PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

コマツが優勝、三井住友海上破って意気揚がる自衛隊体育学校を最終戦で退ける・第67回全日本実業柔道団体対抗大会女子第1部レポート

(2017年6月14日)

※ eJudoメルマガ版6月14日掲載記事より転載・編集しています。
コマツが優勝、三井住友海上破って意気揚がる自衛隊体育学校を最終戦で退ける
第67回全日本実業柔道団体対抗大会女子第1部レポート
eJudo Photo
開会式。宇髙菜絵が10回出場の表彰を受けた。

第67回全日本実業柔道団体対抗大会は6月3日、アルビス小杉総合体育センター(射水市)で開幕。初日の女子は最高峰カテゴリである第1部の競技が行われた。

5人制団体(先鋒と次鋒57kg以下、中堅と副将70kg以下、大将無差別、試合ごとの配列順変更可能)のリーグ戦で争われるこのカテゴリに参加を許されたのは昨年と同じく三井住友海上、コマツ、自衛隊体育学校、JR東日本の4チーム。

戦いの軸となるのは業界を牽引する三井住友海上とコマツの2巨頭。連覇を狙う三井住友海上に対し、昨年3位に沈んだコマツの巻き返しなるかが大会を規定する大きな対立軸。これをベースに昨年2位に躍進したJR東日本と、大将枠に濱田尚里という序列を飛び越えて力を発揮し得るジョーカーを持つ自衛隊体育学校が虎視眈々と上位を狙うというのが戦前評だ。

第1節ではまず三井住友海上が自衛隊体育学校、そしてコマツがJR東日本を迎え撃つこととなる。

■ リーグ戦第1節
eJudo Photo
オープニングゲーム、自衛隊体育学校の先鋒・金子瑛美が三井住友海上の舟久保遥香から崩袈裟固「一本」

eJudo Photo
三井住友海上は次鋒玉置桃が山﨑珠美から内股「技有」奪取、反撃の狼煙を上げる。

eJudo Photo
副将新井千鶴が試合終了間際に意地の小内刈「技有」獲得、三井住友海上は勝ち越しに成功。

自衛隊体育学校 ②-2 三井住友海上火災保険
(先)金子瑛美〇崩袈裟固(1:00)△舟久保遥香
(次)山﨑珠美△横四方固(2:23)〇玉置桃
(中)太田晴奈×引分×鍋倉那美
(副)佐村槙歩△優勢[技有]〇新井千鶴
(大)濵田尚里〇大外刈(0:22)△稲森奈見

オープニングゲームには三井住友海上の先鋒として今年の高卒新人世代の目玉、57kg級世界ジュニア王者の舟久保遥香が登場。会場の注目集まる中、しかしこの試合は自衛隊体育学校の金子瑛美が組み際にまず脚を差し入れてから仕掛ける変調の右大外巻込で40秒「技有」獲得。そのまま袈裟固に抑え込むとあまりの体勢の悪さにさすがの舟久保も抗えず1分0秒「一本」。金子がシニアの厳しさを示した格好で自衛隊体育学校が先制に成功する。

第1戦の先鋒戦で期待の大型新人が、それも最大の武器である寝業で抑え込まれて一本負けを喫するという三井住友海上にとっては衝撃的な出だし。

続く次鋒戦では三井住友海上・玉置桃がしっかり仕事。山崎珠美から1分6秒内股「技有」先行、さらに焦った山﨑が得意の右一本背負投に入って来るところを予期して待ち構え、潰して横三角から横四方固「一本」を奪う。これでスコア上は体勢を立て直した三井住友海上だが、先鋒戦を悪い形で落としたショックは隠しようもなく畳を覆っており、中堅戦は鍋倉那美が太田晴奈との一進一退の攻め合いから抜け出せず泥沼の攻防戦のまま引き分け。新井千鶴も重心が低い佐村槙歩の粘りの前に引き分け寸前まで持ち込まれるピンチに陥る。しかし新井はあくまであきらめず、残り5秒で左内股を受けさせておいて左小内刈に連絡、「技有」を獲得する執念を見せて勝利をもぎ取る。

