PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

グランドスラム東京2016・最終日女子2階級(78kg級、78kg超級)レポート

(2017年2月9日)

※ eJudoメルマガ版2月9日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラム東京2016・最終日女子2階級(78kg級、78kg超級)レポート
■ 78kg級・佐藤瑠香が講道館杯に続いて優勝、五輪から復帰の梅木真美は3位
eJudo Photo
決勝戦、佐藤瑠香がパク・ユジンを寝技で攻める

eJudo Photo
準決勝、佐藤が梅木真美から谷落「有効」

(エントリー13名)

【入賞者】
1.SATO, Ruika (JPN)
2.PARK, Yujin (KOR)
3.UMEKI, Mami (JPN)
3.TAKAYAMA, Rika (JPN)
5.APOTEKAR, Klara (SLO)
5.WAGNER, Anna Maria (GER)
7.OGATA, Akari (JPN)
7.LEE, Jeongyun (KOR)

【日本代表選手成績】

佐藤瑠香(コマツ) 1位
梅木真美(環太平洋大4年) 3位 
髙山莉加(三井住友海上) 3位
緒方亜香里(了徳寺学園職) 7位

佐藤瑠香(コマツ)が優勝、リオデジャネイロ五輪以降空位となっていた国内一番手の座を手に入れた。今大会の78kg級は海外の強豪が誰も参戦せず、国内大会と言っても差し支えないような陣容。そして梅木真美(環太平洋大4年)がリオデジャネイロ五輪初戦でで中堅選手のアビゲイル・ヨー(ハンガリー)に敗れたこともあり、国内に序列上のアドバンテージを持っている選手はいない。つまりは今大会を制した選手が国内一番手の座を得ることになるはずで、この点が唯一にして最大の注目ポイントだった。佐藤は準々決勝から登場すると、まずイ・ジョンユン(韓国)を横四方固「一本」(3:25)で下して初戦を突破。迎えた準決勝の相手は国内一番手を争う梅木、勝負どころとなったこの試合は佐藤が谷落「有効」で勝利した。決勝の相手はパク・ユジン(韓国)。佐藤はパクに釣り手を絞られ苦戦したが、袖口を握ったパクに「指導」が与えられると以降は圧倒。「指導」差の優勢で競り勝って見事優勝を果たした。

優勝した佐藤は選抜体重別と講道館杯の国内主要2大会で圧勝しており、戦前から優勝候補の最右翼と見られていた。準決勝では国内最大のライバルである梅木を直接対決で下しており、今回の優勝で名実ともに国内一番手の座を手に入れた形だ。とはいえ、佐藤にはこれまで国内外の主要大会で度々結果を残しながらも、以降の大会で安定して結果を残すことが出来ずにくすぶって来た経緯がある。そして、その最大の因は佐藤がその高い戦闘力に比して戦術面に大きな課題を抱えていることに他ならない。パクの袖口を握って釣り手を落としてくる戦法に対する煮え切らない試合態度を見る限り、この弱点はいまだ克服されていないようだ。今度こそ続けて結果を残すことが出来るのか、それとも今までのようにあと一歩でまた後退してしまうのか、佐藤の今冬の戦いぶりに期待したい。

リオデジャネイロ五輪で日本代表を務めた梅木は準決勝で佐藤に敗れて3位。梅木は準々決勝から登場すると、アンナマリア・ワグナー(ドイツ)に後袈裟固「一本」(2:49)で勝利。準決勝で佐藤に谷落「有効」で敗れて3位決定戦へと回ると、クララ・アポテイカー(スロベニア)を延長戦の末に内股返「有効」(GS1:53)で下して表彰台を確保した。すっかり国際大会の序列の中に飲み込まれてしまった梅木だが、そこから登っていくための手立ては今だに見つけられずにいる様子。2015年のアスタナ世界選手権で梅木を表彰台の頂点まで押し上げた原動力は組み力。この組み力はもちろん健在だが、「それしかない」ことが周知された現状では海外勢にとって梅木はむしろ与し易い相手。変則的な組み手への対応力のなさ、ポイントを奪う具体的な手立ての欠如という大きな弱点が克服されない限り、今後も梅木は厳しい戦いを強いられることになりそうだ。

eJudo Photo
準々決勝、髙山莉加が緒方亜香里を横四方固で抑え込む。

髙山莉加(三井住友海上)は得意の寝技を活かして3位を獲得。髙山は準決勝から登場すると、かつてこの階級のエースであった緒方亜香里(了徳寺学園職)と対戦。皇后盃を制したこともある緒方を左内股と横四方固の合技「一本」(1:06)で一蹴し準決勝へと進出をきめる。準決勝ではパクに延長戦までもつれ込んだ末に「指導1」(GS2:50)を奪われて敗れたが、3位決定戦ではワグナーを腕緘(2:23)で破り3位を獲得した。

緒方は1回戦から登場するとジュリー・ピエレ(フランス)に大外巻込「一本」(3:11)で勝利。準々決勝で髙山に敗れて敗者復活戦へ回ると、敗者復活戦でもアポテイカーに谷落「一本」(3:10)で敗れて畳を去った。ベテランの緒方にとっては非常に厳しい結果となった。

eJudo Photo
3位決定戦、「サリハニ状態」で梅木を攻めるアポテイカー

海外選手で目立っていたのはスロベニアのアポテイカー。猪突猛進型で大味な戦い方をする選手が多いこの階級にあって、アポテイカーは寝技を主体としてサリハニ状態と裏サリハニ状態(相手の膝裏に足をおいて相手を牽制する形、ここでは便宜上こう呼ばせてもらいたい)を使い分ける面白い柔道スタイルを披露した。今年のグランドスラム・チュメンでは2位を獲得しており、今後の活躍に注目したい若手注目選手だ。

佐藤、梅木、髙山のコメント、プールファイナル結果、決勝ラウンドと日本選手全試合の結果および戦評は下記。

eJudo Photo
78kg級優勝の佐藤瑠香

佐藤瑠香選手のコメント
「優勝出来て良かったです。結果はともかく内容が良くなかったので、もっともっと強くなりたいと思います。(-今後について)もっと練習していきます。オリンピックでの金メダルは夢であり目標。試合一つ一つに勝利して、これを叶えたいです。」

梅木真美選手のコメント
「優勝を目指していたので満足のいく結果ではありません。(-オリンピック後で調整が難しかったのではないか?)オリンピックの悔しい思いもあり、なかなか上手く柔道に取り組めない時もありました。ただ、そこについてはきちんと自分で整理出来たので良かったと思います。(-今後について)4年後に繋がるように、自分の長所を活かして強い柔道を作り上げていきたいと思います。」

髙山莉加選手のコメント
「得意の寝技で勝とうと思っていたので、勝てて良かったです。(-大会を振り返って)初戦では勢いのある柔道が出来ましたが、2回戦では自分の悪いところが出て負けてしまいました。良かったところもあれば悪かったところもありました。(-今後について)優勝を目指してやっていたので悔しいです。3位という結果を受け止め、次は優勝を目指して頑張ります。」

