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【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】大荒れのトーナメントをランキング124位のヴィークツェルツァクが制す、優勝候補永瀬は膝を負傷し4回戦敗退・男子81kg級即日レポート

(2017年9月1日)

※ eJudoメルマガ版9月1日掲載記事より転載・編集しています。
【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】大荒れのトーナメントをランキング124位のヴィークツェルツァクが制す、優勝候補永瀬は膝を負傷し4回戦敗退・男子81kg級即日レポート
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81kg級決勝、アレクサンダー・ヴィークツェルツァクがマテオ・マルコンチーニから片手絞「一本」

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ツアー未勝利のヴィークツェルツァクは驚きの戴冠

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2回戦、ヴィークツェルツァクがアントワーヌ・ヴァロア=フォルティエから小内刈「技有」

ハンガリー・ブタペストで行われている世界柔道選手権は30日、日程第4日の男子81kg級、女子63kg級の競技が行われた。

男子81kg級は優勝候補の筆頭永瀬貴規(旭化成)が予選ラウンドで姿を消す波乱の展開。ダブラト・ボボノフ(ウズベキスタン)を畳に迎えた4回戦の開始34秒に大内刈を仕掛けた際に右膝を負傷、以降は立っているのがやっとの状態で、GS延長戦の末「指導3」で敗れた。日本男子の連続金メダルは4日目で途切れた。

トーナメントはシード選手8人のうち、準々決勝に残ったのが3名、準決勝には僅か1名しか進めないという柔道競技には珍しい大荒れ模様。唯一ベスト4に残ったリオ五輪王者ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)も準決勝で敗れ、決勝はワールドランキング124位のアレクサンダー・ヴィークツェルツァク(ドイツ)が同61位のマテオ・マルコンチーニ(イタリア)を破って驚きの優勝を遂げた。26歳のヴィークツェルツァクはワールドツアーの常連メンバーながら優勝歴がなく、2014年グランプリ・サムスンにおける2位獲得が最高成績。まさしく無印からの頂点獲得となった。

ヴィークツェルツァクは2回戦でロンドン五輪3位のアントワーヌ・ヴァロア=フォルティエ(カナダ)、3回戦では今大会第1シードのアラン・クベトソフ(ロシア)、4回戦はシード選手のエリヘンバツ(中国)、準々決勝では地元期待のラズロ・チョクナイ(ハンガリー)、そして準決勝ではロンドン五輪金メダリストのハルモルザエフと、強豪ばかりを次々破っての戴冠。内容はフォルティエにGS延長戦の小内刈「技有」、クベトソフには一本背負投「技有」(この試合では3つの「技有」をマーク)、エリエンバツ戦はGS延長戦の横落「技有」、チョクナイ戦は残り0秒の隅返「技有」、準決勝はハルモルザエフから一本背負投「技有」と、全試合で攻撃ポイントを挙げるという素晴らしいものだった。

3位にはハルモルザエフと、今年のアジア選手権の銀メダリスト・サイード・モラエイ(イラン)が入賞した。

入賞者リスト、ヴィークツェルツァクのコメントと準々決勝以降のスコア、3位決定戦以降と日本代表選手全試合の戦評は下記。

■ 81kg級
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81kg級メダリスト。左からマルコンチーニ、ヴィークツェルツァク、モラエイ、ハルモルザエフ。

(エントリー66名)

【入賞者】
1. WIECZERZAK, Alexander(GER)
2. MARCONCINI, Matteo(ITA)
3. MOLLAEI, Saeid(IRI)
3. KHALMURZAEV, Khasan(RUS
5. CSOKNYAI, Laszlo(HUN)
5. OTGONBAATAR, Uuganbaatar(MGL)
7. BOBONOV, Davlat(UZB)
7. DE WIT, Frank(NED)

アレクサンダー・ヴィークツェルツァク選手のコメント
「とにかく驚いています。大きな大会で優勝するのはジュニア時代以来(註・2010年世界ジュニア選手権73kg級で優勝)。素晴らしいし、ちょっと混乱しています。決勝の前にはトレーナーに『ほんとに決勝まで来たの?』と何度も聞いてしまうくらいでした(笑)。チームのメンバー、家族、ガールフレンド、たくさんの人が大きな力をくれました。感謝しています。」

【準々決勝】
アレクサンダー・ヴィークツェルツァク(ドイツ)○優勢[技有・隅返]△ラズロ・チョクナイ(ハンガリー)
ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)○GS反則[指導3](GS2:35)△ダブラト・ボボノフ(ウズベキスタン)
サイード・モラエイ(イラン)○内股(2:23)△フランク・デヴィト(オランダ)
マテオ・マルコンチーニ(イタリア)○一本背負投(3:07)△オトゴンバータル・ウーガンバータル(モンゴル)

