PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

【ROAD TO 高校選手権】第30回松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会マッチレポート①1回戦~準々決勝

(2016年12月25日)

※ eJudoメルマガ版12月25日掲載記事より転載・編集しています。
【ROAD TO 高校選手権】第30回松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会マッチレポート①1回戦~準々決勝
eJudo Photo
選手宣誓は國學院大學栃木高、深井優衣選手。

「冬季高校招待試合サーキット」最重要大会の一である第30回松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会が23日、國學院大學たまプラーザキャンパス体育館(横浜市)で、全国の精鋭64校が参加して行われた。

大混戦とされる今季の高校柔道界でひときわ注目を集めるのは10月の朱雀杯で優勝、先日の黒潮旗大会で2位に入った桐蔭学園高(神奈川)と、今季全国優勝候補の最右翼と前評判極めて高く、前週の吉岡杯争奪若鷲柔道大会をしっかり制している崇徳高(広島)の2校。この2チームが今季初めて同一大会に参加、まずその初対決の実現なるか、そしてその様相いかなるものかが、今年度松尾杯における最大の注目ポイントだ。

全国大会を超えるレベルと評される、そして「通して見れば新シーズンの様相が見える」冬季招待試合シリーズの最重要ピースである今大会でシード校の栄を得たのは前述2校のほか、前年度優勝の日体荏原高(東京)、埼玉栄高(埼玉)、四日市中央工高(三重)、国士舘高(東京)、作陽高(岡山)、木更津総合高(千葉)を加えた精鋭8チーム。これらシード校の戦いぶりを中心に、トーナメントを4つのブロックに分けて、まずは準々決勝までを簡単にレポートしてみたい。

※試合時間は1回戦~3回戦が3分、準々決勝以降が4分。国際柔道連盟試合審判規定(~2016)採用、僅差優勢は「指導」2つ差以上、試合ごとのオーダー変更可)

■ Aブロック
eJudo Photo
2回戦、日体荏原の村上朋也が中京高・酒井宣透から内股巻込「有効」

シード校:日体荏原高(東京)、作陽高(岡山)
準々決勝(ブロック決勝)進出校:日体荏原高(東京)、東海大仰星高

大会2連覇中の日体荏原高(東京)が第1シード校としてAブロック最上段に座る。ただし高校柔道界の主役であった前代が抜けて、このチームの戦力は大幅に入れ替わった。前代でもレギュラーとして要所で素晴らしい活躍を見せた塚本綾が残ってエースを張るが、軽量級(73kg級)の塚本に絶対の抜き役までを期待するのは少々酷。スケールダウンは否めない。

黒潮旗ではまさかの予選リーグ敗退を喫した同校、今大会は気合を入れ直しての布陣。まず加藤学園高(静岡)を相手に先鋒から森大将、内藤彪我、菅原孝希、塚本、そして最重量級選手の村上朋也という布陣で臨んだ初戦は先鋒戦を引き分けたものの次鋒内藤の支釣込足「一本」でまず先制。中堅菅原は田倉淳ノ介の隅落で「技有」を失ったが残り0秒の「やぐら投げ」による「一本」獲得で逆転勝利、そして副将塚本の背負投「一本」によりこの試合の勝利は確定。最終スコア3-0で初戦を勝ち抜ける。この試合で危うい取り合いを演じた菅原をいったん外して中堅に栁川大貴を入れた2回戦は中京高(岐阜)を相手に森の腕挫脚固「一本」、内藤の袈裟固「一本」、塚本の上四方固「一本」、村上の送襟絞「一本」と寝技での勝ちを並べて4-0で勝利し、3回戦進出決定。

【3回戦】

日体荏原高 3-1 前橋商高
(先)森大将○袖釣込腰△高野隆治
(次)村上朋也○上四方固△小室豪太
(中)内藤彪我○支釣込足△廣橋響
(副)塚本綾×引分×星野一貫
(大)菅原孝希△大外刈○岡村京介

