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準々決勝で大会ベストバウト現出、天理大が東海大に激しく噛みつく・平成29年度全日本学生柔道体重別団体優勝大会男子レポート①1回戦~準々決勝

(2017年11月7日)

※ eJudoメルマガ版11月7日掲載記事より転載・編集しています。
準々決勝で大会ベストバウト現出、天理大が東海大に激しく噛みつく
平成29年度全日本学生柔道体重別団体優勝大会男子レポート①1回戦~準々決勝
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男子53チーム、女子18チームが決戦の地・尼崎に集った

体重別七人制で学生柔道日本一を争う平成29年度全日本学生柔道体重別団体優勝大会(男子19回、女子9回)は10月28日、ベイコム総合体育館(尼崎市)で開幕。

53チームが参加を許された男子の優勝候補筆頭は、6月の全日本学生優勝大会を制しこの大会で今季2冠を狙う東海大。これを2連覇を狙う国士館大、筑波大、明治大、日本大、日本体育大、天理大ら強豪が追うというのが大枠の構図だ。

第1日は1回戦と2回戦、最終日の翌29日は3回戦から決勝までが行われた。まずはトーナメントを4つのブロックに割って、1回戦から準々決勝までの戦いを簡単に追いかけてみたい。

※1回戦~2回戦の配列は先鋒100kg超級、次鋒90kg級、五将60kg級、中堅81kg級、三将73kg級、副将66kg級、大将100kg級。
※3回戦~決勝の配列は先鋒73kg級、次鋒60kg級、五将81kg級、中堅100kg超級、三将90kg級、副将100kg級、大将66kg級。

■ 1回戦~準々決勝
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2回戦、国士館大の大将飯田健太郎が龍谷大・小川真司から縦四方固「一本」

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3回戦、山田伊織が同志社大・中山涼太から支釣込足「技有」

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3回戦、飯田は同志社大・松本健太郎を相手に右大外刈から左小外刈に繋いで一本勝ち。

ベスト8進出校:国士館大、東洋大

昨年度、決勝で王者・東海大を逆転で破り久々の優勝を果たした国士館大が第1シード。このアドバンテージが抽選運をも呼び込んだか、周囲に勝ち上がりを阻む面倒な存在はなし。優勝に絡むと目される強豪の中では、間違いなくもっとも戦いやすい組み合わせとなった。

初戦となった2回戦は山下魁輝(100kg超級)、江畑丈夫(90㎏級)、川西誠志郎(60㎏級)、釘丸将太(81㎏級)、倉石陽成(73kg級)、磯田範仁(66㎏級)、飯田健太郎(100㎏級)という布陣で臨み、龍谷大をオール一本勝ちの7-0で退ける。日をまたいで迎えた3回戦は60kg級と100kg超級を入れ替え、先鋒から倉石(73㎏級)、宮之原誠也(60kg級)、釘丸(81kg級)、山田伊織(100kg超級)、佐藤城(90kg級)、飯田、磯田とメンバーを微調整。同志社大を相手に宮之原、山田、飯田、磯田と4つの一本勝ちを並べて4-0で勝利。まさしく無風のまま準々決勝進出決定。

一方今大会きっての混戦区である下側の山からは東洋大が勝ち残った。1回戦は北陸大を3-1で破り、大激戦となった2回戦は皇学館大との競り合いから後半一気に抜け出し、3-1で勝利して初日を突破。迎えた3回戦は前戦で慶應義塾大と代表戦にもつれ込む激戦を勝ち抜いた福岡大と対戦、相手方のエース格である後迫孝誠の負傷棄権で決勝点となる3点目を獲得、3-2で競り勝って栄光のベスト8へと駒を進めることとなった。

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準々決勝、山田伊織が東洋大・後藤陸斗から横四方固「一本」

[Aブロック準々決勝]
国士舘大 5-0 東洋大
(先)[73]倉石陽成〇小外掛(2:55)△川下寛斗
(次)[60]宮之原誠也〇反則[指導3](2:28)△平原佑多
(五) [81]釘丸将太×引分×山本颯志
(中)[100超]山田伊織〇横四方固(2:51)△後藤陸斗
(三)[90]江畑丈夫×引分×木下智貴
(副)[100]飯田健太郎〇内股(1:53)△白井椋也
(大)[66]磯田範仁〇小内刈(0:42)△阿部竜太

