PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

グランドスラム東京2016・第1日男子2階級(60kg級、66kg級)レポート

(2016年12月10日)

※ eJudoメルマガ版12月10日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラム東京2016・第1日男子2階級(60kg級、66kg級)レポート
■ 60kg級・永山竜樹の勢い止まらず、髙藤直寿を「一本」で破ってグランドスラム初制覇
eJudo Photo
60kg級決勝、永山竜樹が髙藤直寿から内股「一本」

eJudo Photo
60kg級入賞者。左から髙藤、永山、ロバート・ムシュビドバゼ、チョ・インヒョク。

eJudo Photo
初優勝の永山竜樹

(エントリー21名)

【入賞者】
1.NAGAYAMA, Ryuju (JPN)
2.TAKATO, Naohisa (JPN)
3.MSHVIDOBADZE, Robert (RUS)
3.CHOI, In Hyuk (KOR)
5.DASHDAVAA, Amartuvshin (MGL)
5.KITADAI, Felipe (BRA)
7.TILOVOV, Mukhriddin (UZB)
7.CHEN, Yen-Lun (TPE)

【日本代表選手成績】
永山竜樹(東海大2年) 優勝
髙藤直寿(パーク24) 2位
志々目徹(了徳寺学園職) 2回戦敗退
大島優磨(国士舘大4年) 2回戦敗退

講道館杯王者の永山竜樹(東海大2年)が、大学の先輩でもあるリオデジャネイロ五輪銅メダリストの髙藤直寿(パーク24)を右内股「一本」(4:16)で破ってシニア国際大会初優勝を果たした。永山は1回戦こそ「有効」を先行される厳しい滑り出しだったが、この試合を「一本」で勝利すると、以降は講道館杯の勢いそのままに全試合を投技によるポイントで勝利して決勝に進出。決勝戦ではケンカ四つの髙藤が永山にぶら下がる形になった瞬間を、狙いすました右内股で強引に投げきり「一本」を獲得。最高の形で4年後の東京五輪へのスタートを切った。

一方、敗れた髙藤も決して動きは悪くなく、対戦が予想されていた大島優磨(国士舘大3年)と志々目徹(了徳寺学園職)が立て続けに敗れる中しっかりと決勝に進出。決勝戦こそお互いに手の内をよく知る大学の後輩相手に苦杯を喫したが、五輪後でモチベーション、パフォーマンス共に下がりがちな時期にあってもその力が健在であることを示した。

リオデジャネイロ五輪の2番手候補であった志々目は、初戦となる2回戦でロバート・ムシュビドバゼ(ロシア)に隅返「有効」を奪われてまさかの敗退。この日のムシュビドバゼはキャリアハイと評されて然るべき素晴らしい出来であったが、結果は結果。新星永山が優勝を飾る中で非常に痛い敗戦となった。

大島も志々目と同じく、初戦となる2回戦でチョ・インヒュク(韓国)に「指導1」対「指導3」で敗れて早々にトーナメントから脱落。チョはキム・ウォンジン(韓国)の影に隠れて目立っていないが、2014年と2015年に世界選手権で7位入賞を果たしている実力者。大島は序盤から試合巧者のチョに自分の柔道を封じられ、最後まで相手のペースで戦うことを強いられた末の敗退だった。

永山と髙藤のコメント、プールファイナル結果、決勝ラウンドと日本選手全試合の結果および戦評は下記。

永山竜樹選手のコメント
「この大会で直寿先輩に勝つことが出来て良かった。何が何でも勝ってやろうと思っていました。技には自信がありますし、1回戦から投げが決まっていたので調子の良さを感じていました。この大会で優勝して4年後の東京五輪へ向けてへアピールをしたかった。2本持って『一本』を取る柔道を心掛け、4年後の東京五輪ではオール『一本』で金メダルを獲得したいです。」

髙藤直寿選手のコメント
「自分はもっと弱くなっていると思っていましたが、思っていたよりも出来ました。決勝戦も勝てそうでしたが、(大学の後輩である)永山の勢いにやられてしまいました。決勝の前にも永山と話していたし、そこまでピリピリした感じはなかったです。100パーセントには程遠いコンディションでしたが、このまま続けていけば東京五輪にたどり着けるという手応えを感じました。今日は勝っても得るものはなく、負けたらマイナスの評価を受ける中での強行出場。下手なことはしないよう努めました。決勝戦ではずっと攻めていたのに、最後に馬鹿をしてしまった。4年前は立場が逆で、永山と戦って(挑戦する立場だった)当時の自分はこうだったのかと感じました。4年後に向けて、まずは世界選手権で優勝したい。4年は長いのであまり遠くを見過ぎずに、コツコツと努力していきたいです。リオデジャネイロ五輪で負けた時から東京五輪の金メダルは夢ではなく目標に変わりました。後輩に負けないように頑張りたいです。」

eJudo Photo
決勝、ぶらさがる形になった髙藤に対し、永山は両手を離さず掛け潰れを許さない

eJudo Photo
永山は作用足を差し込み、両手を効かせながら体を捨てて回旋を呉れ「一本」

eJudo Photo

【プールファイナル結果】

[準々決勝]

永山竜樹○優勢[技有・背負投]△ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)
フェリペ・キタダイ(ブラジル)○優勢[技有・大内刈]△ムフリディン・チロヴォフ(ウズベキスタン)
髙藤直寿○優勢[指導2]△チョ・インヒョク(韓国)
ロバート・ムシュビドバゼ(ロシア)○背負投(4:50)△チェン・イェンルン(台湾)

