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第39回全国高等学校柔道選手権・男子個人戦5階級マッチレポート

(2017年3月26日)

※ eJudoメルマガ版3月26日掲載記事より転載・編集しています。
男子個人戦5階級マッチレポート
第39回全国高等学校柔道選手権
■ 60kg級・市川龍之介が2連覇達成
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60kg級準々決勝、市川龍之介が上嶺教史郎を大外刈で攻める

決勝は大会二連覇を狙う市川龍之介(千葉・習志野高)と、市川を昨夏のインターハイ3回戦で破っている福田大悟(滋賀・比叡山高)が対戦。第1シードと第2シード選手による、優勝候補同士の対戦となった。

徹底マークを受けた市川は4試合を全て「指導1」の優勢で勝ち上がるという粘戦を経て迎える決勝の畳、一方インターハイベスト8の実力を再び証明した形の福田はこの決勝で初の日本一に挑む。

市川、福田ともに右組みの相四つ。
市川は試合が始まるなり先に引き手で相手の前襟を確保、さらに釣り手を奥襟に入れて相四つ横変形の状態で福田を拘束する。動きを制限された福田が引き手で絞りを利かせた巴投で転がり回避行動を取ると、市川はすかさず体を浴びせて寝技の展開に繋ぎ、相手が簡単に自身の圧力圏内から逃れることを許さない。

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決勝、市川が釣込腰で福田大悟から「技有」を奪う

この攻防を受けて福田は早速方針転換、引き手で袖を得ると先んじて釣り手で奥襟を叩いて、市川が体勢を整える前に左の一本背負投に打って出る。しかし、市川は落ち着いてこれを潰すと、腕挫腹固の形から前転して相手を捲るサンボ由来の寝技技法で福田を捲り返す。福田は完全に抑え込まれる前になんとか逃れたが、またもや市川から展開を奪うには至らず。経過時間は50秒、先手を打っているのは福田だが試合の主導権は市川の元から動かず。

その後は市川が組み手で優位を作り内股、隅返、釣込腰と攻め、福田が後の先で際を作り出して活路を見出すという展開が続く。残り22秒、福田が市川の右釣込腰を辛うじて伏せたところで主審が動き、福田に「指導1」が与えられる。

直後、市川が釣り手を肩越しに入れるクロス組み手を作ると、もはや投げるしかない福田はためらわず引き手を離して背中を抱き、市川の軸足方向に体を寄せて密着勝負。しかしここが勝負どころと判断した市川は攻めを躊躇せず、まず右大外刈で刈り足を差し込んでから右釣込腰に変化する大技。福田は密着が裏目に出て耐え切れず、深く腰に載せられて決定的な「技有」失陥。

この時点で残り時間は僅か15秒。その後も市川は守りに入らず攻め続け、再び釣込腰で福田を浮かせたところで試合は終了。結果、「技有」優勢を以て市川の勝利と大会連覇が決まった。

力の差を結果に反映させ続けることが難しいこの階級にあって、連覇は見事の一言。市川は昨年この大会でダークホースとして本命食いの末に優勝を果たしたが、続くインターハイでは自分が番狂わせを喰らう側に回って3回戦敗退を喫している。とかくトーナメントが荒れやすいこの階級の酸いも甘いも味わった市川が、一段レベルの高い勝負勘を手に再び日本一の座に辿り着いたという大会だった。

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60kg級で連覇達成の市川龍之介

【入賞者】
優 勝:市川龍之介(千葉・習志野高)
準優勝:福田大悟(滋賀・比叡山高)
第三位:顕徳大晴(兵庫・神港学園高)、中内快(高知・高知追手前高)
第五位:上嶺教史郎(東京・足立学園高)、三木魁斗(和歌山・初芝橋本高)、末松賢(愛知・大成高)、佐野海人(宮崎・延岡学園高)

