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【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】前日に続いて中量級は大混戦、新チャンピオンはセルビアの二番手マイドフ・男子90kg級即日レポート

(2017年9月2日)

※ eJudoメルマガ版9月2日掲載記事より転載・編集しています。
【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】前日に続いて中量級は大混戦、新チャンピオンはセルビアの二番手マイドフ・男子90kg級即日レポート
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90kg級決勝はネマニャ・マイドフ(セルビア)とミハエル・ツガンク(スロベニア)という意外な顔合わせ。

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優勝決定のマイドフ、みずからも驚きの表情を隠せず。

ハンガリー・ブダペストで行われている世界柔道選手権は31日、日程第5日の男子90kg級、女子70kg級と78kg級の競技が行われ、90kg級はネマニャ・マイドフ(セルビア)が優勝した。マイドフはワールドツアーの優勝がまだ1度もなく最高成績は3位。国内の序列でもアレクサンダー・クコルに続く二番手と認識されていて今大会はまったくの無印、驚きの戴冠となった。

大会は前日の81kg級に続き荒れ模様。前半戦の主役を担ったのはこれもダークホースのミハエル・ツガンク(スロベニア)だった。大会屈指の「死のブロック」であるプールBに配されたツガンク、2回戦でクレン=クリストファー・カルユライド(エストニア)を「指導3」で下すところまでは既定路線であったが、3回戦で優勝候補ヴェカ・グビニアシビリ(ジョージア)を「ブリッジ反則負け」で下すと(ツガンクが深く腕を握って仕掛けた巴投に顔から落下、不可抗力と言われても仕方のないところでグビニアシビリにはまことに不運だった)、一気に調子に乗り、続いてなんとフセン・ハルモルザエフ(ロシア)をGS延長戦の大外刈「技有」で下し、準決勝では世界王者ガク・ドンハン(韓国)をも左大内刈「技有」で下して驚きの決勝進出。

ツガングが暴れまくる一方、マイドフも大物2人を食ってその勝ち上がりはなかなかのもの。初戦でアスレイ・ゴンザレス(キューバ)を「指導3」で倒した際にはゴンザレスの不調と解釈されるレベルだったが、以降イスラム・ボズバエフ(カザフスタン)を「指導3」、エイヤラ・ルブー(コンゴ)を腕緘「一本」、さらにムラ気の大物セリオ・ディアス(ポルトガル)を小内刈「一本」と気が付けばベスト8に名を連ねる大躍進。準々決勝でウサンジ・マルギアニ(ジョージア)をGS肩車「技有」で破ると、準決勝では地元の大歓声を背に受けたクリスティアン・トート(ハンガリー)と大熱戦。担ぎ技が得意なトートに、長身からの担ぎ技でこれを相殺する形で粘り、GS延長戦まで試合を持ち込む。本戦終了直前に主審がやや地元贔屓とも取れる「指導」をマイドフに呉れると、ジロリと冷たい目でにらみつけ、続く延長戦ではペースアップ。1分20秒に右背負投で完全に股中に潜り込んで鮮やか「技有」をもぎ取り、見事決勝まで辿り着いた。

いきなりお互い対戦相手のレベルが落ちた(これはインタビューで本人も認めていた)決勝のツガンク戦は打って変わったロースコアゲーム。「指導1」ずつを失って迎えたGS51秒にやや微妙な判定でツガングに袖口を絞り込んだ咎による「指導」。大荒れの大会を締めるにはあまりにあっけなさすぎる結末で、マイドフの優勝が決まった。

まったくの無印から世界チャンピオンの座に就いたマイドフはインタビューでも興奮気味。「危険を冒さなければ、ゴールはない」などの切れ味あるセリフを交えつつ長広舌を振るい「ゴールはオリンピックのチャンピオンだ」と意気軒高だった。

3位にはガクとマルゲアニが入賞。地元期待のトートは尻上がりに調子を挙げながらもマイドフの勢いを止められず準決勝敗退。3位決定戦では、敗者復活戦以降大会の荒れっぷりに怒気を発するかのような猛攻を見せていたガクに遭遇する不運、「技有」を失って5位に沈んだ。

セルビアを1番手として牽引してきたクコルは、後輩の躍進をよそにマルゲアニとの3位決定戦を落として5位。最後まで読めないトーナメントであった。

入賞者リスト、準々決勝以降のスコアと3位決定戦以降および日本代表選手全試合の戦評は下記。

■ 90kg級
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90kg級メダリスト。左からツガンク、マイドフ、ガク、マルギアニ。

(エントリー72名)

【入賞者】
1.MAJDOV, Nemanja (SRB)
2.ZGANK, Mihael (SLO)
3.GWAK, Donghan (KOR)
3.MARGIANI, Ushangi (GEO)
5.TOTH, Krisztian (HUN)
5.KUKOLJ, Aleksandar (SRB)
7.GANTULGA, Altanbagana (MGL)
7.MEHDIYEV, Mammadali (AZE)