国士舘大はこの試合からほぼ本命のメンバーで布陣、東洋大を5-0の大差で退けた。東洋大は先鋒川下寛斗が倉石陽成から「技有」を先行するなど随所にこれぞという意地を見せる場面があったがジワジワとスコアを広げられ、最終的にはワンサイドゲームとなった。

細かく見れば国士館大にも粗さあり、特に1年生エースの飯田は前戦同様決して動きは切れていなかったが、大雑把に言って実力差と戦力の厚さがこれを覆い隠したという印象の一番。他3ブロックではいずれも準々決勝に見せ場が訪れたが、この試合は国士館一強というAブロックの構図がそのまま示された形。前年度の覇者国士館、労せずしてベスト4入り決定。

[Aブロック1回戦]

龍谷大 3-1 清和大
同志社大 ①代-1 東北学院大
福岡大 6-1 関東学園大
皇学館大 3-1 近畿大
東洋大 3-1 北陸大

[Aブロック2回戦]

国士舘大 7-0 龍谷大
同志社大 2-1 法政大
福岡大 ①代-1 慶應義塾大
東洋大 3-1 皇学館大

[Aブロック3回戦]

国士舘大 4-0 同志社大
東洋大 3-2 福岡大

[Aブロック準々決勝]

国士舘大 5-0 東洋大

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2回戦、筑波大の三将五十嵐純平が拓殖大・水谷公からまず「技有」

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3回戦、筑波大の大将田川兼三が専修大・永岡樹から小内刈「技有」

【Bブロック】
ベスト8進出校:明治大、筑波大

明治大と筑波大の2強が過たず勝ち上がり、準々決勝で激突。

明治大のスターティングは先鋒から小川雄勢(100kg超級)、野々内悠真(90㎏級)、西川風万(60kg級)、金山天地(81kg級)、飯島敦也(73kg級)、水野隆介(66kg級)、川田修平(100kg級)。初戦から本命オーダーを注ぎ込んで臨んだこの2回戦は埼玉大を7-0で一蹴、中堅金山が阿河夢斗を相手に「技有」優勢での勝利であったが、他6試合はすべて一本勝ちという圧勝だった。

一夜明けて迎えた3回戦は90kg級枠の野々内を期待の1年生・増山香補に一旦入れ替えて、先鋒から飯島、西川、金山、小川、増山、川田、水野というオーダーで岡山商科大に対峙。次鋒から副将までの5連続得点であっさり勝利を決め、大将水野が阿河虹希に「指導3」の反則で敗れたものの通算スコア5-1の大差で準々決勝進出決定。全体にまだエンジン掛かり切らぬ印象は否めなかったが、文句なしの圧勝であった。エースの小川は初戦をわずか29秒の谷落「一本」で勝利したが、この3回戦は横四方固「一本」(3:51)の快勝も課題である攻めの遅さが顔を出し、実力差に比すれば少々煮え切らない試合ぶり。ケンカ四つの澤田将志を攻めながらも決定打を打てず、一種展開に慣れた相手が腰を入れてきたところを小外掛に捉える(「技有」)というこれまでの小川の典型的な戦い方に留まり、3週間前の国民体育大会で見せた怒涛の攻めを継続することは出来ず。軽量級の陣容の薄さと合わせて、以後に不安の残る試合ぶりではあった。

一方の筑波大は2回戦の拓殖大戦を先鋒から川合康平(100kg超級)、田中英二朗(90㎏級)、大島拓海(60㎏級)、佐々木健志(81kg級)、五十嵐純平(73㎏級)、末木貴将(66㎏級)、石川竜多(100kg級)という陣容で戦う。ローテーション起用の選手を含みながらもこの厚い陣容はさすが、次鋒戦を引き分けたものの6つの一本勝ちをマークし6-0の勝利で初日を終える。

