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三強マッチレース構図も阿部詩交代で優勝争いは混沌、初日の個人戦で流れ掴んだのは帝京高・第40回全国高等学校柔道選手権大会女子団体戦展望

(2018年3月20日)

※ eJudoメルマガ版3月21日掲載記事より転載・編集しています。
三強マッチレース構図も阿部詩交代で優勝争いは混沌、初日の個人戦で流れ掴んだのは帝京高
第40回全国高等学校柔道選手権大会女子団体戦展望
■ 有力校
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個人戦で団体戦のレギュラー2人が優勝、一気に優勝候補最右翼に躍り出た感ありの帝京高

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夙川学院高。写真は阿部詩を欠いたまま見事優勝した水田杯時。

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若潮杯武道大会で夙川学院を破って優勝した富士学苑高

第40回全国高等学校柔道選手権大会、3人制体重別(52kg級、63kg級、無差別)で争われる女子団体戦は最終日のあす20日に行われる。

勢力図は1か月前の「シード校予想」記事(http://www.ejudo.info/newstopics/003365.html)と大枠変わらず。グランドスラムパリ優勝の52kg級阿部詩に同大会57kg級3位の金知秀、そして無差別枠に全日本カデ70kg超級優勝の吉峰芙母絵と同2位の長谷川瑞紀を擁する、昨年度大会の覇者・夙川学院高が最有力。そしてこの夙川学院高を若潮杯武道大会で破って優勝した富士学苑高(山梨)、無差別枠に絶対のエース高橋瑠璃を置く帝京高(東京)の2チームがこれを追うという構図だ。この「三強」に、ポジション被りながら63kg級の浦明澄と57kg級の古賀ひよりという2枚の札を持つ創志学園高(岡山)が絡むというところまでが優勝圏内。大成高(愛知)、桐蔭学園高(神奈川)、敬愛高(福岡)らがこれを追うグループだ。

ところが悩みに悩んだ夙川学院高・松本純一郎監督が、4月初旬に世界選手権代表最終選考会(全日本選抜体重別選手権)を控える阿部を登録から外したことで様相は変化。阿部のポジションには63kg級から体重を落とした北岡央が入り、松本監督の台詞の通り「十分優勝を狙える戦力」には違いないが、少々チームカラーが変わることとなった。金はポジション的には「階級落ち」の選手で、かつ絞って担ぐそのスタイルはどちらの選手も必ず勝利を目指さねばならない個人戦的な枷を外してハナから引き分けを狙われた場合、明らかにその取り味が減じる。大将枠の吉峰は安定感抜群だが取り味に欠け、長谷川のほうは攻撃力はある一方腰の太い大型選手には失点のリスクもまたあり一長一短。これぞ3人制の恐ろしさ、「阿部による1点は絶対確実」の状況下ではまったく隙のない最強布陣に見えた後衛2ポジションのパーソナリティが、途端に「強いは強いが具体的な得点力に欠ける」という裏面にクルリと反転してしまった印象なのだ。

この「阿部交替」にバックヤードが沸いた大会初日、畳上で俄然優勝候補筆頭としてクローズアップされることとなったのが第2シードの帝京高。今年から代表戦のレギュレーションが任意代表制から「引き分けカードの再試合」へと変更になり、本来「重量級のエース1枚が強力」な型であった帝京高は立場が悪くなるはず。しかし先鋒枠の大森生純が充実、個人戦で高橋と揃って優勝を果たしたことで、どうやら鈴木孝之監督が今季のテーマに掲げて来た「高橋だけじゃない」チームへの進化が証明された格好。いまや優勝争いの最前線アジェンダは「先鋒と大将が強いが中堅に凹みがある帝京高に対し」「中堅枠に強者を置く他強豪校がどう挑むか」にシフトした感すらある。この観点を踏まえてトーナメントを再度、見渡してみたい。

■ 組み合わせ
【Aブロック】
Aシード校:夙川学院高(兵庫)
Bシード校:桐蔭学園高(神奈川)