市川龍之介選手のコメント
「2連覇はうれしい。去年は挑戦者としての優勝でしたが、今年は狙って獲った、意味のある勝利だと思います。去年は勝った実感がなかったですが、今年は『自分の力で日本一を取った』という手ごたえがあります。自分は投げるのがあまり得意ではないですが、相手に柔道をさせずに得意なところを潰すのが長所。『指導』でもなんでもしぶとく勝つのが持ち味で、そこが出た大会だったと思います。技を掛け切れなかったのは反省点。インターハイでも優勝して、講道館杯で上位に食い込むのが次の目標です」

【準々決勝】

市川龍之介○GS優勢[僅差](GS4:17)△上嶺教史郎
顕徳大晴○優勢[僅差]△三木魁斗
福田大悟○優勢[有効]△末松賢
中内快○優勢[僅差]△佐野海人

【準決勝】

市川龍之介○優勢[僅差]△顕徳大晴
福田大悟○優勢[僅差]△中内快

【決勝】

市川龍之介○優勢[技有・釣込腰]△福田大悟

■ 66kg級・1年生の西願寺哲平が優勝、得意の連続攻撃冴える
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準々決勝、西願寺哲平が矢野遼我から一本背負投「一本」

1年生に有力人材が集中した大会。昨年の全国中学校大会王者で第1シードに配された西願寺哲平(埼玉・埼玉栄高)の山場は準決勝、技の切れ味に定評がありこの日も内股で二つの一本勝ちを収めている同学年の強豪・若狭智也(石川・鶴来高)との対戦。この試合では開始早々袖釣込腰「有効」を奪うとその後も一方的に攻め続けるいかにも西願寺らしい試合で業師若狭を完封、順当に決勝進出を決めた。

もう1人の決勝進出者は片山航希(愛知・大成高)。こちらは桂嵐斗(長崎・長崎日大高)や相田勇司(神奈川・相洋高)といった有力選手が食い合った下側の山を勝ち抜いた古川巧(佐賀・佐賀北高)と準決勝で対戦、この試合を「指導1」の僅差で生き残って決勝の畳に辿り着いた。

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決勝、西願寺が片山航希を背負投で攻める

決勝は、西願寺、片山ともに左組みの相四つ。まず片山が先んじて引き手で袖を確保し、左小外刈を引っ掛けながら釣り手をクロスに入れる。これで片山の優位完成かと思われたが、西願寺はすぐさま片襟の左小内刈を放ちながら体を入れ替えて体勢をリセット、続いて両手で引き手側の襟を確保すると煽りを利かせながら左小内刈、左背負投と繋ぎ、片山が耐えたと見るともう一度入り直して走り、場外で転がす。相手に組み手の的を絞らせない西願寺らしい先制攻撃、これは「待て」の後でノーポイントとなったが、西願寺の組み手と技出しの連動の早さに片山はまったくついていけていない印象。経過時間は58秒。

1分50秒、再び西願寺が組み際に片襟の左大内刈から左背負投と繋いで手数を稼いだところで、技の出ない片山に「指導1」が与えられる。片山は両手を確保することすらままならず、試合は完全に西願寺ペース。

ビハインドを負った片山は直後引き手で袖を深く掴み、釣り手で背中を確保する完璧な相四つクロスを作ることに成功。反撃のチャンスはここしかないとばかりに間を置かず思い切った左大外刈に飛び込む。しかし西願寺は背後に回って腰を落として堪えると、片山の戻り際に打点の高い右袖釣込腰に入り込む。これは片山が腹を突き出し潰して事なきを得るが、この場面も西願寺は自らの攻撃で展開を塗りつぶすことに成功した形。どうやら試合の行方は見えた感あり。

その後も西願寺は状況を的確に判断し、片山がクロスに釣り手を入れると腰を引いて膠着を作り出し片山の2つ目の「指導」を誘ってリードを広げる。残り時間が40秒を切ると、先に担ぎ技を掛け切ることによるリスク管理をこれまで以上に徹底、危なげなく試合終了のブザーを聞く。結果、西願寺が「指導2」の僅差による優勢勝ちで見事初優勝を決めた。