そしてこの後発表された最終日の配列は筑波大にとって明らかな追い風。先鋒に斬り込み役として打ってつけの1年生学生王者野上廉太郎、次鋒に同大会準優勝の大島拓海、そして昨年度全日本ジュニア王者佐々木健志と先鋒からファイタータイプ3人を並べてのスタートダッシュが図れ、後衛にはまず副将に世界ジュニアに優勝したばかりで担ぎ技も効く田嶋剛希、試合を締める大将には昨年度全日本学生体重別で決勝を争った末木貴将と田川兼三の試合巧者2枚が控えるという、勝利のシナリオがはっきり見える形が与えられた。

そして迎えた3回戦は先鋒から野上、大島、佐々木、石川、大橋賢人、田島、田川と並べて専修大を一蹴。中堅石川が室和樹相手に引き分けたが、先鋒野上が開始8秒でマークした出足払「一本」の勢いを最後まで切らさずに6-0でフィニッシュ。勢いを背に、明治大との準々決勝へと乗り込む。

筑波大 3-2 明治大
(先)[73]野上廉太郎〇内股(2:16)△飯島敦也
(次)[60]大島拓海〇優勢[技有・小外刈]△西川風万
(五) [81]佐々木健志×引分×金山天地
(中)[100超]田嶋剛希△反則[指導3](3:42)〇小川雄勢
(三)[90]大橋賢人×引分×野々内悠真
(副)[100]石川竜多△小外刈(2:43)〇川田修平
(大)[66]田川兼三〇小内刈(1:28)△水野隆介

戦力はもちろん、前述の配列順が非常に効いた一番。野上廉太郎と大島拓海で挙げた2得点のリードを背に、佐々木健志が明治大の曲者・金山天地と引き分けた五将戦終了時点で試合のペースは筑波大。明治大は次鋒西川風万が大内刈「技有」を奪って大島相手に一時タイスコアに持ち込むなど追いすがったが、非常に苦しい戦い。
しかし中堅戦では小川雄勢が対重量選手相手の刺客として送り込まれた田嶋剛希から小外掛「技有」に加えて「指導」3つをマークしてしっかり勝利。三将戦も野々内悠真が大橋賢人の機動力を吸収して引き分け、そして勝負どころと目された副将戦で川田修平が小外刈「一本」で石川竜多を下し、ついにスコアはタイとなる。
しかし大将戦は筑波大が彼我の戦力差をしっかりスコアに反映、田川兼三が水野隆介から小内刈「一本」で勝利して3-2で勝ち抜け決定。中途でスコア自体は揺れたものの、客観的には、最後に田川という重石を置く筑波大の勝利が危うくなる場面はほぼなかった。軽量級の厚みの差と、配列順の妙が勝敗を分けた一番だった。

[Bブロック1回戦]

埼玉大 2-1 東海大九州
岡山商科大 4-1 立教大
拓殖大 3-2 大阪体育大
専修大 2-0 金沢学院大
中京大 ②-2 星槎道都大

[Bブロック2回戦]

明治大 7-0 埼玉大
岡山商科大 6-0 京都産業大
筑波大 6-0 拓殖大
専修大 1-0 中京大

[Bブロック3回戦]

明治大 5-1 岡山商科大
筑波大 6-0 専修大

[Bブロック準々決勝]

筑波大 3-2 明治大

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2回戦、東海大の三将込山龍哉が山梨学院大・神森拓海から背負投「技有」

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ウルフアロンが渡辺大樹から肩車「一本」

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3回戦、安達健太も早稲田大の三将斎藤光星を前に取り切れず。

【Cブロック】
ベスト8進出校:東海大、天理大

[Cブロック2回戦]
東海大 4-0 山梨学院大
(先)[100超]太田彪雅×引分×春日良太
(次)[90]前田宗哉〇横四方固△迫村一輝
(五)[60]永山竜樹〇袖釣込腰△梅北亘
(中)[81]尾方寿應×引分×吉村豪
(三)[73]込山龍哉〇優勢[技有・背負投]△神森拓海
(副)[66]浅利昌哉×引分×長倉力斗
(大)[100]ウルフアロン〇肩車△渡辺大樹