【プールファイナル結果】

[準々決勝]

髙山莉加○合技[内股・横四方固](1:06)△緒方亜香里
パク・ユジン(韓国)○片手絞(1:52)△クララ・アポテイカー(スロベニア)
梅木真美○袈裟固(2:49)△アンナマリア・ワグナー(ドイツ)
佐藤瑠香○横四方固(3:25)△イ・ジョンユン(韓国)

【準決勝ラウンド以降結果、戦評】

[敗者復活戦]

クララ・アポテイカー(スロベニア)○谷落(3:10)△緒方亜香里
アポテイカーが右、緒方が左組みのケンカ四つ。強引に奥襟を叩き込んでくるアポテイカーに対して緒方は防戦一方。1分30秒、アポテイカーは得意としている横掛の形で引き込んで腕挫十字固を狙う。アポテイカーが腹這い方向に回転しながらコントロールすると、緒方の腕は完全に伸び切ってしまい「極まる」形が完成。緒方は万事休すと思われたが、何故かアポテイカーは浮固を選択してしまう。結局、この攻防は緒方が凌ぎきって「待て」。相手のミスに助けられた緒方は奥襟を得て攻勢に打って出る。緒方の圧力を嫌ったアポテイカーは寝技に引き込んで展開を切ろうとするが、緒方はこれをかわして横四方固に抑え込む。不十分な形であったために途中で逃して「有効」止まりだったが、これで緒方がポイントのリードに成功。しかし、寝技の攻防を挟んでの3分1秒、アポテイカーが組み際に緒方に抱きつくと強烈な谷落。釣り手を抱き込んだ一撃に緒方は勢い良く後方に転がってしまい主審は「技有」を宣告する。アポテイカーはすかさず縦四方固に移行するが、ここで谷落の「技有」が「一本」に訂正されて試合終了。緒方は3位決定戦に進むこと叶わず畳を去ることとなった。

アンナマリア・ワグナー(ドイツ)○優勢[有効・内股]△イ・ジョンユン(韓国)
ワグナーが右、イが左組みのケンカ四つ。1分28秒、ワグナーがイの横落を右内股で切り返して「有効」を獲得。中盤以降、イが谷落で何度かワグナーを大きく崩すもポイントには至らず。「有効」優勢でワグナーが3位決定戦進出を決めた。

[準決勝]

パク・ユジン(韓国)○GS優勢[指導1](GS2:50)△髙山莉加
右相四つ。開始35秒、高山は右内股から右大内刈に連絡してパクを伏せさせると、相手を乗り越えるように捲り返して腕挫十字固を狙う。パクの腕を伸ばすことには成功するが、腕の拘束が甘く逃してしまい「待て」。試合が再開されると今度は反対に髙山のピンチ。パクが奥襟を得て髙山の釣り手を絞る100対0の形で圧を掛ける。しかし、髙山は釣り手を絞られたまま片襟の位置に運ぶと強引な右大外刈でこの形を打開。伏せたパクを所謂「国士舘返し」の形で転がして横四方固。一度は「抑え込み」が宣告されたものの、上体の拘束が甘くこれはパクが逃れてノーポイント。以降は両者ともに組み手争いに終始し、組み際の技を散発するもポイントがないまま本戦が終了。勝負はGSの延長戦へと持ち越される。延長戦でもパクが組み勝って圧を掛けると、髙山が片襟の技でこれを崩すという構図が出現。髙山は片襟の右大外刈で何度かパクを大きく崩すがポイント獲得には至らない。髙山にとっては度々チャンスがあるものの尽く決めきれない嫌な流れが続く。GS2分50秒、この嫌な流れがついに堰を切る。パクの奥襟を嫌った髙山が思わず首を抜いてしまい痛恨の「指導」失陥。髙山は何度も勝利に手が掛かりながらあと一歩が届かず、非常に悔しい敗退となった。

佐藤瑠香○優勢[有効・谷落]△梅木真美
佐藤が右、梅木が左組みのケンカ四つ。佐藤が釣り手を下から持つと梅木は奥襟を持って両襟で対抗。引き付けて腰を入れながら前技を狙う。49秒、梅木が腰を切ろうとしたところに佐藤が一瞬早く谷落。梅木は体を捻って逃れようとするが佐藤は引き手をしっかりと引いており、体を捨てながら隅落風に捲り返して「有効」を獲得する。リードを許した梅木はなんとか間合いを詰めようと追いすがるが、佐藤は釣り手を上から下からと巧みに持ち替えながら間合いをコントロール。1分21秒、佐藤に故意に場外に出た咎で「指導」が与えられたが、以降はポイントの変動なく試合が終了。佐藤が釣り手巧みに最後まで梅木をいなし続け、梅木の強みである体の強さを出させずに勝利した。

[3位決定戦]

梅木真美○GS優勢[有効・内股返](GS1:53)△クララ・アポテイカー(スロベニア)
梅木が左、アポテイカーが右組みのケンカ四つ。アポテイカーはサリハニ状態と裏サリハニ状態(作用足を相手の膝裏に当てる形)で組み手を展開、隅返や横掛で梅木を引き込んで寝技を狙う。一方の梅木は釣り手を巻き返して何度か良い形を作るものの、ことごとくアポテイカーに引き込みで組み手をリセットされてしまう。アポテイカーの技で終わる展開が続き、2分56秒ついに梅木に「指導」。残り1分でリードを得たアポテイカーだが、リード獲得直後の3分8秒に不十分な組み手から安易に引き込むミスを犯す。当然これは偽装攻撃とみなされ「指導」。相手のミスに救われた形の梅木だがしかし具体的な攻め手はなく、アポテイカーの寝技に付き合う形で本戦が終了。勝負はGSの延長戦へと持ち越される。延長戦が始まると、梅木は相手の脇を掬っていなすこれまでとは違う組み立てで組み手を展開。アポテイカーを畳に伏せさせると横三角から寝技を展開して足を絡ませたまま腕緘を狙う。一度はアポテイカーの腕を伸ばすことに成功するも、ここはアポテイカーが凌ぎきって「待て」。しかし、この辺りからアポテイカーはスタミナが切れを起こし、梅木の体の強さが効き始める。再度梅木がアポテイカーを伏せさせるとアポテイカーは自ら髪を解いて試合を中断、ここに至って試合は完全に梅木のペース。試合再開後、梅木は釣り手を巻き替えて奥襟を得ると腰を入れて圧を掛ける。これに対してアポテイカーは最後の足掻きとばかりにサリハニ状態から足を抜いて横掛に打って出る。奥襟を持って密着していた梅木は大きく崩れて転がってしまうが、相手の上を転がり腹這いで落ちてこれを回避。最後の力を振り絞った攻撃を空振りしたアポテイカーに最早為す術なし。直後のGS1分53秒に梅木の奥襟を嫌ったアポテイカーが内股巻込で掛け潰れると、梅木はこれを押し倒して内股返「有効」を獲得。梅木の3位獲得が決まった。