【準決勝ラウンド以降結果、戦評】

[敗者復活戦]

ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)○優勢[指導2]△ムフリディン・チロヴォフ(ウズベキスタン)
ダシュダヴァーが右、チロヴォフが左組みのケンカ四つ。地力に優るダシュダヴァーの組み手をチロヴォフが嫌がり「指導2」まで累積。ここからチロヴォフが一転して奥襟を持って攻勢に出る。以降密着し合う相撲のような展開が続くが、両者決め手を欠き「指導2」優勢で決着。ダシュダヴァーが3位決定戦へと駒を進める。

チョ・インヒュク(韓国)○優勢[有効・左大内刈]△チェン・イェンルン(台湾)
チョが左、チェンが右組みのケンカ四つ。チョが組み際に左背負投から左大内刈に切り替えして「有効」を先行する。さらに左内股巻込で「有効」を追加し、最終盤にも右一本背負投フェイントからの右小内巻込で3つ目となる「有効」を追加。完勝でチョが3位決定戦進出を決める。

[準決勝]

永山竜樹○優勢[有効・背負投]△フェリペ・キタダイ(ブラジル)
両者右組みの相四つ。序盤はキタダイが手数で永山の攻めどころを潰し、拮抗を演出。2分28秒、キタダイの鋭い右小外刈を永山右背負投に捉え返し、キタダイが身体は大きく浮き上がる。落ち際に体を捩じられたがこれは「有効」。続く展開、キタダイの小外刈に永山右内股を合わせて跳ね上げ場内大いに沸くがこれはノーポイント。3分19秒、キタダイの大外刈を永山がはじき返し2つ目の「有効」。以降キタダイ「巴十字」、また永山の投技を自ら空中回転して無力化する身体能力の高さを見せるが、具体的な反撃までには至らずタイムアップ。永山、みごと決勝進出決定。

髙藤直寿○GS優勢[有効・小外刈](GS1:58)△ロバート・ムシュビドバゼ
左相四つ。釣り手で脇を差し、片襟をつかみ、スタンスを変えと決まった形なく組み手の駆け引きを続けるムシュビドバゼを髙藤なかなか捕まえられない。引き出しの小内刈と隅返で幾度か惜しい場面は作るが決めを欠き、本戦5分は両者ポイントなしのまま終了。延長戦、ムシュビドバゼは隅返に小外刈でラッシュを掛けるが髙藤がいずれも大内刈、左背負投と切り返すとこの攻防後ムシュビドバゼは明らかに疲労。最後は髙藤が左小外刈で崩し、落ち際に首のコントロールを効かせて体を浴びせ「有効」奪取。髙藤が最後まで集中力を切らさず、この日の台風の目ムシュビドバゼを下して決勝進出を決めた。

[3位決定戦]

ロバート・ムシュビドバゼ(ロシア)○一本背負投(4:34)△ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)
両者右組みの相四つ。ダシュダヴァーは帯を持ち、伏せた相手を抜き上げて左への「やぐら投げ」。さらにパワーを生かすべく密着を志向するがムシュビドバゼはスタンスと組み手を変えながら得意の切り合いに相手を嵌めて、1分50秒ダシュダヴァーに「取り組まない」咎の指導。常に形を変え続ける相手に業を煮やしたダシュダヴァー、再び左への「やぐら投げ」を狙うが、腰を反らしたところにムシュビドバゼが右小外掛で食いつき「技有」奪取。以後も不定形物体のごとく形を変え続けるムシュビドバゼを、ダシュダヴァーどうしても捕まえることができない。それでも「指導2」まで奪い返した最終盤、ダシュダヴァー勝負を掛けんと左で帯を掴んで時計回りに相手を振り回す。しかしムシュビドバゼはその渦の圏外に抜け出し、抜け出すなり相手の懐に飛び込んで右一本背負投。これが綺麗に決まって「一本」。曲者ムシュビドバゼ、終始自分のペースで試合を運んで見事銅メダル獲得。

チョ・インヒュク(韓国)○優勢[有効・内股]△フェリペ・キタダイ(ブラジル)
チョが左、キタダイが右組みのケンカ四つ。試合序盤、チョが組み際に切れ味鋭い左内股で「有効」を奪う。以降は技の切れる選手同士による一進一退の攻防が続き、寝技でもチョが絞めを狙えばキタダイが関節を狙う積極的な攻防が展開される。しかし試合自体はチョに偽装攻撃の「指導」が1つ宣告されたのみで、技によるポイントの追加はなし。「有効」優勢でチョがグランドスラム大会初のメダルを手にした。

[決勝]