eJudo Photo
大将戦は僅か22秒で決着、濱田尚里が稲森奈見を大外刈「一本」に仕留めて自衛隊体育学校の逆転勝利が決まる。

玉置の気合いの入った仕事ぶりと新井のプライド溢れる一撃で逆転に成功した三井住友海上、あとは大将稲森奈見が試合をまとめるだけであったが、迎えた大将戦は意外な結末。試合開始早々に濱田尚里が大外刈、真っ向から稲森を叩き落してあっさり「一本」。再逆転の2-2、内容差でこの試合は自衛隊体育学校の手に落ちた。

濱田は序列に関係なく「一本」を叩き出す持ち味を遺憾なく発揮。見事ベンチの期待に応えた。

全体としては何と言っても先鋒戦の結果が大きかったが、自衛隊体育学校の気合いの入りぶりがどこか散漫に戦っていた三井住友海上のそれを陵駕したという印象。三井住友海上は鍋倉、稲森とアジア選手権から帰国したばかりの選手を抱えてかなりの疲労の蓄積があったと思われるが、それは自衛隊体育学校・濱田とて一緒。王者を食ってやろうと覚悟の決まった自衛隊体育学校に対し「受けて立つ」形で試合に入ってしまった三井住友海上という、士気の差が勝敗を分けた一番と総括したい。

三井住友海上は先鋒戦の衝撃的な結果を受けて意気消沈、スコア的にもチームの雰囲気の醸成という観点からも確かにこれは非常に痛かったが、新人のデビュー戦ということを考えれば舟久保は責められない。選手起用の是非を抜きに敢えて選手から「戦犯」を挙げるとすればこれは間違いなく稲森だろう。新人のミスを埋める立場であり、新井が必死に挙げた逆転の1点を守るべく少なくとも手堅く試合を進めるべき立場にありながら、そして十二分にそれが可能な力関係にありながら秒殺の一本負けはありえない。勝敗はともかく、負け方というのもがあるはずだ。個人戦にあっても勝負どころで意外な脆さを見せて序列を落として来た稲森の、バックグランドの状況を試合ぶりに反映させることが出来ない不感症ぶりがまたもや顔を出した一番であったと総括するほかはない。三井住友海上は初戦にして連覇から大きく後退、あまりにも苦しい立ち上がりとなった。

eJudo Photo
先鋒戦、芳田司が柳楽祐里から横四方固「一本」

eJudo Photo
五輪以来の試合となる田代未来は気合十分、大住有加から送襟絞「一本」

コマツ 3-0 JR東日本
(先)芳田司〇横四方固(3:13)△柳楽祐里
(次)宇髙菜絵〇優勢[僅差]△五味奈津美
(中)田代未来〇送襟絞(0:43)△大住有加
(副)大野陽子×引分×前田奈恵子
(大)佐藤瑠香×引分×宇野友紀子

昨年の雪辱に燃えるコマツが着々加点、順当にJR東日本を下した。先鋒芳田司は粘る柳楽祐里を相手に2分24秒袖釣込腰、崩れた相手の立ち際に大内刈を入れて「技有」奪取。そのまま落ち着いて腕を抱え、横四方固に抑え込んで一本勝ちを果たす。次鋒宇高菜絵も五味奈津美を丁寧に攻め続け、2分7秒に奪った消極的「指導」と、2分59秒に五味の片襟組み手に与えられた「指導」の2つをテコに僅差の優勢勝ちを果たす。この時点でスコアは早くも2-0、チームの勝利に王手が掛かる。

圧巻は中堅に登場した田代未来。リオデジャネイロ五輪以来の試合となるこの一番だが、強敵大住有加を相手に試合開始早々寝勝負のチャンスを得るとスピードアップ。「ボーアンドアローチョーク」の形を起点に見事な送襟絞「一本」。これで試合を決めると、副将大野陽子、大将佐藤瑠香がしっかり引き分けて3-0で初戦を勝ち抜くこととなった。