日体荏原、続く3回戦は前橋商高(群馬)を相手に並びを微調整して臨み、森の袖釣込腰「一本」、村上の上四方固「一本」、内藤の小外刈「一本」と前衛3枚であっさり勝負を決める。塚本が星野一貫と分け、再び戦列に戻った菅原が岡村京介の左大外刈「一本」で沈んだものの最終スコア3-1で準々決勝進出決定。

eJudo Photo
1回戦、作陽高・村田大征が市立船橋高・山野井誠二から袖釣込腰「一本」

eJudo Photo
東海大仰星高・西野豊が東京学館高・津村諒から大外刈「一本」

日体荏原が「一強」扱いで比較的戦いやすい山を勝ち上がる一方、下側の山はシードチームである作陽高(岡山)のほか、強豪・東海大仰星高(大阪)が配されこの2チームが勝ち上がり候補。作陽はエース村田大征の取り味をテコに市立船橋高(千葉)を2-0、佐久長聖高(長野)を4-0で下して3回戦へ。一方今季充実の陣容ながらシード漏れした東海大仰星は東京学館高(千葉)を5-0、つくば秀英高(茨城)を4-1とともに全く寄せ付けず、作陽が待つ3回戦へと勝ち上がった。

【3回戦】

東海大仰星高(大阪) 2-1 作陽高(岡山)
(先)内村秀資×引分×松本隼作
(次)大野晃生×引分×片山誠也
(中)吉村太一○優勢[僅差]△宮城慧也
(副)西野豊△優勢[有効・袖釣込腰]○村田大征
(大)奥野友輝○優勢[僅差]△揚原松雷

東海大仰星が作陽のしぶとい柔道に手を焼きながらも、吉村と奥野のポイントゲッター2枚がしっかり得点を挙げて勝ち抜け。これまでの勝ち上がりと東海大仰星のラインナップの充実ぶりからして一方的な試合になってもおかしくなかったが、意外な接戦となった一番。作陽は川野一道監督自身が「(今年は)厳しい陣容」と語る通りまだまだこれからのチームではあるが、伝統のしぶとさが今代にも息づいていることが確認できた試合でもあったはず。以後の健闘に期待したい。

eJudo Photo
準々決勝、東海大仰星高・吉村太一が日体荏原高・内藤彪我から大内刈「技有」

eJudo Photo
日体荏原高は副将塚本綾が背負投「一本」で意地を見せる

eJudo Photo
大将戦、東海大仰星高の奥野友輝が日体荏原高・菅原孝希から小外刈「技有」

【準々決勝】

東海大仰星高 4-1 日体荏原高
(先)内村秀資○小外刈(1:06)△森大将
(次)大野晃生○優勢[僅差]△村上朋也
(中)吉村太一○大外刈(2:13)△内藤彪我
(副)西野豊△背負投(3:11)○塚本綾
(大)奥野友輝○合技[小外刈・縦四方固](1:42)△菅原孝希

そして迎えた準々決勝では東海大仰星が日体荏原を一蹴。日体荏原としては副将塚本までタイスコアで我慢、あわよくば次鋒戦で得点を挙げたいところだったが、東海大仰星は先鋒内村秀資の小外刈「一本」、大野晃生の「指導3」優勢で立て続けに2点を挙げると、吉村太一が内藤彪我から大内刈「技有」に大外刈「一本」と連取して快勝。「3タテ」を果たしてこの時点で勝負を決めた。日体荏原はエース塚本綾が左背負投「一本」で意地を見せたが時すでに遅し、東海大仰星はエース奥野が菅原孝希を合技「一本」で仕留めてフィニッシュ。最終4-1という大差で勝利を決めた。

東海大仰星は持てる力をしっかり発揮し、ノーシード扱いからベスト4進出。

一方ここまで順調であった日体荏原であるが、全国大会上位対戦レベルとの初マッチアップで一気にその脆さが出た印象。塚本はさすがの強さを見せたが、前代でポイントゲッターたちの後押しを受けた「足し算」ポジションで強さを発揮して来た担ぎ系の軽量選手が、代替わりしてエース役を担うと取り味が減ずるのはこの業界にままある現象でもある。相手がある程度勝負して来ることを前提に技が噛み合う担ぎ系の軽量級が、引き分けで良しと決めて長所を消しに来る刺客たちを遮二無二固定して投げつけることはなかなか難しい。周囲に塚本を生かすような大駒が育って初めて日体荏原は全国上位を狙う位置に昇ることが出来るが、しかしなかなかその役割を担い得る選手がいない、というのが今年の戦力評価としては妥当なところだろう。2回戦で次々寝技での勝利を決めたことでもわかるように、日体荏原の各選手はすでに十分鍛えられている。しかし、だからこそ、これだけ錬度の高さがある上で見せた装甲の脆さはなかなか厳しい事態。どのような上昇の手立てを繰り出してくるか、以後の育成に注目したい。

[Aブロック1回戦]

