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第40回全国高等学校柔道選手権・男子個人戦5階級マッチレポート

(2018年4月4日)

※ eJudoメルマガ版4月4日掲載記事より転載・編集しています。
第40回全国高等学校柔道選手権・男子個人戦5階級マッチレポート
取材・文:林さとる/eJudo編集部
撮影:乾晋也、辺見真也

■ 60kg級 近藤隼斗が戴冠、尽きぬ攻撃意欲で高校カテゴリ初優勝
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3回戦、近藤隼斗が高橋昇平から袈裟固「一本」

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決勝の畳に臨む松田淳希

世代別カテゴリである55kg級を含むことで実績ある選手多数の激戦区となった本階級。決勝へは第1シードの近藤隼斗(佐賀・佐賀工高)とノーシードから大会をスタートした伏兵・松田淳希(和歌山・初芝橋本高)が勝ち上がった。

近藤は2回戦からの登場。初戦で佐藤大知(愛知・大成高)を相手の右一本背負投を谷落で返しての「技有」優勢で下すと、3回戦では高橋昇平(栃木・國學院栃木高)を体落「技有」からの袈裟固「一本」(2:00)で破る。山場となった準々決勝では昨年3位の顕徳大晴(神戸・神港学園高)を谷落「技有」優勢で下してベスト4入り。準決勝では福田大晟(滋賀・比叡山高)を外巻込と体落で「技有」2つを奪った末の袈裟固「一本」(3:00)で退け決勝進出を決めた。

対する松田は1回戦で金子龍玄(群馬・前橋商高)にGS技有(GS2:19)で競り勝つと、以降も松澤伶哉(長崎・長崎南山高)に「技有」優勢、米沢星南(岩手・盛岡南高)に「技有」優勢とフルタイム戦い続けてベスト8まで勝ち上がる。これ以降、今度はGS延長戦の連続。準々決勝で柿山龍之介(岐阜・中京学院大中京高)をGS延長戦の指導2(GS2:50)で破ると、準決勝では世界カデ55kg級3位の鷲見仁義(北海道・札幌山の手高)からハンドル操作を効かせた小外刈「一本」(GS2:00)を奪って勝利。戦った5試合のうち3試合がGS延長戦、2試合がフルタイム戦っての優勢というタフな内容で決勝へと駒を進めた。

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近藤隼斗が松田淳希を左体落で投げるも、回りすぎてポイントにはならず。

【決勝】
近藤隼斗〇GS指導2(GS1:04)△松田淳希
近藤が左、松田が右組みのケンカ四つ。近藤は上から背中を抱いて腰技を、対する松田は低く構えて担ぎ技を狙う。密着して勝負をしたい近藤は釣り手を奥襟、脇を差してと持ち替えながら間合いを詰めにかかるが、松田は両袖の形でこれを許さず、不利な形になると低い担ぎ技で展開をリセットする。双方の形が噛み合わずに試合が膠着し始めた1分22秒、ついに釣り手で背中深くを得た近藤が強引な左内股。相手を一瞬釣り上げることに成功したものの、体が完全に開いてしまっており、反対に松田が脇を掬っての内股透で近藤を畳に伏せさせる。

ここまでは近藤の圧を上手く逸らしてきた松田だが、疲れが出たのか続くシークエンスでも再び釣り手を背中深くまで侵入させてしまう。この形を嫌った松田は脇を差しての右浮腰に釣り手を持ち替えての右背負投と連続で技を打つが、近藤は引き手の牽引を強めて距離を空けさせない。そして2分10秒、松田が右浮腰を仕掛けた戻り際、近藤が鋭い左体落に潜り込む。胸を合わせられてしまった松田は抗うすべなく一回転、しかし、あまりに勢いが良すぎたために腹這いで落ちる形となり、ケアシステムによる映像の確認が行われる。この技に下された判定はノーポイント。得点にはならなかった近藤だが気落ちした様子はなく、再び猛然と前に出て相手に襲いかかる。松田がこれを嫌って下がると、引き手で釣り手側の袖を掴んで「ケンカ四つクロス」の左内股、次いで隅返と激しく攻め立てる。2分38秒、押し込まれた松田に消極的との判断による「指導1」。以降も近藤が攻め続け、本戦の3分間が終わる。