昨年決勝で逆転負けを喫し、リベンジに燃える東海大がベスト8入り。まず山梨学院大を相手にした2回戦は太田彪雅(100kg超級)、前田宗哉(90kg級)、永山竜樹(五将)、尾方寿應(81kg級)、込山龍哉(73㎏級)、浅利昌哉(66kg級)、ウルフアロン(100kg級)と初戦から豪華布陣を並べて対峙。先鋒太田が春日良太に、中堅尾方が吉村豪に、浅利が長倉力斗にそれぞれ引き分けたが、一本勝ち3つに「技有」優勢1つでこの試合はスコア4-0の圧勝。注目のブタペスト世界選手権100kg級金メダリスト・ウルフアロンは同学年のインターハイ100kg級王者の渡辺大樹をわずか17秒の肩車「一本」で一蹴。格の違いを見せつけた。

[Cブロック3回戦]
東海大 3-0 早稲田大
(先)[73]立川新×引分×佐藤竜
(次)[60]永山竜樹〇横四方固(1:10)△加藤眞也
(五)[81]藤岡将吾×引分×下田将大
(中)[100超]太田彪雅×引分×空辰乃輔
(三)[90]安達健太×引分×齋藤光星
(副)[100]ウルフアロン〇内股△田中大勝
(大)[66]浅利昌哉〇不戦△

日が明けた3回戦は81kg級枠を尾方から学生体重別2位の藤岡将吾に、90kg級枠を学生体重別王者の安達健太に入れ替えて早稲田大に対峙。ところがズラリと並べたこの豪華メンバーが、早稲田大の佐藤竜、下田将大、そして昨年度インターハイ100kg級2位の空辰乃輔ら高校時代に活躍した選手たちをいずれも取れり切れず引き分けを連発。三将安達も齋藤光星を相手に引き分けて、5戦終了時点でスコア差はわずか1。副将ウルフがさすがの内股「一本」、そして大将浅利が不戦勝ちと終盤2点を積み上げて勝利自体が揺らぐ瞬間はまったくなかったが、乗り越えるべき歯ごたえのある敵が設定された試合はすべて引き分け。得点したのは順当勝ちの2試合と不戦勝ち1試合のみという、東海大にとっては3-0というスコアに釣り合わぬ「勝った気のしない」試合であったはず。王者東海大、いまひとつ波に乗れないまま、ひとまず準々決勝へと勝ち上がり決定。

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2回戦、天理大の三将木戸清孝が國學院大・島田隆志郎から巴投「一本」

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3回戦、天理大の五将山本悠司が黒田拳伍を攻める

[Cブロック2回戦]
天理大 4-0 國學院大
(先)[100超]西尾徹×引分×松谷鯉太郎
(次)[90]白川剛章〇反則[指導3]△二見省吾
(五)[60]中原諒人×引分×藤阪泰恒
(中)[81]山本悠司〇反則[指導3]△加藤宏輔
(三)[73]木戸清孝〇巴投△島田隆志郎
(副)[66]野村琢磨×引分×久家寛己
(大)[100]古田伸悟〇内股△大瀧和

下側の山では天理大が快調なスタート。初戦となる2回戦では早くも難敵・國學院大を畳に迎えるがこれにフルオーダーで対峙、次鋒白川剛章が二見省吾から殊勲の「指導3」勝ちを果たすと、中堅戦で主将の山本悠司がこれも「指導」3つを積み上げて追加点獲得。そして迎えた三将戦では66kg級全日本学生体重別準優勝者木戸清孝が1階級上で今年も3位に入賞した強者島田隆志郎から巴投「一本」を奪って勝負あり。最終戦も古田伸悟がわずか41秒の内股「一本」でフィニッシュ、なんと4-0という大差で國學院大を一蹴して見せた。

最終日に舞台を移した3回戦では中央大の頑強な抵抗に遭うが、先鋒木戸が挙げた「技有」優勢をテコにピンチ少ないまま試合を進め、副将古田が岩崎恒紀から挙げた小外刈「一本」を加えて勝利決定。最終戦ではもと全日本カデ王者の野村が、先日全日本ジュニアを制したばかりの茂木才跡に反則負けを喫したが、最終スコア2-1で7戦を終了。王者東海大が待ち受ける準々決勝へと駒を進めることとなった。

