PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

大蔵中学校が初優勝飾る・第30回近代柔道杯全国中学生柔道大会オープンの部

(2017年3月26日)

※ eJudoメルマガ版3月26日掲載記事より転載・編集しています。
大蔵中学校が初優勝飾る
第30回近代柔道杯全国中学生柔道大会オープンの部
eJudo Photo
初優勝を果たした大蔵中学校

第30回近代柔道杯全国中学生柔道大会は25日と26日の両日、埼玉県立武道館で行われ、オープンの部(男子)は大蔵中学校(福岡)が初優勝を果たした。

12月のサニックス旗福岡国際中学生柔道大会を制している大蔵中は今大会も優勝候補の一番手。初日の予選リーグを順調に勝ち上がると、最終日は決勝トーナメント1回戦で報徳学園中学校(兵庫)を2-1、準々決勝で小野中学校(兵庫)を5-0、準決勝では決勝トーナメント2回戦で大成中学校A(愛知)を2-2の代表戦の末に倒している大刀洗中(福岡)を2-0で倒して決勝まで勝ち進んだ。迎えた決勝では連覇を狙う国士舘中学校(東京)と大熱戦、1-1で迎えた代表戦の末に小谷優太が岡部陽人から上四方固「一本」で勝利して優勝を決めた。

大蔵中学校は12月のサニックス旗に続いて巨大大会を連勝、この時点で全国中学校柔道大会の優勝最有力校に躍り出た。3位には前述の大刀洗中と曽根中学校A(福岡)が入賞し、ベスト4のうち3席を福岡勢が占めた。最優秀選手賞である「一本勝ち大賞」は徳持英隼(福岡・曽根中A)が獲得した。

決勝の戦評と大蔵中・上岡憲司監督のコメント、入賞者および決勝トーナメント1回戦のスコアと準々決勝以降全試合の対戦詳細は下記。

※エントリー61チーム。先鋒と次鋒は体重66kg以下、中堅は81kg以下、副将以降は無差別。国際柔道試合審判規定(2017~)および「少年大会特別規定」採用、勝敗の基準は「技有」もしくは「指導2」差以上。

eJudo Photo
先鋒戦、大蔵中・伊藤隆祐が国士舘中・中村太樹から小内刈「技有」

【決勝戦評】

大蔵中学校A(福岡) ①代-1 国士舘中学校(東京)
(先)伊藤隆祐〇優勢[技有]△中村太樹
(次)鴛海和輝△優勢[技有]〇小田桐美生
(中)津嘉山稔×引分×須山健介
(副)小谷優太×引分×岡部陽人
(大)甲月碧×引分×岡田陸
(代)小谷優太〇上四方固(2:40)△岡部陽人

先鋒戦は右相四つ。序盤は大蔵中・伊藤隆祐が鋭い出足払に長身を生かした内股で攻めるが、中盤以降は国士舘中・中村太樹が右袖釣込腰に左一本背負投、小内刈と連続攻撃で完全に畳を席捲。中村が準々決勝の代表戦で左小内巻込「技有」でチームを救ったばかりの勝負強い選手であることもあり、いつポイントが入ってもおかしくない情勢と思われた。しかし残り40秒、陥落寸前に見えた伊藤が組み際に右小内刈を鋭く入れると中村耐える間なく転がり「技有」、試合の状況は一気に変わる。ビハインドとなった中村それでも得点に手が掛かっている大枠の状況を踏まえて冷静に取り返しに掛かるが、伊藤は片手の右袖釣込腰を交えて必死の防戦。この試合は結局「技有」優勢で大蔵中の手に落ちた。

