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グランドスラム東京2016・最終日男子3階級(90kg級、100kg級、100kg超級)レポート

(2017年2月7日)

※ eJudoメルマガ版2月7日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラム東京2016・最終日男子3階級(90kg級、100kg級、100kg超級)レポート
■ 90kg級・優勝はアレクサンダー・クコル、日本勢は決勝進出ならず
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(エントリー25名)

【入賞者】
1.KUKOLJ, Aleksandar (SRB)
2.CLERGET, Axel (FRA)
3.NAGASAWA, Kenta (JPN)
3.NISHIYAMA, Daiki (JPN)
5.KUGIMARU, Taichi (JPN)
5.KHALMURZAEV, Khusen (RUS)
7.IDDIR, Alexandre (FRA)
7.MUKAI, Shoichiro (JPN)

【日本代表選手成績】

西山大希(新日鐵住金) 3位
長澤憲大(パーク24) 3位
釘丸太一(センコー) 5位
向翔一郎(日本大3年) 7位

五輪に出場したトップ層の選手は軒並み出場を回避。参加した海外の強豪はアレクサンドル・イディー(フランス)とクーシェン・カルモルゼフ(ロシア)のツアー常連2人に加えてリオデジャネイロ五輪前から台頭してきたアレクサンダー・クコル(セルビア)とアクセル・クルジェ(フランス)の新興勢力2人。率直に言ってトーナメントのレベルはグランプリ以下。

これに対して日本勢は最後までベイカー茉秋と五輪代表を争った西山大希(新日鐵住金)に講道館杯で素晴らしい活躍をした長澤憲大(パーク24)と釘丸太一(センコー)、さらに講道館杯3位で今年の学生体重別王者の向翔一郎(日本大3年)というなかなかの陣容。海外勢の顔ぶれを見る限り日本勢同士の決勝戦もじゅうぶん期待されるトーナメント構成であったが、結果としては開催国特権で4人を送り込んだにも関わらず1人も決勝に残れないという、非常に厳しい現実を突きつけられることとなった。

決勝に勝ち進んだのはアレクサンダー・クコルとアクセル・クルジェ。10月末に行われたグランドスラム・アブダビ大会決勝と同じ顔合わせとなった。この試合はクコルが右体落「一本」(4:11)で制して同大会に続くグランドスラム2連覇を達成。日本勢はまさに蚊帳の外といった体であった。

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西山大希は3位。2回戦から登場するとユウタ・ガラレタ ヴィラール(ペルー)相手に支釣込足「一本」(3:11)で勝利。最終的には投げ切ったものの、明らかな格下相手に丁寧すぎる組み立てで不必要に時間を掛けてしまった印象で、この傾向は以降も継続。準々決勝のイディー戦では「指導」のビハインドを背負ったまま技を仕掛けず、最終盤に相手の偽装攻撃でなんとか追い付き、延長戦の末に「指導2」(GS0:42)で辛勝。続く準決勝のアレクサンダー・クコルとの試合では「指導」をリードされた末に狙い過ぎた左大内刈を返されて「有効」を失陥、これを取り返すことが出来ずに敗れてしまった。3位決定戦のクーシェン・カルモルゼフ(ロシア)との試合でも「指導2」対「指導3」で後がなくなっているにも関わらず、何故か技を仕掛けずに組み手を作ることに終始してしまう。この試合は地力の高さをテコにカルモルゼフのミスを誘い「指導4」(4:17)で勝利したが、以前からの課題であった攻めの遅さは一層悪化している印象。いったいに技の出が遅く、十分な組み手にならないと技を仕掛けることが出来ない悪癖が今大会でも随所に顔を出した。技を仕掛けずとも相手にミスをさせるほどの地力の高さと、相手が勝手に警戒して自ら試合を壊してしまうほどの技の威力を持ちながら今大会で実際に仕掛けた投げは数えられる程度。今大会も真価を発揮することは出来なかった。

講道館杯王者の長澤憲大も最終成績は3位。この日も一貫してしっかり展開の優位を作っては要所で的確に技を仕掛けるという丁寧な試合ぶり。まず1回戦のムハマドカリム・フラモフ(ウズベキスタン)戦は「指導4」(4:11)で勝利、2回戦のコルトン・ブラウン(アメリカ)戦でも「指導2」をリードした上で最終盤に横四方固で「一本」(4:40)を奪う盤石の勝ち上がり。準々決勝のカルモルゼフ戦では左内股で「有効」を先行しておき、焦って前に出てきたカルモルゼフから左払腰で「有効」を追加、そのまま崩袈裟固に抑え込んで「一本」(4:48)を奪うまさしく完勝。非常に安定した勝ち上がりで準決勝進出を決めた。しかし準決勝のクルジェ戦では合計時間8分に迫る大消耗戦の末に勝ち急いでしまい内股透「技有」を失い惜しくも敗退。回った3位決定戦では講道館杯決勝と同じ釘丸との接戦を「指導2」対「指導3」で制して3位を確保した。内容は良し、戦いぶりからすれば決勝進出が妥当な成績であった。持ち味であるはずのディティールで失った準決勝が惜しまれるところ。

講道館杯準優勝の釘丸太一は支釣込足を効果的に用いながら勝ち進んだが、3位決定戦で長澤に敗れて5位。釘丸は1回戦をピオトル・クチェラ(ポーランド)に左大外刈「一本」(2:18)、2回戦をダフロンベク・サトロフ(ウズベキスタン)に「指導4」(3:37)と戦いぶりは安定。準々決勝ではクコルに一瞬の隙を突かれて肩車と崩上四方固の合技「一本」(3:26)で敗れたが、敗者復活戦では強豪イディーを相手に横四方固「技有」の優勢で勝利。3位決定戦こそ長澤の前に苦杯を喫したが国際大会でも十分戦えることを証明した、内容的には評価を一段挙げた大会ではないかと思われる。

学生体重別王者の向翔一郎は敗者復活戦で敗れて7位。1回戦でホセ・ペレイラ(アルゼンチン)に左内股「一本」(2:55)で勝利、2回戦でもセバスチャン・テメシ(オーストラリア)を「指導4」(4:20)で一蹴してベスト8進出を決めるが、しかしここからは有力選手を相手に連敗。準々決勝でクルジェに「指導2」優勢で敗れると、敗者復活戦でもカルモルゼフに「指導1」優勢で敗れてしまう。格下相手には圧倒してみせた向だが、ツアー常連の壁に弾き返された形で表彰台には手が届かなかった。

リオデジャネイロ五輪金メダリストのベイカー茉秋(東海大4年)と吉田優也(旭化成)の2人が負傷で休養するなか、海外トップ選手の影が薄いこの陣容のトーナメントで1人も決勝に進むことが出来なかったことは大きな課題。五輪王者のベイカーや2015年アスタナ世界選手権王者のガク・ドンハン(韓国)に代表されるように、この階級の主役は派手な投げ一発を持つ選手から試合運びが巧みで粘り強い戦い方の出来る選手へと移って来ている。今大会の日本勢はいずれも高い攻撃力を誇りながら試合運びのまずさで敗れており、前述のトレンドを加味すると順位以上に厳しい結果であると考えるべきだろう。

西山、長澤、釘丸のコメント、プールファイナル結果、決勝ラウンドと日本選手全試合の結果および戦評は下記。

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西山大希選手のコメント
「本当に疲れました。この大会は来年の世界選手権に選ばれるためには絶対に落とせない大会。なんとしても優勝するという気持ちでこの大会に臨みました。準決勝で負けてしまい気持ちが切れかけました。それでもここで3位になるのとならないのとではぜんぜん違うので、内容は本当に酷いものでしたが執念で勝ちました。今の段階では年明けの欧州遠征に選ばれるかどうかわかりませんが、もしチャンスを与えて頂ければそれをモノにして次の大会に繋げていきたいと思います。」

長澤憲大選手のコメント
「今日は絶対優勝しようと思っていました。ベイカーが出ていない分、ここで優勝してアピールしたかったので悔しいです。(-3位獲得について)優勝しなければ意味はないです。最後に負けたときは技を返されてしまったので、そこで最後までもっていける技の力を着けなければと思います。次に選ばれた試合ではしっかりと優勝し、世界選手権に繋げたいです。」

釘丸太一選手のコメント
「(-長澤との3位決定戦について)講道館杯決勝の相手でしたが、研究不足のために相手に攻められてしまい悔しいです。初めての国際大会だったので少しあたふたしてしまいました。また使ってもらえるのであれば鍛え直して頑張ります。(-今後について)まだ強くなれると思います。今いる選手たちよりも一番いい練習をして、しっかりと生活を整えて、チームのみんなと日本一を目指すところから世界を目指したいと思います。」

【プールファイナル結果】

[準々決勝]

アレクサンダー・クコル(セルビア)○崩上四方固(3:26)△釘丸太一
西山大希○GS優勢[指導2](GS0:42)△アレクサンドル・イディー(フランス)
アクセル・クルジェ(フランス)○優勢[指導2]△向翔一郎
長澤憲大○横四方固(4:58)△クーシェン・カルモルゼフ(ロシア)

【準決勝ラウンド以降結果、戦評】

[敗者復活戦]

釘丸太一○優勢[技有・横四方固]△アレクサンドル・イディー(フランス)
左相四つ。30秒過ぎ、釘丸は左小内刈でイディーを伏せさせると「横三角」から横四方固に抑え込んで早々に「技有」を先行する。以降は地力に勝る釘丸が優位に試合を進め、2分50秒、巴投で引き込んだイディーに偽装攻撃による「指導」が与えられる。あとのなくなったイディーは残り時間1分から背中深くを持って際を狙う戦法に変更。しかし、釘丸はこの形を利用して支釣込足でイディーを2度大きく崩してあくまで展開を譲らない。最終盤の4分55秒、釘丸に故意に場外に出た咎で「指導」が宣告されたがそのまま試合終了。釘丸が「技有」優勢でイディーを下して3位決定戦進出を決めた。

