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グランドスラムパリ2017・最終日男子4階級(81kg級、90kg級、100kg級、100kg超級)プレビュー

(2017年2月11日)

※ eJudoメルマガ版2月11日掲載記事より転載・編集しています。
最終日男子4階級(81kg級、90kg級、100kg級、100kg超級)プレビュー
グランドスラムパリ2017
■ 81kg級・優勝候補不在の戦国トーナメント、期待の渡邉勇人は怪我で無念の欠場
(エントリー36名)

ロンドン-リオデジャネイロ期にトップを走って来たアブタンディル・チリキシビリ(ジョージア)が90kg級に階級を変更。もともと実力者が多い階級であるが、階級の軸が抜けて序列の再編待ったなしとなった状況を反映してか混戦状況は一段加速、明確な優勝候補が不在の戦国トーナメントとなった。チリキシビリとともに階級の顔である永瀬貴規は遠征メンバーに含まれておらず、講道館杯とグランドスラム東京の戦いぶりから今後の主役級と期待された渡邉勇人(了徳寺学園職)は当初出場予定も左膝前十字靭帯の損傷により欠場となった。

【プールA】
第1シード:イヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)
第8シード:ドミニク・レゼル(ドイツ)
有力選手:ダフラト・ボボノフ(ウズベキスタン)

イヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)の山。敵となるような選手は見当たらず、そのままイヴァノフが勝ち上がると予想する。イヴァノフの柔道スタイルは東欧の密着柔道にヨーロッパの寝技や捨身技をプラスした折衷様式。爆発力も備えており、予選ラウンドを良い内容で勝ち上がればそのまま優勝を攫ってしまう可能性も高い。

【プールB】
第4シード:アラン・クベトソフ(ロシア)
第5シード:ヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)
有力選手:ヤロミール・イェツェク(チェコ)

Bシードに配されたヴィクトール・ペナウベル(ブラジル)が勝ち上がりの第1候補。アラン・クベトソフ(ロシア)がAシード位置に座っているが、この人はリオデジャネイロ五輪前後の空白期にツアーで優勝を重ねた新興勢力で、高いシード順に比するほどの地力はまだない。ペナウベルが背負投に拘り過ぎて自滅しない限り、勝ち上がる可能性が濃厚と呼んでおくべき。

【プールC】
第2シード:セルジュ・トマ(UAE)
第7シード:ラズロ・チョクナイ(ハンガリー)
有力選手:タマジ・キラコザシビリ(ジョージア)、イワン・ヴォロベフ(ロシア)

リオデジャネイロ五輪銅メダリストのセルジュ・トマ(UAE)の山。トマは同大会で優勝候補筆頭の永瀬貴規(旭化成)を破った階級屈指の戦術派、技の引き出しも多く状況に応じて様々な技を使い分ける事が出来る面白い選手だ。対抗馬としては下側のブロックに配されたイワン・ヴォロベフ(ロシア)を挙げておくべきかと思われる。ヴォロベフは様々な小外刈のバリエーションを持っているパワーファイター。既にピークを過ぎた印象はあるが、体の強さは健在であり新ルールとの相性は良いはず。最終的には総合力で勝るトマが勝利すると予想されるが、新ルールの下で戦術派のトマが一芸の爆発力が売りのヴォロベフとどのように戦うのかに注目したい。

【プールD】
第3シード:ニャムスレン・ダグヴァスレン(モンゴル)
第6シード:フランク・デヴィト(オランダ)
有力選手:ニコラス・デルポポロ(アメリカ)

シード位置に配されたニャムスレン・ダグヴァスレン(モンゴル)とフランク・デヴィト(オランダ)が勝ち抜け候補。ともに体の強さが持ち味の選手だが、器用さではダグヴァスレンが一枚上手と思われる。デヴィトの潜在能力は高く買われるべきだが、ここはダグヴァスレンの勝ち上がりと予想したい。

■ 90kg級・怪獣グヴィニアシビリが100kg級から復帰、長澤憲大はその直下に配される厳しい組み合わせ
(エントリー33名)

