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グランドスラム東京2016・第2日男子2階級(73kg級、81kg級)レポート

(2016年12月17日)

※ eJudoメルマガ版12月17日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラム東京2016・第2日男子2階級(73kg級、81kg級)レポート
■ 73kg級・橋本壮市がワールドマスターズに続いてビッグタイトル獲得、注目の立川新は強豪連破で3位入賞果たす
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73kg級決勝、橋本壮市は土井健史の巴投を起点にしつこく寝技を展開

(エントリー24名)

【入賞者】
1.HASHIMOTO, Soichi (JPN)
2.DOI, Takeshi (JPN)
3.BOBOEV, Giyosjon (UZB)
3.TATSUKAWA, Arata (JPN)
5.VAN TICHELT, Dirk (BEL)
5.MOGUSHKOV, Musa (RUS)
7.IARTCEV, Denis (RUS)
7.MARGELIDON, Arthur (CAN)

【日本代表選手成績】

橋本壮市(パーク24) 優勝
土井健史(ダイコロ) 2位
立川新(東海大1年) 3位
中矢力(ALSOK) 2回戦敗退

ワールドマスターズ王者の橋本壮市(パーク24)が見事優勝を果たした。第1シード配置の橋本は2回戦から登場すると、格下のリー・フェンマオ(台湾)を一本背負投と横四方固の合技「一本」(2:00)で下して準々決勝に進出。準々決勝でギヨション・ボボエフ(ウズベキスタン)に「指導2」優勢で勝利すると、以降は講道館杯で敗れた立川新(東海大1年)と土井健史(ダイコロ)との連戦。準決勝では立川に「指導1」対「指導2」の優勢で勝利して1つ目のリベンジを達成。決勝戦でも土井を試合展開と組み手で完封、ほとんど何もさせないまま「指導2」の優勢で勝利して、講道館杯の借りをすべて返しての優勝を果たした。この日の橋本は、体の強さとバランスの良さをテコに変幻自在の組み手で「相手の形」を徹底して封じる厳しい柔道を展開。細い糸を手繰り寄せるかのように少しずつ序列を上げて来た橋本らしい、タフでしぶとい戦いぶりだった。

講道館杯で表彰台を確保出来なかった橋本は、ワールドマスターズ優勝の実績を買われて今大会の出場権を獲得。そもそも橋本がワールドランク16位以内の選手しか出場が許されないワールドマスターズに出場出来たのは、五輪直前期で出場権保持者の多くが出場を回避したためである(当時WR23位の橋本は繰り上げ出場)。しかし、これはワールドツアー出場の機会すらなかなか得ることが出来ない国内事情(※リオ五輪前の国内73kg級は大野将平、中矢力、秋本啓之が五輪出場権を賭けてしのぎを削っており、他の選手はワールドツアー出場の機会自体がほとんどなかった)のなかで橋本が着実に実績を重ねて来たからこそ得たチャンスであり、今大会の優勝もその延長線上にあるもの。橋本は試合後のコメントで「用意していた『橋本スペシャル』は欧州シリーズに取っておく」と発言しており、すでに冬季欧州シリーズへの意気込みは十分。橋本がしぶとく切り開いてきた道がさらに拓けていくのか、五輪から本格復帰してくるであろうトップ選手の壁に弾き返されるのか。欧州シリーズでの活躍に大いに期待したい。

大野将平の代替選手として繰り上げ出場を果たした土井は、1戦ごとに調子を上げて見事準優勝を達成。1回戦はアン・ジョンフーン(韓国)を相手に、GS延長戦までもつれ込んだ末に「指導3」(GS3:10)で勝利。厳しい立ち上がりだったが、2回戦でジェイク・ベンステッド(オーストラリア)を巴投「有効」で破ると、準々決勝では強豪のムサ・モグシコフ(ロシア)を相手に粘り強く戦い、相手の足取りによるダイレクト「反則」(4:03)で勝利。準決勝ではリオデジャネイロ五輪銅メダリストの試合巧者ディルク・ファンティシェル(ベルギー)を畳みに迎えたが、土井はこの難敵を右袖釣込腰「一本」で退けて決勝進出を決める。決勝戦こそ橋本の前に自分の柔道をさせてもらえず敗れたが、ノーシード位置からスタートしての見事な準優勝であった。

講道館杯を制して注目を集めた立川は、海外の強豪との連戦を勝ち抜き堂々の3位。立川は1回戦こそ無名のアンソニー・ツィン(ドイツ)を相手に「指導1」対「指導2」と低調な滑り出しであったが、2回戦以降は強豪選手を相手に「一本」を連発。2回戦ではグランドスラム・アブダビ大会を制した難敵トミー・マシアス(スウェーデン)から左小外刈「一本」(1:58)、勝負どころの準々決勝ではリオデジャネイロ五輪7位のデニス・イアルツェフ(ロシア)を相手にに左小内刈「技有」と左大内刈「一本」(3:43)を立て続けに奪う完勝。準決勝こそ橋本に講道館杯のリベンジを許してしまったが、敗れて回った3位決定戦では2014年世界選手権3位のムサ・モグシコフをGS延長戦の末に払釣込足「一本」(GS2:10)で撃破、見事3位を獲得した。この日の立川は階級トップレベルの選手から連続で「一本」を奪う大活躍、国際大会で十分戦える力と適性を示してみせたと評価出来る。

これまで国内の73kg級を牽引してきた中矢力はアーサー・マルゲリドン(カナダ)を相手に小内巻込で「技有」を奪われてまさかの2回戦敗退。若手の立川が結果を残すなかで非常に厳しい結果となった。

