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【eJudo’s EYE】ルールウォッチ番外編、欧州シリーズの「新技」たちを映像で紹介

(2017年3月18日)

※ eJudoメルマガ版3月18日掲載記事より転載・編集しています。
【eJudo’s EYE】ルールウォッチ番外編、欧州シリーズの「新技」たちを映像で紹介
eJudo Photo
このシリーズはクロスグリップをめぐる攻防が非常に熱かった。写真はフランク・デヴィト得意のクロスグリップをアッティラ・ウングヴァリが大内刈で切り返し「技有」

今シーズンも「新技」の出現が話題を呼んだ。グランドスラム・パリ終了時の本欄で予想した通り、変則組み手の反則要件が緩和された(攻撃するのであれば5秒程度まで認められる)ことを受け、その最前線エリアは「クロスグリップ」。この形からの攻撃あるいはカウンター技が今シリーズ最大の注目ポイントである。これを中心に、いくつか紹介したい。


「足を持たないハバレリ」
フセン・ハルモルザエフ(ロシア)vsアクセル・クルジェ(フランス)
https://www.judobase.org/#/competition/contest/masters2016_m_0090_0016
ちょっと古いが、前提条件として。映像は2016年ワールドマスターズ・グアダラハラから。欧州選手権やヨーロッパオープンでは散見されていたが、おそらくこれがIJFワールドツアー初出である。IJF技名称で言うところの帯取返(ハバレリ)を、足を持たずに行うもの。2016年春あたりからハルモルザエフらパワー派の欧州選手に使い手が増えて来ていたが、今年1月からの新ルール試行を受けて現在大流行中。クロスグリップから「これがある」ことを選手がお互いに理解していることが現在の技術派生の前提条件であるので、敢えてまずこれを載せておく。

「クロスグリップから掬って投げる浮落」
ファト・イスマイロフ(アゼルバイジャン)vs小原拳哉
https://www.judobase.org/#/competition/contest/gs_aze2017_m_0081_0031
グランドスラム・バクーから。食らったのが日本選手で目につきやすかったこともあり、国内でもかなり話題となった。全日本柔道連盟の「強化フォーラム」でも映像が紹介されたそうで、関係者は既になんらかの形で目にしていることかと推察する。クロスグリップから腹を包むがごとく相手の体を拘束して肩を落とし、体で押し込む。かつてオーレ・ビショフがSuperstar Judo Onlineで紹介していた「クロスグリップから相手の頭を残った手で落として、逆側に投げる技術」の派生形とも取れるし、歴史的に見れば「掬投の形を変えた復活」と解釈できるかもしれない。これは今後の流行がかなり有力視される技術。

「クロスグリップへのカウンター・手繰って投げる浮落」
フランク・デヴィト(オランダ)vsティム・グラムコフ(ドイツ)
https://www.judobase.org/#/competition/contest/gp_ger2017_m_0081_0033
グランプリ・デュッセルドルフから。ひとつ目の「技有」が該当技である。クロスグリップで叩かれたところから、相手の逆側の上腕を両手で握り、手繰り寄せながら押し込んで投げる。寝技では近い状況が起こる(遠くの腕を抱え込んでめくり返す)が、非常に興味深い。ちなみにグラムコフ、最終盤には別の形でデヴィトのクロスグリップにカウンターを合わせ、投げ勝っている。前回大会のグランドスラム・パリでデヴィトがクロスグリップを駆使して大技連発、見事優勝を飾った直後であることを考えると、現代柔道の情報戦の恐ろしさに戦慄せずにはいられない。

「クロスグリップへのカウンター・抱きつき大内刈」
フランク・デヴィト(オランダ)vsアッティラ・ウングヴァリ(ハンガリー)
https://www.judobase.org/#/competition/contest/gs_aze2017_m_0081_0030
グランドスラム・バクーから。ウンクバリ1つ目と2つ目の「技有」、そして「一本」が該当。クロスグリップに対する大内刈はもはや定番のカウンターとして定着した感あり、その極北のような試合。デヴィトはこの欧州シリーズ一貫してクロスグリップにこだわり続け、勝ち、そしてその後は圧倒的に負け続けた。ちなみに「技有」キャンセルとなったクロスグリップからの小内巻込も、今季流行が一段加速しており目にする機会が非常に増えた技である。

「橋本スペシャルその1」(袖口グリップから片手で仕掛ける袖釣込腰)
橋本壮市vsアレクサンダー・ターナー(アメリカ)
https://www.judobase.org/#/competition/contest/gs_fra2017_m_0073_0053
袖口をピストルグリップ(あるいはポケットグリップ)で拘束し、片手で体を捨てて投げる。拘束の強さゆえ片手でも決まる、新ルールを巧みに生かした技。

「橋本スペシャルその2」(相手に内股を強いて透かして投げる)
橋本壮市vsアン・チャンリン(韓国)
https://www.judobase.org/#/competition/contest/gs_fra2017_m_0073_0067
今シリーズ最高の変態技。ケンカ四つの際、相手の近い足を前から蹴り上げ、無理やり片足(内股を仕掛けたかのような状態)を作って透かし投げる。釣り手は四指で後ろ襟を握り、蹴り上げる動作と同時に体ごと突っ込み、引き手を利かせて回す。これまで別の形であった「セルフ内股透」(ヤーデン・ゲルビなどが駆使する)の発想的派生と捉えることや、近い足を支釣込足で蹴り崩してすかさず浴びせる「ハンドル浮落」の入り口を変えた形態と考えることなど色々な角度から解釈可能な技だが、形態進化すること自体で一線に生き残って来た橋本の研究熱心さが良く出た一撃。



とりあえず以上。個人的にはこのクロスグリップが「新技」開発の最前線となる傾向はしばらく続くと感じている。ルール変更直後に新技術が勃興してくるのは当然と言えば当然で今は非常に面白い時期。新技術は強豪同士が戦う終盤戦よりも実力差のある序盤戦で決まる可能性が高く、ファンは当面「Ippon.tv」から目が離せない状況が続きそうだ。



文責:古田英毅
協力:林さとる

※ eJudoメルマガ版3月18日掲載記事より転載・編集しています。

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