クーシェン・カルモルゼフ(ロシア)○優勢[指導1]△向翔一郎
カルモルゼフが右、向が左組みのケンカ四つ。序盤からカルモルゼフは肩越しに帯を掴んで得意の帯取返を狙う。しかし、これは向も当然承知しておりカルモルゼフがクロスグリップから帯取返を狙うと腰を落としてしっかりと防御する。さらに向はカルモルゼフがクロスグリップを狙ったタイミングに谷落を合わせて大きく崩し、カルモルゼフ得意のこの形を牽制。ここからは地力に勝るカルモルゼフ優位での動的膠着が続き、2分15秒、奥襟を得たカルモルゼフが腰技を狙う動作を繰り返したところで向のみに「指導」が宣告される。リードを許した向だが、3分2秒に序盤から狙っていた組み際の谷落で「有効」を獲得、逆転に成功する。大きなリードを得た向だが、ここからカルモルゼフもペースを上げて追い上げにかかる。残り30秒、カルモルゼフは奥襟を持って向を場外際に追い詰めると、腰を引いた防御姿勢の向を引込返で後方に投げつけ「有効」を獲得。残り時間はほとんど残されておらずこのまま試合は終了。「指導1」優勢でカルモルゼフが勝利した。

[準決勝]

アクセル・クルジェ(フランス)○GS優勢[技有・内股透](GS2:54)△長澤憲大
クルジェが右、長澤が左組みのケンカ四つ。組み合うなり長澤が強烈な左内股でクルジェを大きく崩す。しかし、この技は威力のある分かえっってクルジェの警戒心を引き出す結果となってしまい、以後クルジェは組み手の管理を徹底。お互いに引き手を持たない膠着状態が続き、1分9秒には両者に「指導」が宣告される。以降も引き手の探り合いが続くが、2分37秒、試合を動かすことを企図してか主審長澤のみに少々不可解な「指導」を追加。リードを許した長澤は組み際の技を起点に組み手を作り攻勢に出る。長澤が低い左内股でクルジェを伏せさせたところでクルジェはテーピングの巻き直しを要求、暫し試合が中断する。再開後も引き手を取りたい長澤と取らせたくないクルジェの構図が続き、3分51秒に引き手を得た長澤が右袖釣込腰でクルジェを大きく転がす。この技は腹から落ちてノーポイントとなったが、ここで主審は長澤の優位を認めてクルジェに「指導」を宣告。長澤はついに追いつくことに成功する。ここから長澤が一方的に攻める展開が続くがポイントがないまま本戦が終了、勝負はGS延長戦へともつれ込む。延長戦でも地力に勝る長澤が終始優位に試合を進め、クルジェが組み手管理と掛け潰れでこれを凌ぐ展開が続く。合計時間が約8分にも及ぶ大消耗戦となったが、最後は長澤の左内股をクルジェが跨いで透かし「技有」。試合の大勢を制しながら結果は得られず、長澤にとっては悔しい敗戦となった。

アレクサンダー・クコル(セルビア)○有効[有効・裏投]△西山大希
左相四つ。序盤はクコルが西山の釣り手を落とし、不十分な形のまま技を連発する。西山の負傷のために試合が中断した後にクコルの技で終わる展開が2度続き、再度西山の治療のために試合が中断、西山が畳に戻ると同時に主審は消極的との咎で西山に「指導」を宣告。リードを許した西山はペースを一段上げて追い上げに掛かる。3分45秒、ついに十分な形の引き手を得た西山が片襟の左大内刈を放つとクコルは待ってましたとばかりに懐の深さをいかして裏投で迎え撃つ。西山は釣り手を奥襟の位置に持ち替えて投げ切ろうとするが、足を外されて転がされてしまい「有効」失陥。さらにここからクコルに寝勝負を許してしまい「待て」が掛かった時点で残り時間は僅か34秒。大きなリードを得たクコルは完全に逃げの姿勢、西山はなんとか組み付こうと試みるがクコルに「指導」2つが宣告されたところでタイムアップ。試合を完全にコントロールしたクコルの完勝であった。


[3位決定戦]

長澤憲大○優勢[指導3]△釘丸太一
左相四つ。長澤が奥襟を得ると釘丸は頭を下げたままこの形を受け入れてしまい、22秒に釘丸に極端な防御姿勢による「指導」が宣告される。以降はいずれが100対0の一方的な組み手を作り、相手側が掛け潰れてそれをリセットするという展開が繰り返される。2分3秒、再び長澤が奥襟を得て釘丸に圧力をかけると、主審はこれを長澤のブロッキングと見なして長澤に「指導」を宣告する。これで追い付くことに成功した釘丸だが、直後の2分20秒に自ら場外に出てしまい「指導」を失陥、瞬く間に長澤に再びリードを許してしまう。ここからはお互いに相手を警戒、長澤やや優位の膠着状態で試合が進み、4分6秒に双方に「指導」が与えられる。この時点で累積警告は釘丸が「3」、長澤が「2」。残り時間が1分を切り、釘丸にとっては後のない状況だがあくまでもローリスクな巴投や支釣込足に終始してしまい試合を壊せないまま試合終了。この2人はともに投げの威力をテコに講道館杯決勝まで勝ち上がって激戦を為したばかりの関係であるとともに、かつて双方の「試合巧者」としての属性が最高潮にあった時期に21分の超長時間試合を戦った因縁の相手でもある。そしてこの試合は撃てば必ず撃ち返し、加速すると合わせ鏡に加速される、互いの厄介さを知悉するがゆえに動的膠着を踏み越えられなかった感あり。双方今季の出世が技一撃の威力を全面に押し出したことを因としてのことであることを今一度思い起こしてもらいたい、と感じさせられた一番であった。

西山大希○反則[指導4](4:17)△クーシェン・カルモルゼフ(ロシア)
西山が左、カルモルゼフが右組みのケンカ四つ。37秒にカルモルゼフの奥襟を嫌って伏せてしまった西山に偽装攻撃の咎による「指導」が宣告される。地力で勝る西山に対してカルモルゼフは巧みな釣り手さばきで対抗。1分9秒にはその意図通りに両者に「指導」が宣告される。以降も「指導」累積を狙うカルモルゼフの企みと技の出が遅い西山の悪癖が噛み合う形で膠着状態が続く。2分26秒には再び両者に「指導」が宣告され、西山は試合時間を半分残して「指導2」対「指導3」まで追い込まれる崖っぷち。しかしこの段階に至っても西山は技を仕掛けずあくまで組み手争いに終始。それでも地力をテコに前に出続けたことで西山の組み手を嫌ったカルモルゼフに3分30秒に「指導」が与えられポイントで並ぶことに成功する。ここから西山は釣り手のみの不十分な組み手から左大外刈を連発。4分17秒、守勢に回ったカルモルゼフに「指導」が宣告され「指導4」で西山の逆転勝利が確定。西山は表彰台こそ確保したが、課題である技の出の遅さが改めて浮き彫りとなった非常に厳しい試合内容であった。

[決勝]

アレクサンダー・クコル(セルビア)◯体落(4:11)△アクセル・クルジェ(フランス)
クコルが右、クルジェが左組みのケンカ四つ。30秒、クルジェが場外際の巴投でクコルを大きく浮かすが、クコルは側転の要領で逃れてノーポイント。以降もクルジェの巴投で攻防が終わる展開が続き、2分26秒、クコルに消極的の咎で「指導」。さらに直後の2分33秒にはクコルに片襟の咎で2つ目の「指導」が追加され、わずか10秒のうちにクコルは2つの反則ポイントを失ってしまう。焦ったクコルは強引な左内股を仕掛けるが、掛け潰れたところクルジェに腕挫十字固を狙われてしまいかえって窮地に陥ることに。この攻防はクコルが凌ぎ切って「待て」となったが、クルジェが完全に主導権を掌握した感あり。しかし3分28秒にクコルが組み際の横落で「技有」を奪い逆転に成功すると流れは一転。両者の治療のために試合が一時中断した後、4分11秒に腰を差してのもつれ合うような攻防からクコルが右体落で回し切って「一本」。クコルがグランドスラム・アブダビに続くビッグタイトルを獲得した。

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【日本代表選手全試合結果、戦評】

西山大希(新日鐵住金)
成績:3位


[2回戦]

西山大希○支釣込足(3:11)△ユウタ・ガラレタヴィラール(ペルー)
左相四つ。西山はじっくりと時間を掛けて組み手を完成させると、1分34秒に狙いすました左大外刈で「有効」を獲得。さらに2分36秒には西山の組み手を嫌ったガラレタヴィラールに「指導1」が与えられる。西山3分9秒に左大外刈、これで相手を押し込むと切れ味鋭く支釣込足に繋いで相手を転がし「一本」。攻めの遅さは見られたが、危なげなく初戦を突破する。

[準々決勝]

西山大希○GS優勢[指導2](GS0:42)△アレクサンドル・イディー(フランス)
左相四つ。お互いに2本持った状態で足技を出しながら相手の釣り手を絞り合い、釣り手が下がると組み手を離してリセットするという展開が続く。1分30秒、イディーが右袖釣込腰の仕掛け終わりに左小内刈を繰り出すと西山は大きく崩れて腹這い。続く展開でも組み手争いによる動的膠着が続き、西山が組み手をリセットしようと釣り手を離したところにイディーが右一本背負投を仕掛ける。懐深くまで侵入を許した西山、体幹の強さを活かしてなんとか凌ぎ切るがイディーの技で終わる展開が続いたことで2分29秒、主審は西山のみに「指導」を宣告。リードを許した西山はペースを上げて追い上げに掛かるが、試合を壊すような思い切った行動には出ずあくまで丁寧な組み立てを志向。しかし西山の組み手になるとイディーが先んじて攻撃するため、なかなか技を仕掛けることが出来ない。この構図のまま試合が進み残り時間はわずか10秒。このままイディーの勝利かと思われたが、西山が前に出続けたことで少しずつ圧が効き始めており、これを嫌ったイディーが右一本背負投で掛け潰れるミスを犯す。イディーに偽装攻撃による「指導」が与えられ試合は土壇場でタイスコア。試合は延長戦に突入するが、目前で勝利を逃して疲労困憊のイディーに対して西山は好機とばかりにラッシュを継続。西山が一方的に攻める展開が続いたGS42秒、イディーに「指導」が与えられて試合は決着。イディーが試合をコントロールし続けたが、西山の地力がそれを上回ったという一番。

[準決勝]