隣の畳で浮足立つライバル三井住友海上をよそに、一体感抜群の試合ぶり。好発進のコマツは山場の第2戦に向けて視界良好。

■ リーグ戦第2節
eJudo Photo
次鋒戦、自衛隊体育学校は金子瑛美が柳楽祐里から内股「一本」

eJudo Photo
濵田尚里が宇野友紀子から内股「技有」

自衛隊体育学校 2-1 JR東日本
(先)山﨑珠美△払腰(1:42)〇五味奈津美
(次)金子瑛美〇内股(2:31)△柳楽祐里
(中)佐村槙歩×引分×前田奈恵子
(副)太田晴奈×引分×大住有加
(大)濵田尚里〇袈裟固(2:19)△宇野友紀子

獲るべきところ、抑えるべきポジションとしっかり仕事を果たした自衛隊体育学校がJR東日本に競り勝った。先鋒戦は山﨑珠美が五味奈津美の前に良いところないまま右払腰「一本」に沈むが、次鋒戦では前戦の殊勲者・金子瑛美が柳楽祐里を見事内股「一本」に仕留めてタイスコア。踏ん張りどころの中堅戦は佐村槙歩が図太く前田奈恵子の攻めを無力化して引き分けに持ち込み、副将戦も太田晴奈がプライド溢れる戦いで大住有加に力を出させないまま引き分けを得る。

防衛ポジション2つを引き分けでまとめ、いよいよ攻めに転じるべき大将戦では濵田尚里が新人宇野友紀子から2分0秒右払腰「技有」、そのまま横四方固に袈裟固と繋いでしっかり勝利。これでスコアは2-1、自衛隊体育学校の勝利が決まった。

オーダー順を見てもらえればわかる通り、自衛隊体育学校が勝利し得る仮想シナリオは決して多くはなかった。相手を抑えるべき防衛ポジションが中堅戦と副将戦と2ポジション、勝負を掛けに行くべきが次鋒戦で、確実に得点を織り込んで良いのは大将戦だけ。しかも先鋒戦を「一本」で落とすという最悪の立ち上がりながら、以降の4人が全員しっかりこのミッションをクリアしたことで相手を凌ぐに至った。

一方のJR東日本は先鋒戦を取りながら、我慢をすべき次鋒戦を落とし、得点必須の中堅戦と副将戦は引き分け。勝利がありうるとすれば副将戦終了までに試合を決めてしまうしかない配置であったが、中盤3人の仕事の達成度の差がそのままチームの勝敗を決めてしまった形となった。

eJudo Photo
前田千島と連珍羚による次鋒戦

eJudo Photo
新井千鶴と大野陽子の対決は相譲らず引き分けに終わる

eJudo Photo
田代未来が鍋倉那美の内股を捌き腕挫十字固を狙う

eJudo Photo
稲森奈見と佐藤瑠香による大将戦

三井住友海上火災保険 0-0 コマツ
(先)玉置桃×引分×宇髙菜絵
(次)前田千島×引分×連珍羚
(中)新井千鶴×引分×大野陽子
(副)鍋倉那美×引分×田代未来
(大)稲森奈見×引分×佐藤瑠香

両巨頭による大一番は5戦連続の引き分け。前戦で星を落としているバックグランドを考えればどこかで無理をすべきは三井住友海上、先鋒戦はこの背景を十分意識した玉置桃が「巴十字」に袖釣込腰と良い技を放って宇髙菜絵の牙城に迫るが、結果は51秒に両袖を絞り合った咎で両者に与えられた「指導」1つが記録されたのみで引き分け。次鋒前田千島も序盤は連珍羚を相手に覚悟ある攻めを見せるが終盤は減速、巻き込み潰れによる偽装攻撃で「指導」1つを失って引き分けに終わる。

