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夙川学院重囲を突破してベスト8入り、南筑は5回戦からエース素根輝が出動・第91回金鷲旗高校柔道大会女子マッチレポート①1回戦~5回戦

(2017年8月6日)

※ eJudoメルマガ版8月18日掲載記事より転載・編集しています。
夙川学院重囲を突破してベスト8入り、南筑は5回戦からエース素根輝が出動
夙川学院重囲を突破してベスト8入り、南筑は5回戦からエース素根輝が出動
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開会式、前年度優勝の敬愛高による優勝旗返還

第91回金鷲旗高校柔道大会は7月22日から24日までの3日間、マリンメッセ福岡(福岡市)で開催された。本大会は男女とも五人制抜き試合、オーダー順入れ替えなし、大将同士は延長戦決着のレギュレーションで争われ、全国から168校が出場した女子の競技は1日目にベスト16、2日目に決勝までの試合が行われた。

展望記事にて既に紹介させていただいた通り、今回の大会を貫く対立軸は「総合力vs個」。具体的には全国高校選手権を制し、全ポジションに水準以上の選手を揃えて体格的にも粒の揃った夙川学院高(兵庫)と、すでにシニアの国内体重別最高峰大会である全日本選抜体重別選手権の最重量級を制し8月末の世界選手権に団体戦の日本代表として参加する超大駒・素根輝を擁する南筑高(福岡)の対決である。

夙川学院が第1シード扱いでAパート、南筑はGパートと両校はきれいに山が分けられ、対決あるとすればそれは決勝。高校女子三冠のうち唯一抜き勝負、それも五人制で争われる今大会を制するのは総合力か、それとも「超大駒一枚」か。両校の勝ち上がりを軸にまずは簡単にA~H各パートの様相を追いかけてみたい。


取材・文: eJudo編集部

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3回戦、夙川学院高の次鋒・岡田萌が鹿児島南高の大将・西橋倫加から大腰「一本」

【Aパート】

シード校:夙川学院高(兵庫)、京都文教高(京都)
パート決勝(5回戦)進出校:夙川学院高(兵庫)、京都文教高(京都)

Aパートからは今年の全国高等学校柔道選手権大会優勝校である夙川学院高(兵庫)が順当にベスト8入り。同校がシードを張る左側の山は、広島皆実高(広島)、鹿児島南高(鹿児島)、三浦学苑高(神奈川)と全国大会の常連校が高い密度で詰め込まれた超激戦区。夙川学院は先に挙げた強豪校すべてと対戦せねばならず、さらにこのパートを勝ち上がると早くも桐蔭学園高(神奈川)との大一番が待ち受ける。地元・南筑高(福岡)の最大のライバルである同校に対して主催者側から大量の刺客が送り込まれた形だ。

これを迎え撃つ夙川学院高のスターティングオーダーは、先鋒から順に北岡央、岡田萌、新名寧々、長谷川瑞紀、吉峰芙母絵。既にグランプリ・デュッセルドルフを制するなど高校カテゴリを遥かに飛び越えた活躍を見せ52kg級の軽量ながらエースを張る阿部詩、アジアジュニア選手権57kg級王者の金知秀をまずはベンチに取り置いてこの重囲に臨む。

夙川学院高は2回戦から登場すると、いきなり強豪広島皆実高と対戦。1勝1敗で畳から下がった先鋒北岡央の後を受けた次鋒の岡田萌が広島皆実高のポイントゲッター・香川瑞希を破ってそのまま2人抜き達成。岡田は続く試合で香川とダブルエースを張る副将一色美緒に敗れたが、中堅の新名寧々が一色を抜き返し、そのまま大将も抜き去って不戦2人の5勝2敗で勝利を決めた。3回戦の鹿児島南高戦では、北岡に代わって先鋒に投入された金知秀が3勝1分けと1人で4人を賄う大活躍、きっちりと仕事を果たして畳を降りる。大量リードを背負って畳に上がった次鋒の岡田は、鹿児島南高の大将・西橋倫加から残り約40秒で大腰「技有」を奪って優勢勝ちを収め、不戦3人の圧勝で試合を終えた。