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近藤は縦回転の左袖釣込腰で松田を大きく崩す。直後、松田に2つ目の「指導」が与えられて決着。

GS延長戦の開始直後、近藤は再びケンカ四つクロスの形を作ると左内股で相手を伏せさせ、思い切り良く隅返。松田は大きく体勢を崩すが、近藤の上を転がり腹這いで着地する。近藤はここに至ってエンジン全開、以降も奥襟を掴んでの強引な左内股を連発。松田は体を浮かされながらも反対方向に腰を切ることで凌ぎ続ける。GS1分間際、松田が釣り手で近藤の釣り手を絞ると、近藤もこれを握り返して応じ、引き手を得るなり強引な両袖の左袖釣込腰。今度も松田は腰を切りながら体を開いて耐えようとするが、近藤は前方宙返りの要領で縦に回転。松田が右肩を畳に着くような形となり、3人の審判による合議が行われる。この技のポイント自体は認められなかったものの、直後のGS1分4秒、松田に対して「指導2」が与えられて決着。最後まで攻撃意欲を切らさずに攻めきった近藤が、全国中学校大会、そして昨年の全日本カデに続く3つ目の全国タイトルを獲得した。

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60kg級優勝の近藤隼斗

【入賞者】
優 勝:近藤隼斗(佐賀・佐賀工高)
準優勝:松田淳希(和歌山・初芝橋本高)
第三位:福田大晟(滋賀・比叡山高)、鷲見仁義(北海道・札幌山の手高)
第五位:顕徳大晴(兵庫・神港学園高)、斉藤大夢(福島・田村高)、福地竜一朗(東京・修徳高)、柿山龍之介(岐阜・中京学院大中京高)

近藤隼斗選手のコメント
「1回戦から厳しい試合が続きましたが、準々決勝に勝って勢いに乗れました。決勝は一本を取りに行ったのですが、上手く行かなかった。背中を持っての体落で相手が回りすぎた場面は、ポイントにならないかもしれないという気持ちを持っていたので、再開後すぐに攻めに行けました。GSでも一本を狙いましたが、途中からは『指導』でも良いから優勝しようと思って戦いました。この優勝はインターハイに繋げられたと思います。今は背中を持っての柔道ばかりなので、夏に向けて技を増やして柔道の幅を広げたいです。担ぎ技もやっていきたい。まずはインターハイの県予選です。個人戦も団体戦も勝てるように、そしてインターハイでも活躍できるように頑張りたいです。阿部一二三選手の豪快に一本を取るところが好きなので、自分もあのような選手になりたいです。」

【準々決勝】
近藤隼斗○優勢[技有・抱分]△顕徳大晴
福田大晟○GS縦四方固(GS2:47)△斉藤大夢
鷲見仁義○優勢[技有・背負投](GS1:03)△福地竜一朗
松田淳希○GS指導2(GS2:50)△柿山龍之介

【準決勝】
近藤隼斗○袈裟固(2:48)△福田大晟
松田淳希○GS小外刈(GS2:00)△鷲見仁義

【決勝】
近藤隼斗〇GS指導2(GS1:04)△松田淳希

■ 66kg級 西願寺哲平が優勝、投げの強化テコに2連覇達成
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準々決勝、西願寺哲平が小野澤暢大から右袖釣込腰「一本」

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逆側の山からは松村士が勝ち上がった

第2シードで昨年の全日本カデ選手権覇者でもある桂嵐斗(長崎・長崎日大高)が初戦(2回戦)で敗れる波乱。決勝には昨年の優勝者で2連覇を狙う第1シードの西願寺哲平(埼玉・埼玉栄高)と、桂を破った松村士(東京・足立学園高)が勝ち上がった。

