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【ブタペスト世界柔道選手権2017特集】ティナ・トルステニャクとクラリス・アグベニューのライバル対決に期待・女子63kg級概況×有力選手紹介

(2017年8月29日)

※ eJudoメルマガ版8月30日掲載記事より転載・編集しています。
【ブタペスト世界柔道選手権2017特集】ティナ・トルステニャクとクラリス・アグベニューのライバル対決に期待・女子63kg級概況×有力選手紹介
■ 階級概況
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63kg級実力推測マップ

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V候補トルステニャクの武器は左一本背負投

リオデジャネイロ五輪の金銀メダリストであるティナ・トルステニャク(スロベニア)とクラリス・アグベニュー(フランス)が階級のツートップ。両者は2015年アスタナ世界選手権、2016年リオ五輪と、2年連続で世界大会の決勝を争っている。両者はお互いに影響を与え合いながら「ビースト化」の道を邁進しており、他の有力選手を時間が経つほどに引き離していっているという印象。どちらもパワー柔道全盛の時代を迎えているこの階級を象徴する存在だ。競技力的にこの2人に次ぐ存在であるヤーデン・ゲルビ(イスラエル)と田代未来(コマツ)が欠場していることもあり、今大会ではよりこの2人の傑出ぶりが際立っている。

トルステニャク、アグベニュー、日本選手はなぜかちょうど「三すくみ」の関係となっており、アグベニューはトルステニャクに、トルステニャクは日本選手に、そして、日本選手はアグベニューにまったく勝てていない。今大会に日本は代表選手を派遣していないため、本来安定感に優れるトルステニャクがトーナメント途中で敗れる可能性は限りなく低い。アグベニューのトルステニャク以外に対する圧倒的な強さに鑑みても、両者が決勝戦で対戦することはほとんど既定路線と断ずることができるだろう。アグベニューは見るたびに力強さがアップしている印象があり、それに比例してトルステニャクとの試合内容が良くなってきている。アグベニューのリベンジなるか、それともトルステニャクが今回もアグベニューの挑戦を退けるのか、両者による決勝が本階級最大の見どころだ。

今大会の出場者のなかに前述の2人に牙が届き得るような選手はいないが、あえて注目選手を挙げるとすれば、マルゴ・ピノ(フランス)を推しておきたい。いったいに特別な上昇装置を持つ選手がおらず、良くも悪くも荒れることの少ない本階級にあって、序列外からいままさに階段を駆け上がっている若手のピノは非常に面白い存在。実は今年に入ってからトルステニャクとアグベニュー以外には敗れておらず、今大会の台風の目となる可能性がある。

寝技技術の高度化が進んでいる女子柔道にあって、63kg級は依然地力ベースの力比べが主流を占めており、寝技を戦術の核に取り込んでいるトップ選手はゲルビくらいしか思いつかない。そのゲルビもあくまでベースとしているのはパワー柔道であり、トルステニャクとアグベニューのトップ選手2人に引っ張られる形で階級全体の「力比べ」傾向はむしろ加速している。同様の状況であった78kg級に寝技というロジックを持ち込んだケイラ・ハリソン(アメリカ)が一気に他を引き離したように、同様の事象はこの階級でも起こり得るはず。今大会の観戦に当たっては、パワー以外の新たな上昇装置を持ち込む選手が現われるのか、という視点をひとつ提案したい。

■ 有力選手
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ティナ・トルステニャク(スロベニア)

ティナ・トルステニャク(スロベニア)
TRSTENJAK Tina
27歳 1990/8/24
WR:1位 組み手:両組み
得意技:左一本背負投
使用技:左袖釣込腰、左小内刈、右大内刈、左大外刈、右内股、左内股、隅返

リオデジャネイロ五輪金メダリスト。クラリス・アグベニュー(フランス)とともに階級の頂点に君臨している。実は日本選手にはめっぽう相性が悪く、相手が誰かに関わらずまったく勝てていない(ワールドツアーでは2014年から5連敗中、この間の相手は田代未来、嶺井美穂、鍋倉那美。それ以前にも上野順恵、田中美衣らに連敗している)。

