PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

平成29年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会第1日男子4階級レポート

(2017年11月28日)

※ eJudoメルマガ版11月28日掲載記事より転載・編集しています。
平成29年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会第1日男子4階級レポート
(60kg級、66kg級、73kg級、81kg級)
■ 60kg級 大混戦を宮之原誠也が制す、高校王者市川龍之介がベスト4進出の健闘
eJudo Photo
60kg級3回戦、宮本拓実が志々目徹を攻める

eJudo Photo
市川龍之介がベスト4まで進出。高校生らしい思い切った攻めで会場を沸かせた。

(エントリー37名)

第1シードの志々目徹(了徳寺学園職)が3回戦で敗退。初戦の荒井大嗣(東芝)戦から動き冴えず試合時間実に6分30秒を擁しての「指導1」対「指導2」勝ちという辛勝だったが、続く宮本拓実(自衛隊体育学校)戦を迎えてもペースを取り戻せず。1分25秒に相手のミスで袖口の「指導」を得たものの、1分51秒、3分40秒、そしてGS延長戦51秒とすべて消極的との咎で「指導」を失って終戦となった。今季国際大会2度優勝の実績が評価されたかグランドスラム東京代表には滑り込んだが、以後の展望開けたとは言い難い大会だった。

この日全階級を通じた前半戦の主役はこの60kg級に出現、高校カテゴリで3度の全国制覇歴を誇る市川龍之介(習志野高3年)が3勝を挙げてベスト4まで駒を進めた。初戦から2010年度大会王者川端龍(センコー)とマッチアップするという非常に厳しい組み合わせだったが、この試合は本戦終盤からペースアップして立て続けにまず2つの「指導」を獲得。GS1分46秒には相手を場外際まで追い込み、川端が一瞬踏みとどまったところに得意の払巻込を呉れて「技有」奪取、見事初戦突破を決めた。続いて3回戦では今季の実業王者で高校の先輩でもある優勝候補・青木大(パーク24)をGS延長戦の大内刈「技有」(GS5:36)で破りまたもや大物食い達成、準々決勝では前戦で大島拓海(筑波大3年)を破った樋口裕大(天理大2年)の腕に両足で絡みつく「ホイジンガロール」(サンボでは「コーレイカ」)からの崩袈裟固に仕留めて一本勝ち(3:46)。ついに辿り着いた準決勝では山本達彦(東海大2年)の一本背負投「技有」に屈し、3位決定戦でも宮本拓実に小内巻込「技有」で敗れて表彰台こそ逃したが、世代間の実力差が大きい軽量級で高校生が講道館杯準決勝進出は快挙。新星出現を予感させる快進撃だった。

eJudo Photo
準決勝の大島優磨戦を戦う宮之原誠也。

eJudo Photo
準決勝、山本達彦が市川龍之介から一本背負投「技有」

というわけで第1シード扱いの志々目、第2シード配置の青木が早々に敗れるという荒れたトーナメントを決勝まで勝ち上がったのは宮之原誠也(国士舘大4年)と、山本達彦の2人。

今季の学生体重別王者・宮之原は2回戦から登場、まず北村龍虎(自衛隊・大村)から3つの「指導」を奪って初戦を突破(3:23)、勝負どころと目された3回戦では木戸慎二(パーク24)からGS延長戦でこれも「指導3」の反則で勝利、準々決勝は宮本拓実を総試合時間9分に迫る消耗戦の末に「指導2」(GS4:45)で下し、準決勝も大島優磨(旭化成)をGS延長戦「指導3」(GS3:15)で下す。初戦からここまでの全試合をすべて「指導」で勝ち切るというしぶとい戦いぶりで、初の講道館杯決勝進出決定。

