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第32回皇后盃全日本女子柔道選手権全試合詳細②二回戦

(2017年5月13日)

※ eJudoメルマガ版5月13日掲載記事より転載・編集しています。
第32回皇后盃全日本女子柔道選手権全試合詳細②二回戦
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鈴木伊織が山部佳苗を右大内刈で攻める

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山部の圧力に屈した鈴木が畳を割り決着

山部佳苗(ミキハウス)○GS反則[指導3](GS5:04)△鈴木伊織(環太平洋大2年)
右相四つ。鈴木は昨年の優勝者山部に対して両袖に横変形と相手の釣り手を封じる組み手で対抗。この形から右袖釣込腰や右大内刈を仕掛けて山部に攻撃の機会を与えない。対する山部は釣り手を殺されながらもあくまで二本持っての前進を選択。1分19秒に圧を嫌って掛け潰れた鈴木に偽装攻撃による「指導」が与えられる。ここからは鈴木が手数を重ね、山部が技一発で形上の不利をリセットするという形で試合が進行し、4分49秒に両者に取り組まない咎による「指導」が与えられて本戦が終了。「指導1」対「指導2」の山部リードで試合はGS延長戦へともつれ込む。

GSでは後のない鈴木が攻勢に出てGS2分11秒山部に消極的「指導」。あと1つ「指導」を奪えばアップセット完成の鈴木はさらに加速。右袖釣込腰で山部を崩したGS3分46秒には山部への「指導」付与を巡ってジュリーと副審による確認作業が行われる。大番狂わせの予感に会場が大きく沸くが結果は続行。ここが勝負の分かれ目となり、GS5分4秒に押し出されて畳を割った鈴木に3つ目の「指導」が与えられ山部の勝利が決まった。敗れたとはいえこの試合の主役は鈴木。山部をあと一歩まで追い詰めた大健闘に会場全体から大きな拍手が送られた。

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髙山莉加が小椋香澄から釣込腰「技有」

髙山莉加(三井住友海上)○合技[釣込腰・横四方固](1:26)△小椋香澄(旭川大1年)
右相四つ。髙山は引き手で前襟、釣り手で奥襟を持って小椋を圧殺。堪えきれなくなった小椋が左一本背負投で伏せると引き込んで得意の寝勝負を狙う。1分過ぎ、髙山が奥襟と袖を得て万全の形を作り出す。小椋は横変形の形で凌ごうとするが、高山は左釣込腰で無理矢理吊り上げ、腰に乗せた状態から体を捨てて投げ切り「技有」。そのまま横四方固で抑え込んで合技「一本」で試合終了。髙山が力感あふれる豪快な技で小椋を一蹴、良い形で初戦を突破した。

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藤原恵美が立川桃の左大腰を待ち構えて潰す

藤原恵美(大阪府警)○崩上四方固(1:29)△立川桃(新田高2年)
藤原が右、立川が左組みのケンカ四つ。立川が左一本背負投で先制攻撃を仕掛けると藤原は立ったままこれを受け止め、股を掴んで捲り返しての抑え込みを狙う。ここは立川が凌ぎ切って「待て」となるが、力関係に手応えを得た藤原は両袖で間合いを詰める強気の組み手を開始。立川が我慢できずに左大腰を仕掛けると抱き止めて押し潰し、崩上四方固「一本」。藤原が体格差を生かして立川を完封。危なげなく3回戦進出を決めた。

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梅津志悠が小林幸奈から右内股「技有」

梅津志悠(三井住友海上)○GS技有・内股(GS3:21)△小林幸奈(龍谷大2年)
梅津が右、小林が左組みのケンカ四つ。梅津が探りの右大内刈を仕掛けると小林はこれを待ち構えて強烈な大内返。梅津は大きく崩れて腹這いで畳に落ちる。これ以降も小林は大内返を狙い続け度々梅津を大きく崩す惜しい場面を作り出す。これを受けて梅津は戦い方を微調整、組み手で優位を作ってから右内股を狙う堅実な組み立てを選択。際を作らず組み合う時間を増やすことで、地力の差を攻防全体に浸透させることに成功する。2分51秒と4分44秒に小林に組み合わない咎での「指導」が与えられ、梅津が「指導2」をリードして試合はGS延長戦へ突入。小林は要所で技を出しながらチャンスを窺うが、GS3分21秒に梅津が両袖の右内股を仕掛けるとついに力尽きて転がってしまい「技有」。梅津の地力に裏打ちされた戦略と、格上相手にカウンターの一撃を狙い続けた小林の健闘がともに光った好試合だった。

