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ワールドマスターズサンクトペテルブルグ2017・最終日男子4階級プレビュー

(2017年12月16日)

※ eJudoメルマガ版12月16日掲載記事より転載・編集しています。
ワールドマスターズサンクトペテルブルグ2017・最終日男子4階級プレビュー
(81kg級、90kg級、100kg級、100kg超級)
文責:林さとる/eJudo編集部

■ 81kg級 実力伯仲の大混戦トーナメント、優勝候補はハサン・ハルモルザエフ
(エントリー16名)

ブダペスト世界選手権の金、銀メダリストであるアレクサンダー・ビークツェルツァク(ドイツ)とマテオ・マルコンチーニ(イタリア)は、今大会も両者揃って出場を回避。ブダペスト世界選手権ではそれぞれ世界ランク124位と61位のノーマークから決勝進出を果たして世界中に大きな衝撃を与えた両者だが、結局それ以降は一度も大会に出場しないまま今年のシーズンを終えた。

大荒れとなった世界選手権に象徴されるとおり、上位から下位まで全体としてのレベルが高く、その一方で実力的に抜けた選手がいない本階級(このポジションに嵌まるのは永瀬貴規とリオデジャネイロ五輪の金メダリストであるハサン・ハルモルザエフのみである)。今大会にはそんな混戦状態の中でもワールドツアーで安定して結果を残し続けた強豪たちが出場権を得て顔を揃えた。

優勝候補の一番手はハルモルザエフ。この選手の組み手技術や内股の破壊力はやはり頭一つ抜けており、地元開催であることや3位に終わったブダペスト世界選手権からの復活を期しての出場であろうことも加味すると、相当に期待できるのではないだろうか。

以下は誰が勝ち上がってもおかしくない大混戦だが、あえて名前を挙げるのであればフランク・デヴィト(オランダ)、サイード・モラエイ(イラン)のパワーファイター2名に、オトゴンバータル・ウーガンバータル(モンゴル)とニャムスレン・ダグヴァスレン(モンゴル)のモンゴル勢2名を加えた4名が有望。どの選手も直近の大会で好パフォーマンスを見せており、今大会でも上位戦に絡んでくるはずだ。

【プールA】
第1シード:フランク・デヴィト(オランダ)
第8シード:エマニュエル・ルセンティ(アルゼンチン)
有力選手:ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)、エティエンヌ・ブリオン(神田)

【プールB】
第4シード:アラン・フベトソフ(ロシア)
第5シード:ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)

【プールC】
第2シード:サイード・モラエイ(イラン)
第7シード:ゼベダ・レフヴィアシヴィリ(ジョージア)
有力選手:ドミニク・レッセル(ドイツ)、エドゥアルド=ユージ・サントス(ブラジル)

【プールD】
第3シード:オトゴンバータル・ウーガンバータル(モンゴル)
第6シード:ニャムスレン・ダグヴァスレン(モンゴル)
有力選手:アスラン・ラッピナゴフ(ロシア)

■ 90kg級 トーナメントの軸はガク・ドンハン対ヨーロッパ勢、長澤憲大のブレイクなるかに期待
(エントリー14名)

本階級もブダペスト世界選手権の決勝進出者であるネマニャ・マイドフ(セルビア)とミハエル・ツガンク(スロベニア)が揃って欠場。2月のグランドスラム・パリ大会で壮絶な勝ちぶりで優勝を浚ったチェン・シュンジャオ(中国)もエントリーしておらず、今大会は今年度を代表するメダリストたちの競演ではなく、ワールドツアーの上位常連選手を中心に構成される渋いトーナメントとなった。

本トーナメントの主役はベカ・グヴィニアシヴィリ(ジョージア)、アレクサンダー・クコル(セルビア)、フセン・ハルモルザエフ(ロシア)、ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)ら魅力的な「投げ」を保有しているヨーロッパ勢。まずはこれらの選手による派手な投げ合いに注目したい。