永山竜樹○内股(4:13)△髙藤直寿
永山が右、髙藤が左組みのケンカ四つ。永山がまず片手の右背負投で先制攻撃。以後は引き手争いの中、髙藤が相手を呼び込みながらの右肩車、右前隅への浮技、組み際の小内刈、またぎステップでスライドしての左背負投と巧みに攻撃を積み、1分31秒永山に「指導1」。以降も引き手を持ちながらの左大外刈、隅返と軽快に技を仕掛け続ける。永山は意外なほど静か、ここまでは完全に髙藤の試合という印象だったが最後に大逆転が待っていた。残り50秒を過ぎたところで髙藤がぶらさがるような左背負投。効き切らぬとみるや潰れて流れを切ろうとするが、永山が二本しっかり持っているため上体が拘束されて、畳に伏せることが出来ない。腕を引っ張られたまま髙藤は足を開いて片膝を着き、中途半端な体勢。永山ケンカ四つの定石通りに作用足を突っ込んで右内股を探る。1度、2度、足が深く入るや差し上げながら体を捨て、両手を効かせて回旋をくれると髙藤吹っ飛び文句なしの「一本」。髙藤の「ぶらさがる」癖、両手を持ち続けて拘束を効かせたこと、そしてこの試合永山がケンカ四つで仕掛けはずのやすい内股をこの場面まで取り置いたことを考えれば、これは「狙っていた」一撃と解読できる。永山、素晴らしい内容でグランドスラム東京を初制覇。

eJudo Photo
準々決勝、永山竜樹がダシュダヴァー・アマーツブシンから「韓国背負い」で「技有」を奪う

【日本代表選手全試合結果、戦評】

永山竜樹(東海大2年)
成績:優勝


[1回戦]

永山竜樹○袖釣込腰(3:18)△フィリップ・グラフ(ドイツ)
右相四つ。右腕をロックされてしまい43秒内股巻込「有効」失陥。以後も左右にずれては低く座り込む粘戦スタイルにやや手を焼く。2分7秒に左一本背負投で高く担ぐ上げるがフィニッシュで身を捩じられこれは「有効」に留まる。しかし落ち着きを取り戻したか以降は一貫して攻勢、小外刈で相手を転がす場面も作って徐々に実力差が出始めた印象。グラフは出来ることがどんどん少なくなり、3分18秒永山の左袖釣込腰「一本」で試合決着。難剣タイプに一刀浴びて少々バタついた滑り出しだったが、結果的には快勝で初戦を突破。

[2回戦]

永山竜樹○(2:57)△アルバート・オグゾフ(ロシア)
永山が右、オグゾフ左組みのケンカ四つ。1分33秒オグゾフに「指導1」。2分56秒、オグゾフ鋭く右小外刈を放つが永山ひと呼吸で左一本背負投に吸収、思い切り投げ上げる。高さがあり過ぎたゆえ相手に身を捩じる間あり、これは「有効」かと思われたがオグゾフが頭から着地し「ブリッジ一本」で試合決着。

[準々決勝]

永山竜樹○優勢[技有・背負投]△ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)
大一番は永山、ダシュダヴァーとも右組みの相四つ。開始10秒、永山が「韓国背負い」にダシュダヴァーを捕まえて巧みに一回転、主審は「一本」を宣告。第1シード選手を「秒殺」した永山の強さに会場大いに沸くがこれは「技有」に訂正。以降ダシュダヴァーは徹底的に組み手に拘り、引き手で自分だけが一方的に袖を持つ「100-0」状態を幾度も作り出す。しかしこの双方が片手、自分はひとつも持てていないという危機に永山過剰反応せず、相手に持たせたままアクションを最小限に冷静に試合を進める。相手のリアクションに合わせて飛び込みたいダシュダヴァーはその入り口を塞がれた形で、パワー差を攻撃に繋げることが出来ない。しかし残り1分20秒に永山に2つ目の「指導」が与えられると試合は加速。永山が右背負投に右小外刈と激しく攻めるとさらに場が煮え、引き手を一方的に持ったダシュダヴァーが目論見通りに一息で密着に成功、左への「やぐら投げ」に飛び込む。永山吹っ飛ばされてこれは「有効」。この時点で残り時間は43秒、まだまだ何が起こるかわからないところだったが、永山以降は右背負投に左への「韓国背負い」、さらに巴投と積極的に技を出してクロージング。世界選手権銀メダリストを下して準決勝進出を決めた。

[準決勝]

永山竜樹○優勢[有効・背負投]△フェリペ・キタダイ(ブラジル)
両者右組みの相四つ。序盤はキタダイが手数で永山の攻めどころを潰し、拮抗を演出。2分28秒、キタダイの鋭い右小外刈を永山右背負投に捉え返し、キタダイの身体は大きく浮き上がる。落ち際に体を捩じられたがこれは「有効」。続く展開、キタダイの小外刈に永山右内股を合わせて跳ね上げ場内大いに沸くがこれはノーポイント。3分19秒、キタダイの大外刈を永山がはじき返し2つ目の「有効」。以降キタダイ「巴十字」、また永山の投技を自ら空中回転して無力化する身体能力の高さを見せるが、具体的な反撃までには至らずタイムアップ。永山、みごと決勝進出決定。

[決勝]

永山竜樹○内股(4:13)△髙藤直寿
永山が右、髙藤が左組みのケンカ四つ。永山が下から、髙藤が上から釣り手を持っての攻防が続く。伏せた永山を髙藤が横三角で攻める展開が続き、1分30秒が経過したところで永山に「指導」が宣告される。立ち技では互角の勝負が続くが、ほとんどの展開を髙藤が寝技で攻めて終わっており、試合は髙藤優位で進む。3分が経過したところで永山に2つ目の「指導」が宣告されるも、これはすぐに取り消し。試合展開が膠着しかけた4分過ぎ、左背負投を髙藤が掛け損じたところで、畳に伏せて展開を切ろうとした髙藤が永山にぶら下がるような状況が現出。永山は強引に作用足を差し入れると、髙藤の上を乗り越えるように無理矢理回しきって右内股「一本」。永山はここまで右内股を使用しておらず、ぶら下がり癖のある髙藤(リオデジャネイロ五輪でも、ぶら下がったところに浮技を合わせられて敗れた)に対して明らかに狙っていたものと思われる。永山が先輩髙藤を右内股「一本」で破って初優勝。

eJudo Photo
2回戦、髙藤直寿がヤニスラフ・ゲルチェフから袖釣込腰「技有」

髙藤直寿(パーク24)
成績:2位


[2回戦]