髙山莉加○腕緘(2:23)△アンナマリア・ワグナー(ドイツ)
右相四つ。ワグナーが奥襟を得て攻め立てると髙山は堪らず膝を着いてしまい、開始21秒早くも髙山に「指導」が宣告される。この攻防に手ごたえを得たワグナーは最短距離で奥襟を得ると腰を入れながら右内股を狙う。髙山は引き手で脇を突いてこれを凌ぐと、右内股で掛け潰れたワグナーを引き込んで腕挫十字固を仕掛ける。ワグナーの腕を伸ばすことには成功したものの、やや距離が遠かったために腕が離れてしまい「待て」。髙山が寝技で山場を作った格好だが、立技では依然ワグナーが強気の組み立てを継続。1分30秒にはワグナーの右内股で髙山の体が一瞬宙に浮いてしまう危うい場面が現出する。この技は腹這いで落ちてノーポイントだったが、ペースは完全にワグナー。しかし、ここから髙山は組み手の方針を変更してワグナーの奥襟に対してあくまで組み合うことを選択する。ここが試合の分水嶺、「組み合える」感触を得た髙山は釣り手をクロスグリップに差し入れて右大内刈に打って出る。ワグナーが堪らず伏せて逃れると、髙山はこのチャンスを逃さず腕を掬って引込返。腕緘を極めたまま横四方固で抑え込むと2分23秒にワグナーが「参った」。得意の寝技と勝負勘の良さで髙山が3位を獲得した。

[決勝]

佐藤瑠香○優勢[指導1]△パク・ユジン(韓国)
右相四つ。お互いに相手の釣り手を絞り合う膠着状態が続く。佐藤は幾度となく奥襟を狙うが、パクが袖口を握って佐藤の引き手を落とすため十分な組み手を作ることが出来ない。佐藤は何度かパクが袖口を握っているとアピールするが、主審はパクに「指導」を与えずそのまま試合を続行させる。1分48秒、パクが主審の目の前で袖口を握って佐藤の釣り手を絞ると、あまりに露骨な組み手に対して主審はすかさず「指導」を宣告。佐藤がリードを獲得する。ある程度釣り手が自由になった佐藤は奥襟を叩いてパクを伏せさせると、横返しから相手に足を絡ませておいて横四方固を狙う。この攻防は佐藤の上体の拘束が甘く、足が抜けると同時にパクが逃れて「待て」。抑え込むには至らなかったが、佐藤はこの寝技の攻防で1分近く時間を消費することに成功する。この時点で残り時間は1分を切っており、パクはスクランブルを仕掛けざるを得ない状況。しかし、佐藤が先に引き手を得たことでパクはラッシュのきっかけを封じられてしまう。こうなってしまってはパクは釣り手の絞り合いに応じるしかなく、佐藤が両袖の大外刈でパクを伏せさせ寝技を展開したところで試合終了。「指導1」の優勢で佐藤が優勝を果たした。

【日本代表選手全試合結果、戦評】

佐藤瑠香(コマツ)
成績:優勝


[準々決勝]

佐藤瑠香○横四方固(3:25)△イ・ジョンユン(韓国)
佐藤が右、イが左組みのケンカ四つ。イは横落に左袖釣込腰と積極的に技を仕掛けるが、佐藤は余裕を持ってこれを受けきる。56秒、イが両袖の左袖釣込腰に掛け潰れると技数の差を反映して佐藤に「指導」が宣告される。しかし、直後の展開で佐藤が袖を絞り合った状態から圧を掛けて前に出るとイはあっさりと場外に出てしまう。これにより1分8秒、故意に場外に出た咎でイに「指導」、スコアはタイとなる。以降も袖の絞り合いが続くが、1分52秒に佐藤は右小内刈で強引に押し込んで「有効」を獲得、どうやら試合の流れを決定付ける。最後はイが横落に飛び込んだところを受け止めて潰し、足を持って掬投のように返して横四方固「一本」。佐藤が初戦を「一本」で突破し準決勝進出を決めた。

[準決勝]

佐藤瑠香○優勢[有効・谷落]△梅木真美
佐藤が右、梅木が左組みのケンカ四つ。佐藤が釣り手を下から持つと梅木は奥襟を持って両襟で対抗。引き付けて腰を入れながら前技を狙う。49秒、梅木が腰を切ろうとしたところに佐藤が一瞬早く谷落。梅木は体を捻って逃れようとするが佐藤は引き手をしっかりと引いており、体を捨てながら隅落風に捲り返して「有効」を獲得する。リードを許した梅木はなんとか間合いを詰めようと追いすがるが、佐藤は釣り手を上から下からと巧みに持ち替えながら間合いをコントロール。1分21秒、佐藤に故意に場外に出た咎で「指導」が与えられたが、以降はポイントの変動なく試合が終了。佐藤が釣り手巧みに最後まで梅木をいなし続け、梅木の強みである体の強さを出させずに勝利した。

[決勝]

佐藤瑠香○優勢[指導1]△パク・ユジン(韓国)
右相四つ。お互いに相手の釣り手を絞り合う膠着状態が続く。佐藤は幾度となく奥襟を狙うが、パクが袖口を握って佐藤の引き手を落とすため十分な組み手を作ることが出来ない。佐藤は何度かパクが袖口を握っているとアピールするが、主審はパクに「指導」を与えずそのまま試合を続行させる。1分48秒、パクが主審の目の前で袖口を握って佐藤の釣り手を絞ると、あまりに露骨な組み手に対して主審はすかさず「指導」を宣告。佐藤がリードを獲得する。ある程度釣り手が自由になった佐藤は奥襟を叩いてパクを伏せさせると、横返しから相手に足を絡ませておいて横四方固を狙う。この攻防は佐藤の上体の拘束が甘く、足が抜けると同時にパクが逃れて「待て」。抑え込むには至らなかったが、佐藤はこの寝技の攻防で1分近く時間を消費することに成功する。この時点で残り時間は1分を切っており、パクはスクランブルを仕掛けざるを得ない状況。しかし、佐藤が先に引き手を得たことでパクはラッシュのきっかけを封じられてしまう。こうなってしまってはパクは釣り手の絞り合いに応じるしかなく、佐藤が両袖の大外刈でパクを伏せさせ寝技を展開したところで試合終了。「指導1」の優勢で佐藤が優勝を果たした。

梅木真美(環太平洋大4年)
成績:3位


[準々決勝]

梅木真美○後袈裟固(2:49)△アンナマリア・ワグナー(ドイツ)
梅木が左、ワグナーが右組みのケンカ四つ。梅木が奥襟を得るとワグナーは脇を差してこれに対抗する。ワグナーの強引な裏投で梅木の体が一瞬浮き掛ける場面もあったが、梅木はこれを凌いで潰すと寝技に持ち込み得意の横三角で攻める。1分20秒、再びワグナーが梅木の腰を深く抱える形が出現。この形を嫌った梅木は腰を切りながら場外へと逃れるが、「待て」の直前にワグナーの谷落が決まって「有効」を失ってしまう。リードを奪われた梅木だが、あくまで奥襟を持って強気の組み手を展開。ワグナーを場外際に追い詰めると、2分5秒に強引な左払腰で「有効」を獲得して追い付くことに成功する。梅木はそのまま後袈裟固でワグナーを抑え込み「一本」を奪取。技のポイントをリードされる厳しい立ち上がりだったが、逆転勝利で初戦を突破した。