日体荏原高(東京) 3-0 加藤学園高(静岡)
中京高(岐阜) 5-0 八戸工高(青森)
相洋高(神奈川) 5-0 成田高(千葉)
前橋商高(群馬) 2-0 新庄東高(山形)

作陽高(岡山) 2-0 市立船橋高(千葉)
佐久長聖高(長野) 3-1 京都共栄学園高(京都)
つくば秀英高(茨城) 4-0 工学院大附高(東京)
東海大仰星高(大阪) 5-0 東京学館高(千葉)

[Aブロック2回戦]

日体荏原高 4-1 中京高
前橋商高 2-1 相洋高
作陽高 4-0 佐久長聖高
東海大仰星高 4-1 つくば秀英高

[Aブロック3回戦]

日体荏原高 3-1 前橋商高
東海大仰星高 2-1 作陽高

[Aブロック4回戦(準々決勝)]

東海大仰星高 4-1 日体荏原高

■ Bブロック
eJudo Photo
2回戦、足立学園高・武岡毅が箕島高・前款太から大内返「有効」

シード校:埼玉栄高(埼玉)、崇徳高(広島)
準々決勝(ブロック決勝)進出校:埼玉栄高(埼玉)、崇徳高(広島)

上側の山は埼玉栄高(埼玉)と足立学園高(東京)が二強で、他校の顔ぶれは全国大会の上位対戦を考える上では少々手薄。

埼玉栄は2回戦で高校選手権県予選2位の育英高(兵庫)を3-0、続いて前橋育英高(群馬)を3-1で下して3回戦進出。今代の高校柔道界全体の傾向を反映して昨年ほどのスケール感はないが、前代のレギュラーから残った岩田歩夢、昨年の全国中学校大会66kg級の覇者西願寺哲平ら面白い選手を擁する好チーム。

足立学園はおそらく今季東京都の最強選手である山本瑛介が中心。インターハイ60kg級の覇者・武岡毅がレギュラー入りしていることでもわかるとおりサイズには欠けるが、今代も良く鍛えられた戦闘力の高いチームで、東京都予選では1位勝ち抜けを狙える位置にある。この日は1回戦で拓大紅陵高(千葉)を4-0、和歌山県高校選手権代表の箕島高を5-0で一蹴して埼玉栄との決戦に臨む。

eJudo Photo
3回戦、足立学園高のエース山本瑛輔が埼玉栄高・梅野寛太を攻める

【3回戦】

埼玉栄高 2-1 足立学園高
(先)西願寺哲平×引分×武岡毅
(次)梅野寛大△小外刈○山本瑛介
(中)梅野雅崇○袈裟固△相山隼汰
(副)蓜島創×引分×吉井拓海
(大)岩田歩夢○優勢[指導2]△白石隼士

西願寺対武岡の軽量級対決が引き分け、山本が圧倒的な強さで一本勝ちと次鋒戦まではおそらく双方のシナリオ通りに試合が進行。大将戦では埼玉栄のエース岩田と足立学園のポイントゲッター白石隼士がマッチアップしており、試合は中堅・副将の2枚の周辺戦力の力比べが試合の行方を左右する総合力勝負の様相。この大事なポジションを梅野雅崇の袈裟固「一本」で取った埼玉栄がタイスコアながらも盤面上の優位を奪回、大将岩田の「指導2」優勢で勝ち越してベスト8進出を決めた。足立学園は例年ここから1月の東京都予選まで急速に仕上がってくるチームで今は間違いなく錬成期であるが、岩田対白石という主役級の駒同士の戦いを落としたこと、しっかり戦えば十分手が届いたビッグゲームの入賞を逃してしまったことは全国大会における精神的優位の確保という観点からはを少々痛いはず。大駒の取り味よりは個々の選手の戦闘ポリシーの高さで歴代力を発揮して来た同校が、持ち味であるはずの周辺戦力の戦闘力で譲った形の今大会を経て、以後どのように鍛えこまれてくるかに注目したい。

eJudo Photo
崇徳高・長岡季空が國學院栃木高・山内一基から袖釣込腰「一本」

eJudo Photo
1回戦、安田学園高の先鋒近藤駿介が東海大甲府高・峰本祐汰から背負投「一本」

下側の山では崇徳高がエース長岡季空と神垣和也のポイントゲッターを中心に順当な勝ち上がり。1回戦は千葉商科大付高(千葉)を5-0、2回戦は國學院栃木高(栃木)を4-0と危なげない出だしで3回戦に進出。

