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平成29年度全日本学生柔道体重別選手権大会・最終日男子3階級レポート

(2017年10月16日)

※ eJudoメルマガ版10月16日掲載記事より転載・編集しています。
平成29年度全日本学生柔道体重別選手権大会・最終日男子3階級レポート
(90kg級、100kg級、100kg超級)
■ 90kg級・安達健太が自身初となる全国タイトルを獲得
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90kg級2回戦、神鳥剛が大橋賢人から左小内刈「一本」。

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準決勝、安達健太が青木雅道を右方向への肩車「一本」に仕留める。

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準決勝、長井晃志が増山香補から隅落「技有」。

(エントリー52名)

【決勝まで】

今年の全日本ジュニア選手権を抜群の内容で制したばかりの神鳥剛(明治大2年)と昨年の本大会準優勝者である大橋賢人(筑波大4年)が2回戦で早くもマッチアップ。前半戦最大の山場となったこの試合は、試合時間12分を超える大消耗戦の末に神鳥が相手の支釣込足に切れ味鋭いカウンターの右小内刈を合わせて「一本」(GS8:38)で勝利した。しかし、勝者の神鳥も試合途中に左足を負傷した様子で足を引きずりながら試合場を降り、続く3回戦では動き悪いまま高木育純(天理大3年)に一本背負投「技有」を奪われ優勢負けでトーナメントから脱落。他にも前田宗哉(東海大4年)や白川剛章(天理大3年)といった有力選手がベスト8に進めず姿を消した。

荒れ模様のトーナメントを決勝まで勝ち上がったのは安達健太(東海大3年)と長井晃志(日本体育大1年)の2人。

安達は2回戦から登場すると初戦でいきなり2014年の高校選手権決勝を争った白川と激突。この難敵を小内巻込「技有」優勢で退けると、3回戦では石塚康太郎(中央大4年)を豪快な一本背負投「一本」(0:45)で一蹴してベスト8入りを決める。二見省吾(國學院大3年)と対戦した準々決勝では一本背負投と小外刈で「技有」2つを奪った末に袈裟固「一本」(3:30)で完勝、準決勝では安達と神鳥が姿を消した空白地帯を勝ち上がってきた青木雅道(日本大3年)を開始直後の肩車「一本」(0:12)で破って決勝進出を果たした。

一方の長井は1回戦で伊藤尚将(桐蔭横浜大4年)を「指導3」反則(3:56)で下すと、2回戦では櫻井慎也(徳山大3年)に試合終了間際の袖釣込腰「一本」(4:00)で勝利。迎えた3回戦の相手は優勝候補の一角である強豪前田。この試合は地力に勝る前田が「指導2」をリードしてGS延長戦へともつれ込むが、長井が大外刈「技有」(GS0:53)で逆転勝ちを収めてベスト8進出を果たす。前田の得意技である大外刈の間合いである横変形で構えあうやいなや、一瞬先んじてその大外刈で取り切ったその強気、勝負勘といかにも長井らしい一撃だった。

この番狂わせで勢いを得た長井は続く準々決勝で田中英二朗(筑波大2年)を背負投「一本」(3:21)に仕留めると、準決勝では前戦で田嶋剛希(筑波大2年)を破っている東京ブロック王者の増山香補(明治大1年)に隅落「技有」(GS1:57)で勝利。1年生にしてみごと決勝の舞台へと辿り着いた。

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決勝、長井晃志が安達健太の左背負投を谷落で返して「技有」。

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安達は長井の左足を抱えて側面に回り込み、横四方固を完成させる。

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【決勝】
安達健太(東海大3年)○横四方固(1:07)△長井晃志(日本体育大1年)

決勝は安達が左、長井が右組みのケンカ四つ。長井は組み合うなり右内股の形で作用足を相手の股中に差し入れ、間髪入れずに隅返に潜り込む。安達は大きく崩れて体側から畳に落ちるが、上体の拘束があと一歩足りず背中を着かせるには至らず。そして両者はともに主審が「待て」を宣告する前に立ち上がりそのまま攻防を継続する。ここまでの経過時間は僅か15秒。

