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グランドスラムパリ2017・第1日男子3階級(60kg級、66kg級、73kg級)プレビュー

(2017年2月10日)

※ eJudoメルマガ版2月10日掲載記事より転載・編集しています。
第1日男子3階級(60kg級、66kg級、73kg級)プレビュー
グランドスラムパリ2017
グランドスラムパリ2017は2月11日(土)と12日(日)の両日、今年も聖地ベルシー体育館(現ACCORHOTELS ARENA)で世界61か国から412名の選手が集結して行われる。

新年度最初のビッグイベントである今大会はリオデジャネイロ五輪後の休養期間を経て海外の強豪が一気に戦線に復帰し、12月のグランドスラム東京までの寂しさが嘘のような豪華な顔ぶれが揃った。4年後の東京五輪に向けての国際的な序列再編はいよいよ今大会から本格スタート、日本勢も今季の世界選手権代表第3次選考として一線級を送り込んでおり、みどころは尽きない。

そして今大会には単なる「勝ち負け」を超えた一大トピックがある。最大の注目点は、1月から試行されている新ルールが、最初のビッグトーナメントであり一流選手が本気で勝ちに来るこの場でどのように運用され、また各国選手がどのように対応してくるかに他ならない。投げによる「一本」の狙い合いという性善説シナリオの一方でネガティブファクターの一として危惧されている想定戦術「変則組み手からの一方的な大技連発」の卸元であるジョージアが一線級を揃えて参加していることもあり、競技、そして審判トレンドと畳上から得られる情報量は莫大。各階級の激戦を、刮目して見守りたい。

■ 60kg級・役者揃った超豪華トーナメント、永山は異能者揃う死の山に配される
(エントリー41名)

前述の「休養期間を経て強豪が一気に復帰」という大会全体の傾向が最も端的に表れた階級。通常では考えられないような超豪華トーナメントが実現した。グランドスラム東京王者の永山竜樹(東海大2年)は階級の異能者ばかりが集められたプールAに配置され、2回戦で早くもリオデジャネイロ五輪銅メダリストの自爆系大技ファイター・ディヨルベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)と対戦することになる。ここで敗れると予選ラウンド敗退という厳しい組み合わせだが、この試合さえ勝ち抜けば決勝戦進出の可能性は十分だ。髙藤直寿(パーク24)は比較的楽なプールDに配されたが、準々決勝ではリオデジャネイロ五輪で敗れたアミラン・パピナシビリ(ジョージア)と対戦する可能性が濃厚。決勝戦で永山と対戦するためにも、ここはしっかりと勝って借りを返しておきたい。

【プールA】
第1シード:ディヨルベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)
第8シード:ベキル・オズル(トルコ)
有力選手:フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)、ワリーデ・キア(フランス)
日本選手:永山竜樹(東海大2年)

ウロズボエフを筆頭に、永山、ベキル・オズル(トルコ)、ワリーデ・キア(フランス)と常人には考えが及ばない独特の柔道スタイルを持った選手が集まった。ウロズボエフ対永山の勝者がそのまま勝ち上がる可能性が高いが、全員が一発を持っておりどの試合からも目が離せない非常に面白いブロックだ。

【プールB】
第4シード:シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)
第5シード:エリック・タカバタケ(ブラジル)
有力選手:アスカット・テルマノフ(カザフスタン)、ロバート・ムシュビドバゼ(ロシア)、セドリック・レヴォル(フランス)

シード選手はシャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)とエリック・タカバタケ(ブラジル)の2人だが、実際の勝ち抜け候補はロバート・ムシュビドバゼ(ロシア)。ムシュビドバゼは年末に行われたグランドスラム東京で素晴らしいパフォーマンスを見せており、不定形とでも呼ぶべき「形を選ばない」柔道スタイルにはぜひ注目しておいてもらいたい。

