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平成29年全日本選抜柔道体重別選手権・最終日女子3階級(48kg級、52kg級、57kg級)マッチレポート

(2017年4月24日)

※ eJudoメルマガ版4月24日掲載記事より転載・編集しています。
平成29年全日本選抜柔道体重別選手権・最終日女子3階級(48kg級、52kg級、57kg級)マッチレポート
■ 48㎏級・近藤亜美が2年連続3度目の優勝、渡名喜風南との激戦「一本」で制す
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準決勝、近藤亜美が森﨑由理江から払腰で1つ目の「技有」

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1回戦、渡名喜風南が山﨑珠美から大内刈「一本」

【決勝まで】

リオデジャネイロ五輪銅メダリスト、第一シードの近藤亜美(三井住友海上)が順当に決勝進出。初戦は梅北眞衣(山梨学院大1年)を相手に序盤から巴投、払腰、大外刈と果敢に攻めて1分11秒にまず「指導」奪取。完全に優位を確定させた終盤には梅北が掛けた大外刈を潰し、そのまま立たせず横四方固に抑え込んで一本勝ち。準決勝の森﨑由理江(宮崎大教員)戦も序盤から積極的、1分20秒に払腰で「技有」、さらに2分55秒にも大外刈で「技有」を奪うという快勝で決勝への勝ち上がりを決めた。

反対側のブロックからは、講道館杯優勝の渡名喜風南(帝京大4年)がしっかり決勝に勝ち上がった。渡名喜は、初戦でマッチアップした山﨑珠美(自衛隊体育学校)に対し開始19秒の内股で「技有」を奪うと、43秒には大内刈で「一本」を追加するという一方的な内容で勝利。準決勝では昨年の全日本学生体重別準決勝で払腰「技有」で敗れている岡本理帆(ひらまつ病院)ろ対戦、素早い動きで翻弄しつつ背負投などで攻め込み、26秒、2分2秒、3分24秒と立て続けに3つの「指導」を奪って勝利。近藤に負けず劣らずの素晴らしい内容で決勝へ勝ち上がった。

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決勝、渡名喜は小外刈と出足払で度々近藤を大きく崩す

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決勝、渡名喜は小外刈と出足払で度々近藤を大きく崩す

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近藤は右払腰崩れの袖釣込腰を打って展開を譲らず

【決勝】

近藤亜美(三井住友海上)〇GS大外刈(GS3:48)△渡名喜風南(帝京第4年)

下馬評通りに第1シードの近藤と第2シードの渡名喜が決勝進出、21歳のライバル対決が実現した。両者は昨年12月のグランドスラム東京・準々決勝でも対戦、そのときは激しい攻防の末にGS延長戦で渡名喜が近藤を小外刈「技有」で破っている。東京オリンピックを意識する両者にとって、絶対に負けられないこの大事な一戦は、両者の思いがぶつかり合う極めて激しい攻防となった。

近藤が右、渡名喜が左組みのケンカ四つ。
近藤が先んじて右払腰を仕掛ければ、渡名喜は出足払で牽制しつつ一気に間合いを詰めて左背負投。動きの良い渡名喜に対し、近藤は主導権を渡してはならじと右払腰、巴投、さらに右内股と先手の攻撃を仕掛けると、渡名喜も左内股、さらに得意の出足払を飛ばして度々近藤の体勢を崩す。中盤過ぎ、近藤が渡名喜の大外刈を潰して下から寝技で攻め、さらに良いタイミングの右払腰を見せてややペースを掴みかけるも、終盤には、渡名喜が絶妙な小外刈で近藤をうつ伏せにして主導権を奪回、ほぼ互角のまま4分が終了。試合はGS延長戦に突入することとなった。

GS延長戦に入ると両者の攻防はさらに激しさを増す。近藤が右足車を出せば、渡名喜もすぐさま左内股で応戦。近藤は、この内股で畳に顔を打ち付けながらもなんとかこらえてポイントを阻止。さらに右内股を左小外刈で返されるも、これも素早く反応し、うつ伏せに倒れてポイントを与えず。

試合時間6分を過ぎても果敢に攻め合う両者に、場内の声援もヒートアップ。渡名喜の出足払、小外刈に、近藤も小気味良い動きから小外刈、左袖釣込腰と掛け続ける。7分を過ぎ、やや疲れの見え始めた渡名喜に対し、近藤が組み際、片襟をとりながら大きく踏み込んで大外刈に入ると、渡名喜は成す術なく背中から落ちて「一本」。近藤が執念の一撃で、合計試合時間7分48秒の激闘に終止符を打った。