2015年ワールドマスターズチャンピオンのベカ・グヴィニアシビリ(ジョージア)が90kg級に復帰。これまでヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)との競合を避けて100kg級に出場していたが、リパルテリアニが階級を上げたことで再び90kg級に階級を戻したようだ。グヴィニアシビリはリオデジャネイロ五輪に100kg級代表として出場しており、優勝候補の一角にも挙げられていた。かつて90kg級のトーナメントにおいては怪獣が紛れ込んだような存在感を放っており、一度上の階級で揉まれたグヴィニアシビリがどのような戦いぶりを披露するのかに大いに注目しておきたい。2014年チェリャビンスク世界選手権81kg級チャンピオンのアブタンディル・チリキシビリ(ジョージア)も今大会から90kg級に階級を変更。もともと線が細いイメージがあるが、上の階級でどの程度戦えるのかまず今大会の出来に注目したい。日本期待の長澤憲大(パーク24)はグヴィニアシビリの直下に配され、準々決勝でも2015年アスタナ世界選手権チャンピオンのガク・ドンハン(韓国)と戦わねばならないというトーナメント中で最も厳しい配置となった。グヴィニアシビリに敗れると敗者復活戦に進むことすら出来ず、初戦の相手は曲者ナシフ・エリアス(レバノン)という文字通りの地獄だ。ただ、これは裏返せば階級の序列を一気に駆け上がるチャンスでもある。長澤の奮戦に期待したい。

【プールA】
第1シード:アクセル・クルジェ(フランス)
第8シード:マックス・スチュワート(イギリス)
有力選手:アブタンディル・チリキシビリ(ジョージア)、ヤキョー・イマモフ(ウズベキスタン)

アクセル・クルジェ(フランス)が地元開催の今大会で第1シードの誉れを得た。クルジェの初戦の相手はチリキシビリ。この試合の勝者がそのままこ準決勝まで勝ち上がる可能性が高く、チリキシビリの出来も含めて序盤の最注目試合の一つだ。

【プールB】
第4シード:ミハエル・ツガンク(スロベニア)
第5シード:アレクサンドル・イディー(フランス)
有力選手:ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)

直下のプールCと比べると天国のような山。地元フランスのエースであるアレクサンドル・イディー(フランス)が唯一絶対の勝ち抜け候補だ。

【プールC】
第2シード:ガク・ドンハン(韓国)
第7シード:ベカ・グヴィニアシビリ(ジョージア)
有力選手:マルク・オーデンタール(ドイツ)、ナシフ・エリアス(レバノン)
日本選手:長澤憲大(パーク24)

前述の通り優勝候補3人が詰め込まれた死の山。事前予測としてはここを勝ち抜いた選手がそのまま優勝するものと考えるのが妥当。どの試合も目が離せない最注目ブロックだ。

【プールD】
第3シード:チェン・シュンジャオ(中国)
第6シード:コムロンショフ・ウストピリオン(タジキスタン)
有力選手:ニコロス・シェラザディシビリ(スペイン)、オーヘリアン・ディエス(フランス)

リオデジャネイロ五輪銅メダリストのチェン・シュンジャオ(中国)がAシード配置。チェンはリオデジャネイロ五輪において所謂「一本大外」で豪快極まりない一本勝ちを連発、強豪を倒しまくってトーナメントを荒らした同大会の主役の一人であった。この山を突破出来るかどうかが、チェンが今後も強豪として定着で出来るかを図る一つの判断基準となるだろう。「一本大外」という奇襲要素の強い技が、その存在を周知された今大会においても威力を発揮できるのかに、まず注目だ。

■ 100kg級・強豪ひしめく超豪華トーナメント、飯田健太郎は2回戦でママドフと対戦
(エントリー36名)

五輪後の休養期間から強豪が一気に復帰、60kg級に負けないハイレベルトーナメントとなった。
優勝候補はリオデジャネイロ五輪銅メダリストのシリル・マレ(フランス)。マレは実力者だが歩留まりが良い優等生タイプで、通常であればこの陣容で優勝候補に名前が上がる選手ではない。しかし、ご存じの通り「パリのマレ」は全くの別人である。地元の声援に後押しされたマレはこのグランドスラム・パリ限定で異様な強さを誇っており、なんと2014年から本大会を3連覇中。今回は五輪でメダルを獲得しての凱旋出場でもあり、いつも以上に気合が入っているはずだ。
日本期待の飯田健太郎(国士舘高3年)は比較的戦いやすいプールBに振り分けられた。2回戦で対戦予定のエルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)は2013年リオデジャネイロ世界選手権のチャンピオン。現在34歳のベテラン選手でここ2年は成績こそ残せていないが、試合運びの巧さは円熟味を増しており油断することは出来ない。飯田の実力であれば十分攻略可能な相手であり、まずはここをしっかり勝って流れに乗りたいところだ。