橋本、土井、立川のコメント、プールファイナル結果、決勝ラウンドと日本選手全試合の結果および戦評は下記。

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73kg級優勝の橋本壮市

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73kg級入賞者。左から土井、橋本、立川、ボボエフ。

橋本壮市選手のコメント
「(優勝について)最高ですね。苦しい試合が結構ありましたが、研究される中でどんな柔道をしてでも勝つことを意識しました。それが優勝につながって良かったです。(-大野選手がいない中で負けられない思いはあったか?)ありました。(-今大会での優勝の価値について?
)僕の中では大きいです。今年は海外の大会で4連勝したので、あとは大野を倒すだけ。オリンピックは目指していますが、まずは世界選手権で優勝すること。それからです。」

土井健史選手のコメント
「(接戦で橋本に敗れたことについて)どこかで2位に満足している自分がいたと気づきました。試合中は、1勝1敗の先輩なので、ここに勝って自分が世界選手権に選ばれてやろうと思っていましたが、負けてしまいました。もうちょっと執念を持って戦えていればと思います。自分の我慢の弱さが見えた試合でした。(-アピールは出来たのでは?)これで海外の大会に選んでもらえたら、もっと結果を残して73kg級に土井という選手が居ることを示していきたいです。(-東京五輪について?)4年間は時間があるようでないので、まずは世界選手権に選ばれるように結果を残していきたいです。」

立川新選手のコメント
「優勝する気だったので、準決勝で負けて気持ちが折れかけました。が、(東海大の)上水監督からここで勝たないと世界に繋がらないと言われて、3位決定戦は死に物狂いで勝ちにいきました。(-世界に繋がったか?)次の大会があれば、全力で優勝目指して頑張ります。(-姉弟で3位を獲得したことについて?)2人で金メダルが取れればよかったのですが、ひとまずメダルを取れて良かったです。(-今後について?)期待してもらっているので、その期待に応えられるように頑張りたいと思います。4年後の東京五輪での金メダルが目標です。」

【プールファイナル結果】

[準々決勝]

橋本壮市○優勢[指導2]△ギヨション・ボボエフ(ウズベキスタン)
立川新○大内刈(3:43)△デニス・イアルツェフ(ロシア)
土井健史○反則(4:03)△ムサ・モグシコフ(ロシア)
アーサー・マルゲリドン(カナダ)○優勢[指導1]△ディルク・ファンティシェル(ベルギー)

【準決勝ラウンド以降結果、戦評】

[敗者復活戦]

ギヨション・ボボエフ(ウズベキスタン)○優勢[技有・内股透]△デニス・イアルツェフ(ロシア)
右相四つ。序盤、イアルツェフは得意の足技でボボエフを度々崩すが、投げるまでには至らず。1分過ぎ、ボボエフが組み際に背中深くを叩き、それにイアルツェフが応じることで、両者が右がっぷり四つで抱き合う形が出来上がる。この状態からボボエフが左方向へ「やぐら投げ」を放つと、イアルツェフは腰を切って着地と同時に右内股。しかし、ボボエフはこの瞬間を狙っていたかのように股中でイアルツェフを綺麗に回して内股透「技有」を獲得。ボボエフはそのまま抑え込みを狙うが、ここはイアルツェフが凌いで「待て」。続く展開、リードを許したイアルツェフは隅返を狙うが、反対にボボエフが寝技を展開して横四方固に抑え込む。しかし、これは9秒で解けてノーポイント。以降、イアルツェフは攻勢に出るが、ボボエフに「指導2」が与えられた時点で残り時間は30秒足らず。最終盤、イアルツェフが引込返「有効」から横四方固に抑え込んだが、これは不十分でボボエフが2秒で逃れて試合終了。「技有」優勢でボボエフが勝利した。

ムサ・モグシコフ(ロシア)○優勢[技有・抱分]△アーサー・マルゲリドン(カナダ)
左相四つ。組み手の切り合いと絞り合いが続き、中盤まで両者ともにポイントの獲得はなし。3分経過間際、マルゲリドンが右小内巻込を空振りして潰れると、モグシコフは伏せた相手を隅返に捉えて「技有」を獲得。さらにモグシコフは寝技を展開して腕挫十字固を狙うが、マルゲリドンが持ち上げて「待て」。以降モグシコフは得意の足技を要所で放ち、マルゲリドンに攻めのきっかけを作らせない。結局、モグシコフがマルゲリドンを完封して試合は終了。「技有」優勢でモグシコフが3位決定戦進出を果たした。

[準決勝]

橋本壮市○優勢[指導2]△立川新
橋本が右、立川が左組みのケンカ四つ。橋本は釣り手を下から入れると、頭を立川の胸につけながら前進圧力を掛ける。立川も下がらず受けると試合は膠着、双方に「指導1」が与えられる。続く展開、橋本はまず圧を掛け、立川が押し返したところに左一本背負投から左大外刈、さらに左一本背負投と技を継ぐ。これは非常に取り味のある攻撃であったが立川堪えてポイントはなし。その後橋本が山場を作って2つ目の「指導」が立川に与えられる。残り1分を切ったところから、立川は左大内刈で橋本を崩す場面を数度作り出すが追いつけず、試合終了。橋本が「指導2」優勢で決勝進出を決めた。

土井健史○袖釣込腰(3:34)△ディルク・ファンティシェル(ベルギー)
左相四つ。開始早々、両者が両襟で押し合った状態から、ファンティシェルが放った左内股に土井が乗りかかる危ない場面が現出する。その後は土井が左背負投、右袖釣込腰で投げを狙い、ファンティシェルが隅落で返しに掛かるという展開が続く。終盤になって土井が右袖釣込腰を仕掛けると、ファンティシェルは反応し切れずまともに一回転し「一本」。

[3位決定戦]

ギヨション・ボボエフ(ウズベキスタン)○内股透△ディルク・ファンティシェル(ベルギー)
ボボエフが右、ファンティシェルが左組みのケンカ四つ。ボボエフが地力に勝る様子、じわりと前に出続ける。1分15秒、ボボエフの右内股をファンティシェルが抱きかかえて裏投を狙うがボボエフは構わず技を続行、結果ファンティシェルは背中から落ちたがこれは自滅と判断されてノーポイント。以降もボボエフがゴリゴリと音がするような力強さで前へ。場外際に詰まったファンティシェルは打開を期して左内股に打って出るが、ボボエフは待ってましたとばかりに得意の内股透。ファンティシェルは自分が右内股を仕掛けたかのがごとく派手に吹っ飛び、この一撃は文句なしの「一本」。

