PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

平成29年度講道館杯全日本選抜柔道体重別選手権・男子7階級展望

(2017年11月10日)

※ eJudoメルマガ版11月10日掲載記事より転載・編集しています。
平成29年度講道館杯全日本選抜柔道体重別選手権・男子7階級展望
平成29年度講道館杯全日本選抜柔道体重別選手権の開催が、いよいよあす11日に迫った。
国内の体重別個人戦としては年間もっとも大規模、かつハイレベルの陣容が集うこの大会は来年度の世界選手権日本代表選考の第一次予選を兼ねる。この大会を勝ち抜いてまずは二次予選であるグランドスラム東京に進出することが、今大会に参加する選手が世界選手権に辿り着くために与えられた唯一のルート。世界進出を狙う、あるいは代表返り咲きを狙う強豪選手たちにとっては絶対に落とすことの出来ない大会だ。また、高校生やジュニアのトップ選手にとっては初めてシニアの洗礼を受ける登竜門としての性格も持つ。

あまりに人材が揃い過ぎ、各階級どのブロックにも面白い選手が配されているゆえ詳細な展望は困難。優勝争い、グランドスラム東京代表争い(※ブダペスト世界選手権個人戦出場者はすでに出場権あり)、そして将来有望な注目新人のシニアカテゴリ挑戦、と観点を3点に絞って、ごく簡単に各階級を展望してみたい。

■ 60kg級 優勝争いの軸は志々目徹、準々決勝の木戸慎二戦が山場
eJudo Photo
第1シードの志々目徹がトーナメントの軸

第1シードに入ったアスタナ世界選手権銅メダリスト志々目徹が実績的にも実力的にも優勝争いの軸。実力差がスコアに反映されにくく、かつコンディションに左右される部分が多い最軽量級だが組み合い、かつ鬼門である「指導」差の影響が少ない2017年ルール下では階級屈指の威力を持つ志々目の内股一発の強さが増幅されると考えて良いはずだ。実妹・愛の世界選手権金メダル奪取も相当な刺激になっているはずで、復活への条件は十分。
これを第4シード扱いの大島優磨(旭化成)、そして実業個人で決勝を争った青木大(パーク24)と木戸慎二(パーク24)が追うというのが大枠の構図。学生カテゴリでは学生王者宮之原誠也(国士館大4年)、ジュニア王者杉本大虎(日本体育大2年)らの名前をまず挙げるべきだが、ユニバーシアードを制した藤阪泰恒(國學院大3年)がシニアと伍す可能性のある柔道を見せており、期待大と見る。新人枠では、高校カテゴリを3度制した市川龍之介(習志野高3年)と昨年度インターハイの覇者武岡毅(足立学園高3年)の奮闘に期待。

髙藤直寿、永山竜樹と2人の代表を送り出したこの階級のグランドスラム進出枠は僅かに「2」。となると決勝進出が大前提だが、志々目の配置は準々決勝で木戸、準決勝で大島と実はかなりキツ目。志々目はかつて木戸の試合巧者ぶりに手を焼き続けた来歴があり、成長ぶりが問われる。逆側の山からは青木の勝ち上がりが最有力とみる。

■ 66kg級 2連覇狙う磯田範仁に好組み合わせ、逆側の山は橋口祐葵を軸に大混戦
eJudo Photo
2連覇を狙う磯田範仁

ブタペスト世界選手権に王者・阿部一二三を送り出したこの階級は多士済々。2連覇を狙う磯田範仁を筆頭に、橋口祐葵(パーク24)、高上智史(旭化成)、丸山城志郎(ミキハウス)、竪山将(パーク24)と国際級の人材がズラリと並んだ。

そして髙市賢悟(旭化成)の直前欠場を受け、磯田の山(準決勝まで)には前述の4人は不在、すべての選手が逆側の山に詰め込まれた。橋口が丸山、髙上が竪山とそれぞれ準々決勝を争う形の配置だが、竪山の山には末木貴将(筑波大4年)、木戸清孝(天理大4年)と学生カテゴリの好選手が配されており、非常な激戦。人材豊富な階級だが上位層の配置にかなり偏りのあるトーナメントとなった。