4回戦の相手は三浦学苑高。先鋒に全国高校選手権52kg級3位の三浦百香を置く同校に対するにあたり、夙川学院高は早くも先鋒にエースの阿部詩を投入する。この先鋒同士の対戦は明らかに凌ぎにかかる三浦に阿部が合わせてしまう形で組み手争いが続き、残り1分過ぎに阿部が内股で三浦を畳に伏せさせる場面があったものの取り切れず「待て」。このチャンスを逃した後は後重心で守る三浦の前に山場は訪れず、先鋒戦は引き分けに終わった。エースを止められてしまった夙川学院高は次鋒の岡田萌が三浦学苑高の次鋒・石岡美樹に釣腰「一本」で勝利してリードを確保。しかし、三浦学苑高も負けておらず、中堅のポイントゲッター伊庭ゆうかが岡田から縦四方固「一本」を奪ってすぐさまスコアを振り出しに戻す。スコアボード上はここまで展開拮抗、しかしここから層の厚さの差が出始め、夙川学院高は続いて畳に上がった新名寧々が伊庭の右払腰を潰すと丁寧に上半身を決めながら返して抑え込み、残り1分33秒縦四方固「一本」を獲得する。新名は得点ブロックがすべて畳を降りた三浦学苑を相手に以降は快走、そのまま相手の副将小宮山麻衣と大将石沢千咲からも「一本」を奪い、この試合は終わってみれば不戦2人で夙川学院高の快勝。夙川学院高が激戦ブロックを圧勝続きで勝ち上がり、パート決勝進出を果たすこととなった。

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5回戦、阿部詩が京都文教高・佐藤香菜から大腰「一本」

[Aパート決勝(5回戦)]

夙川学院高○不戦4人△京都文教高
(先)阿部詩○横四方固△三谷頼子(先)
(先)阿部詩○袖釣込腰△清水菜々子(次)
(先)阿部詩○縦四方固△安枝帆香(中)
(先)阿部詩○大腰△佐藤香菜(副)
(先)阿部詩○内股△上原智花(大)
(次)岡田萌
(中)新名寧々
(副)長谷川瑞紀
(大)吉峰芙母絵

激戦ブロックに配されここまでタフな試合が続いた夙川学院高だが、包囲網やや緩んだ形となったこの試合ではエース阿部詩がついに爆発。48kg級と52kg級の選手が4人レギュラーを張る軽量チーム・京都文教高(京都)を相手に圧倒的な試合を展開する。三谷頼子との先鋒戦は組み際の右大外刈で「技有」を奪うと、そのまま横四方固で抑え込み「一本」。この勝利を皮切りに、次鋒の清水菜々子を残り1分1秒の右袖釣込腰「一本」、さらに中堅の安枝帆香を引込返からの縦四方固「一本」でそれぞれ撃破。78kg級の副将・佐藤香菜との第4試合では開始30秒に極端な防御姿勢で「指導」を失ったものの、その僅か10秒後には大腰「一本」で相手を畳に沈める。最後は、京都文教高の大将・48kg級の上原智花を相手に釣り手を絞らせた状態から内股で「一本」を獲り切ってみごと5人抜きを達成。夙川学院高はここまでの戦いで副将、大将の出番が訪れることはなく、前衛の活躍のみでの勝ち上がり。阿部詩という超高校級エースの保有と層の厚さ、2つの長所を存分に見せつけてのベスト8進出となった。

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4回戦、東大阪大敬愛高の大将嘉重春樺が桐蔭学園高・野沢知莉を攻める。この試合は嘉重が崩袈裟固「一本」で勝利。

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4回戦、朝飛七海が嘉重春樺から内股「技有」、これで桐蔭学園の勝ち抜けが決まる。

【Bパート】

シード校:桐蔭学園高(神奈川)、広陵高(広島)
パート決勝(5回戦)進出校:桐蔭学園高(神奈川)、広陵高(広島)