立川新○払釣込足(GS2:10)△ムサ・モグシコフ(ロシア)
左相四つ。序盤から激しい組み手争い、双方組み際に技を仕掛け続け、ほとんど組み合うことのないまま試合時間が経過する。お互いが組み手争いのさなかに鋭い足技を織り交ぜるスリリングな展開が続き、互いに相手を大きく崩す場面も現出。しかしいずれもポイントには至らず試合はGS延長戦へと突入する。延長戦でも同様の展開が続くが、GS1分30秒に左一本背負投で伏せた立川をモグシコフが引込返に捉える。立川は大きく回ってしまうが、モグシコフの上を転がる形で凌いでノーポイント。ここでモグシコフはスタミナが切れてきたのか膝に手を当てゆっくりと開始線へと戻る。直後の展開、立川はモグシコフを場外際へ追い込むと、払釣込足で崩すなり反応良く浴びせ倒して「一本」。立川が世界レベルの強豪ひしめく難しいブロックを勝ち上がり、堂々の3位を獲得した。

[決勝]

橋本壮市○優勢[指導2]△土井健史
橋本が右、土井が左組みのケンカ四つ。序盤に土井が得意の巴投、しかし捌いた橋本は土井に展開を流すことを許さず、あくまでパスを狙って上からの寝技をしつこく継続。我慢出来なくなった土井がついに伏せて逃げ、橋本が腕挫十字固を狙って「待て」。ほとんど1分近く危機にさらされ続けた土井はこれ以降巴投を仕掛けにくくなってしまう。試合構成上の重要な選択肢をもぎ取られた土井は以降やや手詰まり、一方橋本はヒットアンドアウェイの一撃離脱を繰り返し、左一本背負投、左大外落、ドロップ式の右体落、さらに滑るような右小内刈と出足払による足技のコンビネーションを交えて順調に試合を進める。決定打こそないものの展開力の差は明らかで3分30秒土井に「指導1」、残り26秒では場外の咎で土井に2つ目の「指導」が与えられる。そのまま山場なく試合終了、橋本巧みな試合構成でワールドマスターズに続くビッグタイトル獲得。

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準決勝、橋本が立川を左大外刈で攻める。

【日本代表選手全試合結果、戦評】

橋本壮市(パーク24)
成績:優勝


[2回戦]

橋本壮市○合技[一本背負投・横四方固](2:00)リー・フェンマオ(台湾)
右相四つ。組み合わないリーに「指導1」。直後、橋本が組み際の右一本背負投で「技有」を奪取、そのまま横四方固で抑え込み合技「一本」。

[準々決勝]

橋本壮市○優勢[指導2]△ギヨション・ボボエフ(ウズベキスタン)
右相四つ。開始早々、橋本が前に出て圧力を掛けると、膝を着いて伏せてしまったボボエフに「指導」が与えられる。リードを得た橋本だが、1分過ぎに相手の袖口を掴んでしまい「指導」失陥、ポイントで並ばれてしまう。しかし橋本は動じることなく試合を継続。組み際の足技と前進圧力を利かせて4分間際に2つ目の「指導」を奪う。再びリードを得た橋本は巧みにボボエフの追撃を凌ぎ切って試合終了。接戦を制して準決勝進出を決めた。

[準決勝]

橋本壮市○優勢[指導2]△立川新
橋本が右、立川が左組みのケンカ四つ。橋本は釣り手を下から入れると、頭を立川の胸につけながら前進圧力を掛ける。立川も下がらず受けると試合は膠着、双方に「指導1」が与えられる。続く展開、橋本はまず圧を掛け、立川が押し返したところに左一本背負投から左大外刈、さらに左一本背負投と技を継ぐ。これは非常に取り味のある攻撃であったが立川堪えてポイントはなし。その後橋本が山場を作って2つ目の「指導」が立川に与えられる。残り1分を切ったところから、立川は左大内刈で橋本を崩す場面を数度作り出すが追いつけず、試合終了。橋本が「指導2」優勢で決勝進出を決めた。

[決勝]

橋本壮市○優勢[指導2]△土井健史
橋本が右、土井が左組みのケンカ四つ。開始早々、土井が巴投を仕掛けると橋本はこれを躱してしつこく寝技を展開、たまらず伏せた土井に腕挫十字固を狙う。これで主導権を得た橋本は袖、脇、前襟と組み手の位置を変えながら、徹底した組み手管理で土井に自分の形を作らせない。さらに橋本は不十分な状態からでも組み際の技を仕掛けて手数の上でも優位を演出する。橋本が組み際の右小内刈で土井を大きく崩し、さらに背中について絞技を狙った3分30秒ついに土井に「指導」が宣告される。リードを許した土井はなんとか技を仕掛けようと橋本に組みかかるがあくまで冷静な橋本は変幻自在に組み手を展開、土井は組み合うことさえ満足にできない状態が続く。さらに橋本は場外際で組み手を争いながら圧を掛け、絶妙のコントロールで土井を場外に誘導。結果、土井に故意に場外に出た咎で2つ目の「指導」が与えられる。直後、後のなくなった土井が前に出てきたところを橋本が左一本背負投。深く潜り込んだこの技に土井は大きく崩れてしまい、またしても反撃のきっかけを奪われてしまう。以降も橋本はあくまで土井の組み手を殺し続け、そのまま試合終了。橋本の今大会の勝ち上がりは2回戦以外の全試合が「指導」ポイントによるもの。体の強さとバランスの良さをテコに、変幻自在の組み手で「相手の形」を徹底して封じた橋本が、ワールドマスターズに続いて表彰台の頂点へと上り詰めた。