トルステニャクの基本戦法は右組みから左一本背負投を連発するという単純なもの。結果を残すことだけを仕込まれた日本の小学生のような一種刹那的、視野狭窄の方法論に思えるが、異常な体力をベースにした連続攻撃によってこれを「相手に攻めさせず一方的に威力のある技を打ち込み続ける」というステージまで昇華させている。戦法の要である左一本背負投は切れ味こそないものの、あまりの馬力ゆえ上位対戦でも十分ポイントを奪えるだけの破壊力あり。この手の選手の例に漏れず寝技にも積極的であり、正対から相手のガードを外して抑え込む形を得意としている。

左技のバリエーション増加と右技の精度向上の結果、現在では両組みと呼んで差し支えないレベルで左右の組み手を使い分けるようになっている。しかし、ここぞという試合では必ず前述の「一本背負投連発スタイル」を用いており、このスタイルへの信頼度の高さが窺える。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 優勝
2015年 アスタナ世界選手権 優勝
2014年 チェリャビンスク世界選手権 3位

【最近の成績】
2017年 ヨーロッパ選手権 優勝
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 3位
2017年2月 グランドスラム・パリ 優勝

参考動画
2015年アスタナ世界選手権決勝 vsクラリス・アグベニュー(フランス)
(トルステニャクが「右組みからの左一本背負投連発」によって世界の頂点に立った試合。)

2016年グランプリ・ブダペスト決勝 vs鍋倉那美(日本)
(敗れはしたものの、トルステニャクが左右の組み手を使い分けるスタイルを披露した試合。)

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クラリス・アグベニュー(フランス)

クラリス・アグベニュー(フランス)
AGBEGNENOU Clarisse
24歳 1992/10/25
WR:3位 組み手:左組み
得意技:左大腰、移腰、裏投
使用技:左体落、左大外刈、左小外掛、左小内刈、左大外車、左一本背負投

2014年チェリャビンスク世界選手権王者。2015年のアスタナ世界選手権と2016年のリオデジャネイロ五輪ではいずれも決勝でティナ・トルステニャク(スロベニア)を相手に苦杯を喫している。トルステニャクにはまったく勝てていないが、反対に日本人相手には無類の強さを誇り、ワールドツアーでは2010年グランプリ・デュッセルドルフ大会で谷本育実に敗れたのを最後に、実に15連勝中。

腰技系パワーファイターであり、得意技は左大腰に移腰とパワーを生かした大技ばかり。フランス式柔道メソッドが染み渡った選手であり、この手の選手にありがちな強引で雑な柔道ではなく、しっかりと方法論に沿った組み立てを行う。実は組み手管理が非常に巧みな選手であり、柔道の生命線は引き手。絞って、畳んで、開いてと相手をコントロールしながら機を窺い、タイミング良く強力な一撃を叩き込む。左大外刈の二の矢として意図的に大外車を放つことがあり、この技の取り味は抜群。引き手のみを持った状態からは両手で引き手側の腕を掴んでの左一本背負投を放つことがあり、この技にも注意が必要だ。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2位
2015年 アスタナ世界選手権 2位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 優勝

【最近の成績】
2017年 ヨーロッパ選手権 5位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 優勝
2017年2月 グランドスラム・パリ 2位

参考動画
2014年チェリャビンスク世界選手権決勝 vsヤーデン・ゲルビ(イスラエル)
(アグベニューらしい縦回転の大腰「一本」。2:58から。)

2016年グランドスラムパリ準決勝 vsマルティナ・トライドス(ドイツ)
(左大外刈から左大外車「一本」。狙って仕掛けており、確立された技術であることが良く分かる。)

2015年グランプリ・チェジュ2回戦 vsブスラ・カチポグル(トルコ)
(両手で袖を持っての左一本背負投「一本」。)

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カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)

カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)
英語選手名
25歳 1992/6/5
WR:2位 組み手:左組み
得意技:左釣腰、左大内刈
使用技:大外刈、左内股、隅落、左小内刈、左小外掛、横掛、横落、裏投

2015年ワールドマスターズ・ラバト大会2位。リオデジャネイロ五輪では準々決勝で田代未来(コマツ)、敗者復活戦でアニカ・ファンエムデン(オランダ)にそれぞれ敗れて最終成績は7位だった。