一方の今季全日本ジュニアで3位入賞の山本は久々のブレイクと呼ぶべき、出色の出来。1回戦で五味佳将(日本体育大4年)を「指導3」で破ると、2回戦は小西誠志郎(国士舘大1年)から大外刈「技有」優勢、そして3回戦はユニバーシアード王者藤阪泰恒(國學院大3年)を開始わずか19秒の袖釣込腰「一本」に屠り、準々決勝も田中崇晃(ALSOK)を小内巻込「一本」(0:09)で「秒殺」。準決勝では前述の通り市川龍之介の挑戦を一本背負投「技有」で弾き返して決勝進出を決めた。全国中学大会と全日本カデ選手権に続き、この決勝でシニアの全国タイトルを獲得して一気の出世を目指す。

eJudo Photo
決勝は本戦終盤から宮之原が加速、肘抜きの左背負投で攻める

eJudo Photo
GS延長戦、宮之原の横落が決まり「技有」

eJudo Photo

【決勝】
宮之原誠也(国士館大4年)○GS技有・横落(GS0:57)△山本達彦(東海大2年)

決勝は宮之原が左、山本が右組みのケンカ四つ。引き手争いを縫って山本が右内股、応じた宮之原も左内股で攻め返すがともに効なし。1分27秒には宮之原に「取り組まない」咎で「指導」が与えられて形上スコアに差が生まれたものの試合の様相は一進一退、山本が右背負投、宮之原が左大内刈と左内股を繰り出しての拮抗が続く。
残り1分半を切るあたりから宮之原がやや加速。2分46秒には鋭い小外刈で山本にたたらを踏ませ、場外へと弾き出す。続いて袖口をしっかり握って投げを打つ体勢を整えると、危機を感じた山本がいったん自ら潰れて展開を切り、直後山本に消極的との咎による「指導」。

奮起した山本は組み際に左背負投を放っていったん展開を押し戻す。その後は腰の入れ合いによる拮抗が続き、スコア動かぬまま試合はGS延長戦へ。

延長戦は宮之原が出足払を撃ちながら前進してまず主導権を確保。左大内刈から肘抜きの左背負投と繋いで流れを引き寄せると、57秒に勝負技の横落で山本の懐に飛び込む。低く回して決め切ったこの技は「技有」。熱戦はこれで決着、宮之原が学生体重別に続いて講道館杯も制することとなった。

eJudo Photo
初優勝の宮之原誠也。

eJudo Photo
60kg級入賞者。左から山本達彦、宮之原誠也、宮本拓実、大島優磨。

【入賞者】
優 勝:宮之原誠也(国士館大4年)
準優勝:山本達彦(東海大2年)
第三位:宮本拓実(自衛隊体育学校)、大島優磨(旭化成)

【グランドスラム東京日本代表選手】
髙藤直寿(パーク24)、永山竜樹(東海大4年)、宮之原誠也(国士館大4年)、志々目徹(了徳寺学園職)

宮之原誠也選手のコメント
「最高としか言えないです。前に出るしかない、下がったらやられると思い、今日はどんどん前に出て戦いました。(-決勝で技を決めた瞬間は?)最高でした(笑)。(-グランドスラム東京について)国際大会には全然出たことがないので頑張りたいです。五輪が目標ですが、まずこれから出る試合ひとつひとつを頑張っていきたいです。」

【準々決勝】
宮之原誠也(国士館大4年)○GS指導2(GS4:45)△宮本拓実(自衛隊体育学校)
大島優磨(旭化成)○横四方固(1:49)△米村克麻(日本体育大4年)
市川龍之介(習志野高3年)○崩袈裟固(3:46)△樋口裕大(天理大2年)
山本達彦(東海大2年)○小内巻込(0:09)△田中崇晃(ALSOK)