[準決勝]

梅木真美△優勢[有効・谷落]○佐藤瑠香
梅木が左、佐藤が右組みのケンカ四つ。佐藤が釣り手を下から持つと梅木は奥襟を持って両襟で対抗。引き付けて腰を入れながら前技を狙う。49秒、梅木が腰を切ろうとしたところに佐藤が一瞬早く谷落。梅木は体を捻って逃れようとするが佐藤は引き手をしっかりと引いており、体を捨てながら隅落風に捲り返して「有効」を獲得する。リードを許した梅木はなんとか間合いを詰めようと追いすがるが、佐藤は釣り手を上から下からと巧みに持ち替えながら間合いをコントロール。1分21秒、佐藤に故意に場外に出た咎で「指導」が与えられたが、以降はポイントの変動なく試合が終了。佐藤が釣り手巧みに最後まで梅木をいなし続け、梅木の強みである体の強さを出させずに勝利した。

[3位決定戦]

梅木真美○GS優勢[有効・内股返](GS1:53)△クララ・アポテイカー(スロベニア)
梅木が左、アポテイカーが右組みのケンカ四つ。アポテイカーはサリハニ状態と裏サリハニ状態(作用足を相手の膝裏に当てる形)で組み手を展開、隅返や横掛で梅木を引き込んで寝技を狙う。一方の梅木は釣り手を巻き返して何度か良い形を作るものの、ことごとくアポテイカーに引き込みで組み手をリセットされてしまう。アポテイカーの技で終わる展開が続き、2分56秒ついに梅木に「指導」。残り1分でリードを得たアポテイカーだが、リード獲得直後の3分8秒に不十分な組み手から安易に引き込むミスを犯す。当然これは偽装攻撃とみなされ「指導」。相手のミスに救われた形の梅木だがしかし具体的な攻め手はなく、アポテイカーの寝技に付き合う形で本戦が終了。勝負はGSの延長戦へと持ち越される。延長戦が始まると、梅木は相手の脇を掬っていなすこれまでとは違う組み立てで組み手を展開。アポテイカーを畳に伏せさせると横三角から寝技を展開して足を絡ませたまま腕緘を狙う。一度はアポテイカーの腕を伸ばすことに成功するも、ここはアポテイカーが凌ぎきって「待て」。しかし、この辺りからアポテイカーはスタミナが切れを起こし、梅木の体の強さが効き始める。再度梅木がアポテイカーを伏せさせるとアポテイカーは自ら髪を解いて試合を中断、ここに至って試合は完全に梅木のペース。試合再開後、梅木は釣り手を巻き替えて奥襟を得ると腰を入れて圧を掛ける。これに対してアポテイカーは最後の足掻きとばかりにサリハニ状態から足を抜いて横掛に打って出る。奥襟を持って密着していた梅木は大きく崩れて転がってしまうが、相手の上を転がり腹這いで落ちてこれを回避。最後の力を振り絞った攻撃を空振りしたアポテイカーに最早為す術なし。直後のGS1分53秒に梅木の奥襟を嫌ったアポテイカーが内股巻込で掛け潰れると、梅木はこれを押し倒して内股返「有効」を獲得。梅木の3位獲得が決まった。

eJudo Photo
3位決定戦、髙山が腕緘でワグナーから「一本」

髙山莉加(三井住友海上)
成績:3位


[準々決勝]

髙山莉加○合技[内股・横四方固](1:06)△緒方亜香里
高山が右、緒方が左組みのケンカ四つ。髙山は前襟を持って下から突き、緒方は上から背中を持って組み手を展開。髙山は引き手で襟を得ると強引な右内股で緒方を追い込むが、この技は両者が場外に出てしまい「待て」。続く展開、緒方が奥襟を叩くと髙山は脇を差して前進、緒方の釣り手を抱え込むようにして右内股を放つ。髙山はケンケンで回りながら釣り手で緒方の背中を得ると、強引に跳ね上げて「技有」を獲得。上体を腕緘の形で固めると足を抜いて横四方固で抑え込む。腕を極められている緒方は最早為す術なし。髙山が合技「一本」で準決勝進出を決めた。試合時間は僅か1分6秒、2シークエンスで決着という圧勝だった。

[準決勝]

髙山莉加△GS優勢[指導1](GS2:50)○パク・ユジン(韓国)
右相四つ。開始35秒、高山は右内股から右大内刈に連絡してパクを伏せさせると、相手を乗り越えるように捲り返して腕挫十字固を狙う。パクの腕を伸ばすことには成功するが、腕の拘束が甘く逃してしまい「待て」。試合が再開されると今度は反対に髙山のピンチ。パクが奥襟を得て髙山の釣り手を絞る100対0の形で圧を掛ける。しかし、髙山は釣り手を絞られたまま片襟の位置に運ぶと強引な右大外刈でこの形を打開。伏せたパクを所謂「国士舘返し」の形で転がして横四方固。一度は「抑え込み」が宣告されたものの、上体の拘束が甘くこれはパクが逃れてノーポイント。以降は両者ともに組み手争いに終始し、組み際の技を散発するもポイントがないまま本戦が終了。勝負はGSの延長戦へと持ち越される。延長戦でもパクが組み勝って圧を掛けると、髙山が片襟の技でこれを崩すという構図が出現。髙山は片襟の右大外刈で何度かパクを大きく崩すがポイント獲得には至らない。髙山にとっては度々チャンスがあるものの尽く決めきれない嫌な流れが続く。GS2分50秒、この嫌な流れがついに堰を切る。パクの奥襟を嫌った髙山が思わず首を抜いてしまい痛恨の「指導」失陥。髙山は何度も勝利に手が掛かりながらあと一歩が届かず、非常に悔しい敗退となった。

[3位決定戦]

髙山莉加○腕緘(2:23)△アンナマリア・ワグナー(ドイツ)
右相四つ。ワグナーが奥襟を得て攻め立てると髙山は堪らず膝を着いてしまい、開始21秒早くも髙山に「指導」が宣告される。この攻防に手ごたえを得たワグナーは最短距離で奥襟を得ると腰を入れながら右内股を狙う。髙山は引き手で脇を突いてこれを凌ぐと、右内股で掛け潰れたワグナーを引き込んで腕挫十字固を仕掛ける。ワグナーの腕を伸ばすことには成功したものの、やや距離が遠かったために腕が離れてしまい「待て」。髙山が寝技で山場を作った格好だが、立技では依然ワグナーが強気の組み立てを継続。1分30秒にはワグナーの右内股で髙山の体が一瞬宙に浮いてしまう危うい場面が現出する。この技は腹這いで落ちてノーポイントだったが、ペースは完全にワグナー。しかし、ここから髙山は組み手の方針を変更してワグナーの奥襟に対してあくまで組み合うことを選択する。ここが試合の分水嶺、「組み合える」感触を得た髙山は釣り手をクロスグリップに差し入れて右大内刈に打って出る。ワグナーが堪らず伏せて逃れると、髙山はこのチャンスを逃さず腕を掬って引込返。腕緘を極めたまま横四方固で抑え込むと2分23秒にワグナーが「参った」。得意の寝技と勝負勘の良さで髙山が3位を獲得した。