パワーと懐の深さを生かして、背中を抱く、あるいは脇を差して相手を懐に抱き込むのが基本形。一見すると後の先を狙う「待ち」の構えであり、実際に隅返や浮落といった返し技も得意としているが、この形はウンターヴルツァハーにとっては実は攻めの構え。この形から抱きついての左大内刈や強引に腰を差し入れての左釣腰を狙う。横掛や横落といった奇襲の捨身技も得意、なかなかの取り味を誇る。

【おもな戦績】
2016年 グランドスラム東京 優勝
2016年 リオデジャネイロ五輪 7位
2015年 ワールドマスターズ・ラバト 2位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 2位
2017年4月 グランプリ・アンタルヤ 優勝
2017年4月 ヨーロッパ選手権 3位

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マルティナ・トライドス(ドイツ)

マルティナ・トライドス(ドイツ)
TRAJDOS Martyna
28歳 1989/4/5
WR:4位 組み手:左組み
得意技:左小内刈、左小内巻込
使用技:左大内刈、左内股、左大外刈

長年ランキング10位台の中堅選手であったが、2015年シーズンはヨーロッパ選手権優勝にグランドスラム東京大会優勝と突如ブレイクを果たした。以後マークをされ続けたことと、「なぜ急に勝てるようになったかわからない」(本人談)という自己分析の不足ゆえか、2016年シーズンに入ると失速。本番であるリオデジャネイロ五輪では2回戦でマリアナ・シウバ(ブラジル)に敗れて表彰台に絡むことは出来なかった。

基本となる組み手は左横変形であり、ケンカ四つの相手にも引き手を抱き込む形で横変形に近い形を作ることが多い。横変形から相手が剛体になったところを左小内刈で転がすのが最も得意なパターンだ。得意技の左小内刈は昨今流行しているクロスグリップから相手の腕を抱き込みながら相手に乗り上げて投げる小内巻込や、横方向に体を捨てて相手の残った足の膝に座るように仕掛ける蟹挟風のものなど、多彩なバリエーションを保有している。左小内刈のほかには左大内刈から繋ぐケンケンの左内股や、耐えられたところで仕掛ける隅返がある。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退
2016年2月 グランドスラム・パリ 3位
2015年12月 グランドスラム東京 優勝

【最近の成績】
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 優勝
2017年 ヨーロッパ選手権 5位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 2位

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アリス・シュレシンジャー(イギリス)

アリス・シュレシンジャー(イギリス)
SCHLESINGER Alice
29歳 1988/5/26
WR:5位 組み手:左組み
得意技:左内股
使用技:左袖釣込腰、左釣込腰、右背負投

もとイスラエルのエースでロンドン五輪代表、2013年リオデジャネイロ世界選手権王者となった後輩ヤーデン・ゲルビ(イスラエル)に押し出された形で2015年からイギリスに国籍を変更した。元同僚であることや柔道の質的な相性、かつパワーで明らかに上回ることから、いまでもゲルビに対しては異様な強さを誇っている。リオデジャネイロ五輪ではゲルビキラーとしての特性からトーナメントをかき回すジョーカーポジションとして期待されたが、2回戦でアニカ・ファンエムデン(オランダ)に敗れた。

釣り手で背中を抱いての左内股が最大の武器であり、ソル・キョン式の脇固風左袖釣込腰(相手の腕を抱え、腰を入れることで相手を逆方向に落とす)も使用する。高ポイント大会の割に一線級が誰も出場しなかった今年3月のグランドスラム・バクー大会に圧倒的な強さを見せて優勝。これで得た大量ポイントをテコに今大会は第5シードとして出場する。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退
2016年5月 グランドスラム・バクー 優勝
2016年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 2位

【最近の成績】
2017年 ヨーロッパ選手権 3位
2017年3月 グランドスラム・バクー 優勝

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マルゴ・ピノ(フランス)

マルゴ・ピノ(フランス)
PINOT Margaux
23歳 1994/1/6
WR:6位 組み手:右組み
得意技:右背負投、左背負投、左一本背負投、腕挫十字固
使用技:右袖釣込腰、巴投、左大外刈