中堅戦は三井住友海上にとって数少ない得点を織り込めるポジション。新井千鶴がグランドスラム東京で一本勝ちを果たしている大野陽子に激しく迫るが、大野は左右交互に新井を突き放し鬼気迫る防戦。もともとの相性の悪さもあり新井が獲るとすればどこかでリスクを冒すしかないはずであったが、新井は猛攻を見せるも捨身の攻めとまではいかず大野の防壁を崩し切れないままこの試合も引き分け。副将戦は鍋倉那美と田代未来がともに序盤から思い切った技で攻め合うも、挑まれる立場にも関わらず内股、腕挫十字固と自信満々思い切った攻めを繰り出す田代が次第にペースを掴み、鍋倉にチャンスを与えぬままこの試合も引き分けに終わる。

4戦を終了し0-0のタイスコアのまま勝負の襷は大将戦へ。78kg超級アジア大会2位の稲森奈見、今年4回目の世界選手権代表を務める78kg級の佐藤瑠香と、ともに一発の強さとともに意外な脆さがあり、かつバックグラウンドがその試合ぶりに影響を与えぬタイプの選手であり勝負は予断を許さない。戦いぶりにギャンブル性を孕む2人にこの大一番の帰趨が委ねられるエキサイティングな状況なわけだが、試合は意外にも静かな展開。1分28秒、3分10秒と両者に2つの「指導」が宣告されたのみであっさり試合は終了する。

結局0-0、勝敗付かぬ引き分けでこの大一番は終わりを告げた。コマツはこれで1勝1分け、最終節の自衛隊体育学校戦の勝利に優勝を掛ける。一方の三井住友海上はこの時点で0勝1敗1分け、優勝の可能性はほぼ潰えた。

■ リーグ戦第3節
eJudo Photo
逆転を掛けて最終戦に臨むコマツ

eJudo Photo
連珍羚が金子瑛美を相手に左内股を狙う

eJudo Photo
宇髙菜絵が山﨑珠美を小外刈で大きく崩す

eJudo Photo
宇髙は機を逃さず縦四方固、しっかり「一本」を奪ってコマツが先制

コマツ ― 自衛隊体育学校
(先)連珍羚 - 金子瑛美
(次)宇髙菜絵 - 山﨑珠美
(中)田代未来 - 太田晴奈
(副)大野陽子 - 佐村槙歩
(大)佐藤瑠香 - 濵田尚里

コマツ1勝1分け、自衛隊体育学校2勝0敗で迎えた最終戦。勝った方が優勝という大一番だ。

戦力差は明らか、配列も副将までの4ポジションすべてでコマツが有利。
大将枠で激突する佐藤瑠香と濱田尚里はいずれも日本の78kg級を代表する強豪。ともに立っても寝ても一発で勝負を終わらせてしまうパワーと決定力があり、かつ周囲の状況に左右されず突き抜けた試合が出来るタイプであり、そして同時に常に意外なミスの予感がつきまとう不安定な選手でもある。この2人の対戦の様相を読むのは困難、大将戦は不確定要素として考えるべき。

総合戦力に大きく勝るコマツとしてはこの様相読みがたい大将戦を待たずにしっかり勝負を決めてしまいたい配置であり、一方の自衛隊体育学校としてはなんとかタイで大将まで繋ぎ、場の空気を乱した上で一発のある濱田で一か八かの勝負を掛けたいという配列。

両チームが礼を終えると、コマツは主将の宇髙が先鋒の連珍羚を一声励まし、畳に送り出す。

先鋒戦は連が得意の遠心力を十分利かせた左内股と横三角を中心に激しく攻めるが、本日の自体校躍進の因である金子は激しく抵抗。釣り手を突いておいての左一本背負投に右体落、大胆な右大外刈を放って展開を譲らず、この試合は引き分けに終わる。