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立川新が木戸清孝を大内刈で崩し、体を浴びせて押し込み「技有」

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西尾徹が太田彪雅に左背負投。

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見事決まって「一本」、試合の主導権は一気に天理大へ。

[Cブロック準々決勝]
東海大 ②代-2 天理大
(先)[73]立川新〇優勢[技有・大内刈]△木戸清孝
(次)[60]永山竜樹×引分×中原諒人
(五)[81]尾方寿應×引分×正木聖悟
(中)[100超]太田彪雅△背負投(0:14)〇西尾徹
(三)[90]安達健太△優勢[技有・背負投]〇山本悠司
(副)[100]ウルフアロン〇袈裟固(4:04)△石山潤平
(大)[66]浅利昌哉×引分×野村琢眞
(代)[81]尾方寿應〇大内刈(1:46)△正木聖悟

今大会のベストバウトがここで現出。豪華戦力の東海大に対し、主将山本悠司を核に初優勝を目指す天理大が激しく噛みついた。

先鋒戦は東海大・立川新が大内刈「技有」で勝利、しかし次鋒戦で中原諒人が世界選手権日本代表永山竜樹を引き分けで止め、五将戦も正木聖悟が尾方寿應に退かず引き分け。これで流れを作ると、中堅戦では西尾徹が太田彪雅を試合が始まるなりの背負投「一本」に斬って落とし「天理劇場」が幕開け。この時点でスコア1-1ながら内容差で天理が逆転、地元関西での開催ということもあり場内は地鳴りのような大歓声。一挙手一投足に会場がまさしく揺れるこの異常な磁場を背に、続く三将戦の学生王者対決も山本悠司が1階級上の安達健太から大内刈崩れの右背負投「技有」奪取で勝利を収めてスコアを2-1に伸ばす。場内のボルテージはまさしく最高潮。

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三将戦、山本悠司が安達健太から背負投「技有」獲得。

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1点リードに意気揚がる天理大、穴井隆将監督が石山潤平を畳に送り出す

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ウルフアロンが石山潤平から左内股で2つ目の「技有」

続く副将戦、後に控える66kg枠における戦力の拮抗を考えれば東海大・ウルフアロンに課された使命は一本勝ちのみ。もしウルフが一本勝ちを果たせずば、続く大将戦を引き分けての天理大の内容差勝ちがほぼ決まりとなる大一番だ。

ウルフは左内股、肩車、大内刈と連発して迫るが天理大・石山潤平は決定打を許さず、残り1分35秒の時点で得たウルフのアドバンテージは「指導2」まで。ミッション達成にはあと1つの「指導」、あるいは「一本」しかないという非常に厳しい状況だ。ウルフは自身が置かれた立場を冷静に計算、持ち技のうちもっとも確実性のある隅返に打って出るが、これは相手の上体を拘束する作りの段階で石山が察知、空中で身を翻して逆に抑え込みを狙い、ノーポイント。

残り55秒、ウルフは相手を防御姿勢に固めさせたまま体ごと引っ張り出し、左体落で「技有」獲得。しかしここから石山は強気に右足車で攻め返し、あくまで一本負けを峻拒。刻々残り時間は少なくなり、東海大は絶体絶命。

残り18秒、あくまでミッション達成をあきらめぬウルフが決定的な左内股、しかしこれも「技有」に留まる。場内どよめくが、ウルフは冷静に崩袈裟固に抑え込み、激しく抵抗する石山を制してついに「一本」獲得。ここでスコアは2-2、ともに「一本」が1つ、「技有」優勢1つというまったくのタイとなる。

大将戦は東海大・浅利昌哉が左、天理大・野村琢眞が右組みのケンカ四つ。18秒に浅利にやや性急な「取り組まない」判断による「指導」が与えられるが、以降は大枠浅利が優勢もスコアは動かずあっという間に4分間が経過。この試合は引き分けとなり、勝敗の行方は代表者1名による決定戦に委ねられることとなった。