Bパートではシード校の桐蔭学園高(神奈川)と広陵高(広島)が順当に勝ち上がってパート決勝で激突。桐蔭学園は主戦力の一人である高校選手権57kg級準優勝者・若藤唯が故障により長期離脱中、昨年の全日本カデ体重別選手権大会70kg級王者の朝飛七海と、新戦力である昨年の全日本中学校大会70kg級王者の朝飛真実がチームの柱だ。桐蔭学園高は初戦となる2回戦では福井工大福井高(福井)に不戦3人で勝利、3回戦の同朋高(愛知)戦では中堅の朝飛真実が1人で相手の次鋒から大将までを賄う活躍を見せて不戦2人で勝ち上がった。強豪・東大阪大敬愛高(大阪)を相手に迎えた4回戦では、大将対決で朝飛七海が今年の全日本カデ体重別選手権63kg級王者の嘉重春樺に勝利、接戦を制してパート決勝へと駒を進めることとなった。

一方の広陵高は、初戦である宮崎日大高(宮崎)との2回戦から大将同士の戦いにもつれ込む大接戦。この試合を全国高校選手権無差別3位の大将・古賀早也香の勝利で切り抜けると、以降は佐賀商高との3回戦を不戦3人、大牟田高との4回戦は先鋒・飯田紀子が5人抜きを果たしての不戦4人と圧倒的な内容で勝ち上がる。初戦こそ苦戦したものの、1戦ごとに調子を上げてのパート決勝進出となった。

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5回戦、広陵高の中堅八巻衣音が桐蔭学園高・渡辺明日香から袈裟固「一本」

[Bパート決勝(6回戦)]

広陵高○大将同士△桐蔭学園高
(先)飯田紀子○優勢[僅差]△永田実由(先)
(先)飯田紀子△優勢[技有]○渡辺明日香(次)
(次)八巻衣音○袈裟固△渡辺明日香(次)
(次)八巻衣音×引分×朝飛真実(中)
(中)中尾華奈×引分×野沢知莉(副)
(副)吉田智美△上四方固○朝飛七海(大)
(大)古賀早也香○崩袈裟固△朝飛七海(大)

広陵は5人の平均体重が80kgを超える大型チーム。中途から次鋒に投入した1年生の八巻衣音、大将を務める古賀早也香と最重量級のポイントゲッターを分散配置し、この2人を骨太の選手たちで囲んだ重厚布陣。一方の桐蔭学園はインターハイのレギュラー3枚を中堅以降にまとめる、完全な後重心配置。

前衛の戦いは広陵の先鋒飯田紀子が残り11秒で奪った「指導2」による優勢で1勝、しかし桐蔭学園の次鋒渡辺明日香が疲労の激しい飯田から「技有」を奪って抜き返して展開は互角。広陵のポイントゲッター八巻衣音が次鋒対決で畳に残った渡辺から袈裟固「一本」で勝利し、この1人差が引き継がれたまま桐蔭学園は大将朝飛七海が畳に上がることとなる。
朝飛は広陵の副将・吉田智美から早々に「技有」を奪い、さらに相手が潰れたところを強引に返し切って上四方固「一本」を獲得。試合は大将同士の対決へともつれ込むこととなる。この大将対決は開始約30秒、朝飛が一瞬重心を後ろに移したところに古賀が投げを合わせて「技有」を獲得、そのまま崩袈裟固で抑え込んで「一本」。Bパートからは優勝候補の一角である桐蔭学園高を倒した広陵高がベスト8入りを果たすこととなった。大型のポイントゲッターを保有し5人のサイズがある広陵と、一種柔道が生真面目で戦力とサイズに凹凸のある桐蔭学園、金鷲旗レギュレーションへのチームの適性がそのまま反映された結果となった。

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2回戦、敬愛高の先鋒西尾果連が東海大姫路高の次鋒西林伽奈子から大外刈「一本」

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4回戦、敬愛高の次鋒都留麻瑞が奈良育英高の副将・喜多京香を抑え込む