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66kg級を制した西願寺哲平

【入賞者】
優 勝:西願寺哲平(埼玉・埼玉栄高)
準優勝:片山航希(愛知・大成高)
第三位:若狭智也(石川・鶴来高)、古川巧(佐賀・佐賀北高)
第五位:矢野遼我(奈良・天理高)、井上拓茉(三重・四日市中央工高)、平野達也(岡山・倉敷工高)、相田勇司(神奈川・相洋高)

西願寺哲平選手のコメント
「自分は力がなく、技で攪乱していくことが得意。得意技の背負投と袖釣込腰を中心に、先、先で攻めたことが良かったと思います。決勝は特に落ち着いて戦えました。学校の友達や家族が本当に支えてくれて、試合前にメッセージを貰って感動しました。みんなが助けてくれたことが、この結果につながったと感じています。ただ、今日の優勝はこの1日で終わり。また一から頑張っていきたいです。カデでも優勝して、インターハイに繋げていきたい」

【準々決勝】

西願寺哲平○一本背負投(1:16)△矢野遼我
若狭智也○GS優勢[有効](GS1:47)△井上拓茉
片山航希○裏投(2:33)△平野達也
古川巧○内股透(GS0:17)△相田勇司

【準決勝】

西願寺哲平○優勢[有効・袖釣込腰]△若狭智也
片山航希○優勢[僅差]△古川巧

【決勝】

西願寺哲平○優勢[僅差]△古川巧

■ 73kg級・決勝は鮮やか「一本」、勝部翔が近畿勢対決制す
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3回戦、村上優哉が佐藤虎太郎から浮落「有効」を奪う

決勝は第1シードの村上優哉(兵庫・神戸国際大附高)と勝部翔(京都・京都学園高)の対決。村上が優勝した近畿ブロック大会決勝の再現カードとなった。

村上は最大の山場と目された3回戦の佐藤虎太郎(神奈川・桐蔭学園高)戦をGS延長戦の浮落「有効」で切り抜けると、その後は順当に勝ち上がって無事決勝進出決定。一方の勝部は1回戦から後藤仁(山形・羽黒高)を「有効」優勢、佐々木優大(島根・平田高)を合技「一本」(0:44)、中村洸澄(奈良・天理高)を背負投「一本」(0:25)、中橋大貴(愛知・大成高)を「有効」優勢、そして最大の難敵と目された大野晃生(大阪・東海大仰星高)を「指導1」の僅差による優勢で破り、実力伯仲の山を着実に勝ち上がって決勝へと駒を進めた。

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決勝、勝部翔が村上から背負投「一本」

勝部が右、村上が左組みのケンカ四つ。
村上が下から釣り手を入れると、勝部は上から釣り手を確保、肘を入れて村上の釣り手を殺して右体落、右背負投と浅く技を継ぎ、さらに村上が上体を起こしたところに逆の左一本背負投に座り込んでと矢継ぎ早に攻撃。経過時間は40秒、まずは勝部が機先を制した形となる。

続く展開、勝部は前襟を得た釣り手の肩を開いて間合いを取り、右背負投に入れるスペースを確保。村上が引き手で袖を持つと持たせたまま自身は袖の内側を握り返し、打点高く肘抜きの右背負投で担ぎ上げる。

村上はこれまで低い背負投を印象づけられており、おそらくはこれに隅落に合わせる構えでいたはず。勝部の技に合わせて一瞬裏に抜けようとしたがこの動きで自ら相手の背中に乗り込む形となってしまい、体ごと高く浮き上がると堪える間なく空中を舞う。勝部が引き手を腹につけて拘束を利かせ、体を捨てると村上は背中から畳にめり込み文句なしの「一本」。

勝部、前評判に違わぬ強さを発揮。優勝候補と目された村上を豪快な背負投で破り、見事キャリア初の全国大会優勝を達成した。

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73kg級優勝の勝部翔

【入賞者】
優 勝:勝部翔(京都・京都学園高)
準優勝:村上優哉(兵庫・神戸国際大附高)
第三位:松山葵偉(広島・近大福山高)、大野晃生(大阪・東海大仰星高)
第五位:坂上伶(長崎・長崎南山高)、小笠原一貴(静岡・東海大翔洋高)、中橋大貴(愛知・大成高)、森大将(東京・日体大荏原高)

