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【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】優勝候補は永山竜樹、髙藤直寿とイェルドス・スメトフがこれを追う・男子60kg級概況×有力選手紹介

(2017年8月24日)

※ eJudoメルマガ版8月24日掲載記事より転載・編集しています。
【ブダペスト世界柔道選手権2017特集】優勝候補は永山竜樹、髙藤直寿とイェルドス・スメトフがこれを追う・男子60kg級概況×有力選手紹介
■ 階級概況
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60kg級実力推測マップ

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昨年グランドスラム東京決勝で相まみえた永山と髙藤。今大会の中心は間違いなくこの2人だ。

永山竜樹(東海大3年)の台頭という一大トピックがあったが、有力選手大枠の顔ぶれと序列はロンドン―リオ期とさほど変わらず。他階級のように、リオ五輪後の新興勢力集団がランキングで「実力以上にのしている」という極端な状況も生まれていない。

今大会はリオ五輪金メダリストのベスラン・ムドラノフ(ロシア)が不参加、また五輪開幕時に世界ランク1位であったキム・ウォンジン(韓国)、ベテランのフェリペ・キタダイ(ブラジル)が参加していない。この階級の勢力図は、永山の台頭と、上記3名の欠場をプラスするのみの「リオ五輪期´(ダッシュ)」と喝破出来るだろう。

これを踏まえた上であらためて階級の様相を俯瞰してみる。右掲の「実力推測マップ」を参照の上でお読みいただきたい。

全体としてレベルが高く有力選手も多い60kg級だが、純実力で考えれば集団から頭一つ抜け出しているのは永山、髙藤直寿(パーク24)、イェルドス・スメトフ(カザフスタン)の3人。これら優勝候補たちの背中を少し離れた位置からオルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)ら第2グループが追うというのが大枠の構図だ。フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)ら五輪前後に力を付けた第3グループはこの第2グループを崩して表彰台を狙いたいところ。

これらのいわば単に序列で括られるグループの埒外にいるのが、ディヨルベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)とロベルト・ムシュビドバゼ(ロシア)の2人。リオデジャネイロ五輪の銅メダリストであるウロズボエフはご存知の通り投げ際、落ち際に何をやってくるかわからない自爆型の「奇行種」であり、序列を乗り越えて頂点を極め得る到達点の高さがある。同じく到達点の高さという観点から、今年のヨーロッパ選手権王者のムシュビドバゼもこのグループに加えておきたい。決まった形のない柔道だがゆえに技が多彩、意外な一撃の強さもあり、あたかも強者の力を吸収して自分の力にしてしまうような不思議な選手だ。調子の波が激しいタイプでもあるが、好調時には2016年グランドスラム東京のように志々目徹を破り、さらに髙藤と互角に戦えるレベルのパフォーマンスを発揮する。

リオデジャネイロ五輪における軽量級のトレンドであった「組まない段階でも一発技を仕掛ける」そして「組めば密着して『際』を作り出す」という二極ミックス傾向は現在も継続中。前者の傾向の代表格はムドラノフ(今大会不出場)や形に関わらず大技を仕掛けることが出来るウロズボエフであり、後者にはアミラン・パピナシヴィリ(ジョージア)やサファロフといった東欧勢や、ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)が分類される。日本代表の髙藤はこの2つのトレンドをともに高いレベルで体現し得る存在であり、この方向性での競い合いになった場合には髙藤の右に出る選手はいないと見る。唯一気をつけたいのが、かつて髙藤の精神的特性であったムラ気。相手の動きへの良すぎる反応が自爆へと繋がることが多々あり、ムシュビドバゼやパピナシヴィリらカウンターの巧みな選手と対戦した場合にはこのシナリオに嵌ってしまう危険性がある。五輪以降は小内刈中心の正統派への傾斜を強めて戦いぶりもだいぶ落ち着いてきた髙藤であるが、このあたりが世界大会本番でどう出るか。今年の戦いぶりからすると、かつてのように異常な発想の大技を連発するというよりは、組んで、あるいは組みながら小内刈で転がし続けるという絵のほうが想像しやすい。

一方、もう1人の代表である永山はしっかりと組んで技の威力で勝負する、近年の60kg級にあっては珍しいタイプの選手。純粋な攻撃力に関しては間違いなく階級ナンバーワンであるが、こちらもウロズボエフのような形なく攻めてくる選手には気をつけたい。東京五輪までを見据えれば、「形なく大技を仕掛けてくる」パワーファイターをどう扱うかは今後の永山の命運を決めてしまう可能性がある。ウロズボエフにはグランドスラム東京王者として臨んだ今年2月のグランドスラム・パリ初戦で敗れる屈辱を味わされており、再戦あればこれは非常に注目しておきたいところ。

