【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第21回「他日勝ち得る力を養うために、当分を甘んじて負ける練習もしなければならぬのである。」

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嘉納治五郎師範_MASTER JIGORO KANO

「他日勝ち得る力を養うために、当分を甘んじて負ける練習もしなければならぬのである。」

出典:「道場における修行者に告ぐ」柔道7巻6号 昭和11年(1936)6月(『嘉納治五郎大系』2巻,260頁)

嘉納師範は、その存命中、数多くのお弟子さんを育ててきました。その中で最も可愛がった弟子の1人が西郷四郎六段でしょう。

得意技「山嵐」で知られ、富田常雄の小説『姿三四郎』の主人公である姿三四郎のモデルとされる人物ですが、(当然と言えば当然ですが)最初から強かったわけではなさそうです。師範は西郷のことを「修行中最も多く投げられた一人であったろう」と述べています。講道館の創世期に、その実力で柔術諸流派との対決で活躍し、講道館四天王の一角を担った西郷も数多く投げられていたわけです。
では、そんなに投げられていた西郷が、なぜ強くなったのでしょうか。西郷は投げられることに対して、まず上手に受身することを体得しました。受身の体得により、投げられることが苦でなくなり、投げられることが苦でなくなったことから、投げられることを考えずに、ドンドン攻めることが出来きたこと、これが後の大成に繋がったと師範は言います。

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