その一方で、優勝争いという点で一番手に名前が挙がる選手はガク・ドンハン(韓国)だ。ガクはここのところ持ち前の泥臭さが薄れてきて以前ほど成績を残せずにいるが、担ぎ技をベースにスタミナ勝負でしぶとく戦うことができるスタイルは現在のトレンドに合致しており、かつこのタイプの選手は今回ガクしかエントリーしていない(クリスティアン・トートは体力面が弱く実はこの類型には当てはまらない)。戦術派のガクは前述の投げの威力を売りとする選手たちに対しても相性が良く、弱点であるメンタル面の脆さが出ない限りは、この選手を中心にトーナメントが進行していくはずだ。

また、本階級には日本勢からこの日唯一の出場者である長澤憲大(パーク24)がエントリーしている。組み手の上手さと投げの威力を兼ね備えた長澤は投げでヨーロッパ勢に、試合運びでガクにそれぞれ伍することができる本トーナメントの特異点的存在。パワーと密着で技術を塗りつぶしてくる面倒なグヴィニアシヴィリもトーナメントの反対側に配されており、実力を発揮することさえできれば十分決勝進出が可能なはずだ。グランドスラム東京大会で見せたような切れ味鋭い「一本」に期待したい。

【プールA】
第1シード:アレクサンダー・クコル(セルビア)
第8シード:ガク・ドンハン(韓国)
有力選手:イワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)

【プールB】
第4シード:フセン・ハルモルザエフ(ロシア)
第5シード:長澤憲大(パーク24)
有力選手:ツラル・サフグリエフ(アゼルバイジャン)、イスラム・ボズバエフ(カザフスタン)

【プールC】
第2シード:ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)
第7シード:ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)
有力選手:ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)

【プールD】
第3シード:クリスティアン・トート(ハンガリー)
第6シード:ベカ・グヴィニアシヴィリ(ジョージア)
有力選手:アクセル・クルジェ(フランス)、ヤキョー・イマモフ(ウズベキスタン)

■ 100kg級 異様な密度で強豪が配置、今大会随一の豪華トーナメント
(エントリー16名)

上位の選手層が非常に厚く、普段のワールドツアーにおいても豪華なトーナメントになることが恒例となっている本階級。ブダペスト世界選手権王者のウルフ・アロン(東海大4年)とマラケシュ世界無差別選手権準優勝者のトマ・ニキフォロフ(ベルギー)は出場していないが、出場者が絞られていることもあり、普段の豪華さをそのままに密度が極限まで高められた、見どころ満載のトーナメントとなった。優勝候補を予測することは極めて困難。今回は単に勝敗の行方を追うのではなく、お気に入りの選手を見つけてひとつひとつのハイレベルな勝負それ自体を楽しむことをお勧めしたい。

上位進出が予想される選手を簡単に紹介すると、まずは今年台頭した新興勢力としてマイケル・コレル(オランダ)とミクロス・サーイエニッチ(ハンガリー)を挙げることができる。両者とも体の強さをベースに戦う選手であるが、一本背負投の弾幕に勝負技の小内刈を混ぜてポイントを狙う耐久型のコレル、パワフルな巻き込み技で相手を根こそぎ引っこ抜くサーイエニッチとスタイルは対称的だ。

次にリオデジャネイロ五輪後の階級変更組の代表格であるヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)とキリル・デニソフ(ロシア)。リパルテリアニは巻き込み技のスペシャリスト、ブダペスト世界選手権では早くも世界2位を獲得している。一方のデニソフは階級随一の膂力を生かした昭和の日本選手のような「しっかり組んで投げる柔道」が持ち味であり、長身選手の頭を下げさせる形を得意としている。こちらもブダペスト世界選手権では早くも3位を獲得しており、今大会でも優勝候補の一角だ。

また、ロンドンーリオ期の強豪からはヨーロッパ型オールラウンダーの典型であるシリル・マレ(フランス)、リオデジャネイロ五輪銀メダリストで後の先が得意なエルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)、階級屈指の業師であるホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)らを優勝候補に挙げることができる。