西山大希△有効[有効・裏投]○アレクサンダー・クコル(セルビア)
左相四つ。序盤はクコルが西山の釣り手を落とし、不十分な形のまま技を連発する。西山の負傷のために試合が中断した後にクコルの技で終わる展開が2度続き、再度西山の治療のために試合が中断、西山が畳に戻ると同時に主審は消極的との咎で西山に「指導」を宣告。リードを許した西山はペースを一段上げて追い上げに掛かる。3分45秒、ついに十分な形の引き手を得た西山が片襟の左大内刈を放つとクコルは待ってましたとばかりに懐の深さをいかして裏投で迎え撃つ。西山は釣り手を奥襟の位置に持ち替えて投げ切ろうとするが、足を外されて転がされてしまい「有効」失陥。さらにここからクコルに寝勝負を許してしまい「待て」が掛かった時点で残り時間は僅か34秒。大きなリードを得たクコルは完全に逃げの姿勢、西山はなんとか組み付こうと試みるがクコルに「指導」2つが宣告されたところでタイムアップ。試合を完全にコントロールしたクコルの完勝であった。

[3位決定戦]

西山大希○反則[指導4](4:17)△クーシェン・カルモルゼフ(ロシア)
西山が左、カルモルゼフが右組みのケンカ四つ。37秒にカルモルゼフの奥襟を嫌って伏せてしまった西山に偽装攻撃の咎による「指導」が宣告される。地力で勝る西山に対してカルモルゼフは巧みな釣り手さばきで対抗。1分9秒にはその意図通りに両者に「指導」が宣告される。以降も「指導」累積を狙うカルモルゼフの企みと技の出が遅い西山の悪癖が噛み合う形で膠着状態が続く。2分26秒には再び両者に「指導」が宣告され、西山は試合時間を半分残して「指導2」対「指導3」まで追い込まれる崖っぷち。しかしこの段階に至っても西山は技を仕掛けずあくまで組み手争いに終始。それでも地力をテコに前に出続けたことで西山の組み手を嫌ったカルモルゼフに3分30秒に「指導」が与えられポイントで並ぶことに成功する。ここから西山は釣り手のみの不十分な組み手から左大外刈を連発。4分17秒、守勢に回ったカルモルゼフに「指導」が宣告され「指導4」で西山の逆転勝利が確定。西山は表彰台こそ確保したが、課題である技の出の遅さが改めて浮き彫りとなった非常に厳しい試合内容であった。

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長澤憲大(パーク24)
成績:3位


[1回戦]

長澤憲大○反則[指導4](4:11)ムハマドカリム・フラモフ(ウズベキスタン)
長澤が左、フラモフが右組みのケンカ四つ。引き手の探り合いが続き、27秒、両者に「指導」。フラモフはあくまで長澤に引き手を取らせず、長澤は釣り手のみの左内股で攻める。お互いに引き手を持たない攻防が続き、1分19秒と1分58秒に両者に組み合わない咎での「指導」、試合時間を3分間残して早くも両者の累積警告は「3」となる。ここからは長澤が引き手を得ると左内股で攻め、フラモフは組み際の低い左一本背負投でこれを凌ぐ展開が続く。最後は4分11秒に左一本背負投で掛け潰れたフラモフに偽装攻撃による「指導」が宣告されて決着。長澤は格下の相手にやや付き合いすぎた印象。

[2回戦]

長澤憲大○横四方固(4:40)△コルトン・ブラウン(アメリカ)
左相四つ。長澤は引き手の絞りを徹底して支釣込足に左大外刈、相手が釣り手を上げたところに右袖釣込腰と一方的に攻め続ける。1分52秒にはクロスグリップで持ち続けたブラウンに対して「指導」が与えられ、ポイントの上でもリードを確保。さらに2分59秒には長澤の帯を持ち続けた咎でブラウンに2つ目の「指導」が累積する。以降も長澤のペースで試合は進み、4分20秒、伏せたブラウンを横に転がすと足を抜いて横四方固「一本」。丁寧に攻め続けた末の、危なげない勝利だった。

[準々決勝]

長澤憲大○横四方固(4:58)△クーシェン・カルモルゼフ(ロシア)
長澤が左、カルモルゼフが右組みのケンカ四つ。釣り手の探り合いが続き、1分8秒、両者に「指導」。長澤は釣り手で下から突いて距離を取りつつ、要所では釣り手を上から被せて左足車を仕掛けて展開のバランスを取る。2分34秒、長澤がクロスグリップから釣り手のみの左内股を放つとカルモルゼフは体側から落ちて「有効」。追い上げを狙うカルモルゼフは密着して際の創出を企図、これを嫌った長澤は連続で膝を着いてしまい3分39秒に長澤に偽装攻撃の「指導」が宣告される。ここからはカルモルゼフが背中を抱いて長澤に密着し、それを長澤が左内股で凌ぐという展開か続く。4分40秒、長澤は引き手を十分に引いてカルモルゼフの頭を下げさせる組み手を作ることに成功。左払腰「有効」からそのまま崩袈裟固に抑え込むとカルモルゼフが「参った」を表明。長澤が準決勝進出を決めた。

[準決勝]

長澤憲大△GS優勢[技有・内股透](GS2:54)○アクセル・クルジェ(フランス)
クルジェが右、長澤が左組みのケンカ四つ。組み合うなり長澤が強烈な左内股でクルジェを大きく崩す。しかし、この技は威力のある分かえっってクルジェの警戒心を引き出す結果となってしまい、以後クルジェは組み手の管理を徹底。お互いに引き手を持たない膠着状態が続き、1分9秒には両者に「指導」が宣告される。以降も引き手の探り合いが続くが、2分37秒、試合を動かすことを企図してか主審長澤のみに少々不可解な「指導」を追加。リードを許した長澤は組み際の技を起点に組み手を作り攻勢に出る。長澤が低い左内股でクルジェを伏せさせたところでクルジェはテーピングの巻き直しを要求、暫し試合が中断する。再開後も引き手を取りたい長澤と取らせたくないクルジェの構図が続き、3分51秒に引き手を得た長澤が右袖釣込腰でクルジェを大きく転がす。この技は腹から落ちてノーポイントとなったが、ここで主審は長澤の優位を認めてクルジェに「指導」を宣告。長澤はついに追いつくことに成功する。ここから長澤が一方的に攻める展開が続くがポイントがないまま本戦が終了、勝負はGS延長戦へともつれ込む。延長戦でも地力に勝る長澤が終始優位に試合を進め、クルジェが組み手管理と掛け潰れでこれを凌ぐ展開が続く。合計時間が約8分にも及ぶ大消耗戦となったが、最後は長澤の左内股をクルジェが跨いで透かし「技有」。試合の大勢を制しながら結果は得られず、長澤にとっては悔しい敗戦となった。

[3位決定戦]

長澤憲大○優勢[指導3]△釘丸太一
左相四つ。長澤が奥襟を得ると釘丸は頭を下げたままこの形を受け入れてしまい、22秒に釘丸に極端な防御姿勢による「指導」が宣告される。以降はいずれが100対0の一方的な組み手を作り、相手側が掛け潰れてそれをリセットするという展開が繰り返される。2分3秒、再び長澤が奥襟を得て釘丸に圧力をかけると、主審はこれを長澤のブロッキングと見なして長澤に「指導」を宣告する。これで追い付くことに成功した釘丸だが、直後の2分20秒に自ら場外に出てしまい「指導」を失陥、瞬く間に長澤に再びリードを許してしまう。ここからはお互いに相手を警戒、長澤やや優位の膠着状態で試合が進み、4分6秒に双方に「指導」が与えられる。この時点で累積警告は釘丸が「3」、長澤が「2」。残り時間が1分を切り、釘丸にとっては後のない状況だがあくまでもローリスクな巴投や支釣込足に終始してしまい試合を壊せないまま試合終了。この2人はともに投げの威力をテコに講道館杯決勝まで勝ち上がって激戦を為したばかりの関係であるとともに、かつて双方の「試合巧者」としての属性が最高潮にあった時期に21分の超長時間試合を戦った因縁の相手でもある。そしてこの試合は撃てば必ず撃ち返し、加速すると合わせ鏡に加速される、互いの厄介さを知悉するがゆえに動的膠着を踏み越えられなかった感あり。双方今季の出世が技一撃の威力を全面に押し出したことを因としてのことであることを今一度思い起こしてもらいたい、と感じさせられた一番であった。

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釘丸太一(センコー)
成績:5位


[1回戦]

釘丸太一○大外刈(2:18)△ピオトル・クチェラ(ポーランド)
左相四つ。クチェラは釘丸よりも頭ひとつ長身。釘丸は間合いを掴むことに苦しむが、十分な引き手を得ると1分23秒に遠間から思い切って左大外刈を放つ。釣り手の形は不十分であったが、釘丸は巻き込む形で強引に押し込んで「技有」を獲得する。2分半過ぎには釘丸が奥襟を得てクチェラの頭を下げさせる一方的な形が現出。釘丸は作用足を差し入れてから上体を固め、豪快な左大外刈を放つ。カチェラの首を完全にロックしたこの一撃は文句なしの「一本」。初めての国際大会に挑む釘丸、素晴らしい滑り出し。

[2回戦]

釘丸太一○反則[指導4](3:37)△ダフロンベク・サトロフ(ウズベキスタン)
釘丸が左、サトロフが右組みのケンカ四つ。開始早々の19秒、釘丸の組み手を嫌ったサトロフに「指導」が与えられる。釘丸は引き手を取れない状態でも支釣込足で相手を崩しながら積極的に持ちに掛かって主導権確保、1分11秒にはサトロフに2つ目の「指導」が累積する。さらに2分9秒にも組み合わないサトロフに「指導」が与えられ、試合時間を3分残してサトロフの累積警告は「3」。あとのなくなったサトロフは組み合いに応じざるを得ず、釘丸は再三仕掛けている支釣込足でサトロフを大きく転がす。この技は尻餅とみなされポイントに至らなかったが、3分18秒に支釣込足に意識が向いたサトロフに対して釘丸は低い左体落で「有効」を奪う。直後の3分37秒、釘丸が左大外刈で攻めたところでサトロフに4つ目となる「指導」が宣告され釘丸の勝利が決定。

[準々決勝]

釘丸太一△合技[肩車・崩上四方固](3:26)○アレクサンダー・クコル(セルビア)
左相四つ。お互いに釣り手を絞り合って十分な組み手になれないまま時間が経過、1分30秒に両者に組み合わない咎での「指導」が宣告される。2分13秒、釘丸が奥襟を得てクコルを抱き込むような形になると、クコルはこの空間を巧みに利用して肩車、不十分な形ながら強引に押し込んで「技有」を獲得する。さらにそこから腕挫十字固を晒しながら寝技を展開、三角絞から崩上四方固に抑え込む。完全に上体を極められてしまった釘丸は逃れることが出来ず合技「一本」。クコルはベスト4入り決定、敗れた釘丸は敗者復活戦へと回ることとなった。

