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グランドスラム・バクー最終日5階級プレビュー

(2017年3月11日)

※ eJudoメルマガ版3月11日掲載記事より転載・編集しています。
最終日5階級(男子90kg級、100kg級、100kg超級、女子78kg級、78kg超級)プレビュー
グランドスラム・バクー
■ 90kg級・ノエル・ファンテンドと釘丸太一の2回戦がトーナメント最大の山場、小林悠輔は曲者と連戦する難しい配置
(エントリー18名)

階級屈指の難剣タイプであるノエル・ファンテンド(オランダ)がワールドツアーに復帰、初戦(2回戦)で早くも釘丸太一(センコー)との対戦が組まれた。ファンテンドは右組みながら仕掛ける技は全て左技であり、この変則スタイルで過去に何人もの左組みの強豪を破ってきている。左組みの釘丸にとっては相性的にも厳しい戦いとなるだろうが、先に二本を持って動きを止めることで相手の変則スタイルを制限してしまいたい。トーナメントの陣容を見る限りここを勝ち上がった選手がそのまま優勝する可能性が高く、ここが事実上の決勝と言っても過言ではない。

一方の小林悠輔(旭化成)は初戦となる2回戦でウサンギ・マルギアニ(ジョージア)、続く準々決勝でママダリ・メディヨフ(アゼルバイジャン)と曲者と連戦しなければならない面倒な位置からのスタート。どちらも一筋縄では勝たせてくれない難敵であり、付き合いすぎるとたとえ勝利を得たとしても相当な消耗を強いられること必至だ。プールDの陣容を見る限りここさえ勝ち抜けば決勝進出は難しくなく、できるだけ早い時間帯の「一本」で仕留めてしまって体力を温存したいところだ。

【プールA】
第1シード:ノエル・ファン テンド(オランダ)
第8シード:イスラム・ボズバエフ(カザフスタン)
日本選手:釘丸太一(センコー)

【プールB】
第4シード:ツラリ・サフグリエフ(アゼルバイジャン)
第5シード:クアジョ・ナーバリ(ウクライナ)

【プールC】
第2シード:ママダリ・メディヨフ(アゼルバイジャン)
第7シード:小林悠輔(旭化成)
有力選手:ウサンギ・マルギアニ(ジョージア)

【プールD】
第3シード:ネマニャ・マイドフ(セルビア)
第6シード:ダフロンベク・サトロフ(ウズベキスタン)

■ 100kg級・エルマー・ガシモフとエルハン・ママドフのアゼルバイジャン勢2人に好調トマ・ニキフォロフらが挑む
(エントリー11名)

参加人数は11人と少数ながら、100kg級の層の厚さを受けて今大会も面白いトーナメントとなった。対立軸はリオデジャネイロ五輪銀メダリストのエルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)と2013年リオデジャネイロ世界選手権チャンピオンのエルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)のアゼルバイジャン勢2人にグリゴリ・ミナシキン(エストニア)、ミハエル・コレル(オランダ)、トマ・ニキフォロフ(ベルギー)の直近の国際大会で結果を残している好調組が挑むというもの。実力的にはガシモフが頭一つ抜けているが、前述の3選手にはガシモフを飲み込んでしまうだけの勢いがある。どの選手も今大会で優勝して一気に序列を登りたいという思惑を濃く抱えているはずであり、野心あふれる熱戦に期待したい。

【プールA】
第1シード:エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)
第8シード:ピーター・パルチク(イスラエル)

【プールB】
第4シード:エルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)
第5シード:グリゴリ・ミナシキン(エストニア)

【プールC】
第2シード:ミハエル・コレル(オランダ)
第7シード:ゼリム・コトソイエフ(アゼルバイジャン)

【プールD】
第3シード:トマ・ニキフォロフ(ベルギー)
第6シード:ミコロス・サーイエニッチ(ハンガリー)