【敗者復活戦】*
宮本拓実○小内巻込(0:15)△米村克麻
田中崇晃○GS小内巻込(GS0:33)△樋口裕大

【準決勝】
宮之原誠也○GS反則[指導3](GS3:15)△大島優磨
山本達彦○優勢[技有・一本背負投]△市川龍之介

【3位決定戦】
宮本拓実○優勢[技有・小内巻込]△市川龍之介
大島優磨○上四方固(4:00)△田中崇晃

【決勝】
宮之原誠也○GS技有・横落(GS0:57)△山本達彦

■ 66kg級 丸山城志郎が4年ぶりの優勝飾る
eJudo Photo
66kg級準々決勝、田川兼三が昨年度の覇者磯田範仁から変則の背負投で「技有」

(エントリー34名)

人材多き激戦階級。Aシード扱いであった髙市賢悟(旭化成)が欠場したことでトーナメントに若干の偏りが出たが、それでも各ブロックに核となる人材が2枚、3枚と注ぎ込まれて激戦模様に変わりはなし。

そんな中、この1年国際大会派遣グループの一員として活躍を続けて来た昨年の準優勝者・橋口祐葵(パーク24)が初戦敗退。2回戦で奥田将基(日本大2年)を相手に残り32秒で大内刈「技有」失陥、これを取り戻せずに早々に畳を後とすることになった。
竪山将(パーク24)も学生カテゴリの強者末木貴将(筑波大4年)との注目対決をGS延長戦「指導2」(GS4:57)で落として初戦敗退、学生体重別2位の木戸清孝(天理大4年)も2回戦で阿河夢斗(埼玉大4年)に「指導3」の反則負け(GS1:56)、昨年度大会3位の藤阪太郎(大阪府警察)も準々決勝で牧野壮一郎(天理大3年)の大内刈「一本」(3:15)に屈し敗者復活戦へと回ることになった。

まさにサバイバルと呼ぶべきこの厳しい様相の中、ついに連覇を狙う磯田範仁(国士舘大4年)までが準々決勝で本戦トーナメントから脱落。決勝には田川兼三(筑波大3年)と丸山城志郎(ミキハウス)の2人が進むこととなった。

田川は2回戦で佐々木貴大(兵庫県警察)にGS延長戦の一本背負投「技有」(GS2:28)で勝利。強敵浅利昌哉(東海大4年)を畳に迎えた3回戦はこれもGS延長戦の末に内股「一本」(GS0:54)で見事勝ち抜け、準々決勝では10月末の学生体重別団体で敗れている磯田範仁にGS延長戦の背負投「技有」(GS0:28)でリベンジを果たし、準決勝は髙市の消えた山から勝ち上がった牧野壮一郎を一本背負投「技有」で破って決勝進出決定。

eJudo Photo
準決勝、丸山城志郎が髙上智史を左内股で崩す。

逆側の山からは久々実力発揮の丸山城志郎(ミキハウス)が勝ち上がり。初戦(2回戦)は長谷川雷(筑波大3年)から巴投「技有」による優勢で勝利、3回戦は久間康寛(警視庁)からまず袖釣込腰「技有」先行、直後内股返で「技有」を失ったがここから立て続けに3つの「指導」をもぎ取って強引に勝ち抜け (3:22)。準々決勝は橋口の消えた山から勝ち上がった長倉力斗(山梨学院大2年)を「指導3」の反則(3:25)で退け、勝負どころの準決勝は髙上智史(旭化成)を袖釣込腰「技有」で破って2年ぶりの講道館杯決勝の畳へとたどり着いた。

eJudo Photo
丸山と田川による決勝。序盤は足技の攻防が続く。

eJudo Photo
本戦終盤、丸山が左内股で田川を大きく崩す。

eJudo Photo
丸山の腰車が綺麗に決まって「技有」

eJudo Photo

【決勝】
丸山城志郎(ミキハウス)○GS技有・腰車(GS0:44)△田川兼三(筑波大3年)

決勝は田川が右、丸山が左組みのケンカ四つ。
引き手争いの中、互いに片手で足を飛ばしあうという形で序盤戦が推移。互いに組み手厳しく隙見当たらず、1分7秒主審が試合を止めて双方に片手の咎による「指導」を宣告。

