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【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】永瀬貴規とハサン・ハルモルザエフによる新旧王者対決に注目、トーナメントの鍵は永瀬の配置・男子81kg級概況×有力選手紹介

(2017年8月29日)

※ eJudoメルマガ版8月30日掲載記事より転載・編集しています。
【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】永瀬貴規とハサン・ハルモルザエフによる新旧王者対決に注目、トーナメントの鍵は永瀬の配置・男子81kg級概況×有力選手紹介
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■ 階級概況
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81kg級実力推測マップ

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技はもちろん、圧倒的な体幹の強さとバランスの良さが永瀬貴規の武器

あきらかに時代が変わった。ロンドンーリオ期の後半、永瀬貴規(旭化成)とともに三強を形成していたアブタンディル・チリキシヴィリ(ジョージア)とロイク・ピエトリ(フランス)が90kg級へと階級変更。それに取って代わる形でリオ五輪金メダリストのハサン・ハルモルザエフ(ロシア)がトップグループ入りを果たし、現在の81kg級は永瀬とハルモルザエフを頂点とした新たな序列が形成されつつある。そんな現状にあってファンが最も興味を惹かれるトピックは、「永瀬とハルモルザエフのどちらが強いのか?」という率直極まりない疑問ではないだろうか。

これが今大会における本階級最大のテーマであり、そして最大の見どころでもある。リオ五輪では永瀬が準々決勝で敗れたために直接対決は実現せず、両者が最後に対戦したのはハルモルザエフがブレイクするはるか以前、永瀬もまだ世界チャンピオンの座を射止めていなかった2015年5月のワールドマスターズ・ラバト大会1回戦だ。このときは永瀬が右小外刈「有効」で勝利しているが、ともに世界王者となって迎える今大会、果たしてどのような戦いが繰り広げられるのか、まことに楽しみというほかはない。

以下まず「概況×有力選手」という本シリーズのタイトルに沿って、81kg級の状況と特徴を簡単におさらいしておく。

有力選手多き81kg級、前述の「三強時代」にはトップとそれ以外に大きな差があり、その一方で第2グループは大混戦という二層構造が階級のベースであった。リオ五輪以後もこの構図は堅持されており、大会の度に入賞者の顔ぶれがガラリと入れ替わるなど依然として第2グループ内では競った力関係でのせめぎあいが続いている。

この長期にわたる混戦構図に支えられる形で人材の入れ替わりが激しいのが、最近のこの階級の傾向。昨年中頃に国際柔道シーンに登場したばかりの若いフランク・デヴィト(オランダ)やアラン・フベトソフ(ロシア)、ゼベダ・レフヴィアシヴィリ(ジョージア)らが既に堂々階級の中堅選手として存在感を放っている。

また、体重区分的にパワーと身体能力を高い水準で兼ね備えた選手が多く、ゆえに新技術の研究と普及が非常に早いこともこの階級の一大特徴である。昨年のワールドマスターズ・グアダラハラ大会で90kg級のフセン・ハルモルザエフ(ロシア)が使用した帯取返(「ハバレリ」)にいち早く反応、デビト、イヴァルロ・イヴァノフら大量のフォロワーを生み出したのがこの81kg級であったし、クロスグリップの流行にいち早く反応してカウンター技術が大量に勃興したのもこの階級だ。今年度初頭のグランドスラム・パリでは規制緩和を受けたデヴィトがクロスグリップからの帯取返で「一本」を連発して優勝、しかしその僅か2週間後のグランプリ・デュッセルドルフ大会ではドイツの無名選手であるティム・グラムコフ(ドイツ)がこの組み手を狙いまくり、腕を手繰っての浮落という新技術を駆使して初戦でデビトを葬っている。古くは「クロスグリップへの対抗策としての抱きつき大内刈」の標準技術化が為されたのもこの階級。技術開発を共通言語とした選手たちの「やりとり」の観察がこの81kg級ウォッチの大きな楽しみなのだ。

長々記したが、まとめると、①超強豪と中堅選手の二層構造、②下側の層に常に新顔が割って入って新陳代謝が激しい、③新技術の実験の場として最も活性が高い、のが最近の81kg級。今大会でも意外なニューフェイスの登場や新技術の披露がきっとあるはず。単なる「勝ち負け」を見るだけではもったいない。この点にも注目して楽しんでもらいたい、非常に豊かな階級だ。