ここまでに名前を上げた選手以外で注意したいのは、マイペースな組み手から突如として強烈な一撃を叩き込んでくるトルコの怪人ベキル・オズル(トルコ)と、2月のグランプリ・デュッセルドルフ大会においてスメトフに大外刈「技有」で勝利して一気に名を上げたフェリペ・ペリム(ブラジル)の2人。両者ともに長丁場のトーナメントを確実に勝ち抜くほどの地力はないが、1試合に限った場合の大物食い特性は非常に高い。序盤戦で強豪との対戦が実現すれば番狂わせの可能性十分だ。

■ 有力選手
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永山竜樹(日本)

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昨年12月のグランドスラム東京決勝では、髙藤直寿を鮮やかな内股「一本」に沈めた

永山竜樹(日本)
NAGAYAMA Ryuju
21歳 1996/4/15
WR:9位 組み手:右組み
得意技:左一本背負投、右内股、裏投
使用技:右背負投、右大外刈、左袖釣込腰、右小外刈、左小外刈

ワールドツアー初出場となった2016年5月のグランドスラム・バクー大会でエルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)、ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)ら強豪を連続で撃破して2位入賞、強烈な国際大会デビューを飾った。同年12月のグランドスラム東京大会では決勝で大学の先輩である髙藤直寿(パーク24)を内股「一本」で破って圧勝V。4月の全日本選抜体重別決勝では凄まじい切れ味の小外刈「一本」で再び髙藤を屠り去り、世界選手権代表の座を手にいれた。

永山の武器はなんといっても技の破壊力。最軽量級である60kg級にあってもひときわ小柄な選手だが、手足の短い小柄な体が小回りの良さと回旋力を生み出し、それが技の破壊力に繋がっている。小さいがゆえに打点の高い一本背負投に内股、さらに小外刈と保有する技すべてが「一本」を奪える破壊力を備えており、クロスグリップで詰めてくる相手には強烈な裏投をお見舞いする強引さもある。最大のライバルである髙藤との相性の良さも含めて、優勝候補1番手として推しておきたい。

【おもな戦績】
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 優勝
2016年 グランドスラム東京 優勝
2015年 世界ジュニア選手権 優勝

【最近の成績】
2017年4月 全日本選抜体重別柔道選手権 優勝

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髙藤直寿(日本)

髙藤直寿(日本)
TAKATO Naohisa
24歳 1993/5/30
WR:2位 組み手:左組み
得意技:左小内刈、肩車、右袖釣込腰
使用技:左大内刈、右浮腰(やぐら投げ)、右浮腰、左内股、左背負投(韓国背負い)

リオデジャネイロ五輪銅メダリスト。国内の代表争いでは相性の悪さもあり永山竜樹(東海大3年)に連敗を喫しているが、異次元とも評すべき柔道観を持っている階級随一の強者だ。

髙藤の強みは「わかっていても食ってしまう」と誰もが怖れる小内刈と、形に関わらず相手を投げてしまう投げのセンス。これまでも世界大会の度に新たな武器を増やして登場し、通称「ナオスペ」などIJFの技名称に分類し難いような技で「一本」を量産してきた。昨年来寝技にも力を入れており、これが新たな取り味の獲得にもつながっている。今年2月に参加したグランドスラム・パリ大会では永山が序盤戦で敗れるなか、得意の小内刈でポイントを重ねて見事優勝。改めてその強さを世界に示してみせた。奇抜な投技が注目されがちな髙藤だが、あくまでその生命線は小内刈。この小内刈が出るかどうかが髙藤の調子を測るバロメーターだ。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 3位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 3位
2013年 リオデジャネイロ世界選手権 優勝

【最近の成績】
2017年5月 アジア選手権 優勝
2017年4月 選抜体重別柔道選手権 2位
2017年2月 グランドスラム・パリ 優勝

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イェルドス・スメトフ(カザフスタン)

イェルドス・スメトフ(カザフスタン)
Yeldos SMETOV
24歳 1992/9/9
WR:21位 組み手:右組み
得意技:肩車、右内股、裏投
使用技:右一本背負投、右小内刈、右小内巻込、左体落、移腰、右袖釣込腰、右大外刈、内股透、隅落、支釣込足