直後の20秒、長井の右内股の戻り際に安達が肘抜きの左背負投を仕掛けるが、この技は強引過ぎたために入った段階で安達の体が大きく反ってしまい、長井は過たず後方に引き落として谷落「技有」を獲得する。リードを得た長井は立ち上がろうとする安達を引き込んで寝勝負を挑むが、安達は正面からの長井の左足を抱え、抱えた足の方向に横から回り込んで横四方固の形を完成させる。長井は激しく暴れて逃れようと試みるも、安達は相手の動きに合わせながら徐々に拘束を強め、1分7秒「一本」へと辿り着く。勝負の潮目を見逃さなかった安達が一本勝ちでみごと優勝を飾ることとなった。安達はこれが初の全国制覇。勝利が宣告された瞬間には感極まり目に涙を浮かべていた。敗れた長井は動き、反応ともに良かったが一瞬の判断ミスにより表彰台の頂点を逃した。

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90kg級優勝の安達健太。

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90kg級上位入賞者。左から安達健太、長井晃志、青木雅道、増山香補。

【入賞者】
優 勝:安達健太(東海大3年)
準優勝:長井晃志(日本体育大1年)
第三位:青木雅道(日本大3年)、増山香補(明治大1年)

安達健太選手のコメント
「小学生の頃から日本一を目指してきましたが、やっと勝つことができて本当にうれしいです。寝技になったら絶対に勝つという自信がありました。今日は父の誕生日なので最高のプレゼントができたと思います。去年は体重別団体の決勝で負けているので、今年は勝ちたいです。」

【準々決勝】
青木雅道(日本大3年)○GS反則[指導3](GS0:51)△高木育純(天理大3年)
安達健太(東海大3年)○袈裟固(3:30)△二見省吾(國學院大3年)
長井晃志(日本体育大1年)○背負投(3:21)△田中英二朗(筑波大2年)
増山香補(明治大1年)○優勢[技有・小外刈]△田嶋剛希(筑波大2年)

【準決勝】
安達健太○肩車(0:12)△青木雅道
長井晃志○GS技有・隅落(GS1:57)△増山香補

【決勝】
安達健太○横四方固(1:07)△長井晃志

■ 100kg級・吉良儀城が中学カテゴリ以来の全国制覇
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100kg級準決勝、後迫孝誠が吉野敦哉から右背負投「一本」。

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準決勝、吉良儀城が寺尾拓真から崩袈裟固で抑え込みながらの腕緘で「一本」を奪う。

(エントリー47名)

【決勝まで】

世界選手権金メダリストのウルフアロン(東海大4年)やグランドスラム・パリ王者の飯田健太郎(国士館大1年)が出場せず、圧倒的な優勝候補不在で混戦模様となった本階級。その様相を反映してか、決勝にはともにノーシード配置から大会をスタートした後迫孝誠(福岡大3年)と吉良儀城(国士舘大3年)の2人が勝ち上がった。吉良は中学3年時の全国中学校大会以来となる全国大会での決勝進出。

後迫は1回戦で国分裕輝(東日本国際大1年)に「指導3」反則(GS2:15)と、初戦からGS延長戦までもつれ込むなかなか厳しい立ち上がり。それでも2回戦で百々雄弥(日本体育大1年)を袈裟固「技有」による優勢、3回戦で山田友基(同志社大4年)を払巻込「技有」(GS1:07)でそれぞれ下すなど少しずつ調子を上げ、準々決勝では実力者村田大祐(東海大3年)に払巻込「一本」(2:00)で勝利。準決勝では3回戦で優勝候補の田崎健祐(国士舘大4年)を移腰「一本」(0:47)で破っている吉野敦哉(鹿屋体育大2年)を背負投「一本」(3:25)で下して決勝の切符を手にした。

一方の吉良は1回戦で横井勝哉(天理大4年)を大外刈「技有」優勢で下すと、以降は2回戦で古澤徹(札幌大3年)を崩上四方固「一本」(0:46)、3回戦で南里方紀(皇學館大2年)を上四方固「一本」(3:24)、準々決勝で石川竜多(筑波大2年)を横四方固「一本」(GS1:27)と寝技で「一本」を積み重ねてベスト4入り。国士舘大の先輩である東京ブロック王者の寺尾拓真(国士舘大4年)とマッチアップした準決勝では僅か49秒で腕緘により「一本」(0:49)を奪い、5戦して「一本」4つという素晴らしい内容で決勝進出を果たした。

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決勝、後迫孝誠が吉良儀城を右内股で大きく崩す。

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吉良が後迫から左大内刈「技有」を奪う。

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【決勝】
吉良儀城(国士舘大3年)○優勢[技有・大内刈]△後迫孝誠(福岡大3年)

