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第32回皇后盃全日本女子柔道選手権全試合詳細④準々決勝~決勝

(2017年5月19日)

※ eJudoメルマガ版5月19日掲載記事より転載・編集しています。
第32回皇后盃全日本女子柔道選手権全試合詳細④準々決勝~決勝
■ 準々決勝
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髙山莉加が両袖の右大外刈で藤原恵美を攻める

髙山莉加(三井住友海上)○GS反則[指導3](GS1:47)△藤原恵美(大阪府警察)


右相四つ。髙山は引き手を自分の側で持ち続けることで体格差を克服。47秒に両者に「指導」が与えられるが、以降は髙山が左一本背負投に右内股、左袖釣込腰と一方的に攻める流れが続く。いずれの技もポイント獲得には至らなかったもののこの攻勢を審判団が評価、2分57秒に藤原に消極的との咎で2つ目の「指導」が追加される。試合時間を2分以上残して早くも後のなくなった藤原だが、しかし要所で強引な払巻込を仕掛けることで延命に成功。髙山優位のまま勝負はGS延長戦へともつれ込む。以降も流れは変わらず、GS1分47秒に髙山が両袖の右大外刈で藤原を伏せさせたところで藤原に3つ目の「指導」が与えられて試合は終了となった。前戦で前年度女王の山部を下した髙山がその「権利者」として正当な対価を得た形で、皇后盃準決勝進出の栄を得ることとなった。髙山は先に引き手を得ることにこだわって試合をコントロール、先手攻撃で技を出し続け藤原に攻撃の機会を与えなかった。

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朝比奈沙羅がGS延長戦で山本沙羅から大内返「有効」

朝比奈沙羅(東海大3年)○GS有効・大内返(GS6:45)△山本沙羅(ミキハウス)

2週間前の選抜体重別選手権では山本が左大外巻込「技有」で勝利して、代表レースを独走する朝比奈にストップを掛けた因縁のカード。
朝比奈が右、山本が左組みのケンカ四つ。序盤は両者警戒し合って技が出ず、1分18秒と1分50秒に立て続けに「指導」が累積。ここまでは停滞気味であったが、双方「指導2」となったここから一気に試合が動き始める。朝比奈が3分30秒に右内股であわやポイントかという場面を作ると、一方の山本も左大内刈で朝比奈を畳に伏せさせ一歩も譲らない。あくまで投げて試合を決めんとの両者の意地と意地がぶつかり合う好勝負は本戦では決着がつかず、GS延長戦へと突入。互いにポイントが想起される惜しい技が出つつもあと一歩が決め切れず、試合はついに合計11分を超える大消耗戦へと展開する。両者疲労の色が濃くなってきたGS6分45秒、朝比奈が奥襟を叩いたタイミングで山本が抱きつきの左大内刈。朝比奈はこれを抱き止めると反対の脇を掬いながら大内返で浴びせ倒し勝負を決する「有効」を獲得する。山本は再三左内股で相手を寄りかかるように止めてから連絡する左大内刈を見せており、もし1度でも朝比奈が後退する場面があればそのまま投げが決まっていた可能性が高い。気持ちを切らさず最後まで前に出続けた朝比奈の戦いぶりは見事であった。

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田知本愛が児玉ひかるを左大外刈「一本」に仕留める

田知本愛(ALSOK)○GS大外刈(GS1:25)△児玉ひかる(三井住友海上)

左相四つ。田知本はこれまでの両襟スタイルから一転、引き手で袖を持って試合をスタート。児玉の釣り手を落として左大外刈に支釣込足とこれまた従来大型相手にはあまり見られなかった大技で児玉を度々畳に這わせる。児玉は釣り手の位置を上げて左大外刈や左内股を仕掛けるが、引き手を袖、襟と持ち替えながら戦う田知本に翻弄されてしまい深く技に入ることができない。田知本の一方的な攻勢が続いたことで2分7秒と3分29秒に児玉に対して消極的の「指導」が立て続けに宣告され、田知本の「指導2」リードで勝負はGS延長戦へと持ち越される。GS1分25秒、田知本は奥襟と引き手を得た完璧な形を作るとこの試合で再三仕掛けている左大外刈。足車様に軸足を継いで横方向に体を捨てると、引き手を十分に持てていなかった児玉は堪らず飛んで「一本」。田知本が進化した戦い方を披露して巨艦児玉を撃破、大型選手相手にも怪我の影響を全く感じさせずに見事ベスト4入りを果たした。

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緒方亜香里が市橋寿々華から左小外掛「一本」

緒方亜香里(了徳寺学園職)○小外掛(4:16)△市橋寿々華(大阪府警察)