その崇徳への挑戦権を争うブロックはちょっとした「死の山」。黒潮旗大会でベスト8に進出し、千葉の覇権を奪回せんと虎視眈々の好チーム・東海大浦安高(千葉)に、今年4枠が振り分けられている東京から高校選手権本戦出場を狙って追い込み中の安田学園高(東京)、毎年過たず好チームを輩出する東海大甲府高(山梨)が2回戦までに潰し合う厳しい配置である。

1回戦、安田学園高と東海大甲府高の試合は安田学園が先鋒の2年生エース近藤駿介の一本勝ちを軸に1-1の内容差で勝ち抜け。東海大浦安は羽黒高(山形)を4-0で下し2回戦で両校がマッチアップ。東海大浦安がスコア2-0で安田学園を退け、3回戦の崇徳戦へと駒を進めることとなった。

eJudo Photo
3回戦、東海大浦安は次鋒城所隆也の内股透「技有」で先制

eJudo Photo
長岡季空が山中賢盛を攻める

【3回戦】

崇徳高 2-1 東海大浦安高
(先)枇杷木勇樹×引分×髙橋倫太郎
(次)安井彪翔△優勢[技有・内股透]○城所隆也
(中)神垣和也×引分×畠山竜弥
(副)長岡季空○背負投△山中賢盛
(大)兼藤仁士○優勢[僅差]△鈴木隆也

中盤以降に神垣和也、長岡季空、兼藤仁士と置いて後衛が堅い崇徳に対して東海大浦安は前重心。エースの高橋倫太郎を先鋒に突っ込み待ったなしの布陣で臨むが、高橋は同じく長身選手の枇杷木勇樹とかち合って引き分け。しかし崇徳の防壁弱まる次鋒戦は東海大浦安・城所隆也が随所で深く攻め込まれながらも内股透「技有」を得て勝ち切り、先制に成功する。
一方の崇徳は続く中堅戦で神垣和也が畠山竜弥を獲り切れずやや暗雲漂うも、副将戦ではエース長岡季空が東海大浦安期待の山中賢盛を問題にせず背負投「一本」で勝利しあっさり逆転。大将戦は駒を出し切った感のある東海大浦安に対し崇徳の抑え役・兼藤仁士がしっかり「指導」2つを得て勝利し、最終スコア2-1でベスト8勝ち上がりを決めた。東海大浦安は善戦もエース格の高橋が4番手の枇杷木と分けられ、さらに抜き役を期待される山中が長岡に一方的に沈められてと内容的には完敗。しかし打倒・木更津総合を目指して着々戦力が整いつつある印象であった。千葉県予選は非常に面白い試合が期待できそうだ。

【準々決勝】

崇徳高 3-0 埼玉栄高
(先)兼藤仁士×引分×西願寺哲平
(次)枇杷木勇樹○合技△梅野寛大
(中)神垣和也○大内返△梅野雅崇
(副)長岡季空○袖釣込腰△蓜島創
(大)安井彪翔×引分×岩田歩夢

迎えた準々決勝は崇徳が完勝。チームの重石役である先鋒兼藤がうるさい西願寺哲平に引き分けられたが、攻撃力ある枇杷木、副将格の神垣、そしてエースの長岡と3人が立て続けに一本勝ちを果たしあっさり勝利決定。大将戦は抑え役である安井彪翔が相手方のエース岩田歩夢を引き分けて止め、隙を見せずにベスト4進出を決めた。

埼玉栄は癖のある役者を揃えた前代と打って変わって試合ぶりが大人しい印象。現時点での出来不出来はともかく、前代、あるいは中学カテゴリの後輩たちのような良い意味での意外性、爆発力を養えるかどうかが今後の課題と思われる。

[Bブロック1回戦]

埼玉栄高(埼玉) 3-0 育英高(兵庫)
前橋育英高(群馬) 2-0 松本第一高(長野)
箕島高(和歌山) 3-1 盛岡大附高(岩手)
足立学園高(東京) 4-0 拓大紅陵高(千葉)

崇徳高(広島) 5-0 千葉商科大付高(千葉)
國學院栃木高(栃木) 2-1 横浜高(神奈川)
安田学園高(東京) ①-1 東海大甲府高(山梨)
東海大浦安高(千葉) 4-0 羽黒高(山形)

[Bブロック2回戦]

足立学園高 5-0 箕島高
埼玉栄高 3-0 前橋育英高
崇徳高 4-0 横浜高
東海大浦安高 2-0 安田学園高

[Bブロック3回戦]