西願寺は初戦(2回戦)から思わぬ大苦戦。林大智(愛知・大成高)と8分間の大消耗戦を戦い、GS技有(GS5:00)でなんとか勝ち上がる。この試合こそ厳しい戦いであったが、これ以降は投げが冴え、3回戦で河添幹斗(岐阜・中京学院大中京高)を袖釣込腰「一本」(1:10)、準々決勝で小野澤暢大(長野・東海大諏訪高)を一本背負投「一本」(1:16)、準決勝で唯野己哲(千葉・木更津総合高)を袖釣込腰「技有」(GS1:12)と3試合連続で立技によるポイントを上げて決勝進出を決める。

一方の松村は絶好調。1回戦で邊川湧大(奈良・天理高)を「技有」優勢で破ると、2回戦では優勝候補の本命である桂を相手の内股を躱しての内股「技有」優勢で破る番狂わせを演じてベスト16入り。3回戦の加賀谷優龍(秋田・大曲農高)戦ではやや減速して消耗戦の末のGS指導1(GS1:57)による勝利となったが、準々決勝では岡田洸人(群馬・常磐高)から肩車「技有」を得て優勢勝ち。迎えた準決勝ではこれも優勝候補の一角と目されていた若狭智也(石川・鶴来高)を、両手で釣り手側の襟を持っての右背負投「一本」(1:56)で破り、堂々の決勝進出を果たした。

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西願寺哲平が松村士の左一本背負投を抱え上げて移腰

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腕を極められながらも抵抗を続けた松村だが、ついに「参った」を表明する

【決勝】
西願寺哲平〇腕挫十字固(2:45)△松村士
西願寺が左、松村が右組みのケンカ四つ。大枠としては西願寺が釣り手で下から突いて担ぎ技や巴投で引き込んでの寝技を狙い、対する松村が上から背中を抱えて得意の肩車を狙うという構図。23秒に西願寺が組み手争いから釣り手で脇を差すと、松村は相手の重心が後ろに移ったタイミングで右小内刈。西願寺は大きく崩れながらも、松村の上体の拘束が甘かったこともあり、身を翻して腹這いで逃れる。

1分11秒、松村が釣り手を背中に持ち替えたところで西願寺が釣り手のみの左背負投。抜き落とすように相手を伏せさせるとそのまま「横三角」から寝技を狙う。この攻防は「待て」となるが、直後の1分21秒、松村に消極的の「指導1」。一気に突き放してしまいたい西願寺は続く攻防でも左の「釣り手背負い」で松村を畳に伏せさせる。2分間際、西願寺が場外際で膝車、左小内刈、左大内刈と技を繋ぐと、2分2秒に松村に消極的との咎による「指導2」が追加される。

後のなくなった松村は直後に組み際の左一本背負投を仕掛けるが、西願寺はこれを受け止め、相手の立ち上がり際に抱え上げて移腰。松村を腹側から畳に叩きつけると、相手が防御の体勢を整えるよりも早く腕を取り、腕挫十字固の形を完成させる。完全に松村の腕が伸び切ったのを確認した主審は「一本」を宣告しようと腕を上げ掛けるが、松村はタップせず。腕を極められながらも逃れようと10秒近く抵抗し続け、西願寺が膝を使ってさらに捻りを加えた2分45秒にようやく「参った」を表明する。西願寺はこれで本大会2連覇を達成。得意としている寝技での巧さ、早さはもちろんのこと、立技が大きく強化されたことで切れ目のない攻撃が可能となり、かつ一撃一撃の脅威度がアップ。昨年とは一味違った逞しい柔道での戴冠だった。敗れた松村も優勝候補である桂と若狭を揃って破るなど主役級の大活躍。敗れた決勝も腕を極められながら「参った」ずに耐え続け、いかにも稽古の厳しさを以て鳴る足立学園の選手らしい、尋常ならざる気力を示してみせた。

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66kg級で連覇達成の西願寺哲平

【入賞者】
優 勝:西願寺哲平(埼玉・埼玉栄高)
準優勝:松村士(東京・足立学園高)
第三位:唯野己哲(千葉・木更津総合高)、若狭智也(石川・鶴来高)
第五位:小野澤暢大(長野・東海大諏訪高)、平野達也(岡山・倉敷工高)、岡田洸人(群馬・常磐高)、田村彬(北海道・札幌山の手高)

