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ベイカー茉秋と羽賀龍之介が戦線復帰、超級の代表2名はともに序盤で因縁対決組まれる・グランドスラムデュッセルドルフ2018最終日男子プレビュー

(2018年2月25日)

※ eJudoメルマガ版2月25日掲載記事より転載・編集しています。
ベイカー茉秋と羽賀龍之介が戦線復帰、超級の代表2名はともに序盤で因縁対決組まれる・グランドスラムデュッセルドルフ2018最終日男子プレビュー
(90kg級、100kg級、100kg超級)
文責:林さとる/古田英毅

■ 90kg級 ベイカー茉秋が戦線に復帰、迎え撃つ陣容は中堅の密度高し
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ベイカー茉秋はこれが五輪後初の国際大会。写真はこの間唯一出場した全日本選抜体重別選手権から。

(エントリー46名)

最大の注目ポイントはリオデジャネイロ五輪金メダリストであるベイカー茉秋(日本中央競馬会)の参戦。

迎え撃つ陣容は、トップ選手の存在感が高かったグランドスラム・パリ大会と比べてしまうと少々地味な印象。しかし、パリに続いてエントリーの第1シード選手ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)を始めとして、コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)、ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)といった第2グループの実力者が数多く参加しており、大会全体のレベルは決して低くない。むしろ、強豪の「数」では今大会の方が充実している。

ベイカーは昨年4月の選抜体重別選手権1回戦で、古傷の右肩を再び負傷。完治を目指して手術を受け、以来2017年シーズンは1度も試合に出ずに治療に専念してきた。

久々畳に姿を現すベイカー、第一の観察ポイントはこの選手を王者たらしめたタフな連続攻撃を再び見せられるかどうかだ。相手との駆け引きで生じる細かい凹みすべてに「前進・掌握」を擦り込み、常に攻撃を続ける、「汗を掻く」柔道スタイルこそが五輪金メダル奪取の因。長い休養明けでどこまでこの良い意味で燃費の悪い戦い方が貫けるか。

もう一つは、「投げを重視する」2017年以降バージョンのルールで初めて戦うベイカーに、スタイルチェンジへの志向が見えるかどうか。もともと適応力の高さが売りのこの選手が、どの方向へ自身の柔道の舵を取るのか、たとえまだ本人のイメージが明確でなくとも試合ぶりから必ずそれは垣間見えるはず。そのあたりも楽しみな観戦ポイント。

復帰第一戦とはいえ、今回の陣容であれば十分に優勝も狙えるはず。長く戦列を離れていたベイカーはノーシード配置からのスタートとなっており、2回戦で早くも第3シードのメディエフとの対戦が組まれている。長身の密着ファイターであるメディエフを相手にどのような戦いを見せるのか、まずはこの試合で仕上がり具合を確認したい。

ベイカーがほぼ1年間にわたって休養している間に、国内の90kg級ではグランドスラム・パリを圧勝で制した向翔一郎(日本大4年)や、グランドスラム東京王者の長澤憲大(パーク24)などライバルになり得る選手の台頭があった。ベイカーがバクー世界選手権を目指すためには大袈裟でなくここから先の全試合に勝利する必要があると思われ、今大会がその第一歩だ。かつてのベイカーのようなタフでパワフルな戦いぶりに期待したい。

もう一人の日本代表選手である小林悠輔(旭化成)はプールB上側の山に配置されており、3回戦で第4シードのガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)と対戦する。ガンツルガはモンゴル選手ながら二本持って戦う正統派タイプ、、決して戦いにくい相手ではないはず。最低でもここを勝ち抜いて表彰台獲得圏内であるベスト8には駒をすすめたいところだ。

【プールA】
第1シード:ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)
第8シード:ノエル・ファンテンド(オランダ)
有力選手:リ・コツマン(イスラエル)、シリル・グロスクラウス(スイス)

