(パーク24)、大野将平(旭化成)、立川新(東海大3年)

【1回戦カード】
橋本壮市(パーク24) - 竹内信康(新日鐵住金)
野上廉太郎(筑波大2年) - 込山龍哉(東海大4年)
立川新(東海大3年) - 海老沼匡(パーク24)
大野将平(旭化成) - 吉田優平(東海大4年)

第1日最大の注目階級。
昨年の世界選手権覇者であり、12月のワールドマスターズを制した橋本壮市が第1シード、第2シードはその橋本を倒してグランドスラム東京を制した立川新、その立川の山に事実上の復帰戦となったグランドスラム・デュッセルドルフを圧勝し、ただ1回で国際シーンのど真ん中に戻って来た五輪金メダリスト大野将平が配された。

とはいえ、世界選手権代表争い、現状この3人のうち権利者は大野と橋本のみで、立川は既にほとんど脱落したとみて良いのではないかと思われる。若い立川が大野と橋本の圧倒的な実績を崩すにはシーズン全勝クラスの成績が求められるところであるが、グランドスラム東京優勝も肝心のグランドスラム・パリでは初戦で中堅選手に投げられて敗退。立川の生命線は組み手だが、抱いてくる海外選手にこれを突破されて一発食らうという形は昨年に続いてこれが2度目。柔道のタイプとして決して投げられてはいけない立川が続けて「投げられて」負けた事実は重いはず、海外選手に弱いとの形上の結果を払拭するにはあと複数回の機会がどうしても必要で、となれば結果、内容とも既にほとんど「権利」を失っている状態なのではないか。

ただし国内における立川の強さは、一種圧倒的。講道館杯とグランドスラム東京で話題を呼んだ「首抜かせ」に端的な組み手の強さと技術は圧巻、橋本が「(立川の)世界に押し込められて何もさせてもらえなかった」(井上康生代表監督)この武器が、果たして大野という巨大な山に通じるかは非常に大きなみどころ。大野はあまりに強すぎ、現状の競技世界ではもはやその強さを測るモノサシが消えかけている状態。対立川戦が何か基準を与えてくれる可能性もあり、この点からも見逃せない一番。ただし立川は初戦で早くも73kg級のパワーに対応しつつある海老沼匡(パーク24)戦という大山場があり、まずこれをしっかり勝ち抜けるかどうか。ほとんど試合に出ていない大野に対し、立川は一定の「国内ランキングポイント」を保有しており、もし海老沼-大野-橋本に全勝しての優勝となれば上記の評価をひっくり返す可能性もある。

大野-橋本。大野はしっかり組んでまっこう大技で叩きつける本格派、一方の橋本は高い組み手技術と技の引き出しの多彩さ、そして相手が思いもつかない「スペシャル」を駆使して戦ういわば雑食系の最高峰。純粋な強さという点では大野に軍配が上がるのではと思われるが、ここまでの対戦からもその柔道の組成からも、相性的にどうなるかわからない戦いである。両者決勝進出の時点で「2枠」の確保は決定的ではないかと推察するが、この試合の様相は2020年に向けた代表争いのロードマップを決定的に方向づけてしまいかねない。懸念は、徹底的に「4年間トータル」での調整を行っている大野の状態であるが、複数の関係者が「デュッセルドルフ時よりだいぶ稽古を詰めており、好調」と証言。絶対に見逃せない一番である。

■ 81kg級 藤原崇太郎の代表選出ほぼ確実、「国内の勝利」満たす最大の山場は1回戦
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既に今年グランドスラム2大会に優勝、藤原崇太郎は代表選出がほぼ確実

選考対象者:藤原崇太郎(日本体育大2年)、佐々木健志(筑波大4年)

【1回戦カード】
藤原崇太郎(日本体育大2年) - 渡邉勇人(了徳寺学園職)
山本悠司(旭化成) - 佐藤正大(自衛隊体育学校)
佐々木健志(筑波大4年) - 長島啓太(日本中央競馬会)
小原拳哉(パーク24) - 糸井滉平(大阪府警察)
唯一世界と戦える存在であった永瀬貴規(旭化成)の戦線離脱、そしてその後グランドスラム東京に至るまでの階級全体の不振を考える限り、この階級はほんの3か月前まで「代表派遣なし」が現実的にもっとも可能性の高い状況であった。