西願寺哲平選手のコメント
「1回戦がなかなか厳しかったのですが、そこで勝って波に乗れました。周りからは2連覇と言われていたものの、そんなに上手く行くとは思っていませんでした。練習から「簡単じゃない」ことを十分意識していたことが勝因かなと思いますし、インターハイで負けているので、それほど重圧は感じなかったです。決勝で決めた関節技は、柔術の先生に教えてもらったものです。立技は背負投、寝技は絞技と関節技を強化してきました。去年はただがむしゃらにやっていたのですが、今年はチームのキャプテンにもなり、自分のことだけではなく周りに声をかけたり、自分から動くことで周りを動かしたりと、周囲を見ることができるようになったと思います。今日の優勝は今日で終わり。明日は団体戦がありますのでまずそこをしっかり戦いたい。インターハイでも勝って、講道館杯に繋げるのが今年の目標です。」

【準々決勝】
西願寺哲平○袖釣込腰(1:16)△小野澤暢大
唯野己哲○優勢[技有・背負投]△平野達也
松村士○優勢[技有・肩車]△岡田洸人
若狭智也○大外返(2:23)△田村彬

【準決勝】
西願寺哲平○GS技有・袖釣込腰(GS1:11)△唯野己哲
松村士○背負投(1:56)△若狭智也

【決勝】
西願寺哲平〇腕挫十字固(2:45)△松村士

■ 73kg級 中村洸登が無印からトーナメントを登攀、天理高の層の厚さを見せつける
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準々決勝、内村秀資が齋藤秀太から右大外刈「一本」

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準決勝、中村洸登が飯田竜生を右一本背負投「一本」に仕留める

絶対的な優勝候補がいない戦国トーナメント。実力では一番手と見られていた内村秀資(大阪・東海大仰星高)と伏兵の中村洸登(奈良・天理高)の、ノーシード選手2人が決勝へと進出した。

内村はまず1回戦で池田晴紀(新潟・帝京長岡高)を豪快な裏投「一本」(2:14)で一蹴。続く2回戦も角田英知(静岡・東海大静岡翔洋高)を巴投「一本」(2:27)に仕留めて順調な滑り出し。3回戦の川田武史(東京・足立学園高)戦こそ「技有」を奪い合った末の「技有」優勢勝ちとなったが、準々決勝以降は齋藤秀太(岡山・作陽高)を大外刈「一本」(0:57)、齋五澤航介(栃木・白鷗大足利高)を谷落「一本」(0:44)と2試合続けての一本勝ち。持ち味である投げの威力を遺憾なく発揮して決勝進出を果たす。

対する中村は1回戦で藤山大輝(愛媛・三島高)にGS指導2(GS0:34)、2回戦で枠谷康平(和歌山・箕島高)にGS指導1(GS3:00)とその立ち上がりは接戦の連続。しかし、3回戦で足立海音(神奈川・東海大学相模高)を「技有」優勢で破って以降はエンジンが掛かり始め、準々決勝では籾山航大(秋田・秋田工高)を大内返「一本」(2:33)で撃破、準決勝でも飯田竜生(福岡・南筑高)を片襟の背負投で「技有」2つを先行しての右一本背負投「一本」(2:39)に屠り、気を良くして決勝の畳へとたどり着いた。

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内村秀資の右大外刈を中村洸登が「やぐら投げ」風の大外返で返しに掛かる

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中村が同じ形の大外返で内村から「技有」を奪取

【決勝】
中村洸登〇優勢[技有・大外返]△内村秀資
右相四つ。奥襟を持っての豪快な技が持ち味の内村に担ぎ技が主体の中村と、双方の得意とする形は対照的。試合が始まるなり内村が巴投。しかし、ここは中村が背筋をピンと伸ばしたまま持ち上げて耐える。「待て」の直後、今度は中村が組み際に左一本背負投。両者ともに闘志剥き出しといった様子で序盤から積極的に技を出し合う。