埼玉栄高 2-1 足立学園高
崇徳高 2-1 東海大浦安高

[Bブロック4回戦(準々決勝)]

崇徳高 3-0 埼玉栄高

eJudo Photo
1回戦、「栃木のリネール」白鴎大足利高の浅沼亮太が、清風高・瀬戸希海から大外車「一本」

eJudo Photo
2回戦、浅沼が長崎日大高の先鋒ニコーグディエレッジェから内股「一本」

シード校:四日市中央工高(三重)、桐蔭学園高(神奈川)
準々決勝(ブロック決勝)進出校:白鴎大足利高(栃木)、桐蔭学園高(神奈川)

上側の山はシード校四日市中央工高(三重)と白鴎大足利高(栃木)のマッチレース。

四日市中央工はまず日本学園高(東京)を4-0で下し、2回戦では難敵・柳ヶ浦高(大分)にも2-1で勝利して3回戦進出。

白鴎大足利高は黒潮旗大会でブレイクの予感を漂わせた身長197センチの「栃木のリネール」こと浅沼亮太が2試合連続の一本勝ち。自身のストロングポイントを心得た柔道でチームを盛り上げ、追い風を受けた白鴎大足利は1回戦で清風高(大阪)を5-0、2回戦では長崎日大高(長崎)を2-1で下して3回戦進出決定。シード校四日市中央工との対戦を迎える。

eJudo Photo
3回戦、四日市中央工高の加藤駿が浅沼を抑え込んで一本勝ち

【3回戦】

白鴎大足利高 ②-2 四日市中央工高
(先)長島斥弥○優勢[技有・大外刈]△弓矢凌輔
(次)小林慶太△優勢[有効・小外刈]○井上拓莱
(中)村山雄士郎×引分×石川大夢
(副)浅沼亮太△上四方固○加藤駿
(大)長谷川明伸○払腰△薮田優樹

この試合は1-1で迎えた副将戦で四日市中央工の加藤駿が浅沼亮太に一本勝ち。浅沼は組み手に苦労しながらも二階から振り下ろすような大外刈で一発の予感を漂わせるが、加藤はもつれ際に浅沼の片腕を引き寄せ抱いて横四方固。巧みに体を下げて空間を作りまず相手の体を引き寄せて抑え込み、相手が動くたびに拘束を強めて最後は上四方固「一本」。これで四日市中央工は逆転に成功する。

2-1、四日市中央工高リードで迎えた大将戦は互いに似たタイプの選手による動的膠着が続き、なかなか得点の気配漂わず。このまま試合終了かと思われたが白鴎大足利・長谷川明伸が終盤一段リズムを変えて払腰一発、見事決まって「一本」。

突如試合が大きく動いたという印象で、結果最終スコアは3-2。白鴎大足利が見事ベスト8入りを決めることとなった。

総合力で勝った形の白鴎大足利に対し、四日市中央工は接戦を落として勿体ない試合であった。同校は県内に今季充実を伝えられる名張高というライバルがおり、まったく気が抜けない状況。さらなる強化を期して26日の水田杯にも参加予定。

eJudo Photo
1回戦、桐蔭学園高の村尾三四郎が体重160kgの桐生第一高・八木昌耶から内股「一本」

eJudo Photo
1回戦、千野根有我が佐藤将二から大外刈「一本」

eJudo Photo
2回戦、桐蔭学園高・髙山康太が近大広島高・小西優汰から逆転の大外刈「技有」

eJudo Photo
2回戦、桐蔭学園高の大将関根聖隆が近大広島高・前杢秀明から背負投「一本」

下側の山は今大会の本命、桐蔭学園高がシード校に座る今大会最注目ブロック。しかし会場中の注目を浴びるそのウォーミングアップに、一年生ポイントゲッター賀持喜道の姿がない。大会直前に負傷し、少なくともこの12月シリーズの出場はなくなったとのこと。