リオデジャネイロ五輪銀メダリスト、2015年アスタナ世界選手権金メダリスト。シニアでの活躍以前、成績的には派手なもののなかった時期から髙藤直寿(パーク24)が「必ず出てくる」と評しており、それをもとに強化陣からも最大級の警戒を払われていた強者である。2015年アスタナ世界選手権で優勝してブレイク、リオデジャネイロ五輪では他の優勝候補たちとの競り合いを勝ち上がり、決勝でベスラン・ムドラノフ(ロシア)を相手にGS延長戦までもつれ込む熱戦を演じた。リオデジャネイロ五輪後に出場した2大会ではいずれも序盤戦で無名選手の前に敗退しているが、照準を合わせて臨むであろう世界選手権では好パフォーマンスが期待できる。

最大の武器は肩車。起点となる体勢が多様で予見し辛く、低く転がし、高く持ち上げてとバリエーションも豊富だ。階級随一の体幹の強さを誇り、それを生かした裏投や移腰(2016年グランプリ・デュッセルドルフ大会でベキル・オズルから奪った「一本」は必見である)も得意としている。奇襲技として低い左体落も保有しており、この技にも警戒が必要だ。力強さに目を奪われがちなスメトフであるが、なかなか背中をつかないバランスの良さや、髙藤が「自分と感覚が似ている」と評した勝負勘の鋭さも大きな強み。この辺りにも注目して観戦したい。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2位
2015年 アスタナ世界選手権 優勝
2014年 アジア大会 優勝

【最近の成績】
2017年7月 コンチネンタルカップ・ザールブリュッケン 3位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 2回戦敗退

参考動画
アスタナ世界選手権準々決勝 vsディヨルベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)
(高い肩車、低い肩車の両方が確認出来る。大熱戦であり、ウロズボエフの研究動画としても面白い)
ファン制作のコンピレーション動画:SMETOV YELDOS - HIGHLIGHTS JUDO 2015/2016

2016年グランプリ・デュッセルドルフ準決勝 vsベキル・オズル(トルコ)
(スメトフがオズルから強烈な移腰で「一本」を奪った試合。必見。)

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ディヨルベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)

ディヨルベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)
UROZBOEV Diyorbek
23歳 1993/8/17
WR:24位 組み手:両組み
得意技:横落、巴投
使用技:右袖釣込腰、右払巻込、左大腰、右大腰、肩車、左小外掛、右小外掛、左背負投(韓国背負い)、左背負投、裏投、帯取返

リオデジャネイロ五輪銅メダリスト。リオデジャネイロ五輪では準々決勝でイェルドス・スメトフ(カザフスタン)にGS延長戦までもつれ込む接戦の末に一本背負投「有効」で敗れたが、敗者復活戦を勝ち上がって3位に入賞した。

驚異的な身体能力を誇る曲芸スピードスターであり、組み手の左右や体勢を選ばずに連続攻撃を仕掛けることができる。身体能力と反射神経をベースに「相手の背中をつける」ための最短距離をリスク無視で選択するため、使用する技にはIJFの技名称に当てはめることの難しいものも多い。相手を正面から抱え上げて後方に宙返りするような命知らずな変形帯取返も躊躇せずに使用する。
感情を感じさせない表情に狂気を湛えた目、落ち着きがない立ち振る舞いからおもむろに繰り出すハイリスクな曲芸技と、異質の存在感を誇る。リスクを顧みない柔道スタイルのために成績は安定しないが、最高到達点の高さだけで言えば頂点を極めてもおかしくない。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 3位
2016年 グランプリ・トビリシ 1位
2013年 世界ジュニア選手権 2位

【最近の成績】
2017年2月 グランドスラム・パリ 3回戦敗退

参考動画
ファン制作のコンピレーション動画:UROZBOEV Diyorbek - HIGHLIGHTS JUDO 2015-2016

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オルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)

オルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)
SAFAROV Orkhan
26歳 1991/8/10
WR:6位 組み手:左組み
得意技:左背負投(韓国背負い)、左大内刈
使用技:左小外掛、引込返、浮技、左大外刈、左袖釣込腰、左背負投、左内股