【敗者復活戦】
ラズロ・チョクナイ(ハンガリー)○GS技有・肩車(GS2:05)△ダブラト・ボボノフ(ウズベキスタン)
オトゴンバータル・ウーガンバータル(モンゴル)○送襟絞(1:21)△フランク・デヴィト(オランダ)

【準決勝】
アレクサンダー・ヴィークツェルツァク(ドイツ)○優勢[技有・一本背負投]△ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)
マテオ・マルコンチーニ(イタリア)○優勢[技有・大内刈]△サイード・モラエイ(イラン)

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3位決定戦、サイード・モラエイがラズロ・チョクナイから浮腰「一本」

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ハサン・ハルモルザエフがオトゴンバータル・ウーガンバータルから小内刈「技有」

【3位決定戦】
サイード・モラエイ(イラン)○浮腰(1:00)△ラズロ・チョクナイ(ハンガリー)
地元選手のメダルマッチに観客席は大いに盛り上がる。チョクナイも相当に気合いが入っている模様。
チョクナイが右、モラエイが左組みのケンカ四つ。双方前傾姿勢で絞り合い、チャンスを伺う時間が続く。30秒過ぎにいったん離れ、続いてモラエイが左で背中を掴んでの引き手争い。ここでモラエイが右引き手で脇を差して勝負に出ると、チョクナイも両手を相手の背中に回し、後帯を握り込むベアハグで応じる。伸るか反るか、もはや中途半端に降りることが出来ない密着体勢。チョクナイは右脚を上げて反時計周りの「やぐら投げ」を2度敢行、さらに2度目の降り際に右小内刈を差し込もうとするがモラエイはこれをかわし、回転運動を止めずに一段深く捩じり込む。チョクナイ畳に墜落、右浮腰「一本」で試合は決着。

ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)○優勢[技有・小内刈]△オトゴンバータル・ウーガンバータル(モンゴル)
ハルモルザエフが左、オトゴンバータルが右組みのケンカ四つ。組み手争いが続いて、51秒、両者に「指導」。さらに1分8秒には脇を差し合っての攻防から降りて潰れてしまったオトゴンバータルに2つ目の「指導」が追加される。後のなくなったオトゴンバータルは以降徹底して脇を差し、密着して一発を狙う。2分間際にはこの体勢から左小内刈、相手を引き出し、両手で袖口付近を持って引き落としたこの技で「技有」を獲得する。ビハインドとなったハルモルザエフは奮起してペースアップ、2分29秒には脇を差し合っての攻防から背中を抱いて押し込む左小内刈で「技有」奪回。ハルモルザエフの勢いは止まらず、直後の2分57秒には場外際で同様の形で2つ目の「技有」を追加する。以降オトゴンバータルは組み際の右「韓国背負い」を狙うなど追い上げを試みるが、ハルモルザエフがしっかり凌いでタイムアップ。

【決勝】
アレクサンダー・ヴィークツェルツァク(ドイツ)○片手絞(1:56)△マテオ・マルコンチーニ(イタリア)
ヴィークツェルツァクが右、マルコンチーニが左組みのケンカ四つ。ともに事前に決勝進出が予想された選手ではまったくなく、憧れの世界チャンピオンの座を目前にした両者の表情には相当の高揚感あり。
ヴィークツェルツァクが巴投で先制攻撃、マルコンチーニは右への横落で対抗する。マルコンチーニの右大外刈をヴィークツェルツァクが跳ねるような隅返に切り返し、さらに両襟を握ったところから左一本背負投を押し込んで攻勢。
試合時間2分に迫ろうかというところで、ヴィークツェルツァクの圧力にマルコンチーニが潰れる。ヴィークツェルツァクはこのチャンス見逃さず、左襟を握った右を首に食い込ませ、相手の左側に回ると左脚で相手の体を乗り越えて片手絞。相手の腹をしっかり超えるところまで食い込んだ左脚が良く効き、逃れられぬと悟ったマルコンチーニが「参った」。ワールドランキング124位のヴィークツェルツァクが驚きの戴冠を果たした。

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2回戦、永瀬貴規がアジズ・カルカマヌリを崩上四方固「一本」