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代表戦、正木聖悟が尾方寿應を激しく攻め立てる

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尾方の左大内刈が決まって「一本」

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大熱戦は東海大の勝利に終わった

引き分け試合の中から抽選で選ばれる代表戦1試合は、五将戦に決定。両軍から、特に正木聖悟を送り出す天理大サイドからは「よし!」という歓声が上がる。

注目の代表戦は東海大・尾方寿應、天理大・正木聖悟ともに左組みの相四つ。双方釣り手で深い位置を持ち合って正木は鋭い左大内刈で先制攻撃、尾方は相手の膝裏に足を入れての左小外刈で対抗する。その中でも大内刈、大外刈と連発する正木が勢いに勝る印象。互いが投げでの決着を志向したこの一番はそのリスクを厭わぬ攻撃性の高さゆえか、2分14秒唐突に決着。尾方のタイミングの良い左大内刈に正木は一瞬で崩落、文句なしの「一本」。劇的決着で東海大がベスト4へと勝ち上がることとなった。

東海大・上水研一朗監督に戦後「自分たちにもっとも足りないものを、天理大が持っていた」と語らしめた、間違いなくこの日のベストバウト。天理大は打倒東海大に向けてチームが巻き上がり切っており全員が必死の戦い、一方の東海大は強者ゆえの陥穽か、前戦までの「自分が取り切れずとも全体の戦力差で圧す」平均点の戦いぶりから抜け出せず明らかに緩みがあった。ただでさえ体重別における天理のメンバーは強力、大接戦は必然の結果であったと言える。大魚を逸した天理大だが、学生体重別時に発した山本主将の「尼崎で優勝を目指す」との言に偽りなし。素晴らしい戦いぶりであった。

とはいえ東海大の底力はさすが。ウルフの冷静な仕事ぶりで追いつき、ここまでまさしく「他ポジションに任せてしまう」試合ぶりで3戦連続引き分けであった81kg級枠がピックアップされた代表戦で尾方がチームを救う「一本」をマークと、これでチームが引き締まる予感あり。大苦戦であったが、むしろ今後の展望が開けた試合という印象が残った一番でもあった。

[Cブロック1回戦]
山梨学院大 5-1 鹿屋体育大
関西大 4-1 徳山大
國學院大 5-1 国際武道大
弘前大 3-2 立命館大
中央大 7-0 北海学園大

[Cブロック2回戦]
東海大 4-0 山梨学院大
早稲田大 ①代-1 関西大
天理大 4-0 國學院大
中央大 5-0 弘前大

[Cブロック3回戦]
東海大 3-0 早稲田大
天理大 2-1 中央大

[Cブロック準々決勝]
東海大 ②代-2 天理大

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2回戦、日本大の先鋒一色勇輝が日本文理大・山下晃治から大外刈「一本」

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2回戦、日本体育大の次鋒東部雄大が札幌大・佐藤星から大外刈「一本」

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3回戦、日本体育大の大将阿部一二三が桐蔭横浜大・牧山力也から袖釣込腰「一本」

【Dブロック】
ベスト8進出校:日本大、日本体育大

日本大と日本体育大が順当にベスト8入り。

日本大は2回戦から登場、一色勇輝(100kg超級)、長濱快飛(90kg級)、芹沢翔哉(60kg級)、山下恭平(81kg級)、坂東篤(73kg級)、日野賢明(66kg級)、ダニエルディチェフ(100kg級)という布陣で日本文理大をすべて一本勝ち(指導3の反則1つ含む)の7-0で一蹴。

一夜明けた3回戦は長濱を青木雅道に、芹沢を毎熊拳太に入れ替え、帝京科学大とマッチアップ。青木が石貫一聖に「指導3」の反則で敗れたが、副将ダニエルが6月の全日本学生優勝大会の再現を思わせる腕挫十字固「一本」で勝利するなど実力差をしっかりスコアに反映、4-1でこの試合を勝ち抜いてベスト8入り決定。