[敗者腹結戦]

釘丸太一○優勢[技有・横四方固]△アレクサンドル・イディー(フランス)
左相四つ。30秒過ぎ、釘丸は左小内刈でイディーを伏せさせると「横三角」から横四方固に抑え込んで早々に「技有」を先行する。以降は地力に勝る釘丸が優位に試合を進め、2分50秒、巴投で引き込んだイディーに偽装攻撃による「指導」が与えられる。あとのなくなったイディーは残り時間1分から背中深くを持って際を狙う戦法に変更。しかし、釘丸はこの形を利用して支釣込足でイディーを2度大きく崩してあくまで展開を譲らない。最終盤の4分55秒、釘丸に故意に場外に出た咎で「指導」が宣告されたがそのまま試合終了。釘丸が「技有」優勢でイディーを下して3位決定戦進出を決めた

[3位決定戦]

釘丸太一△優勢[指導3]○長澤憲大
左相四つ。長澤が奥襟を得ると釘丸は頭を下げたままこの形を受け入れてしまい、22秒に釘丸に極端な防御姿勢による「指導」が宣告される。以降はいずれが100対0の一方的な組み手を作り、相手側が掛け潰れてそれをリセットするという展開が繰り返される。2分3秒、再び長澤が奥襟を得て釘丸に圧力をかけると、主審はこれを長澤のブロッキングと見なして長澤に「指導」を宣告する。これで追い付くことに成功した釘丸だが、直後の2分20秒に自ら場外に出てしまい「指導」を失陥、瞬く間に長澤に再びリードを許してしまう。ここからはお互いに相手を警戒、長澤やや優位の膠着状態で試合が進み、4分6秒に双方に「指導」が与えられる。この時点で累積警告は釘丸が「3」、長澤が「2」。残り時間が1分を切り、釘丸にとっては後のない状況だがあくまでもローリスクな巴投や支釣込足に終始してしまい試合を壊せないまま試合終了。この2人はともに投げの威力をテコに講道館杯決勝まで勝ち上がって激戦を為したばかりの関係であるとともに、かつて双方の「試合巧者」としての属性が最高潮にあった時期に21分の超長時間試合を戦った因縁の相手でもある。そしてこの試合は撃てば必ず撃ち返し、加速すると合わせ鏡に加速される、互いの厄介さを知悉するがゆえに動的膠着を踏み越えられなかった感あり。双方今季の出世が技一撃の威力を全面に押し出したことを因としてのことであることを今一度思い起こしてもらいたい、と感じさせられた一番であった。

向翔一郎(日本大3年)
成績:7位


[1回戦]

向翔一郎○内股(2:55)△ホセ・ペレイラ(アルゼンチン)
左相四つ。向は引き手から組む丁寧な組み立てで試合を展開
1分6秒に片襟の左大内で巻き込んで「有効」を獲得する。1分28秒には組み合わないペレイラに「指導」が宣告され、以後もペース変わらず2分33秒までにペレイラに積みあがった累積警告は「3」。ここに至っても組み合わないペレイラに対し向一計を案じ、2分55秒に組み手争いからまず足を差し込んで左内股。ペレイラは畳に転がり落ち主審は「一本」を宣告する。詰将棋のように相手を追い詰め最後には「一本」を奪うという完勝で向が初戦を突破。

[2回戦]

向翔一郎○反則[指導4](4:20)△セバスチャン・テメシ(オーストラリア)
左相四つ。試合の全体にわたって向が先に引き手を得て組み手を支配。この形を露骨に嫌ったテメシに対して37秒と1分37秒に「指導」が宣告される。以後も向は快調、十分な組み手を作れない場面でも組み際の技で着実に手数を稼ぐ。2分30秒に向に首抜きの咎による「指導」が与えられるが、大枠の向優位は変わらず。3分40秒にはテメシに3つ目の「指導」が与えられ、4分20秒に向が左背負投でテメシを大きく崩したところでテメシに4つ目の「指導」。

[準々決勝]

向翔一郎△優勢[指導2]○アクセル・クルジェ(フランス)
向が左、クルジェが右のケンカ四つ。お互いに引き手を探り合う展開が続き、1分12秒、両者に組み合わない咎で「指導」が宣告される。以降はお互いに組み際の技で攻め合う刹那的な攻防が続くが、時間の経過とともに少しずつクルジェ優位の時間が増してゆく。4分26秒、クルジェが帯を持って向を場外際に追い込むと、向は思わず伏せてしまい偽装攻撃の咎で致命的な「指導」失陥。既にほとんど時間は残されておらずこのまま試合が終了し、「指導1」対「指導2」でクルジェが勝利した。

[敗者復活戦]

向翔一郎△優勢[指導1]○クーシェン・カルモルゼフ(ロシア)
カルモルゼフが右、向が左組みのケンカ四つ。序盤からカルモルゼフは肩越しに帯を掴んで得意の帯取返を狙う。しかし、これは向も当然承知しておりカルモルゼフがクロスグリップから帯取返を狙うと腰を落としてしっかりと防御する。さらに向はカルモルゼフがクロスグリップを狙ったタイミングに谷落を合わせて大きく崩し、カルモルゼフ得意のこの形を牽制。ここからは地力に勝るカルモルゼフ優位での動的膠着が続き、2分15秒、奥襟を得たカルモルゼフが腰技を狙う動作を繰り返したところで向のみに「指導」が宣告される。リードを許した向だが、3分2秒に序盤から狙っていた組み際の谷落で「有効」を獲得、逆転に成功する。大きなリードを得た向だが、ここからカルモルゼフもペースを上げて追い上げにかかる。残り30秒、カルモルゼフは奥襟を持って向を場外際に追い詰めると、腰を引いた防御姿勢の向を引込返で後方に投げつけ「有効」を獲得。残り時間はほとんど残されておらずこのまま試合は終了。「指導1」優勢でカルモルゼフが勝利した。

■ 100kg級・デニソフが階級変更後初のビッグタイトル獲得、注目の飯田健太郎は堂々3位入賞果たす
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【入賞者】
1.DENISOV, Kirill (RUS)
2.MARET, Cyrille (FRA)
3.SHIMOWADA, Shohei (JPN)
3.IIDA, Kentaro (JPN)
5.DVARBY, Joakim (SWE)
5.MINASKIN, Grigori (EST)
7.REMARENCO, Ivan (UAE)
7.WOLF, Aaron (JPN)

【日本代表選手成績】

下和田翔平(京葉ガス) 3位
飯田健太郎(国士舘高3年) 3位 
ウルフアロン(東海大3年) 7位
後藤隆太郎(慶応大4年) 1回戦敗退

選手層が非常に厚くどの大会でも常に一定以上のレベルを保ち続ける100kg級だが、五輪後のオフシーズンということもありグランドスラムと銘打つには少々寂しい陣容。リオデジャネイロ五輪銅メダリストのシリル・マレ(フランス)が参戦しているものの、次点にはこの秋階級を上げて来たばかりの2015年アスタナ世界選手権90kg級2位のキリル・デニソフ(ロシア)とまだこの階級での実績十分と言い難い選手を挙げざるを得ない情勢。
強豪と呼べるラインは階級きっての曲者であるアドラン・ビスルタノフ(ロシア)と時折スポット的に爆発力を発揮するイワン・レマレンコ(UAE)を加えた4人までがギリギリ。ただし日本勢4人が加わることでトーナメント優勝難度は一段押し上げられており、海外勢の陣容の割に勝利の到達点は高いというなかなか難しい大会に仕上がっている。

トーナメントを制したのはデニソフ。デニソフは先日行われたグランプリ青島大会で100kg級に転向するなりいきなり優勝を遂げており、続いて早くもグランドスラムのビッグタイトルを獲得することとなった。この日は飯田健太郎(国士舘高3年)にシリル・マレと優勝候補の強豪を立て続けに組み手で完封、自身よりも一回り大きい相手に対して奥襟を持って頭を下げさせほとんど自分の柔道をさせなかった。90kg級時代は目立たなかったが、どうやらデニソフは長身選手を得意としている模様、100kg級でも強豪として定着するところは少なくとも間違いないところで、どこまでのレベルに上り詰めるのか大いに注目しておきたい。

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今大会最注目選手の一人である飯田健太郎はシニア国際大会デビューにして堂々のグランドスラム3位入賞。飯田は1回戦でイタロ・コルドバ(チリ)を大内刈と横四方固の合技「一本」(1:28)で一蹴。2回戦では曲者ビスルタノフと対戦、この選手はこれまで帯を解き、疲れたふりをしてとありとあらゆる手段を講じて日本選手の前に立ちはだかって来た難敵、飯田は抑え込みを2度逃してしまうなど線の細さも見せたがこの面倒な相手を「指導1」優勢で退けて準々決勝進出を果たす。準決勝では前述の通りキリル・デニソフに組み手を封じられてしまい「指導2」優勢で敗れたものの、敗者復活戦では前戦の負傷により対戦相手のウルフアロンが棄権。迎えた3位決定戦ではグリゴリ・ミナシキン(エストニア)を横四方固「一本」(1:51)で破って見事銅メダルを獲得した。高校3年生でグランドスラムの表彰台に上がったことは間違いなく快挙。とはいえ飯田のポテンシャルの高さや国内での圧倒的成績を鑑みるとファンの意識のなかではこれはもはや当然の結果と言ってよく、やや物足りない感すらある。敗れたデニソフ戦でも組み手を完全に封じられながらも度々惜しい場面を作っており、国際大会への適性という点では十分アピールできたはず。今後の飯田の活躍に期待したい。

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もう1人の3位は下和田翔平(京葉ガス)。下和田は1回戦でホン・イチン(台湾)を大外刈と横四方固の合技「一本」(1:49)で下すと、2回戦ではウォン・ジョンフン(韓国)と対戦。開始早々に裏投で「技有」を奪われる厳しい戦いとなったが、腕挫十字固「一本」(3:07)で逆転勝利して準々決勝へと進出。準々決勝ではシリル・マレに「指導2」優勢で敗れたものの、敗者復活戦ではイワン・レマレンコに豪快な右大外刈「一本」(2:22)で勝利。3位決定戦もヨアキム・ドファービ(スウェーデン)を「指導2」優勢で破って3位を確保した。