決勝は吉良が左、後迫が右組みのケンカ四つ。後迫が低く構えて下から釣り手を突き、吉良が肘を入れて上からこれを圧する形で試合が進行する。引き手争いを経ての39秒、双方に片手の咎で「指導1」。吉良は時折引き手で相手の左奥を叩いて攻撃を誘う素振りを見せるが、後迫はこれに応じずあくまで自分のペースで試合を進める。ここから両者足を飛ばしながらの膠着状態が続き、途中後迫が右内股で吉良を一瞬浮かせるもこれは吉良が逆方向に腰を切って耐えノーポイント。2分47秒、吉良は腰を切って前技を匂わせながら背中を抱いて前進すると、作用足を相手の足に引っ掛けて向き直りながら右大内刈。意識が前技へと向いていた後迫は反応が間に合わず崩れるように畳に転がり落ちて「技有」。

リードを奪われた後迫は間合いを詰めて勝負を仕掛けようとするが、吉良は釣り手を突いて間合いをとり、これを許さない。結果、3分45秒に吉良に組み合わない咎で「指導2」が与えられたのみで試合が終了。吉良が中学3年時の2011年全国中学生大会以来となる全国制覇を決めた。吉良は試合後のインタビューにもいつもどおり飄々とした様子で答え、最後までらしさ全開だった。

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100kg級優勝の吉良儀城。

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100kg級上位入賞者。左から吉良儀城、後迫孝誠、吉野敦哉、寺尾拓真。

【入賞者】
優 勝:吉良儀城(国士舘大3年)
準優勝:後迫孝誠(福岡大3年)
第三位:吉野敦哉(鹿屋体育大2年)、寺尾拓真(国士舘大4年)

吉良儀城選手のコメント
「中学生の時に全国優勝をしているのですが、それ以来の優勝なので皆さん忘れているかと思います。初優勝したような気持ちです(笑)。決勝では良いところで大内刈を出すことができました。100kg級は層が厚く、国士舘大の後輩にも飯田という強い選手がいます。目標は来年のこの大会で連覇を達成すること。11月の講道館杯も頑張りたいです。」

【準々決勝】
後迫孝誠(福岡大3年)○払巻込(2:00)△村田大祐(東海大3年)
吉野敦哉(鹿屋体育大2年)○優勢[技有・背負投]△矢野真我(天理大1年)
寺尾拓真(国士舘大4年)○優勢[技有・払腰]△石山潤平(天理大2年)
吉良儀城(国士舘大3年)○GS横四方固(GS1:27)△石川竜多(筑波大2年)

【準決勝】
後迫孝誠○背負投(3:25)△吉野敦哉
吉良儀城○腕緘(0:49)△寺尾拓真

【決勝】
吉良儀城○優勢[技有・大内刈]△後迫孝誠

■ 100kg超級・佐藤和哉が一色勇輝との同門対決を制して優勝を飾る
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100kg超級準決勝、一色勇輝が竹村昂大から右大外刈「技有」。

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準決勝、佐藤和哉が右出足払で西尾徹を大きく崩す。

(エントリー46名)

【決勝まで】

第1シード配置であった昨年の優勝者・小川雄勢(明治大3年)が出場を取り消し、当初エントリーしていた今年の全日本ジュニア王者である香川大吾(東海大3年)も出場を回避した。優勝候補2人が抜けたとはいえ、それでも依然として各校のポイントゲッターが多数出場している激戦トーナメントを最後まで勝ち上がったのは、ともに日本大の一色勇輝(日本大3年)と佐藤和哉(日本大4年)。両者は東京ブロックの決勝でも対戦しており、その際は一色が大外刈「一本」(GS4:20)で勝利している。

1回戦が不戦勝であった一色は2回戦から登場すると、宮川卓也(岡山商科大1年)と対戦、相手を根こそぎ引っこ抜くような豪快な大外刈「一本」(1:45)で勝利。以降も3回戦で白井椋也(東洋大4年)を小外刈「一本」(2:34)、準々決勝で山田伊織(国士舘大2年)を「指導3」の反則(3:26)と一本勝ち(反則を含む)を重ねてベスト4に進出。準決勝では小川不在となった左上の山を勝ち上がってきた竹村昂大(国士舘大2年)を大外刈「技有」優勢で退けて決勝進出を果たした。