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敬愛高の中堅・安藤志津佳が奈良育英の大将池田志穂から小外掛「一本」

【Cパート】

シード校:敬愛高(福岡)、鶯谷高(岐阜)
パート決勝(5回戦)進出校:敬愛高(福岡)、淑徳高(東京)

Cパートからは昨年度の優勝校、3月の全国高等学校柔道選手権大会でも3位に入った敬愛高(福岡)が順当にベスト8に進出。敬愛は2回戦から登場すると先鋒の西尾果連が2回戦の東洋大姫路高(兵庫)戦、3回戦の東海大菅生高(東京)戦と合わせて10人抜きを達成、戦力の消耗少なく序盤戦を勝ち上がる。迎えた4回戦の奈良育英高(奈良)戦は、ここまで抜群の活躍を見せていた先鋒西野が引き分けるも、次鋒の都留麻瑞が3勝1敗で相手の副将までを賄い、最後は中堅の安藤志津佳が奈良育英の大将・池田志穂に勝利してパート決勝進出を決めた。

一方逆側の山を勝ち抜いたのは今年のインターハイ出場を逃し、ノーシードスタートの淑徳高(東京)。淑徳高は2回戦でシード校の鶯谷高と対戦、主砲の大将田中伶奈を畳に上げなかった同校を問題にせず、3勝2分けの不戦2人で勝利。3回戦では天理高(奈良)を相手に大将同士までもつれ込む接戦となったが、大将・佐藤果が藤猪千夏に勝利してなんとか次戦へと駒を進めることとなった。日本文理高(新潟)との4回戦では先鋒戦の引き分けを受けて畳に上がった次鋒・小林雅が3人抜き(1敗)の活躍。結果4勝1敗1分け、不戦2人の快勝で敬愛高の待つパート決勝へと辿り着くこととなった。

[Cパート決勝(6回戦)]

敬愛高○不戦3人△淑徳高
(先)辻野瑠流伽○優勢[技有]△園田桃子(先)
(先)辻野瑠流伽○払腰△小林雅(次)
(先)辻野瑠流伽△抑込※○波多江楽良(中)
(次)都留麻瑞○優勢[技有]△波多江楽良(中)
(次)都留麻瑞○優勢[技有]△福井夢七(副)
(次)都留麻瑞○一本背負投△佐藤果(大)
(中)安藤志津佳
(副)多田純菜
(大)中原爽

※公式記録ママ

敬愛高が圧勝。ともにこの試合から投入された先鋒同士の対決で辻野瑠流伽が勝利して先制、辻野が2勝1敗で退場すると、続いて畳に上がった次鋒の都留麻瑞が3人抜きの大仕事。63kg級の選手ながら最終戦では体重120kgの佐藤果を一本背負投「一本」で屠る見せ場も作り、前衛の2枚だけで淑徳を撃破。みごと不戦3人で準々決勝進出を決めた。ここまで副将以降は出番なし、以降の上位対戦に向けて視界は良好。

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4回戦、国士舘高の大将宇田川幸が長崎明誠高の副将・井石あずさから釣込腰「技有」

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宇田川が長崎明誠高の大将辻七海との寝勝負に引かず、一時は「抑え込み」の宣告を引き出す。

【Dパート】

シード校:創志学園高(岡山)、長崎明誠高(長崎)
パート決勝(5回戦)進出校:創志学園高(岡山)、国士館高(東京)

Dパート左側の山は4回戦で創志学園高(岡山)と東海大静岡翔洋高(静岡)が対戦、これが一つの山場。創志学園が先鋒鈴木胡桃と次鋒藤井志穂の前衛2枚で2勝1敗1分け、これで作り出したリードをテコに優位に試合を進める。一時は2人差ビハインドまで追い込まれた東海大翔洋は副将の沢崎莉子が藤井を上四方固「一本」で抜き返して追いすがるが、畳にに残った沢崎が中堅古賀ひよりに引き分けで止められるとこの追撃も収束。最終戦は創志学園の副将小林静香が東海大翔洋の大将杵渕萌を冷静に捌き続けて引き分けに持ち込み、結果不戦1人を以て創志学園がパート決勝進出を決めることとなった。