中村が巴投、右一本背負投と連続で技を出した1分2秒、なぜか中村の側に不可解な消極的の「指導1」が与えられる。ギャラリーのざわめきのなか試合が続けられるが、1分14秒に「待て」が掛かって合議の末にこれは取り消し。反対に内村に対して「指導1」が宣告される。1分40秒、内村が左一本背負投から右大外刈に連絡すると、中村は脇を差してこれを抱き止め「やぐら投げ」風に相手を持ち上げる変則の大外返。これは内村が判断良く引き手を放して腹這いで逃れるが、このポイント級の一撃によって試合の流れが一気に中村の側に傾く。

袖の絞り合いによる膠着状態を挟んでの2分30秒、内村の奥襟に中村が応じることでがっぷり四つの形が完成。内村がチャンスとばかりに右大外刈に踏み込むと中村はすかさず引き手で背中を抱え、正対したまま膝を高く上げて再度の変則大外返。完全に持ち上げられてしまった内村は背中から畳に叩き付けられ、主審は迷わず「技有」を宣告する。「待て」の時点で残り時間は僅か24秒。ポイントを失った内村は勢いよく組み付いて一発勝負に出ようとするが、中村はしっかりと引き手で脇を突いてクロージング。ノーシードからスタートした中村がついにトーナメントの頂点へとたどり着いた。

中村は天理高の団体戦メンバーには入っておらず、今日もノーシードからの勝ち上がり。決勝の相手である内村は近畿ブロック王者だが、中村は同大会では初戦敗退だった。まさしく無印からの出世劇、今代32年ぶりに若潮杯を制し、優勝候補に挙げられる天理チームの勢いを体で示すかのような急成長であった。今回の優勝は同校の層の厚さを示すとともに、翌日の団体戦に向けたこれ以上ない援護射撃となった。

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73kg級優勝の中村洸登

【入賞者】
優 勝:中村洸登(奈良・天理高)
準優勝:内村秀資(大阪・東海大仰星高)
第三位:齋五澤航介(栃木・白鷗大足利高)、飯田竜生(福岡・南筑高)
第五位:齋藤秀太(岡山・作陽高)、古田直也(岐阜・中京学院大中京高)、岡颯人(広島・崇徳高)、籾山航大(秋田・秋田工高)

中村洸登選手のコメント
「最初は固くなってしまい調子もいまひとつだったのですが、勝ち上がるにつれて体も動くようになり、調子も上がりました。良い形で決勝を迎えられたと思います。近畿大会は1回戦負け。大会に向けてレギュラー陣がもっと練習できるよう、その相手である自分も頑張らなければと思い、チームのために頑張ってきました。今回優勝したことで講道館杯にも出られるので、シニアの大会でも頑張りたいです。得意技は背負投です。」

【準々決勝】
内村秀資○大外刈(0:57)△齋藤秀太
齋五澤航介○GS小外掛(GS0:31)△古田直也
飯田竜生○後袈裟固(3:18)△岡颯人
中村洸登○大内返(2:33)△籾山航大

【準決勝】
内村秀資○谷落(0:44)△齋五澤航介
中村洸登○一本背負投(2:39)△飯田竜生

【決勝】
中村洸登〇優勢[技有・大外返]△内村秀資

■ 81kg級 竹市大祐がしぶとい戦いぶりで優勝、賀持喜道はまさかの初戦敗退に終わる
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2回戦、優勝候補の賀持喜道が杉本将一朗に左袖釣込腰「技有」を食って初戦敗退

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準決勝、竹市大祐が日野山剛から肩車「一本」

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準々決勝、板東虎之輔が秋本凌吾をサンボ式の右一本背負投「一本」で破る

2回戦にこの日最大の波乱。第1シードピックアップを受けていた賀持喜道(神奈川・桐蔭学園高)が杉本将一朗(北海道・北海高)にGS延長戦で片手の左袖釣込腰「技有」(GS1:46)を奪われ初戦で姿を消した。2月に負った肘の負傷の影響が懸念されていたが、その動きは悪い意味で軽く、稽古が詰めていないことが明らか。序盤に「指導」2つをリードしたが体力が持たず、終盤以降は良いところがなかった。相手の悪質な反則腋固で負った肘の負傷は靭帯断裂の重傷であったとのこと、世代を引っ張る才能の復活に期待したい。