講道館杯王者のウルフ・アロン(東海大3年)はまず2回戦でキム・ヒョンチョル(韓国)に裏投と上四方固の合技「一本」(3:03)で勝利。順調な滑り出しだったが、続く準々決勝でヨアキム・ドファービに腕挫十字固「一本」(1:07)で意外な敗退。この際に腕を負傷してしまい敗者復活戦は棄権した。今大会のウルフのミッションは羽賀龍之介(旭化成)との距離を縮めるとともに飯田にしっかりと差をつけることであったはずであり、これは明らかに未達。非常に悔いの残る結果となった。

羽賀の代替選手として出場した後藤隆太郎(慶應義塾大4年)は1回戦でファラ・アーロン(オーストリア)を相手に先に「指導3」の大きなリードを得るも、終了間際に「やぐら投げ」で「有効」を失い初戦敗退だった。

下和田翔平と飯田健太郎のコメント、プールファイナル結果、決勝ラウンドと日本選手全試合の結果および戦評は下記。

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下和田翔平選手のコメント
「疲れました。気付いたら(100kg級の)強化選手のなかで最年長になってしまいました。どんどん若くて強い選手が出てくるなかで、年を食っても粘り強く戦えるということを見せつけたいと思って戦いました。(-東京五輪に向けてアピールになったのでは?)4年後となると気が遠くなってしまいますが、まずは来年に向けて必ずメダルを獲るという意志を持って戦いました。課題はたくさんあると思いますが、メダルを死守できて良かったです。」

飯田健太郎選手のコメント
「(-3位という結果について)正直うれしいです。この大会に出場が決まって周りの方から「頑張って」「応援に行くよ」と期待して頂いて、それをプレッシャーではなく力に変えられたと思います。今回は勢いで銅メダルを獲得できましたが、海外の選手はまだまだ沢山います。今後は海外の選手をターゲットにして2020年までしっかりやっていきたいです。(-東京五輪の目標について)優勝したいです。」

【プールファイナル結果】

[準々決勝]

シリル・マレ(フランス)○優勢[指導2]△下和田翔平
グリゴリ・ミナシキン(エストニア)○横四方固(4:57)△イワン・レマレンコ(UAE)
キリル・デニソフ(ロシア)○優勢[指導2]△飯田健太郎
ヨアキム・ドファービ(スウェーデン)○腕挫十字固(1:07)△ウルフ・アロン
【準決勝ラウンド以降結果、戦評】

[敗者復活戦]

下和田翔平○大外刈(2:22)△イワン・レマレンコ(UAE)
右相四つ。下和田が奥襟を得て組み手で圧を掛け、レマレンコが足技を織り交ぜながらそれを凌ぐ展開が続く。1分40秒、下和田は組み際の右大外刈でレマレンコを大きく崩すと左小外刈に連絡。レマレンコを大きく崩すことに成功する。この技に感触を得た下和田は続く展開の2分22秒、奥襟をしっかりと持って再度右大外刈に飛び込む。完全に首をロックしたこの技にレマレンコは堪らずふっ飛び「一本」。豪快な右大外刈「一本」で下和田が3位決定戦進出を決めた。

飯田健太郎○不戦△ウルフ・アロン
前戦でウルフが負傷したため棄権。飯田の3位決定戦出場が決定。

[準決勝]

シリル・マレ(フランス)○優勢[指導2]△グリゴリ・ミナシキン(エストニア)
右相四つ。ミナシキンはマレの釣り手を警戒して左構えで脇を突き、距離を取って間合いを確保、マレが両手を得るとすぐに巴投に引き込んで展開をリセットする。マレが不十分ながら2本持って圧を掛けるとミナシキンは腰を引いて防御姿勢。マレが右大外刈でミナシキンを押し込んだ2分20秒、ミナシキンに消極的の咎で「指導」が宣告される。さらに直後の2分45秒にはマレの引き手を嫌ったミナシキンに組み合わない咎で2つ目の「指導」が累積。その後もお互い組み手争いに終始し技は散発状態。3分53秒に両者に「指導」が追加されるが試合の趨勢は変わらずそのまま試合終了。マレが「指導1」対「指導3」の優勢で勝利した。

キリル・デニソフ(ロシア)○優勢[指導2]△ヨアキム・ドファービ(スウェーデン)
右相四つ。デニソフは一回り身長の高いドファービに対して奥襟を持って強気に組み手を展開。対するドファービは左構えで距離を取りながら組み際の技を狙う。試合はデニソフが一方的に組み勝つ形で進行し、2分54秒、ドファービに「指導」。以降もデニソフは組み手巧みにじりじりと前に出続け、4分18秒には2つ目の「指導」がドファービに与えられる。ドファービは時折左外巻込を繰り出すがデニソフは動じず。結局、デニソフがドファービに何もさせないまま組み手で完封、「指導2」で勝利した。

[3位決定戦]

下和田翔平○優勢[指導2]△ヨアキム・ドファービ(スウェーデン)
右相四つ。奥襟を持ちたい下和田と取らせまいと相手の釣り手を絞るドファービという構図で試合が展開。1分22秒、故意に場外に出た咎でドファービに「指導」。これ以降も下和田が奥襟を狙いドファービが凌ぐ展開が続き、3分49秒に横落で掛け潰れたドファービに2つ目の「指導」が宣告される。下和田はここから腕挫十字固を狙うが相手の腕を伸ばすことが出来ず「待て」。この直後、組み際にドファービが仕掛けた右背負投からの右大外刈であわやポイント失陥という場面があったが、下和田は腹這いで逃れてノーポイント。残り30秒過ぎには下和田が横四方固でドファービを抑え込むも、逃してしまいポイントに届かず。この時点でほとんど時間は残されておらずそのまま試合終了。「指導2」優勢で下和田が3位を獲得した。

飯田健太郎○横四方固(1:51)△グリゴリ・ミナシキン(エストニア)
右相四つ。飯田がファーストコンタクトで奥襟を確保すると、ミナシキンは腰を引いて防御姿勢。ミナシキンはいったん展開を切ろうと巴投を仕掛けるが飯田はこれを躱しつつ奥襟を再度確保しあくまで逃がさない。飯田は動きのなかで引き手を得ると、腰を切る動作で押し込んでプレッシャーのレベルを一段アップ。この飯田の圧力にミナシキンは腰を引いたまま下がってしまい49秒極端な防御姿勢による「指導」。続く展開でも飯田はあっさりと奥襟を得て優位を確保。しかしミナシキンが横移動から巴投を放つと飯田は大きく崩れてしまう。「有効」でもおかしくない形であったが、飯田は下半身で粘ってこれを凌ぎ切り「待て」。直後、組み際にミナシキンが横落を仕掛けると飯田は難なく受けきって寝技を展開。いわゆる国士舘返しから縦四方固に抑え込み、最後は横四方固に変化して「一本」。飯田がしっかり3位を確保した。

[決勝]

キリル・デニソフ(ロシア)○優勢[有効・隅落]△シリル・マレ(フランス)
デニソフが左、マレが右組みのケンカ四つ。デニソフは長身のマレに対しても釣り手を上から持って強気の組み手を展開。引き手を抱き込み、釣り手を巻き返して奥襟を得てと、ほとんど一方的に、自在に組み手を展開。1分34秒、デニソフは組み際に釣り手で背中深くを得ると左小外掛。マレは右内股でこれに応じるがデニソフは上体を完全に固めており、そのままマレをめくり返して隅落「有効」。これ以降もデニソフは一方的な組み手を展開し、3分間際には左体落でマレを大きく崩して畳に這わせる場面も現出。3分30秒過ぎ、デニソフが左体落で掛け潰れたところにマレが片手絞を狙うが顎に入ってしまい「待て」。マレの反撃らしい反撃はこれのみで、以降はデニソフが詰め寄る相手をさばき切って試合終了。

【日本代表選手全試合結果、戦評】

下和田翔平(京葉ガス)
成績:3位


[1回戦]

下和田翔平○合技[大外刈・横四方固](1:49)△ホン・イチン(台湾)
右相四つ。下和田が終始奥襟を持って組み手で圧倒。1分34秒に右大外刈で「技有」を奪うとそのまま横四方固で抑え込み合技「一本」。順調な滑り出し。

[2回戦]

下和田翔平○腕挫十字固(3:07)△ウォン・ジョンフン(韓国)
下和田が右、ウォンが左組みのケンカ四つ。開始早々の15秒、ウォンが下和田の右小内刈を裏投で返して「技有」を奪う。ここから下和田が奥襟、ウォンが脇を差しての引き手の探り合いが続き、1分8秒、片手の咎で両者に「指導」与えられる。ウォンが不十分な組み手から裏投や横落を狙うため下和田はなかなか引き手を得ることが出来ず、引き手を得ても裏投を警戒して思い切った技を仕掛けることが出来ない。膠着が続いての3分間際、引き手の探り合いからウォンが裏投で「有効」を追加する。しかし、投げた際にウォンの腕が伸び切った状態で残っており、下和田はこれを逃さず極めて腕挫十字固「一本」。下和田が逆転の「一本」で準々決勝進出を決めた。

[準々決勝]

下和田翔平△優勢[指導2]○シリル・マレ(フランス)
右相四つ。マレは下和田の釣り手を警戒して左構えで組み手を展開。一方の下和田は釣り手を絞られつつも圧を掛けて前に出ながらあくまで奥襟を狙う。組み手の攻防が続き、1分24秒に両者に消極的との咎で「指導」。以後も地力に優る下和田が前に出て圧を掛けるが、巧さで優るマレが要所で細かい技を出しながらこれを凌ぐ。中盤以降マレが押し込まれつつも一方的に技を出す展開が続き、3分41秒に下和田のみに2つ目の「指導」が宣告される。残り30秒間際に下和田が惜しい右足車を放つも投げきれずノーポイント。このまま試合は終了し「指導1」対「指導2」でマレが準決勝進出を決めた。

[敗者復活戦]

下和田翔平○大外刈(2:22)△イワン・レマレンコ(UAE)
右相四つ。下和田が奥襟を得て組み手で圧を掛け、レマレンコが足技を織り交ぜながらそれを凌ぐ展開が続く。1分40秒、下和田は組み際の右大外刈でレマレンコを大きく崩すと左小外刈に連絡。レマレンコを大きく崩すことに成功する。この技に感触を得た下和田は続く展開の2分22秒、奥襟をしっかりと持って再度右大外刈に飛び込む。完全に首をロックしたこの技にレマレンコは堪らずふっ飛び「一本」。豪快な右大外刈一発で下和田が3位決定戦進出を決めた。

[3位決定戦]

