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グランプリデュッセルドルフ・第2日4階級(男子73kg級、81kg級、女子63kg級、70kg級)プレビュー

(2017年2月25日)

※ eJudoメルマガ版2月25日掲載記事より転載・編集しています。
第2日4階級(男子73kg級、81kg級、女子63kg級、70kg級)プレビュー
グランプリデュッセルドルフ
■ 73kg級・シャフダトゥアシヴィリが優勝候補、土井健史と立川新はともに準決勝が山場
(エントリー32名)

ワールドツアーで上位に絡むレベルの海外選手は第1から第3シードの3選手のみ、このなかで第1シードに配されたリオデジャネイロ五輪銅メダリスト(ロンドン五輪66kg級金メダリスト)のラシャ・シャフダトゥアシヴィリ(ジョージア)が優勝候補の1番手だ。

土井健史(ダイコロ)と立川新(東海大1年)の日本勢2人はともに準決勝に山場が設定されており、土井は前述のシャフダトゥアシヴィリと、立川は第3シードのデニス・イアルツェフ(ロシア)とそれぞれ対戦が予定されている。シャフダトゥアシヴィリは体の強さをいかしたパワフルな抱きつき技(同じ間合いからの右大内刈と右小外掛)を得意とする強敵であり、飛び道具として遠間からの「ケンケン大内」も使用してくる。土井の柔道スタイルであれば正面から圧を受けることはないはずだが、しっかりと二本持った状態で釣り手を落として戦いたい。

一方立川が対戦するイアルツェフは階級随一の長身選手であり、遠い間合いからの足技やもつれ際の浴びせ技を得意としている。昨年のグランドスラム東京大会では左大内刈「一本」(3:43)で立川が勝利しているが、一癖も二癖もある厄介な相手だ。立川は2回戦でギオーム・シェヌ(フランス)、準々決勝でトミー・マシアス(スウェーデン)と有力選手との連戦が予想され、この序盤戦をどれだけ体力のロスなく乗り切れるかもキーポイントになりそうだ。新ルールはとにかく「指導」奪取系ファイターが消耗を強いられる展開が続いている。かつての戦術派から昨年飛躍的に技の取り味を上げた立川の投げに大いに期待したい。

この階級における世界選手権の代表争いは大野将平(旭化成)と橋本壮市(パーク24)の2人が大きく他を引き離しており、もはや逆転の目はほとんど残されていない状況。とはいえ、今回出場している2人と不調の中矢力(ALSOK)による3番手争いは混戦となっており、今回優勝者が出れば暫定的にこの椅子に座ることになる見込みだ。上半期の重要国際大会派遣の有無とその成績次第では講道館杯と年末のグランドスラム東京進出にアドバンテージを得られる可能性もあり、つまり今大会は既に来年度の世界選手権予選に繋がる重要なステージ。両者の活躍に期待したい。

【プールA】
第1シード:ラシャ・シャフダトゥアシヴィリ(ジョージア)
第8シード:サム・ファント ヴェステンド(オランダ)

【プールB】
第4シード:トハル・ブトブル(イスラエル)
第5シード:イゴール・ヴァンドケ(ドイツ)
日本選手:土井健史(ダイコロ)

【プールC】
第2シード:トミー・マシアス(スウェーデン)
第7シード:ギオーム・シェヌ(フランス)
日本選手:立川新(東海大1年)

【プールD】
第3シード:デニス・イアルツェフ(ロシア)
第6シード:マグディエル・エストラーダ(キューバ)

■ 81kg級・デヴィトとイヴァノフがトーナメントの柱、佐藤正大はイヴァノフ直下の厳しい配置からスタート
(エントリー37名)

第1と第2シードに配されたフランク・デヴィトとイヴァイロ・イヴァノフ(ブルガリア)がトーナメントの柱、スタイルこそ全く違うがどちらも階級を代表する若手の強豪選手だ。

デヴィトは先日行われたグランドスラム・パリ大会で新兵器の帯取返(通称「ハバレリ」)を武器に一気に表彰台の頂点まで登攀を果たした、今最も勢いのある階級のホープ。一方のイヴァノフは東欧の密着柔道に欧州の主流である寝技や捨身技の技術を加えた独特の柔道スタイル(密着型オールラウンダーとでも呼ぶべきか)で一昨年ブレイクを果たした、一代前の若手の旗手だ。

