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【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第50回

(2018年3月19日)

※ eJudoメルマガ版3月19日掲載記事より転載・編集しています。
【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第50回
教育之事天下莫偉焉 一人徳教広加万人一世化育遠及百世
出典:「個人の力と社会の力」 有効の活動 5巻5号 大正8年5月 
(『嘉納治五郎大系』4巻280頁)
 
いきなり漢字ばかりで戸惑われたかも知れません。学生時代を思い出させる懐かしの漢文です。
もちろん、師範の「ひとこと」ですから、生粋の日本人である嘉納治五郎師範の手によるものです。このままだと、意味がよく分かりませんので、まず、書き下してみましょう。すると以下のような感じになります。

 教育のこと、天下にこれより偉なるはなし。
 一人の徳教広く万人に加わり、一世の化育遠く百世に及ぶ。


だいぶ分かりやすくなったのではないでしょうか。
さらに意訳しますと、
 
 教育、世界に、これほど偉大な仕事はない。
 たった1人の人間の教えが、多くの人に影響を与えることが出来、
 その教えは、一代で消えることなく、はるか後の世まで伝えることが出来る。


筆者のカラーが少し入りすぎているかもしれませんが、当たらずとも遠からずといったところだと思います。
「柔道家」であると同時に、自らを「教育家」とした嘉納師範が語る「教育」の偉大さ、すばらしさ、がこの一文に詰め込まれています。その人が亡くなっても、その教えがのちのちの世まで生き続ける。とても雄大な話ではないでしょうか(※)。
 
嘉納師範は東京高等師範学校長在任中に、この漢文を学生に示したと言います。筆者も学生時代に知りましたが、このロマンあふれる言葉に大変感動しました。師範から直接示された学生達も同じ気持ちだったことでしょう。

ただ、この詩は「教育」のすばらしさを伝える一方で、責任の重さも表しているのではないかと思います。1人の教えが多くの人に影響を与え、後々の世まで残る。ですが、その教えが間違っていたら?あるいは良くないものだったら?それは多くの人に悪影響を与え、後世まで、それが伝わる可能性もあります。

もちろん、何が正しいか、間違っているのか、これは簡単には言えませんし、判断が難しいことも多いでしょう。ですが、いえ、だからこそ、この教育の力と、そこに発生する責任を本当に自覚したとき、人は自らを過信することなく、その生き方は謙虚で、思慮深いものにならざるを得ないのではないでしょうか。
 
とてもシンプルですが、「教育」という仕事の魅力がつまった今回の「ひとこと」。特に「教育」に関わっている方々、また、これから目指そうとする人たちに味わっていただきたいと思います。
 
 
※師範はこのような教育の事例として「孔子」をあげています。孔子が亡くなったのは、今から2500年近く前ですが、今も多くの人々がその教えを知り、学び続けています。孔子の教えは今も生き続け、我々に影響を与えていると言っても言い過ぎではないでしょう。

※読みやすさを考慮して引用は『嘉納治五郎大系』から行っています。

著者:元 敏季(ハジメ・トシキ)
1975年生まれ。柔道は中学校から始め、大学までは競技を中心に行うが、卒業論文を機に柔道の文化的側面に関心を持ち、大学院へ進学。凡そ10年、大学院・研究機関に所属するも、研究とは異なる分野の仕事に就き現在に至る。ライフワークとして嘉納治五郎に関する史料を蒐集・研究し、その成果を柔道振興のため発信しようとしている。

※ eJudoメルマガ版3月19日掲載記事より転載・編集しています。

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