一方逆サイドからはインターハイ東京予選で2位に入賞するなど近年躍進中の国士館高(東京)がパート決勝へと進出。国士舘は初戦となる2回戦で八幡工高(福岡)に先鋒角田美玖が5人抜き。3回戦の熊本西高(熊本)戦を不戦1人で勝ち上がると、4回戦ではシード校・長崎明誠高(長崎)戦というパート全体を通じた最大の山場を迎える。この試合は中堅から57kg級の大幸瞳子、63kg級の井石あずさ、70kg級の辻七海という重厚布陣を敷いた長崎明誠が一貫して優位に試合を進め、国士舘は先鋒の高校選手権48kg級王者安部風花が1勝を挙げたものの、長崎明誠は次鋒山本楓花が1勝(1分け)、中堅大幸が1勝(1敗)、副将井石が1勝して、国士舘は大将宇田川幸の登場時点で相手方に井石と辻の強豪2枚が残るという非常に厳しい状況。しかし宇田川は得意の釣込腰の放列に加え長崎明誠の長所であるはずの寝勝負でも陣地を譲らず、この2枚を抜き去る大活躍。結果国士舘が逆転勝利、パート決勝へと駒を進めることになった。

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5回戦、創志学園高の中堅古賀ひよりが国士舘高・上原裕子から小内巻込「技有」

[Dパート決勝(5回戦)]

創志学園高○大将同士△国士館高
(先)岸本菜々美×引分×安部風花(先)
(次)藤井志穂×引分×本間裕梨(次)
(中)古賀ひより○優勢[技有]△上原裕子(中)
(中)古賀ひより×引分×佐藤晴菜(副)
(副)小林静香△優勢[僅差]○宇田川幸(大)
(大)浦明澄○抑込※△宇田川幸(大)

※公式記録ママ

国士舘の先鋒に座るのは高校選手権王者の安部風花。48kg級の軽量ながらレギュラーとして斬り込み隊長役を担ってきたが、さすがにここまで対戦レベルが上がると抜き役は厳しい。前衛同士の2戦は引き分けに終わり、第3試合の中堅対決では創志学園のポイントゲッター古賀ひよりが上原裕子から小内巻込「技有」を奪って勝利して均衡破れる。古賀は次戦をしっかり引き分け、この1人差リードを終盤まで持ち込むことに成功する。試合の主導権は創志学園。

国士舘は前戦で大活躍の大将宇田川幸がここで登場、副将・小林静香をから「指導」2つを奪ってスコアをタイに戻すが追い上げもここまで。大将同士の対決は高校選手権63kg級の準優勝者・浦明澄が宇田川の担ぎ技を巧みにいなし、潰れた相手を抑え込んで一本勝ち。シード校創志学園が順当にベスト8入りを決めることとなった。

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3回戦、富士学苑高の先鋒黒田亜紀が岡豊高の副将片岡祐理から内股「一本」

【Eパート】

シード校:大成高(愛知)、富士学園高(山梨)
パート決勝(5回戦)進出校:大成高(愛知)、富士学苑高(山梨)

全国高等学校柔道選手権大会の準優勝校である大成高(愛知)と富士学苑高(山梨)のシード2校が揃ってパート決勝に進出。

2回戦から登場した大成は先鋒・小山ももが10人抜きを達成して1人で3回戦までを賄う大活躍。4回戦の比叡山高(滋賀)戦では2つの引き分けを受けて畳に上がった中堅・佐藤陽子がそこから一気に3人を抜き去って快勝。この試合を不戦2人で終え、パート決勝へと駒を進めることとなった。これといった大きな山場のないまま、余裕をもっての勝ち上がり。