下和田翔平○優勢[指導2]△ヨアキム・ドファービ(スウェーデン)
右相四つ。奥襟を持ちたい下和田と取らせまいと相手の釣り手を絞るドファービという構図で試合が展開。1分22秒、故意に場外に出た咎でドファービに「指導」。これ以降も下和田が奥襟を狙いドファービが凌ぐ展開が続き、3分49秒に横落で掛け潰れたドファービに2つ目の「指導」が宣告される。下和田はここから腕挫十字固を狙うが相手の腕を伸ばすことが出来ず「待て」。この直後、組み際にドファービが仕掛けた右背負投からの右大外刈であわやポイント失陥という場面があったが、下和田は腹這いで逃れてノーポイント。残り30秒過ぎには下和田が横四方固でドファービを抑え込むも、逃してしまいポイントに届かず。この時点でほとんど時間は残されておらずそのまま試合終了。「指導2」優勢で下和田が3位を獲得した。

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飯田健太郎(国士舘高3年)
成績:3位


[1回戦]

飯田健太郎○合技[大内刈・横四方固](1:28)イタロ・コルドバ(チリ)
右相四つ。飯田は釣り手を得ると振りながら手首の位置を上げて強烈な右内股を放つ。この技にコルドバは一瞬浮いて大きく崩れるが、尻餅の形になりノーポイント。1分8秒、飯田は釣り手を警戒して半身で下がるコルドバから奥襟を叩きながら右大内刈、これで「技有」を獲得。そのまま横四方固に抑え込んで合技「一本」。相手に警戒されつつもしっかり一本勝ちでシニア国際大会初勝利を飾る。

[2回戦]


飯田健太郎○優勢[指導1]△アドラン・ビスルタノフ(ロシア)
飯田が右、ビスルタノフが左のケンカ四つ。開始早々、ビスルタノフは小内刈の位置へ支釣込足を撃つ崩し技で飯田を伏せさせる。続く展開でもビスルタノフは同様の形を狙うが飯田今度は崩れず。飯田が奥襟を得るとビスルタノフは組み手をクロスグリップに持ち替えつつ巧妙に首抜き、試合巧者ぶりを発揮する。応じた飯田が右大外刈でビスルタノフを崩した1分10秒、ビスルタノフに片襟の「指導」。以降、ビスルタノフは組み際の肩車や右背負投を狙うが飯田は動じず。一方の飯田も右内股や右大内刈で攻めるが組み手が不十分で投げ切るには至らない。4分間際、ビスルタノフが浮技で引き込んだところを飯田が横四方固で抑え込むがすぐに逃げられてしまい「待て」。試合終了間際には飯田が右内股でビスルタノフを畳に這わせ、横にめくり返して縦四方固に抑え込む。決まったかと思われたがこれもビスルタノフに力ずくで返されてしまい「待て」。この段階でほとんど時間は残されておらず、このままタイムアップ。飯田が「指導1」優勢で難敵ビスルタノフに勝利した。

[準々決勝]

飯田健太郎△優勢[指導2]○キリル・デニソフ(ロシア)
飯田が右、デニソフが左のケンカ四つ。デニソフは試合が始まるなり長身の飯田に対して奥襟を叩く強気の組み手。飯田は腰を抱く形でこれに対応するが、38秒、飯田に極端な防御姿勢の咎で「指導」が宣告される。以降はデニソフが上から、飯田が下から脇を差しあってお互いに内股を打ち合う展開が続く。飯田は1分過ぎから釣り手の位置を上げてデニソフの釣り手を抱えるような形で内股を狙う。この形になってからは何度か右内股で惜しい場面を作ることに成功するが、いずれもデニソフに上から潰されてしまい投げ切ることが出来ない。4分間際にはデニソフの左腰車で飯田が転がりかける危うい場面があったが、ここは下半身の粘りを利かせて凌ぎ切る。残り30秒には手を握りあった咎で両者に「指導」が宣告されるが、以降はポイントの変動がないまま試合終了。「指導1」対「指導2」の優勢でデニソフが勝利した。

[敗者復活戦]

飯田健太郎○不戦△ウルフ・アロン
前戦でウルフが負傷したため棄権。飯田の3位決定戦出場が決定。

[3位決定戦]

飯田健太郎○横四方固(1:51)△グリゴリ・ミナシキン(エストニア)
右相四つ。飯田がファーストコンタクトで奥襟を確保すると、ミナシキンは腰を引いて防御姿勢。ミナシキンはいったん展開を切ろうと巴投を仕掛けるが飯田はこれを躱しつつ奥襟を再度確保しあくまで逃がさない。飯田は動きのなかで引き手を得ると、腰を切る動作で押し込んでプレッシャーのレベルを一段アップ。この飯田の圧力にミナシキンは腰を引いたまま下がってしまい49秒極端な防御姿勢による「指導」。続く展開でも飯田はあっさりと奥襟を得て優位を確保。しかしミナシキンが横移動から巴投を放つと飯田は大きく崩れてしまう。「有効」でもおかしくない形であったが、飯田は下半身で粘ってこれを凌ぎ切り「待て」。直後、組み際にミナシキンが横落を仕掛けると飯田は難なく受けきって寝技を展開。いわゆる国士舘返しから縦四方固に抑え込み、最後は横四方固に変化して「一本」。飯田がしっかり3位を確保した。

ウルフアロン(東海大3年)
成績:7位


[2回戦]

ウルフアロン○合技[裏投・上四方固](3:03)キム・ヒョンチョル(韓国)

左相四つ。釣り手の絞り合いが続き、ほとんど組み合うことがないまま試合が進行。1分37秒、ウルフは支釣込足から繋いだ左大内刈で「有効」を先行する。以降もウルフは十分な組み手になれないながらも組み際に足技を出しつつ圧を掛けて前に出、優位を譲らず。2分44秒、キムが我慢できずに左外巻込を仕掛けるとウルフは豪快な裏投にとらえて「技有」を追加。そのまま上四方固に抑え込んで合技「一本」。順調な滑り出し。

[準々決勝]

ウルフアロン△腕挫十字固(1:07)○ヨアキム・ドファービ(スウェーデン)

ウルフが左、ドファービが右組みのケンカ四つ。40秒過ぎ、ドファービは引き手の探り合いから巴投でウルフを引き込んで寝技を展開。潜り込みながら脇を掬ってウルフを返すと、立ち上がろうとしたウルフの左腕を腕挫十字固に極める。ウルフはドファービを跨いで凌ごうとするも1周転がって耐えた末に無念の「参った」。ドファービが番狂わせで準決勝進出を決めた。

[敗者復活戦]

ウルフアロン△不戦○飯田健太郎
前戦でウルフが負傷したため棄権。飯田の3位決定戦出場が決定。

後藤隆太郎(慶応大4年)
成績:1回戦敗退


[1回戦]

後藤隆太郎△優勢[有効・内股]○ファラ・アーロン(オーストリア)
後藤が左、ファラが右組みのケンカ四つ。ファラが背中を抱いて密着を狙い、後藤が釣り手を突いて左背負投で捌く展開が続く。1分5秒、後藤の引き手を嫌ったファラに「指導」。後藤はファラに背中を抱かれて下がってしまう場面が度々見られるものの、大枠優位に組み手を展開。2分16秒には後藤の引き手を嫌ったファラに組み合わない咎で2つ目の「指導」が与えられる。ファラは3分25秒にベアハグによる「指導」も失い累積の反則は「3」。しかし以後、後がなくなったことで密着志向を強めるファラに対して後藤が防御に回ってしまい、4分5秒に偽装攻撃で1つ目の「指導」、4分40秒には故意に場外に出た咎で2つ目の「指導」を失ってしまう。嫌な流れが続いた残り10秒、後藤はファラの「やぐら投げ」で致命的な「有効」を失ってしまう。「待て」の時点で残り時間は僅か5秒。後藤は飛びかかるように組み付くがタイムアップ。土壇場の逆転負けで後藤は意外な初戦敗退。

■ 100kg超級・王子谷剛志が優勝、日本勢が表彰台を独占
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(エントリー13名)

【入賞者】
1.OJITANI, Takeshi (JPN)
2.KAGEURA, Kokoro (JPN)
3.OTA, Hyoga (JPN)
3.SHICHINOHE, Ryu (JPN)
5.JU, Youngseo (KOR)
5.HEINLE, Sven (GER)
7.LEE, Po Yen (TPE)
7.KIM, Kyeongtae (KOR)

【日本代表選手成績】

王子谷剛志(旭化成) 1位
影浦心(東海大3年) 2位 
七戸龍(九州電力) 3位
太田彪雅(東海大1年) 3位

海外の強豪がまったく参加せず、参加選手の質、量ともに低し。海外勢の顔ぶれだけで言えばコンチネンタルオープン以下レベルのトーナメントとなった。日本勢による国内2番手争い以外の見どころは、2014年の引退表明から久々の復帰となる37歳・アレクサンドル・ミハイリン(ロシア)のパフォーマンスのみ。このトーナメントの様相を反映して当然というべきか、ベスト4は日本勢が独占することとなった。

決勝に進出したのは影浦心(東海大3年)と王子谷剛志(旭化成)の2人。

影浦は1回戦でミハイリンと対戦。序盤こそミハイリンの組み手の巧さと足技に苦しんだが持ち前の高い戦術性を活かしてしぶとく試合を展開。ベテランのミハイリンを背負投の連発で疲れさせて「指導1」対「指導2」の優勢で勝利した。準々決勝ではリ・ポエン(台湾)から左背負投で2つの「有効」奪って勝利、準決勝では優勝候補の七戸龍(九州電力)と対戦し、七戸の猛攻で「指導2」を失うも最終盤に隅落「有効」を奪い逆転勝利で決勝進出を決めた。

王子谷は準々決勝から登場するとキム・キョンタエ(韓国)に右内股「有効」で勝利。この試合は「指導3」まで失う辛勝ではあったがなんとか準決勝へと歩を進める。準決勝では大学の後輩である太田彪雅(東海大1年)と対戦、これも乱取りのような様相で評価の難しい試合ではあったが「指導2」対「指導3」の優勢で勝利して決勝進出を果たす。

決勝戦も東海大OBと現役による先輩後輩対決。地力に優る王子谷が終始組み手で優位に立つが、これまでの勝ち上がり同様に技の出が遅く仕掛けても最後まで投げ切ることが出来ない。一方の影浦も王子谷に対して有効打を出すことが出来ず、膠着のまま5分間が終了。結局技によるポイントがないまま「指導2」対「指導3」で王子谷が勝利した。王子谷は地力の高さをテコに優勝したものの、組み立てが慎重に過ぎ内容は煮え切らず。グランドスラム東京というビッグタイトル獲得にふさわしい高評価を得られたとは言い難い出来であった。