【日本代表選手勝ち上がり】

永瀬貴規(旭化成)
成績:4回戦敗退


[2回戦]
永瀬貴規(日本)○崩上四方固(3:06)△アジズ・カルカマヌリ(カザフスタン)
右相四つ。カルカマヌリは絞り、あるいは切って組み合わず。永瀬が二本持つと自ら潰れてまともに勝負しようとしない。永瀬がしっかり持った1分51秒にも自ら膝を屈し、直後「指導」。
永瀬はあくまで冷静。2分半を過ぎたところで引き手で袖を掴むと、繰り返される相手の陽動、なりふり構わぬ切り離しにも表情を変えずガッチリこれを握り続ける。窮したカルカマヌリが自ら潰れ、予期していた永瀬はすかさず横三角。粛々手順を進め、相手が暴れると見るや体を頭側に戻して立膝に近い形で腕を殺し続け「一本」。

[3回戦]
永瀬貴規(日本)○小外掛(2:23)△アンリ・エグティゼ(ポルトガル)
永瀬が右、エグティゼ左組みのケンカ四つ。エグティゼは組み合うことを嫌い、組まれるとみれば早々に体落に潰れて時間を消費。しかし永瀬が加速せぬと踏むや、一転大胆に釣り手で背中を叩きながら左内股を見せる。永瀬油断したかまっすぐ受けてしまい、やや崩れて「待て」。調子づいたエグディゼは再び首裏を叩いて左内股、しかしこの技を機に永瀬に組むとすぐにその手を切り離して離れて攻防自体を拒否。自分優位で持てた時だけ柔道をしようという、非常に割り切った戦い方を見せる。それでも手数は積み重なり、永瀬には1分28秒と2分4秒に「指導」。
直後の展開、潰れたエグティゼに永瀬が横三角。脚から這い出たエグティゼが立ち上がって、「待て」のタイミングかと思われたが、主審は小さく手を動かしたのみで明確な発声を躊躇。既に試合中断と思い込んだエグティゼが場外に向かって歩き出すとその背後から永瀬が襲い掛かり、抱き着いて右小外掛。エグティゼ吹っ飛び、主審は「一本」を宣告。
もちろん「待て」が妥当の場面であるが、映像チェックの後もこの判定は覆らなかった。昨日中盤まで非常に安定していた審判団のジャッジがこの日になって各所で揺れており、このMAT1も首を傾げる判定多々。その極まりの一となる結末であった。

[4回戦]
永瀬貴規(日本)△反則[指導3](GS2:10)〇ダブラト・ボボノフ(ウズベキスタン)
永瀬が右、ボボノフが左組みのケンカ四つ。業師ボボノフは相手に持たれた左を一回切り、戻す動作に合わせて左体落。前戦で決めている勝負技をいきなり打ち込むと、永瀬ストンと転がって正座の形で落ちる。勢いがあったゆえか映像チェックの時間が持たれたが、これはノーポイントのまま試合再開。

14秒、正中線を超えて袖を抑えた咎で永瀬に「指導」。そして直後の34秒に大事件。永瀬が右大内刈で追って作用足を畳に着けた瞬間、崩れて反時計回りに後方に伏せようとしたボボノフの両脚が永瀬の右膝に引っかかり、蟹挟のごとく両脚で挟んで永瀬の脚を捩じることになる。永瀬はボボノフが力を掛けた方向の逆、時計回りに身を切ろうとしており、その右膝が捩じり極まってしまう、非常に危うい形。
永瀬はしばし立てず。試合は続けるものの59秒にはボボノフの小外刈を受けるなりガックリ膝を着いてしまい、以後も動きはぎこちなく明らかに様子がおかしい。2分21秒には「指導2」失陥、直後放った小内刈にはボボノフが大きく崩れるが永瀬は到底追い掛けられず、当然決めることも出来ず。3分6秒にボボノフに偽装攻撃の「指導」が宣告され、試合はGS延長戦へ。
延長13秒、組み手争いのさなかに永瀬突然ガクリと膝を折り、畳に屈して「待て」。48秒にボボノフに左足を蹴られると耐え切れず再びガクリと膝を折り、再開後に上体を振られると体を支えられず崩れ落ちてしまう。もはや試合を止めないことが不可解なほど、重症明らか。
GS1分10秒、ボボノフが左払巻込に掛け潰れる。ほとんど自ら両手を離して畳に落ち、永瀬慌てて手を引いたが、映像チェックの結果永瀬に「足取り」(下半身に触れた)の反則を宣告される。結果累積警告が「3」となって永瀬の敗戦が決まった。

文責:古田英毅/林さとる

※写真は権利者の許諾を得て掲載しています

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