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グランドスラムデュッセルドルフ2018・第1日女子レポート

(2018年3月10日)

※ eJudoメルマガ版3月10日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラムデュッセルドルフ2018・第1日女子レポート
(48kg級、52kg級、57kg級)
■ 48kg級 旋風止まらず、ビロディドついにツアー4連勝
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ワールドツアー4連勝を成し遂げたダリア・ビロディド

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決勝、ビロディドがエヴァ・チェルノヴィツキから左内股「一本」

(エントリー26名)

【入賞者】
1.BILODID, Daria (UKR)
2.CSERNOVICZKI, Eva (HUN)
3.NIKOLIC, Milica (SRB)
3.CLEMENT, Melanie (FRA)
5.ERDENETSOGT, Gerelmaa (MGL)
5.CARRILLO, Edna (MEX)
7.GERSJES, Amber (NED)
7.POP, Alexandra (ROU)

階級を引っ張るアジアの強豪たちが出場せず、トーナメントの中心は地元ヨーロッパの選手たち。アジア勢が不在の影響は大きく、先々週に行われたグランドスラム・パリ大会と比べると明らかにその陣容は一段脆弱。

その中を勝ち上がって優勝を飾ったのは大本命の17歳ダリア・ビロディド(ウクライナ)。全試合一本勝ちで駆け抜けたパリ大会に続いて、今大会も準決勝以外全ての試合で「一本」を得る圧勝。ワールドツアーの連勝は「4」にまで伸びた。

ビロディドは第2シード。組み合わせに恵まれ、主な強豪が全員逆サイドに配されるという幸運なポジションから大会をスタート。もっか絶好調のこの選手が組み合わせの利まで得たとなれば、もはや止められるものはなし。まず2回戦でシンタ・ガルシア=メサ(スペイン)を畳に迎えると、警戒して腰を引く相手を上手く引き出して40秒に左小内刈「技有」、最後は左一本背負投で掛け潰れた相手を片手絞「一本」(2:59)に仕留めて初戦突破。続く準々決勝ではアレクサンドラ・ポップ(ルーマニア)に粘られて一本勝ちこそ逃したものの、開始わずか20秒で前戦と同じ作りの左小内刈で「技有」を奪取、さらに極端な防御姿勢による「指導2」を加えて危なげなくベスト4入り。準決勝でもエルデネツォグト・ゲレルマー(モンゴル)を左内股「一本」(1:11)で屠り、余裕を持って決勝進出を果たした。

決勝で待ち受けるのはヨーロッパ48kg級の第一人者である31歳エヴァ・チェルノヴィツキ(ハンガリー)。こちらは2回戦でマロリー・メフカディー(フランス)から右袖釣込腰「技有」、さらに出足払「一本」(1:38)と連取して勝ち上がると、準々決勝ではアンバー・ヘルシェス(オランダ)に右方向の「橋本スペシャル」(袖釣込腰)で一本勝ち(1:58)。準決勝のエドナ・カリーヨ(メキシコ)戦でも開始17秒に両袖の右袖釣込腰で「技有」を奪い、2分半過ぎには支釣込足「技有」を追加して合技「一本」(2:39)で快勝。久々に持ち味の力強い柔道を披露した形、オール「一本」での決勝進出である。

決勝はビロディドが左、チェルノヴィツキが右組みのケンカ四つ。チェルノヴィツキは組み際、あるいは両袖を絞っての右袖釣込腰を狙うが、ビロディドは先に引き手で襟を持つことでそれを許さない。勝負は両者「指導1」のタイスコアのままGS延長戦へともつれ込み、最後はビロディドが脇を掬いながら奥襟を得て放った左内股「一本」(GS0:31)で決着。