eJudo Photo
次鋒戦、国士舘中は小田桐美生の内股「技有」でタイスコアに追いつく

次鋒戦は大蔵中・鴛海和輝が右、国士舘中・小田桐美生が左組みのケンカ四つ。前戦のビハインドを受けた小田桐は積極的に攻め、まず鴛海に「指導1」。続いて鴛海の大内刈を小田桐が激しく返すポイント級の攻防を経て試合は加速、中盤には鴛海の右背負投を小田桐が左内股に切り返して決定的な「技有」を獲得する。以後取り返しに出た鴛海は背を抱いて腰技を連発、小田桐がこれに腰を入れ返して応じ続けたことで様相はノーガードの殴り合いとなる。鴛海が「一本」級の大腰で投げ飛ばす(場外のためノーポイント)場面が現れて以降は、得点の予感が漂うのは明らかに鴛海の側。しかし小田桐も攻め返すことで必死に畳にしがみつき、鴛海の追撃は終盤小田桐が失った場外の「指導2」までに留まる。結局この試合は小田桐の勝利に終着。スコアはこの時点で内容差なしの1-1、まったくのタイとなった。

中堅戦は右相四つ。大蔵中・津嘉山稔と国士舘中・須山健介の攻防意図がかち合い、ともに技は繰り出すものの間合いに入れないままで崩し切れず。この試合はともに「指導1」ずつを失っての引き分けに終わる。

eJudo Photo
副将戦は小谷優太が出足払「技有」で先制

eJudo Photo
岡部陽人が内股巻込「技有」を奪回

eJudo Photo
大将戦、岡田陸が大技を連発するが甲月碧はすべて耐え切る

副将戦は右相四つ、開始早々に大蔵中・小谷優太が左足で踏み込んでの支釣込足から左出足払という素晴らしい足技を閃かせ、鮮やか「技有」獲得。もはや行くしかなくなった岡部陽人は思い切りの良い右大外刈を度々見せ、この試合は次鋒戦に続いていつどちらに次のポイントが生まれてもおかしくない、激しい撃ち合いとなる。そして中盤を過ぎたところで岡部が組み際の右内股巻込を決めて「技有」、スコアはタイ。以後も互いがリスクを厭わず投げを撃ち合い、観衆の熱狂の中この試合は結局引き分けに終わった。

いつどちらに決定的なポイントが生まれてもおかしくなかったこの副将戦を経て、続く大将戦も激しい試合。国士舘中・岡田陸がケンカ四つの甲月碧を右大内刈に右内股で攻めに攻めまくる。対する甲月、技自体は巻き込み潰れが多く自ら取る力には明らかに掛けるが、岡田が繰り出す技を頭を上げたままことごとく耐え切り、かつ重い腰を利しての裏投一発を狙い続けて試合は緊迫。リスクを冒して大技を撃ち続ける岡田だが、攻めても攻めても投げることが出来ない状況にやや手が詰まりはじめ、後半はむしろいつ甲月の後の先の一発が決まってもおかしくない、危うい空気感が醸成される。最終盤、甲月に「指導1」が宣告されて岡田再び息を吹き返すが、ここで甲月が相手の踏み込みに合わせて鋭い左出足払を見せる。ここまで自軍が足技で2つのポイントを失っているという背景もあってか岡田はこれで再減速の感あり。この試合はそのまま引き分けに終わった。

結果、本戦5試合は1対1、ともに「技有」優勢による得点1つずつというまったくのタイスコアで終了。決着は代表者1名による決定戦に委ねられることとなった。

eJudo Photo
代表戦、小谷優太がまず鋭い出足払で先制攻撃

eJudo Photo
大技を連発する岡部、大外刈でたびたびあわやポイントという場面を作り出す

引き分けの3試合の中から抽選で決定した再戦カードは副将戦。5試合中もっとも白熱、どちらが勝ってもおかしくなかった小谷優太と岡部陽人の戦いとなった。

右相四つ。小谷は前戦で決めた左出足払で岡部を大きく崩すが、岡部は先に投げるに如くは無しとばかりに右大外刈に右大内刈と大技を連発。この中で岡部が放った大内刈を小谷が小外刈を絡めて返し掛ける場面があったが、岡部はこの後もまったく引かずに右大外刈に大外落とあくまで投げて勝負を決めんと大技を連発。勢いに乗ったまま放った右内股はもはや決まったかに思われたが。最後の押し込みに出たところを小谷が踏みとどまって左内股の形で逆襲、双方が畳に崩れ伏せる。岡部の度胸と小谷の根性に場内は大いに沸く。