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近藤が組み際に大外刈に飛び込み劇的決着「一本」

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激戦を制した近藤は会心の表情

ひとつの「指導」も失うことなく、7分48秒攻め続けた両者。東京オリンピックという大きな目標への熱い思いや意地がぶつかり合った、同学年の有望選手2人による素晴らしい試合だった。技数、その威力とも一貫して優位にあったのはむしろ渡名喜。GS延長戦では近藤が大きく崩れてあわやポイントという場面を2度作り出し、かつその技の密度は極めて高く常に前のめり、近藤が少しでも撃ち返すことを怠ったらそのまま加速度的に展開すべてを持っていかれてしまうこと間違いなしであった。近藤が二本持たないと技が出しにくい跳ね技タイプであることに比べ、渡名喜は技の入り口が多彩な担ぎ技がベースで橋頭堡である出足払も極めて危険。消耗が進めば進むほど今後の展開は渡名喜に傾くと観測されたが、その中で持ち前の大技一発で試合を決めた近藤の勝負強さは賞賛に値する。まさしく紙一重の勝負であったが、ここはこれまでくぐった修羅場の数で近藤に軍配が上がったと見るべきだろう。

浅見八瑠奈の引退で一気に層が薄くなったと思われた48kg級だが、渡名喜の台頭で展望は大きく開けた。同学年のライバルが東京五輪まで繰り広げ続けるであろう激戦と、国際級の強者2人のつばぜり合いによる日本の競技力アップに大いに期待したい。

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48kg級入賞者

【入賞者】
優勝:近藤亜美(三井住友海上)
準優勝:渡名喜風南(帝京大4年)

【ブダペスト世界選手権代表】
近藤亜美(三井住友海上)
(※4月16日に第2代表として渡名喜風南(帝京大4年)が追加された)

近藤亜美選手のコメント
「物凄くきつかったけど、負けるわけにはいかないので頑張りました。渡名喜選手とは1勝1敗なので、勝ち越して代表になりたいと思っていました。3年前に世界選手権で優勝し、世界女王になったことで苦労もありましたが、いまは挑戦者なので、もう一回女王になれるよう頑張りたい。リオでは銅メダルで悔しい思いをしたので、東京オリンピックで金メダルが獲れるよう、これから頑張ります」

【1回戦】
近藤亜美(三井住友海上)〇横四方固(3:00)△梅北眞衣(山梨学院大1年)
森﨑由理江(宮崎大教)〇GS反則[指導3](GS1:20)△小倉葵(環太平洋大2年)
渡名喜風南(帝京大4年)〇大内刈(0:43)△山﨑珠美(自衛隊体育学校)
岡本理帆(ひらまつ病院)〇優勢[技有・小外掛]△遠藤宏美(ALSOK)

【準決勝】
近藤亜美(三井住友海上)〇優勢[技有・大外刈]△森﨑由理江(宮崎大教)
渡名喜風南(帝京大4年)〇反則[指導3](3:36)△岡本理帆(ひらまつ病院)

【決勝】
近藤亜美〇GS大外刈(GS3:48)△渡名喜風南

■ 52㎏級・志々目愛が優勝、ライバル二人を直接対決で下す
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52kg級1回戦、角田夏実が前田千島から巴投「技有」

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阿部詩が1回戦で柳光真麻から大内刈「一本」、開始僅か32秒の早業だった。

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準決勝、志々目愛が阿部詩から内股「技有」

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阿部は猛反撃を見せるが僅かに及ばず

【決勝まで】

優勝候補は講道館杯とグランドスラム東京で優勝、さらにグランドスラム・パリでも2位に入って今大会第一シードに配された角田夏実(了德寺学園職)、そしてグランドスラム東京では角田に敗れて2位も、グランプリ・デュッセルドルフで優勝し代表候補に急浮上した16歳の超新星・阿部詩(夙川学院高2年)の2人。

角田は初戦で前田千島(三井住友海上)と対戦。1分18秒に得意の巴投で「技有」を奪って先制し、以後も前田に「指導」が与えられて展開優位。2分2秒に両者に「指導」が与えられた後は、前田が小外刈や払腰で反撃を見せて角田はやや守勢となるも、しっかり捌ききってタイムアップ。