一方の日体大は1回戦からのスタート、スターティングは松井海斗(100kg超級)、東部雄大(90kg級)、米村克麻(60㎏級)、岡田涼太郎(81㎏級)、大吉賢(73kg級)、早川正起(66kg級)、天野拓実(100kg級)とのっけからかなり豪華なオーダー。この試合は先鋒松井が宮浦司に払巻込「一本」(1:11)で敗れる波乱の幕開けであったが、以降しっかり勝利を並べて6-1で突破。続く2回戦は五将を米村から五味佳将に、大将を天野からハンガルオドバートルに入れ替えて札幌大を6-0で一蹴。最終日に舞台を移した3回戦では早くもほぼ本命のオーダーを組み、ラインナップは先鋒から古賀颯人(73㎏級)、五味佳将(60kg級)、藤原崇太郎(81kg級)、松井海斗(100kg超級)、長井晃志(90kg級)、ハンガルオドバートル(100kg級)、そして今季の世界選手権金メダリスト阿部一二三(66kg級)という豪華なもの。前衛3枚は引き分けたが、ここから一本勝ち4つを並べて桐蔭横浜大を4-0で撃破、注目の阿部は牧山力也を相手にわずか45秒で豪快な袖釣込腰「一本」を決めて格の違いを見せつけた。

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準々決勝、日本大の副将ダニエルディチェフがハンガルオドバートルから浮技「技有」

[Dブロック準々決勝]
日本体育大 3-2 日本大
(先)[73]古賀颯人×引分×坂東篤
(次)[60]米村克麻〇反則[指導3]△芹沢翔哉
(五)[81]藤原崇太郎×引分×山下恭平
(中)[100超]松井海斗△内股〇佐藤和哉
(三)[90]長井晃志〇反則[指導3](3:31)△青木雅道
(副)[100]ハンガルオドバートル△優勢[技有・浮技]〇ダニエルディチェフ
(大)[66]阿部一二三〇腰車 (2:28)△日野賢明

大熱戦は日体大の勝利に終着。大将枠に世界選手権金メダリスト阿部一二三を置く日体大は最終戦における1点追加がほぼ規定事項、この配置が盤面全体に非常に効いていた。

日本大は前半戦を粘り強く戦って失点を60kg枠の1つのみに留め、勝負どころの中堅戦でエース佐藤和哉がきっちり「一本」を取り切ってタイスコアまで持ち込んだものの、三将戦で青木雅道が日本体育大・長井晃志を相手に3つの「指導」を失って敗戦。この時点でスコアは2-1、勝機は日本体育大に大きく傾く。

そして迎えた勝負どころの副将戦は、ともに自国で世代別のジュニア代表を務めるパワー派の強豪2名による大熱戦。まず日体大・ハンガルオドバートルが隅返「技有」で先行、しかし互いに背中を掴み合うハイリスクゲームが続いて畳上の熱量が上がり切った結果、終盤ダニエルディチェフが浮技で「技有」を奪回するに至る。タイスコアに持ち込んだダニエルはあくまで勝利を追い求め猛ダッシュ、残り0秒に再び浮技で思い切りハンガルを放る。合議と確認の結果この技は「技有」と認められ、直後主審の手はダニエルに揚がる。劇的決着にダニエル思わず拳を握りしめ、日本大ベンチは大歓声でこれに応える。

これでスコアは2-2となるが、内容差では日体大が依然リード。迎えた大将戦は阿部一二三が好選手日野賢明の必死の抵抗をものともせず、2分48秒に腰車一閃「一本」。結果、スコア3-2でこの試合は日体大の手に落ちた。

スコア上はシーソーゲームであったが、前述の通り畳上には一貫して「阿部による1点追加」という前提が重石として効いており、主導権は常に日体大。佐藤、ダニエルと日本大が一太刀浴びせてスポット的に押し返す場面はあったものの、絵の鮮烈さに反して流れを得ることはなし。中堅戦終了時点でほぼ勝敗決したと言える一番であった。日本大はチーム事情から戦列を離れた選抜体重別90kg級王者・向翔一郎の不在がダイレクトにスコアに響いた、悔しい敗戦であった。

結果決まった準決勝カードは、

国士舘大 ― 筑波大
東海大 ― 日本体育大

となった。

取材・文:古田英毅

※ eJudoメルマガ版11月7日掲載記事より転載・編集しています。

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