【プールC】
第2シード:オルカン・サファロフ(アゼルバイジャン)
第7シード:ヴィンセント・リメール(フランス)
有力選手:チョ・インヒュク(韓国)

最も楽なブロック。2回戦のオルカン・サファロフ(アゼルバイジャン)対チョ・インヒュク(韓国)の勝者がそのまま勝ち上がると思われる。地力で勝るサファロフの勝ち上がりと予想したい。

【プールD】
第3シード:髙藤直寿(パーク24)
第6シード:アミラン・パピナシビリ(ジョージア)
有力選手:トルニケ・ツジャカドエア(オランダ)、アルバート・オグゾフ(ロシア)

髙藤は2回戦で2016年ヨーロッパジュニアチャンピオンであるトルニケ・ツジャカドエア(オランダ)と対戦する可能性がある。しかし、この選手はシニアではまだ結果を残せておらず、アップセットの可能性はほとんどない。準決勝で実現する髙藤とパピナシビリの因縁の対決に注目したい。

■ 66kg級・阿部と橋口による決勝対決が濃厚、阿部のグランドスラム連覇に期待
(エントリー40名)

60kg級と比べると天国のようにさえ思えるトーナメント。注目の阿部一二三(日体大1年)は堂々の第1シード位置に配された。上側の山で阿部に対抗し得る選手は、準々決勝で対戦予定のヴァズハ・マルグヴェラシビリ(ジョージア)のみ。マルグヴェラシビリは阿部が苦手とする密着志向の柔道スタイルだが、そこまでパワーがある訳ではなく比較的戦い易いはず、過去の対戦でも右小外刈と右袖釣込腰の合技「一本」で阿部が勝利している。つまりは決勝進出までは阿部に課せられた最低限のミッションと捉えておきたい。一方の橋口祐葵(明治大4年)はプールCに配されてノーシードからのスタート。下側の山ではAシード配置のニジャット・シカリザダ(アゼルバイジャン)とアドリアン・ゴンボッツ(スロベニア)以外に敵となるような選手はおらず、両者とも勝つのが難しい相手ではないはずだ。阿部と橋口による決勝戦の実現に期待したい。

【プールA】
第1シード:阿部一二三(日体大1年)
第8シード:ヴァズハ・マルグヴェラシビリ(ジョージア)
有力選手:キム・リマン(韓国)

阿部対マルグヴェラシビリの勝者がそのまま決勝戦に進出すると思われる。阿部の勝ち抜けと予想。

【プールB】
第4シード:セルジュ・オレニック(ポルトガル)
第5シード:アントワーヌ・ブシャー(カナダ)

ちょっと拍子抜けするほどレベルが高くなく、悪い方の意味で誰が勝ち上がるかわからないブロック。誰が勝ち上がってもプールAの勝者と伍することは難しいかと考える。

【プールC】
第2シード:ニジャット・シカリザダ(アゼルバイジャン)
第7シード:アンザウル・アルダノフ(ロシア)
有力選手:ズミトリー・ミンコウ(ベラルーシ)
日本選手:橋口祐葵(明治大4年)

勝ち抜け候補は橋口。第2シード位置に座るシカリザダが唯一の対抗馬だが、相手のしぶとい柔道に付き合い過ぎなければ勝利自体は固いと見て良い。橋口は2回戦で2016年ヨーロッパジュニアチャンピオンであるズミトリー・ミンコウ(ベラルーシ)との対戦が組まれているが、こちらも波乱要素は少ない。

【プールD】
第3シード:アドリアン・ゴンボッツ(スロベニア)
第6シード:イマド・バッソウ(モロッコ)
有力選手:ダヴィド・ラローズ(フランス)、タル・フリッカー(イスラエル)、ガンボルド・ケーレン(モンゴル)