次鋒戦は宇髙菜絵に、この日ここまで2戦2敗と苦しい戦いを続けている山﨑珠美がマッチアップ。18秒双方に「取り組まない」咎で「指導1」が宣告されるが、以後は宇髙が圧倒。凌ぐ側にとって有利なケンカ四つではあるが前段の「指導」で組み手争いを否定された形の山﨑は後重心。体重差もあり、宇髙の圧をまともに受けて頭を下げた山﨑に1分0秒「指導」。以後も宇髙は位押しに押しまくり、1分30秒過ぎに右小外刈で山﨑を大きく崩すとすかさず寝勝負に持ち込み縦四方固。2分0秒「一本」が宣告されてコマツが先制に成功する。

eJudo Photo
太田晴奈が右内股で田代未来を攻める

eJudo Photo
田代は小外刈で反撃、太田を大きく崩す

eJudo Photo
「指導2」を奪った大野陽子は押し出し行動で佐村槙歩を弾き出す

中堅戦は田代未来に、淑徳高の先輩太田晴奈がマッチアップ。田代はこの試合も溌剌、圧を掛けては左小外刈で太田を崩す場面を度々作り出すが、太田も必死に抵抗。序盤は田代の抱き着きに右内股を合わせ、さらに田代が激しく追ってきた左小外刈に崩されながらも浴びせ返す強気を見せる。中盤以降は田代が大枠試合を掌握するが太田の序盤の奮戦が効いたか、あと一歩の決めに踏み込めず。1分55秒場外の咎で太田に宣告された「指導1」以外はスコア動かず、この試合は引き分けに終わった。

副将戦はコマツ・大野陽子に自衛隊体育学校・佐村槙歩がマッチアップ。勝利すれば優勝を決められる状況の大野は走って飛び掛かり、得意の圧力。27秒佐村に早くも場外の咎で「指導1」が宣告される。

大野は上背の差を生かして徹底的に圧力を掛けることに腐心する。肝心の技はいずれもあっさり掛け潰れて得点には至らないが、2分37秒には技の止まった佐村に消極的との判断で2つ目の「指導」。

あとは試合を決めるだけとなった大野だが、気が緩んだかこの勝負どころでいったん矛を収める判断ミス。圧力掛けども技を出さずという悪癖が顔を出し、かつあと1つの「指導」を得ようと選択した行動は場外へ向けての押し出し行動。あるいは大野の側に「指導」が与えられる可能性すら想起される場面であったが合議の結果ここはスルー。大野は直後アオリを入れての小外刈で佐村を伏せさせひとまず最悪の事態は回避。このまま試合は終了となり、大野が「指導」2差による僅差の優勢勝ちで勝利。この時点でコマツの優勝が決まった。

eJudo Photo
濱田尚里が佐藤瑠香を相手に腕挫十字固を狙う

eJudo Photo
濱田が片足となった瞬間佐藤が右大外刈、そのまま押し込んで「一本」

eJudo Photo
鮮やかな一本勝ちで試合を締めた佐藤をチームメイトが迎え入れる

eJudo Photo
試合終了直後、観客席の大応援団の声援に一礼して応えるコマツの選手たち

大将戦は佐藤瑠香、濱田尚里の強豪2人が相譲らず、2分39秒に「取り組まない」咎で双方に「指導1」が与えられたほかはスコアなく試合は終盤へ。このまま試合終了かと思われたが、ここで濱田は不用意に自身の右足を払い揚げる牽制行動、左脚一本の片足状態を作るミスを犯す。佐藤がここに素早く右大外刈を引っ掛けると濱田大きくバランスを崩し、佐藤乗り込んで豪快な「一本」。

これで試合は終了。スコア3-0で勝利したコマツが自衛隊体育学校を逆転、見事優勝の栄冠を手にすることとなった。

コマツ 3-0 自衛隊体育学校
(先)連珍羚×引分×金子瑛美
(次)宇髙菜絵〇縦四方固(2:00)△山﨑珠美
(中)田代未来×引分×太田晴奈
(副)大野陽子〇優勢[僅差]△佐村槙歩
(大)佐藤瑠香〇大外刈(2:46)△濵田尚里

