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【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】優勝争いの軸はアジア勢、渡名喜風南の配置がトーナメントの行方を左右・女子48kg級概況×有力選手紹介

(2017年8月24日)

※ eJudoメルマガ版8月24日掲載記事より転載・編集しています。
【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】優勝争いの軸はアジア勢、渡名喜風南の配置がトーナメントの行方を左右・女子48kg級概況×有力選手紹介
■ 階級概況
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48kg級実力推測マップ

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選抜体重別決勝で矛を交えた近藤亜美と渡名喜風南の2人が日本代表、ともに優勝候補だ。

ロンドン−リオ期にそれぞれパンナム地域とヨーロッパ地域でトップを張っていたサラ・メネゼス(ブラジル)とシャーリン・ファンスニック(ベルギー)が52kg級に階級を変更。もともと上位陣に占めるアジア勢の割合が高かった本階級であるが、その傾向がより顕著となった。これに加えてリオデジャネイロ五輪の金銀メダリストであるパウラ・パレト(アルゼンチン)とジョン・ボキョン(韓国)の両者も今大会にエントリーしておらず、世界大会としてのレベルはリオデジャネイロ五輪から数段下がった印象だ。

優勝候補として名前を挙げることができる選手は近藤亜美(三井住友海上)と渡名喜風南(帝京大4年)の日本勢に、ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)とガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)を加えた4人まで。このなかでは近藤が最も優勝に近いと思われるが、絶対的なアドバンテージと呼べるほどの差はなく、誰が優勝してもおかしくない力関係だ。

このほかに表彰台に絡む可能性があるのは、エヴァ・チェルノビツキ(ハンガリー)、ダリア・ビロディド(ウクライナ)、カン・ユジョン(韓国)、ステファニーアリサ・コヤマ(ブラジル)の4人。

チェルノビツキは大ベテランで近年力が落ちてきているが、オリンピックや世界選手権で表彰台に上がった(2011年パリ世界選手権3位、2012年ロンドン五輪3位)経験があり、地元開催の今大会ではモチベーションの面でも上積みが期待される。自身のパワー柔道が通用しないガルバドラフに勝つことは厳しい(パワーでそもそも上を行かれ、対抗策としての裏投が強いため圧殺が難しい)が、ほかの優勝候補3人と当たった場合には圧殺で試合を塗りつぶしてしまう可能性がある。

ビロディドは今年のヨーロッパ選手権を弱冠16歳で制して一躍注目を集めたジュニア(カデ)世代の旗手。この優勝はヨーロッパ地域の競技レベルが低下していることとセットで考えられるべきで額面通りに評価することは難しいが、まだ階級の序列に飲み込まれておらず若さと勢いを兼ね備えたビロディドは、上位陣にはことさら脅威に感じられるはずだ。

カンは超ハイレベル大会となった今年のアジア選手権で渡名喜を破って3位を獲得した韓国の新星。続いて出場した6月のグランプリ・フフホト大会でも優勝を飾っており、トップ層に準ずる実力をもっていることは間違いない。韓国選手が日本選手に対してここ一番の集中力を発揮することも考慮すると、日本勢にとっては実力以上に厄介な存在だ。

コヤマは日本生まれ日本育ちであり、近藤や渡名喜とは同学年。現在帝京大の4年に在籍しており、渡名喜のチームメイトでもある。日本時代は国内の序列に飲まれてしまってワールドツアーへの出場機会もなかったが、今年ブラジルに移籍するなりグランドスラム・バクー大会とグランプリ・トビリシ大会に連勝。一気に同国の1番手の座へと上り詰めた。以前は近藤や渡名喜に差を開けられていたコヤマだが、お互いをよく知っていることや移籍選手が総じて国籍変更前よりも実力を増す傾向にあることなどを考慮すると、以前の序列を飛び越えた活躍も十分に考えられる。

■ 有力選手
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近藤亜美(日本)