土井健史(ダイコロ)
成績:2位


[1回戦]

土井健史○GS指導3(GS3:10)△アン・ジョーンスン(韓国)
土井が左、アンが右組みのケンカ四つ。ともにしぶとい両者の対戦は膠着、「指導2」を取り合って試合は延長戦へ。捨身技中心のアンに対し土井が有効打で上回り、3つ目の「指導」を奪って勝利。試合時間8分10秒に及ぶ大消耗戦を制して土井が初戦突破。

[2回戦]

土井健史○優勢[有効・巴投]△ジェイク・ベンステッド(オーストラリア)
左相四つ。土井が地力で明らかに優位も、手足の長い相手が警戒感強くヒットアンドアウェイを為すためなかなかスコアに結実せず。しかし3分過ぎ、相手を前にあおって引き出して隙間を作ると、巴投に潜り込んで横に落とし「有効」を獲得。以降は土井が優位を保ったまま「指導」1つずつを取り合って試合終了。土井の勝利が決まった。

[準々決勝]

土井健史○反則(4:03)△ムサ・モグシコフ(ロシア)
左相四つ。土井が左背負投で攻め、モグシコフがカウンターの引込返を狙うという展開が続き、互いに決定打ないまま攻防が進む。3分半過ぎ、左小外刈で膝をついたモグシコフに土井が左大外刈。追い込まれたモグシコフは思わず土井の足を抱えて防御してしまう。主審はこれに気づかず試合を流し、場外際で土井が左大内刈に掛け潰れたところで「待て」。この間にビデオチェックが行われており、下半身に触れた咎でモグシコフに「反則」が宣告される。モグシコフのダイレクト反則負けにより土井の準決勝進出が決定。

[準決勝]

土井健史○袖釣込腰(3:34)△ディルク・ファンティシェル(ベルギー)
左相四つ。開始早々、両者が両襟で押し合った状態から、ファンティシェルが放った左内股に土井が乗りかかる危ない場面が現出する。その後は土井が左背負投、右袖釣込腰で投げを狙い、ファンティシェルが隅落で返しに掛かるという展開が続く。終盤になって土井が右袖釣込腰を仕掛けると、ファンティシェルは反応し切れずまともに一回転し「一本」。

[決勝]

橋本壮市○優勢[指導2]△土井健史
橋本が右、土井が左組みのケンカ四つ。開始早々、土井が巴投を仕掛けると橋本はこれを躱してしつこく寝技を展開、たまらず伏せた土井に腕挫十字固を狙う。これで主導権を得た橋本は袖、脇、前襟と組み手の位置を変えながら、徹底した組み手管理で土井に自分の形を作らせない。さらに橋本は不十分な状態からでも組み際の技を仕掛けて手数の上でも優位を演出する。橋本が組み際の右小内刈で土井を大きく崩し、さらに背中について絞技を狙った3分30秒ついに土井に「指導」が宣告される。リードを許した土井はなんとか技を仕掛けようと橋本に組みかかるがあくまで冷静な橋本は変幻自在に組み手を展開、土井は組み合うことさえ満足にできない状態が続く。さらに橋本は場外際で組み手を争いながら圧を掛け、絶妙のコントロールで土井を場外に誘導。結果、土井に故意に場外に出た咎で2つ目の「指導」が与えられる。直後、後のなくなった土井が前に出てきたところを橋本が左一本背負投。深く潜り込んだこの技に土井は大きく崩れてしまい、またしても反撃のきっかけを奪われてしまう。以降も橋本はあくまで土井の組み手を殺し続け、そのまま試合終了。橋本の今大会の勝ち上がりは2回戦以外の全試合が「指導」ポイントによるもの。体の強さとバランスの良さをテコに、変幻自在の組み手で「相手の形」を徹底して封じた橋本が、ワールドマスターズに続いて表彰台の頂点へと上り詰めた。

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3位決定戦、立川新がムサ・モグシコフを払釣込足で浴びせ倒して「一本」。

立川新(東海大1年)
成績:3位


[1回戦]

立川新○優勢[指導2]△アントニー・ツィン(ドイツ)
左相四つ。立川が組み手で圧倒、大内刈に一本背負投で崩し、さらに寝技で攻めてと危なげなく試合を展開。しかし決着を先送りする相手を攻略しきれず、最終的には「指導1」対「指導2」での勝利となった。

[2回戦]

立川新○小外刈(1:58)△トミー・マシアス(スウェーデン)
立川が左、マシアスが右組みのケンカ四つ。立川は釣り手を突いて自分の間合いを確保、マシアスの武器である懐の深さを問題にせず。1分58秒、引き手を探り合いながらの横移動からマシアスが前技を仕掛けようと腰を切る。立川はいったん左体落でこの動きを牽制し、右内股で切り返そうとしたマシアスが後重心になった瞬間に左小外刈。勢いのついたマシアスの体は掛けられた足首を固定点に、遠心力で大回りに吹っとび「一本」。立川、グランプリアブダビを制して勢いに乗る難敵を見事攻略。

[準々決勝]

立川新○大内刈(3:43)△デニース・イアルツェフ(ロシア)
山場の一番は立川が左、イアルツェフが右組みのケンカ四つ。引き手争いが続き49秒双方に「指導1」。以降はイアルツェフの長い腕を生かした変則組み手を、立川が巧みにいなして自分の形を作るという構図。2分37秒、立川強引に一本背負投に入り込もうとするとイアルツェフがこれを後ろに引き落とす。主審「技有」を宣告するがこれは取り消し、タイスコアのまま試合は終盤戦へ。3分25秒、立川がスピードアップして一呼吸で左小内刈、イアルツェフ吹っ飛び「技有」。もはや勝負を掛けるしかないイアルツェフは右小外掛に食いついて投げ合いを挑む。しかし立川左大内刈で刈り飛ばして「一本」。体幹の強さだけで相手を弾いたとでもいうべき、立川の体の強さが光る一撃だった。