角田は続く準決勝で、前戦で橋本優貴(コマツ)をGS「指導2」で下している全日本ジュニア王者立川莉奈(福岡大3年)とマッチアップ。講道館杯2位、グランドスラム東京でも3位に入って躍進中の立川と角田の一戦は、立川が大腰や内股で攻め、角田が巴投から寝技へ持ち込むという構図で進むがともになかなか決定打が出ない。1分32秒守勢の角田に「指導」、2分32秒には、逆に立川に消極的「指導」が与えられ、技のポイントの気配ないまま試合はGS延長戦に突入することとなる。延長開始と同時に立川猛然と内股に体落と連発するが角田は落ち着いてこれを捌くと、すぐさま巴投。そのまま流れるように腕挫十字固に極めGS53秒「一本」。初戦は巴投、準決勝は腕挫十字固と得意技を立て続けに決めた角田がしっかり決勝進出を果たすこととなった。

もう一人の注目選手・阿部は初戦で柳光真麻(金沢学院大3年)とマッチアップ、開始32秒、鋭く踏み込んでの右大内刈で一蹴する好スタート。

阿部の準決勝の相手は、実力者の志々目愛(了德寺学園職)。2月のグランプリ・デュッセルドルフでは阿部が内股で一本勝ちしている来歴のあるカードだ。志々目は五輪直前まで中村美里(三井住友海上)に続く二番手の座につけていたが、足踏みをしている間に年上の角田が大化け。さらに新鋭の阿部の成長によって一時は確定的と思われていたポスト中村のポジションは一気に危うくなっており、この試合は柔道キャリア自体を左右する大一番だ。

復権を期してこの試合に臨んだ志々目は、阿部に「指導」2つを先行され不利な状況に陥ったが、2分50秒起死回生の左内股で「技有」を奪って逆転、その後の阿部の猛攻を凌いで優勢勝ち。キャリアの土壇場で持ち味である技一発の切れ味に救われた格好で、みごと決勝進出を果たすこととなった。

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決勝、角田が巴投で先制攻撃

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志々目が小外刈で角田を大きく崩す

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志々目の大外刈が決まって「技有」

【決勝】

志々目愛(了德寺学園職)〇GS技有・大外刈(4:06)△角田夏実(了德寺学園職)

角田、志々目ともに左組みの相四つ。
厳しい組み手争いを繰り返しなかなか組み合うことのない両者に30秒「指導」。足を飛ばしあってのつば競り合いを経て角田が巴投から関節技を狙うが、心得た志々目は決して腕を与えず「待て」。

2分12秒には組み合わない両者に2つ目の「指導」が与えられ、早くも両選手とも後がなくなってしまう。さすがに試合はここから加速、主導権の確保を狙った角田が釣り手で左奥襟を叩くと、志々目は左大内刈を先に掛けて対抗、あくまで相手にペースを握らせず。志々目が良いタイミングで小外刈を放ち場内が沸く場面があったが、角田がうつ伏せに逃れてポイントなし。

終盤に入り、志々目は再度の小外刈で角田を崩すと、さらに出足払、背負投、小内刈で攻め込む。どうやら志々目が主導権を握ったところで本戦4分が終了。試合はGS延長戦に突入する。

GS延長戦が始まるや否や、本戦終盤の勢いをそのままに志々目が組み際の大外刈。角田は身体を捻ってうつ伏せに倒れ込むが、主審が映像判定を待って出した判定は「技有」。GS6秒、志々目が執念の一発で久々の優勝を手にした。

日の出の勢いにある阿部と今選考シーズンでの実績ナンバー1の角田が世界選手権代表候補レースの第1集団を形成する中、最終選考会では存在感の薄れかけていた志々目がこの2人をいずれも直接対決で破って優勝。選ぶ側にとってはなかなか難しい結果であったが、大会直後に開かれた強化委員会の選考を経て角田が初の世界選手権代表権を射止め、志々目は涙を飲むこととなった。(※註・その後4月16日に第2代表として志々目の選出が決定した)

注目の阿部は志々目に敗れはしたものの、2月末にグランプリ・デュッセルドルフ(優勝)、3月20日と21日には高校選手権(個人・団体で二冠達成)と連戦のさ中にありながら、初出場の国内最高峰大会でここまで力を発揮するのだから、やはりその才能は非凡。志々目との試合でも、内股で「技有」を取られたシーン以外は、終始ペースを握っており、試合時間があと15秒あったら結果は違っていたかもしれない。今年の世界選手権代表は逃したが、間違いなく2020年の代表レースの中核を担う選手となるだろう。