緒方亜香里(了徳寺学園職)
成績:7位


[1回戦]

緒方亜香里○大外巻込(3:11)△ジュリー・ピエレ(フランス)
左相四つ。試合が始まるなり両者がっぷり四つで組み合うが、15秒にピエレが圧の掛け合いに堪えきれず首抜きの左大外刈を仕掛けてしまい「指導」失陥。敵失でリードを得た格好の緒方だが、しかし続く展開で自ら場外に出てしまい50秒に自身も「指導」失陥。戦術性に不安のある緒方としては以後に暗雲漂う展開だが、今度は場外を背負った状態からピエレと位置を入れ替えるとそのまま場外に押し出すことに成功。1分9秒、ピエレに2つ目の「指導」が与えられる。再びビハインドとなったピエレはここから一段加速、がむしゃらに奥襟を叩いて技を仕掛けまくる。緒方は攻め込まれる苦しい展開が続くが、ピエレの猛攻をいなしながら凌ぎ続けると3分7秒、がっぷり四つの形から相手が首を抜くなりすかさず左大外巻込に飛び込み「技有」を獲得。このポイントはすぐに「一本」に訂正され、緒方が一本勝ちで初戦突破を決めた。敗れたピエレは投げられた際に膝を負傷。担架で運ばれ畳を後にした。

[準々決勝]

緒方亜香里△合技[内股・横四方固](1:06)○髙山莉加
高山が右、緒方が左組みのケンカ四つ。髙山は前襟を持って下から突き、緒方は上から背中を持って組み手を展開。髙山は引き手で襟を得ると強引な右内股で緒方を追い込むが、この技は両者が場外に出てしまい「待て」。続く展開、緒方が奥襟を叩くと髙山は脇を差して前進、緒方の釣り手を抱え込むようにして右内股を放つ。髙山はケンケンで回りながら釣り手で緒方の背中を得ると、強引に跳ね上げて「技有」を獲得。上体を腕緘の形で固めると足を抜いて横四方固で抑え込む。腕を極められている緒方は最早為す術なし。髙山が合技「一本」で準決勝進出を決めた。試合時間は僅か1分6秒、2シークエンスで決着という圧勝だった。

[敗者復活戦]

緒方亜香里△谷落(3:10)○クララ・アポテイカー(スロベニア)
アポテイカーが右、緒方が左組みのケンカ四つ。強引に奥襟を叩き込んでくるアポテイカーに対して緒方は防戦一方。1分30秒、アポテイカーは得意としている横掛の形で引き込んで腕挫十字固を狙う。アポテイカーが腹這い方向に回転しながらコントロールすると、緒方の腕は完全に伸び切ってしまい「極まる」形が完成。緒方は万事休すと思われたが、何故かアポテイカーは浮固を選択してしまう。結局、この攻防は緒方が凌ぎきって「待て」。相手のミスに助けられた緒方は奥襟を得て攻勢に打って出る。緒方の圧力を嫌ったアポテイカーは寝技に引き込んで展開を切ろうとするが、緒方はこれをかわして横四方固に抑え込む。不十分な形であったために途中で逃して「有効」止まりだったが、これで緒方がポイントのリードに成功。しかし、寝技の攻防を挟んでの3分1秒、アポテイカーが組み際に緒方に抱きつくと強烈な谷落。釣り手を抱き込んだ一撃に緒方は勢い良く後方に転がってしまい主審は「技有」を宣告する。アポテイカーはすかさず縦四方固に移行するが、ここで谷落の「技有」が「一本」に訂正されて試合終了。緒方は3位決定戦に進むこと叶わず畳を去ることとなった。

■ 78kg超級・朝比奈沙羅が山部佳苗を倒して初優勝を達成、高校1年生の素根輝は堂々の準優勝
eJudo Photo
決勝戦、朝比奈沙羅が右内股で素根輝を攻める。

eJudo Photo
準決勝、朝比奈が山部から合技「一本」

(エントリー10名)

【入賞者】
1.ASAHINA, Sarah (JPN)
2.SONE, Akira (JPN)
3.SU, Xin (CHN)
3.YAMABE, Kanae (JPN)
5.LEE, Eun-Ju (KOR)
5.NUNES, Rochele (BRA)
7.JABLONSKYTE, Sandra (LTU)
7.INAMORI, Nami (JPN)

【日本代表選手成績】

朝比奈沙羅(東海大2年) 1位
素根輝(南筑高1年) 2位 
山部佳苗(ミキハウス) 3位
稲森奈見(三井住友海上) 7位

朝比奈沙羅(東海大2年)が5回目の出場にしてグランドスラム東京大会初優勝を達成した。この階級も海外の強豪の出場はほとんどなく、名のある選手はサンドラ・ジャブロンスキッタ(リトアニア)とロシュレ・ヌネス(ブラジル)の2人のみ。両者ともリオデジャネイロ五輪には出場していない中堅選手だ。この陣容では優勝争いは必然的に日本勢のみに絞られ、日本勢による直接対決の結果がそのまま表彰台における各選手の位置を決定した。朝比奈は準々決勝から登場するとまずはジャブロンスキッタと対戦、巨体のジャブロンスキッタを横四方固「一本」(0:50)で下して上々の滑り出し。この大会にかける気合の程が伺われる圧勝だった。準決勝の対戦相手は山部。朝比奈にとっては田知本愛(ALSOK)と並んで国内で蓋をされ続けてきた壁であり、2017年の世界選手権を目指すためには必ず勝たなければいけない相手だ。朝比奈は最大の勝負どころであったこの試合に右浮落と後袈裟固の合技「一本」(3:06)で勝利。念願の「山部越え」を果たして決勝進出決定。決勝では講道館杯と同じく素根輝(南筑高1年)と対戦、この試合も延長戦までもつれ込む接戦となったが最後は朝比奈が地力の差を見せつけて「指導2」の優勢(GS0:40)で勝利した。今回の優勝によって朝比奈は冬季欧州遠征におけるメジャー大会への派遣が確実。自身初となる世界選手権出場にいよいよ手が掛かる位置まで上り詰めたと言える。

eJudo Photo
準決勝、素根がイから左背負落「技有」

eJudo Photo
準々決勝、山部佳苗がスウから右払腰「一本」。

eJudo Photo

eJudo Photo
1回戦、スウが強烈な左一本背負投でヤマカワから「一本」。

素根は今回も朝比奈に敗れて表彰台の頂点には手が届かなかったが、高校1年生にしてグランドスラム準優勝という素晴らしい成績を残した。素根は準々決勝で稲森奈見(三井住友海上)を破っており、改めてそのポテンシャルの高さを示した。