以降も試合は拮抗。1分36秒、丸山の左内股をきっかけに田川が「巴十字」を見せるも丸山立ったまま見送り「待て」。1分50秒、田川が背中を抱えると丸山が潰れ、田川が腹を包んで抑え込みを狙うが果たせず「待て」。2分42秒、田川が抱きつきの小外刈を試みると丸山は場外に出ながら左腰車、しかし一瞬腰に乗りかけた田川は両足で着地して事なきを得「待て」。

最終盤、丸山が引き手で袖を得るなり左内股。丸山独特の頭を極端に早く下げるこの一撃で田川縺れたまま縦に一回転するが、膝から畳に落ちてノーポイント。結局両者の攻撃ポイントないまま本戦4分が終了し、試合はGS延長戦へ。

延長戦開始早々、決着を企図した田川が釣り手で脇を差すが丸山冷静に捌き、田川の奥襟に反応して鋭い巴投。田川は膝から落下して「待て」、ここに至って丸山が主導権を握りつつある印象。

43秒、丸山が引き手で横襟を高く持つ強気の組み手。危機を感じた田川が丸山の釣り手を絞ると、丸山絞らせたままこれを持ち替える動作に合わせて左腰車。組み手争いの動作に混ぜ込んだ確信に満ちた一撃、絞らせた袖を切る動作から投げ、決めとまったく淀みなく、糸を引くような軌道で決まった一撃は「技有」。

これで試合は決着。丸山が平成25年大会以来、4年ぶり2度目の講道館杯制覇を成し遂げることとなった。

大混戦は終盤戦も変わらず。敗者復活戦では藤阪太郎が前年度王者磯田範仁を内股「技有」で破り、その勢いを駆って3位決定戦では髙上智史をも撃破。結果、磯田と高上が表彰台から零れ落ちるという意外な形で大会は幕、3位には藤阪と末木が入賞することとなった。

eJudo Photo
66kg級優勝の丸山城志郎

eJudo Photo
66kg級入賞者。左から田川兼三、丸山城志郎、藤阪太郎、末木貴将。

【入賞者】
優 勝:丸山城志郎(ミキハウス)
準優勝:田川兼三(筑波大3年)
第三位:藤阪太郎(大阪府警察)、末木貴将(筑波大4年)

丸山城志郎選手のコメント
「大学2年生で優勝して、大けがして色々なことがあった。ここがスタート。ここを勝たないと次はないと思って必死で戦いました。(-決勝について?)ここまで勝ち上がってくれば、実力的にはほぼ一緒、気持ちの問題になってきます。気持ちで負けないように戦いました。(-世界チャンピオンの阿部選手は不在でしたが?)阿部選手に直接勝って代表に選ばれないと意味がない。そのために、これからも頑張っていきたい」

【グランドスラム東京日本代表選手】
阿部一二三(日本体育大2年)、丸山城志郎(ミキハウス)、田川兼三(筑波大3年)、磯田範仁(国士舘大4年)

【準々決勝】
田川兼三(筑波大3年)○GS技有・背負投(GS0:28)△磯田範仁(国士舘大4年)
牧野壮一郎(天理大3年)○大内刈(3:15)△藤阪太郎(大阪府警察)
丸山城志郎(ミキハウス)○反則[指導3](3:25)△長倉力斗(山梨学院大2年)
髙上智史(旭化成)○GS技有・小内刈(GS2:51)△末木貴将(筑波大4年)

【敗者復活戦】
藤阪太郎○GS技有・内股(GS3:57)△磯田範仁
末木貴将○出足払(3:45)△長倉力斗

【準決勝】
田川兼三○優勢[技有・一本背負投]△牧野壮一郎
丸山城志郎○優勢[技有・袖釣込腰]△髙上智史

【3位決定戦】
藤阪太郎○三角絞(1:01)△髙上智史
末木貴将○優勢[技有・背負投]△牧野壮一郎

【決勝】
丸山城志郎○GS技有・腰車(GS0:44)△田川兼三

■ 73kg級 立川新が連覇達成、新鋭野上廉太郎が決勝進出で会場沸かす
eJudo Photo
73kg級2回戦、海老沼匡が福岡克仁から背負投「技有」

eJudo Photo
準決勝、立川新が海老沼を腕挫十字固「一本」に仕留める。

(エントリー31名)