■ 有力選手
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永瀬貴規(日本)

永瀬貴規(日本)
NAGASE Takanori
23歳 1993/10/14
WR:12位 組み手:右組み
得意技:右内股、右大内刈
使用技:右足車、右大外刈、右小外刈、左内股(やぐら投げ)

アスタナ世界選手権王者。日本柔道の鬼門であった81kg級に現れた天才。優勝候補の筆頭として臨んだリオデジャネイロ五輪では準々決勝でセルジュ・トマ(UAE)に敗れるも、敗者復活戦を勝ち上がり3位決定戦でアブタンディル・チリキシヴィリ(ジョージア)との世界チャンピオン対決を制して堂々銅メダルを獲得した。昨年12月のグランドスラム東京大会でも多くの五輪出場者がエントリーを見送るなか出場し、しっかり優勝。年明けからは1ヶ月以上にわたる単身のヨーロッパ武者修行を敢行するなど、王座奪還への準備は万全だ。

最大の強みは抜群の安定感を誇る体幹と強靭なバネ、そして「際」の強さ。一見組み負けているような状態からもずらし、弾き返し、あるいは透かしてと一瞬で自身の投げに繋ぎ、そして勝利を収めるその様はあたかも背筋に鉄骨が入っているかのよう。重量級選手が中心の全日本選手権で3位を獲得していることからも永瀬の体幹の強さが窺い知れる。得意技は遠間から長い手足を生かして相手を固定して投げる右内股と、組み際にケンケンで追いながら仕掛ける右大内刈。相手が逃れようと頑張ってもどこまでも追っていき最後には投げ切ってしまう。

ありあまるほどの実力を持った永瀬が五輪で勝利できなかった、そこに欠けていたものは何だったのかという問いと追及は、永瀬自身にとってはもちろん、日本の強化が東京五輪に向けて作らんとし、一般化を追い求める「強さの処方箋」のキモである。この世界選手権で日本はいったい何を拾い上げることが出来るのか、永瀬の一挙手一投足から目が離せない。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 3位
2015年 アスタナ世界選手権 優勝
2015年 ワールドマスターズ・ラバト 優勝
2014年 全日本選手権 3位

【最近の成績】
2016年 グランドスラム東京 優勝

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ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)

ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)
KHALMURZAEV Khasan
23歳 1993/10/9
WR:6位 組み手:左組み
得意技:左内股
使用技:左小外刈、左大外刈、谷落、隅返、右一本背負投、右袖釣込腰

リオデジャネイロ五輪金メダリスト。2016年のヨーロッパ選手権を圧倒的な内容で制してロシア代表の座を獲得。リオ五輪では永瀬貴規(旭化成)やアブタンディル・チリキシヴィリ(ジョージア)ら優勝候補が次々敗れる荒れたトーナメントを逞しく決勝まで勝ち上がり、トラヴィス・スティーブンス(アメリカ)に勝利して金メダルを獲得した。

最大の武器はゆったりとした動きと一種やる気なさげな鈍い表情から突如として放つ鋭い左内股。釣り手の使い方が非常に上手く、パワーファイターの拘束もあっさりすり抜け、巧みに肩を自由にして内股の間合いを作ってしまう。ほとんどの試合を左内股により勝利しているのでなかなか目立たないが、実は逆技の左一本背負投や左袖釣込腰という手札も隠し持っておりこちらにも注意が必要。前述の通り、2015年ワールドマスターズ・ラバト大会で永瀬と対戦。この試合は永瀬が右小外刈「有効」で勝利しているが、双方がブレイクした後の対戦はまだ1度もない。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 優勝
2016年 ヨーロッパ選手権 優勝
2015年 グランドスラム・バクー 優勝

【最近の成績】
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 優勝

参考動画
ファン制作のコンピレーション動画:Khalmurzaev khasan- Olympic champion and masters uchi mata

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アラン・フベトソフ(ロシア)