決してレベルは高くないものの、なかなかの激戦ブロック。リオデジャネイロ五輪5位のゴンボッツが頭一つ抜けているが、イマド・バッソウ(モロッコ)、ダヴィド・ラローズ(フランス)、タル・フリッカー(イスラエル)、ガンボルド・ケーレン(モンゴル)と階級のうるさい中堅どころがこの山に詰め込まれた。ベテランのラローズは、2015年10月に行われたグランドスラム・パリ大会でゴンボッツに敗れて以来のツアー出場。最近の成績や年齢を考えれば進退をかけて臨んでいる可能性が高く、この人の戦いぶりもひとつ大きな注目ポイント。

■ 73kg級・大野を追うトップ選手3人が揃って参戦、橋本はこれら強豪を避けた好位置からスタート
(エントリー44名)

ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)、アン・チャンリン(韓国)、ラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)のトップ選手3人が揃って参戦。中間層が出場を回避したこともあり、Aシード選手とそれ以外の選手との戦力差が大きい二極分解のトーナメントとなった。

日本代表の橋本壮市(パーク24)は昨年の好成績でポイントを積み重ね、今日の時点でなんとWRは2位。第2シードの獲得に成功し、前述の3人とは準決勝まで当たらない好位置からのスタートとなった。橋本のいるプールCは完全な無風地帯であり、強豪との連戦となる準決勝からが本当の戦いだ。橋本の持ち味は相手の良さを消してしまう変幻自在の組み手であり、昨年の主要大会における勝利の大半は「指導」ポイントによるもの。技でのポイントが求められる新ルールの下で、橋本がどのような戦いぶりを見せるのかに注目したい。また、橋本はグランドスラム東京での試合後コメントで「橋本スペシャル」なる必殺技の存在をほのめかしている。今大会で見ることが出来るのか、果たしてそれはどんな技なのか、この点にも注目して観戦したい。

【プールA】
第1シード:ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)
第8シード:サイインジリガラ(中国)
有力選手:イェルドス・ズーマカノフ(カザフスタン)、ドミトロ・カニヴェツ(ウクライナ)

リオデジャネイロ五輪銀メダリストのオルジョフの山。オルジョフを打倒し得るような選手は見当たらず、オルジョフが順当に勝ち上がるものと思われる。

【プールB】
第4シード:アン・チャンリン(韓国)
第5シード:ギヨション・ボボエフ(ウズベキスタン)

アンの山。ギヨション・ボボエフ(ウズベキスタン)は地力も高く近頃上り調子の強豪だが、ここはアンの勝ち上がりを予想したい。ご存知の通りアンはリオデジャネイロ五輪では序盤で敗れてメダル争いに全く絡むことができなかった。しかし五輪における男子韓国チーム全体の不調や直前に行われたワールドマスターズでのアンの低調な戦いぶりから勘案すると、あれはオーバーワークによる調整不良がメンタル的な呼吸困難を引き起こした、一時的な症状と看破するのが妥当であろう。さすがに同じ鐵を踏むとは思えないため、今大会ではまともなコンディションのアンを見ることが出来るはずだ。本来のパフォーマンスを発揮した場合にはもちろんアンが優勝候補の1番手である。

【プールC】
第2シード:橋本壮市(パーク24)
第7シード:ウアリ・クルツェフ(ロシア)
有力選手:ヒダヤト・ハイダロフ(アゼルバイジャン)

橋本の山。前述の通り完全な無風地帯。橋本が敗れる絵は少々想像し難い。

【プールD】
第3シード:ラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)
第6シード:アーサー・マルゲリドン(カナダ)
有力選手:ミルザヒド・ファルモノフ(ウズベキスタン)、ロイク・コーヴァル(フランス)

リオデジャネイロ五輪銅メダリストのシャフダトゥアシビリの山。こちらも対抗馬となるような選手は見当たらず、シャフダトゥアシビリの勝ち上がりを予想する。持ち味であるジョージアらしいパワフルな柔道に期待したい。


文:林さとる/古田英毅

※ eJudoメルマガ版2月10日掲載記事より転載・編集しています。

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