パリ大会での圧倒的な勝ちぶりもあって、今大会では全選手がビロディドを徹底マーク。なかなか十分な形にさせてもらえなかったが、警戒して腰を引く相手には引き出しての左小内刈、組み際の技を狙うチェルノヴィツキにはケンカ四つながら先に引き手で襟から持つ組み手と、技術的に具体的な対応策を示して勝利。勢いだけで勝っているだけではない、方法論的な引き出しの豊富さを感じさせた。決勝のチェルノヴィツキ戦で奥襟を持たれた際に見せた脆さなど年齢なりの線の細さはあるものの、現時点で少なくとも世界大会の表彰台を狙えるだけの力は十分備わっているように思われる。

大会ごとに進化を続けるビロディド、次戦ではどのような上積みを見せてくれるか非常に楽しみだ。

一方敗れたチェルノヴィツキも久々に生き生きとした戦いを見せていた。「橋本スペシャル」を導入するなどまだまだ進化の意欲旺盛、当分は若手に対する「壁」として階級の上位に座り続けることになりそうだ。

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48kg級メダリスト。左からチェルノビツキ、ビロディド、ニコリッチ、クレモン。

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準々決勝、チェルノヴィツキがアンバー・ヘルシェスに右「橋本スペシャル」で一本勝ち

【準々決勝】
エドナ・カリーヨ(メキシコ)○腕挫十字固(GS1:21)△ミリカ・ニコリッチ(セルビア)
エヴァ・チェルノビツキ(ハンガリー)○袖釣込腰(1:59)△アンバー・ヘルシェス(オランダ)
ダリア・ビロディド(ウクライナ)○優勢[技有・小内刈]△アレキサンドラ・ポップ(ルーマニア)
エルデネツォグト・ゲレルマー(モンゴル)○反則[指導3](GS1:00)△メラニー・クレモン(フランス)

【敗者復活戦】
ミリカ・ニコリッチ(セルビア)○GS技有・袖釣込腰(GS1:14)△アンバー・ヘルシェス(オランダ)
メラニー・クレモン(フランス)○反則[指導3](3:53)△アレキサンドラ・ポップ(ルーマニア)

【準決勝】
エヴァ・チェルノビツキ(ハンガリー)○合技[袖釣込腰・支釣込足](2:39)△エドナ・カリーヨ(メキシコ)
ダリア・ビロディド(ウクライナ)○内股(1:11)△エルデネツォグト・ゲレルマー(モンゴル)

【3位決定戦】
ミリカ・ニコリッチ(セルビア)○GS技有・背負投(5:14)△エルデネツォグト・ゲレルマー(モンゴル)
メラニー・クレモン(フランス)○GS反則[指導3](GS3:35)△エドナ・カリーヨ(メキシコ)

【決勝】
ダリア・ビロディド(ウクライナ)〇GS内股(GS0:31)△エヴァ・チェルノビツキ(ハンガリー)
ビロディドが左、チェルノヴィツキが右組みのケンカ四つ。チェルノヴィツキは組み際に右袖釣込腰や肩車を狙うが、ビロディドは先に引き手で相手の襟を持つことでこれを許さない。結果としてケンカ四つの両者が激しく腰を差し合う展開となり、2分8秒、ケンカ四つクロス(引き手で釣り手側の袖を持たれた状態)で潰されたビロディドに「指導1」が与えられる。これ以降も同様の攻防が続くが、試合時間の経過とともにビロディドの支配する時間が増え、本戦終了間際の3分44秒には相手の圧を嫌って伏せたチェルノヴィツキにも「指導1」。このまま試合はGS延長戦へともつれ込む。GS31秒、ビロディドは相手に絞られていた釣り手を切ると、そのまま相手の脇から腕を掬いつつ、奥襟を持って左内股。バンザイの形にまとめられてしまったチェルノヴィツキは勢いよく背中から畳に落ち、主審は「一本」を宣言する。ビロディドがワールドツアー4連勝を決めた。

※日本代表選手の出場はなし

■ 52kg級・志々目愛が圧勝V、全試合一本勝ちで他を寄せ付けず
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決勝、志々目愛がカロリナ・ピンコフスカを崩袈裟固で抑え込む