アラン・フベトソフ(ロシア)
KHUBETSOV Alan
24歳 1993/6/29
WR:1位 組み手:左組み
得意技:右袖釣込腰、右袖釣込腰(橋本スペシャル2)
使用技:右背負投、左小外掛、肩車、浮落、左大外刈、左大内刈

今年のヨーロッパ選手権王者。2014年から2015年前半にかけてワールドツアーで好成績を残したが、以降は失速。しかしリオデジャネイロ五輪前から再び調子を上げ始め、今年に入って再ブレイクを果たした。

右組みだが得意技は左袖釣込腰と左背負投。体幹の強さをベースに低く構えてじっくりとチャンスを窺う戦法をとる。奥襟を持つことも多いがここから前技を出すことはほとんどなく、相手の技を待ち構えての浮落や、肩車、あるいは肩車風に潜り込んでの変形左小外掛を狙う。橋本壮市が業界に持ち込んだ「橋本スペシャル2」(袖口を握り込んだまま鋭角に叩き落し袖釣込腰)の有力なフォロワーでもあり、ヨーロッパ選手権決勝ではこの技でドミニク・レッセル(ドイツ)から「一本」を奪っている。

【おもな戦績】
2017年4月 ヨーロッパ選手権 優勝
2016年 ワールドマスターズ・グアダラハラ 5位
2014年 グランドスラム・バクー 優勝

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 2位
2017年3月 グランプリ・トビリシ 2位

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イヴァイロ・イヴァノフ(ブルガリア)

イヴァイロ・イヴァノフ(ブルガリア)
IVANOV Ivaylo
23歳 1994/7/20
WR:7位 組み手:右組み
得意技:右背負投、帯取返
使用技:右大外刈、隅返、右腰車、右内股、内股透

ジュニアカテゴリでも目立った活躍がない無名選手だったが、21歳で参加した2015年のグランドスラム・アブダビ大会で突如優勝を果たして衝撃の国際柔道界デビュー。以降は安定して国際大会で成績を残し続けている。最近は強豪として定着した代わりに一時の勢いを失った感があるが、出世の原動力でもある投げに対する貪欲さはいまだ健在。

最大の武器は長身の体を鋭く相手の懐深くまで潜り込ませる、落差のある右背負投。最近は釣り手をクロスグリップに差し入れての帯取返(通称「ハバレリ」)も多用している。入ってから相手との位置関係に応じて左右に落とし直す隅返もかなりの取り味があり、注意が必要だ。実は内股透も得意としており、昨年のグランドスラム東京大会ではこの技で渡邉勇人(了徳寺学園職)を破った。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 7位
2016年 グランプリ・デュッセルドルフ 3位
2016年 グランドスラム・パリ 2位

【最近の成績】
2017年 ヨーロッパ選手権 7位
2017年3月 グランドスラム・バクー 5位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 3位

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アッティラ・ウングヴァリ(ハンガリー)

アッティラ・ウングヴァリ(ハンガリー)
UNGVARI Attila
28歳 1988/10/25
WR:3位 組み手:右組み
得意技:右大内刈、右小内刈、寝技
使用技:右小内巻込

長く中堅の位置にあり続けた選手であったが、28歳にしてついにブレイク。2月のグランプリ・デュッセルドルフ大会において2位を獲得すると、3月のグランドスラム・バクー大会5位、5月のグランドスラム・エカテリンブルグ大会2位、6月のグランプリ・カンクン大会3位と立て続けに好成績獲得。なんと第3シードで地元ハンガリー開催の世界選手権を迎えるに至った。

得意技はいまや代名詞でもある片手絞(通称「ボーアンドローチョーク」)。立技から寝技への移行が非常に早く、ブレイクのきっかけとなったグランプリ・デュッセルドルフ大会ではこの技で「一本」の山を築いた。立技では背中を抱いた状態から体を開いて仕掛ける右大内刈と、同じく背中を抱いて腰を引かせておいての右小内刈を得意としている。

【おもな戦績】
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 2位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 2位
2009年 ロッテルダム世界選手権 7位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・カンクン 3位
2017年3月 グランドスラム・バクー 5位

参考動画
2017年グランプリ・デュッセルドルフ vsベンヤミン・ミュニヒ(ドイツ)
(流れるような「ボーアンドローチョーク」で「一本」を奪う。)