【プールA】
第1シード:エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)
第8シード:カール リヒャード・フレイ(ドイツ)
有力選手:ホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)、ミキタ・スヴィリド(ベラルーシ)、イ・ギュウォン(韓国)、ミコロス・シルジェニックス(ハンガリー)

リオデジャネイロ五輪銀メダリストのエルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)がAシード配置。直下には階級屈指の業師であるホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)と2009年ロッテルダム世界選手権チャンピオンのイ・ギュウォン(韓国)が詰め込まれており、第1シードとは名ばかりのまことにハードな組み合わせだ。その一方で2014年アスタナ世界選手権銀メダリストのカールリヒャード・フレイ(ドイツ)がシードを張る下側のブロックはほとんど無風。初戦でミコロス・シルジェニックス(ハンガリー)との対戦が組まれているが、この選手は五輪前後の空白期間に台頭してきた新興勢力でフレイの敵ではないはずだ。勝ち上がりの第1候補はガシモフだが、盤面上有利なのはフレイ。荒れたト-ナメントになればフレイが勝ち上がる可能性も十分にある。

【プールB】
第4シード:エルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)
第5シード:アドラン・ビスルタノフ(ロシア)
有力選手:ラファエル・ブザカリニ(ブラジル)、イワン・レマレンコ(UAE)、ヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)
日本選手:飯田健太郎(国士舘高3年)

ママドフの山。前述の通り飯田は2回戦でママドフと対戦することになる。柔道スタイルが比較的素直ママドフは戦い易い相手だと思われるので、可能であれば「一本」を奪って勝利したい。3回戦の相手は恐らくラファエル・ブザカリニ(ブラジル)。ブザカリニはリオデジャネイロ五輪で羽賀を手こずらせた粘戦ファイターであり、羽賀との距離を測る上でこれ以上ない試金石となるはずだ。
下側のブロックでシード位置に座るのは戦術派のアドラン・ビスルタノフ(ロシア)。しかし、このブロックにはノーシード位置に今大会から階級を上げたリオデジャネイロ五輪90kg級銀メダリストのヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)が配されており、こちらが勝ち上がりの本命と考えておくべきだろう。リパルテリアニは様々なバリエーションを持つ「巻き込み師」であり、体が大きくなった分この技の威力が増していることが予想される。まずは初戦となるスルタン・マニア(サウジアラビア)戦の戦いぶりに注目したい。
そしてこの山の勝ち上がり候補は飯田。決して楽な組み合わせではないが、スーパートップレベルの選手は含まれておらず、飯田の実力ならば十分に勝ち抜くことが出来るはずだ。

【プールC】
第2シード:シリル・マレ(フランス)
第7シード:ディミトリ・ペータース(ドイツ)
有力選手:ソイブ・クルボノフ(ウズベキスタン)、キリル・デニソフ(ロシア)、トマ・ニキフォロフ(ベルギー)、グリゴリ・ミナシキン(エストニア)

マレの山。ノーシード位置にはグランドスラム東京で優勝を果たしたキリル・デニソフ(ロシア)が配されている。デニソフは昨年のグランドスラム東京で優勝を果たして長身の相手への適性を示したが、今大会では初戦でディミトリ・ペータース(ドイツ)との対戦が組まれた。ペータースはパワーとサイズがあり寝技も巧みな階級きっての本格派。100kg級に階級を挙げて以降勝ちまくっている形のデニソフがこの選手を相手にどこまで戦えるのかに注目したい。ペータースを圧倒出来るようであれば、本物だ。

この山の勝ち上がり候補はマレ。実力ではペータースが頭一つ抜けているが、「パリのマレ」出現の可能性が高いことを考慮すると十分に逆転可能な差である。

【プールD】
第3シード:ホセ・アルメンテロス(キューバ)
第6シード:ミハエル・コレル(オランダ)
有力選手:ズラトコ・クムリッチ(クロアチア)、ルシアーノ・コヘア(ブラジル)

最も戦いやすい山。2014年チェリャビンスク世界選手権銀メダリストのホセ・アルメンテロス(キューバ)が勝ち抜け候補の第一。アルメンテロスは低く差し込むように潜り込むキューバ式背負投の使い手であり、調子が良いときにはこの技で「一本」を量産する。対抗馬となるような選手はおらず、アルメンテロスが順当に勝ち上がるはずだ。不確定要素はこの一年の低空飛行の因となった膝の負傷が癒えているかどうか。