勝部翔選手のコメント
「優勝したことはもちろん得意の背負投で、それもきれいな『一本』で決められたことが本当にうれしいです。勝因はパワーをつけるために、冬からウエイトトレーニングを一生懸命やったこと。今日は組み負けしませんでした。決勝の相手は近畿大会で良くぶつかり、互いに手の内を良く知った相手。なので、思い切ってやるだけだと開き直って試合をしました。大会通じてしっかり二本持てる場面が少なかったのが課題。組み手をしっかりやって、二本持つ自分の形で戦えるようになりたい。インターハイ優勝が次の目標です」」

【準々決勝】

村上優哉○内股透(1:16)△坂上伶
松山葵偉○優勢[僅差]△小笠原一貴
勝部翔○優勢[有効]△中橋大貴
大野晃生○崩上四方固(GS0:36)△森大将

【準決勝】

村上優哉○優勢[有効・浮落]△松山葵偉
勝部翔○優勢[僅差]△大野晃生

【決勝】

勝部翔○背負投(1:03)△勝部翔

■ 81kg級・亀谷嗣温が優勝候補を連破、スケール大きい柔道見せつける
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準々決勝、奥田將人が袖釣込腰で青柳大虎から「有効」

決勝の畳に上がったのは、優勝候補筆頭の奥田將人(京都・京都学園高)と亀谷嗣温(大阪・近大附高)の近畿勢二人。奥田は準決勝で板東虎之輔(千葉・木更津総合高)をGS延長「指導1」による僅差の優勢で破り、一方の亀谷は準決勝で賀持喜道(神奈川・桐蔭学園高)をGS延長戦の末に払巻込「有効」で勝利、それぞれ実力者との接戦をものにして決勝進出を決めて来た。

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決勝、亀谷嗣温がGS延長戦の末に奥田から内股巻込「有効」を奪う

決勝は奥田が左、亀谷が右組みのケンカ四つ。インサイドワークも巧みな奥田は腰を引きながら亀谷を場外際に誘い込み、亀谷が腰技を狙ってステップし、試合場から一歩出たところでしっかり固定。結果開始僅か20秒で「指導1」のリードを奪う。

いきなりビハインドを負った亀谷は釣り手を背中に回しての右内股巻込に払巻込、さらに前技フェイントの出足払と必死の反撃を見せる。対する奥田は、腰を引いて亀谷の巻き込み技を誘っては後の先を狙って隅落、さらに手先の組み手争い、続いて巴投からの関節技を見せてと早くもリスク回避の逃げ切り態勢。残り1分で両者に「指導」が与えられ、奥田が「指導」ひとつのリードを保ったまま試合は終盤へ進む。しかし奥田は勢いのついた亀谷を少々持て余し始めた感あり、残り1秒に露骨に組み手を嫌って距離を取った奥田に「取り組まない」咎でふたつ目の「指導」が与えられて土壇場で試合は振り出し。勝負はGS延長戦へ。

亀谷は延長戦に入ってもペースを変えず、先に引き手で襟を得ると釣り手で背中を叩きながら右内股を繰り出す。対する奥田も脇を差しての左大外刈、左内股と勝負に出るが、腰が入りきらず潰されてしまう。そしてGS30秒、手が詰まった奥田が腰を抱いて裏を狙うと、亀谷は軸足を外に出して踏ん張り、同時に奥田の首を抱えて右内股に切り返す。腰を抱いた形が致命傷、奥田は長身の亀谷の背にくっついたまま宙に浮き、亀谷が巻き込むと耐えようなく前方に転がってこれは「有効」このポイントをもって試合は決着、亀谷の優勝が決まった。

奥田が「指導」リードを得て逃げ切りを図ったことで亀谷の勢いが倍化したという面はあるが、この試合は亀谷の地力勝ち。本戦後半以降は奥田の側が「このままではやられる」と亀谷の強さを認めて試合を進め、最後は自滅した形だった。近畿大会の序列(奥田が優勝、亀谷は3位)を覆した格好であるが、結果は妥当であったと言える。