本命が不在となったトーナメントを決勝まで勝ち上がったのは、賀持のいなくなったブロックを勝ち上がった竹市大祐(福岡・大牟田高)と、第2シードの板東虎之輔(千葉・木更津総合高)。

竹市は1回戦で宮下壮瑠(山梨・東海大甲府高)をGS技有(GS0:35)で下すと、2回戦では東久馬(岡山・作陽高)を背負投「一本」(0:45)で一蹴。3回戦では田中翔太(愛知・大成高)を「技有」優勢で退け、準々決勝では賀持を破った杉本にGS延長戦での小外掛「技有」(GS0:14)で勝利する。準決勝の日野山剛(滋賀・比叡山高)戦では強烈な肩車「一本」(1:51)を決め、見事決勝へと駒を進めた。

一方の板東は初戦(2回戦)こそ村瀬賢心(岐阜・中京学院大中京高)にGS指導1(GS2:07)での勝利と苦しい戦いだったが、以降は1試合ごとに調子を上げ、3回戦では佐藤佳己(山口・高水高)に「技有」2つを得て優勢で勝利。準々決勝で秋本凌吾(群馬・前橋育英高)を外側から肩車のように潜り込むサンボ式の一本背負投「一本」(0:40)で破ると、準決勝では赤星遼太郎(熊本・九州学院高)を袖釣込腰「技有」で破り、順当に決勝進出を果たした。

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板東虎之輔が釣り手のみの釣込腰で竹市大祐を大きく崩す

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板東の右小外掛を竹市が浮落に切り返して「一本」を獲得

【決勝】
竹市大祐〇GS浮落(GS3:00)△板東虎之輔
竹市が左、板東が右組みのケンカ四つ。まずは板東が優勢、背中を抱いての右釣込腰に低く潜り込んでの右大内刈と威力のある技を連続で出して相手を崩す。ここから双方釣り手だけを持って近い間合いで圧を掛け合う展開となり、56秒に板東が左足の踵から、竹市が首からそれぞれ出血。止血のために試合が中断される。

再開後は竹市が奮起して圧を掛けながら前に出始め、まずはケンカ四つクロスの形で相手を畳に引き落とす。続く攻防でも釣り手で下から突きながら場外に押し出し、2シークエンス続けて竹市優位の展開。しかし、直後の1分30秒、板東は組み際に釣り手で相手の背中深くを得ると、無理やり腰を差し入れて強引な片手の釣込腰。脇を差す形で堪えた竹市を縦回転で抜き落とすように転がして「技有」を得る。これはすぐに取り消されたが、勢いに乗った板東はここから激しい攻勢。まずは片手の右袖釣込腰で相手を大きく崩して伏せさせ、続くシークエンスでは組み際に急加速して抱きつきの右小外掛。竹市は勢いよく倒されながらもなんとか腹這いで凌ぐ。この時点で残り時間は45秒。ここからは板東が上から背中を叩き竹市が脇を差す形での攻防が続き、板東が片手の右袖釣込腰を連続で出したところでブザー。両者ノーポイントのまま試合はGS延長戦へともつれ込む。

延長戦に入ると本戦終盤に激しく攻めていた板東が激しく消耗、一転して竹市が優勢となる。板東は揺さぶられるだけで何度も膝を着いてしまい、もはや陥落は時間の問題といった様子。しかし、板東も簡単には屈せず、片手の右袖釣込腰で展開をリセットすると、片手状態での組み手争いに持ち込んで決着を先送りする。板東の思惑に疲れの見え始めた竹市が応じてしまった形で試合は膠着状態に陥り、GS1分36秒に両者に消極的の「指導1」が与えられる。この直後、竹市が組み手争いから前技フェイントの左小外掛。板東は大きく崩れるも身を捩って伏せてポイント失陥を回避。ここから再び両者が低い姿勢で圧を掛け合う形が続き、2分52秒には両者に「指導2」が追加される。

