PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

桐蔭学園高が優勝校候補筆頭、強豪揃った九州勢の躍進に期待・第91回金鷲旗高校柔道大会男子展望

(2017年7月20日)

※ eJudoメルマガ版7月20日掲載記事より転載・編集しています。
桐蔭学園高が優勝校候補筆頭、強豪揃った九州勢の躍進に期待
第91回金鷲旗高校柔道大会男子展望
eJudo Photo
優勝候補筆頭は桐蔭学園高

eJudo Photo
桐蔭学園の大黒柱・関根聖隆。高校選手権では優勝の原動力となった。

eJudo Photo
2年生ポイントゲッターの村尾三四郎は大会最注目選手の一。

平成29年度金鷲旗高校柔道大会はいよいよ21日にマリンメッセ福岡(福岡)で開幕。同日の開会式を経て、22日から全国から集まった精鋭たちによる熱戦が繰り広げられる。

男子の優勝候補筆頭は3月の全国高校選手権を制した桐蔭学園高(神奈川)。エースの関根聖隆を軸に、村尾三四郎、賀持喜道、千野根有我の2年生トリオ、湯本祥真と佐藤虎太郎の軽量級コンビ、控えの高山康太まで含めた全員が非常に個性豊かな、良い意味でキャラクターと階級の凹凸がある好チーム。

攻撃の軸は関根と村尾。関根は一本背負投を核とした左右の担ぎ技とこれと対になる後技である大外刈、小内刈、大内刈という組み立てと連続攻撃、そしてなにより強敵に怖じず大技を連発するその度胸の良さでチームを牽引、全国制覇の原動力となった。村尾は片手技の多い関根とは対照的に二本持っての大技が持ち味、細い体躯に似合わぬ異常なパワーをテコに大外刈、内股、大内刈と一発で強敵を屠り去る爆発力がある。潰れずに足技と大技の連続攻撃を繰り返し続け、遠間からも長い手足を利して一瞬で決定的な位置まで飛び込むその様は一種エイリアン的な「捕食」ともいうべき迫力あり。常に勝利に向けて直線的行動を取るその戦いぶりは迫力満点、今代最大の注目選手の1人だ。

柔道の質が良い81kg級の賀持、関東無差別王者に輝いたばかりの巨漢・千野根、大型選手も一発で投げ去る技の切れ味が持ち味の66kg級の強者湯本、73kg級とは思えぬ度胸で「一本」を量産する佐藤と選手層も厚い。

今代の高校柔道界は大混戦でスタートしたが、高校選手権制覇を経て桐蔭学園はチームとしての意識が一段上がり、行動原則の密度が急激に増している印象。単純な戦力比べでは決して絶対のものがあるわけでなく、村尾の軽さ、賀持の線の細さ、千野根のスタミナ、湯本のサイズのなさにメンタルに左右される割合の大きい佐藤のパフォーマンスと不安材料も多々ある。それでもしかし、「三冠」を目指すチームの意識の高さと身に染み込んだ「いかに勝つか」のリテラシーは他を圧するものがあると見ておきたい。事前評としては他から頭一つ抜け出した優勝候補と推しておく。カギは高松正裕監督が語る通り、前半戦で抜き役を担う高山と佐藤がどこまで後衛にスタミナを残す働きが出来るか。

eJudo Photo
高校選手権2位の大成高

eJudo Photo
ポイントゲッター東部直希。高校選手権では大会MVP級の活躍だった。

続いてエース1枚の保有が大きく様相を左右する金鷲旗レギュレーションに鑑み、ライバルとしては大成高(愛知)と国士舘高(東京)を挙げておきたい。

大成高のエースは東部直希。団体戦だけで11戦と抜きに抜きまくり、大会通算15試合を戦い抜いた高校選手権での大活躍はファンの記憶に新しいところ。同大会決勝では3人抜きを果たした末に大将同士の対決で関根聖隆と大熱戦を演じ、1人でだけでスター軍団である桐蔭学園を相手に「接戦」を演出してみせた。得意技は裏投や隅返、巻込技でいずれも相手を固定して投げる技。よって力が上の相手を技術だけで投げてしまうような意外性はないが、前述の通り相手が多数残っていて、この先抜けば抜くほど自分が苦しくなる状況にあっても、この先訪れるであろう苦労を厭わず投げまくり、1人で試合を決めてくるメンタルとフィジカルの強さは異常。
最後の勝負どころまでこの人の肉体的・精神的スタミナを残すような戦い方が出来れば大成初の全国制覇も決して夢ではない。