一方、逆側の山では4回戦で富士学苑高と横須賀学院高(神奈川)が激突、この関東勢同士の戦いがひとつの山場となった。この試合は同点で襷を受けた富士学苑高の次鋒・新井美香が1勝1分け、1人分のリードを獲得して畳を降りると、続いて畳に上がった中堅・簑和田奈未子が相手のポイントゲッター・副将の渡邉愛子を引き分けで止める。ここで試合の趨勢はほぼ見えた感あり、後のなくなった横須賀学院高の大将を務める五十嵐莉子は48kg級の選手であり、追撃戦は想定されておらず。この最終戦は富士学苑の副将・瀬戸亜香音がしっかり引き分けて試合をまとめ、不戦1人を以てパート決勝進出を決めることとなった。

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佐藤陽子と簑和田奈未子による第3試合

[Eパート決勝(5回戦)]

大成高○大将同士△富士学苑高
(先)山内もも○優勢[技有]△黒田亜紀(先)
(先)山内もも×引分×新井美香(次)
(次)佐藤陽子○反則△簑和田奈未子(中)
(次)佐藤陽子△反則○瀬戸亜香音(副)
(中)永田かな×引分×瀬戸亜香音(副)
(副)山室未咲△優勢[僅差]○結城彩乃(大)
(大)和田梨乃子○優勢[技有]△結城彩乃(大)

3年生は中堅簑和田奈未子のみ、高校選手権63kg級の覇者結城彩乃を軸に1,2年生中心でオーダーを組んだ富士学苑が名門・大成に激しく噛みついた。一時は2人差ビハインドも1年生副将の瀬戸亜香音が1人を抜き返し、大将結城が大成の副将・山室未咲を僅差優勢で抜いて、タイスコアのまま勝敗の行方は大将同士の対決へ。

この試合は高校選手権無差別準優勝者の大成・和田梨乃子に、63kg級の覇者結城がマッチアップするという豪華カード。しかしこの試合は開始1分30秒に「技有」を獲得した和田が手堅く試合を進め、以降も展開波立たぬままタイムアップ。結果、不戦1人でこの試合は大成の手に落ちることとなった。

結果的には大成が順当に勝ち抜いたということになるが、2年生以下が中心でまだまだ戦いぶりに凹凸のある富士学苑に2敗を喫した大成は戦いぶり盤石とまでは言い難し。一方富士学苑はこれまでの印象と異なり重量選手が増え、来年度以降は団体戦でもかなりの活躍が期待出来そうだ。

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4回戦、藤枝順心高の大将梶田珠来が埼玉栄高の中堅佐藤星麗七から大外刈「技有」

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埼玉栄は副将富沢佳奈が梶田を体落「技有」で抜き返して勝利決定。

【Fパート】

シード校:埼玉栄高(埼玉)、常磐高(群馬)
パート決勝(5回戦)進出校:埼玉栄高(埼玉)、渋谷教育渋谷高(東京)

埼玉栄高(埼玉)が順当にベスト8入り。序盤戦用のメンバーとしては先鋒に角田奈々、次鋒に苗村沙也加を起用、しかし2回戦の沼田高(広島)戦では登録メンバー3人で戦う相手に対し、最後衛を務める63kg級の枡岡有朱にこの2人が立て続けに抜かれる不首尾。中堅佐藤星麗七が出動して勝利、結果不戦2人で勝利自体は得たが万全とは言い難い立ち上がり。

しかし3回戦の鳳凰高(鹿児島)戦では角田が5人抜きを果たす万全の形でベスト32進出を決め、迎えた4回戦では強豪・藤枝順心高(静岡)とマッチアップ。この試合は先鋒に上ノ原美玲、次鋒に渋谷萌々音を入れた上位対戦仕様の布陣で臨み、上原が引き分け、渋谷が1勝のあとそのまま相手方の中堅に座るポイントゲッター米川明穂と引き分けて2人差をリードし、視界良好。1年生中堅の佐藤星麗七が1人を抜いたあと大将梶田珠来に大外刈「技有」、横四方固「一本」と失って破れるが、今大会初登場の副将富沢佳奈が畳に残った梶田から体落「技有」を奪って優勢勝ち。不戦1人を以て勝利を決め、パート決勝進出を果たした。