緒方が左、市橋が右組みのケンカ四つ。この日絶好調の緒方は受けの強い大型・市橋に対しても奥襟を持って前に引き出す強気の組み手を選択。奥襟と引き手を得た完璧な形で市橋を引きずり回し、開始52秒で早くも2つの「指導」を獲得する。頭を下げられ苦しい姿勢を強いられた市橋は激しく消耗し、苦し紛れの掛け潰れで決着の引き伸ばしを図る。市橋の疲労を見て取った緒方は左内股を連発して攻勢を加速、3分32には市橋に押し出されて場外の「指導」を失ったものの、試合の主導権は完全に緒方。4分16秒、緒方は市橋の奥襟に応じて釣り手で背中深くを持つとハンドル操作を効かせて左小外掛。市橋の巨体を捩じり倒して「一本」を獲得する。好調緒方が皇后盃の「番人」市橋を一方的な試合で破り、準決勝進出を決めた。

■ 準決勝
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朝比奈沙羅が髙山莉加から右払巻込「一本」

朝比奈沙羅(東海大3年)○払巻込(4:47)△髙山莉加(三井住友海上)

右相四つ。髙山は体格で大きく勝る朝比奈に対して先に持っての先制攻撃を志向。組み際に右大内刈や両袖の右大外刈を仕掛けてチャンスを窺う。一方前戦で11分45秒にも及ぶ大消耗戦を戦っている朝比奈はそれでも勝ち急がずにじっくりと両襟で前進、強烈な足技で度々髙山に膝を着かせる。3分55秒に髙山に消極的の「指導」が与えられて迎えた最終盤、朝比奈は釣り手の攻防から髙山が横変形に構え直したタイミングで思い切り良く右払巻込。浴びせるように巻き込み倒して「一本」を獲得する。辛抱強く戦った朝比奈がこの日の台風の目である髙山を下して、初の決勝進出を決めた。

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田知本愛が緒方亜香里から左大内刈「有効」を奪う

田知本愛(ALSOK)○優勢[有効・大内刈]△緒方亜香里(了徳寺学園職)

ともに圧倒的な内容で勝ち上がってきた両者による、注目の一番。
左相四つ。田知本はこの試合でも引き手を袖と襟に持ち替えながら左大外刈に支釣込足と放って攻勢。49秒と1分57秒に消極的の「指導」を引き出し開始2分を待たずにポイント上の優位を確定させる。ガップリ四つに組んで一発を狙いたい緒方だが、田知本が形を変化させながらテンポ良く攻めるためになかなか攻撃の機会を作ることができない。2分35秒、田知本は引き手と奥襟を得ると左大内刈。緒方は体を捻って透かそうとするが田知本が上体を上手くコントロールしながら押し込み、映像確認の結果これは「有効」。リードを許した緒方がもはや防御は捨てたとばかりに奥襟を持って激しく追い上げを図ると田知本も真っ向からこれを迎え撃ち、以降の試合は両者による激しい技の打ち合いとなる。最後まで勝負がどちらに転ぶかわからない緊張感を保持したまま5分間が終了し、左大内刈「有効」で田知本の勝利が決まった。

■ 決勝
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朝比奈沙羅が右払巻込で田知本愛から決定的な「技有」を獲得

朝比奈沙羅(東海大3年)○優勢[有効・払巻込]△田知本愛(ALSOK) )

東海大の先輩後輩による同門対決は田知本は左、朝比奈が右組みのケンカ四つ。田知本が下から、朝比奈が上から釣り手を持って組み手がスタートする。序盤は朝比奈が連続で右内股を放つが、田知本がしっかりと釣り手で距離を取っているためにいずれも潰れて「待て」。それでも攻め続けたことで朝比奈の攻勢が認められ、右払腰を仕掛けた直後の2分24秒に田知本に「指導」が与えられる。これ以降双方が足を飛ばし合う形で試合は膠着し、3分27秒には両者に消極的の咎で「指導」。田知本は「指導2」でスコア上、後がなくなってしまう。4分24秒、田知本が左大内刈を仕掛けながら場外に押し出されたところで審判による合議が行われるが、ここは試合続行。そして再開直後の4分36秒、田知本が前に出ようと前傾姿勢になったところに朝比奈がタイミング良く右払腰。体の伸びた田知本を引き手を離さずに巻き込み切って決定的な「有効」を獲得する。この時点で試合時間は僅かしか残されておらず、そのまま試合が終了復活優勝を狙って異様なまでの好パフォーマンスを見せた田知本を破り、朝比奈がトーナメントの頂点へと辿り着いた。この試合は朝比奈が地力で田知本を上回っていたという印象。朝比奈が強い気持ちと常に前に出る攻撃的な姿勢、そして延長戦の連続にも尽きる気配を見せない驚異的な体力と精神力を発揮して初の皇后盃タイトルを獲得した。


取材・文:林さとる/eJudo編集部

※ eJudoメルマガ版5月19日掲載記事より転載・編集しています。

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