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フランク・デヴィト(オランダ)

フランク・デヴィト(オランダ)
DE WIT Frank
21歳 1996/2/13
WR:2位 組み手:右組み
得意技:帯取返、右小外掛
使用技:右大内刈、右小内刈、右内股、巴投、右小内巻込

2015年世界ジュニア選手権王者。昨年のグランドスラム・バクー大会で永瀬貴規(旭化成)を相手に終了間際までリードする惜しい戦いを演じて名を上げ、今年2月のグランドスラム・パリ大会ではついに優勝。今最も勢いのある選手の一人だ。

得意技はクロスグリップからの帯取返(通称「ハバレリ」)と背中を抱いての右小外掛。以前は右小外掛一辺倒であったが、変形組み手に寛容な新ルール下で新境地を開拓。帯取返を身につけてから柔道に幅が出始め、最近では肩越しに相手の腕を抱いての右小内巻込などクロスグリップ中心のスタイルにシフトし、その膂力を生かしている。

【おもな戦績】
2017年2月 グランドスラム・パリ 優勝
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退
2015年 世界ジュニア選手権 優勝

【最近の成績】
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 5位
2017年4月 ヨーロッパ選手権 5位
2017年3月 グランドスラム・バクー 7位

参考動画
2017年グランドスラム・パリ準決勝 vsエドアルドユージ・サントス(ブラジル)
(デヴィトが豪快な帯取返「一本」で勝利した試合。)

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ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)

ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)
PENALBER Victor
27歳 1990/5/22
WR:4位 組み手:左組み
得意技:左背負投
使用技:左体落、左大外刈、左大内刈、左小外刈、支釣込足、燕返

2015年アスタナ世界選手権銅メダリスト。ブラジル選手らしく柔道スタイルは正統派。低く構えてじっくりとチャンスを窺い、切れ味鋭い左背負投に飛び込む。担ぎ技を仕掛けること自体でリズムを作る韓国系担ぎ技ファイターとは異なり、背負投はあくまでも「投げ」の手段。一時期は左背負投一辺倒に陥ってしまっていたが、最近は左背負投フェイントからの左大内刈や左大外刈など、状況に応じて様々な技を用いるようになって選手としての完成度を増している。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 3回戦敗退
2015年 アスタナ世界選手権 3位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 7位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・カンクン 3位
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 7位
2017年3月 グランプリ・トビリシ 優勝

参考動画
2017年グランドスラム・エカテリンブルグ2回戦 vsアンリ・エグティゼ(ポルトガル)
(左大内刈と左背負投で「技有」を奪って勝利した試合。)

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アントワーヌ・ヴァロア=フォルティエ(カナダ)

アントワーヌ・ヴァロア=フォルティエ(カナダ)
VALOIS-FORTIER Antoine
27歳 1990/3/13
WR:14位 組み手:
得意技:肩車
使用技:右内股、右小外刈、右体落

2014年チェリャビンスク世界選手権2位、2015年アスタナ世界選手権3位、ロンドン五輪3位。これといった強みがあるわけではないが、平均点の高い「歩留まりの良い」タイプの選手。優勝候補レベルを正面から破るだけの力はないものの、荒れたトーナメントではその「歩留まりの良さ」が本領を発揮、大会が終わってみたら表彰台に登っていたということも少なくない。荒れやすいビッグトーナメントでこそ力を発揮する選手であり、ワールドツアーでの優勝がわずか2回(それも低レベルのグランプリ・ウランバートル大会とグランプリ・フフホト大会)であるにも関わらず、世界大会で3つのメダルを獲得している勝負師だ。唯一警戒すべき技は組み手争いに混ぜ込んで放つ肩車。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 7位
2015年 アスタナ世界選手権 3位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 2位
2012年 ロンドン五輪 3位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 優勝

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ゼベダ・レフヴィアシヴィリ(ジョージア)

ゼベダ・レフヴィアシヴィリ(ジョージア)
REKHVIASHVILI Zebeda
26歳 1991/2/16
WR:13位 組み手:両組み
得意技:寝技
使用技:左一本背負投、右一本背負投、右背負投、右背負投(韓国背負い)、左大内刈、右大内刈、左釣込腰、左体落、裏投、帯取返、右大外刈、左小内巻込、右袖釣込腰、右払腰、右腰車、右小外掛、右外巻込、右内股、右膝車、右小外刈、左内股(やぐら投げ)