続く展開、あまりに大技を連発して、かつすべてを耐え切られてやや心が折れたかここで岡部が組み立てを変えて低い右背負投に打って出る。小谷はこれを避けると、防ぐのみならずすかさず追い込んで前進。腕を確保して引き寄せ、脇を差して頭を制してと初動の早さで作り出した優位体勢を決して手放さずに寝勝負の手順を進め、ついに横四方固に捕まえる。最後は上四方固で抑え切り「一本」、この瞬間大蔵中学校の初優勝が決まった。

eJudo Photo
小谷が岡部の掛け潰れを見逃さず、粘り強く制し切って抑え込みに辿り着く

eJudo Photo
優勝決定で沸き立つ大蔵中ベンチ

大技があり、相手の技を真向受け止める地力があり、チーム通じて足技の練度も高い。大会全体を通じて決して引かずに攻め、投げ合いに応じ続けた積極姿勢が最大の勝因であると見るが、なによりも、サイズに頼らずしっかり投げる技術を磨く日ごろの錬磨がにおい立つ、素晴らしい優勝劇であった。

大蔵中の初戴冠はもちろんのこと、福岡勢3校のベスト4入り、九州勢4校のベスト8入りも特筆すべき結果。先週の全国高等学校柔道選手権を思い起こさせずにはいられない、2週連続の九州勢の躍進であった。全国的に有力選手が中央の強豪高を目指さず「散る」傾向が現れつつある中、今後の地方躍進の機運を感じさせる面白い結果。節目となり得るシーズンであったのではないだろうか。まずは高校カテゴリの金鷲旗大会、そして地元から2校が出場可能な福岡開催の全国中学校大会と続く、今夏の九州勢の戦いぶりに注目したい。

大蔵中・上岡憲司監督のコメント
「決勝は国士舘中と戦うことになると思っていました。国士舘中の校長の川野一成先生は私の恩師ですので、少しだけ恩返し出来たかなと思います。(-今年はどんなチームですか?)元気のいい、いい子が多いチームです。ヤンチャなところもありますが(笑)。うちは誰がエースということがない全員柔道、みんながポイントゲッターのチーム。試合に出る子もそうでない子も皆で戦うという姿勢でやっています。ですから、代表戦は誰が出ることになっても勝負するのは同じ、思い切ってやれと送り出しました。(-皆、足技が効いていましたね?)足技はもちろんしっかりやっていますが、なにより自分たちで考える柔道をさせたい。それが最大の目当てです。課題は与えますがあくまで自主性を求めて、考えさせてやっています。言いたいことをこらえる場面も多くなるので我慢の指導ですね(笑)。(-代表戦について?)評価できるのは、押し込むようなプレッシャー、前に出る姿勢が効いていたこと。背負投を潰した場面も、常に前に出ようとしていたことですぐに押し込むことが出来、それが決定打になりました。普段やっていることが出たと思います。今後も全国中学大会に向けてしっかりやっていきたい。まずは強豪がたくさんの福岡県を、勝ち上がることです」

eJudo Photo
上岡憲司監督が冷静に試合を振り返る

【入賞者】
優 勝:大蔵中学校A(福岡)
準優勝:国士舘中学校(東京)
第三位:曽根中学校A(福岡)、大刀洗中学校(福岡)

「一本勝ち大賞」:徳持英隼(福岡・曽根中A)
 
優秀選手賞:河口誠哉(兵庫・小野中)、猪俣雄風(大分・戴星学園中)、戸髙淳之介(東京・八王子第六中)、猪瀬真司(埼玉・埼玉栄中)、中野智博(福岡・大刀洗中)、山本航勢(福岡・曽根中A)、小田桐美生、須山健介(東京・国士舘中)、伊藤隆祐、小谷優太(福岡・大蔵中)