主審の「始め」の声が掛かると、既に満身創痍の板東は最後の力を振り絞って抱きつきの左小外掛に打って出る。タイミングは完璧であったものの、相手をコントロールすべき釣り手の握力は既に失われており、あと一歩のところで手が離れてしまう。竹市はこのチャンスを見逃すことなく、相手の脇を掬いながら一歩踏み込んでカウンターの浮落。ねじ伏せるように浴びせ倒して「一本」。投げを狙い続けた板東にスタミナを生かして最後に取りきった竹市と、両者の持ち味が存分に発揮された好試合だった。

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81kg級優勝の竹市大祐

【入賞者】
優 勝:竹市大祐(福岡・大牟田高)
準優勝:板東虎之輔(千葉・木更津総合高)
第三位:日野山剛(滋賀・比叡山高)、赤星遼太郎(熊本・九州学院高)
第五位:杉本将一朗(北海道・北海高)、菅原幸大(宮城・柴田高)、秋本凌吾(群馬・前橋育英高)、井上太陽(愛媛・新田高)

竹市大祐選手のコメント
「(‐最後の場面について)接近戦になるとは思っていました。上手く対応できて良かったです。無我夢中だったので、何がなんだかわかりませんでした。序盤は押されていたのでまずいなと思いましたが、後半は自分が押して行けました。最後は気持ちで勝てたと思います。3回戦の田中(大成高)選手との試合が山場でしたが、そこに勝って流れに乗ることができました。今回は団体戦で負けて出られなかったので、その分チームのためにも個人戦で頑張ろうと思っていました。この優勝に満足せず、春夏連覇を狙いたいです。団体戦にチームみんなでもう一度挑戦して、全国大会まで勝ち上がることが目標です。全中での1回戦負けがとても悔しくて、それをバネに頑張りました。得意技は袖釣込腰。スタミナには自信があります。前後の技が使えることが強みと思っていますが、技に単調なところがあるので、バリエーションを増やしたい。逆方向の背負投をマスターしたいです。将来は人格的に優れた柔道家になりたいです。」

【準々決勝】
竹市大祐○GS技有・小外掛(GS0:14)△杉本将一朗
日野山剛○優勢[技有・大内刈]△菅原幸大
板東虎之輔○背負投(0:40)△秋本凌吾
赤星遼太郎○一本背負投(0:54)△井上太陽

【準決勝】
竹市大祐○肩車(1:51)△日野山剛
板東虎之輔○優勢[技有・袖釣込腰]△赤星遼太郎

【決勝】
竹市大祐〇GS浮落(GS3:00)△板東虎之輔

■ 無差別 中野寛太が周囲を圧倒、村尾三四郎を下してインターハイに続くタイトルを獲得
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3回戦、中野寛太が中西一生を豪快な左大腰「一本」で下す

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準決勝、村尾三四郎が大石由を両袖の左内股「一本」で一蹴

優勝候補と目されていた中野寛太(奈良・天理高)と村尾三四郎(神奈川・桐蔭学園高)の両雄が順当に決勝進出。ともに全日本柔道選手権への出場を決めている強者とあって、その勝ち上がりは圧勝、劇勝の連続となった。

第1シードの中野は2回戦から畳に上がると、増田良生(三重・名張高)を「指導2」を先行しての小外刈「一本」(2:11)で撃破。難敵中西一生(福岡・福岡大大濠高)を畳に迎えた3回戦ではGS延長戦へともつれ込んだものの、最後はほとんど体が開ききったところから強引に270度回し切る豪快な大腰「一本」(2:41)で勝利を収め、会場の度肝を抜く。山場を越えた中野は以降、準々決勝で八木郁実(広島・崇徳高)に小外掛「技有」(GS1:51)、準決勝で酒井陸(東京・国士舘高)に足車「一本」(0:59)と、危なげなく勝利を重ねて決勝進出を果たす。