髙藤直寿○優勢[技有・右袖釣込腰]△ヤニスラフ・ゲルチェフ(ブルガリア)
左相四つ。髙藤は序盤から攻勢、横三角を決め掛かるなど寝技でも積極的で復帰戦の動きは良し。試合時間3分間際、髙藤が右袖釣込腰で「有効」獲得。残り1分半で右袖釣込腰「技有」も追加、ほとんど「一本」級のこの一撃が決勝点となり髙藤の優勢勝ちが決まった。

[準々決勝]

髙藤直寿○優勢[指導2]△チョ・インヒョク(韓国)
左相四つ。髙藤が片襟の小内刈など足技で攻めて攻勢。1分半過ぎには浮固で「抑え込み」宣告を引き出すなど(6秒で「解けた」)動き良し。以降も小内刈、大外刈、背負投と散発ながらも着実に攻め続け、「指導2」の優勢で勝利。

[準決勝]

髙藤直寿○GS優勢[有効・小外刈](GS1:58)△ロバート・ムシュビドバゼ
髙藤が左、ムシュビドバゼが右組みのケンカ四つ。試合開始直後に髙藤が隅返を狙うも不発。以降は組み手争いが続くが、中盤互いに肩車を仕掛け合ったあたりから試合が動き始める。ムシュビドバゼが髙藤の背中を抱えて潰す強気を見せると、以降髙藤は少々手立てを変えて釣り手で相手の釣り手を絞る組み手を展開。残り時間1分、髙藤が場外際で隅返を仕掛けるとムシュビドバゼは大きく崩れるもノーポイント。以降はこの攻防に好感触を得た髙藤が隅返で惜しい場面を作るなど優位に試合を進め、本戦5分が終了。勝負はGS延長戦へともつれ込む。延長戦でも髙藤の優勢は継続、最後は組み際に左小外刈で崩すと相手を乗り越えるように押し込んで「有効」。髙藤が決勝進出を決めた。


[決勝]

髙藤直寿△内股(4:13)○永山竜樹
永山が右、髙藤が左組みのケンカ四つ。永山が下から、髙藤が上から釣り手を持っての攻防が続く。伏せた永山を髙藤が横三角で攻める展開が続き、1分30秒が経過したところで永山に「指導」が宣告される。立ち技では互角の勝負が続くが、ほとんどの展開を髙藤が寝技で攻めて終わっており、試合は髙藤優位で進む。3分が経過したところで永山に2つ目の「指導」が宣告されるも、これはすぐに取り消し。試合展開が膠着しかけた4分過ぎ、左背負投を髙藤が掛け損じたところで、畳に伏せて展開を切ろうとした髙藤が永山にぶら下がるような状況が現出。永山は強引に作用足を差し入れると、髙藤の上を乗り越えるように無理矢理回しきって右内股「一本」。永山はここまで右内股を使用しておらず、ぶら下がり癖のある髙藤(リオデジャネイロ五輪でも、ぶら下がったところに浮技を合わせられて敗れた)に対して明らかに狙っていたものと思われる。永山が先輩髙藤を右内股「一本」で破って初優勝。

eJudo Photo
2回戦、志々目徹がロバート・ムシュビドバゼの隅返を食って「有効」失陥

志々目徹(了徳寺学園職)
成績:2回戦敗退


[2回戦]

志々目徹△優勢[有効・隅返]○ロバート・ムシュビドバゼ(ロシア)
志々目が左、ムシュビドバゼ右組みのケンカ四つ。36秒、ムシュビドバゼの隅返に志々目引っかかり「有効」失陥。以降志々目は内股、腰車と良い技を出すもののいずれも散発、取り切れず。相手の長い手足に手を焼き、背中を抱く組み手に対応できない。残り30秒からギアを一段上げ、残り2秒で「指導3」まで奪うが届かず。

大島優磨(国士舘大4年)
成績:2回戦敗退


[2回戦]

大島優磨△優勢[指導3]○チョ・インヒョク(韓国)
左相四つ。チョはスタンスを変え、切り、ともかく相手にやりにくい状況を強いる「自分の形がない」典型的な難剣タイプ。試合開始37秒、両者に組み合わない咎で「指導」が宣告される。1分15秒、大島が肩車に掛け潰れたところで偽装攻撃による2つ目の「指導」、1分46秒にはチョの組み手を嫌った大島に組み合わない咎で3つ目の「指導」が累積、相手のペースに嵌められた大島はこの時点で「指導3」対「指導1」と大幅リードを許してしまう。大島は小内巻込に支釣込足と立て続けに放つが後ろ重心で常に組み方を変え続ける相手の前に自分の距離と形が全く作れない。チョは疲労困憊だが、掛け潰れ、勝手に帯を解き、開始線に戻ることを遅らせてとあらゆる手段で試合を泥沼化。結局スコア変わらぬままタイムアップ。