【準々決勝】
アレクサンダー・クコル(セルビア)○優勢[技有・内股]△ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)
ミハエル・ツガンク(スロベニア)○優勢[技有・大内刈]△ガク・ドンハン(韓国)
ネマニャ・マイドフ(セルビア)○GS技有・肩車(GS1:07)△()ウサンギ・マルギアニ(ジョージア)
クリスティアン・トート(ハンガリー)○優勢[技有・裏投]△ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)

【敗者復活戦】
ガク・ドンハン(韓国)〇優勢[技有・袖釣込腰]△ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)
ウサンギ・マルギアニ(ジョージア)〇優勢[技有・谷落]△ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)

【準決勝】
ミハエル・ツガンク(スロベニア)〇GS優勢[技有・小内刈](GS2:46)△アレクサンダー・クコル(セルビア)
ネマニャ・マイドフ(セルビア)○GS優勢[技有・背負投](GS1:20)△クリスティアン・トート(ハンガリー)

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定戦、ガク・ドンハンがクリスティアン・トートから大内刈「技有」

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ウサンギ・マルギアニがアレクサンダー・クコルから裏投「技有」

【3位決定戦】
ガク・ドンハン(韓国)○優勢[技有・大内刈]△クリスティアン・トート(ハンガリー)
ガクが左、トートが右組みのケンカ四つ。トートは右手で袖口を握りこんだ形をベースに組み際の担ぎ技を連発。まずは手数志向で主導権を握りにかかる。しかし57秒、トートに故意に柔道着をはだけたとして「指導」。トートにとっては思わぬ失点だったが、以降も組んでは担ぎ技で掛け潰れる先手攻撃の方針は改めず。偽装攻撃に近い技もあったものの主審はトートの攻勢を認めて、2分4秒、ガクに消極的との咎で「指導」を与える。失点に怒気を発したガクは一段ペースをアップ。左袖釣込腰で度々トートを大きく崩して反撃。3分33秒、ガクは襟と袖を得て万全の形を作ると、左内股から左大内刈に連絡してケンケンで追い込み、決定的な「技有」を獲得する。リードを許したトートは審判の「はじめ」の声とともに猛然と飛び出すが、時間なくそのまま試合が終了。ガクが3位を確保した。

ウサンギ・マルギアニ(ジョージア)〇優勢[技有・裏投]△アレクサンダー・クコル(セルビア)
マルギアニが右、クコルが左組みのケンカ四つ。両袖の絞り合いが続くが、45秒にマルギアニが「やぐら投げ」の大技。腰上に抱え上げたクコルを裏投で叩き落して「技有」を獲得する。クコルは反撃のチャンスを探すが双方両袖で膠着、技が止まったマルギアニには2分14秒に「指導」ひとつが与えられる。2分半過ぎ、クコルが引き手で袖、釣り手で背中を叩くと右体落。乗り越えたクコルが体を浴びせて返すとこれは「技有」となるが、合議の結果このポイントは取り消し。なかなか追いつけないクコルは苦しい時間が続く。最終盤、マルギアニの裏投をクコルが大腰に切り返すが、マルギアニが際の攻防を制して段重ねの右小外掛。クコル畳に落下し2つ目の「技有」失陥。残り3秒で守勢のマルギアニに「指導」が与えられるが大勢動かず、マルギアニの銅メダル獲得が決まった。

【決勝】
ネマニャ・マイドフ(セルビア)○GS指導2()△ミハエル・ツガンク(スロべニア)
右相四つ。組み手争いから試合がスタート。51秒にツガンクが隅返を放ってマイドフ大きく崩れるが、みずから側転に飛び込む形で回避。双方横変形での攻防が続いた1分58秒、ツガンクのみに極端な防御姿勢の咎で「指導」。以降は両者がっぷり四つに構えて、お互いに圧を掛け合うのみの膠着状態が現出する。3分7秒、ツガンクは組み際に釣り手を片襟に入れると、一瞬引き出してから切れ味鋭い右小内刈。マイドフは突き飛ばされるようにして尻餅をつくが、その勢いの良さのためにツガンクの両手が離れてしまいポイントはなし。これ以降大きな動きはないまま、試合はマイドフの「指導1」リードでGS延長戦へと突入する。GS22秒、奥襟を得たマイドフが相手を煽りながら自ら場外に出てしまい、故意に場外に出た咎で「指導」。これで両者「指導1」でスコアはタイとなる。さらに直後のGS51秒、今度はツガンクが奥襟を得て場外際まで追い込むと、マイドフは首を抜いてこれを回避。ツガンクは鬼の首を取ったかのごとく、首抜きのジェスチャーを見せて激しくアピールを行う。主審から柔道着を正すように指示があり、ツガンクは勝利を確信したかのように喜びを露わにするが、しかし主審は袖を絞った咎でツガンクに「指導」を宣告。思わぬ形の幕切れでマイドフが優勝を手にすることとなった。

※日本代表選手の出場はなし。

文責:古田英毅/林さとる

※写真は権利者の許諾を得て掲載しています

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