世界選手権3度制覇の海老沼匡(パーク24)と、2010年世界選手権王者森下純平(福井県体育協会)と66kg級の金メダリスト2人が階級を上げて参加。久々檜舞台を踏んだ森下は初戦で込山龍哉(東海大3年)に「指導3」(2:44)の反則で敗れたが、海老沼は2回戦で福岡克仁(日本大3年)から52秒に背負投で「技有」、2分13秒にも両襟の背負投「技有」を追加するとそのまま横四方固に抑え込んで一本勝ち、続く3回戦では島田隆志郎(國學院大2年)から「技有」を奪って(直後島田の「ブリッジ反則負け」に訂正)勝利と、今が旬の学生カテゴリの強者2人を全く相手にせぬ圧倒的な強さを披露してベスト8入り。準々決勝では8月の実業個人選手権で壮絶な投げ合いを演じた竹内信康(新日鐵住金)と再戦、1分53秒に内股透で「技有」を奪われたが、残り50秒の腰車「技有」と残り26秒の隅返「技有」で逆転、同大会のリベンジを果たして準決勝進出を決める。

迎えた準決勝では2連覇を狙う立川新(東海大2年)と対戦。この試合海老沼は開始から攻めに攻めまくり、本戦は海老沼の「指導1」リードで終了。しかしGS延長戦開始とともに立川は明らかにペースを上げ、攻め疲れたか海老沼は置き去り。勢いを得た立川はGS46秒に腕挫十字固、海老沼は腕を与えたまま立ち上がって試合を切ろうとしたが立川の巧みな体捌きに再び膝を着き陥落。「参った」を表明し、ここで本戦トーナメントから脱落することになった。

海老沼、続く3位決定戦は込山龍哉から一本背負投で「技有」「一本」と連取して快勝。階級変更1シーズン目で講道館杯3位とさすがの成果を挙げた。グランドスラム東京の代表には選出されなかったが、73kg級デビューとなった8月の実業個人に比べると明らかにパフォーマンスが上がっており、順応のほどは明らか。4月の全日本選抜体重別が楽しみになる、逞しい戦いぶりであった。

eJudo Photo
準々決勝、野上廉太郎が込山龍哉から一本背負投「技有」

eJudo Photo
野上は準決勝の吉田優平戦を出足払「技有」で突破。

決勝に進んだのは立川新と、野上廉太郎(筑波大1年)の大学生2名。

立川は2回戦でインターハイ王者村上優哉(神戸国際大附高3年)を「指導3」の反則(2:40)で退ける順調な立ち上がり。準々決勝では前戦で全日本ジュニア王者石郷岡秀征(筑波大1年)を一本背負投「一本」(3:18)に屠った大吉賢(日本体育大1年)をGS延長戦「指導2」(GS2:43)で下し、準決勝は前述の通り海老沼匡に一本勝ち。持ち前の組み力の強さと試合運びの巧さを遺憾なく発揮しての決勝進出。

一方1年生で全日本学生柔道大会を制したばかりの野上は、素晴らしい内容での勝ち上がり。2回戦で村上洋平(大阪府警察)から払腰「技有」の優勢、3回戦は渡部甲誠(天理大2年)を大腰「一本」(2:14)、準々決勝は込山龍哉を一本背負投「技有」で下し、吉田優平(東海大3年)との準決勝も出足払「技有」で突破。全日本ジュニア(2位)、全日本学生体重別(優勝)に続く3大会連続、初の講道館杯決勝の畳へと勝ち残ることとなった。

eJudo Photo
決勝、立川が引き手で袖を制すると野上は膝を屈して回避。

eJudo Photo
野上は組み際の技に活路を見出し、袖釣込腰に大外刈と大技を連発。

eJudo Photo

【決勝】
立川新(東海大2年)○反則[指導3](3:04)△野上廉太郎(筑波大1年)