リオデジャネイロ五輪銅メダリストの山部佳苗(ミキハウス)は「練習を再開したのが11月から」との言の通りいまひとつ元気がなし、それで3位決定戦ではヌネスを「指導4」の反則(3:41)で破って表彰台を確保した。山部の本大会における不調は例年通り。ここから欧州遠征を通して皇后盃でピークを迎えるのがいつもの山部の調整スケジュールであり、このタイミングでの競技復帰もそれを見越したものであると思われる。五輪を終えてモチベーションが低下するなかで、例年通り春に向けて調子を上げることが出来るのか、今後の山部のパフォーマンスに注目したい。

昨年の覇者である稲森はまさかのメダルなし。講道館杯での敗戦と素根の登場によって明らかにキャリアの分岐点を迎えていたわけだが、いまひとつ煮え切らない戦いぶりであった。稲森は初戦の素根戦を「指導2」で落とすと、続く敗者復活戦でも格下のヌネスに最終盤に隅落「有効」を奪われてまさかの敗退。結局1つの勝利も挙げられないまま畳を去ることとなった。

海外勢で1人気を吐いていたのが、唯一日本勢以外で表彰台に上がった中国のスウ。今大会が初めての国際大会出場とは信じられない、味のある柔道を披露した。山部に敗れた試合以外は全て1分以内の「一本」で圧勝、1回戦では重量級には珍しい立ったままの豪快な一本背負投でカミラ・ヤマカワ(ブラジル)から「一本」を奪い、、敗者復活戦と3位決定戦では左一本背負投の形に相手の腕を抱えた左小外刈という、一般的な理に適っていないからこそ取り味があるという面白い技でポイントを獲得してもいる。中国の78kg超級は非常に層が厚く既に26歳と決して若くないスウが今後も国際大会に出てくることが出来るかは微妙だが、注視していきたい面白い選手だ。

朝比奈、素根、山部のコメント、プールファイナル結果、決勝ラウンドと日本選手全試合の結果および戦評は下記。

eJudo Photo
78kg超級優勝の朝比奈沙羅

朝比奈沙羅選手のコメント
「決勝戦はどちらが勝ってもおかしくない試合をしてしまったので、素直に喜べない部分もあります。5年連続で出場して、5回目で初めて金メダルを獲得出来ました。一皮剥けることが出来たかなと思います。(-東京五輪に向けて)リオデジャネイロ五輪の選考では途中で怪我をして離脱してしまいました。2020年は私達や下の代が引っ張っていかなければいけないので、自分が第一人者として若手を引っ張っていきたいです。(-今後について)まずは年明けの欧州遠征です。東京五輪に向けて獲っていないタイトルを一つ一つ獲って、自分が東京五輪で金メダルを獲るんだという気持ちを4年間持ち続けて真っ直ぐ進んでいきたいと思います。」

素根輝選手のコメント
「(-決勝戦について)頭が下がる場面が沢山あり相手の方が技を掛けるのも早かった。そこが敗因だと思います。(-大きなアピールになったのでは?)優勝を狙っていたので負けてしまって悔しいです。また練習してもっと強くなりたいと思います。(-4年後について)東京五輪に出場して金メダルを獲ります。」

山部佳苗選手のコメント
「オリンピックが終わってから初めての試合だったので、出場自体を悩みました。練習を再開したのも11月からでしたが、何が出来るのかを考えながら試合が出来たかなと思います。(-手応えはあったか?)オリンピックで払腰が決まらずに得意技は一体何なのかと考えていました。今回は払腰で「一本」を取ることが出来たので、悩んでいたことが解消され課題が明確になりました。(-今後について)試合は負けたら悔しいんだと改めて実感できたのが今大会での大きな収穫でした。課題を一つ一つクリアして、まずは一年一年代表になってしっかり成績を残していきたいと思います。」

【プールファイナル結果】

[準々決勝]

山部佳苗○払腰(0:08)△スウ・シン(中国)
朝比奈沙羅○横四方固(0:50)△サンドラ・ジャブロンスキッタ(リトアニア)
素根輝○優勢[指導2]△稲森奈見
イ・ユンジュ(韓国)○縦四方固(2:34)△ロシュレ・ヌネス(ブラジル)

【準決勝ラウンド以降結果、戦評】

[敗者復活戦]

スウ・シン(中国)○袈裟固(0:31)△サンドラ・ジャブロンスキッタ(リトアニア)
右相四つ。スウは左一本背負投の形に相手の腕を抱えた変則の左小外刈で「技有」を奪うと、そのまま横四方固で抑え込んで「一本」。寝技を含めて僅か31秒の圧勝で3位決定戦進出を決めた。

ロシュレ・ヌネス(ブラジル)○優勢[有効・隅落]△稲森奈見
ヌネスが左、稲森が右組みのケンカ四つ。稲森が釣り手を下から突いて内股を狙い、ヌネスが上から背中を抱えて後の先を狙うという構図。お互いにポイントがないまま試合が進行するが、最終盤の3分36秒に右内股で掛け潰れた稲森をヌネスが捲り返して隅落「有効」を獲得。「待て」の時点で試合時間は僅か17秒しか残されておらず、稲森はスクランブルを掛けてヌネスに組み付くがそのままタイムアップ。昨年の覇者である稲森は決勝ラウンドに進出すること叶わずここで畳を去ることとなった。

eJudo Photo
準決勝、朝比奈が山部の支釣込足を切り返し浮落「技有」

[準決勝]

朝比奈沙羅○合技[浮落・後袈裟固](3:06)△山部佳苗
右相四つ。お互いに足を飛ばしながら相手の出方を伺う静かな出だし、53秒には両者に「指導」。以降も膠着状態が続くが、山部が勇を鼓して放った右払腰をきっかけに試合が動き始め、直後朝比奈も引き手を襟に持ち替えて両襟の右大外刈に打って出る。これを受けた山部が大外返、朝比奈は右大外巻込で再度切り返し、続く展開ではガップリ持った山部が朝比奈の引き手の持ち替えを狙った支釣込足で朝比奈を大きく崩す。
両者の攻撃志向はここからさらに加速、がっぷり四つに組み合っての攻防が続く。再び朝比奈の右払巻込で展開が切れた後、組み合うなり山部が右支釣込足。しかし朝比奈今度は一歩踏み出して耐えると、浴びせ倒すような浮落で切り返し「技有」獲得。朝比奈がそのまま後袈裟固で抑え込むと山部は諦めたかのように両手を上げたままタイムアップ。朝比奈が山部打倒を果たして決勝進出を決めた。