組み際に仕掛ける左の「韓国背負い」が最大の武器、ぶら下がった状態からでもしつこく巻き込んで投げ切ってしまう厄介な技だ。アゼルバイジャン選手らしく密着しての攻防も得意としており、この状態から大きく体を開いて放つ左大内刈は要注意。膝をついた相手に対しては引込返や浮技も用いる。常に世界ランク上位をキープしている強豪だが、他の優勝候補たちと比較すると一段力が落ちる印象だ。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 5位
2016年 ワールドマスターズ・グアダラハラ 優勝
2013年 リオデジャネイロ世界選手権 3位

【最近の成績】
2017年4月 ヨーロッパ選手権 3位
2017年3月 グランドスラム・バクー 3位
2017年2月 グランドスラム・パリ 3位

参考動画
ファン制作のコンピレーション動画:Orkhan Safarov Azerbaidjan Heroes Compilation

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アミラン・パピナシヴィリ(ジョージア)

アミラン・パピナシヴィリ(ジョージア)
PAPINASHVILI Amiran
29歳 1988/6/17
WR:1位 組み手:右組み
得意技:裏投、抱分
使用技:右背負投、右袖釣込腰、右小外掛、右大内刈、右小内刈、右内股

リオデジャネイロ五輪の準々決勝で髙藤直寿(パーク24)を破ったベテラン選手。五輪以降も精力的に国際大会への出場を続け、好成績を残したことで今年の世界選手権では第1シードの座を手にした。担ぎ技や足技が主体のオーソドックスな柔道スタイルをベースとするが、最も得意としているのは裏投や抱分といった返し技。五輪で髙藤が敗れた際もこの形で投げられており、不用意に体を捨てると非常に危険。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 5位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 3位
2013年 ヨーロッパ選手権 1位

【最近の成績】
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 2位
2017年4月 ヨーロッパ選手権 5位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 2位

参考動画
ファン制作のコンピレーション動画:amiran papinashvili the compilation

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ガンバット・ボルドバータル(モンゴル)

ガンバット・ボルドバータル(モンゴル)
GANBAT Boldbaatar
30歳 1987/1/3
WR:11位 組み手:右組み
得意技:左小内巻込、浮落、隅落
使用技:肩車、左小内刈、右小外掛

モンゴルが誇るツートップの一翼であり、2014年チェリャビンスク世界選手権の覇者。リオデジャネイロ五輪には国内予選で若手のツェンドチル・ツォグトバータル(モンゴル)に敗れたため出場できなかった。体の強さをベースに低く構えて圧を掛けて前進するのが基本スタイルで、相手が圧に耐えきれなくなり掛け潰れたところを浮落や隅落で仕留める。最近は組み際に一本背負投の形で相手の腕を抱えて仕掛ける左小内巻込でポイントを得る場面が増えており、こちらにも注意が必要だ。

【おもな戦績】
2015年 アスタナ世界選手権 5位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 優勝

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 3位
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 2回戦敗退
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 優勝

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ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)

ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)
DASHDAVAA Amartuvshin
29歳 1987/12/15
WR:7位 組み手:右組み
得意技:右大内刈
使用技:浮落、隅落、隅返、左内股(やぐら投げ)、左小外掛、右小外掛

モンゴルが誇るツートップの一翼であり、2013年リオデジャネイロ世界選手権2位入賞の実績がある強者。リオデジャネイロ五輪には国内予選で若手のツェンドチル・ツォグトバータル(モンゴル)に敗れたため出場できなかった。背中を抱いて密着した形が基本形であり、そこから体を大きく開いて仕掛ける右大内刈は威力抜群。同じ形からの右小外掛や相手を抱え上げての「やぐら投げ」など密着してからのバリエーションは豊富だ。相手の技を懐でコントロールして浮落や隅落で返す形も得意としており、密着されたことに焦って不用意な技を仕掛けることは避けたい。リスクの大きいスタイルであるため反対にポイントを奪われることも多いが、ミスが許されないビックトーナメントだからこそ怖い相手である。

【おもな戦績】
2013年 リオデジャネイロ世界選手権 2位
2016年 ワールドマスターズ・グアダラハラ 3位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 2位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 3位
2016年 グランドスラム・東京 5位

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フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)

フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)
GARRIGOS Francisco
22歳 1994/12/9
WR:3位 組み手:左組み
得意技:寝技、肩車、隅返
使用技:出足払、左内股、左袖釣込腰

2014年の世界ジュニア選手権王者。長いリーチを活かして釣り手を内、外と持ち替えながら、組み手で相手を追い詰めていく戦術派だ。寝技も得意としており、肩車や隅返といった技で相手を引き込んでから寝技で仕留めるパターンを得意としている。一線級相手にはほとんど勝利歴がないが、組み手争いに付き合ってしまうと厄介な相手だ。