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朝比奈沙羅が右払巻込「一本」で井上あかりを下す

朝比奈沙羅(東海大3年)○払巻込(GS1:30)△井上愛美(JR九州)
大型選手同士による試合は、右相四つ。双方両襟を持って近距離で足を飛ばし合う。お互いに技は出るものの相手をなかなか崩せないまま試合が進行。2分50秒に朝比奈が右内股を仕掛けたところで井上に消極的「指導」が与えられたものの、これ以降ポイントの追加がないまま勝負はGS延長戦へと突入する。GS1分30秒、朝比奈は両袖から右払腰を放つと座り込みながら低い軌道で強引に投げ切って右払巻込「一本」。朝比奈は序盤から積極的に技を仕掛け続け、最後にはきっちりと「一本」獲得。尽きぬ集中力とスタミナ、そしてなかなか効かない自身の技に心を折らずにあくまで仕掛け続けて投げ切ってしまう、精神力の強さが際立った一番だった。

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前田奈恵子が左内股でヌンイラ華蓮を攻める

前田奈恵子(JR東日本)○GS反則[指導3](GS7:40)△ヌンイラ華蓮(了徳寺学園職)
前田が左、ヌンイラが右組みのケンカ四つ。ヌンイラが右内股を連続で出し、1分23秒に前田に消極的の咎で「指導」が与えられる。これ以降両者積極的に技を出すも決定打には欠ける膠着状態が続き、4分5秒に両者に組み合わない咎で「指導」が与えられて本戦が終了。「指導1」対「指導2」のヌンイラリードで決着はGS延長戦に持ち越される。GSでも本戦同様の展開が続くが、時間の経過とともに投げを狙い続ける前田優位の時間帯が増え、GS4分54秒にヌンイラに相手の手を掴んで防御した咎で2つ目の「指導」が与えられる。GS7分40秒、前田が強引な左内股でヌンイラを伏せさせたタイミングでヌンイラに3つ目の「指導」が与えられ、合計12分40秒に及ぶ大消耗戦が決着した。投げによるポイントこそなかったものの、両者積極的に技を出し続ける熱戦だった。

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粂田晴乃がクロスグリップで松田美悠を攻める

粂田晴乃(筑波大1年)○GS指導2(GS2:49)△松田美悠(小杉高3年)
左相四つ。体格で勝る粂田に対して松田は組み際の技による先制攻撃を志向。組み際に片襟の左大外刈で度々懐深くまで侵入するが、粂田は立ったままでこれを全て受け切る。粂田は動き回る松田をクロスグリップで固定して左大外刈に左払巻込と攻め、1分56秒に松田に消極的の咎による「指導」。これ以降も動きながら組み際の技を狙う松田とこれを固定して投げを狙う粂田という構図のまま試合が進行、粂田が「指導1」をリードして勝負はGS延長戦へと持ち越される。GS2分49秒、左袖釣込腰で伏せてしまった松田に2つ目の「指導」が与えられ、ここで粂田の勝利が決まった。松田は動き良く攻め続けたが最後まで粂田を崩すことができず、彼我の力関係を把握し落ち着いて試合を進めた粂田の前に苦杯を喫した。

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山本沙羅が吉村静織の裏投を透かして隅落「一本」

山本沙羅(ミキハウス)○GS隅落(GS0:12)△吉村静織(三井住友海上)
左相四つ。吉村は左払巻込を連発して試合の主導権を確保。長身の山本に対して奥襟を持って左大内刈に左大外刈と強気に攻めて、2分17秒に「指導」を先取する。山本も長い足を伸ばして左大外刈に左内股と技を仕掛けるが、先手攻撃と横変形組み手で凌ぐ吉村を捉え切れないまま本戦が終了。勝負はGS延長戦へと持ち越される。GS開始長直後の12秒、山本の左内股に吉村が裏投で応じると山本は持ち上げられながらも足を外して向き直り反対に体を浴びせる。空中で裏投を透かされる形となった吉村は勢い良く背中から落ちて山本の隅落「一本」。山本が驚異的なバランス感覚を発揮して2回戦突破を果たした。