■ 100kg超級・優勝候補はラファエル・シウバ、復調ウルジバヤル・デューレンバヤルのパフォーマンスにも注目
(エントリー13名)

人数も少なくハイレベルとまでは言い難いが、ラファエル・シウバ(ブラジル)やバルナ・ボール(ハンガリー)、ロイ・メイヤー(オランダ)といった強豪が参加したことでひとまずグランドスラムの体裁を保ったなかなか面白いトーナメントとなった。優勝候補はもちろんリオデジャネイロ五輪銅メダリストの巨漢シウバ。インサイドワークの巧みさを生かした圧殺戦法を得意としており、グランドスラム・パリ大会を見る限り力も戦術も全く錆びついていない。故障から本格復帰して以降のシウバはテディ・リネール(フランス)や王子谷剛志(旭化成)といった自身に地力で勝る相手以外には負けておらず、今大会の陣容を見る限りはこれに当てはまる選手はいない。順当にトーナメントが進行した場合シウバが圧勝で優勝すると予想して良いのではないだろうか。

勝敗以外で注目すべきはウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)のパフォーマンスだ。ウルジバヤルは2014年に世界ジュニアを制して以来長期の不調に陥ってしまいなかなか結果を残すことができずにいた。しかし、先月行われたパリ大会では久々に大規模大会での3位入賞を果たしており、現在はどうやら復調傾向にある様子。パリ大会での活躍がスポット的なものなのか、ウルジバヤルの今大会の戦いぶりには一定の注意を割く必要があるだろう。

【プールA】
第1シード:ラファエル・シウバ(ブラジル)
第8シード:グラム・ツシヴィリ(ジョージア)

【プールB】
第4シード:ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)
第5シード:ウサンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)
有力選手:ザルコ・クルム(セルビア)

【プールC】
第2シード:バルナ・ボール(ハンガリー)
第7シード:ハルン・サディコヴィッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)

【プールD】
第3シード:ロイ・メイヤー(オランダ)
第6シード:スタニスラフ・ボンダレンコ(ウクライナ)

■ 78kg級・マルヒンダ・フェルケルクが復帰、オランダの2強に吉村静織が挑む
(エントリー12名)

それぞれ第1と第2シードに配されたフッシェ・ステインハウスとマルヒンダ・フェルケルクのオランダ勢2人がトーナメントの柱。どちらもトップ層と組み合って肉体言語をかわすレベルにある、正真正銘の強豪選手だ。リオデジャネイロ五輪前には後輩のステインハウスの方がやや成績で優位に立っていたが、フェルケルクが過去の実績によって逃げ切る形で五輪代表を勝ち取った。ステインハウスとしてはしっかりと世代交代をしたいはずであり、両者が同時に出場している今大会はもってこいの場。今後のワールドツアー戦線を俯瞰する上で、非常に重要な大会である。

今大会に女子日本代表として唯一派遣されている吉村静織(三井住友海上)は準決勝でステインハウスと対戦するプールBに配置された。初戦となる2回戦ではこの階級の名物である若手軍団の一角、アナスタシア・タルチン(ウクライナ)との対戦が組まれている。吉村は2013年のヨーロッパオープン・ソフィア大会でこの選手に敗れており、ここはしっかりとリベンジを果たして勝ち上がりたいところだ。吉村の国内での好成績を考慮すればこの好陣容での優勝も十分ありえるはず。先週末に行われた皇后盃の東京予選を決勝まで戦っていることが少々気がかりではあるが、代表争いに割って入るような活躍を期待したい。

【プールA】
第1シード:フッシェ・ステインハウス(オランダ)
第8シード:メリナ・スカルデュア(ブラジル)

【プールB】
第4シード:アルビナ・アマンゲルディエワ(カザフスタン)
第5シード:アナスタシア・タルチン(ウクライナ)
日本選手:吉村静織(三井住友海上)

【プールC】
第2シード:マルヒンダ・フェルケルク(オランダ)
第7シード:ザリナ・ライフォワ(カザフスタン)
有力選手:ツェンドアユシュ・ナランジャルガル(モンゴル)