ここまでチームの結束力をテコに勝利を続けて来た自衛隊体育学校だが、戦力に勝り、かつチームの一体感でも出色の出来を見せたコマツの前には完敗。コマツは最年長選手の主将・宇髙を中心に雰囲気良く、ベンチの選手にも戦う姿勢が満ち満ちていた。優勝は妥当な結果であった。

チームの優勝を一本勝ちで、それも同階級のライバルを叩き伏せての投技「一本」で締めた佐藤にとっては8月の世界選手権に向けて最高の結末。試合後は滅多に見せぬ笑顔で写真に納まり、同僚たちと優勝を喜んでいた。

自衛隊体育学校は大健闘。特に金子、佐村の健闘は出色であったが、ここはコマツの力が上回ったと総括すべきかと思われる。

国際大会派遣ピックアップの線上にある実力者・濱田は最重量級の強者・稲森を「秒殺」して会場を驚かせながら最終戦でポカ負けを喫し、画竜点睛を欠いた。またもや詰めを誤った上に、同階級のライバルである佐藤の立場を相対的に上げてしまうというおまけつき。既にチームの勝敗が決している状況で、相手は今年の世界選手権の代表。第1戦の派手な戦果のアドバンテージもあり、ここは手堅く引き分けで試合を終えるだけでも強化陣の評価を一段引き上げられるはずだったが、状況判断の悪さという自身の弱点をさらけ出した最も悪いクロージング。世界大会でもセンセーションを起こし得るレベルの寝業の強さを誇りながらなかなか突き抜けられない、その因を端的に示した大会となってしまった。

eJudo Photo
新井千鶴が前田奈恵子から袈裟固「技有」

eJudo Photo
髙山莉加が松延祐里から内股巻込「技有」

三井住友海上火災保険 3-0 JR東日本
(先)玉置桃〇優勢[僅差]△柳楽祐里
(次)舟久保遥香×引分×五味奈津美
(中)新井千鶴〇袈裟固(2:01)△前田奈恵子
(副)鍋倉那美×引分×大住有加
(大)髙山莉加〇上四方固(1:15)△松延祐里

3位決定戦という形になったこの試合は三井住友海上が意地を見せ、3-0の圧勝。2戦目で下げた舟久保を敢えて投入、デビュー戦での敗戦という傷を以後に引っ張らせずに大会を終えさせ、さらに新井千鶴が同階級の強豪前田奈恵子に一本勝ちを果たしてと決して悪くないクロージング。一方のJR東日本はトップレベルに脱皮する過程での「生みの苦しみ」とでもいうべきか、福見友子コーチを迎えて事実上の創業となった昨年度大会の勢いを持ち込めず、1部の生態系の中に落ち着いたという体でいわば戦力相応の結果に終わった。

入賞者と、コマツ・松岡義之監督のコメントは下記。

eJudo Photo
3年ぶり11度目の優勝を決めたコマツ

eJudo Photo
コマツの一体感の強さは他を圧していた

【入賞者】

優 勝:コマツ (2勝0敗1分け)
準優勝:自衛隊体育学校 (2勝1敗)
第三位:三井住友海上火災保険 (1勝1敗1分け)
第四位:JR東日本 (0勝3敗)

優秀選手:宇髙菜絵、大野陽子(コマツ)、金子瑛美(自衛隊体育学校)

松岡義之監督のコメント
「勝因はチームが一丸になったこと。うれしいです(笑)。石川(慈)をはじめ、試合に出ていない選手が本当によくサポートしてくれて、選手たちの気持ちが一つになっていた。宇髙が主将として頑張ってくれたことが大きいですね。チームの目標は1人でも多く東京五輪の代表を出すこと。現時点では田代、芳田、佐藤ら世界を経験している選手が強化の軸。若い世代がどんどん出て来る中で宇髙も選抜を取りましたし、こういう存在も悪くない。頑張ります」


取材・文:古田英毅

※ eJudoメルマガ版6月14日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.