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【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】ユーソンが大会2連覇達成、初出場の朝比奈沙羅は唯一の勝負どころ落とすも2位入賞・女子78kg超級即日レポート

(2017年9月3日)

※ eJudoメルマガ版9月3日掲載記事より転載・編集しています。
【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】ユーソンが大会2連覇達成、初出場の朝比奈沙羅は唯一の勝負どころ落とすも2位入賞・女子78kg超級即日レポート
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決勝、ユーソンは得意の外巻込を連発する

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ハンガリー・ブダペストで行われている世界柔道選手権は1日、日程第6日の男子100kg級と100kg超級、女子78kg超級の競技が行われ、78kg超級は大本命と目されたユー・ソン(中国)が優勝、2015年アスタナ大会に続く世界選手権2連覇を達成した。日本代表の朝比奈沙羅(東海大3年)は決勝でユーに敗れたが、初出場で銀メダルを獲得した。

ユーはロンドン五輪の銅メダル獲得以降、ほとんど大会に出ておらず(昨年11月のグランプリ青島1大会のみ)今大会はノーシードからのスタート。初戦でメルセデス・シゲトヴァリ(ハンガリー)に「指導3」で勝利して以降は、マルアスエレン・アルセマン(ブラジル)、キム・ミンジョン(韓国)、イリーナ・キンザルスカ(アゼルバイジャン)とメダルクラスの強豪との連戦が組まれる非常に厳しい組み合わせだったが、事実上の決勝と目されたアルセマン戦を大外刈「一本」(1:07)で勝ち抜けると、キムとの準々決勝を「技有」を取り合った末の「指導3」(GS2:11)、準決勝のキンザルスカ戦を左一本背負投「技有」で勝ち抜けて決勝進出。

決勝ではユーと対照的にこれまで中堅クラスとの戦いのみで勝ち上がって来た朝比奈沙羅(東海大3年)と対戦。やや不運な「指導」ビハインドのまま本戦を終えたが。GS延長戦になると最大の得意技である右外巻込に攻撃を絞り込み、常に釣り手から持ってくる朝比奈の手順に付け込んで連続攻撃。「指導」2つを連取して優勝に辿り着いた。

朝比奈は準決勝で対戦予定だった五輪王者エミリー・アンドル(フランス)が準々決勝で脱落したこともあり、前述の通り対戦相手に超強豪はなし。4戦して3つの「一本」に1つの「技有」と危なげなく勝ち進んだが、唯一最大の勝負どころを落とす形で2位に終わった。

3位にはキムとキンザルスカが順当に入賞。この日アンドルを破るなど骨の太い柔道で目立っていたカイラ・サイエト(トルコ)はキムに敗れて5位だった。ユーと並ぶ優勝候補だったアルセマンは前述の通り予選ラウンドでユーとマッチアップ、敗れて入賞には絡めなかった。

入賞者リスト、朝比奈沙羅のコメントと準々決勝以降のスコア、3位決定戦以降および日本代表選手全試合の戦評は下記

■ 78kg超級
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78kg超級メダリスト。左から朝比奈、ユー、キム、キンザルスカ。

(エントリー31名)

【入賞者】
1. YU, Song(CHN)
2. ASAHINA, Sarah(JPN)
3. KIM, Minjeong(KOR)
3. KINDZERSKA, Iryna(AZE)
5. SAYIT, Kayra(TUR)
5. SAVELKOULS, Tessie(NED)
7. CERIC, Larisa(BIH)
7. ANDEOL, Emilie(FRA)

朝比奈沙羅選手のコメント
「優勝と2位では全然差があるので、正直な気持ちで言うと悔しい。審判任せにしないで、最後まで投げに行くことが必要だったと思います。(-ポジティブな要素としては?)初めての世界選手権という場で決勝に立てたのは良い経験になった。これを糧にもう一段のレベルアップをしていきたいです」

【準々決勝】
イリーナ・キンザルスカ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)○優勢[技有・裏投]△イリーナ・キンザルスカ(アゼルバイジャン)
ユー・ソン(中国)○反則[指導3](GS2:11)△キム・ミンジョン(韓国)
朝比奈沙羅(日本)○後袈裟固(1:34)△テッシー・サフェルコウルス(オランダ)
カイラ・サイエト(トルコ)○縦四方固(2:15)△エミリー・アンドル(フランス)

【敗者復活戦】
キム・ミンジョン(韓国)○不戦△ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
テッシー・サフェルコウルス(オランダ)○反則[指導3](3:18)△エミリー・アンドル(フランス)

【準決勝】
ユー・ソン(中国)○優勢[技有・一本背負投]△イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)
朝比奈沙羅(日本)○GS優勢[技有・支釣込足](GS0:12)△カイラ・サイエト(トルコ)

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3位決定戦、キム・ミンジョンがカリナ・サイエトから谷落「技有」