[準決勝]

橋本壮市○優勢[指導2]△立川新
橋本が右、立川が左組みのケンカ四つ。橋本は釣り手を下から入れると、頭を立川の胸につけながら前進圧力を掛ける。立川も下がらず受けると試合は膠着、双方に「指導1」が与えられる。続く展開、橋本はまず圧を掛け、立川が押し返したところに左一本背負投から左大外刈、さらに左一本背負投と技を継ぐ。これは非常に取り味のある攻撃であったが立川堪えてポイントはなし。その後橋本が山場を作って2つ目の「指導」が立川に与えられる。残り1分を切ったところから、立川は左大内刈で橋本を崩す場面を数度作り出すが追いつけず、試合終了。橋本が「指導2」優勢で決勝進出を決めた。

[3位決定戦]

立川新○払釣込足(GS2:10)△ムサ・モグシコフ(ロシア)
左相四つ。序盤から激しい組み手争い、双方組み際に技を仕掛け続け、ほとんど組み合うことのないまま試合時間が経過する。お互いが組み手争いのさなかに鋭い足技を織り交ぜるスリリングな展開が続き、互いに相手を大きく崩す場面も現出。しかしいずれもポイントには至らず試合はGS延長戦へと突入する。延長戦でも同様の展開が続くが、GS1分30秒に左一本背負投で伏せた立川をモグシコフが引込返に捉える。立川は大きく回ってしまうが、モグシコフの上を転がる形で凌いでノーポイント。ここでモグシコフはスタミナが切れてきたのか膝に手を当てゆっくりと開始線へと戻る。直後の展開、立川はモグシコフを場外際へ追い込むと、払釣込足で崩すなり反応良く浴びせ倒して「一本」。立川が世界レベルの強豪ひしめく難しいブロックを勝ち上がり、堂々の3位を獲得した。

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中矢力がアーサー・マルガリドンに右小内巻込「技有」を奪われまさかの敗退。

中矢力(ALSOK)
成績:2回戦敗退


[1回戦]

中矢力○横四方固(2:55)△エドゥアルド・バルボサ(ブラジル)
右相四つ。中矢は右体落で崩し、崩すなり迷いなく相手を引き込んでと得意の寝勝負志向。1分28秒、相手の左一本背負投を止め、しっかり見極めた上で抱分に捉え「有効」奪取。以降、横変形の形で袖を絞り合う膠着状態が続くが、中矢は右背負投でバルボサを崩すとまたもや寝技を展開。横四方固「一本」で危なげなく勝利。

[2回戦]

中矢力△優勢[技有・小内巻込]○アーサー・マルゲリドン(カナダ)
中矢が右、マルゲリドンが左組みのケンカ四つ。開始早々、マルゲリドンが中矢を引き出しながら右小内巻込を仕掛ける。長い脚を思い切り差し込み、絞り、体を捨てとしっかり条件が揃った技に中矢思い切り転がってしまい「技有」失陥。しかし直後、マルゲリドンが再び右小内巻込を試みると中矢あっさり組み止め返して「有効」奪回。3分23秒にマルゲリドンが左内股。ケンケンで逃れた中矢そのままゴロリと巴投に打って出るが主審はマルゲリドンの「技有」を宣告。これは取り消されたが、ポイントと判断されてもおかしくない攻防であった。以後中矢は懐の深いマルゲリドンを捕まえきれず、最後は「腰絞め」で絞め上げた形のまま試合終了。完敗の中矢その場にしばし正座し、ショックを抑えきれない様子。

■ 81kg級・復帰戦の永瀬貴規が優勝、講道館杯王者の渡邉勇人は無念の2回戦敗退
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81kg級決勝、永瀬貴規がドミニク・レゼルの左内股をめくり返して「有効」獲得。

(エントリー23名)

【入賞者】
1.NAGASE, Takanori (JPN)
2.RESSEL, Dominic (GER)
3.LAPPINAGOV, Aslan (RUS)
3.IVANOV, Ivaylo (BUL)
5.SZWARNOWIECKI, Damian (POL)
5.HARUYAMA, Yuki (JPN)
7.HONG, Suk Woong (KOR)
7.LEE, Hui-Jung (KOR)

【日本代表選手成績】

永瀬貴規(旭化成) 優勝
春山友紀(自衛隊体育学校) 5位
渡邉勇人(了徳寺学園職) 2回戦敗退
佐藤正大(国士舘大4年) 2回戦敗退

今大会が復帰戦となる、リオデジャネイロ五輪銅メダリストの永瀬貴規(旭化成)が圧倒的な内容で見事優勝を果たした。永瀬は初戦となる2回戦でステファン・マイドフ(セルビア)を右内股「一本」(1:14)で一蹴。準々決勝でもホン・スクウォン(韓国)を横四方固「一本」(2:27)で破ると、勝負どころの準決勝ではしぶとい春山友紀(自衛隊体育学校)を「指導2」で破って決勝進出。迎えた決勝ではドミニク・レゼル(ドイツ)を縦四方固(4:13)で下して優勝を決めた。この日の永瀬は決して完全なコンディションではなかったが、貪欲に寝技で攻めて確実に勝利を重ねていた。リオデジャネイロ五輪では淡泊とでも評すべき戦いぶりで敗れた永瀬だが、今大会ではチャンスを逃さずあくまで取りきる柔道を徹底。永瀬の戦いぶりは五輪を経て一段たくましさを増した印象だ。

春山友紀は前述の通り準決勝で永瀬に敗れ、3位決定戦でもイヴァルロ・イワノフ(ブルガリア)に帯取返「技有」(GS0:32)で敗れて表彰台には惜しくも手が届かなかった。春山は得意の「横三角」からの寝技をテコにトーナメントを勝ち上がったが、永瀬、イヴァノフら世界トップクラスの選手の壁を超えることはできなかった。