【おもな戦績】
2016年 グランドスラム・アブダビ 優勝
2014年 世界ジュニア選手権 優勝

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・カンクン 優勝
2017年5月 グランドスラム・エカテリンブルグ 5位
2017年4月 ヨーロッパ選手権 3位

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エリック・タカバタケ(ブラジル)

エリック・タカバタケ(ブラジル)
TAKABATAKE Eric
26歳 1991/1/9
WR:5位 組み手:左組み
得意技:右背負投、左背負投
使用技:左小内巻込、横落、左大内刈、左体落、右浮腰、左内股、隅落、裏投

今年のパンナムチャンピオン。ロンドン−リオ期にはフェリペ・キタダイ(ブラジル)に次ぐブラジルの2番手選手だった。かつては序盤戦で敗れることが多かったが、リオデジャネイロ五輪後から急激に力を付け、最近ではグランドスラム・パリなどハイレベル大会でも上位へと進出している。柔道スタイルは左背負投を中心としたオーソドックスなものだが、最も破壊力があるのは組み際に仕掛ける逆技の右背負投。密着した状態からは脇を差しての右浮腰も使用するため、こちらにも注意が必要だ。

【おもな戦績】
2017年4月 パンナム選手権 優勝
2016年グランドスラム・アブダビ 2位
2016年グランプリ・ハバナ 優勝

【最近の成績】
2017年3月 グランドスラム・バクー 5位
2017年2月 グランドスラム・パリ 5位

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ロベルト・ムシュビドバゼ(ロシア)

ロベルト・ムシュビドバゼ(ロシア)
MSHVIDOBADZE Robert
28歳 1989/8/17
WR:8位 組み手:右組み
得意技:なし
使用技:右払腰、右一本背負投、右背負投、右大外刈、右小外掛、肩車、支釣込足、隅返、隅落

今年のヨーロッパチャンピオン。代名詞となるような得意技はないが、様々な技を高いレベルで使いこなす、風貌と印象異なる器用な選手。釣り手の位置を変えながら相手を翻弄する「不定形」とでも評すべきスタイルを基本としており、技の多彩さはそれを反映したもの。戦術派としてのイメージが強いものの組み力もあり、強引に相手の背中を抱いて投げを打つことも多々ある。最高到達点の高さに加えて優位を演出する巧さもあり、非常に厄介な相手だ。

【おもな戦績】
2017年4月 ヨーロッパ選手権 優勝
2016年 グランドスラム・東京 3位
2013年 グランドスラム・バクー 3位

【最近の成績】
2017年6月 グランプリ・フフホト 3位
2016年 グランドスラム・アブダビ 5位
2016年 グランプリ・ザグレブ 2位

参考動画
2016年グランドスラム・東京準決勝 vs髙藤直寿(日本)
(この試合を見ただけでもムシュビドバゼの厄介さが理解できるはずだ。)

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ワリーデ・キア(フランス)

ワリーデ・キア(フランス)
KHYAR Walide
22歳 1995/6/9
WR:27位 組み手:右組み
得意技:裏投、右小外掛
使用技:右内股、右背負投(韓国背負い)

昨年のヨーロッパ選手権を制したフランスの若手選手。ヨーロッパ柔道というよりも東欧や中央アジアに近い柔道スタイルであり、奥襟を持って密着して小外掛や裏投の一発を狙う。奇襲技として右の「韓国背負い」も保有しており、こちらにも注意が必要。ハイリスクな柔道スタイルのために昨年後半からは結果を残せていないが、噛み合ってしまった場合の怖さは階級随一だ。今年2月のグランドスラム・パリ大会で右足首を負傷して以来国際大会に姿を見せておらず、回復具合が注目される。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退
2016年 ヨーロッパ選手権 優勝
2016年 グランドスラム・パリ 3位

【最近の成績】
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 7位

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ベキル・オズル(トルコ)

ベキル・オズル(トルコ)
OZLU Bekir
28歳 1988/8/30
WR:16位 組み手:
得意技:右内股
使用技:左小外掛、右大外刈

元ジョージア籍の、通称「トルコの怪人」。安定感がなく表彰台という形で結果は残していないが、昨年来トーナメントで有力選手を食い荒らしている要注意人物。ゆったりとしたマイペースな構えから、体幹の強さとバランス感覚の良さで相手のスピードを無効化し、一瞬のチャンスに急加速してマイペースな一撃を叩き込む。昨年の五輪前には髙藤直寿(パーク24)が「力が半端なく強い」と要警戒選手に挙げており、できれば対戦したくない不気味な相手だ。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2回戦敗退
2016年 ワールドマスターズ・グアダラハラ 7位
2016年 グランプリ・サムスン 優勝