■ 66kg級・阿部一二三が決勝で橋口祐葵にリベンジ、素晴らしい内容で優勝飾る
eJudo Photo
66kg級決勝、阿部一二三が橋口祐葵から背負投「一本」

eJudo Photo
66kg級入賞者。左から橋口、阿部、ドフトン・アルタンスフ、ミハエル・プルヤエフ。

eJudo Photo
優勝の阿部一二三

(エントリー25名)

【入賞者】
1.ABE, Hifumi (JPN)
2.HASHIGUCHI, Yuuki (JPN)
3.DOVDON, Altansukh (MGL)
3.PULIAEV, Mikhail (RUS)
5.ISODA, Norihito (JPN)
5.TAKAJO, Tomofumi (JPN)
7.AN, Baul (KOR)
7.GOMBOC, Adrian (SLO)

【日本代表選手成績】

阿部一二三(日体大1年) 優勝
橋口祐葵(明治大4年) 2位
髙上智史(旭化成) 5位
磯田範仁(国士舘大3年) 5位


阿部一二三(日体大1年)が決勝戦で、講道館杯で敗れた橋口祐葵(明治大4年)を右背負投「一本」(1:45)で破ってリベンジ達成。あらためてポテンシャルの高さと強さを周囲に示してみせた。この日の阿部は初戦から難敵、強豪と連戦する厳しい組み合わせだったが、それをものともせず全試合で投技によるポイントを得て決勝進出。決勝では橋口に対して右袖釣込腰「有効」、右背負投「一本」と立て続けに奪う完勝で一昨年大会以来のグランドスラム東京制覇を決めた。阿部は大会の注目度に比例してその実力を発揮する印象。講道館杯でまさかの敗戦(7位)を喫した直後の大会であったが、五輪後初めて国内で行われる国際大会という、メディアや関係者の注目を集める中の快勝であらためてその大物ぶりを見せつけた形となった。

橋口に雪辱を果たしたことも大きいが、試合後に阿部本人が語った通り、準々決勝で階級屈指の強豪であるミハイル・プルヤエフ(ロシア)に勝利したことも大きな成果。冬季の欧州シリーズにおける阿部の活躍を強く予感させる優勝劇であった。

準優勝の橋口は1回戦、2回戦と得意の右袖釣込腰によるポイントで勝ち進んだが、準決勝のアン・バウル(韓国)戦の際に、アンが仕掛けた相手の肘を極めながら体重を掛ける左袖釣込腰を二度食らってしまい肘を負傷(2度目の袖釣込腰が危険行為と認定されてアンのダイレクト反則負け)。準決勝は前戦で負傷した髙上智史(旭化成)が棄権したことで戦うことなく決勝進出を果たしたが、得意の右袖釣込腰の生命線である右腕を負傷する大きなハンデを負って戦うことになってしまい、この試合ではまったく技が出ず。悔いが残る結果となった。

髙上は初戦となる2回戦を秒殺圧勝の素晴らしい内容で勝ち上がったが、続く準々決勝のドフトン・アルタンスフ(モンゴル)戦で相手を右体落で投げた際に右足を負傷。この試合は相手の追撃を凌ぎきって勝利したが、次戦以降を戦うことが出来ずに棄権。トーナメント途中で畳を去る無念の結果となった。

講道館杯王者の磯田範仁(国士舘大3年)は、2回戦でリオデジャネイロ五輪金メダリストのファビオ・バジーレ(イタリア)を試合終了間際の横四方固「一本」(5:00)で破る活躍を見せたが、準決勝で阿部に右背負投「技有」で敗れると、3位決定戦でもドフトン・アルタンスフに隅返「有効」で敗れて表彰台に手が届かなかった。

阿部と橋口のコメント、プールファイナル結果、決勝ラウンドと日本選手全試合の結果および寸評は下記。


阿部一二三選手のコメント
「今日は相手に圧を掛けて前に出て、『一本』を狙うことを意識していました。橋口選手への対策も特にしておらず、『一本』を取る自分の柔道をするという気持ちで試合に臨みました。橋口選手との試合では最初の袖釣込腰をきっかけに圧が掛かるようになりました。また、組み際についても強く意識していました。プルヤエフ選手など世界的な強豪に勝てたことも大きなプラス要素と捉えています。リオデジャネイロ五輪はとても悔しい気持ちで見ていたので、4年後にそれをぶつけたい。今後は逆技や寝技を強化していきたいです。」

橋口祐葵選手のコメント
「一回戦から強豪との対戦でしたが、良い柔道が出来ていたと思います。決勝戦では自分の柔道がさせてもらえず、情けない試合をしてしまいました。(阿部選手にリベンジを許してしまったことについて)講道館杯では自分から攻めて行けましたが、今回は後手に回ってしまったことが敗因だと思います。先に組み負けてしまい、自分が何も出来ない状況を作られてしまいました。(準優勝という結果について)優勝が一番で、優勝以外は見ていません。今後は出場した試合ではすべて優勝して、世界選手権代表も目指したいです。(東京五輪について)阿部選手にも勝って、自分が選ばれるよう頑張りたいです。」