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田知本愛が日髙美沙希を豪快な左払腰「一本」に仕留める

田知本愛(ALSOK)○払腰(2:07)△日髙美沙希(ミキハウス)
田知本が左、長身の日高が右組みのケンカ四つ。田知本は両襟の形から思い切りの良い左内股を連発、1分32秒には足を飛ばしながら日高を場外に追い出して「指導」を奪う。2分7秒、田知本は日高を再び場外際まで追い詰めると両襟の左払腰に飛び込む。上体の崩しが良く利いた一撃に、懐深く受けが強いはずの日高は勢い良く一回転。怪我の影響が心配された田知本であったが会場の度肝を抜く豪快な「一本」で堂々初戦を突破してみせた。

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泉真生が麦田舞から右内股「技有」

泉真生(山梨学院大3年)○合技[内股・横四方固](1:02)△麦田舞(松山東雲女子大3年)
泉が右、麦田が左組みのケンカ四つ。試合が始まって間もない25秒、泉は引き手を得ると作用足を差し入れながら奥を叩いて右ケンケン内股。反時計回りに回りながら投げ切り「技有」を獲得する。投げ終わりの形からそのまま横四方固で抑え込むが上体の拘束が甘く逃してしまい「解けた」。しかし、相手の腕を取ったまま頭側に回り込み再び横四方固で抑え込む。形は不完全ながら今度はしっかりと相手をコントロールして抑え切り、合技「一本」。泉が圧勝で麦田を下して3回戦進出を決めた。

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後藤美和が左内股で市川香代子を攻める

後藤美和(日光警備保障)○反則[指導3](3:38)△市川香代子(仙台大4年)
後藤が左、市川が右組みのケンカ四つ。市川は体格で勝る後藤に対して上から奥襟を持つ強気の組み手を選択。思い切りの良い右内股を度々放って果敢に攻める。一方の後藤は体格差を背景にジリジリと圧を掛けながら前進、30秒に市川を場外に押し出して1つ目の「指導」を獲得する。これ以降は攻める市川と圧力でそれを塗りつぶす後藤という構図で試合が進行。2分ちょうどに両者に片手の「指導」が与えられ市川は「指導2」で後がなくなる。3分38秒、後藤の圧を受けて場外に出た市川に3つ目の「指導」が宣告されて決着。後藤が市川の思い切った攻めを前進圧力で塗りつぶして2回戦突破を決めた。

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児玉ひかるが佐俣優依から谷落「技有」

児玉ひかる(三井住友海上)○優勢[技有・谷落]△佐俣優依(帝京大4年)
左相四つ。佐俣は手先を絡ませて相手を止めては横変形に構えて粘戦志向。児玉はこれを突破して釣り手を奥襟に入れ、22秒には鋭い左内股でまず先制攻撃。以降は児玉が支釣込足を突破口に奥襟を得ては左大内刈と左大外刈で攻め、一方その圧と技をまともに受けることを嫌った佐俣が先んじて巻込技で手数を稼ぐという形が続く。佐俣は単に掛け潰れるだけではなく敢えて奥襟を叩く場面も作って巧みに攻撃姿勢を演出、審判団に「指導」を与える隙を与えない。いかにも難剣遣いの佐俣らしい図太い戦いぶりであるが、1分57秒に放った左払腰を児玉が落ち着いて待ちかまえ、佐俣の戻りに合わせて谷落「技有」奪取。試合展開を作ることに長けた佐俣だが、体格で遥かに上の相手を追い掛けねばならないこの展開は非常に厳しい。横変形からの大外刈を連発して3分56秒に「指導」ひとつを得るものの、大型相手にスクランブルを掛ける手札の持ち合わせがなく一貫して苦しい柔道。児玉が支釣込足で蹴り潰すと結局普段の戦い方にスケールダウン、残り8秒で偽装攻撃の「指導」まで失って終戦。佐俣の威嚇と手数の積み上げに動じない高卒新人・児玉の、地力の高さが光る一番であった。