奥田は中学時代やや目先の勝負にこだわって柔道を小さくする傾向があったが、高校入学後は気風の良い攻めと威力ある投技で試合の質が向上。しかし切所でかつての弱点が顔を出してしまったという印象だった。

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81kg級優勝の亀谷嗣温

【入賞者】
優 勝:亀谷嗣温(大阪・近畿大附高)
準優勝:奥田將人(京都・京都学園高)
第三位:板東虎ノ輔(千葉・木更津総合高)、賀持喜道(神奈川・桐蔭学園高)
第五位:青柳大虎(鹿児島・鹿児島情報高)、中村勝登(山梨・東海大甲府高)、杢優蔵(埼玉・大宮工高)、三輪魁星(愛知・大成高)

奥田將人選手のコメント
「監督に『最後まであきらめるな』と言われていたので、気持ちを切らさず最後まで戦えました。延長戦があるかもと意識しながら戦っていましたが、残り1秒で相手に『指導』が入ったのはラッキーでした。自分は小学校の頃から内股が得意で、この技で優勝を決められたことはうれしいですし、初めての全国制覇はもちろんうれしい。ただインターハイも残っていますし、大学生になっても試合は続く。目の前の試合ひとつひとつをしっかり戦っていきたいです」

【準々決勝】

奥田將人○優勢[有効]△青柳大虎
板東虎之輔○優勢[僅差]△中村勝登
亀谷嗣温○袈裟固(2:05)△杢優蔵
賀持喜道○優勢[指導2]△三輪魁星

【準決勝】

奥田將人○GS優勢[僅差](GS2:52)△板東虎之輔
亀谷嗣温○GS優勢[有効・払巻込](GS0:12)△賀持喜道

【決勝】

亀谷嗣温○GS優勢[有効・内股巻込](GS0:34)△奥田將人

■ 男子無差別・人材密集の好大会、松村颯祐が一段違う力見せつけ戴冠
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男子無差別3回戦、高木一石が長岡季空から大外巻込「一本」

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準々決勝、関根聖隆が村田大征から一本背負投「一本」

有力選手が揃うこの階級は序盤から注目対決、番狂わせとイベントが盛りだくさん、非常に見応えのあるトーナメントとなった。

左上の山ではダークホースの高木一石(静岡・湖西高)が大きな体を利して大暴れ。3回戦では第1シードの長岡季空(広島・崇徳高)をGS延長戦の末に大外巻込「一本」、準々決勝でも延岡学園高(宮崎)のエース・羽田野竜輝を横四方固(3:17)で撃破と優勝候補を立て続けに、それも完璧に下してベスト4入りを決定。

その下の山からは、優勝候補の松村颯祐(島根・開星)が尻上がりに調子を上げ、準々決勝では国東高(大分)のエースを張る難敵・中島大貴を「有効」優勢で破って順当にベスト4入り。

右上の山からは、第2シードに座ったインターハイ100kg級3位の関根聖隆(神奈川・桐蔭学園高)が勝ち上がり。2回戦では埼玉栄高(埼玉)のエース岩田歩夢との接戦を「指導2」優勢で勝ち抜け、準々決勝ではこれも上位候補の村田大征(岡山・作陽高)に肉薄されながらも延長戦の末、得意の一本背負投「一本」で勝利して準決勝進出決定。

関根の下側の山は大成高(愛知)が誇る絶対のエース・東部直希(愛知・大成高)が順当にベスト4入り。2回戦では星野一貴(群馬・前橋商高)を「指導4」の反則(1:47)、3回戦は玉寄盛貴(沖縄・沖縄尚学高)を合技「一本」(1:10)、山場となった準々決勝の山口貴也(長崎・長崎日大高)戦も払巻込「一本」(1:36)で圧勝。準決勝以降を争う4選手のなかではもっとも安定感ある勝ち上がり。