磯田範仁選手のコメント
「この大会は海外選手と戦う大会。得意の足技を中心に攻めようと思っていましたが、海外選手のパワーに潰されてそれが出来ませんでした。そのことが結果にも表れたと思います。相手の組み手はわかっていましたが、圧に潰されて自分の持ち味である足技から繋ぐ柔道が出来ませんでした。今大会には自分の知っている選手がたくさん出場していました。その選手たちと対戦して、自分の通じる部分と駄目な部分がわかったことが収穫です。先月の講道館杯では優勝して、その勢いでこの大会も優勝しようと思っていましたが、結果として表彰台には上がれませんでした。悔しい思いを忘れずに、4年後の東京五輪の舞台に立ちたいです。(東京五輪での目標について)今回負けて大きいことを言える立場ではないですが、金メダルを目指してやっている。少しでも金メダルに近づくように頑張りたいです。」

eJudo Photo
決勝、阿部一二三が橋口祐葵から袖釣込腰「有効」

【プールファイナル結果】

[準々決勝]

橋口祐葵○反則(2:27)△アン・バウル(韓国)
髙上智史○優勢[技有・体落]△ドフトン・アルタンスフ(モンゴル)
磯田範仁○袈裟固(2:48)△アドリアン・ゴンボツ(スロベニア)
阿部一二三○優勢[技有・大内刈]△ミハイル・プルヤエフ(ロシア)

【準決勝ラウンド以降結果、戦評】

[敗者復活戦]

ドフトン・アルタンスフ(モンゴル)○不戦△アン・バウル(韓国)
前戦でダイレクト反則負けのアンには出場資格なし。ドフトンの3位決定戦進出が決定。

ミハイル・プルヤエフ(ロシア)○体落(1:01)△アドリアン・ゴンボツ(スロベニア)
ゴンボツが左、プルヤエフが右組みのケンカ四つ。ゴンボツが一歩踏み出したところにプルヤエフが切れ味鋭く右体落を合わせて「一本」。持ち味の技のキレを遺憾なく発揮しての勝利。

[準決勝]

橋口祐葵○不戦△髙上智史
前戦で足を負傷した髙上が畳に姿を現さず。橋口が決勝進出。

阿部一二三○優勢[技有・背負投]△磯田範仁
阿部が右、磯田左組みのケンカ四つ。磯田は得意の小外刈と絶妙な釣り手操作で阿部に攻める間合いを与えず。阿部は大内刈で牽制を入れながら身を切り、相手の重心を抜き上げようとするが磯田は揺るがず、1分23秒、阿部に片手の咎で「指導1」。磯田ペースの緻密な試合に業を煮やした阿部、脇を差して試合を動かしに掛かるが磯田釣り手でしっかり襟を握って応じず。2分6秒、僅かに釣り手の隙間を得た阿部は肘抜きの右背負投に入り込むことに成功。打点高く磯田を抜き上げてこれは「技有」、一度は「一本」が宣告される強烈な一撃だった。磯田は右大外刈を交えながら得意の左小外刈を仕掛けるタイミングを狙うが、阿部はもはや駆け引きに応じず、残り13秒阿部に「極端な防御姿勢」の「指導」が宣告されたのみで試合終了。阿部の決勝進出が決まった。

[3位決定戦]

ドフトン・アルタンスフ(モンゴル)○優勢[有効・隅返]△磯田範仁
ドフトンが右、磯田は左組みのケンカ四つ。磯田、得意の小外刈と組み手の巧さでしばしば相手を追い詰め圧殺、パワーあるドフトン相手に優位に試合を進める。寝技でも攻勢、1分40秒には小外刈から足車の見事なコンビネーションで相手を大きく崩し、2分29秒には二段の小外刈で相手を弾き飛ばしあわや「一本」級の投げも見せる。しかし長い寝技の攻防を取り切れなかった直後の3分52秒に状況暗転、小外刈で前に出たところに隅返を食ってもろとも一回転「有効」失陥。このポイントを取り返せぬまま試合終了。終始優位、一度は「抑え込み」の宣告ももぎ取った試合であったが悔しい結果となった。

ミハイル・プルヤエフ(ロシア)○不戦△髙上智史
準々決勝での負傷により髙上が棄権。プルヤエフが戦わずして3位を獲得した。

[決勝]

橋口祐葵○背負投(1:45)△阿部一二三
両者右組みの相四つ。共に袖釣込腰を得意とする選手同士の試合。試合時間1分が経過したところで、阿部が豪快な右袖釣込腰で「有効」を先行する。さらに阿部は観客のざわめきがまだ収まらぬうちに組み際の片襟右背負投で橋口を畳に叩きつけ文句なしの「一本」。阿部は講道館杯のリベンジを達成するとともにそのポテンシャルの高さと強さ、そして何より大舞台での強さをあらためて示した。

eJudo Photo
準決勝、阿部一二三が磯田範仁から背負投「技有」

【日本代表選手全試合結果、戦評】

阿部一二三(日体大1年)
成績:優勝


[2回戦]

阿部一二三○袖釣込腰(4:27)△キム・リマン(韓国)
右相四つ。阿部両袖の右袖釣込腰で崩して横三角を試みるが取り切れず「待て」。以降阿部一発を探りながら大枠優位に試合を進め、2分31秒には打点の高い右一本背負投「技有」獲得。残り33秒、阿部が勝負を決めんと右袖釣込腰。左手が離れて右手のみで相手を制御する形になるが、その片手で畳に押さえつける見事なコントロール「一本」。阿部の長所である「相手に背中をつかせる技術」の高さがしっかり発揮された一発だった。