鍵を握るのは周辺戦力、特に大会後も順調な成長を見せる大西陸斗と三輪魁星に加え、高校選手権決勝で唯一「東部以外」の得点を挙げた藤鷹裕大ら2年生3人の踏ん張り。

eJudo Photo
国士舘高は1年生エース斉藤立の加入で一気に上位候補に躍り出た。

高校選手権では初戦敗退の屈辱を舐めた国士舘高は、いまやまるで別のチーム。その変貌の原動力は1年生エース・斉藤立の加入だ。身長187cm、体重155kgの立派過ぎる体躯はもちろんのこと、決して掛け潰れずに大技を仕掛け続けるその柔道の質の良さと、王道の技だけで「一本」に辿り着いてしまう具体的な取り味が最大の特徴。ケンカ四つには体落に内股、相四つには大外刈に大内刈としっかり取れる技がある。インターハイ東京都予選決勝では「指導」2つをリードしながら足立学園高・山本瑛介の抱きつきの小外刈を内股で迎え撃った際にバランスを崩して敗れたが(「有効」)、続く関東大会ではまったく同じ展開から今度は投げ返して勝利するなど、度胸も良し。控えめに言って今夏の出場選手でもっとも大きな伸びしろを持つ選手であり、かつ現時点で1年生ながら最重量級のトップクラスと十分伍して戦う力があるかと思われる。そして斉藤の取り味はもちろんだが、高校選手権時パフォーマンスし切れなかった3年生たちに国士舘らしいしぶとさが出て来たことが面白い。斉藤に繋ぎさえすれば勝てるという精神的な背景は想像以上に周辺の選手への影響が大きく、三谷大をはじめとする小型の上級生たちの戦い方に明らかに芯が入った。斉藤とは違う方向で大物感溢れる1年生・道下新大も不思議な受けのしぶとさがあり、これでなかなか調子あがらぬ前代のレギュラー清水雅義の復活あれば今回は上位対戦を勝ち抜くことも十分可能。このチームのカギも周辺戦力の活躍だが、他と違うのはまだ1年生の斉藤がこの瞬間もめきめき力を伸ばしていること。周辺戦力の粘り、そして斉藤が東部、関根ら超強豪を抜くだけの位相に早くも達することが出来るかどうかかどうかがタイトル獲得に残された最後の変数。

eJudo Photo
全国高校選手権ベスト4の崇徳高

eJudo Photo
高校選手権では振るわなかったエース長岡季空。今大会は本領発揮なるか。

eJudo Photo
県予選で桐蔭学園に敗れたが、東海大相模高も実力は十分。

続く勢力には新人戦期に力を誇った崇徳高(広島)と東海大相模高(神奈川)を挙げておきたい。

崇徳高は高校選手権では3位。長岡季空、神垣和他の攻撃力をテコに今代スタート時点では桐蔭学園と並ぶ優勝候補だったが、以なかなか突き抜けられず苦しい戦いが続いている。

秋には圧倒的であった長岡と神垣の上位対戦における取り味が他校の成長と研究で時間が経つごとに減殺されていく中にあって兼藤仁士を含めた総合力で勝負するチームに変貌して勝ち抜いて来たが、あと一段上昇なるかの鍵である枇杷木勇樹がいまだその素質にふさわしいパフォーマンスを見せていない。枇杷木に限らず、中国大会以降にドラスティックな成長を見せた選手が存在するかどうかが頂点取りの課題。

東海大相模高はその崇徳高を破って、新人戦期の一大イベントである若潮杯武道大会を制した強豪。同県のライバル・桐蔭学園高に大接戦の末に敗れて今季の高校選手権とインターハイの出場は叶わなかったが、上位対戦を勝ち抜く力は十分にある。笹谷健と平下麟太郎のエース2枚を軸に、急成長の神奈川県100kg超級代表石川智啓、小中で全国優勝を経験している山科良悟と攻撃カードの層も厚い。チーム全体に共通する線の細さが今年躍進の九州勢の「地の強さ」に噛み合わないのではないかという印象もあるが、配されたのは日体大荏原、大成など比較的強豪校同士の論理が通じる相手ばかりが詰め込まれたE-Fパート。戦い方は間違いなく噛み合うはずで、少なくとも上位進出の可能性は十分ある。