一方の村尾も第2シードとして2回戦からの登場。初戦で斉本研アレクサンドル(富山・小杉高)を「横三角」からの崩上四方固「一本」(2:23)で下すと、以降は3回戦で中西隆翔(宮崎・延岡学園高)を内股で2度投げつけての「一本」(1:12)、準々決勝では熊坂光貴(愛媛・新田高)を内股「一本」(0:22)といずれも早い時間の一本勝ちでベスト4入りを果たす。準決勝ではがむしゃらに前に出る重量級の強者大石由(愛知・桜丘高)にやや手を焼いたものの、「指導2」を得たうえでGS延長戦に両袖の左内股「一本」(GS0:39)を獲得して完勝。抜群の投げのセンスを披露し、こちらもオール一本勝ちで決勝の畳へとたどり着いた。

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中野寛太が村尾三四郎を左大外刈で攻める

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中野が村尾から大内返「一本」

【決勝】
中野寛太〇GS大内返(GS0:07)△村尾三四郎
左相四つ。ともに今代を代表する怪物同士の戦い。中野は徹底して右構えから組み手を始め、引き手で襟を得てから釣り手で奥襟を狙う。ファーストコンタクトは中野が圧を掛けて村尾を場外に押し出して「待て」。村尾はリーチの長さを生かして相手の釣り手を抱き込む良い形を作るが、中野はこれに構わず圧を掛けながら前進を続ける。1分間際、中野は左払巻込を起点に相手の引き手を内側に畳み込むと、場外に押し込みながら右送足払。この攻防で村尾はあっさりと畳を割ってしまい、1分0秒に村尾に故意に場外に出た咎による「指導1」が与えられる。

続くシークエンス、村尾は再び二本持った完璧な形を作ると、釣り手を片襟に持ち替えて得意の左大内刈を仕掛ける。しかし、中野は全く動じずにこれを受け止め大内返。反対に村尾が大きく崩れて畳に伏せる。これ以降、村尾は先に組み手で良い形を作るものの警戒して技を仕掛けられず、中野が不十分な組み手から強引な左大外刈を3度続けた直後の2分14秒、村尾に対して消極的の咎による「指導2」が追加される。以後も、この村尾が十分な組み手を作りながら反対に攻め込まれる不思議な絵面がほぼ時間いっぱい続き、残り6秒には中野が強烈な支釣込足で再び村尾に膝を着かせる。試合は中野の「指導2」リードでGS延長戦へ。

延長戦開始直後、村尾は奥襟と袖を得て万全の形を作ると、意を決して左大外刈フェイントからの左大内刈で勝負に出る。しかし、中野は待ってましたとばかりにこれを受け止め、体を入れ替えて鋭い大内返。村尾の体はめり込むような勢いでほぼ垂直にドスンと音を立てて畳に落ち、中野の「一本」が宣告される。

中野はインターハイに続く全国タイトル獲得。当代きっての怪物村尾が組み勝ちながらも攻められず、相手を崩すことすらできないという、あまりに衝撃的な試合内容。村尾の勝ち上がりが圧倒的であったことが、かえって中野の凄まじいまでの強さを際立たせることとなった。

eJudo Photo
男子無差別優勝の中野寛太

【入賞者】
優 勝:中野寛太(奈良・天理高)
準優勝:村尾三四郎(神奈川・桐蔭学園高)
第三位:酒井陸(東京・国士舘高)、大石由(愛知・桜丘高)
第五位:八木郁実(広島・崇徳高)、酒井晃輝(福井・福井工大福井高)、熊坂光貴(愛媛・新田高)、多田昌人(茨城・つくば秀英高)

中野寛太選手のコメント
「(‐決勝について)相手も強いですが、体格ではこちらが上なので、自分の柔道を貫いて戦おうと思いました。大内返は狙っていて、上手く嵌って良かったです。自分たちは団体戦で日本一を目指しているので、明日に繋がったと思います。」

【準々決勝】
中野寛太○GS技有・小外掛(GS0:51)△八木郁実
酒井陸○払巻込(2:33)△酒井晃輝
村尾三四郎○内股(0:22)△熊坂光貴
大石由○上四方固(2:51)△多田昌人

【準決勝】
中野寛太○足車(0:59)△酒井陸
村尾三四郎○GS内股(GS0:39)△大石由

【決勝】
中野寛太〇GS大内返(GS0:07)△村尾三四郎

※ eJudoメルマガ版4月4日掲載記事より転載・編集しています。

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