[準々決勝]

阿部一二三○優勢[技有・大内刈]△ミハイル・プルヤエフ(ロシア)
プルヤエフが左、阿部が右組みのケンカ四つ。2分11秒、プルヤエフに消極的との判断で「指導」。阿部機を見ては的確に攻め、中盤には大胆な右大外刈に乗り込んで相手を大きく崩し、会場を沸かせる。3分40秒、プルヤエフ左小外掛に打って出るが、決めようと体を捨てたところを阿部が右大内刈の形で被り返して「技有」。阿部は最後までペースを変えず、階級きっての強豪プルヤエフを撃破。みごと準決勝進出を決める。

[準決勝]

阿部一二三○優勢[技有・背負投]△磯田範仁
阿部が右、磯田左組みのケンカ四つ。磯田は得意の小外刈と絶妙な釣り手操作で阿部に攻める間合いを与えず。阿部は大内刈で牽制を入れながら身を切り、相手の重心を抜き上げようとするが磯田は揺るがず、1分23秒、阿部に片手の咎で「指導1」。磯田ペースの緻密な試合に業を煮やした阿部、脇を差して試合を動かしに掛かるが磯田釣り手でしっかり襟を握って応じず。2分6秒、僅かに釣り手の隙間を得た阿部は肘抜きの右背負投に入り込むことに成功。打点高く磯田を抜き上げてこれは「技有」、一度は「一本」が宣告される強烈な一撃だった。磯田は右大外刈を交えながら得意の左小外刈を仕掛けるタイミングを狙うが、阿部はもはや駆け引きに応じず、残り13秒阿部に「極端な防御姿勢」の「指導」が宣告されたのみで試合終了。阿部の決勝進出が決まった。

[決勝]

阿部一二三○背負投(1:45)△橋口祐葵
両者右組みの相四つ。共に袖釣込腰を得意とする選手同士の試合。試合時間1分が経過したところで、阿部が豪快な右袖釣込腰で「有効」を先行する。さらに阿部は観客のざわめきがまだ収まらぬうちに組み際の片襟右背負投で橋口を畳に叩きつけ文句なしの「一本」。阿部は講道館杯のリベンジを達成するとともにそのポテンシャルの高さと強さ、そして何より大舞台での強さをあらためて示した。

橋口祐葵(明治大4年)
成績:2位


[1回戦]

橋口祐葵○優勢[技有・袖釣込腰]△カマル・カンマゴメドフ(ロシア)
右相四つ。1分46秒、組み手を嫌ったカンマゴメドフに「指導」が宣告される。直後の展開で、前に出てきたカンマゴメドフに橋口が右袖釣込腰。足を絡んで耐えようとするカンマゴメドフを強引に投げきって「技有」。以降はカンマゴメドフの追撃を「指導1」のみに止めて橋口が勝利。強豪相手の初戦を「技有」優勢で突破。

[2回戦]

橋口祐葵○合技[袖釣込腰・袖釣込腰](2:37)△マニュエル・シャイベル(ドイツ)
橋口が右、シャイベルが左組みのケンカ四つ。前襟で距離を取りたい橋口と背中を持って密着したいシャイベルという構図。1分30秒、シャイベルが左内股を仕掛けたところで橋口のみに「指導」が宣告される。リードを許した橋口はギアを一段上げ、直後に右袖釣込腰「有効」で逆転に成功。さらに右袖釣込腰で「技有」を追加し、最後も右袖釣込腰「技有」で合技「一本」。得意の右袖釣込腰で相手を三度投げつけ完勝。

[準々決勝]
橋口祐葵○反則(2:27)△アン・バウル(韓国)
橋口が右組み、アンが左組みのケンカ四つ。アンが得意の左「韓国背負い」、橋口が右袖釣込腰をそれぞれ放った後、両者釣り手で袖を持って袖釣込腰を狙う変則の組み手で試合が進行。しかし動かぬ試合に業を煮やしたか、アンは橋口の肘関節を極めるような形で左袖釣込腰、危険な技ではないかと場内やや騒然。しかし橋口が肘を押さえて開始線に戻った直後、アンは再度左袖釣込腰を仕掛ける。今度は引き手が完全に切れたところから両手で橋口の腕を持ち直し、逆関節の一本背負投のような形で橋口を頭から畳に叩きつけるプロレスまがいの露骨な技。橋口はしばし立ち上がることが出来ず。肘関節を極めて投げたアンは当然ながらダイレクトの反則負け。アンは反則宣告にも意外そうな表情はなく、淡々と畳を降りた。橋口は準決勝進出を決めたが、得意の右袖釣込腰の生命線である右腕を負傷、以後に暗雲ただよう結果となった。

[準決勝]

橋口祐葵○不戦△髙上智史
前戦で足を負傷した髙上が畳に姿を現さず。橋口が決勝進出。

[決勝]

橋口祐葵△背負投(1:45)○阿部一二三
両者右組みの相四つ。共に袖釣込腰を得意とする選手同士の試合。試合時間1分が経過したところで、阿部が豪快な右袖釣込腰で「有効」を先行する。さらに阿部は観客のざわめきがまだ収まらぬうちに組み際の片襟右背負投で橋口を畳に叩きつけ文句なしの「一本」。阿部は講道館杯のリベンジを達成するとともにそのポテンシャルの高さと強さ、そして何より大舞台での強さをあらためて示した。

eJudo Photo
磯田範仁がファビオ・バジーレの出足払を切り返す

磯田範仁(国士舘大3年)
成績:5位


[1回戦]