原沢と最後までリオデジャネイロ五輪の代表を争った七戸は前述の通り準決勝で影浦に逆転負けを喫して3位。初戦となった準々決勝ではジュ・ヨンセオ(韓国)に「指導4」「反則」(3:30)で勝利。影浦に敗れて回った3位決定戦ではスヴェン・ハインル(ドイツ)に「指導3」で勝利した。表彰台を確保したもののコンディション不良か本来の出来には程遠く、技によるポイントの獲得もなかった。むしろこの状態で表彰台に踏みとどまったことを評価すべきかと思われる。

太田彪雅は堂々の3位獲得。講道館杯で準優勝と大躍進を遂げて今大会の代表に選出された太田は、1回戦でホセ・セサリノシウバ(ブラジル)に腕挫脇固「一本」(3:41)で勝利しシニア国際大会初勝利を挙げる。続く準々決勝ではスヴェン・ハインルに「指導2」をリードされたが小外刈で「技有」を奪って逆転勝ち。準決勝では前述の通り王子谷に敗れたものの、3位決定戦ではジュ・ヨンセオを鮮やかな足車「一本」(1:24)で仕留めて3位を獲得した。太田は100kg超級では小柄な体型ながらも試合の端々で光る組み立てを披露。改めてその非凡な柔道センスを示してみせた。

今大会での王子谷と七戸はともに初戦から動きが悪くいまひとつ煮え切らない試合が続いた。国内1番手の原沢が五輪銀メダルという圧倒的な成績を残している以上、来年の世界選手権出場を目指すためには結果だけではなく内容の伴った勝利が求められる。今大会、結果だけで言えば明暗が別れた形だが、内容については両者ともに必要な基準に達しているとは言い難い。冬季欧州シリーズから全日本選手権にかけてより一層の奮起に期待したい。

一方で若手の影浦と太田はそれぞれ持ち味を活かして見事表彰台を確保。ともに王子谷に敗れはしたものの、与えられたチャンスをしっかりつかんだと総括して良いだろう。

注目されたミハイリンは前述の通り影浦の試合運びの巧さの前に初戦敗退。流石に往年の力強さは見られなかったが、組み手の巧さと足技の切れ味の鋭さが健在であることを示した。

日本選手のコメント、プールファイナル結果、決勝ラウンドと日本選手全試合の結果および戦評は下記。

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王子谷剛志選手のコメント
「優勝したことは嬉しいです。去年のこの大会で負けてオリンピックがなくなったので、何が何でも勝ってそこから繋げていこうと思っていました。(-試合について)またしょうもない柔道をしてしまい、自分の良さを出すことが出来ませんでした。勝ちたいという思いが強すぎて…(-今後について)今回は原沢選手が出場していないので勝っても2番手。それに七戸先輩とも対戦していないのでまだ3番手という位置は変わりません。4年間を通して1番手になりたいと思います。」

影浦心選手のコメント
「僕は補欠から回ってきて、このチャンスをものにしようとしたのですが(王子谷)先輩に負けてしまいました。今後は組み手などの改善点をしっかり直していきたいと思います。(-七戸を倒して大きなアピールになったのでは?)これまではなかったチャンスなので思い切ってやろうと思って頑張りました。(今後について)少しはアピール出来たと思うので、これから出る大会は全て勝てるように頑張りたいです。(-4年間の目標について)東京オリンピックでの金メダルです。」

七戸龍選手のコメント
「優勝を目指していましたが途中で負けてしまい、最悪でも銅メダルは取らなければ行けないと思って戦いました。研究されているということをかなり感じたので、今後はその点での戦いに生かしていける。今までの自分のままでは今後勝っていくことは出来ないと思います。自分が進化していくことで、来年の全日本選手権や世界選手権、2020年の年東京五輪に向かっていきます。」

太田彪雅選手のコメント
「連絡技で投げることはずっと考えており、それが試合で出ました。今年からシニアに上がり、シニアの国際大会は今回が初めてでした。優勝はできなかったですが3位になれてホッとしています。(-東京五輪について)自分は体が小さいのでスピードと技術を生かした柔道で金メダルを取りたいです。」

【プールファイナル結果】

[準々決勝]

七戸龍○反則[指導4](3:30)△ジュ・ヨンセオ(韓国)
影浦心○優勢[有効・背負投]△リ・ポエン(台湾)
王子谷剛志○優勢[有効・内股]△キム・キョンタエ(韓国)
太田彪雅○優勢[技有・小外刈]△スヴェン・ハインル(ドイツ)

【準決勝ラウンド以降結果、戦評】

[敗者復活戦]

ジュ・ヨンセオ(韓国)○反則[指導4](4:09)△リ・ポエン(台湾)
左相四つ。序盤は腹の探り合い。58秒、ジュの奥襟を嫌って膝を着いたリに「指導」が宣告される。ここから両者警戒し合って組み合わない展開が続き、1分39秒には両者に「指導」。1分51秒、リが潜り込むような小外掛で「技有」を獲得して大きなリードを獲得、しかし、2分39秒に展開を切るために自ら場外に出てしまい3つ目となる「指導」を失ってしまう。これを受けてジュはペースを一段加速し追い上げに掛かる。4分9秒、ジュの奥襟を嫌って左背負投で掛け潰れてたリに4つ目の「指導」が宣告されて試合が終了。「指導4」の反則でジュが3位決定戦進出を決めた。


スヴェン・ハインル(ドイツ)○腕緘(0:35)△キム・キョンタエ(韓国)

ハインルが左、キムが右組みのケンカ四つ。開始早々、ハインルは左内股でリの釣り手を抱えて浴びせ倒して「技有」を獲得。さらに横四方固で抑え込んだまま腕緘を極めて「一本」、圧勝で3位決定戦進出を決める。

[準決勝]

影浦心○優勢[有効・隅落]△七戸龍
七戸が右、影浦が左組みのケンカ四つ。七戸が一方的に優位な組み手を作り、影浦がカウンターを狙う形で試合が進行する。七戸が釣り手を奥襟に入れて右内股と右内股で攻め立ると、2分6秒に影浦に「指導」。以降も影浦は七戸の技で何度も危機に陥るが間一髪のところで凌ぎ続ける。終盤になっても七戸は攻めの手を緩めず、4分19秒には影浦に2つ目の「指導」。このまま七戸勝利と思われたが、終了間際の4分39秒に七戸の右内股を影浦が隅落で捲り返して「有効」奪取。影浦そのまま寝技で時間を使い試合終了、見事な逆転勝利で決勝進出決定。

王子谷剛志○優勢[指導3]△太田彪雅
右相四つ。太田の横変形の組み手に対して王子谷が低い袖釣込腰、太田は大きく崩れるものの腹這いで落ちてポイントには至らず。1分10秒、王子谷の釣り手を嫌った太田に「指導」が宣告される。有効打、展開ともに優位の王子谷だがしかしここから引き手で太田の襟を持ってじっくりと奥襟を伺う少々慎重過ぎる柔道。膠着が続いて3分32秒に両者に「指導」、以降も大きな動きがないまま4分18秒には再び両者に「指導」が追加される。この段階で累積警告は王子谷が「2」、太田が「3」。残り30秒で太田がラッシュを仕掛けようとするが、王子谷は両襟を突いて間合いを取り反撃を許さずクロージング。スコア動かずそのまま王子谷の勝利が決まった。

[3位決定戦]

太田彪雅○足車(1:24)△ジュ・ヨンセオ(韓国)
太田が右、ジュが左組みのケンカ四つ。30秒、太田の引き手を嫌って場外際まで下がったジュに組み合わない咎での「指導」。以降もジュは太田の引き手を嫌って組み合おうとしないが、太田は足技を出しながらじっくりとジュを場外際に追い詰める。1分24秒、太田は引き手を得ると浅い右内股でジュの動きを止め、その形のまま右足車を仕掛ける。体の伸び切ったジュは堪らず一回転し「一本」。太田が素晴らしい組み立て、かつ豪快な一発で見事3位を獲得した。

七戸龍○優勢[指導3]△スヴェン・ハインル(ドイツ)
七戸が右、ハインルが左組みのケンカ四つ。七戸が上から、ハインルが下から釣り手を持って組み手を展開。1分頃からハインルの技で終わる展開が続くが、七戸は襟のみの右大外刈でこの流れをリセットして「指導」失陥は回避。ここからは引き手の探り合いが続き、1分59秒には両者に「指導」が与えられる。2分43秒、七戸が圧を掛けて前に出るとハインルは真っ直ぐ下がってしまい2つ目の「指導」を受ける。3分34秒には右一本背負投でかけ潰れたハインルに偽装攻撃の咎で3つ目の「指導」。最終盤にハインルの左背負投に七戸が乗ってしまい危うい場面もあったが、これは七戸が腹這いで凌いでノーポイント。そのまま試合が終了し「指導1」対「指導3」で七戸の勝利が決まった。

[決勝]

王子谷剛志○優勢[指導3]△影浦心
王子谷が右、影浦が左組みのケンカ四つ。開始早々、王子谷が場外際の右体落で影浦を崩し畳に這わせる。影浦は組み際の足技を出して形を作ろうとするが、王子谷の技で終わる展開が続いて情勢は王子谷に有利。2分32秒、ついに影浦に「取り組まない」咎で「指導」が与えられる。以降は両者引き手の探り合いに終始し、3分51秒と4分42秒に両者に「指導」が与えられた以外にポイントの上積みはなし。「指導2」対「指導3」で王子谷が優勝を果たした。

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【日本代表選手全試合結果、戦評】

王子谷剛志(旭化成)
成績:1位


[準々決勝]

王子谷剛志○優勢[有効・内股]△キム・キョンタエ(韓国)
右相四つ、序盤は腹の探り合い。キムが奥襟を得ると王子谷も奥襟で応じてがっぷり四つの形が現出、王子谷はやや強引な右大外刈に打って出る。これは返されかけるが、王子谷腹這いで畳に落ちてノーポイント。ここから組み手争いが続いて1分49秒に両者に組み合わない咎での「指導」が宣告されるが、直後王子谷が右内股、浴びせるように強引に投げきって「有効」を獲得。2分34秒に再度両者に組み合わない咎での「指導」が与えられ、3分36秒には王子谷に極端な防御姿勢により3つ目となる「指導」が与えられる。累積警告はキムが「2」、王子谷が「3」。ここからは「指導」を狙うキムが奥襟を持って王子谷を押し込む展開が続くが、王子谷は相手の圧力を利用して技を仕掛け紙一重で展開を譲らない。結果以後のポイントの変動ないまま試合が終了。王子谷が辛勝で準決勝進出を決めた。