近藤亜美(日本)
KONDO Ami
22歳 1995/5/9
WR:3位 組み手:右組み
得意技:右払腰、寝技
使用技:右払巻込、右大外刈、右背負投、右袖釣込腰、右小内刈、右大内刈

ワールドツアー初参戦となった2013年のグランドスラム・東京大会で高校3年生にして優勝。翌年のチェリャビンスク世界選手権でも初出場ながら優勝を飾った。昨年のリオデジャネイロ五輪では準決勝で優勝したパウラ・パレト(アルゼンチン)に苦杯を喫したものの、3位決定戦でムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)に勝利して銅メダルを獲得。以降も代表選手の多くが休養を取るなか大会出場を続け、ブダペスト世界選手権の切符を手にした。

近藤の最大の武器は「わかっていても投げられる」と評される切れ味抜群の右払腰。この技が徹底マークされたために勝ちきれない時期もあったが、そのことが技数の増加や寝技で取るスタイルへの回帰に繋がり、一段取り味を増すことに成功した。最近は右背負投や遠間から一気に片襟を掴んで飛び込む右大外刈でポイントを奪う場面が増えており、常に進化を続けている。今大会には分の悪いジョン・ボキョン(韓国)が出場していないこともあり、優勝候補の1番手だ。

ただしリオ五輪後は勃興期のような、あるいは代表決定期のような素晴らしいパフォーマンスは鳴りを潜めており、五輪後ここまでで高い評価を与えられる試合は全日本選抜体重別選手権の渡名喜風南戦1試合のみ。実は優勝には雲を払うような、状況を一変させるような一段上の活躍が必要と思われる。

リオ五輪では「銅メダルで謝罪」したことが物議をかもしたが、そのことを報道陣に問われた際に本人は「銅でも良いと思ってしまったら柔道ではない」と即答。近藤の長所はこの「日本代表は勝って当たり前」と言い切れる気持ちの強さと誇りの高さにもあり、ここに大いに期待したい。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 3位
2015年 アスタナ世界選手権 3位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 優勝
2014年 世界ジュニア選手権 優勝

【最近の成績】
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 優勝
2017年4月 選抜体重別柔道選手権 優勝
2017年2月 グランドスラム・パリ 3位

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渡名喜風南 (日本)

渡名喜風南 (日本)
TONAKI Funa
22歳 1995/8/1
WR:13位 組み手:左組み
得意技:左背負投、左小外刈
使用技:出足払、送足払、左小内刈、左大内刈、左一本背負投、右袖釣込腰、左内股、肩車

近藤に負けず劣らずの天才型選手。講道館杯では2014年に2位、2015年に優勝と好成績を収めていたものの、グランドスラム東京大会と選抜体重別選手権ではともに早期敗退で結果を残すことができず、昨年まで国際大会への派遣は限定的であった。転機となったのは昨年のグランドスラム東京大会。講道館杯王者として臨んだ同大会において準々決勝でライバル近藤亜美(三井住友海上)に勝利して3位を獲得、派遣された冬期欧州シリーズでも最重要大会の一であるグランプリ・デュッセルドルフ大会で優勝を飾った。4月に行われた選抜体重別選手権では決勝まで勝ち進んで再び近藤と対戦。今度はGS延長戦の末に大外刈「一本」で敗れたものの、国際大会での好成績が認められて世界選手権代表の座を手にすることとなった。

渡名喜の柔道のベースは、延長戦でも落ちることのない高い運動性能とそれを支えるスタミナ。48kg級のなかでも小柄な体格が生み出す小回りの良さを生かした、相手の防御意識の隙間に染み込むような密度の高い連続攻撃が売りだ。
その生命線は足技。間断なく繰り出す足技によってペースを掴み、それを起点として担ぎ技の連続攻撃に繋げる。なかでも左小外刈は高い切れ味を誇っており、切れ味鋭く刈り取り、あるいは引っ掛けて追い込んでと複数のパターンを持っており取り味十分。パワーを組み手技術に注ぎ込んで粘る欧州系ファイターには、もっとも防ぎにくい技術なのではと思われる。