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52kg級入賞者

【入賞者】
優勝:志々目愛(了德寺学園職)
準優勝:角田夏実(了德寺学園職)

【ブダペスト世界選手権代表】
角田夏実(了德寺学園職)
(※4月16日に第2代表として志々目愛(了德寺学園職)が追加された)

志々目愛選手のコメント
「気持ちで負けないと思って戦いました。厳しい戦いでしたが、優勝できてよかったです。準決勝(阿部戦)は『指導』を2つ取られていたんで、あれ(内股)で決めようと思っていました。決勝の最後の大外刈は、狙っていたわけではないですけど、自然と出ました。最近負けてばかりだったので、世界選手権代表になれるかわかりませんが、代表になれたらしっかりと戦いたいと思います」

【1回戦】
角田夏実(了徳寺学園職)〇優勢[技有・巴投]△前田千島(三井住友海上)
立川莉奈(福岡大3年)〇GS指導2(GS3:27)△橋本優貴(コマツ)
阿部詩(夙川学院高2年)〇大内刈(0:32)△柳光真麻(金沢学院大3年)
志々目愛(了徳寺学園職)〇GS反則[指導3](GS2:44)△内尾真子(筑波大4年)

【準決勝】
角田夏実(了徳寺学園職)〇GS腕挫十字固(GS0:53)△立川莉奈(福岡大3年)
志々目愛(了徳寺学園職)〇優勢[技有・内股]△阿部詩(夙川学院高2年)

【決勝】
志々目愛〇GS技有・大外刈(4:06)△角田夏実

■ 57㎏級・ベテラン宇髙菜絵が4度目の優勝、決勝はホープ舟久保遥香から大外刈「一本」
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1回戦、舟久保遥香が石川慈から小内刈「一本」

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準決勝、舟久保が芳田司を激しく攻める

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芳田は「指導2」を失って陥落

【決勝まで】

昨年バクー、チュメン、東京とグランドスラム大会で3連勝を飾っている芳田司(コマツ)が優勝候補の筆頭。

第1シードに配された芳田は、初戦で月野珠里(山梨学院大4年)から内股で「技有」を奪って優勢勝ちを果たすも、終盤には内股、小外刈などで攻め込まれ「指導」を失うなど、やや不安を感じさせる立ち上がり。

続く準決勝では18歳の新鋭・舟久保遥香(三井住友海上)と対戦。舟久保は、前戦で組まれた石川慈(コマツ)との新旧寝技スペシャリスト対決を意表を突く小内刈「一本」(GS1:12)で勝ち上がってきており好調の様子。

舟久保はジュニアでは別格の強さを誇るが、芳田はグランドスラムクラスの大会で結果を出し続け、ワールドランキングも現在4位。国際大会の強豪として世界に認知されている芳田に対して高校を卒業したばかりの舟久保が果たしてどこまでできるか――、それがこの試合の見方として、衆目の一致するところだった。ところが舟久保は、前半こそ芳田に出足払、左背負投、左大内刈、左内股と攻められて「指導」を先取されたものの、後半は逆に右体落、右大内刈、右小内刈、右内股と攻め込んで「指導」を取り返し、4分終了時には芳田の息が上がった状態。

GS延長戦に入っても舟久保の勢いは止まらず、GS1分27秒、ついに芳田に2つ目の「指導」が与えられて勝負あり。大殊勲の舟久保が初出場にして見事決勝進出を果たすこととなった。

反対側のブロックでは、今大会で選手宣誓を行った大会最年長選手・32歳の宇髙菜絵(コマツ)が好調。初戦では山本杏(パーク24)を相手に相変わらずの組み手の強さと立ち技の切れ味を見せ、本戦で2つの「指導」、GS延長戦で試合を決める「指導3」を得て(GS0:51)勝利決定。延長戦での山本は宇髙の強い組み手と威力のある技に手も足も出ないという印象だった。

