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国士舘と足立学園が代表権獲得、エース1枚保有の有無が運命分ける・第66回インターハイ柔道競技東京都予選男子団体レポート

(2017年6月18日)

※ eJudoメルマガ版6月18日掲載記事より転載・編集しています。
国士舘と足立学園が代表権獲得、エース1枚保有の有無が運命分ける
第66回インターハイ柔道競技東京都予選男子団体レポート
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初戦(2回戦)の本郷高戦に臨む国士舘高のメンバー

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2回戦、国士舘は副将長島光希が石井宏から一本背負投「一本」

インターハイ柔道競技(8月8日~12日、郡山総合体育館)の東京都予選最終日が18日、講道館大道場で行われた。
女子個人戦に引き続いて行われた最注目の男子団体戦、東京都に与えられたインターハイ本戦の出場枠は「2」。
出場枠争いの軸は、高校選手権予選で初優勝した足立学園高と、1年生エース斉藤立の加入で活気づき関東大会を制したばかりの国士舘高、さらに本番の全国大会で初戦敗退に終わった両シード校を後目にベスト8進出の栄を得た日体大荏原高の3校。これに高校選手権予選で持ち前のしぶとさを発揮し見事4枠目の代表権を獲得した修徳高がいわばキャスティングボートを握る立場のダークホースとして絡むというのが大枠の構図。様相は混戦、戦力と相性を考えればこれら4チームすべて、代表権は現実的に手が届く位置にある。この状況が選手の熱量を上げ、特に決勝リーグは誰1人勝負の場から降りない極めて見応えのある戦いが繰り広げられた。

高校選手権に出場した上記4校はブロックが分けられ、まずは決勝リーグを目指しての予選トーナメントを戦うこととなる。

■ 予選トーナメント
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予選トーナメント最終戦、日体大荏原高の中堅菅原孝希が安田学園高・中田航成を大外刈から押し込み「一本」

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日体大荏原は副将塚本綾が今田光星から巴投「技有」で勝利、スコアを3-0とする。

【予選トーナメントAブロック最終戦】

日体大荏原高 3-0 安田学園高
(先)村上朋也×引分×近藤駿介
(次)平山才稀○内股(2:54)△小林翔太
(中)菅原孝希○大外刈(2:27)△中田航成
(副)塚本綾○優勢[技有]△今田光星
(大)森大将×引分×奥谷優佑

戦力的にもっとも4強に近い立場にある安田学園が日体大荏原に挑む。安田学園はエース近藤駿介を先鋒に投入するという熱量の高い布陣、先制必須のミッションを受けた73kg級の強者近藤は巧みな釣り手操作と間合いの出し入れで村上に迫るが、後半得意の「抱き着き大内刈」で見せたスクランブルも及ばず体格差を乗り越えられないまま引き分け。次鋒戦は安田学園・小林翔太の奮闘で形上拮抗、しかし終盤に小林が平山才稀の左内股に背中を抱えた右小外掛で食いついた際、上体を制さないまま相手の長い脚にぶらさがってしまうミス。体幹の強さ抜群の大物1年生平山は、なかなか作れなかった自らの力が伝わるこの形を見逃さず、脚を揚げて左内股一発「一本」。これで勝負の大勢は決した。中堅戦は菅原孝希が中田航成を豪快な大外刈「一本」に仕留め、副将戦は既に73kg級で東京都代表を射止めている塚本綾が今田光星の巨体を見事にコントロール、巴投「技有」で完勝。最終スコア3-0で日体大荏原が決勝リーグ進出を決めた。

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修徳高の大将川本昂享が正則学園高・齋藤諒弥から後袈裟固「一本」

【予選トーナメントBブロック最終戦】
 
修徳高 4-0 正則学園高
(先)宮崎雷也○優勢[技有]△野口龍斗
(次)仲島聖悟○背負投(0:24)△佐藤法生
(中)鈴木謙太朗×引分×渡邊人来
(副)中村力也○優勢[僅差]△藤田真輝
(大)川本昂享○袈裟固(3:20)△齋藤諒弥