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市橋寿々華が濵田尚里から膝車「一本」

市橋寿々華(大阪府警)○膝車(4:39)△濵田尚里(自衛隊体育学校)
腰重く受けが強い最重量級の「カベ」市橋と、関節技という刃物を懐に呑んで爆発力では世界屈指の78kg級の強者・濵田という実力者同士がマッチアップ。非常に心躍る顔合わせだ。
両者右組みの相四つ。濵田が支釣込足で市橋を度々崩し、先んじて奥襟を叩く場面も作って展開を引っ張り続ける。1分3秒市橋に「極端な防御姿勢」の咎で「指導」。直後奮起した市橋が濵田の強気に応える形でガップリ四つの体勢が出来上がるが、市橋はここで仕掛けた右小外刈に追い足がついていかず自らが潰れてしまい、濵田の優位は継続。濵田が奥襟を叩いておいての一本背負投から市橋の腕を抱えた場面では、得意の関節技「一本」の予感に場内に歓声と悲鳴が交錯する。濵田が支釣込足で市橋に膝を着かせた2分40秒には市橋に消極的との咎で2つ目の「指導」。もはや濵田の優位は決定的、終盤も濵田は小内刈の形で市橋を蹴り崩し続け、潰しては絞技を狙って畳を快走。
しかし終盤に大どんでん返し、残り21秒に濵田が奥襟を叩くと市橋はタイミングを合わせて膝車一発。市橋の重さをまともに受けた濵田は剛体となって一回転「一本」。大学卒業後に階級屈指の強者に成長した濵田がそのキャリアを通じてどうしても払拭できない詰めの甘さ、そして市橋の「嵌れば逃さぬ」機を見る目と相手の重心を捕まえる巧さ。両者の個性が存分に発揮された興味深い一番だった。

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新垣さつきが担ぎ技を連発、受けに回った橋高朱里を圧倒

新垣さつき(国士舘大3年)○GS反則[指導3](GS0:50)△橋高朱里(金沢学院大4年)
新垣が右、橋高が左組みのケンカ四つ。橋高が低く構えて片手の左体落、これを新垣が右一本背負投に切り返すという攻防で試合がスタート。新垣が右小内刈を橋頭保に左右の一本背負投に内巻込で攻め、橋高がこれを潰しては寝技を挑むという展開が続く。2分過ぎから新垣が左内巻込と左右の背負投で一方的に攻め始め、どうやら流れを掴んだ模様。3分36秒橋高に「指導1」。橋高は直後両襟の内股を繰り出して奮起した様子を見せるが、新垣が放つ担ぎ技の弾幕の前にあっという間に沈黙。新垣が座り込みの左一本背負投を見せた直後の4分38秒は橋高に2つ目の「指導」が与えられ、そのまま試合はGS延長戦へ。新垣はこれまでの戦い方で十分と自信満々、片手の右背負投に肘抜きの右背負投、左への肩車と密度高く担ぎ技を撃ち続ける。新垣の左内巻込を橋高が振り返したところで主審が試合を止め、橋高に3つ目の「指導」を宣して試合決着。これと信じた戦術をしつこく貫いた新垣の完勝であった。橋高はかつてのように自身の体の強さを信じ切れず攻撃が一貫性に欠け、得意の寝技も取り切る信念に欠けた。さりとて新垣の担ぎ技の放列を前に手立てを変える戦術的な弾力性も乏しく、一種自滅の感すらあり。

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緒方亜香里が畑村亜希を素晴らしい内股「一本」に仕留める

緒方亜香里(了徳寺学園職)○内股(0:33)△畑村亜希(東亜大職)
緒方が左、畑村が右組みのケンカ四つ。緒方は奥襟を叩いたガップリの体勢から左内股で先制攻撃。畑村が奥襟を叩いて応じると望むところとばかりに首裏まで釣り手の拘束を深め、前に引きずり出しながらチャンスを伺う。そして畑村の重心移動を見極め、僅かにその足が後に残って上体が前に崩れるタイミングを見計らうと思い切り左内股。豪快な一撃見事に決まって「一本」。緒方はまさしく文句なし、素晴らしい出来で29年度皇后盃を滑り出す。

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稲森奈見が井上あかりから大内刈「技有」

稲森奈見(三井住友海上)○大内刈(2:52)△井上あかり(環太平洋大3年)
稲森、井上ともに右組みの相四つ。井上は引き手で横襟、釣り手で奥襟を掴む強気の組み手で接近を試みるが稲森は嫌っていったんリセット。井上は以後も組み手の手順を厳しく守り、先んじて引き手で袖を得ては横変形にずれての右小外刈に右払腰で先制攻撃。一方の稲森は釣り手の形を作れず前半戦は良いところなし。しかし2分を過ぎると稲森が片襟の右大外刈で試合を動かしに掛かり、さらに井上の右内股を誘っての裏投に打って出る。これは決め切れなかったが、どうやらこのあたりから主導権を奪還。2分52秒には片襟の右大内刈を決め「一本」。稲森、エンジンが温まるまでに時間が掛かったか攻め手の遅さは気になるものの、まずはしっかり結果を残して皇后盃をスタート。


取材・文:林さとる/古田英毅

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