ベスト4入りはシード2校のいずれかが濃厚。そして阿部が不在となったことでこの準々決勝・桐蔭学園-夙川学院はいきなり接戦濃厚となった。「寝技の選手」(松本純一郎監督)である北岡央の52kg級における強さは予想し難いものがあるが、桐蔭学園の先鋒枠は決して強力ではない。おそらくここでの夙川学院の得点は織り込める。ただしここでしっかり取らぬと中堅の渡邊明日香、大将の朝飛真美とポジションが下るに従ってミッション達成の難易度はどんどん上がっていくはず。「阿部抜き」環境下における夙川学院の作戦遂行力の高さが問われる一番。朝飛の持ち技が決して「大型殺し」のそれでないこと、先鋒枠の戦力差などに鑑み、ここでは夙川学院を推すこととしておきたい。

【Bブロック】
Aシード校:大成高(愛知)
Bシード校:敬愛高(福岡)

大成は対敬愛戦までに長崎明誠高(長崎)、埼玉栄高(埼玉)と連戦する厳しい配置。いずれ敬愛との準々決勝は勝敗予想困難な接戦カード。予選で素根輝を擁する南筑高をしっかり倒した作戦遂行力の高さを買い、ここは敬愛を推しておきたい。

【Cブロック】
Aシード校:帝京高(東京)
Bシード校:名張高(三重)

四つ角シードの中ではおそらくもっとも戦いやすい配置を引いたのが帝京高。名張は78kg級の宮橋光、57kg級で個人戦ベスト4まで進んだ堂崎月華らを擁する好チーム(※堂崎はこの日登録から外れ、52kg級の牧野早姫が補充された)だが戦力厚く、かつ大将枠に高橋瑠璃をセットする帝京を崩すのは難しい。帝京が順当に準決勝進出を決めるだろう。

【Dブロック】
Aシード校:富士学苑高(山梨)
Bシード校:創志学園高(岡山)

富士学苑が3回戦で東海大静岡翔洋高(静岡)と、次いで創志学園と戦うという大激戦ブロック。ともに大将枠に流動性があるのがこのブロックのシード2校の相似点で、63kg級に結城彩乃を擁する富士学苑は大将枠に好選手を揃えながらも、若潮杯で対大型戦に適性を見せた57kg級の新井美香を大会直前に補充して大将枠に据えている。一方の創志学園は昨年度大会同様に中堅には63kg級の浦明澄、大将に57kg級の古賀ひよりを当てた。

そしてこの結城-浦、新井-古賀というカードはいずれも既に20日の個人戦で実現しており、前者は決勝で浦が体落「技有」を得て勝利、後者も3回戦で古賀がGS延長戦「指導2」で勝ち抜けている。創志学園の連勝である。

しかし結城-浦は中盤ポイントを取られてからむしろエンジンが掛かった結城が攻めに攻め、浦は「指導2」まで食らって陥落寸前。見る人によっては「指導3」負けではないかというまずい殿戦の末になんとか逃げ切ったという体で、むしろ勢いを得たのは結城の側。古賀も累積「指導」差は1つのみでしかもGS、これは団体戦では引き分けのスコアである。この2戦で明確な差がつくことを事前に計算しておくことは難しい。となると先鋒枠に藤城心という強者を置く富士学苑が優位かと思われる。長くなってしまったが、ベスト4進出には富士学苑を推したい。

【準決勝-決勝】

以降は混沌だが、総合戦力からして優位にあるのは帝京。もっとも厳しい試合は富士学苑が上がって来た場合の準決勝になるはずだ。中堅枠で富士学苑(結城)が、大将枠で帝京(高橋)の得点が有力、となるとここもやはり勝負どころは先鋒戦。大森-藤城の強豪対決の行方が、大旗の行方を左右する。

夙川学院は、北岡央の活躍がまず必須。そして金の仕事ぶりの高さは大前提として、大将枠をどう使うかが問題。登録そのまま攻撃力の高い長谷川をステイさせるのか、安定感がありどちらかというと「強い選手と分ける」ことで出世の階段を登って来た吉峰を入れるのか。阿部抜きでも優勝を争う力はあると思われるが、あと一歩の階段を登るのに必要なのは、松本監督の采配はもちろんのこと、彼が語る「阿部や金に頼らず」気持ちを前に出す試合が出来るかどうか。松本監督の言う「阿部の夙川だけでは終わらない、未来の夙川学院を作る」端緒としての優勝を勝ち取ることが出来るのか、熱戦に期待したい。


文責:古田英毅

※ eJudoメルマガ版3月21日掲載記事より転載・編集しています。

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