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【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第20回

(2016年12月20日)

※ eJudoメルマガ版12月20日掲載記事より転載・編集しています。
【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第20回
今日日本で行わるる宴会の有様を観る時は、大いに改良を要することがあると思う。
出典:「柔道と宴会」 
有効の活動 第7巻7号 大正10年(1921)7月(『嘉納治五郎大系』2巻,159頁)
 
今年も残すところ、僅かになってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

これからの時期、20歳以上の方は「忘年会」という名のお酒を飲む宴会に参加する機会が多々あると思うのですが、今回はその宴会に関する師範の「ひとこと」です。また、柔道と関係ない話をしていると思われる方は是非、出典をもう一度ご確認下さい。「柔道と宴会」まさにそのままのタイトルです。
 
「心身の力を最も有効に利用する」という柔道の原理に照らし、社会をよくしていこうと考えていた師範の目に、宴会は「改良を要する」ものとして映ったようですが、具体的に宴会のどのような点に問題があると考えたのでしょうか。

「時間の不経済」「衛生上の不注意」「無駄の費用」の3つを師範はあげています。もっともここで言う宴会とはお座敷に座り、1人1人の前に膳が置かれて給仕がつくような宴会なので、我々が現在、日常的に行う宴会(飲み会)とは必ずしも一致しないと思いますが、現在でも通じそうな点を紹介したいと思います。
 
まず、お酒の苦手な人が、お酒の好きな人に付き合う時間を「時間の不経済」と言っています。お酒が好きな人にとってお酒の場は楽しく有意義な時間でしょうが、お酒の苦手な人にとっては苦痛の時間でしかないでしょう。貴重な時間の浪費となります。

ダラダラ時間をかけて、飲み食いすることによって、満腹の状態で寝ることになる(消化吸収に良くない)。また、ほとんどの方が経験あると思いますが、お酒をついだら、つぎ返すという文化。この文化により、飲みたくないお酒を無理して飲むことになる。これを「衛生上の不注意」としてあげています(※)。

さらに、「無駄な費用」についてです。これは外国人の日本の宴会に関する感想として師範が紹介していることですが、日本の宴会は、料理の量が多すぎることを指摘しています。大量に出された料理はその量の多さ故に食べられずに捨ててしまうことも起きるでしょう。そんな料理に心身の力の変形である大切なお金(第12回 http://www.ejudo.info/newstopics/002709.html)を払うことが「無駄な費用」になることは説明するまでもないでしょう。
 
師範は宴会において、これらの点の改善を求めたのですが、飲酒そのものにも、いろいろ思うところがあったようです。お酒が好きな方や、仕事のために上司や取引先とお酒を飲むことがある方にとっては耳が痛いようなことも言っています。ですが、師範がお酒を嫌いだったかというと、そうではないようです。書かなければいけない原稿があったにもかかわらず、自分からお酒を飲もうと人を誘い、大量のビールを飲んだという話も残っています(ちなみに原稿は少し仮眠を取った後、一晩で書き上げたそうです)。

単純に、お酒を飲むことや宴会がダメというのではなく、飲酒や宴会により、精力が無駄に使われることを嫌ったのでしょう。
 
※本文以外の理由もありますが、師範はこの「献酬」という文化を非常に嫌っていたようです。
※読みやすさを考慮して引用は『嘉納治五郎大系』から行っています。

著者:元 敏季(ハジメ・トシキ)
1975年生まれ。柔道は中学校から始め、大学までは競技を中心に行うが、卒業論文を機に柔道の文化的側面に関心を持ち、大学院へ進学。凡そ10年、大学院・研究機関に所属するも、研究とは異なる分野の仕事に就き現在に至る。ライフワークとして嘉納治五郎に関する史料を蒐集・研究し、その成果を柔道振興のため発信しようとしている。

※ eJudoメルマガ版12月20日掲載記事より転載・編集しています。

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