素根輝○合技[背負落・横四方固](2:44)△イ・インジュ(韓国)
素根が左、イが右組みのケンカ四つ。素根は長身で動きの素早いイに苦戦。奥襟を持って頭を下げられてしまい、1分5秒と1分22秒に立て続けに極端な防御姿勢の咎で「指導」を失ってしまう。しかし、素根はここから右一本背負投中心の組み立てに戦法を変更、この技による先制攻撃で試合の流れを引き戻す。2分26秒、右一本背負投を警戒したイが釣り手と引き手を同時に持ちに来ると、素根は待ってましたとばかりに先んじて引き手を確保。一度担いでから引き落とす2段モーションの左背負落で「技有」を奪う。そのまま横四方固で抑え込んで合技「一本」、素根が逆転勝利で決勝戦へと駒を進めた。

[3位決定戦]

スウ・シン(中国)○合技[小外刈・崩袈裟固](0:27)△イ・ユンジュン(韓国)
スウが左、イが右組みのケンカ四つ。スウは左一本背負投の形に腕を抱える変則の左小外刈で「技有」を奪うと、そのまま横四方固で抑え込んで合技「一本」。寝技を含めて僅か27秒という圧倒的内容で3位を獲得した。今大会のスウは山部に敗れた準々決勝意外の全試合を秒殺の「一本」で勝利。敗者復活戦と3位決定戦で見せた独特の小外刈も取り味十分でかなりの存在感を放っていた。

山部佳苗○反則[指導4](3:41)△ロシュレ・ヌネス(ブラジル)
山部が右、ヌネスが左組みのケンカ四つ。山部がいきなり右払腰でヌネスを大きく崩すが、やや間合いが遠くこれは決めきれず。ここからヌネスは山部の右払腰を警戒して腰を引いた待ちの構えをとる。35秒、山部が右払腰を2度放ったところでヌネスに1つ目の「指導」。以降も腰を引いて防御姿勢のヌネスを山部が一方的に右払腰で攻めるという構図のまま試合が進行し、残り30秒の時点で「指導2」対「指導3」で山部がリード。結局、3分41秒に山部の釣り手を嫌って指を組んだヌネスに4つ目の「指導」が与えられて勝負あり。「指導4」の反則で勝利した山部が3位を確保した。

[決勝]

朝比奈沙羅○GS優勢[指導2](GS0:40)△素根輝
朝比奈が右、素根が左組みのケンカ四つ。素根が下から釣り手を突き、朝比奈が上から前襟を持ってこれを圧する。30秒過ぎに引き手を得た朝比奈が右払腰を仕掛けるが、引き手が離れてしまいこの技は不発。ここから引き手の探り合いが続き、1分8秒に朝比奈のみに「指導」が宣告される。ここが勝負どころと読んだか朝比奈は的確に一段ペースをアップ。釣り手のみの右内股で素根を畳に伏せ、さらに右内股と右払腰を連発して山場を作ると2分29秒ついに素根にも「指導」。以降は両者決め手を欠き、ポイントの変動がないまま本戦が終了。勝負の行方はGSの延長戦へと持ち越される。延長戦はまず素根が勝負に出て左背負投、しつこく食い下がるが朝比奈は全く崩れない。開始線に戻る素根は疲労を隠せず、どうやらスタミナが切れてきている様子。朝比奈これを感じ取ったかは組み合うなり片手の強引な右内股で素根を畳に這わせ、さらに一気に勝負を決めるべく奥襟を持って再び強引な右内股。大型の朝比奈が思い切り体を捨てたこの一撃に素根は堪えきれず大きく崩れてしまう。ここで主審は朝比奈の攻勢を認め、素根に「指導」を宣告。朝比奈の初優勝が決定した。

【日本代表選手全試合結果、戦評】

朝比奈沙羅(東海大2年)
成績:優勝


[準々決勝]

朝比奈沙羅○横四方固(0:50)△サンドラ・ジャブロンスキッタ(リトアニア)
右相四つ。朝比奈は強烈な右膝車でジャブロンスキッタを伏せさせると、腕を掬って頭方向に回り込みながら横四方固に抑え込んで「一本」。朝比奈は動き良し。ファーストコンタクトで勝負を決める圧勝で初戦を突破した。

[準決勝]

朝比奈沙羅○合技[浮落・後袈裟固](3:06)△山部佳苗
右相四つ。お互いに足を飛ばしながら相手の出方を伺う静かな出だし、53秒には両者に「指導」。以降も膠着状態が続くが、山部が勇を鼓して放った右払腰をきっかけに試合が動き始め、直後朝比奈も引き手を襟に持ち替えて両襟の右大外刈に打って出る。これを受けた山部が大外返、朝比奈は右大外巻込で再度切り返し、続く展開ではガップリ持った山部が朝比奈の引き手の持ち替えを狙った支釣込足で朝比奈を大きく崩す。
両者の攻撃志向はここからさらに加速、がっぷり四つに組み合っての攻防が続く。再び朝比奈の右払巻込で展開が切れた後、組み合うなり山部が右支釣込足。しかし朝比奈今度は一歩踏み出して耐えると、浴びせ倒すような浮落で切り返し「技有」獲得。朝比奈がそのまま後袈裟固で抑え込むと山部は諦めたかのように両手を上げたままタイムアップ。朝比奈が山部打倒を果たして決勝進出を決めた。

[決勝]

朝比奈沙羅○GS優勢[指導2](GS0:40)△素根輝
朝比奈が右、素根が左組みのケンカ四つ。素根が下から釣り手を突き、朝比奈が上から前襟を持ってこれを圧する。30秒過ぎに引き手を得た朝比奈が右払腰を仕掛けるが、引き手が離れてしまいこの技は不発。ここから引き手の探り合いが続き、1分8秒に朝比奈のみに「指導」が宣告される。ここが勝負どころと読んだか朝比奈は的確に一段ペースをアップ。釣り手のみの右内股で素根を畳に伏せ、さらに右内股と右払腰を連発して山場を作ると2分29秒ついに素根にも「指導」。以降は両者決め手を欠き、ポイントの変動がないまま本戦が終了。勝負の行方はGSの延長戦へと持ち越される。延長戦はまず素根が勝負に出て左背負投、しつこく食い下がるが朝比奈は全く崩れない。開始線に戻る素根は疲労を隠せず、どうやらスタミナが切れてきている様子。朝比奈これを感じ取ったかは組み合うなり片手の強引な右内股で素根を畳に這わせ、さらに一気に勝負を決めるべく奥襟を持って再び強引な右内股。大型の朝比奈が思い切り体を捨てたこの一撃に素根は堪えきれず大きく崩れてしまう。ここで主審は朝比奈の攻勢を認め、素根に「指導」を宣告。朝比奈の初優勝が決定した。

素根輝(南筑高1年)
成績:2位


[1回戦]

素根輝○不戦△スン・ペイユ(台湾)
相手が試合場に現れず。相手の棄権により素根が準々決勝進出。

[準々決勝]