磯田は準々決勝で田川兼三(筑波大3年)、あるいは浅利昌哉(東海大4年)との対戦が待ち受けるが、直近の2選手との対戦を見る限りここはしっかり勝ち上がるはず。少なくともグランドスラム東京進出の「3枠」入りまでは固い。残り2名が誰になるかが非常な注目ポイント。

新人枠にも好選手が名を連ねたが、あまりに上位の陣容が充実し過ぎているゆえ、アピールするレベルの活躍を想像するのは少々難しい状況。

■ 73kg級 大本命なき混戦、みどころの一は野上廉太郎らジュニア世代の活躍
eJudo Photo
学生体重別を1年生で制した野上廉太郎

大野将平と橋本壮市という現役世界王者2人を擁して充実度マックスと見られがちな日本の73kg級だが、以下は混戦の勢力過渡期。みどころは階級を上げてきたベテランたちと、有望選手揃ったジュニア世代の活躍という二極に絞られる。

わけても、1年生で全日本学生体重別を制した野上廉太郎(筑波大)、野上と同門同期の全日本ジュニア王者石郷岡秀征(筑波大)、早くもユニバーシアードを制した立川新(東海大2年)の3人がどこまでやれるかは非常に興味深い。天才肌で一種相手と噛み合わぬ大技を繰り出す野上、切れ味ある担ぎ技と機動力が売りの石郷岡、従来の試合巧者ぶりに投げの威力を持って硬質な強さを見せる立川とそれぞれかなり魅力的。今大会で誰がグランドスラム東京進出を決めるかで、この世代の覇権の行方が大きく変わってしまうかもしれない、分水嶺の大会だ。

ベテラン勢では66kg級で世界選手権3度優勝の海老沼匡(パーク24)に注目。8月の実業個人では73kg級対応にはっきり難を残す印象だったが、どこまで対応してくるか。配置は、初戦から福岡克仁(日本大3年)という難敵が配される厳しいもの。66kg級時代であれば福岡のような元気の良い若手を海老沼が嵌める展開は容易に想起されるが、73kg級における様相やいかに。2010年世界選手権66kg級王者の森下純平(福井県体育協会)のエントリーも見逃せない話題。

■ 81kg級 様相まったく見えぬ大混戦、4枠がら空きのGS東京代表は誰か?
「一強」の世界王者永瀬貴規はもちろん欠場、どころか世界選手権での大ケガにより当面試合出場は考え難く、この大会から設定されたグランドスラム東京への進出枠は実に「4」。そんな中、ポスト永瀬の最有力候補であった第1シード選手渡邉勇人(了徳寺学園職)も負傷欠場が決まり、階級の様相は混沌としている。

有力選手の名前は多数挙がるが、率直に言ってどの選手も優勝候補に推すだけの決定打はなく、まさしく横一線の状況。世代別に、73kg級から階級を上げたもと世界王者中矢力(ALSOK)、五輪前に長らく2番手扱いで遇されていた丸山剛毅(旭化成)とそのいわば前任者である長島啓太(日本中央競馬会)、これに海老泰博(旭化成)らを加えたシニアのベテラン勢というグループ、春山友紀(自衛隊体育学校)、小原拳哉(パーク24)、佐藤正大(自衛隊体育学校)らのシニア若手グループ、学生勢から山本悠司(天理大4年)、佐々木健志(筑波大3年)と有力選手の名前だけ挙げておくしかない状況だ。勝ち上がり予測は困難を極める。

■ 90kg級 魅力的な個性派集う大激戦、序盤は最下段ブロックに好カード集中
eJudo Photo
連覇に挑む長澤憲大

世界選手権に代表を派遣せず、81kg級と同じく「4枠」が丸々空いていると推測されるこの階級だが様相はまったく異なり、各世代に面白い個性派選手が集う非常な激戦階級。

優勝候補の筆頭は昨年の覇者で、世界選手権では団体戦代表を務めた長澤憲大(パーク24)。これに復活を期す吉田優也(旭化成)、加藤博剛(千葉県警察)、選抜体重別の覇者向井翔一郎(日本大4年)を加えたところまでが優勝候補、グランドスラム代表権獲得には小林悠輔(旭化成)、釘丸太一(センコー)らが絡む。