渡名喜は比較的早い段階から強化に実力を認められて来たが、勝負どころにことごとく小差で敗れ、あるいは派遣された大会で超強豪が密集するなどの不運をかこち、なかなか世に出ることが出来なかった。このあたり、たとえ調子が悪くてもここぞで必ず勝利を重ねることであっという間に五輪代表にまで上り詰めた近藤とは対照的な面がある。(今春アジア選手権に派遣された渡名喜が1位ムンフバット、2位ガルバトラフ、3位ジョン・ボキョンという地獄のトーナメントで韓国の新顔に敗れて5位、僅か252ポイント獲得にとどまった一方で、同時期にグランドスラム・エカテリンブルグに派遣された近藤は有力選手ほぼ皆無、唯一の強敵ガルバトラフとも戦わないまま優勝して1000ポイントを得たことは象徴的であった)

そんな中、ついに手にした世界選手権代表。本来若い年齢での初参加で前途洋々のはずではあるが、近藤の存在を考えると実は失敗するわけにはいかない難しい大会だ。近藤と並ぶ「もう1人の天才」渡名喜の奮起に期待したい。

【おもな戦績】
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 優勝
2016年 グランドスラム・チュメン 優勝
2015年 世界ジュニア選手権 優勝

【最近の成績】
2017年5月 アジア選手権5位
2017年4月 選抜体重別柔道選手権 2位
2016年12月 グランドスラム・東京 3位

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ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)

ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)

MUNKHBAT Urantsetseg
27歳 1990/3/14
WR:2位 組み手:右組み
得意技:寝技、右背負投(韓国背負い)
使用技:巴投、隅返、横落、右大内刈、右小内刈、横掛

リオデジャネイロ世界選手権金メダリスト。サンボの世界チャンピオンでもあり、寝技のスペシャリストである。代名詞でもある「コーレイカ」(前転しながら相手を返し、後袈裟固で抑え込む)に「オモプラッタ」、横三角からの崩上四方固や「シバロック」と、様々な寝技テクニックで「一本」を量産する。かつては寝技のみの選手であったが近年は立技の威力もアップ。取り味のある「韓国背負い」のほか、一度引き込んで相手に我慢させてから仕掛ける右大内刈(「草刈り」と似た技術)も用いる。昨年末から調子を上げてきており、今大会で2013年以来の世界女王復権を狙う。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 5位
2015年 ワールドマスターズ・ラバト 優勝
2013年 リオデジャネイロ世界選手権 優勝

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 3位
2017年5月 アジア選手権 優勝
2017年2月 グランドスラム・パリ 2位

参考動画
2016年グランプリ・ウランバートル決勝、vsガルバトラフ・オトコンツェツェグ(カザフスタン)
2016年グランドスラム・パリ準決勝 マリア・チェルニアク(ウクライナ)に決めた「コーレイカ」(3:30〜)
2014年グランドスラム・パリ2回戦 アイグル・バイクルエワ(カザフスタン)を横掛からの片手絞で絞め落とす(0:20〜)

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ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)

ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)

GALBADRAKH Otgontsetseg
25歳
WR:1位 組み手:左組み
得意技:裏投
使用技:隅返、肩車、横落、巴投

階級屈指のパワーファイター。もともとはモンゴルの2番手選手であったが、2015年にカザフスタンへと国籍変更。それ以来好調を維持しており、リオデジャネイロ五輪では銅メダルを獲得した。得意技は代名詞でもあるパワーを生かした豪快な裏投。相手を根こそぎ引っこ抜くようにして投げる様は迫力十分だ。遠間から仕掛ける肩車や横落、パワーで相手をねじ伏せての隅返も得意としており、寝技も水準以上のレベルに達している。近藤とは対戦の度に激しい投げ合いを演じており、今大会でも対戦が実現すれば同様の展開になること必至である。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 3位
2016年 アジア選手権 優勝
2016年 グランドスラム・パリ 優勝