今年になって台頭した新興勢力。以前は73kg級の選手であったが、2015年シーズンから81kg級に階級を変更。それでもなお、国内に階級の第一人者であった2014年チェリャビンスク世界選手権王者アブタンディル・チリキシヴィリ(ジョージア)がいたために国際大会出場の機会自体があまりなかった。リオデジャネイロ五輪後にチリキシヴィリが90kg級に階級を上げたことでチャンスを得ると、2月のグランドスラム・パリ大会でいきなり2位を獲得。5月のグランドスラム・エカテリンブルグ大会でも3位に入り、世界選手権代表の座を掴んだ。

左組みをベースとしながらも、相手や状況に合わせて左右の組み手を使い分ける両組み。駆使する技種が非常に多く、左右の技を同程度に使い分ける。得意技を選ぶことは難しいが、あえて挙げるとすれば跳びつきの腕挫十字固。攻撃意欲が旺盛で積極的に多彩な技を仕掛ける面白い選手だ。

【おもな戦績】
2017年2月 グランドスラム・パリ 2位
2014年 グランプリ・ブダペスト 3位
2013年 グランドスラム・モスクワ 3位

【最近の成績】
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 3位
2017年4月 ヨーロッパ選手権 5位

参考動画
ファン制作のコンピレーション動画:REKHVIASHVILI ZEBEDA COMPILATION 1
(少し古い動画だが、レフヴィアシヴィリの技の多彩さがわかる。)

2017年グランドスラム・パリ準々決勝 vsバプティスト・ピエレ(フランス)
(「跳びつき腕挫十字固」で「一本」を奪った試合。)

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モハメド・アブデラル(エジプト)

モハメド・アブデラル(エジプト)
ABDELAAL Mohamed
27歳 1990/7/23
WR:18位 組み手:左組み
得意技:左大内刈、左小外掛
使用技:浮落、隅返、左内股

アフリカ選手権2連覇中(2016年、2017年)。2015年アスタナ世界選手権において最も永瀬貴規(旭化成)を苦しめた相手(永瀬が「指導1」で辛勝)である。リオデジャネイロ五輪では3回戦で優勝したハサン・ハルモルザエフ(ロシア)に敗れた。

階級屈指のパワーファイターであり、ベースの組み手は相手に力が伝わりやすい、釣り手で背中を抱き、引き手で襟を掴む間合いの詰まった「両襟」。基本的には相手と正対した状態で試合を進めるが、しかし前技はほとんど用いない少々偏った選手。得意技は体を大きく開くようにして仕掛ける左大内刈と小外掛。崩れた相手は浮落の形で胸を合わせてパワーでねじ伏せる。使用頻度は高くないが、相手が頭を下げた相手には隅返も用いる。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 3回戦敗退
2016年 ワールドマスターズ・グアダラハラ 3位
アフリカ選手権 2連覇(2016年、2017年)

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ヨアキム・ボットー(ベルギー)

ヨアキム・ボットー(ベルギー)
BOTTIEAU Joachim
28歳 1989/3/20
WR:36位 組み手:右組み
得意技:右小内刈
使用技:横落、肩車、右払巻込、右小外刈

2016年ワールドマスターズ・グアダラハラ大会2位。ハイレベル大会であるはずのグランプリ・デュセルドルフ大会では例年なぜか人が変わったかのような強さを見せ、キャリアで2回のツアー制覇はいずれもこの大会(2015年、2016年)。好調が次の好調を呼ぶ好スパイラルにあった2016年シーズンからと比べると戦いぶりも成績もやや落ち着いた感があるが、直近のヨーロッパオープン・ブカレスト大会では優勝を飾っており、油断できない存在だ。

得意技は右小内刈。相手を前屈みにさせて、あるいは釣り手で背中を抱いてと複数のパターンを持っている。釣り手だけを持った状態からは横落や肩車も多用する。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退
2016年 ワールドマスターズ・グアダラハラ 2位
グランプリ・デュッセルドルフ 優勝2回(2015年、2016年)