修徳が隙を見せずに決勝リーグ進出決定。都大会個人戦を沸かせた小川剛生に小嶋洸成、岡田尚樹ら期待の1年生たちを敢えて起用せず、高校選手権で戦った選手たちを中心に布陣。この試合では正則学園高を相手にせず4-0の圧勝、危ない場面ないまま3試合を戦え終えて決勝リーグ進出決定。

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国士舘高の大将清水雅義が八王子学園高・戸髙竜之介から背負投「一本」

【予選トーナメントCブロック最終戦】

国士舘高 5-0 八王子学園高
(先)三谷大○三角絞(0:55)△嘉部拓郎
(次)道下新大○小外刈(1:00)△櫻井怜央
(中)織茂友多郎○背負投(1:31)△藤井海斗
(副)長島光希○上四方固(0:56)△五十嵐輝
(大)清水雅義○背負投(0:15)△戸髙竜之介

ひときわ巻き上がった戦いぶりで勝ち残りを決めたのが国士舘高。1年生エース斉藤を温存したまま1回戦、2回戦と5-0のパーフェクトゲームで勝ち上がり、この試合も八王子学園高を圧倒する。大将戦では高校選手権無差別代表の戸髙竜之介を清水雅義があっという間の背負投「一本」に仕留め、一本勝ち5つを並べる完勝。個人戦で4人を決勝に送り込みながら逆転続きで全員敗退、しかしその悔しさを胸に迎えた翌週の関東大会では充実の内容で優勝とその軌跡から浮かび上がる上昇カーブをそのままに、他を寄せ付けず決勝リーグ進出を決めた。

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足立学園高の山本瑛介が明大中野高・山下愛斗から小外刈「一本」

【予選トーナメントDブロック最終戦】

足立学園高 3-1 明大中野高
(先)武岡毅×引分×鎌田陽路
(次)吉井拓実△小外刈(1:22)○間瀬太紀
(中)山本瑛介○小外刈(0:15)△山下愛斗
(副)白石隼人○袖釣込腰(1:08)△岡﨑大将
(大)上領教史郎○一本背負投(0:55)△塚原康平

春の覇者足立学園高も無事決勝リーグに勝ち残り。全体として戦いぶり淡々、どこか闘志が表に出ない印象で動きの硬さは感じられたが、やはり戦力は圧倒的。先鋒に武岡毅、大将に上領教史郎とチームの活力の源である60kg級2枚をセパレート配置し、絶対のエース山本瑛介は中堅に鎮座、結果他チームにとっては狙いどころの定めがたい、攻略の難しい布陣となった。この試合は明大中野高のエース間瀬太紀に1点献上したものの、後衛の3枚がいずれも早い時間で「一本」を奪って試合終了。まずまず危なげなく決勝リーグ進出を決めた。

■ 決勝リーグ
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先鋒戦、足立学園高・武岡毅が三谷大から大外刈「技有」、一時先制点は足立学園の手に落ちかかる。

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山本瑛介が織茂友太郎から大外巻込「技有」

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1-1で迎えた大将戦、国士舘の副将斉藤立が白石隼人を攻める

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斉藤は横四方固「一本」で勝利

【決勝リーグ第1巡】

国士舘高 2-1 足立学園高
(先)三谷大○反則(3:38)△武岡毅
(次)道下新大×引分×吉井拓実
(中)織茂友多郎△袈裟固(1:48)○山本瑛介
(副)斉藤立○横四方固(2:24)△白石隼人
(大)清水雅義×引分×上領教史郎

第1巡にして大会最大の山場。全国高校選手権のシード校2チーム、都予選で決勝を争った足立学園と国士舘が早くもマッチアップすることとなった。
勝負を分けたのは先鋒戦。73kg級の三谷大と60kg級の武岡毅の軽量級対決は拮抗、終盤まで「指導2」ずつを失い合う展開となる。このまま引き分け濃厚かと思われたが、3分10秒に三谷が少々意外な大胆さで右払腰に打って出る。横変形から右釣り手を横襟に残したまま、相手に釣り手を制されたままのリスク顧みぬ大技であるがこれが中途半端、武岡はその戻りに大外刈を引っ掛けて返しに掛かり、自ら作った片足状態でまともに受けた三谷転がり決定的な「技有」。