【最近の成績】
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 3位
2017年5月 アジア選手権 2位
2016年10月 グランドスラム・アブダビ 優勝

参考動画
2016年グランドスラム東京3位決定戦 vs近藤亜美(三井住友海上)
(近藤とガルバドラフの試合は毎回激しい投げの打ち合いとなる。)

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エヴァ・チェルノヴィツキ(ハンガリー)

エヴァ・チェルノヴィツキ(ハンガリー)
CSERNOVICZKI Eva
30歳 1986/10/16
WR:16位 組み手:右組み
得意技:右袖釣込腰
使用技:右足車、右払腰

地元ハンガリーのベテランパワーファイター。日本人にはロンドン五輪で福見友子を破った記憶が濃いかと思われる。長身選手であるが、得意技はその見た目と裏腹に強引に釣り上げて仕掛ける右袖釣込腰。パワーファイターらしく奥襟を持っての右足車や右払腰も用いる。メンタル面に難があるため突如崩れる場面も多く、大会序盤と後半でパフォーマンスがブレてしまうことも多い。ピークは過ぎた感があるが、今大会に出場しているなかでは数少ない世界大会の表彰台経験者であることや、地元開催でモチベーションが上がっているであろうことを考慮すると上位入賞を果たす可能性も十分に考えられる。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 7位
2012年 ロンドン五輪 3位
2011年 パリ世界選手権 3位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・カンクン 3位
2017年4月 ヨーロッパ選手権 3位

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ダリア・ビロディド(ウクライナ)

ダリア・ビロディド(ウクライナ)
BILODID Daria
16歳 2000/10/10
WR:21位 組み手:左組み
得意技:左内股
使用技:左小外刈、左大内刈、左払腰

弱冠16歳にしてヨーロッパ選手権を制した大型新人。ジュニア(カデ)のカテゴリでは圧倒的な成績を残しており、その実力は本物と考えておくべき。柔道スタイル的には長身を利して奥襟を叩く典型的な欧州系パワーファイターであり、相手を懐に抱き込む横変形の形から左内股や左大内刈を狙う。年齢相応の線の細さは否めないが、思い切りの良さには警戒が必要。相手を潰して「横三角」から抑え込む形も得意としている。

【おもな戦績】
2017年4月 ヨーロッパ選手権 優勝
2016年 ヨーロッパジュニア選手権 優勝
2015年 世界カデ選手権大会 優勝 ※44kg級

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 3位

参考動画
2017年ヨーロッパ選手権決勝 vsイリーナ・ドルゴワ(ロシア)

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カン・ユジョン(韓国)

カン・ユジョン(韓国)
KANG Yujeong
21歳 1996/8/2
WR:15位 組み手:右組み
得意技:横落、右背負投
使用技:横車、巴投、谷落、右内股

超ハイレベル大会であった今年のアジア選手権で渡名喜風南を破って3位を獲得、一躍注目を浴びた韓国の新星。続いて出場したグランプリ・フフホト大会でもしっかりと優勝を果たし、世界選手権代表の栄を得た。柔道スタイルは担ぎ技を仕掛けること自体でリズムを作る韓国系担ぎ技スタイルであり、一度勢いに乗せてしまうと非常に厄介。先輩であるジョン・ボキョン(韓国)と同じく、最も取り味のある技は釣り手のみの状態から仕掛ける横落である。

【おもな戦績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 優勝
2017年5月 アジア選手権 3位
2016年 グランドスラム・東京 7位

参考動画
2017年アジア選手権3位決定戦 vs渡名喜風南(帝京大4年)
(渡名喜が「技有」2つをリードしていたが、終了間際に肩車「一本」(後にブリッジ反則に訂正)で逆転負けした試合。動画の21:30〜)