常に試合の流れを作って来た中心選手を失った桐蔭学園は、1回戦の桐生第一高(群馬)戦を佐藤虎太郎、髙山康太、千野根有我、村尾三四郎、関根聖隆という陣容で布陣。先鋒戦で佐藤が背負投と出足払で石田雅基から2つの「有効」を得て先制すると、次鋒戦は髙山が奥深山誠也から内股「一本」で勝利。以降は千野根が大外刈、村尾が内股、関根が横四方固と主力3枚がいずれもあっという間の「一本」奪取でこの試合は5-0で完勝。2回戦も難敵近大広島高(広島)を相手に同様の配列で布陣し、まず先鋒佐藤が送襟絞「一本」で勝利し先制。次鋒髙山はその奔放な攻めが災いして小西優汰相手に開始早々大外返「技有」を失うが、大外刈で「有効」「技有」と連取して逆転勝利。中堅千野根は森本拓海と引き分け、副将村尾は松山葵偉の必死の粘りの前に出足払「有効」優勢の勝利に留まったものの、大将戦は関根が前杢秀明を僅か14秒の左背負投「一本」に屠り去ってフィニッシュ。最終スコア4-0で勝利を決めて3回戦へと駒を進めることとなった。

【3回戦】

桐蔭学園高 2-0 修徳高
(先)佐藤虎太郎×引分×仲島聖悟
(次)髙山康太×引分×鈴木謙太朗
(中)千野根有我○優勢[有効・大内刈]△中村力也
(副)村尾三四郎×引分×川本昂享
(大)関根聖隆○縦四方固(2:32△宮崎雷也

修徳高が粘りに粘って、試合は意外なロースコアゲーム。大将戦でも宮崎雷也の思い切った小外掛に関根が大きく崩れる場面もあったが、最後は関根が取り味を発揮して縦四方固「一本」で勝利。結果としては危なげなく桐蔭学園がベスト8進出決定。

とにかく修徳のしぶとさが目立った試合。朱雀杯、黒潮旗といずれも早期敗退で結果を残せなかった同校だが、大型選手がほとんどおらず、かつ絶対的な大駒という精神的な寄る辺なしにここまで「繋ぐ」戦いを徹底出来ることは脅威。チームワークを長所に全国制覇を成し遂げた修徳の伝統と遺伝子を強く感じさせる試合ぶりであった。確かに戦力的には厳しく、東京地区に振られた4枠に届くかどうかも非常に微妙な状況だが、かつての修徳が「冬で伸びる」育成ルーティンで躍進したこともまた事実。この後の戦いぶりもぜひ注目したいところ。

村尾はこの試合では元気なし、というよりも持ち前の機動力を随所に発揮したものの、あくまで最後まで取り切ろうというしつこさに欠けた印象。黒潮旗までの派手な戦いぶりを考えれば、前戦(2回戦)で「優勢」で試合を終わらせてしまうことすら意外の感があったが、この対戦ではついに引き分けを受け入れてしまった。前戦同様、ケンカ四つの小さい選手が後ろ重心でひたすら粘って来た場合の手立てにやや引き出しの少なさが感じられた一番でもあった。

eJudo Photo
準々決勝、桐蔭学園の先鋒湯本祥真が浅沼亮太から小内巻込「技有」

eJudo Photo
関根聖隆が長谷川明伸から一本背負投「一本」

【準々決勝】

桐蔭学園高 3-1 白鴎大足利高
(先)湯本祥真○優勢[技有・小内巻込]△浅沼亮太
(次)千野根有我×引分×吉田功二
(中)髙山康太△優勢[有効・内股]○岩瀬裕希
(副)村尾三四郎○片手絞△長島斥弥
(大)関根聖隆○一本背負投△長谷川明伸

桐蔭学園はこの試合から佐藤に替えて、先鋒に66kg級の好選手・湯本祥真を投入。一方の白鴎大足利は格上と戦うには先に一撃斬り付けるしかないとばかりに、ここに浅沼亮太を突っ込むという帰り道のない突貫布陣。

白鴎大足利の作戦は強者との戦いという観点と自軍の持ち駒の質を考えるにまことに妥当なものであったが、湯本はむしろこの巨人との対決を楽しむかのようにイキイキした動き。浅沼の振りかぶるような一撃をかわし続けてチャンスを待ち、中盤には組み際に右小内巻込に食いつく。浅沼が振り返そうと身を固めて2度、3度と力を込めるもあくまで退かずに回旋を呉れ続け、ついに浅沼の巨体が崩れて2分12秒「技有」獲得。このポイントが最後まで残り、先鋒戦は桐蔭学園の手に落ちる。

次鋒戦は体格に大きく勝る千野根が前進して圧力を掛けるが、吉田功二は右相四つながら左引き手で千野根の腰を突き続けて一貫して距離を確保。千野根はこれを払いのける技術的根拠に欠け試合は膠着、1分54秒吉田に「極端な防御姿勢」で「指導」、2分42秒両者に消極的との咎で「指導」が与えられたのみで試合終了。この試合は引き分けに終わった。