しかし藤原崇太郎のグランドスラム・パリ優勝という偉業で様相激変。結果に内容も伴ったこの勝利に加え、なんと藤原は続くグランドスラム・エカテリンブルク大会でも優勝。国内に国際大会の実績ある選手が永瀬以外ほぼ皆無というこの状況下では、もはやこの時点で世界選手権代表はほぼ確定のはず。選抜体重別を待たずして、代表選考の結果自体はほぼ見えていると言って良い。

藤原にだけ走らせてなるかと、エカテリンブルク大会では講道館杯で優勝した佐々木も見事2位入賞。選考対象者に名を連ねるところまでの出世を果たした。

というわけで第1シードの藤原崇太郎は、「よほどのことがない限り」代表はほぼ確定とみる。ただし組み合わせは藤原に試練、本来永瀬に続く2番手に座るべきも怪我に泣き続けた強豪・渡邉勇人(了徳寺学園職)が1回戦で配されることとなった。渡邉は先日の関東選手権(全日本柔道選手権関東予選)でも素晴らしいパフォーマンスを発揮、同大会でまたもや負傷した模様であるが、働けるのであれば、藤原にとってはまさしく国内最難関の「壁」である。藤原の詰将棋のように緻密で機を見るに敏な試合の組み立て、そしてこれもリスクを最小限にしっかり投げにかかるその投げの巧さに注目。

佐々木のほうは、他階級の状況に照らせば2枠目選出は難しい。ただしこの81kg級が弱点階級として認識されているという「負」ゆえのアドバンテージはある。この大会でも講道館杯時のようなハイパフォーマンスを見せて優勝すれば、たとえば100kg級の枠削減による他階級の増枠があった場合、かつ他階級の候補者たちのパフォーマンスが満足いくものでなかった場合、この81kg級は対象になりうるはず。尽きぬ担ぎ技の連続攻撃と寝技の連携がこの選手の魅力、健闘に期待したい。1回戦の長島啓太(日本中央競馬会)戦、準々決勝の小原拳哉(パーク24)戦と、全試合が山場。

■ 90kg級 超激戦区、代表候補3名が軸も優勝争いの行方は混沌
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グランドスラムパリ制覇を成し遂げたばかりの向翔一郎

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リオ五輪金メダリストのベイカー茉秋

選考対象者:長澤憲大(パーク24)、向翔一郎(ALSOK)、ベイカー茉秋(日本中央競馬会)

【1回戦カード】
長澤憲大(パーク24) - 加藤博剛(千葉県警察)
小林悠輔(旭化成) - 増山香補(明治大2年)
向翔一郎(ALSOK) - 長井晃志(日本体育大2年)
ベイカー茉秋(日本中央競馬会) - 釘丸太一(センコー)

大激戦区。単に世界選手権代表選考という面でもグランドスラム・パリ優勝の偉業を成し遂げたばかりの向翔一郎、グランドスラム東京優勝の長澤憲大、復帰第一戦のグランドスラム・デュッセルドルフでいきなり決勝まで進んだリオ五輪王者ベイカー茉秋の3名が横一線、誰が選ばれてもまったくおかしくない状況の豪華な陣容。これに関東柔道選手権で全試合「秒殺」の凄まじい勝ちぶりを見せた加藤博剛(千葉県警察)や、2月のヨーロッパオープン・オーバーヴァルトで国際大会初優勝を果たしたばかりで急速出世中の増山香補(明治大2年)など魅力的な人材が揃った。昨年の「派遣なし」がもはや信じられない、8人全員が一癖も二癖もある、最高峰大会にふさわしい陣容である。

上記3名から優勝者が出た場合はその時点で代表1枠は確定。この3名の関係は「優勝した選手がそのまま世界選手権代表」と見て間違いない。以降はこの大会の本人、そして他階級のライバルたちの出来如何ということになる。

率直に観察すれば、ベイカーが優勝した場合、この階級に2枠目選考が行使される可能性は低くなるのではないか。長澤-向で決勝が争われた場合、あるいは長澤が優勝した場合に「2枠目」の可能性は最大になる。