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3位決定戦、イリナ・キンザルスカが大外落「技有」

【3位決定戦】
キム・ミンジョン(韓国)○GS優勢[技有・谷落](GS1:39)△カイラ・サイエト(トルコ)
キムが左、サイエト右組みのケンカ四つ。サイエトは釣り手で後帯を握っての右釣腰、キムは左内股巻込と左大腰を放って攻め合う。サイエトの釣腰にはキムが崩れ、一方キムの内股巻込は効かず、仕掛けた自身が慌てて前に倒れて返し技を回避。体の力はややサイエト優位の印象。1分過ぎからサイエトが釣り手で背中を叩いての右釣込腰を連発、1分25秒キムに「指導」。
キムは相手の袖を絞り込み、得意の左袖釣込腰と右背負投で反抗開始。一方サイエトは2分20秒に右払腰から右小外掛と繋いだ良い攻撃を見せて以降、疲労し始めたかやや退潮。3分過ぎからキムが浮技、右背負投と仕掛けて「指導」ひとつを奪回、タイスコアのまま試合はGS延長戦へ。
双方消耗明らか、決着近しと踏んだか試合はやや加速。キムは左大外刈、サイエトは1分過ぎの腕返とそれぞれ見せ場を作る。1分40秒、サイエトが軸足を外に回しての左内股。動き、タイミングともにここまでの攻撃の一段上を行く良い技だったが遠間で力が伝わり切らず、キムが谷落に切り返し「技有」奪取。熱戦はキムの勝利に終わった。

イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)○優勢[技有・大外落]△テッシー・サフェルコウルス(オランダ)
キンゼルスカが左ベースの両組み、サフェルコウルスが右組み。まずサフェルコウルスが左一本背負投を連発、1分15秒にキンゼルスカに消極的の咎で「指導」が与えられる。しかし、直後の1分15秒、キンゼルスカは右引き手で左袖を得ると、釣り手も引き手近くを握って、両手でぶら下がるような左大外刈に飛び込む。巨体を利して倒れ込むように投げ切ったこの一撃は大外落「技有」。さらに投げ終わりの形のまま相手の腕を抱いて崩袈裟固で抑え込む。これは腕のみを固めた不十分な形であったために抑え込み直しを繰り返した末に逃してしまうが、これで「技有」2つを追加、獲得した「技有」は合計3つとなる。圧倒的優位を獲得したキンゼルスカだが、このあたりから激しく消耗。組み際にほとんど倒れ込むような右外巻込を繰り返し、2分50秒には2つ目となる「指導」を失ってしまう。一方、これを受けてサフェルコウルスは奮起、担ぎ技を連発してあと1つの「指導」を奪いにかかる。残り10秒までに4回連続でサフェルコウルスが一方的に担ぎ技に潰れる展開が続いたものの、主審は沈黙。最後はキンゼルスカがサフェルコウルスの左背負投を潰したところでブザーが鳴り、キンゼルスカの3位獲得が決定した。消耗し切ったキンゼルスカはしばし立てず、しかし天井を見上げたまま一声挙げて銅メダル獲得に大喜び。

【決勝】
ユー・ソン(中国)○GS優勢[指導2](GS1:56)△朝比奈沙羅(日本)
右相四つ。朝比奈は一貫して釣り手から組み手を開始、ユーは応じて引き手をまず掴み、釣り手を揚げて奥襟確保を匂わせながら得意の右外巻込を狙う。55秒、ユーが支釣込足で蹴り崩すなり朝比奈の右腕を抱え込むが、本命である外巻込の襲来前に朝比奈が離れて「待て」。直後朝比奈が得意の支釣込足でユーを大きく崩すが、ユーは崩れながら腕を抱えてまたもや外巻込の構え。安易な押し込みは禁物の模様。
双方横変形に構えて圧を掛け合い、朝比奈が右大外刈の構えから支釣込足で蹴り崩すと1分31秒ユーに「指導」。やや性急であり、朝比奈にとっては相当に幸運なアドバンテージ。ビハインドのユーは朝比奈の首裏をひっつかんで外巻込、2分55秒には素晴らしい動きの左小外掛を披露して元気いっぱい、消耗の気配一切なし。一方の朝比奈も2分22秒の支釣込足、さらに前述ユーの小外掛に反応しての右内股と散発ながら取り味のある攻撃を見せ、双方譲らぬまま試合はGS延長戦へ。
延長に入るとユーは攻撃を敢えてシンプル化、右外巻込一本に的を絞って攻めまくる。23秒には朝比奈の生命線である支釣込足も右外巻込に切り返して無力化、以降もこの技を連発する。出足が足りず、外側まで進出すべき右足が朝比奈の股中に落ちてしまうため効果のある技ではないが、主審はユーの攻勢を採って45秒朝比奈に「指導」。これでスコアはタイとなる。
この主審の裁定で、自身の外巻込が攻撃と評価されるいわば「お墨付き」を得た形のユーはさらに加速して外巻込を連発。しかし朝比奈はユーがこの技が施しやすい、まず釣り手から持つ組み手の手順をあらためない。これによって引き手を容易に得、あとは腕を抱えるだけで攻勢を獲れるユーは1分4秒、1分17秒、1分26秒、1分41秒、そして1分56秒と外巻込を連発。この間朝比奈は一切技を出せず、消耗したユーが畳に屈した1分56秒ついに主審が試合を止める。注目の裁定は朝比奈に対する消極的との「指導2」。これでユーの勝利が決定、世界選手権連覇の偉業を達成することとなった。ユーの外巻込一本鎗に対し何ら手を打たなかった朝比奈は、弱点である戦術的引き出しの少なさを晒し、かつ長所であったはずのここ一番の気力でも相手の後塵を拝した形の厳しい内容。以後のキャリアを考える上でも、世界選手権銀メダルという成果より、逃したものの方が大きいのであないかと思わされる決勝だった。