講道館杯を圧倒的な内容で制した渡邉勇人(了徳寺学園職)は2回戦でイヴァノフに敗れて予選ラウンド敗退。左小内刈で「有効」をリードしての最終盤、左内股を透かされて「技有」を奪われる悔しい内容だった。渡邉は世界トップクラスの強敵イヴァノフを相手に地力では優位に立つも、自信の技のキレと攻撃志向を逆手に取られて敗れた形だ。

佐藤正大(国士舘大4年)は初戦となる2回戦でダミアン・シュワルノヴィツキ(ポーランド)を相手に、こちらも「指導1」をリードしての最終盤に浮技「有効」を奪われて敗退。予選ラウンドで畳を去った。

永瀬、春山のコメント、プールファイナル結果、決勝ラウンドと日本選手全試合の結果および戦評は下記。

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81kg級優勝の永瀬貴規

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81kg級入賞者。左からレゼル永瀬、ラッピナゴフ、イヴァノフ。

永瀬貴規選手のコメント
「リオデジャネイロ五輪後、一発目の試合だったので、4年後の東京五輪に向けていいスタートが切れるように何としても優勝しようと思っていました。優勝できて良かったです。リオ五輪では負けてしまいましたが、あらためて永瀬も強いと見せられたと思います。(-東京五輪について?)まだスタートしたばかりなので。4年後の東京で優勝できるように、リオ五輪の悔しさを晴らせるように、これからを頑張っていきたいです。」

春山友紀選手のコメント
「自分の弱さが出た結果だと思います。それだけです。これが自分のすべて。全部出しきってこの結果です。もっとしつこく自分の寝技が出来ていればと思います。こういうチャンスをモノにできないと繋がらない。アピールできればと思っていましたが、力が足りずにこのような結果になってしまって申し訳ないです。とりあえず1日1日を貪欲に徹底して努力していくしか方法はないと思います。死にものぐるいで頑張ります。それだけです。」

【プールファイナル結果】

[準々決勝]

永瀬貴規○横四方固(2:27)△ホン・スクウォン(韓国)
春山友紀○GS優勢[指導2](GS0:58)△アスラン・ラピンゴフ(ロシア)
ドミニク・レゼル(ドイツ)○GS優勢[技有・釣腰](GS1:50)△イヴァルロ・イヴァノフ(ロシア)
ダミアン・シュワルノヴィツキ(ポーランド)○優勢[技有・大腰]△イ・ヒジュン(韓国)

【準決勝ラウンド以降結果、戦評】

[敗者復活戦]

アスラン・ラピナゴフ(ロシア)○不戦△ホン・スクウォン(韓国)
前戦での負傷によりホンが棄権。ラピナゴフが3位決定戦に進出。

イヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)○腕挫十字固(4:27)△イ・ヒジュン(韓国)
右相四つ。序盤は腹の探り合いが続いて試合が動かず、30秒に組み合わない咎で両者に「指導」が宣告される。以降も組み手争いは継続、その中でイヴァノフが組み際に技を仕掛けて優位に試合をすすめる。2分0秒、イヴァノフの組み手を嫌ったイに「取り組まない」咎で2つ目の「指導」が宣せられる。残り1分過ぎ、イの支釣込足をイヴァノフが浮落で切り返し「技有」を追加。イヴァノフはこの機を逃さず寝技を展開して腕挫十字固「一本」。

[準決勝]

永瀬貴規○優勢[指導2]△春山友紀
右相四つ。開始直後に春山が寝技で見せ場を作るが、時間の経過とともに永瀬の組み手の圧力が利くこととなって試合は永瀬のペース。永瀬が組み手で一方的に優位な状態を作ると1分41秒春山に「指導」が与えられる。4終盤、永瀬が奥襟を得て前技を狙うと、警戒した春山は腰を引いて防御姿勢。4分4秒、極端な防御姿勢の咎で春山に致命的とも言える2つ目の「指導」が宣告される。試合終了直前に春山が最後のチャンスとばかりに片襟の左背負投を放つが、永瀬が危なげなく回避して試合終了。スコア以上に地力の差が伝わる内容であった。

ドミニク・レゼル(ドイツ)○腰車(4:00)△ダミアン・シュワルノヴィツキ(ポーランド)
左相四つ。試合開始早々レゼルが裏投でシュワルノヴィツキを抱え上げる場面を見せると、場内大いに沸く。しかし投げられかけたシュワルノヴィツキはまったく退かず、レゼルが再び密着して抱え上げようとしたところに左小内巻込を合わせ1分23秒「技有」を奪う。リードを得たシュワルノヴィツキ以後やや減速、一方のレゼルは大技の失敗にひるまず密着からの腰技で勝負を掛け続ける。3分55秒、レゼルが左腰車で巻き込むと大きく崩れたシュワルノヴィツキは堪らずブリッジ。これがブリッジ「一本」となり試合は決着。激しい打ち合いをレゼルが逆転で制した。

[3位決定戦]

アスラン・ラピナゴフ(ロシア)○送襟絞(1:32)△ダミアン・シュワルノヴィツキ(ポーランド)
左相四つ。シュワルノヴィツキは再三左脚を相手の左に差し込んでの「掛け倒す小内刈」を試みるが相手の上体を拘束し切れずなかなか決まらない。1分20秒過ぎ、ラピナゴフが奥襟を叩くと窮したシュワルノヴィツキは左外巻込に潰れ、後ろについたラピナゴフは相手の首を一瞬こじ開けて送襟絞。足を抱えて絞め上げるとシュワルノヴィツキが「参った」。

イヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)○GS優勢[技有・帯取返](GS0:30)△春山友紀
春山が右、イヴァノフが左組みのケンカ四つ。序盤はお互いに担ぎ技を仕掛け合う展開。春山は変形の右袖釣込腰を再三仕掛けてイヴァノフを大きく崩し、さらに右大内刈で畳に這わせる場面を作り出して攻勢。完全に春山のペースであったが、この直後に袖を切った咎で春山に「指導」が宣告される。それでも春山は勢いは止めず一方的に攻め続け、すぐにイヴァノフにも「指導」が宣告される。春山以降も攻撃の手を緩めず、右背負投に右袖釣込腰と攻め続けると残り40秒でついにイヴァノフに2つ目の「指導」が宣告され、春山がリードを獲得。しかし、続く展開で春山は自ら2回連続で掛け潰れてしまう失策、偽装攻撃の咎による「指導」を失ってあっという間にスコアはタイ。この辺りから春山は明らかに失速、勝負は延長戦までもつれ込んだが、最後は春山の右小外掛をイヴァノフが変形の「ハバレリ」に切り返して帯取返「技有」。春山は試合の大半で優位に立っており、非常にもったいない敗戦となった。

[決勝]

永瀬貴規(旭化成)○縦四方固(4:13)△ドミニク・レゼル(ドイツ)
永瀬が右、レゼルが左組みのケンカ四つ。永瀬は釣り手で奥襟を握って圧力、一方レゼルは長い腕を永瀬の背中深くに回して間合いを詰め、一発勝負の機会を伺う。永瀬は大枠相手に場外を背負わせ、左小外刈で追い込んでプレッシャーを掛ける良い試合構成。レゼルの釣り手に抱えられて間合いが狂うと内股で剥がしてチャンスを待つ。残り2分を切ったところで永瀬横三角から抑え込みかけるがレゼル手で脚を払いのけて逃れ「待て」。このピンチを経たことで我慢が利かなくなったか、直後、背中を深く握ったレゼルが左内股で勝負を掛ける。しかし永瀬あたかも誘ったかのように冷静に対処、股中で相手の作用足を空転させると体を相手の釣り手側に捨ててめくり返し「有効」。そのまま縦四方固に抑え込んで一本勝ち。完勝であった。

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準々決勝、永瀬がホン・スクウォンから横四方固「一本」

【日本代表選手全試合結果、戦評】

永瀬貴規(旭化成)
成績:優勝


[2回戦]

永瀬貴規○内股(1:14)△ステファン・マイドフ(セルビア)
永瀬が右、マイドフが左組みのケンカ四つ。永瀬は二本持つと振り回すような右内股で低く回し「一本」。格下を一蹴して初戦突破。

[準々決勝]

永瀬貴規○横四方固(2:27)△ホン・スクウォン(韓国)
右相四つ。永瀬がじっくり形を作ると、組まれることを嫌ったホンに2つの「指導」が与えられる。永瀬はあくまでマイペース、自分の形に拘ると相手はプレッシャーに耐え切れなくなり自ら膝を着いて畳に伏せる。永瀬はすかさず腕緘を晒しながら横四方固で抑え込み一本勝ち。展開、結果とも格の違いが明らかな一番であった。

[準決勝]

永瀬貴規○優勢[指導2]△春山友紀
右相四つ。開始直後に春山が寝技で見せ場を作るが、時間の経過とともに永瀬の組み手の圧力が利くこととなって試合は永瀬のペース。永瀬が組み手で一方的に優位な状態を作ると1分41秒春山に「指導」が与えられる。4終盤、永瀬が奥襟を得て前技を狙うと、警戒した春山は腰を引いて防御姿勢。4分4秒、極端な防御姿勢の咎で春山に致命的とも言える2つ目の「指導」が宣告される。試合終了直前に春山が最後のチャンスとばかりに片襟の左背負投を放つが、永瀬が危なげなく回避して試合終了。スコア以上に地力の差が伝わる内容であった。

[決勝]

永瀬貴規(旭化成)○縦四方固(4:13)△ドミニク・レゼル(ドイツ)
永瀬が右、レゼルが左組みのケンカ四つ。密着を志向するレゼルに対して、永瀬は釣り手の操作で巧みに間合いをコントロール。永瀬が自分の間合いを保ったままレゼルを場外際に追い込む展開が続く。試合時間が1分に差し掛かるところで、永瀬が左小外刈を仕掛けるとレゼルは大きく崩れて場外に飛び出し「待て」。続く展開、永瀬はレゼルの密着を許してしまうが、ここは冷静に右内股で展開を切る。以降、永瀬は詰将棋のように少しずつレゼルの攻め手を潰し、時間の経過に比例してレゼルは追い詰められていく。レゼルが望むはずの脇を差し合っての攻防でも、永瀬は懐の深さとバランスの良さを活かし、危なげなく相手を潰して寝技で攻め続ける。3分30秒、永瀬は腰を抱いて密着、右小外刈を軽く当ててレゼルの左内股を誘うと、体を捨ててめくり返して「有効」を獲得。そのまま縦四方固に抑え込んで「一本」。永瀬圧勝で見事復帰戦を飾った。

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3位決定戦、イヴァルロ・イヴァノフが春山友紀から帯取返「技有」

春山友紀(自衛隊体育学校)
成績:5位


[1回戦]

春山友紀○腕挫十字固(3:27)△ジャック・ハットン(アメリカ)
春山が右、ハットンが左組みのケンカ四つ。開始早々、春山は奥襟を掴んでハットンを潰すと得意の横三角で激しく攻め立てる。続く展開、春山は組み際に両手で相手の袖を持って左背負投、44秒「有効」獲得。中盤、相手を潰して「横三角」から崩上四方固に抑え込むが、これは逃してしまう。最後は右大内刈「有効」から寝技を展開し、「横三角」からの腕挫十字固「一本」で決着。久々国際舞台に姿を現した春山、圧勝でまず初戦を突破。

[2回戦]

春山友紀○[腕挫手固](3:27)△エマニュエル・ルセンティ(アルゼンチン)
両者右組の相四つ。お互いに引き手を絞り合う展開が続くが、春山が組み際の技と得意の「横三角」で優位に立ち、55秒ルセンティのみに「指導」が宣告される。2分11秒にはルセンティに2つ目の「指導」。最後は潰れた相手を得意の横三角でめくり返して三角絞の形から腕挫手固「一本」。