■ 100kg超級・主要選手が勢揃い、日本勢同士の決勝実現なるか
(エントリー29名)

現在の100kg超級は絶対王者のテディ・リネール(フランス)が頂点に君臨し、その後をリネール追撃の旗手である原沢久喜(中央競馬会)とオール・サッソン(イスラエル)の2人が追っている状態にある。これら3選手は揃って今大会への出場を回避したが、それ以外の主要選手ほぼ全員が参戦、階級4番手の序列を争う非常にハイレベルなトーナメントとなった。

日本代表の七戸龍(九州電力)はプールAに配され初戦でレヴァニ・マティアシビリ(ジョージア)と対戦。短躯で担技のある厄介な相手だが、しっかりと勝って勢いをつけたいところだ。七戸の組み合わせ上の山場は準々決勝のダニエル・ナテア(ルーマニア)戦にある。昨年のワールドマスターズでブレイクしたナテアはムラ気のある選手だが、巨体から放たれる巻き込みは威力抜群。プールBの陣容を見る限りここを突破すれば七戸の決勝進出はほぼ確実で、昨年来の不調を脱するためにも必ず勝っておきたい一番だ。

王子谷剛志(旭化成)は準々決勝でロイ・メイヤー(オランダ)と対戦。メイヤーは柔道スタイル自体に癖はないが、担ぎ技を連発して正面突破で手数を稼いでくる難敵であり、攻めの遅さが課題の王子谷にとっては戦いにくい相手だ。さらに準決勝では戦術派の巨漢ラファエル・シウバ(ブラジル)が待ち構えており、非常に厳しい戦いが予想される。このトーナメントは七戸、王子谷ともに世界選手権の代表を目指すためには決して負けられない「本番想定」の陣容。両者による決勝の実現に期待したい。

【プールA】
第1シード:ダニエル・ナテア(ルーマニア)
第8シード:レヴァニ・マティアシビリ(ジョージア)
有力選手:アレクサンドル・ミハイリン(ロシア)
日本選手:七戸龍(九州電力)

勝ち上がり候補は七戸。詳細は前述の通りだ。七戸と逆側のブロックでは37歳のアレクサンドル・ミハイリン(ロシア)がグランドスラム東京に続いて出場しており、2回戦ではナテアと対戦する。ミハイリンの技とナテアのパワーの対決は前半戦の大きな注目ポイントだ。

【プールB】
第4シード:ファイセル・ヤバラー(チュニジア)
第5シード:ダヴィド・モウラ(ブラジル)
有力選手:スヴェン・ハインル(ドイツ)、アレクサンドル・ヴァカヴィアク(ベラルーシ)、ユーリ・クラコベツキ(キルギスタン)

Aシード選手はファイセル・ヤバラー(チュニジア)。しかし、ヤバラーは持ち味のパワーが衰えて来ており、実際の勝ち上がり候補はBシード選手のダヴィド・モウラ(ブラジル)と考えるべきだろう。モウラはシウバがいたためにリオデジャネイロ五輪に出場できなかったが、階級に似合わぬ身のこなしを誇る強豪選手。鋭い巴投は一見の価値ありだ。この他に特筆すべき選手はユーリ・クラコベツキ(キルギスタン)。「キルギスタンの上川大樹」とでも言うべきか、この選手は全ての技が切れ味抜群。業師タイプの例に漏れず勝負への淡泊さも目立つが、一発の威力でトーナメントを荒らす可能性十分だ。

【プールC】
第2シード:ロイ・メイヤー(オランダ)
第7シード:王子谷剛志(旭化成)
有力選手:アンドレ・ブライトバルト(ドイツ)、アレックス・ガルシア メンドーサ(キューバ)

王子谷の山。勝負どころは概況でも触れたとおり準々決勝のメイヤー戦。2回戦でアレックス・ガルシア メンドーサ(キューバ)との対戦が組まれているが、実力差を考えればここは問題ないはず。

【プールD】
第3シード:ラファエル・シウバ(ブラジル)
第6シード:アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)
有力選手:ウサンジ・コカウリ(アゼルバイジャン)

シウバの山。ヴォルコフ、コカウリともグランプリレベルでは十分な存在感を放つ強豪であるが、ここまで粒が揃ったトーナメントではそのネームバリューは目減り。シウバの出来は人生最高のパフォーマンスであったリオ五輪時からいくらか減算して想定するべきであろうが、それでも対抗し得る選手は見当たらない。


文:林さとる/古田英毅

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