【プールB】
第4シード:ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)
第5シード:ツラル・サフグリエフ(アゼルバイジャン)
有力選手:ナシフ・エリアス(レバノン)、ミハイル・イゴルニコフ(ロシア)
日本代表選手:小林悠輔(旭化成)

【プールC】
第2シード:コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)
第7シード:エドゥアルド・トリッペル(ドイツ)
有力選手:ミハイル・マーチタン(UAE)、

【プールD】
第3シード:ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)
第6シード:ザッカリー・バート(カナダ)
有力選手:ヨアキム・ボットー(ベルギー)、エドゥアルド・ベットーニ(ブラジル)
日本代表選手:ベイカー茉秋(日本中央競馬会)

■ 100kg級 最終日ナンバーワンの激戦階級、復活期す羽賀龍之介は3回戦に山場
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羽賀龍之介の試合は8月のブダベスト世界選手権以来

(エントリー35名)

階級自体の層が非常に厚く、どの大会でもハイレベルなトーナメントが組まれることが恒例となっている本階級。今大会にも第1シードのヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)を筆頭に、昨年の優勝者であるトマ・ニキフォロフ(ベルギー)など世界選手権表彰台クラスの強豪が大量に参戦した。

日本の柔道ファンにとっての最大の関心事は、今大会に復活を期す羽賀龍之介(旭化成)の出来である。羽賀はまさかの2回戦敗退に終わったブダペスト世界選手権以来まだ試合を行っておらず、12月のグランドスラム東京も左肩関節炎を理由に欠場している。控えめに見ても大きく出遅れていたわけだが、ここに来てバクー世界選手権代表争いのライバルであるウルフ・アロン(東海大4年)が故障で戦線を離脱、さらに飯田健太郎(国士舘大1年)もグランドスラム東京、グランドスラム・パリと連続で表彰台を逃して事実上選考レースから脱落と、代表の座の再獲得に向けて追い風が吹きつつある。

本大会の前身であるグランプリ・デュッセルドルフ大会は羽賀が世界にその名を知られるきっかけとなった大会でもあり、羽賀としてはここで勝利して再び世界の頂点を目指す足がかりを得たいところだ。

今大会ノーシードの羽賀は3回戦で階級随一の業師であるジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)と戦わねばならない過酷な配置。とはいえ、ここさえ乗り越えれば、後はベテランのエルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)、次いで奥襟ファイターのミクロス・サーイエニッチ(ハンガリー)と比較的戦い易い相手が続いており、十分に決勝進出が可能だと思われる。

フォンセカは鋭い担ぎ技に豪快な裏投と威力のある技を複数持つ難敵であり、相手の虚を突く足技も得意。あまり長く戦うのは得策とはいえない。無駄なリスクを背負うことなく、早い段階で投げて試合を決めてしまいたいところだ。羽賀らしい豪快な内股「一本」に期待したい。

【プールA】
第1シード:ヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)
第8シード:マーティン・パチェック(スウェーデン)
有力選手:グリゴリ・ミナシキン(エストニア)、ラウリン・ボーラー(オーストリア)、イェフゲニース・ボロダフコ(ラトビア)、ルハグヴァスレン・オトゴンバータル(モンゴル)

【プールB】
第4シード:エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)
第5シード:トマ・ニキフォロフ(ベルギー)
有力選手:ホセ・アルメンテロス(キューバ)、カール=リヒャード・フレイ(ドイツ)

【プールC】
第2シード:ミクロス・サーイエニッチ(ハンガリー)
第7シード:ペテル・パルチク(イスラエル)
有力選手:ベンジャミン・フレッチャー(アイルランド)

【プールD】
第3シード:エルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)
第6シード:ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)
有力選手:ニイアズ・ビラロフ(ロシア)
日本代表選手:羽賀龍之介(旭化成)

■ 100kg超級 シード外にも強豪多数、再起を図る日本勢2名は序盤に因縁の対決組まれる
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オーバートレーニング症候群からの復活を期す原沢久喜

(エントリー32名)