磯田範仁○横四方固(1:08)△シュウゲン・ナカノ(フィリピン)
右組相四つ。磯田は余計な組み手争いをすること無く奥襟を得ると、これを嫌ったナカノが畳に伏せる。磯田はすかさず寝技を展開して横四方固「一本」。盤石の滑り出し。

[2回戦]

磯田範仁○横四方固(3:32)△ファビオ・バジーレ(イタリア)
バジーレが右、磯田が左組みのケンカ四つ。バジーレ、横移動しながらの「横巴」などセンスある技を繰り出すが磯田動じず。一方磯田もノーステップの小外刈を当てて激しく前に出るなど持ち味を発揮、バジーレは2分20秒今度は小内刈で相手の足を蹴っての巴投を見せるが、磯田はペースを変えず小外刈に支釣込足で度々相手を崩して主導権を握る。磯田は3分すぎから加速、小外刈に大外刈とタイミングの良い技を入れてバジーレを守勢に追い込み、3分31秒バジーレに「指導1」。直後バジーレ得意の出足払を放つが、磯田はこれを燕返で切り返して相手を大きく浮かせ、場内大いに沸く。これが「足技対決」構図で盛り上がったこの試合のハイライト、終盤磯田が得意の寝技に持ち込み、絡まれた足を引き抜いて横四方固。動けぬバジーレ観念して早々に「参った」。磯田、五輪王者バジーレに完勝。

[準々決勝]

磯田範仁○袈裟固(2:48)△アドリアン・ゴンボツ(スロベニア)
磯田が左、ゴンボツが右のケンカ四つ。ゴンボツは背中を持って度々隅返を仕掛け、再三仕掛けたこの技で「有効」を奪う。ポイントをリードされた磯田は、直後の展開で谷落気味に左小外刈を仕掛けてすぐに「有効」を取り返し、そのまま横四方固「一本」。逆転勝ちで準決勝進出を果たす。

磯田範仁△優勢[技有・背負投]○阿部一二三
阿部が右、磯田左組みのケンカ四つ。磯田は得意の小外刈と絶妙な釣り手操作で阿部に攻める間合いを与えず。阿部は大内刈で牽制を入れながら身を切り、相手の重心を抜き上げようとするが磯田は揺るがず、1分23秒、阿部に片手の咎で「指導1」。磯田ペースの緻密な試合に業を煮やした阿部、脇を差して試合を動かしに掛かるが磯田釣り手でしっかり襟を握って応じず。2分6秒、僅かに釣り手の隙間を得た阿部は肘抜きの右背負投に入り込むことに成功。打点高く磯田を抜き上げてこれは「技有」、一度は「一本」が宣告される強烈な一撃だった。磯田は右大外刈を交えながら得意の左小外刈を仕掛けるタイミングを狙うが、阿部はもはや駆け引きに応じず、残り13秒阿部に「極端な防御姿勢」の「指導」が宣告されたのみで試合終了。阿部の決勝進出が決まった。

[3位決定戦]
磯田範仁△優勢[有効・隅返]○ドフトン・アルタンスフ(モンゴル)
ドフトンが右、磯田は左組みのケンカ四つ。磯田、得意の小外刈と組み手のうまさでしばしば相手を追い詰め圧殺、パワーあるドフトン相手に優位に試合を進める。寝技でも攻勢、1分40秒には小外刈から足車の見事なコンビネーションで相手を大きく崩し、2分29秒には二段の小外刈で相手を弾き飛ばしあわや「一本」級の投げも見せる。しかし長い寝技の攻防を取り切れなかった直後の3分52秒状況暗転、小外刈で前に出たところに隅返を食ってもろとも一回転「有効」失陥。このポイントを取り返せぬまま試合終了。終始優位、一度は「抑え込み」の宣告ももぎ取った試合であったが悔しい結果となった。

髙上智史(旭化成)
成績:5位


[2回戦]
髙上智史○袈裟固(0:51)△ネイサン・カッツ(オーストラリア)
右相四つ。開始早々、髙上が強引な右袖釣込腰を仕掛け、カッツは一回転して腹から畳に落ちる。髙上は相手が伏せたところを逃さず寝技を展開、袈裟固で抑え込み「一本」。格下に圧勝する順調な滑り出し。

[準々決勝]

髙上智史○優勢[技有・体落]△ドフトン・アルタンスフ(モンゴル)
両者右組みの相四つ。髙上は「指導」を奪った後、組み際の右体落で相手を足元に叩き落として「一本」。しかし、これは合議の末に「技有」に訂正される。髙上はこの技で右股関節を負傷したのか度々痛がるような動作を見せる。以降明らかに失速するも、ポイントを守り抜き「技有」優勢で勝利。

[準決勝]

髙上智史△不戦○橋口祐葵
前戦で足を負傷した髙上が畳に姿を現さず。橋口が決勝進出。

[3位決定戦]
髙上智史△不戦○ミハイル・プルヤエフ(ロシア)
準々決勝での負傷により髙上が棄権。プルヤエフが戦わずして3位を獲得した。


取材・文:林さとる/古田英毅

※ eJudoメルマガ版12月10日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.