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ステファニーアリサ・コヤマ(ブラジル)

ステファニーアリサ・コヤマ(ブラジル)

KOYAMA Stefannie arissa
22歳 1995/6/30
WR:6位 組み手:左組み
得意技:右袖釣込腰、右一本背負投
使用技:左背負投、左小外刈、左大外刈、左大外刈

帝京大の4年生。渡名喜風南(帝京大4年)のチームメイトであり、近藤亜美(三井住友海上)とは小学生時代からのライバルでもある。今年からブラジル代表として国際大会に出場するようになると、3月のグランドスラム・バクー大会とグランプリ・トビリシ大会に連続で優勝。今大会でもダークホースの1人として注目されている。日本代表選手の2人にとってはお互いに手の内を知っていることもあり、実力以上に戦いにくい相手だ。

柔道スタイルは低く相手に食らいついて左右の担ぎ技を仕掛ける、オーソドックスな日本産軽量級女子型。釣り手のみを持った状態からは右一本背負投、引き手のみを持った状態からは右袖釣込腰と、左右どちらからでも片手の技を仕掛けることができる。

【おもな戦績】
2016年 選抜体重別選手権 3位
2015年 全日本学生体重別選手権 優勝
2013年 インターハイ 3位

【最近の成績】
2017年4月 パンナム選手権 3位
2017年3月 グランプリ・・トビリシ 優勝
2017年3月 グランドスラム・バクー 優勝

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ミリカ・ニコリッチ(セルビア)

ミリカ・ニコリッチ(セルビア)
NIKOLIC Milica
22歳 1994/11/7
WR:5位 組み手:右組み
得意技:右袖釣込腰
使用技:右腰車、右内股、右内股巻込、右一本背負投、裏投、左袖釣込腰

五輪前後の空白期に台頭した新興勢力であり、現在伸び盛りの若手有望株。典型的なヨーロッパ式パワーファイターであり、背中を抱いて密着しての接近戦が基本の型である。柔道スタイルと比較するとそこまでのパワーはなく、実際には両袖の右袖釣込腰による得点が多い。練度は高くないものの寝技にも積極的であり、絞め技に関節技など様々なパターンを試みる。

【おもな戦績】
2017年2月 グランドスラム・パリ 3位
2016年 グランプリ・ザグレブ 優勝
2014年 世界ジュニア選手権 5位

【最近の成績】
2017年4月 ヨーロッパ選手権 7位
2017年3月 グランドスラム・バクー 2位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 5位

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イリーナ・ドルゴワ(ロシア)

イリーナ・ドルゴワ(ロシア)
DOLGOVA Irina
21歳 1995/9/26
WR:14位 組み手:左組み
得意技:本背負投、左小外刈
使用技:右袖釣込腰、右背負投、左小内刈、左大内刈

今年のヨーロッパ選手権準優勝者であり、現在伸び盛りのこれも若手の有望株。小刻みに跳ねながらリズムを刻み、足技や左右の担ぎ技による連続攻撃を仕掛ける。体幹が強くバランスも良いため、特に際の攻防には要注意。カウンターも得意で、不用意に技を仕掛けると軸足もろとも刈り取られてしまう。寝技も十分ツアーの表彰台常連と戦えるレベルに達しており、立ちから寝勝負への移行で優位な体勢を与えると厄介。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退
2015年 グランドスラム・アブダビ 優勝
2015年 ワールドマスターズ・ラバト 3位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 2位
2017年4月 ヨーロッパ選手権 2位

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マリーナ・チェルニアク(ウクライナ)

マリーナ・チェルニアク(ウクライナ)
CHERNIAK Maryna
29歳 1988/3/26
WR:7位 組み手:右組み
得意技:右大外巻込、右払巻込
使用技:隅返、右払腰、右内股、右大外刈、右大内刈