決勝は立川、野上ともに左組の相四つ。
立川は組み手のコントロールと圧力を徹底。引き手で袖を得ては釣り手で奥襟、あるいは片襟を掴んで野上に攻撃の端緒を与えない。野上不利をかこちながらも左小内刈で応戦を試みるが、32秒に立川が引き手で袖を内側に押し込むとたまらず膝を屈して「待て」。直後、組み手の練度の差を感じたか野上は過程を飛ばして奥襟を叩きに出るが、相手が良く見えている立川は両手を素早く動かしてこれをさせず。

立川の奥襟圧力が効いて野上の頭が下がると、57秒「極端な防御姿勢」の咎による「指導」。

組み手の完成を待っては勝ち目なしとみたか、野上は離れたところから立川に組み合いを誘い、右を得るなり右袖釣込腰を一撃。立川はこれを伏せて耐え、勢いを得た野上は直後の組み際に思い切った左大外刈を放つ。これは立川がその強い体を生かして大外返に切り返したが、一発の可能性を見せた野上がやや陣地を取り返した印象。

立川はしかし慌てず片襟を起点に丁寧にアプローチ、釣り手で奥襟を持つところまで手を進めると野上は思わず首を抜いてしまい、1分56秒に2つ目の「指導」。この攻防に感触を得たか、以降立川は奥襟を掴んでは支釣込足で浅く蹴り、野上の「首抜き」のミスを誘いに掛かる。我慢を強いられた野上、あるいは反則かという微妙な形もあったがしかしなんとかこの時間帯を乗り切り、2分43秒には遠間から一気に詰めての左大内刈。軸足の膝を着いたまま投げ切りに掛かると、立川伏せてポイントを回避「待て」。

eJudo Photo
立川の巧みな組み手に野上は「首抜き」を強いられる。

eJudo Photo
「指導3」宣告で試合終了。野上はうなだれる。

立川の巧みな組み手に対し、野上が組み際の技で対抗したというここまでの構図であったが、続くシークエンスでこの試合は幕。立川がクロス組み手を起点に奥襟を得、あたかも「抜いてみろ」とばかりに腕を動かして相手を誘うと、いわば抜きやすい位置でプレッシャーのみを受けた野上思わずこの下をくぐってしまい、主審は試合をストップ。首抜きの咎で3つ目の「指導」を宣告し、立川の勝利が決まった。

立川は講道館杯2連覇達成。世界王者を相手に攻め疲れを待って延長戦で一気にギアを上げた準決勝、勢いのあるニューカマーを巧みな組み手で退けた決勝と、試合運びの巧さ、そしてこれを可能ならしめる組み力の強さが際立った大会だった。

一方の野上、敗れはしたものの素晴らしい試合ぶりだった。今期は全日本ジュニア準優勝を経て1年生で大学王者の座を得、10月の学生体重別団体でも斬り込み隊長として勝ちまくって筑波大の快進撃を支えた。そしてこの日はなんと講道館杯でファイナル進出。野上が本格的に世に出たのは昨年のインターハイ制覇であったが、わずか1年余でのここまでの出世を誰が予想しえたであろうか。その華のある戦いぶりも加味して、現時点では全階級を通じた今年の「新人王」の称号を与えて良いのではないだろうか。グランドスラム東京での活躍にも大いに期待したい。

eJudo Photo
2連覇達成の立川新。

eJudo Photo
73kg級入賞者。左から野上廉太郎、立川新、吉田優平、海老沼匡。

【入賞者】
優 勝:立川新(東海大2年)
準優勝:野上廉太郎(筑波大1年)
第三位:吉田優平(東海大3年)、海老沼匡(パーク24)