フランスの若手選手。もともとは組み手で「指導」を重ねる戦術派であったが、寝技の強化によって取り味がアップ。低い担ぎ技や巴投で相手をグラウンドに引き込み腕挫十字固や絞め技を狙う、ちょっと嫌な選手に仕上がりつつある。軸となる勝ちパターンが出来たことで組み手の巧みさにも一層磨きがかかり、もともとの受けの強さも相まって実は非常に厄介な相手。昨年のリオデジャネイロ五輪前後から継続して好成績を残しており、最近はティナ・トルステニャク(スロベニア)とクラリス・アグベニュー(フランス)以外には遅れを取っていない。今大会のダークホースとして挙げておきたい、要注意人物だ。

【おもな戦績】
2016年 グランドスラム東京 3位
2016年 グランプリ・アルマティ 1位
2016年 グランプリ・サムスン 1位

【最近の成績】
2017年6月 ヨーロッパオープン・ブカレスト 2位 ※決勝でアグベニューに敗退。
2017年4月 ヨーロッパ選手権 2位
2017年2月 グランドスラム・パリ 3位

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エドウィッジ・グエン

エドウィッジ・グエン(イタリア)
GWEND Edwige
27歳 1990/3/11
WR:14位 組み手:右組み
得意技:右一本背負投、右大内刈
使用技:右背負投、左背負投、右背負投(韓国背負い)、右内股、左大腰

大化けもしないが最低でも3位か5位は確保する、本階級における「歩留まりの良い」タイプの代表格。アフリカ系ヨーロッパ人選手の例に漏れず、スタミナの続く限りガツガツと攻め続ける。見た目ほどにパワーがある訳ではなく、組み立ての中心は左右の担ぎ技。右一本背負投と同じモーションからぶら下がるようにして仕掛ける右大内刈が得意技。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退
2014年 チェリャビンスク世界選手権 5位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 3位
2017年4月 ヨーロッパ選手権 7位
2017年3月 グランプリ・トビリシ 2位

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キヨミ・ワタナベ(フィリピン)

キヨミ・ワタナベ(フィリピン)
WATANABE Kiyomi
21歳 1996/8/25
WR:25位 組み手:右組み
得意技:寝技
使用技:肩車、巴投

早稲田大に所属。同大学のエースであり、全日本学生優勝大会女子3人制連覇の原動力となった。国内で活躍しながら国際大会ではなかなか結果が出せない時期が続いたが、今年2月のグランドスラム・パリ大会では憑き物が落ちたような好パフォーマンスを披露、一気に3位を獲得した。普段学生カテゴリで争っている日本勢にとっては実力以上に戦いにくい相手だ。

ワタナベの柔道のベースは寝技。受けの強さを生かして相手の消耗を誘い、終盤相手に疲労が見えたところで肩車や巴投から腕挫十字固に繋ぐのが勝利パターン。

【おもな戦績】
2017年2月 グランドスラム・パリ 3位
2016年 アジア選手権 7位

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エカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)

エカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)
VALKOVA Ekaterina
26歳 1991/5/17
WR:10位
組み手:
得意技:巴投、隅返
使用技:右内股、左一本背負投、左袖釣込腰、横車

パワ−ファイター全盛の63kg級にあって、珍しい技巧派。得意技は巴投であり、真裏への巴投や横巴など複数のバリエーションを使いこなす。ケンカ四つの際には右半身の上体からの低い左一本背負投を仕掛けることもある。ロシアンファイターらしく横車も駆使。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 1回戦敗退
2016年 ワールドマスターズ・グアダラハラ 7位
2015年12月 グランドスラム東京 3位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 5位
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 2位
2017年 ヨーロッパ選手権 7位

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カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)

カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)
HAECKER Katharina
25歳 1992/7/31
WR:7位 組み手:右組み
得意技:釣腰
使用技:出足払、右大内刈、右小内刈

低レベルながら他の大陸選手権と同じポイントが設定されているオセアニア選手権に優勝することで、この時期にいつもランキングを上げてくる選手。今年は獲得ポイントが増加したこともあり、なんと世界選手権のシードピックアップを受けることとなった。実力的には中の下レベルであり、ワールドツアーの表彰台もグランプリ3位が2回のみだ。