檜舞台を踏めなかった悔しさと、「力を証明する」(水落健太監督)とのモチベーションの高さ、そして関東ジュニアを制して復活基調の山科良悟の出来が以降の成績を左右する。

eJudo Photo
全国高校選手権準々決勝、大将同士の対決で相まみえた延岡学園高・羽田野竜輝と国東高・中島大貴の両エース。

eJudo Photo
長崎日大高の山口貴也は、高校選手権準々決勝の大将対決で桐蔭学園・関根聖隆と大熱戦を演じた。

そして今年度大会を規定する大きなトピックは、地元九州勢の充実。各校に核となるエースがおり、いずれも骨の太い柔道を繰り広げることが共通した特徴だ。100kg超級九州王者・羽田野竜輝を擁して全国高校選手権でベスト4に入った延岡学園高(宮崎)、九州ジュニア100kg超級を制した中島大貴の存在をテコに選手権ベスト8入賞の国東高(大分)、100kg級の山口貴也を押し立てて高校選手権で桐蔭学園と大激戦を演じこれもベスト8に入った長崎日大高(長崎)ら好チームが目白押し。いずれもエースの力が高いチームであり、抜き試合レギュレーションには特性が噛み合う。特に、技術の練れた強豪相手にも柔道が噛み合う山口と中島がエースを張る長崎日大と国東は有望だ。

そしてもう1つ、面白いのは昨年度3位の大牟田高(福岡)の存在。高校選手権では上記九州勢の躍進の影に隠れていまひとつ目立たなかったが、6月の全九州大会でこれら強豪を圧勝で撃破、素晴らしい強さで優勝を飾っている。育成力の高さが評価されたか今年は有望選手が多数入学してチームとしての勢いもかなりのものがあり、総合力型のチームながら今大会は大注目。

一時はベスト8に1チームを送り込むのがやっと、それすら危うい状況が続いた九州勢だが、今回は力だけで言えばベスト8以上に4チームが勝ち進んでもおかしくない充実の年度。主催者は必ず九州勢が上位に進むようにとの「保険」を掛けたか九州勢のブロックをある程度まとめたためこのシナリオの実現は難しくなったが、「九州の大会」と総括されるような年度になる可能性は十分ある。

下記に簡単に組み合わせをまとめておく。ベスト8決定までの注目は、崇徳高と国士舘高が潰し合いを強いられるCパート、東海大相模高と高校選手権ベスト8の日体荏原高が戦うFパート、東海大仰星高(大阪)に足立学園高(東京)と白鴎大足利高(栃木)が挑むFパート、国東高と大牟田高が同居するHパート。準々決勝のカードは桐蔭学園 - 東海大仰星、国士舘(崇徳) - 長崎日大、大成 - 東海大相模、延岡学園 – 大牟田(国東)と読む。ベスト4進出は桐蔭学園以外はもはや読みがたし。大混戦だ。

【Aパート】
シード校:桐蔭学園高(神奈川)、東海大静岡翔洋高(静岡)

【Bパート】
シード校:東海大仰星高(大阪)、埼玉栄高(埼玉)
有力校:足立学園高(東京)、作陽高(岡山)

【Cパート】
シード校:崇徳高(広島)、国士舘高(東京)

【Dパート】
シード校:長崎日大高(長崎)、中京学院大中央高(岐阜)

【Eパート】
シード校:大成高(愛知)、東海大浦安高(千葉)
有力校:田村高(福島)、四日市中央工高(三重)

【Fパート】
シード校:日体大荏原高(東京)、九州学院高(熊本)
有力高:白鴎大足利高(栃木)、東海大相模高(神奈川)

【Gパート】
シード校:延岡学園高(宮崎)、新田高(愛媛)

【Hパート】
シード校:国東高(大分)、大牟田高(福岡)

※ eJudoメルマガ版7月20日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.