それぞれ後衛に山本瑛介、斉藤立と絶対のエースを置いており、この両雄の登場前の1点獲得はいずれのチームにとっても決定的な事態。ここで勝運は足立学園に大いに傾いたかに思われた。

しかし残り50秒のこの時点から三谷が猛攻。軽量の武岡よく凌ぐがスタミナ切れを起こしたか残り22秒で圧力に屈して掛け潰れるミスを犯してしまう。合議の結果武岡に3つ目の「指導」が宣告されて試合は終了。様相まさしく一変、武岡の反則負けにより三谷が勝利して国士舘が先制に成功する。

次鋒戦は国士舘の1年生レギュラー、個人戦100kg級で2位入賞を果たしている道下新大が持ち前のバランスの良さを発揮、ケンカ四つの吉井拓実を相手に手堅く戦って引き分け。

そして中堅戦は足立学園のエース、100kg超級インターハイ東京都代表の山本瑛介が登場。国士舘の織茂友多郎は巧みに間合いを取りながら試合を進めるが、53秒に思い切り仕掛けた右背負投を山本に振り返され「技有」失陥。リードを得た山本は以後も冷静に試合を進め、1分25秒には右大外刈から巻き込んで「技有」を追加、そのまま袈裟固に抑え込んで一本勝ちを果たす。

これでスコアは1-1。副将戦は国士舘・斉藤立が背筋を伸ばしたまま前に出て内股、大外刈と積極的に技を出し、ケンカ四つの白石隼人を追い詰める。白石は片手の右背負投で展開を切ること2度、しかし斉藤の支釣込足で大きく体勢を崩した直後の1分30秒「指導1」失陥。手の詰まって来た白石は2分過ぎに右背負投に打って出るが、姿勢よく待ち構えた斉藤崩し返して胸を合わせて乗り込み、決定的な「技有」獲得。そのまま横四方固に抑え込んで2分24秒「一本」に辿り着く。スコアは2-1、再び国士舘がリードを得る。

大将戦は100kg級の国士舘・清水雅義と60㎏級の上領教史郎が対峙。清水の戦いぶりはどこか散漫、狙い定まらぬ印象だが体格差は隠しようもなく58秒上領に「指導1」。これであと1つの「指導」さえ得れば勝利をすることの出来る立場となった清水はしかし以後も詰め切れず、終盤にはクロスグリップのまま待ちを続けるミスも犯して自身も「指導」失陥。とはいえ上領の側もリスクを冒してこない重量級選手を相手に一発無理やり獲るだけの展開力はなく、この試合はそのまま引き分け。結果、この試合は2-1で国士舘の手に落ちることとなった。

国士舘は代表権獲得に大きく前進、足立学園は残り2試合の勝利が必須となった。

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日体大荏原高の次鋒平山才稀が修徳高・仲島聖悟から払巻込「一本」

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菅原孝希が鈴木謙太朗から大外巻込で一本勝ち、スコアはこの時点で2-0となる。

日体大荏原高 2-0 修徳高
(先)村上朋也×引分×宮崎雷也
(次)平山才稀○払巻込(0:39)△仲島聖悟
(中)菅原孝希○大外巻込(2:51)△鈴木謙太朗
(副)塚本綾×引分×中村力也
(大)森大将×引分×川本昂享

戦力的には4校でもっとも落ちるが、ターゲットを定めたときの強さは抜群の修徳。しかし第1戦でもっとも相性噛み合わない日体大荏原を相手にすることとなり、この試合は一貫して日体大荏原が優勢。先鋒戦は修徳・宮崎雷也が村上朋也から「指導1」を得て引き分けに持ち込むが、迎えた次鋒戦では日体大荏原の1年生レギュラー平山才稀が持ち味発揮。60kg級の強者仲島聖悟を長い手足で圧し、間合いを測らせぬまま21秒まず左払巻込で「技有」獲得。さらに39秒には釣り手で片襟を掴んだまま再び左払巻込、釣り手側に動いた仲島右脚を平山の軸足に前から引っ掛けて止めようとするが、これはかえって体格差が生きる形。平山構わずそのまま体を捨てて豪快な「一本」。