準決勝第1試合の松村と高木の対戦は、中盤から急激に消耗した高木が寄り掛かったところを松村が支釣込足で豪快に投げ「一本」(2:02)。松村は全日本柔道選手権出場を決めた実力を遺憾なく発揮し順当に決勝進出決定。一方強豪たちの勢力図が比較的わかりやすくマップされた今代にあって、大会「最大の発見」であった巨漢・高木の活躍は素晴らしかったが、準々決勝までの戦いがタフであったこともありついにここで力尽きた。

準決勝第2試合の関根対東部は大接戦、「指導3」対「指導2」で関根がリードして迎えた最終盤に、東部が関根を潰し残った釣り手の関節を極めながら浴びせ倒すと主審は「一本」を宣告。しかし桐蔭学園サイドが関節を極めながらの投げ(ポイントは入らない)である旨をアピールすると、合議の末に「一本」は取り消され試合は続行となる。既に勢いでは東部に飲まれつつある関根だったがこの僥倖を逃さず、残り時間20秒を必死に凌いで「指導」1つの差を守り切って優勢勝ち。薄氷を踏むような接戦を勝ち上がり、見事決勝まで駒を進めることとなった。

この試合、東部の「一本」取り消しは妥当だが、本来であればその直後、東部が関根を抑え込んだ形からの再開が為されるべきであり(開始線から再スタートとなった)、これは審判の判断ミス。東部にとってはなんともやりきれない試合であった。

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決勝、松村颯祐が関根を内股で攻め込む

決勝は松村が右、関根が左組みのケンカ四つ。体格で圧倒的に勝る松村が釣り手を上から入れて圧を掛け、次いで一方的に引き手を持つと関根は引き手を切って一旦リセット。関根が距離を保って組み手争いに持ち込むと展開は膠着し、58秒両者に「取り組まない」咎で「指導1」が与えられる。ここまでは互いに様子見といったところ。

ここからは松村が早々と両手を確保し右内股で関根を跳ね上げ、伏せさせる展開が続く。これを受けた主審は2分2秒に関根に2つ目の「指導」を宣告。スコアは「指導2」対「指導1」、残り時間1分を切ったこの時点で松村がついにリードを得る。

その後試合が大きく動くことはなし。終了間際に、関根が松村の片手の右内股を釣り手で脇を差して潰し、残った釣り手の肩を抱きながら浴びせ倒すという大チャンスが生まれるが、決めきれずにそのまま試合終了。結果「指導2」対「指導1」の僅差で松村が優勢勝ち、多士済々のトーナメントを制して男子無差別覇者の栄光を手にすることとなった。

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男子無差別優勝の松村颯祐

【入賞者】
優 勝:松村颯祐(島根・開星高)
準優勝:関根聖隆(神奈川・桐蔭学園高)
第三位:高木一石(静岡・湖西高)、東部直希(愛知・大成高)
第五位:羽田野竜輝(宮崎・延岡学園高)、中島大貴(大分・国東高)、村田大征(岡山・作陽高)、山口貴也(長崎・長崎日大高)

松村颯祐選手のコメント
「優勝は最高です(笑)。中学3年間1回も優勝することが出来なくて、3年生の時は全国大会にも出れなかった。去年もこの大会で勝てず、5年越しの日本一ですから、うれしいです。4回戦で逆転勝ちして、波に乗れました。焦ったらダメだと落ち着いて戦ったことが優勝に繋がったと思います。自分は結構技があるほうで、これという一発よりは多彩な技で勝つタイプ。まだ組み手が下手なので、そこを意識して頑張ります。インターハイも優勝します」

【準々決勝】

高木一石○横四方固(3:17)△羽田野竜輝
松村颯祐○優勢[有効]△中島大貴
関根聖隆○一本背負投(GS2:20)△村田大征
東部直希○払巻込(1:36)△山口貴也

【準決勝】

松村颯祐○支釣込足(2:02)△高木一石
関根聖隆○優勢[僅差]△東部直希

【決勝】

松村颯祐○優勢[僅差]△関根聖隆


取材・文:原輝地
編集:古田英毅

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