【グランドスラム東京日本代表選手】
橋本壮市(パーク24)、立川新(東海大2年)、野上廉太郎(筑波大1年)、大野将平(旭化成)

立川新選手のコメント
「上に2人いるので、ここではやはり負けられない。しっかり勝とう、と戦いました。決勝は受けをきちんとすれば自分の組み手になれる、と投げられないことを意識してやりました。去年はしんどい勝ちでしたが、今年は落ち着いて試合ができたと思います。これからしっかり海外で成績を残して、(大野将平、橋本壮市との)直接対決に挑みたいです」

【準々決勝】
立川新(東海大2年)○GS指導2(GS2:43)△大吉賢(日本体育大1年)
海老沼匡(パーク24)○優勢[技有・隅返]△竹内信康(新日鉄住金)
吉田優平(東海大3年)○GS崩上四方固(GS0:42)△細木智樹(皇宮警察)
野上廉太郎(筑波大1年)○優勢[技有・一本背負投]△込山龍哉(東海大3年)

【敗者復活戦】
竹内信康○優勢[技有・内股透]△大吉賢
込山龍哉○腕挫十字固(3:10)△細木智樹

【準決勝】
立川新○腕挫十字固(GS0:46)△海老沼匡
野上廉太郎○優勢[技有・出足払]△吉田優平(

【3位決定戦】
吉田優平○背負投(0:58)△竹内信康
海老沼匡○一本背負投(3:48)△込山龍哉

【決勝】
立川新○反則[指導3](3:04)△野上廉太郎

■ 81kg級 若武者佐々木健志が圧勝V、決勝は小原拳哉からあっという間の「一本」
eJudo Photo
81kg級3回戦、中矢力が藤原崇太郎から隅落「技有」先行。

eJudo Photo
藤原が小外刈「一本」で勝ち越し、中矢はここで敗退が決まった。

(エントリー34名)

ブタペスト世界選手権で膝を負傷した永瀬貴規が戦線離脱。グランドスラム東京の出場枠が丸々「4」残ったこの混戦階級にあって、さらに第1シードの渡邉勇人(了徳寺学園職)が負傷欠場。

そんな中、もと73kg級世界選手権の覇者・中矢力の81kg級挑戦が注目を集めた。中矢は1回戦で笠原大雅(天理大1年)を巴投「技有」優勢、2回戦は賀持喜道(桐蔭学園高2年)から片羽絞「一本」(3:38)で勝利と貫録を見せたが、入賞決定ラウンドまであと一歩の3回戦で藤原崇太郎(日本体育大1年)に敗戦。中矢らしい巧みな体捌きの隅落「技有」でリードしたが、ここから隅落「技有」を失い、迎えたGS延長戦22秒に左小外刈「一本」で逆転負けを喫した。

eJudo Photo
準決勝、小原拳哉が糸井滉平から小内巻込「技有」。

eJudo Photo
準決勝、佐々木健志が佐藤正大から横四方固で2つ目の「技有」。

まさしく大混戦、リセット状態からのスタートとなった今大会を決勝まで勝ち上がったのは小原拳哉(パーク24)と佐々木健志(筑波大3年)の2名。

小原は学生カテゴリの実力者・山下恭平(日本大4年)を「指導3」で破って大会をスタート。続く3回戦は今季のインターハイ王者奥田將人(京都学園高3年)を大外刈「一本」(1:07)で退け、準々決勝では前戦で春山友紀(自衛隊体育学校)を下している北浦大基(兵庫県警察)から小外刈「技有」で勝利。準決勝では第1シードの渡邉が消えたブロックから、準々決勝で学生王者山本悠司(天理大4年)を破って勝ち残った糸井滉平(大阪府警察)をGS延長戦の小内巻込「技有」(GS3:54)で下して決勝進出を決めた。