混戦が予想された逆サイドからは渋谷教育学園渋谷高(東京)がパート決勝進出。こちらは大将に座る57kg級の強者・明石ひかるが大活躍、3回戦の沖縄尚学高(沖縄)戦で3人抜き、4回戦の常磐高(群馬)戦で2人抜きと山場の試合をいずれもこの選手の活躍で乗り切り、ベスト16進出の栄を得た。

[Fパート決勝(5回戦)]

埼玉栄高○不戦2人△渋谷教育学園渋谷高
(先)上ノ原美玲○背負投△関根里沙子(先)
(先)上ノ原美玲×引分×中水流りり(次)
(次)渋谷萌々音○優勢[技有]△石川梨夏子(中)
(次)渋谷萌々音○小外刈△渡辺悠花(副)
(次)渋谷萌々音△反則○明石ひかる(大)
(中)佐藤星麗七×引分×明石ひかる(大)
(副)富沢佳奈
(大)都結乃

埼玉栄が快勝。先鋒上ノ原美玲と次鋒渋谷萌々音の2人のみで4人を賄い、第5戦で早くも渋谷教育学園渋谷のエース明石ひかるを畳に引きずり出すことに成功する。明石は渋谷を「指導3」の反則で退けたものの、2階級上の佐藤星麗七を攻略するには至らず。佐藤がしっかり明石を止める形でこの試合は引き分けとなり、埼玉栄が不戦2人を以てベスト8進出を決めた。

【Gパート】

シード校:南筑高(福岡)、八千代高(千葉)
パート決勝(5回戦)進出校:南筑高(福岡)、八千代高(千葉)

優勝候補として注目を集める地元福岡の南筑高(福岡)は、超高校級のスーパーエース素根輝をどこまで温存して勝ち進めるかが勝利のカギ。全国大会で上位を狙うような超強豪は配されておらず他パートと比べると密度は薄いが、それでも初戦(2回戦)で東京都インターハイ予選3位の東海大高輪台高(東京)、3回戦で立命館宇治高(京都)、4回戦では沖学園高(福岡)と対峙するのはいずれもなかなかにハードルの高いチームばかり。

「初日(4回戦まで)を素根を使わずに賄う」(松尾浩市監督)を合言葉に畳に臨んだ南筑、初戦は先鋒上津原(2勝1敗)、次鋒古野彩佳(1勝1分け)、中堅手嶋芙美代(1勝)の3人で賄い不戦2人の勝利。3回戦は第1試合から3戦連続の引き分けで早くも素根登場の可能性が高まるが、副将草場菜々美が踏ん張り、内股「一本」で1人抜き。最終戦は引き分けで試合をまとめて不戦1人で勝利を決める。同県の強豪沖学園を畳に迎えた4回戦は第2試合で次鋒古野彩佳が貴重な1点を獲得、計4引き分けでこの1人差を最後まで守り切り、またもや不戦1人で勝利決定。素根を温存する目標をひとまず達成して、インターハイ千葉県代表八千代高(千葉)との5回戦に臨む。

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八千代高は大将吉田菜美が南筑高の副将草場菜々美から袈裟固「一本」。ついに素根輝を畳に引きずり出す。

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素根はあっという間の小外刈「一本」で勝利、南筑がベスト8入りを決める。

[Gパート決勝(5回戦)]

南筑高○大将同士△八千代高
(先)上津原萌芽○上四方固△横山澄香(先)
(先)上津原萌芽△一本背負投○新井風花(次)
(次)古野彩佳×引分×新井風花(次)
(中)手嶋芙美代×引分×川城莉子(中)
(副)草場菜々美○優勢[技有]△野口佳奈(副)
(副)草場菜々美△袈裟固○吉田菜美(大)
(大)素根輝○小外掛△吉田菜美(大)