[準々決勝]

春山友紀○GS優勢[指導2](GS0:58)△アスラン・ラピナゴフ(ロシア)
春山が右、ラピナゴフが左組みのケンカ四つ。序盤は春山がラピナゴフの釣り手を潰して優位に試合を進める。1分57秒、ラピナゴフに「指導」。直後の展開、春山は右背負投から右小内巻込に繋いで「技有」を獲得。もはや一発勝負を掛けるしかないラピナゴフはここから密着志向を強め、圧を感じた春山が自ら伏せた2分40秒には春山に偽装攻撃の「指導」が宣告される。さらに3分30秒、ラピナゴフの左小外刈が「技有」となり試合は振り出し。勝負はこのまま延長戦へともつれ込むが、ラピナゴフはこの時点で疲労困憊。春山が右小外刈で相手を伏せさせると、GS58秒ラピナゴフのみに2つ目の「指導」が宣告されて試合決着。

[準決勝]

永瀬貴規○優勢[指導2]△春山友紀
右相四つ。開始直後に春山が寝技で見せ場を作るが、時間の経過とともに永瀬の組み手の圧力が利くこととなって試合は永瀬のペース。永瀬が組み手で一方的に優位な状態を作ると1分41秒春山に「指導」が与えられる。4分4秒には春山に2つ目の「指導」。試合終了直前に春山が最後のチャンスとばかりに片襟の左背負投を放つが、永瀬が危なげなく回避して試合終了。スコア以上に地力の差が伝わる内容であった。

[3位決定戦]

イヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)○GS優勢[技有・帯取返](GS0:30)△春山友紀
春山が右、イヴァノフが左組みのケンカ四つ。序盤はお互いに担ぎ技を仕掛け合う展開。春山は変形の右袖釣込腰を再三仕掛けてイヴァノフを大きく崩し、さらに右大内刈で畳に這わせる場面を作り出して攻勢。完全に春山のペースであったが、この直後に袖を切った咎で春山に「指導」が宣告される。それでも春山は勢いは止めず一方的に攻め続け、すぐにイヴァノフにも「指導」が宣告される。春山以降も攻撃の手を緩めず、右背負投に右袖釣込腰と攻め続けると残り40秒でついにイヴァノフに2つ目の「指導」が宣告され、春山がリードを獲得。しかし、続く展開で春山は自ら2回連続で掛け潰れてしまう失策、偽装攻撃の咎による「指導」を失ってあっという間にスコアはタイ。この辺りから春山は明らかに失速、勝負は延長戦までもつれ込んだが、最後は春山の右小外掛をイヴァノフが変形の「ハバレリ」に切り返して帯取返「技有」。春山は試合の大半で優位に立っており、非常にもったいない敗戦となった。

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2回戦、イヴァノフが渡邉勇人の左内股を透かしたとの判断で「技有」。渡邉は勝利を目前に逆転負け。

渡邉勇人(了徳寺学園職)
成績:2回戦敗退


[1回戦]

渡邉勇人○優勢[有効・袖釣込腰]△ダブラト・ボボノフ(ウズベキスタン)
渡邉が左、ボボノフが右組みのケンカ四つ。渡邉は背中を抱いて突進してくるボボノフに手を焼き、終盤まで投技によるポイントは無し。「指導2」をリードして迎えた最終盤、右袖釣込腰で「有効」を奪い勝利。

[2回戦]

渡邉勇人△優勢[技有・内股透](5:00)○イヴァルロ・イヴァノフ(ブルガリア)
渡邉が左、イヴァノフが右組みのケンカ四つ。序盤は引き手の探り合い、力関係は渡邉が上という印象。お互いに技を仕掛け合う展開が続いた後、渡邉は場外際で左内股からの左小内刈。イヴァノフは大きく崩れるが、体を捻って腹から落ちてポイントにはいたらず。しかし、この技に感触を得たか、中盤、渡邉は左内股でイヴァノフの足を大きく上げると、残った足に切れ味鋭い左小内刈を放ち「技有」を奪取。ポイントは「有効」に訂正されたが、渡邉が大きなリードを得る。リードを許したイヴァノフは、以降は背中を抱えて隅返を狙う形に組み手を変更。渡邉が前に出てくるイヴァノフを場外際の左背負投で大きく転がす場面があったが、尻餅とみなされたか不可解にもポイントはなし。このまま渡邉が勝利するかと思われたが、試合終了間際、渡邉は自ら仕掛けた左内股で相手と同体で背中から畳に落ちてしまう。主審はイヴァノフの「有効」を宣告するが、どちらポイントか合議が行われた末に、このポイントはイヴァノフの「技有」に訂正。この時点で既に試合時間は終了しており、渡邉の予選ラウンド敗退が決定。渡邉にとっては非常に痛い敗戦となった。

佐藤正大(国士舘大4年)
成績:2回戦敗退


[2回戦]

佐藤正大△優勢[有効・浮技]○ダミアン・シュワルノヴィツキ(ポーランド)
佐藤が右、シュワルノヴィツキが左組みのケンカ四つ。佐藤が前後に振り返す動作で度々シュワルノヴィツキを大きく崩し、シュワルノヴィツキは背中を抱えて隅返を狙う展開が続く。佐藤がこの動きでシュワルノヴィッキを大きく崩した1分29秒、シュワルノヴィッキのみに「指導」。このまま佐藤が勝利するかと思われたが、残り時間6秒、佐藤は場外際でシュワルノヴィッキが放った浮技で転がってしまい致命的な「有効」を失陥。残り時間はほとんど残されておらずそのまま試合が終了。「佐藤の2回戦敗退が決まった。



取材・文:林さとる/古田英毅/原輝地

※ eJudoメルマガ版12月17日掲載記事より転載・編集しています。

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