一方の佐々木は初戦で優勝候補の丸山剛毅(パーク24)を内股透「技有」から腕挫十字固「一本」(2:20)に仕留めるという素晴らしい立ち上がり。3回戦は釘丸将太(国士舘大3年)から背負投と隅落で2つの「技有」を挙げて勝ち抜け、準々決勝は藤原崇太郎から小外刈「技有」に大内刈「一本」(1:46)と立て続けに奪って快勝、準決勝も佐藤正大(自衛隊体育学校)から背負投「技有」に横四方固「技有」と連取するという凄まじい勝ちぶり。勢いに乗って一気の講道館杯制覇を狙う。

eJudo Photo
決勝で見せた佐々木の美技。内股透から淀みなく腕挫十字固に繋ぎ「一本」

eJudo Photo

eJudo Photo

eJudo Photo

【決勝】

佐々木健志(筑波大3年)○腕挫十字固(0:45)△小原拳哉(パーク24)

決勝は小原が左、佐々木が右組みのケンカ四つ。佐々木が体を預けるように前に出て圧を掛け、小原が抗すると鋭い巴投で先制攻撃。これはもろとも転がり「待て」。
40秒過ぎに小原が左内股。しかし佐々木は体捌き良く空中で透かすと、着地と同時に流れるように腕挫十字固。この初動の良さで勝負あり、出遅れた小原は抗えず腕を伸ばされ無念の「参った」表明。佐々木が5戦3一本勝ち、すべての試合で攻撃ポイントを挙げるという素晴らしい出来で講道館杯初制覇を成し遂げた。

担ぎが利いて寝技が得意、かつ小さく強い体を生かしたスピードと連続攻撃がベースという佐々木の柔道は、国際大会における81kg級のシーンでは異色。十分海外勢に噛み合う可能性があり、混戦状態のワールドツアーに送り込む人材としては実に面白い。グランドスラム東京での大暴れを期待せずにはいられない。

【入賞者】
優 勝:佐々木健志(筑波大3年)
準優勝:小原拳哉(パーク24)
第三位:山本悠司(天理大4年)、糸井滉平(大阪府警察)

佐々木健志選手のコメント
「今年は学生体重別選手権も、団体(学生体重別団体優勝大会)も勝てなかったけど、最後に勝ててうれしい。決勝は、こんなに早く決まると思っていませんでした。立ち(技から)寝(技への移行)は得意なので、チャンスを逃さず行けて良かった。長所を生かせたと思います。次は、シニアの大会、国際大会でしっかり活躍したい。」

eJudo Photo
81kg級優勝の佐々木健志。

eJudo Photo
81kg級入賞者。左から小原拳哉、佐々木健志、山本悠司、糸井滉平。

【準々決勝】
糸井滉平(大阪府警察)○優勢[技有・背負投]△山本悠司(天理大4年)
小原拳哉(パーク24)○優勢[技有・背負投]△北浦大基(兵庫県警察)
佐藤正大(自衛隊体育学校)○優勢[技有・背負投]△長島啓太(日本中央競馬会)
佐々木健志(筑波大3年)○大内刈(1:46)△藤原崇太郎(日本体育大1年)

【敗者復活戦】
山本悠司○優勢[技有・大内刈]△北浦大基
長島啓太○上四方固(4:00)△藤原崇太郎

【準決勝】
小原拳哉○GS技有・小内巻込(GS3:54)△糸井滉平
佐々木健志○優勢[技有・背負投]△佐藤正大

【3位決定戦】
山本悠司○GS反則[指導3](GS3:25)△佐藤正大
糸井滉平○GS技有・内股返(GS2:27)△長島啓太
※本戦両者反則負け(3:49)によりGS延長戦実施

【決勝】
佐々木健志○腕挫十字固(0:45)△小原拳哉

取材・文:古田英毅

※ eJudoメルマガ版11月28日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.