日体大荏原は中堅、副将の得点ポジション2枚の投入を前に先制するという目論見通りの展開。これを受けた中堅戦では菅原孝希が鈴木謙太朗を相手に終盤スピードアップ、2分51秒に大外刈を引っ掛け、そのまま巻き込んで見事「一本」獲得。

副将戦は73kg級の塚本綾が100kg級の強者中村力也を相手にリスクなく試合を運び、マークされたポイントは1分38秒双方に片手の咎で与えられた「指導」ひとつのみ。この試合は引き分けとなり、この時点で日体大荏原の勝利が確定。大将戦も引き分けとなり、最終スコアは2-0だった。

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宮崎雷也が三谷大から小外掛「技有」

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仲島聖悟が背負投で攻めるが、道下新大はバランス良く受けきって投げが決まることを許さない

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道下が横四方固「一本」

【決勝リーグ第2巡】

国士舘高 4-1 修徳高
(先)三谷大△優勢[技有]○宮崎雷也
(次)道下新大○横四方固(2:37)△仲島聖悟
(中)織茂友多郎○崩上四方固(2:30)△鈴木謙太朗
(副)斉藤立○袈裟固(1:00)△中村力也
(大)清水雅義○袈裟固(1:56)△川本昂享

先鋒戦で宮崎雷也が大仕事。開始早々の23秒に三谷大から小外掛「技有」獲得、そのまま優勢勝ちを果たし国士舘に強烈な先制パンチを見舞う。

常に場を荒らしながら戦いたい修徳にとっては願ってもない立ち上がり、以後の展開どう振れてもおかしくないところだったが次鋒戦以降はシナリオ分岐の要所を全て国士舘がガッチリ確保。次鋒戦は修徳・仲島聖悟が得意の背負投で道下新大の長い脚の股中に幾度も潜り込み大いに会場を沸かすが、バランス感覚抜群の道下は決定的な位置に潜られても体勢を崩すことなく受け続ける。ここまでの攻撃に手ごたえを得た仲島は今度こそ投げを決めんと2分過ぎに体を大きく振って左背負投に潜り込み、道下に腕を跨がせたまま体ごと突っ込む猛攻。しかしここからなんと横三角、それも相手の肘を起こすのではなく脚で頭をロックして「三角固」を狙う力勝負に打って出る。60kg級の小兵・仲島が100kg級にあってもひときわサイズのある道下の長い体をこの技術で制するのはさすがに難しく、これは明らかな選択ミス、向こうからチャンスが転がり込んで来た形の道下は股中を左で掴む形で頭を揚げ、上体を合わせに掛かる。こうなれば体格差は乗り越え難く、道下ガッチリ横四方固に抑え込んで「一本」。スコア1-1、内容差で国士舘が逆転に成功。

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織茂友多郎が鈴木謙太朗を抑え込む

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斉藤立が中村力也から体落「技有」

この次鋒戦が結果的にはもっとも大きな分岐点となった。1点をリードし、かつこれまで大型選手相手に幾度も得意の背負投を決めて来た仲島が担ぎに担ぎ捲るという修徳ペースの時間帯は完全に終わりを告げ、中堅戦は織茂友多郎が鈴木謙太朗を相手に寝技に持ち込むと正対状態から引き込み、めくり、崩袈裟固に抑え込んでと粛々手順を進めて最後は崩上四方固「一本」。副将戦は斉藤立が修徳のポイントゲッター中村力也を位押しに追い詰め、38秒に左体落一撃。ケンカ四つの相手の上体を角度のない位置から鋭角に固め、前隅に転がす教科書通りの形、中村低空飛行で畳に転がりこれは「技有」。斉藤そのまま袈裟固に抑え込んで一気にチームの勝利を決めた。