【プールD】
第3シード:アビゲイル・ヨー(ハンガリー)
第6シード:サマンタ・ソアレス(ブラジル)

■ 78kg超級・第2グループが勢揃い、優勝候補不在の戦国トーナメント
(エントリー9名)

出場者のほとんどが階級の第2グループに属しており、第7シードまでの全員に優勝のチャンスがある戦国トーナメントとなった。全体としてのレベルは決して高くないものの、面白い役者が揃っており見ごたえは十分。せっかくなので以下で各選手を簡単に紹介していこうと思う。少々長くなるが、読んで頂ければ観戦が一段明らかに楽しくなること、請け合う。

第1シードのラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)は近頃メキメキと力をつけてきた中堅選手の旗手。左右の組み手が効くうえに組み力もある厄介な選手だ。力関係が上の相手に対してはケンカ四つで組むため、この選手がどちらの組み手で組んでいるかで両者の力関係を測ることができる。

第2シードのカイラ・サイート(トルコ)は2015年にフランスから国籍変更を行ったベテラン選手。何よりもパワーが売りで昨年のヨーロッパ選手権では優勝を果たしてもいる。リオデジャネイロ五輪では3位決定戦で山部佳苗(ミキハウス)に敗れて5位だった。

第3シードのスヴィトラナ・イアロムカ(ウクライナ)は「ウクライナの豆タンク」と名付けたい小型選手の代表格。丸みを帯びた体から繰り出す巻き込み技を得意としており、小さな体で相手の懐に潜り込んで転がす様は一種の爽快感すらあり、必見だ。

第4シードのサンタ・パケニテ(リトアニア)は隣のプールのイアロムカとは対照的、階級屈指の大型選手であり巨体を利した巻き込み技を得意としている。体が大きいだけではなく最低限の組み手技術やスピードも持っており、嵌った場合の攻撃力はかなりのものだ。

第5シードのテッシー・サフェルコウルス(オランダ)はアンコ型が多いこの階級にあって珍しい痩せ型の選手だ。組み手管理が巧みで機動力を生かした担ぎ技先制攻撃を得意としている。この選手を攻略できるかどうかが大型選手のレベルを分ける一つの基準となっており、その意味でも注目度の高い選手である。

第6シードのイェザヴェータ・カラニナ(ウクライナ)は階級ナンバーワンの長身選手であり、実に2メートルの身長を誇っている。まだ22歳の若手選手で今のところ自身の体格を持て余し気味ではあるものの、今後この階級の主役に育っていくことが期待される有望株だ。今大会では同国の1番手でもあるイアロムカとの対戦が組まれており、小柄な相手に対してどのような戦い方をするのかにも注目したい。

第7シードのサンドラ・ジャブロンスキッタは必ずといってよい程どの大会にも出場しており、そのことによってワールドランクを底上げしている選手である。底上げして30位ということからもわかるとおり、強豪と呼ばれる選手ならばまず負けることはない相手だ。柔道スタイルはオーソドックスな奥襟巻き込みタイプであり、体格に比して足腰が弱いというこの階級の典型例にも合致している。強豪を自認する選手であれば早い時間帯の「一本」で勝利したい相手である。

【プールA】
第1シード:ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
第8シード:カミラ・ヤマカワ(ブラジル)

【プールB】
第4シード:サンタ・パケニテ(リトアニア)
第5シード:テッシー・サフェルコウルス(オランダ)

【プールC】
第2シード:カイラ・サイート(トルコ)
第7シード:サンドラ・ヤブロンスキーテ(リトアニア)

【プールD】
第3シード:スヴィトラナ・イアロムカ(ウクライナ)
第6シード:イェザヴェータ・カラニナ(ウクライナ)



文:林さとる/古田英毅

※ eJudoメルマガ版3月11日掲載記事より転載・編集しています。

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