PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第26回

(2017年3月20日)

※ eJudoメルマガ版3月20日掲載記事より転載・編集しています。
【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第26回
形にはいろいろの種類があって、その目的次第で練習すべき形が異なるべきである。
出典:「道場における形乱取練習の目的を論ず」
柔道1巻3号 昭和5年(1930)6月(『嘉納治五郎大系』3巻,269頁)


講道館柔道には様々な「形」があります。

以前も紹介しましたが、講道館では、師範のご存命中に「投の形」「固の形」「柔の形」「極の形」「五の形」「古式の形」「精力善用国民体育」「剛(柔)の形」の8種類の形を制定しています。同じ武道の剣道が「日本剣道形」の1種類(太刀7本と小太刀3本)なのに比べるとかなりの数と言えるでしょう。
なぜ、このように多くの種類の「形」を制定する必要があったのでしょうか。その答えの1つが今回の「ひとこと」です。

師範は、講道館柔道の目的を「体育」「勝負」「修心」の3つであると述べていますが、その修行方法として「乱取」「形」「講義」「問答」の4つをあげています。これらは、好みの方法を選ぶ選択肢ではありません。全てが欠くことの出来ないものとなっています。肉体面が主となる「乱取」や「形」に対して、耳慣れない「講義」や「問答」ですが、こちらは、どちらかと言えば、精神面が主となる修行方法になります。こちらも、いずれ紹介したいと思います。

さて、師範は、柔道修行において「形」にどのような役割を期待したのでしょうか。
簡単に言えば、乱取では不十分な部分を補うことと言えるでしょう。柔術以上に、乱取を重んじる講道館柔道ですが、それだけでは、「体育」「勝負「修心」という3つの目的を達成出来ないというのが師範の考えです。

例えば、乱取だけでは、左右アンバランスな身体になったり、鍛えられない筋肉等が出てきたりします。身体の健全で円満な発達を意図する「体育」を考えたとき、そういった点を考えなければいけません。
あるいは、武術としての柔道を学ぶ「勝負」から考えると、安全面を考慮し、危険な技、即ち実戦で有効な技を排除した乱取では当身(突きや蹴り)等の練習が出来ません。ですが、師範は<当身のない武術は不完全>と言っているくらいですから、当身の方法やその対処法を乱取以外の手段で学ぶ必要があります。

こういった柔道の目的の達成を考えたとき、乱取ではカバー出来ない部分を補う。それが「形」の必要性であり、講道館柔道の幅広い目的にあわせて、その種類が増えていくことは必然のことだったでしょう。

現在、形は昇段試験、あるいは競技大会のために練習されることが多いようですが、そこから少し離れて、自分の目的、あるいは興味・関心に応じた「形」を選び、稽古するのも、柔道の楽しみ方ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。


※読みやすさを考慮して引用は『嘉納治五郎大系』から行っています。

著者:元 敏季(ハジメ・トシキ)
1975年生まれ。柔道は中学校から始め、大学までは競技を中心に行うが、卒業論文を機に柔道の文化的側面に関心を持ち、大学院へ進学。凡そ10年、大学院・研究機関に所属するも、研究とは異なる分野の仕事に就き現在に至る。ライフワークとして嘉納治五郎に関する史料を蒐集・研究し、その成果を柔道振興のため発信しようとしている。

※ eJudoメルマガ版3月20日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.