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準決勝、志々目がアストリーデ・ネトから2つ目の左内股「技有」

(エントリー20名)

【入賞者】
1.SHISHIME, Ai (JPN)
2.PIENKOWSKA, Karolina (POL)
3.LOPEZ SHERIFF, Estrella (ESP)
3.VAN SNICK, Charline (BEL)
5.GNETO, Astride (FRA)
5.MIRANDA, Erika (BRA)
7.TSCHOPP, Evelyne (SUI)
7.PERENC, Agata (POL)

ブダペスト世界選手権チャンピオンの志々目愛(了徳寺学園職)と同大会3位のエリカ・ミランダ(ブラジル)が参戦。それぞれ第2と第1シードの位置に配されており、この2名がトーナメントの中心だ。参加者のレベルはあまり高くないものの、シャーリン・ファンスニック(ベルギー)やエヴェリン・チョップ(カナダ)といった強豪も散見、シード的な序列を外した純戦闘力で言えばこれらの選手が対抗馬ポジション。

決勝に進出したのは、準決勝でミランダを破ったカロリナ・ピンコフスカ(ポーランド)と志々目。ピンコフスカはノーシードからトーナメントをスタート、1回戦ではサイヤ・バルハウス(ドイツ)を相手に開始11秒に得た片襟の低い左体落「技有」で優勢勝ち、2回戦では第4シードのアンジェリカ・デルガド(アメリカ)をラスト20秒の小内返「技有」で下してベスト8入りを決める。シード選手に勝ったことで勢いに乗ったか、準々決勝のチョップ戦では強引な隅返で「技有」を奪い優勢勝ち、さらに最大の山場となった準決勝ではトップ選手のミランダを肩車と巴投で2度投げつけて合技「一本」(2:26)を獲得する。一本勝ちこそ1試合のみだが、2回戦以降はいずれも強豪相手にアップセットを演じての決勝進出となった。

一方の志々目は現役世界王者らしい圧倒的な勝ち上がり。まず2回戦でオリティア・ゴンザレス(アルゼンチン)を開始わずか11秒の左内股「技有」から横四方固に繋いでの合技「一本」(0:34)で秒殺、続く準々決勝でもアガタ・ペレンク(ポーランド)を左小外刈「技有」と崩袈裟固「技有」の合技「一本」(0:52)で一蹴してみせる。準決勝ではアストリーデ・ネト(フランス)のガチャガチャとしたパワー柔道に少々手を焼いたものの、左内股で2度投げつけ、しっかりと合技「一本」(3:28)を得て勝利。一切危ない場面なく、王者の貫禄を見せての決勝進出となった・

決勝は左相四つ。1分間際にピンコフスカが、がっぷり四つの形から得意の隅返を仕掛けるが、志々目は落ち着いて横にずれてこれを回避。そのまま横四方固を狙い、相手が伏せると「腹包み」の形で引き込んで崩袈裟固で抑え込む。がっちりと上体を固められたピンコフスカは抗うこと叶わずそのまま20秒が経過、志々目がレベルの違いを見せつけて優勝を飾った。

この日の志々目評は「強い」の一言以外にない。ミランダが敗れたことでこれといった強敵との対戦はなかったものの、準決勝を除く全ての試合で、それも序盤に「一本」を獲得。代名詞の左内股以外にも足技、寝技とあらゆる技術の水準が高い位置にあり、周囲を全く寄せ付けなかった。

国内では阿部詩(夙川学院高2年)と代表の座を争っている志々目だが、今大会前の時点ではライバルの阿部がグランドスラム・東京とグランドスラム・パリを連勝したこと、そして、東京大会の直接対決で敗れたことによって追う立場となっていた。しかし、今大会に圧勝したことで両者の立ち位置はほとんどイーブンまで戻ったと思われる。最終的な判断は両者が揃って出場する4月の選抜体重別選手権を待つことになるが、そこでの結果に関わらず、バクー世界選手権には2名派遣となる可能性が高そうだ。