中堅戦は開始早々に白鴎大足利・岩瀬裕希が右内股に飛び込み17秒「有効」奪取。髙山はこれまでの試合同様伸びのある技で度々チャンスを作るが、ここは岩瀬が試合を壊さず4分間を戦い切って優勢勝ち。試合は1-1のタイスコアとなる。

副将戦は村尾三四郎が長島斥弥を圧倒。長島が挑む組み手争いの中にも前進圧力を染み渡らせ、長島には「取り組まない」「場外」「消極的」と3つの「指導」が累積。最後は試合終了直前に村尾が長島を片手絞に捉えて「一本」。

最後は大将関根が長谷川明伸を豪快な左一本背負投「一本」に捉えてフィニッシュ。結果、最終スコア3-1で桐蔭学園がベスト4に駒を進めることとなった。

賀持不在の状況、そして抜き役を担うべき千野根の引き分けを余裕で「引き受ける」桐蔭学園の強さと図太さが際立った一番だった。

[Cブロック1回戦]

四日市中央工高(三重) 4-0 日本学園高(東京)
柳ヶ浦高(大分) 2-1 大原高(千葉)
白鴎大足利高(栃木) 3-0 清風高(大阪)
長崎日大高(長崎) 4-0 武相高(神奈川)

桐蔭学園高(神奈川) 5-0 桐生第一高(群馬)
近大広島高(広島) 4-1 習志野高(千葉)
修徳高(東京) 4-0 初芝橋本高(和歌山)
水戸葵陵高(茨城) 2-1 鎮西高(熊本)

[Cブロック2回戦]

四日市中央工高 4-1 柳ヶ浦高
白鴎大足利高 2-1 長崎日大高
桐蔭学園高 4-0 近大広島高
修徳高 2-1 水戸葵陵高

[Cブロック3回戦]

白鴎大足利高 ②-2 四日市中央工高
桐蔭学園高 2-0 修徳高

[Cブロック4回戦(準々決勝)]

桐蔭学園高 3-1 白鴎大足利高

■ Dブロック
eJudo Photo
1回戦、国士舘高の先鋒・三谷大が長崎南山高・益優之助から体落「有効」

シード校:国士舘高(東京)、木更津総合高(千葉)
準々決勝(ブロック決勝)進出校:国士舘高(東京)、木更津総合高(千葉)

過去2代に渡って高校柔道界を席捲した国士舘高は、唯一前代で団体戦に出場していた清水雅義を登録の7人から外して全員が新人。しかも登録のうち100kg超級は1年生の酒井陸のみ、73kg級が2人含まれるという小型のチームだ。今季の国士舘は黒潮旗大会に出場しておらず、今大会が大規模招待試合に姿を現す初めての機会。どのような戦いを見せてくれるか、関係者と観客の熱い視線が注がれた。

新チームの滑り出しとなる1回戦は九州の強豪・長崎南山高(長崎)とマッチアップ。布陣は先鋒から三谷大、斉藤泰樹と軽量級を2枚並べ、以降は長島光希、渡辺将一、織茂友多郎というもの。この試合は三谷が益優之助から49秒両袖の右体落「有効」を挙げ、中盤には「国士舘返し」から横四方固に抑え込んで一本勝ち。次鋒戦と中堅戦は引き分けに終わったが、副将戦では渡辺が左背負投で2つの「有効」を得てチームの勝利を決める。大将戦は織茂が開始早々田原満明を得意の寝技に引き込み、横四方固で勝利して最終スコアは3-0。2回戦ではこれも強豪の東海大札幌高(北海道)を畳に迎え、先鋒三谷が越橋健介の両脚を「足三角」に纏めての縦四方固「一本」で勝利。斉藤が背負投「一本」で追加点を挙げた後、酒井陸が藤谷亮太の裏投「有効」に屈したが、副将渡辺が引き分け、大将織茂も北海道無差別王者の藤井崚将と引き分けて、2-1でこの試合の突破を決める。

【3回戦】

国士舘高 4-0 東海大翔洋高
(先)三谷大○優勢[僅差]△成田陸斗
(次)斎藤泰樹○横四方固△矢萩奨真
(中)長島光希○棄権△北田晃大
(副)渡辺将一○一本背負投△村松孝紀
(大)織茂友多郎×引分×南條伯海