対する佐藤は2回戦で古川裕熙(天理大3年)を大外刈「一本」(2:35)に仕留めて大会をスタート。以降2回戦で林隆太(流通経済大3年)に払腰「一本」(2:30)、3回戦で奥野拓未(東海大3年)に内股「一本」(1:04)と尻上がりに調子を上げてベスト4入りを果たし、西尾徹(天理大4年)との準決勝では試合時間7分に及ぶ消耗戦を「指導2」(GS7:04)で制して決勝の畳へと辿り着いた。

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決勝、一色勇輝が右大外刈で深く刈り込み佐藤和哉を大きく崩す。

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一色が右膝車を軽く当てて佐藤を牽制。

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その戻り際に佐藤が右小内刈を合わせると一色は体側から落ちて「技有」

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【決勝】
佐藤和哉(日本大4年)○GS技有・小内刈(GS5:16)△一色勇輝(日本大3年)

日本大の同門対決は右相四つ。奥襟を得て大技一発で勝負を仕掛けたい一色と、先に引き手を得て相手の釣り手を封じたい佐藤という構図。30秒には相手の奥襟を嫌って首を抜いた佐藤に首抜きの咎で「指導1」が与えられる。一色は先に引き手から持って奥襟を狙うが、佐藤は釣り手を内、外と振って相手の引き手を引き剥がし、体を開いた状態で圧を掛けて前進する。双方十分な形を作れないまま時間が経過し、2分8秒に両者に消極的の「指導」。佐藤はこれで「指導2」となる。ポイント上では後のなくなった佐藤だが、あくまで焦らずこれまでどおり丁寧な組み立てを継続。一色が右大外刈を放ち佐藤がそれにカウンターを狙う展開が2度続いたところで本戦が終わり、「指導1」対「指導2」の一色リードで試合はGS延長戦へと持ち越される。

延長戦に入るとまずは指導1のビハインドを負っている佐藤が巴投に右大外刈、右払腰と連続で技を出して山場を作り、1分20秒に一色から「指導2」を奪取する。アドバンテージを失った一色はここからがむしゃらに前に出ての激しい攻勢を仕掛け、2分41秒には右大外刈で深くまで刈り込み佐藤を大きく崩す。そのまま飛んでもでもおかしくない強烈な技であったが、佐藤はバランス良くケンケンでこれを凌ぎ「待て」。3分21秒には一色が右払腰で伏せた佐藤に対して腕挫十字固を狙うが、これも決まらず。

両者疲労の色が濃くなってきたGS5分過ぎ、一色が右方向の膝車を軽く当てて佐藤を牽制するような動きを見せると、その足の戻し際に佐藤がタイミング良く右小内刈。体重移動の瞬間を狙われた一色は体側から勢い良く畳に落下し、主審は佐藤の「技有」を宣告する。3人の審判による合議が行われたものの結果は覆らず、佐藤の勝利が決定。これまで故障に泣かされてきた佐藤がついに学生カテゴリの頂点へと辿り着いた。

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100kg超級優勝の佐藤和哉。

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100kg超級上位入賞者。左から佐藤和哉、一色勇輝、竹村昂大、西尾徹。

【入賞者】
優 勝:佐藤和哉(日本大4年)
準優勝:一色勇輝(日本大3年)
第三位:竹村昂大(国士舘大2年)、西尾徹(天理大4年)

佐藤和哉選手のコメント
「なんとしても勝つという気持ちで戦いました。決勝は東京予選でもGS延長戦を4分戦った相手、最後の技はギリギリの戦いのなかで無意識に出ました。(-一色選手について)尊敬できる後輩です。決勝で戦うことができて良かったと思います。今後は東京五輪に優勝するためひとつずつ試合に勝っていきたいです。」

【準々決勝】
竹村昂大(国士舘大2年)○GS指導2(GS2:02)△草間優登(日本大1年)
一色勇輝(日本大3年)○反則[指導3](3:26)△山田伊織(国士舘大2年)
西尾徹(天理大4年)○優勢[技有・大腰]△出水隼人(国士舘大4年)
佐藤和哉(日本大4年)○内股(1:04)△奥野拓未(東海大3年)

【準決勝】
一色勇輝○優勢[技有・大外刈]△竹村昂大
佐藤和哉○GS指導2(GS3:04)△西尾徹

【決勝】
佐藤和哉○GS技有・小内刈(GS5:16)△一色勇輝

取材・文:林さとる/eJudo編集部

※ eJudoメルマガ版10月16日掲載記事より転載・編集しています。

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