準決勝で敗れたミランダは負傷したか3位決定戦を棄権、最終成績は5位に終わった。2位を獲得したピンコフスカは相手を引き込んで寝技で勝負するポーランド選手に多いスタイル。チョップやミランダといった階級でも上位のパワー派と正面から組み合えていることから、相当な筋力を持っているものと思われる。ただし、決勝での志々目との寝技の攻防を見る限り、肝心の寝技技術がかなり甘め。今後上位に上がってこられるかについては次戦を待っての評価とすべきだろう。

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52kg級メダリスト。左からピンコフスカ、志々目、ロペス、ファンスニック。

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準々決勝、志々目がアガタ・ペレンクから左小外刈「技有」を奪取

【準々決勝】
エリカ・ミランダ(ブラジル)〇GS技有・大内刈(GS0:44)△エストレーヤ・ロペス=シェリフ(スペイン)
カロリナ・ピンコフスカ(ポーランド)○優勢[技有・隅返]△エヴェリン・チョップ(スイス)
志々目愛〇合技[小外刈・崩袈裟固](0:52)△アガタ・ペレンク(ポーランド)
アストリーデ・ネト(フランス)○反則[指導3](2:53)△シャーリン・ファンスニック(ベルギー)

【敗者復活戦】
エストレーヤ・ロペス=シェリフ(スペイン)○合技[支釣込足・隅返](3:22)△エヴェリン・チョップ(スイス)
シャーリン・ファンスニック(ベルギー)○優勢[技有・一本背負投]△アガタ・ペレンク(ポーランド)

【準決勝】
カロリナ・ピンコフスカ(ポーランド)○合技[肩車・巴投](2:26)△エリカ・ミランダ(ブラジル)
志々目愛○合技[内股・内股](3:28)△アストリーデ・ネト(フランス)

【3位決定戦】
エストレーヤ・ロペス=シェリフ(スペイン)○反則[指導3](3:33)△アストリーデ・ネト(フランス)
シャーリン・ファンスニック(ベルギー)○不戦△エリカ・ミランダ(ブラジル)

【決勝】
志々目愛○崩袈裟固(1:17)△カロリナ・ピンコフスカ(ポーランド)
決勝は左相四つ。志々目が奥襟を叩くとピンコフスカ隅返で引き込み、志々目が立ったまましっかり捌いて「待て」。続く展開、ピンコフスカが引き手で襟、釣り手で奥襟を持つと志々目応じて奥襟をガッチリ握り。圧に耐えかねたピンコフスカが隅返に体を捨てるが志々目素早く反応、ピンコフスカが蹴り上げた脚は空振りとなり、志々目はその胴に食いつき寝勝負を開始。いったんは伏せられたが、「腹包み」を続けて捲り返し「一本」。

【日本代表選手勝ち上がり】

志々目愛(了徳寺学園職)
成績:優勝


[2回戦]
志々目愛○合技[内股・横四方固](0:34)△オリティア・ゴンザレス(アルゼンチン)

[準々決勝]
志々目愛○合技[小外刈・崩袈裟固](0:52)△アガタ・ペレンク(ポーランド)

[準決勝]
志々目愛○合技[内股・内股](3:28)△アストリーデ・ネト(フランス)

[決勝]
志々目愛○崩袈裟固(1:17)△カロリナ・ピンコフスカ(ポーランド)

■ 57kg級 ネコダ・スミス=デイヴィスがオール「一本」で優勝、山本杏はまさかの計量失格
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決勝、ネコダ・スミス=デイヴィスがヘドウィグ・カラカスの左小外掛を透かして隅落「技有」を獲得、合技「一本」により優勝を決める。

(エントリー32名)

