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グランドスラムパリ2017・第1日男子3階級(60kg級、66kg級、73kg級)レポート

(2017年2月12日)

※ eJudoメルマガ版2月12日掲載記事より転載・編集しています。
第1日男子3階級(60kg級、66kg級、73kg級)レポート
グランドスラムパリ2017
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決勝、髙藤直寿がルトフィラエフを一本背負投で攻める

■60kg級・髙藤直寿が全試合一本勝ちでハイレベルトーナメント制覇。永山、キア、ウロズボエフら爆発力あるジョーカーは上位に進めず。

(エントリー41名)

【入賞者】
1.TAKATO, Naohisa(JPN)
2.LUTFILLAEV, Sharafuddin(UZB)
3.PAPINASHVILI, Amiran(GEO)
3.SAFAROV, Orkhan(AZE)
5.KIM, Channyeong(KOR)
5.TAKABATAKE, Eric(BRA)
7.LIMARE, Vincent(FRA)
7.PLAFKY, Moritz(GER)

リオ五輪銅メダリストの髙藤直寿(パーク24)が人材揃ったハイレベルトーナメントを全試合一本勝ちの圧勝で制した。初戦こそヴィンセント・マンクエスト(フランス)という明らかな格下相手にわざわざ得意の「際」を作りに行ってピンチを迎えるなどチャンスとリスクの収支バランス合わぬ危なっかしい戦いぶりであったが、この試合を一本勝ちすると以降は尻上がり。続く3回戦も一本勝ち、準々決勝ではリオ五輪で苦杯を喫したアミラン・パピナシビリ(ジョージア)を素晴らしい切れ味の小内刈「一本」、準決勝では第2シードのオルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)との激しい投げ合いを一本背負投「一本」で制して決勝進出決定。山場のパピナシビリ戦とサファロフ戦を乗り越えて後は結果を残すのみの決勝、シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)戦は左小内刈「技有」に崩袈裟固「一本」で圧倒。見事優勝の栄に輝いた。

この日は生命線である左小内刈の切れ味が抜群、良い時の髙藤の典型という試合であった。数々ある髙藤の長所のうち、相手の想像を超える変則技や空中バランスを生かした「際」が生きる突貫技などの変化球でなく、前後左右のコンビネーションを生かした足技という王道の組み立てを前面に押し出して勝ったことを高く評価したい。もともと髙藤最大の長所はどの方向にでも投げがある全方位性であり、これがもっとも生きるのはやはり組み合っての試合構成。才能を生かした変則技はあくまでこの土台の上に積み上げる「足し算」であるべきだ。かつて次々新技を繰り出してセンセーションを巻き起こした時期の髙藤が「次は“二本組んで投げる”ことを目指したい」とのビジョンを語っていたことがあったが、あれから2年。五輪は終わってしまったが、今大会はもっともその意図に叶う試合ぶりだったのではないだろうか。準決勝でサファロフに食った後述「四段重ねの攻防の末の払腰」は明らかに髙藤を研究していたがゆえの一撃であったが、それでも結果勝ち切ったのは髙藤が「組み合って投げる」地力の高さで相手の上を行ったからに他ならない。あくまで投げねば勝てないデスマッチ形式の新ルール下、非常に興味深い髙藤の圧勝劇であった。

一方才能溢れる異能者が揃ったAブロックでは、まさにその「自爆系」のタレントたちがことごとく脱落。ディヨロベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)とのドつき合いに敗れてしまった永山竜樹はともかく、以降の内容と運命はまさしく髙藤と対照的。ウロズボエフは無名選手のモリッツ・プラフキー(ドイツ)との3回戦で、相手の左腰車を受けた際に抱きかかえながら頭から飛び込んで縦回転で返そうという突貫技を試みたところ、プラフキーがザンタライア風の前転回避を決行。回転が終わった時にはプラフキーの方が「上にいた」という体で「技有」失陥、以後猛攻も「極端な防御姿勢」による「指導」獲得のみで、なんと予選ラウンド敗退に終わることとなった。密着一発技で売り出したワリーデ・キア(フランス)も3回戦のキム・チャンヨン(韓国)戦で「指導」2つをリードしながら迎えたGS延長戦のさなか、相手のクロス組み手に我慢出来ず強引に裏投決行、持ち上げたまま相手の体に乗り込まれて「技有」を失い畳を去ることになった。まさしくチャンスとリスクの「収支が合わなかった」ウロズボエフとキアの自爆に様相は端的、永山、ウロズボエフ、キア、ベキル・オズル(トルコ)と魅力的な才能が揃ったこのブロックからは、柔道的には大して面白味のないキム・チャンヨンが勝ち上がることとなってしまった。

結果、表彰台には髙藤、ルトフィラエフ、サファロフにパピナシビリと「いつもの顔」が揃った。才能系の新鋭たちの陥落をよそに、地力ある超強豪選手がしっかり結果を得たという大会であった。

準々決勝と準決勝の結果、および決勝ラウンドと日本選手全試合の戦評は下記。

【準々決勝】
キム・チャンヨン(韓国)〇優勢[技有・浮落]△モリッツ・プラフキー(ドイツ)
シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)〇GS反則[指導3](GS1:21)△エリック・タカバタケ(ブラジル)
オルカン・サファロフ(アゼルバイジャン)〇優勢[技有・内股]△ヴィンセント・リマール
髙藤直寿○小内刈(0:43)△アミラン・パピナシビリ(ジョージア)