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準々決勝、朝比奈がテッシー・サフェルコウルスから払巻込「技有」

【日本代表選手勝ち上がり】

朝比奈沙羅(東海大3年)
成績:2位


[1回戦]
朝比奈沙羅(日本)○払腰(2:27)△ホーテンス ヴァネッサ・ムバラ アタンガ(カメルーン)
朝比奈が右、ムバラが左組みのケンカ四つ。試合開始とともにムバラは勢い込んで突進。朝比奈は落ち着いて出足払を繰り出しながら相手を組み止め、30秒には右内股で腹這いに崩す。これで朝比奈の一発の重さを理解したムバラは以後組み際の左背負投での掛け潰れを連発、57秒偽装攻撃の「指導」。朝比奈以降もペースを崩さず、足技で相手の動きを止めては右払腰、右内股と攻め続ける。1分37秒、ムバラが担ぎ技で掛け潰れると釣り手を握って無理やり立たせ、そのまま引き手で襟を握って両襟の右足車。ハンドル操作の効いた一撃見事に決まって「一本」。朝比奈は自信あふれる試合ぶり、好発進。

[2回戦]
朝比奈沙羅(日本)○崩袈裟固(1:49)△クセニア・チビソワ(ロシア)
朝比奈が右、チビソワが左組みのケンカ四つ。チビソワが前進、長身を生かして朝比奈の頭を下げさせ、30秒朝比奈に「極端な防御姿勢」の「指導」。続く展開、チビソワの支釣込足を朝比奈が被り返すが、チビソワがあまりに勢いよく真裏に倒れたゆえか自爆と判断されてノーポイント。朝比奈徐々に間合いを掴み、試合時間1分半が迫らんとするところで右大腰。腰に載せると遅れて足を挙げ、内股の形で投げ切り「技有」。そのまま崩袈裟固、横四方固と連絡して「一本」。

[準々決勝]
朝比奈沙羅(日本)○後袈裟固(1:34)△テッシー・サフェルコウルス(オランダ)
右相四つ。朝比奈まず引き手を掴み、釣り手を高く晒しておいて組み際の右払巻込を連発。1分13秒、サベルコウルスが朝比奈の釣り手の袖に食いついて絞りこむと、朝比奈絞らせたままこの手を揚げて右前隅に引きずり込み、右払巻込「技有」。そのまま後袈裟固に抑え込んで危なげなく「一本」。

[準決勝]
朝比奈沙羅(日本)○GS優勢[技有・支釣込足](GS0:12)△カイラ・サイエト(トルコ)
右相四つ。サイエトは釣り手で奥襟を深く叩き、対する朝比奈は引き手でまず脇を突き、釣り手で前襟を握って対峙。20秒、朝比奈が支釣込足でサイエトにたたらを踏ませ、35秒には再びこれを仕掛けて腹這いに崩す。サイエトも1分過ぎに支釣込足を2連発、二の矢で朝比奈を転がし、以降試合は詰まった間合いからの支釣込足の応酬となる。
2分過ぎ、朝比奈の支釣込足に崩されながらもサイエトが奥襟を確保、横変形で強く圧力を掛けると主審は2分11秒に朝比奈に対し「極端な防御姿勢」の「指導」を宣告。これに力を得たかサイエト積極的に奥襟を叩き前進。奮起した朝比奈は2分30秒過ぎの支釣込足、2分54秒の右足車でそれぞれ惜しい場面を作り、直後の3分3秒サイエトに「指導」。これでスコアはタイとなり、試合はGS延長戦へ。
延長開始早々、朝比奈ひときわ深く支釣込足。サイエトが崩れると出足良く押し込んで「技有」獲得。これで試合が決した。

[決勝]
朝比奈沙羅(日本)△GS優勢[指導2](GS1:56)〇ユー・ソン(中国)

※前述のため省略

文責:古田英毅/林さとる

※写真は権利者の許諾を得て掲載しています

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