【入賞者】
1.SMYTHE-DAVIS, Nekoda (GBR)
2.KARAKAS, Hedvig (HUN)
3.CYSIQUE, Sarah Leonie (FRA)
3.LKHAGVATOGOO, Enkhriilen (MGL)
5.BOROWSKA, Anna (POL)
5.KONKINA, Anastasiia (RUS)
7.UDAKA, Nae (JPN)
7.ROPER, Miryam (PAN)

トップ選手の出場はブダペスト世界選手権3位のネコダ・スミス=デイヴィス(イギリス)のみ。ビッグタイトルであるグランドスラム・デュッセルドルフ大会としては少々物足りないトーナメントとなった。勝ち上がりの中心は日本勢2名と予想されたが、試合開始前にまさかのアクシデントが発生。山本杏(パーク24)が当日計量(対象者ランダム抽出、前日計量から5%以内の増量までを認める)に引っ掛かりまさかの失格となってしまった。

予想外の幕開けとなった本階級、決勝に勝ち上がったのは第1シードのスミス=デイヴィスと第7シードのヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)。スミス=デイヴィスは1回戦でシャディ・エブラヒム(アメリカ)を右袖釣込腰「技有」を得た末の左一本背負投「一本」(1:34)で下すと、2回戦ではハイオーネ・エキソアイン(スペイン)に「指導3」反則(GS1:12)で勝利。以降も準々決勝でルハグヴァトゴー・エンフリーレン(モンゴル)に右大外刈「一本」(1:34)、サハ=レオニー・シーシク(フランス)に縦四方固「一本」(GS1:11)と勝利を重ね、順当に決勝へと駒を進めた。

対するカラカスは1回戦でロレダナ・オフイ(ルーマニア)を「指導3」反則(3:14)で下して初戦を突破。2回戦ではイヴェリナ・イリエヴァ(ブルガリア)を浮固「技有」(GS1:24)で破ってベスト8入りを果たす。勝負どころとなった準々決勝のミリアム・ローパー(パナマ)戦では隅返で引き込んできた相手を「横三角」からの崩上四方固「一本」(1:29)に仕留めて撃破。準々決勝ではアナスタシア・コンキナ(ロシア)に終盤押し込まれながらも2分30秒に得た内股透「技有」を守り切り、優勢勝ちで決勝進出を決めた。

決勝は右相四つ。56秒にカラカスが脇を差しての支釣込足で「技有」を得ると、スミス=デイヴィスも3分30秒に右大外刈から谷落に繋いで捲り投げ「技有」を取り返す。両者「技有」を持った状態で勝負はGS延長戦へともつれ込むが、最後はスミス=デイヴィスが相手の左小外掛を隅落で透かし落として合技「一本」を獲得。オール一本勝ち(反則1試合を含む)で優勝を飾った。

優勝したスミス=デイヴィスは階級でも上位のパワーに加えて、引き手から持つ基本に忠実な組み手を行う典型的なアフリカ系ヨーロッパ選手。以前は技術の粗さをパワーで補っている印象だったが、組み手技術の向上によってこの点は改善されてきているようだ。とはいえ、この選手の強さの源泉はあくまでも体力であり、それをドルジスレン・スミヤ(モンゴル)やエレン・ルスヴォ(フランス)に通用する域まで高められるかが今後の課題だ。

日本代表の2名はともに表彰台に絡むことができず、宇髙菜絵(コマツ)が7位、山本が前述のとおり計量失格に終わった。宇髙が敗れた2試合はいずれも得意技である右大外刈を仕掛けにくいケンカ四つの左組みが相手だったが、それ以前に戦いぶりにどこか淡泊な部分があり、技術的問題や加齢による衰え以上にモチベーションの置き所が定まっていないという印象を受けた。世界を制したこともあるベテランという難しい立場だが、年齢を考えると一戦一戦が進退を掛けた勝負のはず。都度明確な目標設定が出来るかどうかが、今後の成績の分れ目になるかと思われる。

一方の山本。過去の例から考えるに強化指定取り消しまではほぼ間違いない。久々に講道館杯を制してこれから再浮上を狙っていた矢先に、非常に厳しい結果となってしまった。

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57kg級メダリスト。左からカラカス、スミス=デイヴィス、ルハグヴァトゴー、シーシク。