大将戦は清水雅義が川本昂享から大内刈「技有」獲得、そのまま袈裟固に抑え込んで一本勝ち。

修徳ペースで始まった試合だが、次鋒戦の道下の勝利を起点にシナリオは分かれ道の度に国士舘側に流れ続け、結果辿り着いた終着点は4-1という大差だった。国士舘はこれで2勝0敗と順風満帆、一方の修徳は0勝2敗で代表権獲得の可能性はほぼ潰えた。

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中堅戦、足立学園高の中堅山本瑛介が日体大荏原・菅原孝希から支釣込足「一本」

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森大将が上領教史郎から袖釣込腰「技有」、日体大荏原が一矢を報いる

足立学園高 2-1 日体大荏原高
(先)武岡毅×引分×村上朋也
(次)吉井拓実○優勢[技有]△平山才稀
(中)山本瑛介○支釣込足(1:47)△菅原孝希
(副)白石隼人×引分×塚本綾
(大)上領教史郎△優勢[技有]○森大将

大一番は足立学園が勝利。

勝負の分かれ目は次鋒戦、吉井拓実がケンカ四つの平山才稀を相手に終盤肘抜きの右背負投を駆使して加速、3分27秒にはこの技で平山の懐に潜り込み、腕を跨がせたまま畳に落として「技有」を獲得。チームに貴重な先制点をもたらす。

ポイントゲッター対決となった中堅戦は山本瑛介が自信満々に距離を詰め、1分47秒支釣込足で貫録の「一本」獲得。これでスコアは2-0。

副将戦は足立学園・白石隼人が日体大荏原のエース塚本綾を強気に両襟の組み手で封殺。塚本は巴投を駆使して流れを変えようとするが白石は図太く展開を減速、この試合は55秒に両者が受けた「指導」1つのみで引き分けとなる。ここで足立学園の勝利が決定。

大将戦は日体大荏原・森大将が開始52秒に上領教史郎を左袖釣込腰に捕まえ「技有」獲得。そのまま優勢勝ちを果たすが時すでに遅し、最終スコア2-1でこの大一番は足立学園の手に落ちた。

ポイントゲッター同士の対決で奪った中堅戦の1点が大きく効いた一番。団体戦における絶対的なエース1枚の存在の大きさをあらためて思い知らされる戦いだった。

足立学園、日体大荏原はともにこれで1勝1敗、最終戦の結果にインターハイ出場権獲得を掛ける。

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最終戦、国士舘高の先鋒三谷大が日体大荏原・村上朋也から小内巻込「技有」

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貴重な先制点獲得に三谷は思わず拳を握り締める

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斉藤立が塚本綾を大外刈で攻める

【決勝リーグ第3巡】

国士舘高 2-1 日体大荏原高
(先)三谷大○上四方固(1:51)△村上朋也
(次)道下新大×引分×内藤彪我
(中)織茂友多郎×引分×菅原孝希
(副)斉藤立○反則(2:07)△塚本綾
(大)清水雅義△小内巻込(1:45)○森大将

迎えた最終戦は先鋒戦で様相ほぼ確定。三谷大が1分16秒に鋭い小内巻込で村上朋也を転がし「技有」獲得。そのまま得意の横三角を試みると、村上は当然予期されるこの攻めにほとんど無抵抗、手順の進行をまったく止められずあっさり捲られてしまう。三谷はがっちり抑え込み上四方固「一本」、チームにまさしく値千金の1点をもたらす。

後衛に絶対のエース斉藤が控える国士舘にとって、以降は膠着が続けば続くほど流れを掴めるという好循環。次鋒道下新大はこの試合から投入された内藤彪我をしっかり止めて引き分け、中堅戦は織茂友多郎が相手方のポイントゲッター菅原孝希を相手に近接距離で食いつき続けその技を封殺、この試合も引き分けに持ち込む。
迎えた副将戦、斉藤の前には73kg級の強者、大型選手相手にこそむしろその力を発揮するタイプの業師塚本綾がマッチアップ。しかし斉藤は怖じずに「組んで投げに行く」スケール感ある柔道を徹底、左大外刈で乗り込む場面も見せて主導権をガッチリ確保。間合いの出し入れが命の塚本だが、接近と離脱を繰り返すうちに明らかに後者に重心が掛かってしまい1分24秒に請けた「取り組まない」咎による「指導」を端緒に次々反則ポイントが累積。結果2分7秒にこれも「取り組まない」との判断で3つ目の「指導」が宣告されて試合は終了。この時点でスコアは2-0となり、国士舘の勝利が決まった。