組み合わせ的には準決勝で向-ベイカー戦が実現することとなりここが最難関と見られるかもしれないが、実はもっとも嫌なクジを引いたのは長澤。1回戦で加藤博剛と戦うことになってしまった。戦術遂行力が高く相性的に国内どの選手でも苦にしない長澤であるが、この加藤だけは規格外、もっとも戦いたくない相手ではなかったのではないだろうか。1回戦第1試合に注目である。

■ 100kg級 飯田健太郎復活なるか、ベテラン熊代とニューカマー山口の活躍にも期待
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参加者のうち唯一の「権利者」は飯田健太郎

選考対象者:飯田健太郎(国士舘大2年)

【1回戦カード】
飯田健太郎(国士舘大2年) - 辻本拓記(兵庫県警察)
熊代佑輔(ALSOK) - 石川竜多(筑波大3年)
下和田翔平(京葉ガス) - 関根聖隆(筑波大1年)
西山大希(新日鐵住金) - 山口貴也(日本大1年)

前述の通りウルフアロンと羽賀龍之介が選考会に実質参加出来ず(ウルフは不参加、羽賀はグランドスラム・デュッセルドルフ初戦で負傷棄権)、唯一対象者として残った飯田健太郎もグランドスラム・パリで予選ラウンド敗退で結果を残せず。今形上飯田が代表候補であるが、実質権利者は「いない」状況とまで言ってしまって良い状況。

ただしこの飯田、3月に行われた東京都柔道選手権(全日本柔道選手権東京地区予選)では、素晴らしいパフォーマンスを披露。ミスはあったが現状の問題点複数を高いラインでクリアし、新兵器の担ぎ技も駆使、久々上り調子が見えて来たところである。今大会と全日本選手権でハイパフォーマンスを見せる可能性は十分あり、これが世界選手権代表選出への必須条件。今大会は、控えめに言って優勝以外はありえない背水の人である。

というわけで候補者が「1名弱」という階級であるがトーナメントは魅力的の一言。ベテラン勢は90kg級から階級を上げた西山大希(新日鐵住金)のほか、なんといってもその東京選手権で準優勝の大活躍を見せた熊代佑輔(ALSOK)の存在が面白い。若手では全日本柔道選手権進出を決めたばかりの大物・山口貴也(日本大1年)が早くも選抜体重別デビュー、誰にでも上から目線で大技を叩きこむこの人が最高峰の舞台でどのような柔道を見せるか、非常に楽しみだ。

■ 100kg超級 復調なった原沢久喜が軸、4人の候補者が入り乱れる激戦
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復調気配の原沢久喜

選考対象者:原沢久喜(日本中央競馬会)、王子谷剛志(旭化成)、影浦心(日本中央競馬会)、小川雄勢(明治大4年)

【1回戦カード】
王子谷剛志(旭化成) - 佐藤和哉(新日鐵住金)
小川雄勢(明治大4年) - 太田彪雅(東海大3年)
原沢久喜(日本中央競馬会) - 上田轄麻(新日鐵住金)
影浦心(日本中央競馬会) - 上川大樹(京葉ガス)

この階級に関しては全日本柔道選手権の影響が大きく、この時点で明確に「対象者」を切ってしまうのは難しい。ただし形上、欧州で結果を残した影浦心(日本中央競馬会・グランドスラムパリ優勝)と、原沢久喜(日本中央競馬会・グランドスラムデュッセルドルフ2位)と王子谷剛志(旭化成・グランドスラムデュッセルドルフ2位)、ここまでが対象確定。そしてギリギリで欧州は組み合わせの不運に泣いたがグランドスラム東京で優勝している小川雄勢(明治大4年)までの4人が「4月の2大会」で代表獲りに挑む権利があるとまでは、言ってしまって良いはずだ。

最注目選手は昨年の絶不調から一転、デュッセルドルフ準決勝までに引き続き東京選手権でも人が変わったような素晴らしい出来を見せている原沢。山場は国際大会の実績圧倒的な影浦心とマッチアップが濃厚な準決勝だ。原沢は昨年影浦に内股を透かされて連敗したことが不調誘因の直接的な契機になった来歴があり、これは因縁対決でもある。東京選手権では手の内を隠しながらの対戦(「指導3」で原沢が勝利)であったが、今回の様相はいかに。

文責:古田英毅

※ eJudoメルマガ版4月5日掲載記事より転載・編集しています。

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