東欧のベテランパワーファイター。力任せに奥襟やクロスグリップに釣り手を叩き入れ、強引に右大外巻込や右払巻込を仕掛ける。多くの技が体を捨てての巻き込み技であるが、投げ切る力には注意が必要。腰を引いて踏ん張る相手には隅返も用いる。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退
2015年 アスタナ世界選手権 5位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 7位

【最近の成績】
2017年7月 グランプリ・フフホト 5位
2017年4月 ヨーロッパ選手権 5位
2017年3月 グランプリ・トビリシ 2位

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モニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)

モニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)
UNGUREANU Monica
29歳 1988/1/9
WR:19位 組み手:左組み
得意技:左大内刈、左内股
使用技:左小外掛、左外巻込、左釣込腰

東欧のベテランパワーファイター。長身を生かして釣り手で奥襟やクロスグリップの位置を掴み、強引な腰技を仕掛ける。最も警戒すべきは釣り手を巻き替えながら仕掛ける左大内刈であり、返されるリスクを無視して相手に乗り上げるようにして浴びせ倒す。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 1回戦敗退
2015年 アスタナ世界選手権 7位
2015年 グランドスラム・バクー 優勝

【最近の成績】
2017年6月 ヨーロッパオープン・ブカレスト 優勝
2017年4月 ヨーロッパ選手権 3位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 3位

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ノア・ミンスカー(イスラエル)

ノア・ミンスカー(イスラエル)

MINSKER Noa
24歳 1993/6/29
WR:10位 組み手:右組み
得意技:左袖釣込腰
使用技:右背負投、左一本背負投、裏投

五輪前後の空白期に台頭した新興勢力。現在シラ・リショニー(イスラエル)と国内1番手の座を激しく争っている。小柄ながらパワーがあり、袖を絞った状態から仕掛ける力強い担ぎ技には注意が必要。試合で使用する技のほとんどが左袖釣込腰であり、高く担ぎ上げて、低く潜り込んでと複数のバリエーションを持っている。この選手を表現するには量産型パレトという呼び名がもっとも適切であろう。今年に入ってからイスラエルチームは男女ともに好調であり、その点でも注意が必要。

【おもな戦績】
2017年3月 グランドスラム・バクー 3位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 3位
2016年 グランプリ・ザグレブ 2位

【最近の成績】
2017年4月 ヨーロッパ選手権 5位
2017年4月 グランプリ・アンタルヤ 3位

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シラ・リショニー(イスラエル)

シラ・リショニー(イスラエル)
RISHONY Shira
26歳 1991/2/21
WR:11位 組み手:右組み
得意技:右一本背負投
使用技:右大外刈、右大外巻込、抱分、右小外刈

ロンドン−リオ期にイスラエルの1番手を務めた選手。現在ノア・ミンスカー(イスラエル)から強烈な突き上げをくらっているが、そのことが好影響として働いたのか今年に入ってから成績を上げてきている。得意技は引き手で襟を持った状態からの右一本背負投。後輩のミンスカー同様にパワーがあり、釣り手をクロスグリップに叩き入れての右大外刈も用いる。返し技としての抱分も保有しており、不用意に掛け潰れることは避けたい。今年に入ってからイスラエルチームは男女ともに好調であり、その点からも注意が必要。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 1回戦敗退
2015年 グランドスラム・パリ 3位
2015年 ワールドマスターズ・ラバト 5位

【最近の成績】
2017年4月 グランプリ・アルマティ 2位
2017年3月 グランドスラム・バクー 3位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 7位

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タシアナ・セザル(ギニアビサウ)

タシアナ・セザル(ギニアビサウ)
CESAR Taciana
33歳 1983/12/17
WR:9位 組み手:左組み
得意技:左大内刈
使用技:左内股、隅返、左小外掛