[準決勝]

王子谷剛志○優勢[指導3]△太田彪雅
右相四つ。太田の横変形の組み手に対して王子谷が低い袖釣込腰、太田は大きく崩れるものの腹這いで落ちてポイントには至らず。1分10秒、王子谷の釣り手を嫌った太田に「指導」が宣告される。有効打、展開ともに優位の王子谷だがしかしここから引き手で太田の襟を持ってじっくりと奥襟を伺う少々慎重過ぎる柔道。膠着が続いて3分32秒に両者に「指導」、以降も大きな動きがないまま4分18秒には再び両者に「指導」が追加される。この段階で累積警告は王子谷が「2」、太田が「3」。残り30秒で太田がラッシュを仕掛けようとするが、王子谷は両襟を突いて間合いを取り反撃を許さずクロージング。スコア動かずそのまま王子谷の勝利が決まった。

[決勝]

王子谷剛志○優勢[指導3]△影浦心
王子谷が右、影浦が左組みのケンカ四つ。開始早々、王子谷が場外際の右体落で影浦を崩し畳に這わせる。影浦は組み際の足技を出して形を作ろうとするが、王子谷の技で終わる展開が続いて情勢は王子谷に有利。2分32秒、ついに影浦に「取り組まない」咎で「指導」が与えられる。以降は両者引き手の探り合いに終始し、3分51秒と4分42秒に両者に「指導」が与えられた以外にポイントの上積みはなし。「指導2」対「指導3」で王子谷が優勝を果たした。

影浦心(東海大3年)
成績:2位


[1回戦]

影浦心○優勢[指導2]△アレクサンドル・ミハイリン(ロシア)
左相四つ。37歳となったミハイリンは2014年の引退宣言以来これが初めての国際大会。しかし技術力は健在、足技を織り交ぜながら組み手争いを優位に展開し、さらに左出足払で影浦を畳に伏せさせる。この攻防を受けて主審は1分8秒に影浦に「指導」を宣告。ポイントを先行された影浦は担ぎ技中心に組み立てを変更し、手数と前進圧力でミハイリンの体力を削りにかかる。この作戦が功を奏して2分0秒ついにミハイリンに「指導」。4分0秒には故意に場外に出た咎でミハイリンに2つ目の「指導」が与えられて影浦がポイントで勝ち越す。そのまま試合は終了し「指導1」対「指導2」の優勢で影浦が勝利した。

[準々決勝]

影浦心○優勢[有効・背負投]△リ・ポエン(台湾)
左相四つ。影浦が奥襟を持ってリを押し込み、27秒リに極端な防御姿勢による「指導」。リードを得た影浦は1分44秒の組み際に左方向への「韓国背負い」で「有効」も獲得。2分17秒にはリに組み合わない咎で2つ目の「指導」、3分51秒には影浦が左背負投で2つ目の「有効」を追加と試合の様相は一方的。以降も影浦が攻め続けたまま試合終了。

[準決勝]

影浦心○優勢[有効・隅落]△七戸龍
七戸が右、影浦が左組みのケンカ四つ。七戸が一方的に優位な組み手を作り、影浦がカウンターを狙う形で試合が進行する。七戸が釣り手を奥襟に入れて右内股と右内股で攻め立ると、2分6秒に影浦に「指導」。以降も影浦は七戸の技で何度も危機に陥るが間一髪のところで凌ぎ続ける。終盤になっても七戸は攻めの手を緩めず、4分19秒には影浦に2つ目の「指導」。このまま七戸勝利と思われたが、終了間際の4分39秒に七戸の右内股を影浦が隅落で捲り返して「有効」奪取。影浦そのまま寝技で時間を使い試合終了、見事な逆転勝利で決勝進出決定。。

[決勝]

影浦心△優勢[指導3]○王子谷剛志
王子谷が右、影浦が左組みのケンカ四つ。開始早々、王子谷が場外際の右体落で影浦を崩し畳に這わせる。影浦は組み際の足技を出して形を作ろうとするが、王子谷の技で終わる展開が続いて情勢は王子谷に有利。2分32秒、ついに影浦に「取り組まない」咎で「指導」が与えられる。以降は両者引き手の探り合いに終始し、3分51秒と4分42秒に両者に「指導」が与えられた以外にポイントの上積みはなし。「指導2」対「指導3」で王子谷が優勝を果たした。

七戸龍(九州電力)
成績:3位


[準々決勝]

七戸龍○反則[指導4](3:30)△ジュ・ヨンセオ(韓国)
七戸が右、ジュが左組みのケンカ四つ。引き手の探り合いが続き、30秒には両者に「指導」。ここからは七戸が圧をかけて前に出続け、ジュが七戸の引き手を嫌がり後ろに下がる展開が続く。以降もジュは全く引き手を組もうとせず、ジュに対して1分1秒と1分38秒に「指導」追加。試合時間を3分半残してすでにジュの警告累積は「3」。ここからジュは先手掛け潰れに戦法を変更し、形上ジュの技で終わる展開が続いたことで2分42秒に七戸に2つ目の「指導」が与えられる。ジュは以降も掛け逃げスレスレの技を仕掛け続けるが、3分30秒に七戸の圧に耐えかねて右背負投で掛け潰れるとついにジュに4つ目の「指導」。

[準決勝]

七戸龍△優勢[有効・隅落]○影浦心
七戸が右、影浦が左組みのケンカ四つ。七戸が一方的に優位な組み手を作り、影浦がカウンターを狙う形で試合が進行する。七戸が釣り手を奥襟に入れて右内股と右内股で攻め立ると、2分6秒に影浦に「指導」。以降も影浦は七戸の技で何度も危機に陥るが間一髪のところで凌ぎ続ける。終盤になっても七戸は攻めの手を緩めず、4分19秒には影浦に2つ目の「指導」。このまま七戸勝利と思われたが、終了間際の4分39秒に七戸の右内股を影浦が隅落で捲り返して「有効」奪取。影浦そのまま寝技で時間を使い試合終了、見事な逆転勝利で決勝進出決定。

[3位決定戦]

七戸龍○優勢[指導3]△スヴェン・ハインル(ドイツ)
七戸が右、ハインルが左組みのケンカ四つ。七戸が上から、ハインルが下から釣り手を持って組み手を展開。1分頃からハインルの技で終わる展開が続くが、七戸は襟のみの右大外刈でこの流れをリセットして「指導」失陥は回避。ここからは引き手の探り合いが続き、1分59秒には両者に「指導」が与えられる。2分43秒、七戸が圧を掛けて前に出るとハインルは真っ直ぐ下がってしまい2つ目の「指導」を受ける。3分34秒には右一本背負投でかけ潰れたハインルに偽装攻撃の咎で3つ目の「指導」。最終盤にハインルの左背負投に七戸が乗ってしまい危うい場面もあったが、これは七戸が腹這いで凌いでノーポイント。そのまま試合が終了し「指導1」対「指導3」で七戸の勝利が決まった。

太田彪雅(東海大1年)
成績:3位


[1回戦]

太田彪雅○腕挫脇固(3:41)△ホセ・セサリノシウバ(ブラジル)
右相四つ。体格に優るセサリノシウバが巻き込みの一発を狙い、太田が横変形に位置をずらして相手の釣り手を封じる展開が続く。48秒に太田が腰を抱いて密着、左小外刈に打って出て「技有」を先行。1分31秒にはセサリノシウバに片襟の「指導」が与えられてスコア、展開ともに太田が完全に掌握することとなる。3分41秒、右内股で潰れたセサリノシウバに対して太田が頭側から腕挫脇固。完全に極まったこの技にセサリノシウバは堪らず「参った」。太田はシニア国際大会の初戦を一本勝ちで飾った。

[準々決勝]

太田彪雅○優勢[技有・小外刈]△スヴェン・ハインル(ドイツ)
太田が左、ハインルが右組みのケンカ四つ。引き手の探り合いが続き、29秒に太田に「指導」。以降もハインルは太田の脇を突きながら釣り手のみの左内股や右一本背負投で巧みに優位を演出、2分54秒には太田に2つ目の「指導」が宣告される。リードを広げたハインルは引き手の攻防によって時間を消費する戦法に移行し早くもクロージング態勢。しかし3分51秒、太田は引き手の攻防にハインルの注意を向けさせておき、相手が真っ直ぐ後ろに下がったところに切れ味鋭い右小外刈を叩きこむ。これが「技有」となり太田は逆転に成功。以降はハインルの追撃を試合終了までしっかりとさばき切ってタイムアップ。
[準決勝]

王子谷剛志○優勢[指導3]△太田彪雅
右相四つ。太田の横変形の組み手に対して王子谷が低い袖釣込腰、太田は大きく崩れるものの腹這いで落ちてポイントには至らず。1分10秒、王子谷の釣り手を嫌った太田に「指導」が宣告される。有効打、展開ともに優位の王子谷だがしかしここから引き手で太田の襟を持ってじっくりと奥襟を伺う少々慎重過ぎる柔道。膠着が続いて3分32秒に両者に「指導」、以降も大きな動きがないまま4分18秒には再び両者に「指導」が追加される。この段階で累積警告は王子谷が「2」、太田が「3」。残り30秒で太田がラッシュを仕掛けようとするが、王子谷は両襟を突いて間合いを取り反撃を許さずクロージング。スコア動かずそのまま王子谷の勝利が決まった。

[3位決定戦]

太田彪雅○足車(1:24)△ジュ・ヨンセオ(韓国)
太田が右、ジュが左組みのケンカ四つ。30秒、太田の引き手を嫌って場外際まで下がったジュに組み合わない咎での「指導」。以降もジュは太田の引き手を嫌って組み合おうとしないが、太田は足技を出しながらじっくりとジュを場外際に追い詰める。1分24秒、太田は引き手を得ると浅い右内股でジュの動きを止め、その形のまま右足車を仕掛ける。体の伸び切ったジュは堪らず一回転し「一本」。太田が素晴らしい組み立て、かつ豪快な一発で見事3位を獲得した。


取材・文:林さとる/原輝地
編集:古田英毅

※ eJudoメルマガ版2月7日掲載記事より転載・編集しています。

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