【準決勝】
シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)〇GS反則[指導3](GS1:21)△キム・チャンヨン(韓国)
髙藤直寿○一本背負投(3:50)△オルカン・サファロフ(アゼルバイジャン)

【3位決定戦】

オルカン・サファロフ(アゼルバイジャン)〇優勢[技有・谷落]△エリック・タカバタケ(ブラジル)
タカバタケは左組み、左右の利くサファロフはまず右構えをベースに試合をスタート。極端に慎重な手先の組み手争いが続き、最初の1分で放たれた技はサファロフが組み際に撃った右体落一発のみ。58秒にタカバタケがサファロフの組み手を両袖に絞り落とすと、主審たまりかねて消極的との咎でタカバタケに「指導1」。以後は力関係に自信のあるサファロフが前進、タカバタケが座り込みの担ぎ技と組み手の切り離しでなんとか決着を先送りするという構図。残り1分、サファロフが左腕を肩越しクロスに入れ、返す刀で右体落を放つとタカバタケに2つ目の「指導」。最終盤にサファロフは再び左構えで左を肩越しに入れるクロス組み手、タカバタケが嫌うと相手の左袖を右、左と手繰って持ち替えて送り込み、最後は後ろ襟を右で引き落としなから右小外掛。奥脚まで届いたこの一撃から体を捨てて谷落「技有」。残り時間はほとんどなく、これが決勝点となってサファロフの勝利が決まった。

アミラン・パピナシビリ(ジョージア)○優勢[技有・浮落]△キム・チャンヨン(韓国)
右相四つ。パピナシビリがクロスグリップでキムを2度潰すと、1分48秒にキムに「指導」が与えられる。奮起したキムは肩車でパピナシビリを大きく崩すが、パピナシビリが腹這いで凌いでノーポイント。パピナシビリは以後もクロスグリップを効果的に利用して試合を優位に展開、3分3秒にはキムの右大外刈を透かして浮落「技有」を獲得する。以後パピナシビリは守勢に回る悪い癖が出て立て続けに2つの「指導」を失ったものの、なんとか試合終了。パピナシビリが「技有」優勢で順当に勝利、表彰台を確保した。

【決勝】

髙藤直寿○後袈裟固(3:11)△シャラフディン・ルトフィラエフ(アゼルバイジャン)
左相四つ。序盤は両者袖を絞り合う膠着状態が続く。1分過ぎからルトフィラエフが奥襟を持っての密着を狙うが、髙藤は組み際の左大内刈でこれを凌いでペースを崩さず。1分50秒、ルトフィラエフがクロスグリップを試みると髙藤は抱き付きの左大内刈で素早くリアクション。しかしルトフィラエフは帯取返風の支釣込足でこれを迎え撃ち、髙藤を大きく崩して畳に這わせる。2分0秒、髙藤が十分間合いを測って思い切った左内股、これでルトフィラエフに後方へのリアクションを強いると戻り際に力強く左小内刈を叩きこむ。仰け反ったまま髙藤の体を抱く形になったルトフィラエフ耐え切れず畳に落下「技有」。相手が良く見えている髙藤はさらにルトフィラエフが焦って組み付いてきたところに左一本背負投を合わせ、崩れた相手をガッチリ後袈裟固で抑え込む。ルトフィラエフが「参った」を表明し3分11秒試合決着。髙藤は全試合一本勝ちで優勝決定。

【日本代表選手勝ち上がり】

髙藤直寿(パーク24)
成績:優勝

[2回戦]
髙藤直寿○崩袈裟固(2:41)△ヴィンセント・マンクエスト(フランス)
左相四つ。マンクエストが組み際に先手攻撃を仕掛け、髙藤がカウンターを狙う形で試合が進行。髙藤はマンクエストの低い右体落に反応良く左内股を合わせるが、しかし反対に透かされてしまい勢い良く腹から畳に落ちるピンチ。続いてマンクエストが釣り手をクロスに入れるとこれもスイッチを押されたかのように早いリアクションで裏投一発、しかし今度は右小外掛に切り替えされて自分が尻餅を着いてしまいあわやポイント失陥という危機を迎える。ここまでは小さいチャンスに大きなリスクを冒して自ら危機に陥っている印象、今後が不安になる危うい立ち上がり。しかし格上の相手と戦えていることに安堵したかマンクエストがやや鷹揚に組み手を展開すると、髙藤はすかさず右一本背負投に飛び込み「技有」を奪取。そのまま「秋本返し」から崩袈裟固で抑え込むと、腕を負傷したマンクエストが「参った」を表明。髙藤、やや空回りの印象はあったがしっかり「一本」で初戦突破を決めた。髙藤のストロングポイントは投げ際落ち際における競り合いの強さだが、それがもっとも生きるステージである一か八かの「際」を、その必要がない格下にまで作りに出てしまい周囲をハラハラさせた形の試合。髙藤の魅力と危うさが交互に顔を出した非常に「らしい」一番であった。

[3回戦]

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