素根輝○優勢[指導2]△稲森奈見
素根が左、稲森が右組みのケンカ四つ。稲森が圧を掛けて前に出るが、素根が先手攻撃の担ぎ技で組み手ををリセットしてしまう。素根の技で終わる展開が続いたことで、2分18秒に稲森に「指導」。リードを得た素根は組み手の手順を変え、釣り手で稲森の釣り手を持って一方的に両袖の左大内刈や左袖釣込腰を仕掛ける。稲森は全く技を出すことが出来ず、3分4秒には稲森に2つ目の「指導」が追加される。以降も素根は担ぎ技を仕掛け続けて快走、稲森に反撃のきっかけを与えず。残り10秒でようやく稲森が左一本背負投を仕掛けるが時既に遅し。「指導2」の優勢で素根が準々決勝進出を決めた。

[準決勝]

素根輝○合技[背負落・横四方固](2:44)△イ・インジュ(韓国)
素根が左、イが右組みのケンカ四つ。素根は長身で動きの素早いイに苦戦。奥襟を持って頭を下げられてしまい、1分5秒と1分22秒に立て続けに極端な防御姿勢の咎で「指導」を失ってしまう。しかし、素根はここから右一本背負投中心の組み立てに戦法を変更、この技による先制攻撃で試合の流れを引き戻す。2分26秒、右一本背負投を警戒したイが釣り手と引き手を同時に持ちに来ると、素根は待ってましたとばかりに先んじて引き手を確保。一度担いでから引き落とす2段モーションの左背負落で「技有」を奪う。そのまま横四方固で抑え込んで合技「一本」、素根が逆転勝利で決勝戦へと駒を進めた。

[決勝]

素根輝△GS優勢[指導2](GS0:40)○朝比奈沙羅
朝比奈が右、素根が左組みのケンカ四つ。素根が下から釣り手を突き、朝比奈が上から前襟を持ってこれを圧する。30秒過ぎに引き手を得た朝比奈が右払腰を仕掛けるが、引き手が離れてしまいこの技は不発。ここから引き手の探り合いが続き、1分8秒に朝比奈のみに「指導」が宣告される。ここが勝負どころと読んだか朝比奈は的確に一段ペースをアップ。釣り手のみの右内股で素根を畳に伏せ、さらに右内股と右払腰を連発して山場を作ると2分29秒ついに素根にも「指導」。以降は両者決め手を欠き、ポイントの変動がないまま本戦が終了。勝負の行方はGSの延長戦へと持ち越される。延長戦はまず素根が勝負に出て左背負投、しつこく食い下がるが朝比奈は全く崩れない。開始線に戻る素根は疲労を隠せず、どうやらスタミナが切れてきている様子。朝比奈これを感じ取ったかは組み合うなり片手の強引な右内股で素根を畳に這わせ、さらに一気に勝負を決めるべく奥襟を持って再び強引な右内股。大型の朝比奈が思い切り体を捨てたこの一撃に素根は堪えきれず大きく崩れてしまう。ここで主審は朝比奈の攻勢を認め、素根に「指導」を宣告。朝比奈の初優勝が決定した。

山部佳苗(ミキハウス)
成績:3位


[準々決勝]

山部佳苗○払腰(0:08)△スウ・シン(中国)
右相四つ。組み合うなり山部が豪快な右払腰で「一本」。僅か8秒で相手を一蹴して初戦を突破。

[準決勝]

山部佳苗△合技[浮落・後袈裟固](3:06)○朝比奈沙羅
右相四つ。お互いに足を飛ばしながら相手の出方を伺う静かな出だし、53秒には両者に「指導」。以降も膠着状態が続くが、山部が勇を鼓して放った右払腰をきっかけに試合が動き始め、直後朝比奈も引き手を襟に持ち替えて両襟の右大外刈に打って出る。これを受けた山部が大外返、朝比奈は右大外巻込で再度切り返し、続く展開ではガップリ持った山部が朝比奈の引き手の持ち替えを狙った支釣込足で朝比奈を大きく崩す。
両者の攻撃志向はここからさらに加速、がっぷり四つに組み合っての攻防が続く。再び朝比奈の右払巻込で展開が切れた後、組み合うなり山部が右支釣込足。しかし朝比奈今度は一歩踏み出して耐えると、浴びせ倒すような浮落で切り返し「技有」獲得。朝比奈がそのまま後袈裟固で抑え込むと山部は諦めたかのように両手を上げたままタイムアップ。朝比奈が山部打倒を果たして決勝進出を決めた。

[3位決定戦]

山部佳苗○反則[指導4](3:41)△ロシュレ・ヌネス(ブラジル)
山部が右、ヌネスが左組みのケンカ四つ。山部がいきなり右払腰でヌネスを大きく崩すが、やや間合いが遠くこれは決めきれず。ここからヌネスは山部の右払腰を警戒して腰を引いた待ちの構えをとる。35秒、山部が右払腰を2度放ったところでヌネスに1つ目の「指導」。以降も腰を引いて防御姿勢のヌネスを山部が一方的に右払腰で攻めるという構図のまま試合が進行し、残り30秒の時点で「指導2」対「指導3」で山部がリード。結局、3分41秒に山部の釣り手を嫌って指を組んだヌネスに4つ目の「指導」が与えられて勝負あり。「指導4」の反則で勝利した山部が3位を確保した。

稲森奈見(三井住友海上)
成績:7位


[準々決勝]

稲森奈見△優勢[指導2]○素根輝
素根が左、稲森が右組みのケンカ四つ。稲森が圧を掛けて前に出るが、素根が先手攻撃の担ぎ技で組み手ををリセットしてしまう。素根の技で終わる展開が続いたことで、2分18秒に稲森に「指導」。リードを得た素根は組み手の手順を変え、釣り手で稲森の釣り手を持って一方的に両袖の左大内刈や左袖釣込腰を仕掛ける。稲森は全く技を出すことが出来ず、3分4秒には稲森に2つ目の「指導」が追加される。以降も素根は担ぎ技を仕掛け続けて快走、稲森に反撃のきっかけを与えず。残り10秒でようやく稲森が左一本背負投を仕掛けるが時既に遅し。「指導2」の優勢で素根が準々決勝進出を決めた。


[敗者復活戦]

稲森奈見△優勢[有効・隅落]○ロシュレ・ヌネス(ブラジル)
稲森が右、ヌネスが左組みのケンカ四つ。稲森が釣り手を下から突いて内股を狙い、ヌネスが上から背中を抱えて後の先を狙うという構図。お互いにポイントがないまま試合が進行するが、最終盤の3分36秒に右内股で掛け潰れた稲森をヌネスが捲り返して隅落「有効」を獲得。「待て」の時点で試合時間は僅か17秒しか残されておらず、稲森はスクランブルを掛けてヌネスに組み付くがそのままタイムアップ。昨年の覇者である稲森は決勝ラウンドに進出すること叶わずここで畳を去ることとなった。


取材・文:林さとる/原輝地
編集:古田英毅

※ eJudoメルマガ版2月9日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.