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1回戦、宇髙菜絵がセヴァラ・ニシャンバエワから右大外刈「一本」

【準々決勝】
ネコダ・スミス=デイヴィス(イギリス)○大外刈(1:34)△ルハグヴァトゴー・エンフリーレン(モンゴル)
サハ=レオニー・シーシク(フランス)○GS技有・小内刈(GS0:35)△宇髙菜絵
ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)○崩上四方固(1:29)△ミリアム・ローパー(パナマ)
アナスタシア・コンキナ(ロシア)○隅返(GS0:18)△アンナ・ボロフスカ(ポーランド)

【敗者復活戦】
ルハグヴァトゴー・エンフリーレン(モンゴル)○反則[指導3](GS0:40)△宇髙菜絵
アンナ・ボロフスカ(ポーランド)○片手絞(2:01)△ミリアム・ローパー(パナマ)

【準決勝】
ネコダ・スミス=デイヴィス(イギリス)○GS縦四方固(GS1:11)△サハ=レオニー・シーシク(フランス)
ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)○優勢[技有・内股透]△アナスタシア・コンキナ(ロシア)

【3位決定戦】
ルハグヴァトゴー・エンフリーレン(モンゴル)○腕挫十字固(2:04)△アナスタシア・コンキナ(ロシア)
サハ=レオニー・シーシク(フランス)〇優勢[技有・払巻込]△アンナ・ボロフスカ(ポーランド)

【決勝】
ネコダ・スミス=デイヴィス(イギリス)○GS合技[谷落・浮落](GS2:50)△ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)
右相四つ。スミス=デイヴィスは引き手から持つ基本通りの組み手、対するカラカスは相手のパワーを警戒して左構えで組み手を展開する。56秒、カラカスが右釣り手で相手の脇を差しての支釣込足で「技有」を獲得。ここからは左構えから脇を差すこの形が嵌ったことでカラカス優位の時間帯が続く。しかし、試合時間の経過とともにスミス=デイヴィスの圧がそれを上回るようになり、2分53秒、相手の組み手を嫌ったカラカスに「指導1」、これで試合の潮目が変わる。3分31秒、カラカスが伏せた際に釣り手が残り、スミス=デイヴィスは両手でこれを掴んで右大外刈からの谷落で強引に捲り投げ「技有」奪還。このまま本戦が終わりスミス=デイヴィスの「指導1」リードで試合はGS延長戦へともつれ込む。
延長戦でもカラカスは本戦同様に左構えから脇を差す形で試合を進め、スミス=デイヴィスの方も変わらず引き手から持って奥襟を狙う。組み手争いで試合が膠着した5分11秒に両者に「指導」。GS6分48秒、カラカスが組み際に強引な左小外掛で勝負に出るとスミス=デイヴィスは落ち着いてこれを透かし、ハンドル操作で浴びせ投げて隅落「技有」を獲得する。合技「一本」によりスミス=デイヴィスの優勝決定。

【日本代表選手勝ち上がり】

宇髙菜絵(コマツ)
成績:7位


[1回戦]
宇髙菜絵○大外刈(1:34)△セヴァラ・ニシャンバエワ(カザフスタン)

[2回戦]
宇髙菜絵○大外刈(0:49)△サンネ・フェルハーヘン(オランダ)

[準々決勝]
宇髙菜絵△GS技有・小内刈(GS0:35)〇サハ=レオニー・シーシク(フランス)

[敗者復活戦]
宇髙菜絵△反則[指導3](GS0:40)〇ルハグヴァトゴー・エンフリーレン(モンゴル)

山本杏(パーク24)
成績:欠場

※当日計量による


文責:林さとる/eJudo編集部

※写真は権利者の許諾を得て掲載しています

※ eJudoメルマガ版3月10日掲載記事より転載・編集しています。

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