シード選手の顔ぶれだけを見ると少々寂しい印象を受けるが、実はトーナメントの密度は極めて高し。今大会はシード外に強豪が多数名を連ねているのだ。

出場試合を絞っていた、不調が長引いた、あるいは実力が衰えてきた、などそれぞれ抱えるバックグラウンドは様々であるが、これら自国でじっくり爪を研いで来た実力者たちが吸い寄せられるようにこのデュッセルドルフ大会に参集。日本代表の原沢久喜(日本中央競馬会)と王子谷剛志(旭化成)を筆頭に、ファイセル・ヤバラー(チュニジア)、レナト・サイドフ(ロシア)、レヴァニ・マティアシヴィリ(ジョージア)といった選手たちがノーシードからトーナメント登攀を目指すタフなトーナメントが組みあがった。

日本勢2名は揃って序盤に因縁の対決が設定されており、ここが勝ち上がり上の最初の山場。プールB下側に配された原沢は、2回戦でブダペスト世界選手権で敗れたステファン・ヘギー(オーストリア)と、プールD上側の山に置かれた王子谷は、1回戦でアンディー・グランダ(キューバ)とそれぞれ対戦することになる。

ヘギーは原沢がブダペスト世界選手権で敗れた相手であり、その後世界ジュニア選手権で2位を獲得した若手の有望選手。前回の対戦時にはケンカ四つでガツガツと技を仕掛けるヘギーを持て余し、GS延長戦で「指導2」を奪われ苦杯を舐めることとなった。常のコンディションであれば遅れを取ることはないと思われるが、現在原沢はオーバートレーニング症候群からの復帰過程にある。本人は「もう大丈夫」との旨コメントしているが、公開稽古の内容などを子細に見る限りではこれは疑問。控えめに言って「試合をさせてみないとわからない」状態にある。

原沢は復活したのか、それとも再び試合場で固まってしまうのか。ヘギーとの再戦は、「格下で、普通であれば勝たなければいけない相手」「勝って当然、負ければ治療失敗と烙印を押される足し算要素のない試合」「あの時負けた因縁の相手」とメンタルに「来る」プレッシャー要素が満載。残酷なようだが、現在の原沢の状態を測るのはこれ以上ない状況設定かと思われる。まさに注目の一番。

一方、グランダは、マラケシュ世界無差別選手権において払腰「一本」で王子谷に勝利した選手。もともとは100kg級の中堅選手であり、はっきり言って2度連続で敗れることなど絶対に許されない相手だ。王子谷はその前進圧力こそが全ての攻撃のベースであるが、ここ最近はそれが効かずに畳上でメンタルを削られることが頻発、いまひとつ成績を残すことができていない。本大会でも結果がでなければ、もはや国内専門の強豪とすらみなされかねない自体であり、この日の畳はまさに背水の陣。気持ちの今もった戦いぶりに期待したい。

【プールA】
第1シード:スタニスラフ・ボンダレンコ(ウクライナ)
第8シード:アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)
有力選手:ヴラダト・シミオネスク(ルーマニア)、アンドレ・ブライトバルト(ドイツ)

【プールB】
第4シード:ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)
第5シード:ステファン・ヘギー(オーストリア)
有力選手:レヴァニ・マティアシヴィリ(ジョージア)、スヴェン・ハインル(ドイツ)、ヤヴァド・マージョウブ(イラン)
日本代表選手:原沢久喜(日本中央競馬会)

【プールC】
第2シード:ユーリ・クラコヴェツキ(キルギスタン)
第7シード:オール・サッソン(イスラエル)
有力選手:ファイセル・ヤバラー(チュニジア)、ミルチャ・クロイトル(ルーマニア)、レナト・サイドフ(ロシア)、ダニエル・アレルストルフェル(オーストリア)

【プールD】
第3シード:キム・スンミン(韓国)
第6シード:アダム・オクルアシヴィリ(ジョージア)
有力選手:アンディー・グランダ(キューバ)、オレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)
日本代表選手:王子谷剛志(旭化成)

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