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【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第42回

(2017年11月20日)

※ eJudoメルマガ版11月20日掲載記事より転載・編集しています。
【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第42回
同じ力を働かせるにしても、どれだけは職務のため、どれだけは自己の修養のため、どれだけは家族のため、または社会のためとか、それぞれ力の配り方を考え、しかもその用いる一切の力を少しも過誤のないように使わなければならぬ。
出典:「立身栄達の捷径」 有効の活動 5巻2号 大正8年(1919)2月
(『嘉納治五郎大系』2巻68頁)

過去のことを知ろうとする「歴史研究」。

この歴史研究に欠かせないのが<史料>ですが、その中でも、特に貴重とされるものが、直筆による原稿や手紙、日記です。研究が進んでいる分野では、この史料の発掘・整理が進んでいます(史料がしっかり残っているからこそ、研究が進んでいるということもあるかもしれませんが・・・)。

さて、我らが嘉納治五郎師範ですが、同時代の著名人と比べた時、そういった整理が進んでいるとは言えません。その膨大な著作は『嘉納治五郎大系』という全集形式にまとめられていますが、もれた史料も多数あることが、近年明らかになっています。また、師範直筆の史料も含まれておらず、一般の人は接することが難しいのが現状です。

ただ、個人的に収集した師範の貴重な史料を公開し、多くの方々に見てもらおうとする人もいます。そういった趣旨から公開された史料の中に、師範が家族にあてたハガキ類があります。発信元は国内はもちろん、海外からのものも。また内容もひとこと、ふたことのものから、数行にわたるものまで存在します。

今のようにメールはもちろん電話も普及していなかった時代、主な連絡手段であったと思われる手紙。出先からでも家族のことを忘れず、常に気遣っていた様子がうかがえます。

様々な仕事を抱えていた、師範の日々が多忙なものであったことは、簡単に想像できるでしょう。

今から20年以上前に放映されたある番組で、嘉納師範が特集されたとき、次のようなエピソードが紹介されました。嘉納師範は、結婚の際、子供の教育は一切任せると須磨子夫人と約束しました。ところが、あるとき、子供が病気で入院することになったときに、思いあまって須磨子夫人が師範に相談すると、「約束が違う」と言って怒ったとか・・・。

資料的な裏付けはなく、真偽の程が定かではありません。ですが、当たらずとも遠からずではないかというのが筆者の感想です。そんな仕事人間の師範が、出張先からでも、家族への連絡をしていたのは、常日頃から、今回の「ひとこと」のようなことを、心掛け、実践していたからかもしれません。

ライフワークバランスなどということが言われ始めたのは最近のことでしょうし、仕事も家族も大切にするといった考えも、今は珍しくないでしょう。しかし、大正時代に似たことを、すでに考えていた・・・というと少し過大評価でしょうか。

いかに心身の力を最も有効に使うか、という講道館柔道の教えは、家庭円満にも効果がありそうです。


※読みやすさを考慮して引用は『嘉納治五郎大系』から行っています。

著者:元 敏季(ハジメ・トシキ)
1975年生まれ。柔道は中学校から始め、大学までは競技を中心に行うが、卒業論文を機に柔道の文化的側面に関心を持ち、大学院へ進学。凡そ10年、大学院・研究機関に所属するも、研究とは異なる分野の仕事に就き現在に至る。ライフワークとして嘉納治五郎に関する史料を蒐集・研究し、その成果を柔道振興のため発信しようとしている。

※ eJudoメルマガ版11月20日掲載記事より転載・編集しています。

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