【決勝トーナメント1回戦】

足利第一中学校(栃木) 3-2 丘中学校(長野)
曽根中学校A(福岡) 4-0 見川中学校A(茨城)
白銀中学校A(福岡) 3-0 笠間中学校(石川)
小野中学校(兵庫) 2-1 曽根中学校B(福岡)

【決勝トーナメント2回戦】

国士舘中学校(東京) 4-0 南淡中学校A(兵庫)
埼玉栄中学校(埼玉) 3-1 足利第一中学校(栃木)
八王子第六中学校(東京) ②-2 灘中学校(兵庫)
曽根中学校A(福岡) 5-0 五所川原第一中学校(青森)
大刀洗中学校(福岡) ②-2 大成中学校A(愛知)
戴星学園中学校(大分) ②-2 白銀中学校A(福岡)
大蔵中学校A(福岡) 2-1 報徳学園中学校(兵庫)
小野中学校(兵庫) 3-0 東海大相模高中等部(神奈川)

【準々決勝】

国士舘中学校(東京)〇0代-0△埼玉栄中学校(埼玉)
(先)中村太樹×引分×猪瀬真司
(次)小田桐美生×引分×遠藤尊
(中)須山健介×引分×岩崎雄大
(副)岡部陽人×引分×松崎渡
(大)岡田陸×引分×野村陽光
(代)中村太樹〇優勢[技有・小内巻込]△猪瀬真司

曽根中学校A(福岡) 3-2 八王子第六中学校(東京)
(先)平下麗王△優勢[技有]〇大久保竜之介
(次)高田顕矢〇優勢[技有]△ドルベック・シェイ
(中)徳持英隼〇反則(1:10)△原瑞貴
(副)永竿慶弥△優勢[僅差]〇戸髙淳之介
(大)山本航勢〇横四方固(2:36)△及川鉄郎

大刀洗中学校(福岡) 3-0 戴星学園中学校(大分)
(先)飯田健介×引分×小倉元輝
(次)平山公士朗〇優勢[技有]△赤嶺陸
(中)松本蒼空×引分×猪俣雄風
(副)近藤那生樹〇崩上四方固(1:38)△姫野秀太
(大)中野智博〇崩上四方固(0:59)△紅谷駿光

大蔵中学校A(福岡) 5-0 小野中学校(兵庫)
(先)伊藤隆祐〇内股(0:10)△村上慶汰
(次)鴛海和輝〇袈裟固(1:15)△グェンバンヴィン
(中)津嘉山稔〇大腰(2:15)△河口誠哉
(副)小谷優太〇大外返(0:39)△長谷川慶斗
(大)甲月碧〇優勢[技有]△田中航太

【準決勝】

国士舘中学校 2-0 曽根中学校A
(先)中村太樹×引分×平下麗王
(次)小田桐美生〇優勢[僅差]△高田顕矢
(中)須山健介×引分×徳持英隼
(副)岡部陽人〇優勢[僅差]△永竿慶弥
(大)岡田陸×引分×山本航勢

大蔵中学校A 2-0 大刀洗中学校
(先)伊藤隆祐×引分×飯田健介
(次)鴛海和輝〇小外掛(2:05)△平山公士朗
(中)津嘉山稔〇優勢[僅差]△松本蒼空
(副)小谷優太×引分×近藤那生樹
(大)甲月碧×引分×中野智博

【決勝】

大蔵中学校A ①代-1 国士舘中学校
(先)伊藤隆祐〇優勢[技有]△中村太樹
(次)鴛海和輝△優勢[技有]〇小田桐美生
(中)津嘉山稔×引分×須山健介
(副)小谷優太×引分×岡部陽人
(大)甲月碧×引分×岡田陸
(代)小谷優太〇上四方固(2:40)△岡部陽人



取材・文:古田英毅

※ eJudoメルマガ版3月26日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.