イヴァノフは自らの価値を上げるだけ上げておくべき勃興期に突き抜け切れずそのまま階級の序列に収まってしまった感があるが、それでも中位集団からは頭一つ抜け出している。両選手とも嵌ったときの爆発力は凄まじいものがあり、トーナメントの顔ぶれを見る限りその「ゾーン」が出現したときに対抗できる選手は見当たらない。

とはいえ、最近の傾向として81kg級は荒れたトーナメントになりやすいので(パリではデヴィト以外の有力選手が序盤で全滅した)終わってみたらドミニク・レッセル(ドイツ)やラズロ・チョクナイ(ハンガリーが)優勝していたなどという展開も十分に起こり得る。ハッキリした勢力図の割には気の抜けないトーナメントだ。不確定要素としては今大会から階級を上げて参加している73kg級の強者ヌグザリ・タタラシヴィリ(ジョージア)と2011年パリ世界選手権銀メダリストのスルジャン・ムルバイエヴィッチ(モンテネグロ)の名前を上げておきたい。

佐藤正大(国士舘大4年)は前述のイヴァノフの直下に配され2回戦で早くも対戦しなければならないという厳しい配置からのスタート。奇しくもグランドスラム東京大会で渡邊勇人(了徳寺学園職)が置かれた、全く同じ位置関係である。永瀬貴規(旭化成)以外が誰も国際大会で結果を残せていない現状を考えると、佐藤が国内の序列を登るためには何よりも結果が必要になる。イヴァノフに敗れると敗者復活戦にすら進めずに予選ラウンド敗退となる厳しい組み合わせだが、ここは越えなければならない壁だと腹を括って思い切りの良い試合を期待したい。

【プールA】
第1シード:フランク・デヴィト(オランダ)
第8シード:パプ ドゥドゥ・エンジャイ(フランス)

【プールB】
第4シード:アッティラ・ウングバリ(ハンガリー)
第5シード:ラズロ・チョクナイ(ハンガリー)
有力選手:ヌグザリ・タタラシヴィリ(ジョージア)、ニコラス・デルポポロ(アメリカ)

【プールC】
第2シード:イヴァイロ・イヴァノフ(ブルガリア)
第7シード:ドミニク・レッセル(ドイツ)
日本選手:佐藤正大(国士舘大4年)

【プールD】
第3シード:アスラン・ラピナゴフ(ロシア)
第6シード:スルジャン・ムルバイエヴィッチ(モンテネグロ)

■ 63kg級・トルステニャクとアグベニューが継続参戦、日本勢2人はどちらも準々決勝で二強に挑戦
(エントリー23名)

階級の二強であるティナ・トルステニャク(スロベニア)とクラリス・アグベニュー(フランス)がグランドスラム・パリ大会に続いて継続参戦。地元ドイツのマルティナ・トライドス(ドイツ)も参加しており、パリに続いて準世界選手権とでも呼ぶべき超豪華トーナメントが出現した。トルステニャクとアグベニューの2人は先日死闘を演じたばかりであり、ライバルと再戦する可能性のある今大会に両者が揃って出場したことは驚きと言うほかない。出るからにはどちらも相当気合を入れて準備をしているはずであり、両者の対戦が実現すればまた白熱した激戦となること必至である。鍋倉那美(三井住友海上)と津金恵(筑波大3年)の日本勢2人はともに準々決勝でこの二強と対戦予定。

鍋倉は昨年行われたグランプリ・ブダペスト大会の決勝でトルステニャクを破っている(右大外刈「有効」で勝利)が、そのときのトルステニャクは両組みを試すような粗い戦い方をしており恐らく本気ではない。ライバルのアグベニューが出場している今回はトルステニャクも本気の勝負を挑んでくるはずであり、トルステニャクが昨年と比べて明らかに一回り強くなっていることも考慮すると相当厳しい戦いになりそうだ。

一方の津金は準決勝でアグベニューとマッチアップ。日本勢が全く勝てていない強敵(2010年のグランプリ・デュッセルドルフ大会で谷本育実(コマツ)が勝利したのが最後)だが、なんとか本戦の4分間をしのぎきって一太刀で勝負が決まるGSの延長戦まで引きずり込みたいところ。両者が消耗しきった状態であれば、切れ味鋭い技を持つ津金にもチャンスがあるはずだ。津金はアグベニューに挑戦する前に2回戦で2015年の学生王者である渡邊聖未(フィリピン)と対戦せねばならず、国際大会の序列が通用しない(学生カテゴリの序列で戦うことになる)難敵ではあるが、アグベニューと万全の状態で戦うためにもここをできるだけ消耗少なく勝ち上がりたいところだ。とはいえもっか渡邉は絶好調、グランドスラムパリ3位にヨーロッパオープン・オーバーヴァルト2位と立て続けに好成績をたたき出しており、もはや国際的な序列からの予想では渡邉を推さざるを得ない状況。今シリーズ明らかに一皮むけた渡邉の実力見積もりという観点でも見逃せない一番だ。