序盤戦は一進一退の攻防が続き、互いに中堅までを消費した第4試合終了時点でスコアはタイ。副将同士の対決となった第5試合は南筑・草場菜々美が小外刈「技有」で野口佳奈を下す意地を見せ、土壇場で1人差のリードを作り出す。しかし八千代も大将に座る78kg級千葉県代表吉田菜美が袈裟固「一本」で草場を抜き返し、今大会の主役である南筑の大将・素根輝がついに畳に姿を現すこととなる。

会場中の注目を集める中、素根は開始僅か15秒で小外刈「技有」を獲得、以後も相手に何もさせないままに組み止め、35秒に仕掛けた小外刈「一本」であっという間の勝利。あらためて「素根一枚」の重みを周囲に見せつけた形で、南筑がベスト8進出決定を決めた。

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2回戦、帝京高の中堅・中村愛美が北海高の副将薮内美咲から内股「一本」

【Hパート】

シード校:帝京高(東京)、新田高(愛媛)
パート決勝(5回戦)進出校:帝京高(東京)、小杉高(富山)

Hパートを勝ち上がったのは帝京高(東京)と小杉高(富山)。
帝京高は次鋒の西原真緒と4回戦から先鋒に投入された大森生純の活躍を原動力に、大将のエース高橋瑠璃を温存したままでベスト16へと進出。いきなりの山場となった2回戦の北海高(北海道)を3勝1敗2分けの不戦一人、西原が3人抜きを見せた3回戦は岡山理大付高(岡山)を3勝1敗2分けの不戦二人、先鋒大森の2人抜きで試合を作った4回戦は国分中央高(鹿児島)を2勝1敗3分けの不戦一人で制してのパート決勝進出。

副将に番匠美沙貴、そして大将にエース松田美悠を置いて典型的な金鷲旗型の後重心布陣を敷いた小杉高は3回戦で紀央館高(和歌山)、4回戦では新田高(愛媛)と強豪と連戦。前者は番匠が2勝1分け、続いて松田が1勝とこの2人だけで劣勢を跳ね返して逆転勝ち。新田戦は松田が既に皇后盃に2回出場している格の違いを見せつけ、相手方の副将上林山茉緒、大将小山内未来に連勝。この試合も逆転で勝利を収め、パート決勝の大舞台までたどり着くこととなった。

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松田美悠が中村愛美から払巻込「技有」

[Hパート決勝(6回戦)]

帝京高○不戦1人△小杉高
(先)大森生純○優勢[僅差]△沢辺咲紀(先)
(先)大森生純○反則△伊勢知季(次)
(先)大森生純△横四方固○西野栞菜(中)
(次)西原真緒○袖釣込腰△西野栞菜(中)
(次)西原真緒×引分×番匠美沙貴(副)
(中)中村愛美△袈裟固○松田美悠(大)
(副)熊木悠花×引分×松田美悠(大)
(大)高橋瑠璃

帝京は高橋瑠璃、小杉は松田美悠とそれぞれ大駒を大将に置く後重心布陣。前衛4枚の総合力は明らかに帝京が上であり、帝京としては前段でリードを得、出来得れば髙橋-松田戦という勝敗の行方定かならぬカードを避けたまま試合を終わらせてしまいたい。一方の小杉は大将同士の「個」の対決にチームの勝敗が委ねられる状況を作ることがほぼ唯一の勝利の道筋、副将番匠の活躍に期待がかかる。

シナリオを自軍に引き寄せたのは帝京。小杉は中堅西野栞菜が意地の1勝を挙げて抵抗するも、帝京は次鋒西原真緒までで防波堤役の番匠を剥がし、ターゲットの松田登場の時点で実に3人を畳に残すことに成功。松田は中村愛美を袈裟固「一本」で抜いたが、帝京は続く副将熊木悠花が必死の殿戦を繰り広げ、松田を引き分けで止めて試合終了。高橋-松田戦という危うい試合の実現を避け、みごとベスト8進出を決めることとなった。

結果決まった準々決勝のカードは、

夙川学院高 ― 広陵高
敬愛高 ― 創志学園高
大成高 ― 埼玉栄高
南筑高 ― 帝京高

となった。

※ eJudoメルマガ版8月18日掲載記事より転載・編集しています。

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