続く玉置桃(三井住友海上)と小野彰子(ベネシード)の一戦ではGS7分10秒両者に「反則負け」が宣告されて試合が終了するという珍しい事態が発生。場内は騒然、「そこそこ攻めていたのでは」「他にも低調の試合はあった」など様々な意見が飛び交った。見方は色々あるだろうが、制度上はありうること。
この試合への適用の是非はともかく、「短い時間で激しく攻め合うこと」を厳しく要求するIJF新ルール下にあって「まず相手の長所を殺して手堅く優位を取りに掛かる」「攻められればひとまずリスクなく攻め返して相手の優位を消す」といった「負けを回避する」戦術性にとかく依存し過ぎる傾向のある日本女子柔道にはこの上ない警鐘になったのではないだろうか。両者反則負けが「あり得る」という前提条件は選手たちの攻撃性の加速に大きく寄与すると考える。

この両者反則負けのおかげで、宇髙は準決勝を戦わずに決勝進出決定。体力を温存して大一番に臨むこととなった。

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決勝、宇髙は得意の大外刈で激しく攻める

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宇髙が大外刈「一本」で舟久保を畳に沈める

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久々の優勝に宇髙は感無量の様子

【決勝】

宇髙菜絵(コマツ)〇大外刈(1:20)△舟久保遥香(三井住友海上)

宇髙、舟久保ともに右組みの相四つ。
開始早々、宇髙が奥襟をとって組み勝ち、舟久保を右に回しながら大外刈を連発。舟久保なんとか凌ぐが、宇髙に奥襟を取らせまいと袖口を絞ると自身の技も止まってしまい、51秒舟久保に「指導」。再開後、宇髙が奥を叩いて組み勝って舟久保の頭が下がると、ここぞとばかりに伝家の宝刀・大外刈を繰り出し「一本」。試合時間は僅か1分20秒、宇髙が素晴らしい一撃で3年ぶり4度目の選抜体重別制覇を決めた。

優勝がなかなかなかった宇髙にとっては2014年チェリャビンスク世界選手権で金メダルを獲得して以来、実に2年8カ月ぶりのタイトル獲得。山本との1回戦、舟久保との決勝ともに、全盛期の強さを感じさせる素晴らしい内容だった。

宇髙は11月の講道館杯で2位、12月のグランドスラム東京で2位、そして今年のグランプリ・デュッセルドルフでは3位と優勝こそ出来なかったが着実に成果を残し、最終選考会である今大会についに優勝。選考に絡んでもおかしくないところであったが、しかし世界選手権代表には一昨年からグランドスラムで5勝を挙げている若い芳田が選ばれた(※その後4月16日に、宇髙の団体戦メンバー選抜が発表された)。とはいえ、32歳になってなお体力と度胸が人一倍必要な自身の柔道スタイルをあくまで貫き、そして勝利して見せる宇髙の姿は素晴らしかった。宇高の健在と新鋭・舟久保の鮮烈なデビューは今大会を規定するトピックとして強く記憶されるべきだろう。

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57kg級入賞者

【入賞者】
優勝:宇髙菜絵(コマツ)
準優勝:舟久保遥香(三井住友海上)

【ブダペスト世界選手権代表】
芳田司(コマツ)

宇髙菜絵選手のコメント
「ここのところ安定して決勝には進むんですけど、勝ちきれない試合が続いていましたが、今回は1回戦から集中して自分の柔道ができたと思います。まだまだ若い選手に負けられないという気持ちで精一杯戦ったのですが、同時に、自分もチャレンジャーのつもりでぶつかっていきました。世界選手権で優勝して以来1回も優勝していなかったので、この選抜ですべてをぶつけるつもりで練習してきました。世界選手権の代表になるために、あきらめずに1日1日頑張ってきたので、絶対にまた世界の頂点に立ちたいと思います」

【1回戦】

芳田司(コマツ)〇優勢[技有・内股]△月野珠里(山梨学院大4年)
舟久保遥香(三井住友海上)〇GS小内刈(GS1:12)△石川慈(コマツ)
宇髙菜絵(コマツ)〇GS反則[指導3](GS0:51)△山本杏(パーク24)
玉置桃(三井住友海上)△GS反則[指導3](GS3:10)△小野彰子(ベネシード)
※両者反則負け

【準決勝】
舟久保遥香(三井住友海上)〇GS指導2(GS1:27)△芳田司(コマツ)
宇髙菜絵(コマツ)〇不戦△対戦相手なし
※前戦の両者反則負けによる

【決勝】
宇髙菜絵〇大外刈(1:20)△舟久保遥香


取材・文/eJudo編集部

※ eJudoメルマガ版4月24日掲載記事より転載・編集しています。

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