旧姓リマ。アフリカ選手権を2013年から5連覇しているアフリカの女王。33歳の大ベテランでありながら精力的に大会出場を続けている。階級随一の長身を誇り、得意技は長い手足を遠間から伸ばして仕掛ける左大内刈。この技は片襟やケンケンで追い込むなど複数のパターンを持っており一定の注意が必要だ。ただしランキングの高さは前述の大陸選手権制覇に支えられている面が大きく、純実力はこの点を割り引いて推測されたい。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退
2014年 グランドスラム・アブダビ 3位
アフリカ選手権5連覇(2013年〜2017年)

【最近の成績】
2017年3月 グランプリ・トビリシ 5位
2017年3月 グランドスラム・バクー 5位

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メラニー・クレモン(フランス)

メラニー・クレモン(フランス)
CLEMENT Melanie
25歳 1992/5/3
WR:12位 組み手:左組み
得意技:左内股
使用技:左払腰、左大内刈、左大外刈

今年に入ってから台頭してきた新興勢力。冬期欧州シリーズで結果を残すことにより世界選手権代表の座を射止めた。長身だがほとんど奥襟を持つことはなく、前襟を持った状態から腕を折り畳んで得意の左内股を仕掛ける。上位陣との対戦ではいまのところほぼ全て敗れており、階級の上位と下位を分ける分水嶺の位置にある選手。

【おもな戦績】
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 3位
2017年3月 グランプリ・トビリシ 3位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 2位

■ シード予想
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予想されるシード順は下記。組み合わせは右の画像をクリックして参照されたい。

優勝候補である近藤亜美(三井住友海上)、ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)、ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)の3人は綺麗にプールが分かれた。シード選手だけに目を向けた場合、前述の3人とBシード選手との間にはかなりの実力差があるため、予選ラウンドで番狂わせが起こる可能性は僅少だ。

【プールA】

第1シード:ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)
第8シード:ノア・ミンスカー(イスラエル)

【プールB】

第4シード:ミリカ・ニコリッチ(セルビア)
第5シード:ステファニーアリサ・コヤマ(ブラジル)

【プールC】

第2シード:ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)
第7シード:タシアナ・セザル(ギニアビサウ)

【プールD】

第3シード:近藤亜美(日本)
第6シード:マリーナ・チェルニアク(ウクライナ)


シードから漏れた有力選手で上記3人に伍するだけの力を持っているのは、渡名喜風南(帝京大4年)ただ1人のみ。渡名喜がどこのプールに配されるかによってトーナメントの様相が大きく変化する。エヴァ・チェルノビツキ(ハンガリー)、ダリア・ビロディド(ウクライナ)、カン・ユジョン(韓国)の3人もシードから漏れているが、これらの選手がトーナメントに与える影響は渡名喜と比較すると限定的だ。

渡名喜がプールDに配されてしまった場合には日本勢同士による潰し合いとなり、どちらが勝ったとしても大きく消耗してしまうこと必至。日本にとって最も都合が良いのは渡名喜が優勝候補不在のプールBに配置されることだが、その場合には大学の同期であるステファニーアリサ・コヤマ(ブラジル)との対戦が予想される。実力的には渡名喜が何枚か上手であるが、日本のファンにとっては見逃せない試合になるだろう。

渡名喜の存在を考慮しない場合、近藤の準決勝の相手はムンフバットになる可能性が高い。近藤にとってムンフバットは比較的相性が良く戦いやすい相手であるため、ここは近藤の勝利と予想することができる。決勝の相手は高い確率でガルバドラフ。右組み腰技タイプの近藤と左組み裏投タイプのガルバドラフは相性が噛み合い、これまで対戦の度に激しい投げ合いを演じてきた。今回もスリリングな試合展開になることは間違いなく、見ごたえのある試合となるはずだ。近藤としては不用意に密着させずに距離を取り、足技から相手を切り崩していきたい。

最後にもう一度触れさせて頂くが、今大会の勝ち上がりを左右する最も重要な要素は渡名喜の配置。まずは組み合わせ抽選に注目だ。


文責:林さとる/古田英毅


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※ eJudoメルマガ版8月24日掲載記事より転載・編集しています。

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