この階級は田代未来(コマツ)以外に海外の強豪と五分に戦えている選手がおらず、先に冬季欧州シリーズに挑んだ嶺井美穂(桐蔭横浜大1年)と能智亜衣美(筑波大3年)も結果を出すことが出来なかった。この陣容で鍋倉と津金のどちらかが優勝するようなことがあれば(下手をすれば田代すらも飛び越えて)一息に序列1位まで上りつめる可能性もあり、結果次第で国内の勢力図が一気に変わりかねない陣容の豪華さに引けを取らない非常に重いトーナメントだ。

【プールA】
第1シード:ティナ・トルステニャク(スロベニア)
第8シード:鍋倉那美(三井住友海上)

【プールB】
第4シード:カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)
第5シード:マルティナ・トライドス(ドイツ)

【プールC】
第2シード:クラリス・アグベニュー(フランス)
第7シード:渡邊聖未(フィリピン)
日本選手:津金恵(筑波大3年)

【プールD】
第3シード:マリアナ・シウバ(ブラジル)
第6シード:ルーシー・レンシャル(イギリス)

■ 70kg級・優勝候補は新井千鶴、新添は準々決勝で因縁のマリーイヴ・ガイと対戦
(エントリー23名)

今回もユリ・アルベール(コロンビア)とキム・ポリング(オランダ)らトップ2の出場はなく、陣容を見る限り新井千鶴(三井住友海上)が頭一つ抜け出したトーナメントとなった。新井はグランドスラム・パリ大会で一回りたくましくなった戦いぶりを披露しており、今大会でもしっかりと優勝を果たして世界選手権に向けて足場を固めたいところだ。組み合わせを見る限りはつまずくような選手は存在せず、まずはしっかりと決勝まで勝ち上がりたい。

新井の対抗馬になりうる選手は新添左季(山梨学院大2年)だけ。新添はグランドスラム・パリ大会で早くも階級の序列の泥濘に足を取られてしまい表彰台に登ることができなかったが、今大会では新井にこれ以上差をつけられないためにもなんとか決勝の直接対決までたどり着きたいところだ。新添の組み合わせ上の山場は準々決勝のマリーイヴ・ガイ(フランス)戦で、グランドスラム・東京大会では新添が豪快な右内股「一本」(1:01)、反対にパリ大会ではガイが縦四方固「一本」(2:48)でそれぞれ勝利している。直近のパリ大会ではガイのパワーの前に新添が何もさせてもらえずに敗れており、わずか2週間しか空いていないが新添がどのような対抗策を持ち込んでくるのかに注目だ。柔道が単調になって来た新添の、今後の伸びしろを見積もるという意味でも戦い方それ自体が大注目である。少年柔道以来の直ぐなスタイルを貯金として大学進学後も成長し続けた新添だが、次の段階に進む必須要素としての「勇気」や「知性」を垣間見せられるか。ガイは年齢的にも今後国際大会に出る限り必ず戦わなければいけない相手。勝ち負けを超えた面白い試合に期待したい。

全日本女子チーム全体の状況に鑑みると、新添には世界選手権への2枠目出場の可能性も十分に残されており、今大会で結果を出してアピールをしたいところだ。

【プールA】
第1シード:新井千鶴(三井住友海上)
第8シード:スザンドラ・ディードリッヒ(ドイツ)
有力選手:アンナ・ベルンホルム(スウェーデン)

【プールB】
第4シード:アッスマ・ニアン(モロッコ)
第5シード:サンネ・ファン ダイク(オランダ)

【プールC】
第2シード:マリー イヴ・ガイ(フランス)
第7シード:新添左季(山梨学院大2年)

【プールD】
第3シード:エルヴィスマール・ロドリゲス(ベネズエラ) ※今大会はIJF所属での出場
第6シード:バルバラ・マティッチ(クロアチア)


文:林さとる/古田英毅

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