学生カテゴリからはまず全日本ジュニアで素晴らしい柔道を披露した神鳥剛(明治大2年)の名前を挙げるべきだが、学生体重別で負った膝のケガが気がかり。今のところ出場のようだが、本領が発揮出来るコンディションにあるかどうかは未知数だ。

他にも江畑丈夫(国士館大4年)、前田宗哉(東海大4年)ら多士済々の学生カテゴリだが、田島剛毅(筑波大2年)にはひときわ注目しておきたい。世界ジュニア優勝時には海外選手を担ぎ技で投げまくり、国際大会への適性を大いに示した。シニアの国際大会でもその戦いぶりをぜひ見てみたいところだが、今大会は学生体重別王者でしぶとい戦いならこちらも得手の安達健太(東海大3年)が初戦で配され、2回戦でも国内屈指の粘戦担ぎ技ファイター垣田恭平(旭化成)との対戦が濃厚。非常に厚い、しかも日本国内にしかいないタイプの強豪が連続配置されてしまい、勝ち上がりは相当に難しい。突破するようであれば相当なものだ。

序盤の注目は加藤、前田、吉田、白川剛章(天理大3年)に長井晃志(日体大1年)がベスト8までに潰しあう最下段の山。

新人枠では何と言っても村尾三四郎(桐蔭学園高2年)に注目。しかし初戦で二見省吾(國學院大3年)あるいは古居頌悟(愛知県警察)とマッチアップする非常に厳しい組み合わせ。ここを突破しても待ち受けるのは釘丸太一か神鳥剛と、ちょっと高校生には厚過ぎる壁と見ておきたい。

■ 100kg級 飯田健太郎復活なるか、新人枠の山口貴也と関根聖隆の奮闘に期待
eJudo Photo
久々の個人戦、飯田健太郎は真価発揮なるか
※写真は昨年の講道館杯決勝

優勝候補筆頭は今年2月に高校生にしてグランドスラム・パリ制覇という偉業を達成した飯田健太郎(国士館大1年)。この人の出来が、この階級のみならず今大会全体を通した最大の見どころのひとつだ。この大会は、パリ制覇以降いまひとつ煮え切らない試合が続く飯田が、久々「個」として正面からその成長度を問われる場。高校時代のような伸びやかな柔道が再び見られるのか、大いに期待したい。

飯田に続いてグランドスラム代表入りを狙う勢力は下和田翔平(京葉ガス)、階級を上げて参加の西山大希(新日鐵住金)、熊代佑輔(ALSOK)ら。

新人枠では、世界ジュニア代表を務めた山口貴也(長崎日大高3年)と今季の高校柔道界の牽引役であった関根聖隆(桐蔭学園高3年)の奮闘に期待。本格派の山口、担ぎ技中心で機動力が売りの関根とタイプは異なるが、ともに大物食い属性を孕み、面白い試合が期待できそう。

■ 100kg超級 優勝争い超えるみどころあり、高校1年生・斉藤立の戦いぶりに注目
eJudo Photo
優勝争いを超えて、スーパー高校生斉藤立の出来に注目集まる

優勝争いを牽引するのは七戸龍(九州電力)と太田彪雅(東海大2年)の2人。昨年のグランドスラム東京を出世のきっかけに、今期ユニバーシアードを制した太田は、その勢いを2週間前の体重別団体における不出来で躓かせたばかり。国際大会での実績と適性をどう国内の結果に結実させるか、今後が占われる大会だ。人材豊富な階級ゆえざっくり切って評論するのは勿体ないが、形上この2人を上川大樹(京葉ガス)、小川雄勢(明治大3年)、香川大吾(東海大3年)らが追うという形になるだろう。

そして優勝争いを超えて注目されるのは、高校1年生・斉藤立(国士館高)の戦いぶり。4月の全日本カデを制して以来タイトルこそないがその成長スピードはすさまじく、高校カテゴリで敗れた相手には既に全員リベンジ。1年生にして実質「高校生最強」との評価を得て然るべき結果を出している。しっかり組んで柔らかく受け、そして真っ向からの投げで「一本」を狙うその柔道の筋目の良さとスケール感の大きさからはこの「高校生最強」の評すら控えめ過ぎるくらいの伸びしろが感じられる。シニアデビューの今大会でどのような戦いを繰り広げるか、ファンにとっては必見である。

文責:古田英毅

※ eJudoメルマガ版11月10日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.