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大将戦は森大将が清水雅義を小内巻込「一本」に仕留め、最終スコアは2-1となった。

快勝の国士舘だが、しかし最終戦は不首尾。日体大荏原の森大将がスピード豊かに入り込んだ小内巻込の一撃に清水雅義がまったく反応出来ずに吹っ飛び「一本」。日体大荏原が意地を見せた形で、最終スコア2-1で試合終了。

国士舘は3連勝で優勝決定。1勝2敗で自力でのインターハイ出場権獲得がなくなった日体大荏原は隣の試合場で行われている足立学園-修徳の結果に僅かな可能性を掛ける。

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山本瑛介が鈴木謙太朗の小内刈を抱き返し2つ目の「技有」

足立学園高 ①-1 修徳高
(先)武岡毅×引分×宮崎雷也
(次)吉井拓実×引分×仲島聖悟
(中)山本瑛介○横四方固(1:40)△鈴木謙太朗
(副)白石隼人△優勢[技有]○中村力也
(大)上領教史郎×引分×川本昂享

迎えた最終戦は少々意外な大接戦。足立学園としては1点確実な中堅のエース山本瑛介を送り出す前に先制点を奪って試合の趨勢を決めてしまいたいところだったが、先鋒の60kg級インターハイ王者・武岡毅がこの試合も普段の鋭さを欠いてチャンスの影薄いまま宮崎雷也と引き分け。修徳は次鋒の仲島聖悟が左背負投を連発してこの試合も奮闘、ここで1点取れれば試合の流れを一気に獲れることは間違いなく修徳ベンチは大いに意気上がる。しかしここは吉井拓実がこの背負投の放列に後半ブレーキを掛けて手堅く試合をまとめ、この試合も引き分けに終着。

迎えた中堅戦は山本瑛介が鈴木謙太朗の一本背負投を返して41秒「技有」獲得、さらに鈴木が良いタイミングで放った組み際の小内刈をあっさり返して2つ目の「技有」、そのまま横四方固で抑え込んで「一本」。エースがしっかり仕事を果たした足立学園が先制。

スコア1-0、力関係に勝る足立学園がリードして残り試合は僅か2戦。どうやら試合の終着点が見えかけたかに思われたが、しかし副将戦は修徳のポイントゲッター中村力也が白石隼人を相手に残り6秒に放った背負投で「技有」獲得。結果スコア1-1、内容差で辛うじて足立学園がリードという極限状況のまま試合は大将戦へと引き継がれることとなる。

大将戦は足立学園・上領教史郎、修徳・川本昂享ともに右組みの相四つ。絞り合いが続くが、1分38秒に攻防が縺れたところで川本が相手のズボンを掴んでしまうミスを犯し「指導1」失陥。リードを守る立場の上領がポイント上リードしたことで試合の様相ほぼ決したかと思われた。しかし終盤川本が背負投を続けて放ってペースを上げると残り1分3秒で上領に「指導1」。上領これで焦ったか直後に担ぎ技を仕掛けた際に両手が離れてしまい、偽装攻撃で2つ目の「指導」も受けてしまう。

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初のインターハイ代表決定。徳原勉監督は大接戦に深くため息、一瞬だけ感慨深げな表情を見せる。

まかり間違ってあと1つ「指導」を貰うと上領の反則負け、チームの勝敗もひっくり返ってしまうこの事態にあって一気に場は沸騰。川本体を振って思い切りの良い右背負投で攻め、食いついて潰した上領は寝技に持ち込んで必死に時間の消費を図る。そして川本が最後の勝負に出た小内巻込を上領が返し掛かって「待て」が宣せられた時点で残り時間は僅か3秒。この試合はそのまま引き分けに終わり、スコア1-1の内容差で足立学園が勝利を得ることとなった。