【最近の成績】
2017年7月 ヨーロッパオープン・ミンスク 優勝
2017年4月 ヨーロッパ選手権 7位
2017年4月 グランプリ・アンタルヤ 2位

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フェリペ・ペリム(ブラジル)

フェリペ・ペリム(ブラジル)
PELIM Phelipe
27歳 1990/1/5
WR:14位 組み手:左組み
得意技:左内股
使用技:左大外刈、左背負投、左背負投(韓国背負い)、谷落、巴投、裏投

2月のグランプリ・デュッセルドルフ大会において、リオデジャネイロ五輪銀メダリストであるイェルドス・スメトフ(カザフスタン)に豪快な左大外刈「技有」で勝利して一躍注目を浴びた。年齢こそ27歳と若くはないが、大きく構えて内股や大外刈を繰り出す様は大物感十分。前述のデュッセルドルフ大会以降も度々表彰台に上がっており、あくまでダークホースとしてのピックアップではあるが、有力選手に加えさせて頂いた。

【おもな戦績】
2017年6月 グランプリ・カンクン 2位
2017年3月 グランプリ・トビリシ 3位
2017年2月 グランプリ・デュッセルドルフ 3位

【最近の成績】
※おもな戦績を参照ください。

参考動画
2017年グランプリ・デュッセルドルフ2回戦 vsイェルドス・スメトフ(カザフスタン)
(ペリムがスメトフに勝利して名を上げた試合。)

■ シード予想
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60kg級シード予想

予想されるシード順は下記。組み合わせは右の画像をクリックして参照されたい。

永山と髙藤は山が分かれ、対戦が実現するのは決勝のみ。シード選手のみを見た場合、永山はアミラン・パピナシヴィリ(ジョージア)にオルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)と強敵ながらも当日の大きな上積みは予想し難い、比較的戦い易い相手の山に配置された。

一方の髙藤は、今年のヨーロッパチャンピオンであり「不定形」な柔道スタイルを持つ難敵ロベルト・ムシュビドバゼ(ロシア)とベスト8でマッチアップする、率直に言って嫌な組み合わせからのスタート。両者は昨年のグランドスラム東京大会でも対戦しており、その際は髙藤がGS延長戦の末に小外刈「有効」で勝利している。この試合で髙藤はムシュビドバゼの曲者ぶりに苦戦を強いられており、今回の対戦も決して一筋縄ではいかないはず。あくまで勝ち上がり候補は髙藤と見るが、決して楽観視できないハードな組み合わせだ。

ここからはシード外の強豪選手について触れたい。今年に入ってから大会ごとの獲得ポイントが変更されたこともあり多数の強豪がシードから漏れることとなった。なかでも警戒すべきはイェルドス・スメトフ(カザフスタン)とガンバット・ボルドバータル(モンゴル)の世界王者2人にディヨルベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)をあわせた3人。なかでも優勝候補のスメトフは永山や髙藤と正面から伍することのできる強敵だ。現在の力関係であれば永山、髙藤ともにガンバットはそれほど苦にしないはずだが、相手のペースに合わせてスローな展開に嵌められてしまうと非常に危険。ウロズボエフについては階級屈指のジョーカーポジションということもあり何が起こるか分からない。対策としては動きの少ないロースコアゲームに持ち込むことが考えられるが、永山、髙藤ともにこのタイプの選手ではなく、当たった場合には激しい投げ合いに発展すること確実だ。

上記に上げた3人が日本勢のいないプールBかプールDに配された場合、シード選手を食って上位に進出してくる可能性が高い。優勝を狙う日本勢としては始めから遅かれ早かれ対戦が組まれると考え、覚悟を決めて抽選結果を待ちたいところだ。

【プールA】

第1シード:アミラン・パピナシヴィリ(ジョージア)
第8シード:永山竜樹(日本)

【プールB】

第4シード:エリック・タカバタケ(ブラジル)
第5シード:オルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)

【プールC】

第2シード:髙藤直寿(日本)
第7シード:ロベルト・ムシュビドバゼ(ロシア)

【プールD】

第3シード:フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)
第6シード:ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)



文責:林さとる/古田英毅


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