【最近の成績】
2017年6月 ヨーロッパオープン・ブカレスト 優勝

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サイード・モラエイ(イラン)

サイード・モラエイ(イラン)
MOLLAEI Saeid
25歳 1992/1/5
WR:8位 組み手:左組み
得意技:肩車、右小外掛、巴投
使用技:右腰車、右背負投、右袖釣込腰、浮落、隅落、左小外刈、左内股(やぐら投げ)

今年に入ってから台頭した新興勢力。2015年シーズンにグランプリ・サムスン大会とグランプリ・ウランバートル大会で3位を獲得したものの、その後失速。結果が出ない期間が続いたが、今年3月のグランドスラム・バクー大会で2位を獲得。以降は3月のグランプリ・トビリシ大会3位、4月のアジア選手権2位と成績を残し続け、世界選手権のシード権を獲得した。

パワーファイターであり、引き手で袖口を持ち、釣り手で背中を抱えた形が基本形。どちらかと言うと後の先の選手であり、相手の技を待って浮落や隅落を狙うことが多い。自身から技を仕掛ける場合は組み際が多く、強引に力で持っていく肩車や、いきなり右に腰を切っての腰車が得意。同系統のパワーファイターと比べて器用であり、巴投を得意技としているほか、突如右組みにスイッチしての右背負投も用いる。試合を見る限り実力は本物だが一線級への勝利はまだなく、今大会がキャリア上の正念場であると思われる。

【おもな戦績】
2017年5月 アジア選手権 2位
2017年3月 グランプリ・トビリシ 3位
2017年3月 グランドスラム・バクー 2位

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エマニュエル・ルセンティ(アルゼンチン)

エマニュエル・ルセンティ(アルゼンチン)
LUCENTI Emmanuel
32歳 1984/11/23
WR:9位 組み手:右組み
得意技:右背負投
使用技:右袖釣込腰、右一本背負投、肩車、右小内刈、右大腰

32歳のベテラン選手。ロンドン五輪7位以外に目立った戦績のない地味な選手であったが、今年に入ってからグランプリ・アンタルヤ5位、パンナム選手権2位と調子を上げ、グランプリ・カンクン大会ではついに自身初となるワールドツアー優勝を達成。トップ選手の休養と今年に入って各大会の獲得ポイントが変更されたことにも助けられ、世界選手権のシード枠を勝ち取った。

柔道スタイルはオーソドックスな担ぎ技スタイル。低く構えた体勢から右背負投や右袖釣込腰を仕掛ける。釣り手で相手を高く釣り上げるキューバスタイルの背負投の使い手でもある。実力的には中堅クラスであり、序盤で敗れてもおかしくはない。

【おもな戦績】
2012年 ロンドン五輪 7位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・カンクン 優勝
2017年4月 パンナム選手権 2位
2017年4月 グランプリ・アンタルヤ 5位

■ シード予想
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81kg級シード図

予想されるシード順は下記。組み合わせは右の画像をクリックして参照されたい。

【プールA】

第1シード:アラン・フベトソフ(ロシア)
第8シード:エマニュエル・ルセンティ(アルゼンチン)

【プールB】

第4シード:ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)
第5シード:ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)

【プールC】

第2シード:フランク・デヴィト(オランダ)
第7シード:サイード・モラエイ(イラン)

【プールD】

第3シード:アッティラ・ウングヴァリ(ハンガリー)
第6シード:イヴァイロ・イヴァノフ(ブルガリア)

永瀬貴規(旭化成)と並んで優勝候補であるハサン・ハルモルザエフ(ロシア)は第5シードとしてプールBに配された。永瀬は昨年12月のグランドスラム東京大会以来国際大会には参加しておらず、今大会はノーシードからのスタート。ハルモルザエフとはその先の試合のことを考えなくても良い決勝で戦うことが理想的であり、組み合わせ抽選では反対の山であるプールCかDを引きたいところ。永瀬は特に苦手な選手や選手タイプ存在するわけではなく、どの配置からでも決勝進出が狙えるはずだ。

文責:林さとる/古田英毅

※写真は権利者の許諾を得て掲載しています

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