それほど力が強いわけではないが、柔道スタイルはパワーファイターのそれ。釣り手で奥襟、引き手で脇を差して密着した形から仕掛ける右釣腰が得意技。組み際の出足払も得意としており、こちらは意外な破壊力を秘めている。

【おもな戦績】
オセアニア選手権 4連覇(2104年〜2017年)
2017年4月 グランプリ・アンタルヤ 3位
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 7位

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エイミー・リヴェシー(イギリス)

エイミー・リヴェシー(イギリス)
LIVESEY Amy
23歳 1993/12/31
WR:8位 組み手:右組み
得意技:右大内刈、右大外刈
使用技:右小外刈、右一本背負投

今年に入ってから台頭した新興勢力。組み合わせに恵まれた5月のグランドスラム・エカテリンブルグ大会と、強豪の出場がなかった6月のグランプリ・カンクン大会で表彰台に上り、本大会のシード権を獲得した。一線級との試合ではほぼすべて敗れており、獲得ポイントの増加に助けられた面は否めない。

相手のサイズに関わらず背中を抱いての攻めを志向するパワーファイター。得意技は引き手で襟を得た状態から釣り手で奥を叩きながら仕掛ける右大内刈と右大外刈。組み手争いに混ぜ込んで仕掛ける右小内刈も得意としている。とにかく組み手のやり取りの中で単発技を仕掛け、相手を伏せさせたら送襟絞、もしくは片手絞を狙うのが得意パターン。まれに襟を取るモーションからの右一本背負投も用いる。

【おもな戦績】
2017年6月 グランプリ・カンクン 2位
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 3位
2017年4月 グランプリ・トビリシ 5位

■ シード予想
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予想されるシード順は下記。組み合わせは右の画像をクリックして参照されたい。

【プールA】

第1シード:ティナ・トルステニャク(スロベニア)
第8シード:エイミー・リヴェシー(イギリス)

【プールB】

第4シード:マルティナ・トライドス(ドイツ)
第5シード:アリス・シュレシンジャー(イギリス)

【プールC】

第2シード:カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)
第7シード:カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)

【プールD】

第3シード:クラリス・アグベニュー(フランス)
第6シード:マルゴ・ピノ(フランス)

階級のトップ選手は全員がシード入りを果たし、優勝候補であるティナ・トルステニャク(スロベニア)とクラリス・アグベニュー(フランス)の2人はそれぞれ第1シードと第2シードとして反対の山へと配された。上位陣の力が突出しており、かつ試合が純粋な地力比べになりがちなこの階級において、第6シード以上の6人の勝ち上がりが揺らぐ可能性は極めて少ない。第7シードのカタリナ・ヘッカー(オーストラリア)、第8シードのエイミー・リヴェシー(イギリス)を外したのは、この2人が実力というよりはランキングシステムの歪みを利用してシード入りを果たした選手であるため(詳細は有力選手紹介欄を参照されたし)。ここに関してはほかの選手が勝ちあがってくる可能性も十分に有り得る。

ベスト4はそれぞれAシード配置の選手が勝ち上がる可能性が高く、仮にこれが崩れるとすればシード選手同士の実力が拮抗しているプールBくらいだ。若さと勢いで序列を飛び越える可能性のあるマルゴ・ピノ(フランス)も同国の先輩アグベニューの山に配されており、直近の両者の試合を見る限りだとアップセットの可能性はほとんどないと考えて差し支えないだろう。

トーナメントがどのような様相で進行したとしても、トルステニャクとアグベニューの実力が突出しており、決勝の組み合わせがこの2人以外になる可能性は限りなく低い。両者の対戦は毎回必ず意地と意地がぶつかりあう熱戦となっており、今度の対決でもどのようなドラマが生まれるのか非常に楽しみだ。観戦のポイントとしては、アグベニューがどのような手段でトルステニャク超えを目指すのか、それは寝技や組み手と言った梯子として働く上昇装置によるものなのか、それとも単純だがだからこそ難しい地力比べを選択するのか。そのあたりに注目したい。

文責:林さとる/古田英毅

※写真は権利者の許諾を得て掲載しています

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