可能性という観点から上記の選手を紹介させて頂いたが、今大会にはそれ以外にもブダペスト世界選手権で羽賀龍之介(旭化成)を破ったカズベク・ザンキシエフ(ロシア)やマラケシュ世界無差別選手権で王子谷剛志(旭化成)を豪快な払腰「一本」で一蹴したアンディー・グランダ(キューバ)など、書いていくとキリがないほど豪華なメンバーが揃っている。最初にも書いたが、理屈抜きでこの豪華な対戦の連続を楽しみたい、そんなトーナメントだ。

【プールA】
第1シード:マイケル・コレル(オランダ)
第8シード:シリル・マレ(フランス)
有力選手:ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)、アドラン・ビスルタノフ(ロシア)

【プールB】
第4シード:エルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)
第5シード:ヨアキム・ドファービー(スウェーデン)
有力選手:カズベク・ザンキシエフ(ロシア)、ホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)

【プールC】
第2シード:ミクロス・サーイエニッチ(ハンガリー)
第7シード:エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)
有力選手:ラウリン・ボーラー(オーストリア)、ニイアズ・ビラロフ(ロシア)

【プールD】
第3シード:ヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)
第6シード:キリル・デニソフ(ロシア)
有力選手:アンディー・グランダ(キューバ)、マーティン・パチェック(スウェーデン)

■ 100kg超級 優勝候補はグラム・ツシシヴィリ、モウラとシウバの強力ブラジル勢2枚がこれを追う
(エントリー15名)

ブダペスト世界選手権を境目にアスリートタイプの選手が主流となりつつある本階級。下記の選手リストをご覧いただければ分かるとおり、今大会にもグラム・ツシシヴィリ(ジョージア)、ダヴィド・モウラ(ブラジル)といった器用で動ける選手が多く顔を揃えた。絶対王者のテディ・リネール(フランス)はいつもどおりエントリーせず、日本勢にルカシュ・クルパレク(チェコ)、オール・サッソン(イスラエル)といった上位選手も揃って出場を回避したため、トーナメントのレベルは低めだ。

優勝候補は、袖口を握って左右に袖釣込腰を放つスタイルでリネールの牙城に迫り、今年柔道界に一大センセーションを巻き起こしたグラム・ツシシヴィリ(ジョージア)。今年の最重量級の「顔」とも呼ぶべきこの選手が1年の終わりを勝利で締めることができるのか、まずはここに注目したい。

ツシシヴィリの対抗馬となるのは、モウラとラファエル・シウバ(ブラジル)のブラジル勢2名。巴投と担ぎ技を中心とした従来の技巧派スタイルから左右に強烈な内股を打つ本格派へと変貌を遂げたモウラに、サイズをテコに前捌きで「指導」を重ねるスタイルからこちらも内股主体の本格派に戦い方を変えたシウバと、両者ともに非常に面白い進化を果たして現在上り調子。今大会でも同様の戦い方を披露するのかも含め、非常に楽しみだ。

その他、現在密かにブレイクの兆しを見せているマチェイ・サルナツキ(ポーランド)にも注目したい。

【プールA】
第1シード:ダヴィド・モウラ(ブラジル)
第8シード:アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)
有力選手:バトトルガ・テムーレン(モンゴル)

【プールB】
第4シード:スタニスラフ・ボンダレンコ(ウクライナ)
第5シード:ユーリ・クラコヴェツキ(キルギスタン)
有力選手:ロイ・メイヤー(オランダ)、マチェイ・サルナツキ(ポーランド)

【プールC】
第2シード:グラム・ツシシヴィリ(ジョージア)
第7シード:アレックス・ガルシア=メンドーサ(キューバ)
有力選手:アントン・クリヴォボコフ(ロシア)
日本選手:アリアクサンドル・ヴァハヴィアク(ベラルーシ)

【プールD】
第3シード:ラファエル・シウバ(ブラジル)
第6シード:ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)
有力選手:ウサンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)

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