足立学園はこれで2位入賞が決定。栄えある2017年度インターハイ男子団体戦の東京代表は国士舘と足立学園の2校に決まった。初めての団体戦進出を決めた足立学園・徳原勉監督は、初のインターハイ進出の喜びと薄氷の勝利に立ち上がって大きくため息。

3月の全国高校選手権で東京都の代表4校のうち唯一勝利を挙げ、ベスト8まで進出した日体大荏原は予選敗退となった。総合力では十分全国の強豪と伍するだけのものを持ちながら、足立学園の山本、国士舘の斉藤のような絶対のエース1枚保有の有無の差に泣いた形。足立学園戦では菅原、そして国士舘戦では塚本とポイントゲッターがそれぞれこの2人にマッチアップしてしまい、獲るべきポジションで逆に1点失う苦しい戦いを強いられた大会だった。

この「エース1枚の保有の有無」は今大会の勝敗を規定した大テーマであった。新人戦期に不安定な戦いに終始した国士舘の、まるで別のチームのような今シーズンにおける躍進はこれを端的に示すもの。斉藤の「一本」による1点を織り込んで試合が始まることで選手の心に余裕が生まれ、一方2点取らねば勝利なしとどこかで無理を強いられる相手には必ず隙が生じる。苦境における選手の粘りの「拠り所」が生まれたことも非常に大きく、全員が粘らねばならぬことは決まっているが果たしてどこで獲るのか、なんのために粘るのかが不明確であった高校選手権期のチームとは選手のモチベーションがまったく違う。安定感ある道下の加入もあり、国士舘は春とはまったく違うチームと考えて全国大会を展望すべきであろう。

入賞者と国士舘高・岩渕公一監督、足立学園高・徳原勉監督のコメントは下記。

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優勝の国士舘高

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準優勝、初のインターハイ団体戦代表権を射止めた足立学園高

【入賞者】
(エントリー52校)

優 勝:国士舘高 (決勝リーグ3勝0敗)
準優勝:足立学園高 (決勝リーグ2勝1敗)
第三位:日体大荏原高 (決勝リーグ1勝2敗)
第四位:修徳高 (決勝リーグ0勝3敗)

国士舘高・岩渕公一監督のコメント
「ひときわ気合いが入った大会でした。足立学園戦では獲らなければいけない三谷がポイントを失ったりしてヒヤヒヤしましたし、肘が治り切らない清水も稽古を詰められず本調子ではない。そんな中で皆頑張ったと思います。春と比べると、やはり斉藤立の加入は大きいですね。絶対に『一本』獲りますから、相手が他のポジションで無理をして来る。また、関東大会のあたりから選手たちに国士舘らしい粘りや勝負強さが出て来たと思っているのですが、個々の頑張りはもちろん、我慢すれば斉藤が獲るはずという信頼感があるのだと思います。(-斉藤選手はどうですか?)日に日に良くなっていますよ。他の選手たちと一緒に大学でもがっちり稽古させてもらっているので、高校柔道にも慣れてきたかなと。塚本君との試合のように、以前だったら縺れたであろう面倒な相手にもしっかり勝ち切れるようになってきました、(-この夏の目標、またこれから為すべきと考えていることなど教えてください)いやいや、今年はデカいことは言いません(笑)。精一杯やるだけですよ。ただ、先ほど言った通りウチのチームらしいしつこさと粘りが出てきていますから、これは良い兆候。なんとかしたいと思っています(笑)」

足立学園高・徳原勉監督のコメント
「今日は疲れました(笑)。先鋒の武岡と大将の上領が国体予選を控えて減量中、厳しい戦いだったと思います。選手が良く頑張ってくれました。体格が小さいチームですしなかなか大変とは思いますが、高校選手権で負けていますし、インターハイでは2日目に残れるように頑張ります」

※ eJudoメルマガ版6月18日掲載記事より転載・編集しています。

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