3回戦は黒潮旗で3位入賞の快挙を成し遂げたばかりの東海大静岡翔洋高とマッチアップ。どう具体的に点を挙げれば良いか迷いながらの試合という印象だった1回戦、東海大札幌の地力に苦しんだ2回戦を経てエンジンが掛かったか、この試合は国士舘が大量4点を挙げて快勝。1つ1つの試合は決して圧勝ではないが終わってみれば大差という、ある意味本来の「国士舘らしい」試合ぶりであった。

eJudo Photo
回戦、八王子学園高の戸髙竜之介が水戸葵陵高・横田心から内股「一本」

eJudo Photo
木更津総合高・坂東虎之輔が和歌山北高・尾上圭介を大外落「一本」に仕留める

eJudo Photo
3回戦、田村高の瀧澤秀斗が八王子学園高・嘉部拓郎を抑え込む

下側の山は前々代、前代と全国大会で存在感あふれる戦いを繰り広げた木更津総合高(千葉)、東京都で悲願の全国代表の座を狙う八王子学園高(東京)、東北の雄・田村高(福島)、躍進中の常盤高(群馬)によるこれも「死の山」と言うべき厳しいマッチレース。田村と常盤の1回戦は田村が2対2の内容差で辛勝、2回戦の八王子学園対田村の試合は、八王子学園・戸髙竜之介が僅差優勢、田村・瀧澤秀斗が一本勝ちというエースの勝利内容がそのまま試合を決めることとなって田村が1対1の内容差で勝ち抜け。3回戦は木更津総合-田村という顔合わせとなった。

【3回戦】

木更津総合高 ①-1 田村高
(先)磯崎勇飛×引分×杉山海

(次)伊藤大輔△優勢[有効・小外刈]○矢野修弘
(中)坂東虎之輔×引分×瀧澤秀斗
(副)深江拓也×引分×尾見謙介
(大)大淵泰志郎○反則[指導4]△小林真士

この試合も非常な接戦。木更津総合は得点を期待したい1年生ポイントゲッターの坂東虎之輔が相手方の抜き役である瀧澤秀斗とマッチアップしたことで最後まで苦しんだが、大将に取り置かれたエース大淵泰志郎がしっかりその責めを果たし「指導」4つを奪って逆転勝ち。全体としては木更津総合の総合力勝ちと評すべき一番であった。

eJudo Photo
国士舘高の中堅長島光希が木更津総合高・深江拓也を抑え込む

【準々決勝】

国士舘高 3-2 木更津総合高
(先)三谷大○体落△磯崎勇飛
(次)斎藤泰樹△優勢[指導3]○坂東虎之輔
(中)長島光希○縦四方固△深江拓也
(副)渡辺将一○優勢[有効・一本背負投]△伊藤大輔
(大)織茂友多郎△出足払○大淵泰志郎

先鋒・三谷が3戦連続で挙げた先制点が効き、シーソーゲームを国士舘が制した。木更津総合は坂東と大淵のポイントゲッター2枚が過たず得点したが、試合の勘どころを弁えた国士舘が勝利はどうしても3点が必要とばかりに錐をもみ込むように他ポジションで得点。地力勝ちというよりは、人材薄き今代の戦いに対する国士舘のチームとしての危機感の強さが表れたとでもいうべき締まった試合で、国士舘がベスト4入りを決めた。

結果決まった準決勝のカードは、

東海大仰星高 - 崇徳高
桐蔭学園高 - 国士舘高

の2試合となった。

[Dブロック1回戦]

国士舘高(東京) 3-0 長崎南山高(長崎)
東海大札幌高(北海道) 4-0 日大藤沢高(神奈川)
市立柏高(千葉) 3-1 山形工高(山形)
東海大静岡翔洋高(静岡) 3-0 文星芸大付高(栃木)

木更津総合高(千葉) 3-0 立花学園高(千葉)
和歌山北高(和歌山)○不戦△仙台育英高(宮城)
八王子学園高(東京) 3-2 水戸葵陵高(茨城)
田村高(福島) ②-2 常盤高(群馬)

[Dブロック2回戦]

国士舘高 2-1 東海大札幌高
東海大静岡翔洋高 3-0 市立柏高
木更津総合高 2-1 和歌山北高
田村高 ①-1 八王子学園高

[Dブロック3回戦]

国士舘高 4-0 東海大静岡翔洋高
木更津総合高 ①-1 田村高

[Dブロック4回戦(準々決勝)]



文責:古田英毅

※ eJudoメルマガ版12月25日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.