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グランドスラム東京2016・最終日5階級(90kg級、100級、100kg超級、78kg級、78kg超級)プレビュー

(2016年12月3日)

※ eJudoメルマガ版12月3日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラム東京2016・最終日5階級(90kg級、100級、100kg超級、78kg級、78kg超級)プレビュー
■ 90kg級・「空白期」に台頭した新興勢力を日本勢が迎え撃つ、試される長澤憲大の適性
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講道館杯を制した長澤憲大

(エントリー25名)

一線級の強豪の参戦は少ないながら、リオデジャネイロ五輪前後にツアーで結果を出した海外選手が多くエントリーしたトーナメント。この「空白期」に台頭したグループの中から特に注目すべき選手は第1シードのアレキサンダー・クコル(セルビア)と第5シードのアクセル・クルジェ(フランス)の2人。先日行われたグランドスラム・アブダビでもこの2人が決勝戦を争っており、本格派の多い日本勢に通用するのか、今後階級の主役になっていく力があるのかに注目したい。

他に海外選手で注目すべきはリオデジャネイロ五輪フランス代表で、今大会が復帰戦となるアレクサンドル・イディー(フランス)と、今年のワールドマスターズで新兵器の変形「ハバレリ」(国際柔道連盟の公式技名は帯取返、今大会2日目の3位決定戦でイヴァルロ・イヴァノフが決めた技といえばイメージしやすいかと思われる)で一躍ブレイクしたクーシェン・カルモルゼフ(ロシア)の2人。イディーは準決勝で西山大希(新日鐵住金)との対戦が濃厚。カルモルゼフはリオデジャネイロ五輪81kg級を制したカサン・カルモルゼフ(ロシア)とは双子の兄弟。伝家の宝刀「ハバレリ」が炸裂するのか注目したい。

日本勢は講道館杯で素晴らしい出来を見せた長澤憲大(パーク24)と釘丸太一(センコー)の2人、特にめきめき攻撃力を上げている長澤が国際大会でどれだけの戦闘力を見せることが出来るががみどころ。ムラ気ながら乗れば強い向翔一郎(日本大3年)の「大舞台適性」のテストの場としても面白し、実績ではトーナメントナンバーワンの本格派・西山大希(新日鐵住金)が国内の世代交代の波にどう抗うかも注視しておきたい。海外勢は西山の投げの強さを良く知っており、近年のツアーではほとんどまともに持たせてくれない。西山がその網を突破する手立てをどのような角度から用意しているかが、この選手の今後のキャリアを占う最重要ポイント。

日本勢は4人のブロックが綺麗に分けられ、かつ全員が準々決勝までは強豪との対戦はなし。それぞれ準々決勝で前述の海外勢と対戦することになる。全員のベスト4入りを期待したい。

【プールA】
第1シード:アレクサンダー・クコル(セルビア)
第8シード:ピオトル・クチェラ(ポーランド)
日本選手:釘丸太一(センコー)

【プールB】
第4シード:西山大希(新日鐵住金)
第5シード:アレクサンドル・イディー(フランス)

【プールC】
第2シード:アクセル・クルジェ(フランス)
第7シード:セバスティアン・テメシ(オーストラリア)
日本選手:向翔一郎(日本大3年)

【プールD】
第3シード:クーシェン・カルモルゼフ
第6シード:コルトン・ブラウン(アメリカ)
日本選手:長澤憲大(パーク24)

■ 100kg級・飯田健太郎がシニアカテゴリの国際大会デビュー、準決勝でウルフアロンとの再戦なるか
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優勝候補筆頭はウルフアロン

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ツアーデビュー戦の飯田健太郎は厳しい山に配された

(エントリー24名)

一線級の強豪の参戦は、リオデジャネイロ五輪銅メダリストのシリル・マレ(フランス)のみだが、非常に見どころの多い楽しい階級だ。そんな100kg級にあって、もっとも注目すべきは日本のホープである若手2人の競演だろう。講道館杯で決勝を争ったウルフアロン(東海大3年)と飯田健太郎(国士舘高3年)が同時出場を為すのだ。

特に今大会がシニアカテゴリでの国際大会初参戦となる飯田健太郎(国士舘高3年)の戦いぶりは全階級通じた最注目ポイントのひとつ。まだ高校3年生ということもあり線の細さは否めないが、得意の内股には一発で力関係をひっくり返す威力があり、一言で言って戦いに華がある。勝ち負けを超えて試合を見る自体が面白い、稀有な選手だ。「やぐら投げ」に出足払、そして寝技と実は保有武器も豊かで、若手選手にありがちな方法論的閉塞を感じさせることが少ない。

飯田の配置は2回戦でアドラン・ビスルタノフ(ロシア)、準々決勝でキリル・デニソフ(ロシア)と強豪と連戦しなければいけない厳しい組み合わせ。ビスルタノフは地力の高い選手ではないが、試合運びが巧みな戦術派で国際大会で活躍するには負けられない相手。威嚇し、挑発し、負傷を偽装し、帯を解いて時間を稼ぎと全てを注ぎ込んで勝ちを拾いにくる厄介な相手だ。準決勝で対戦するデニソフは90kg級の世界選手権の銀メダリスト。こちらもベテランらしく試合運びが巧く、一発もある選手だ。階級変更初戦のグランプリ青島ではあっさり優勝を飾っており今回も相当に「やる」のはず。いずれも強豪だが、飯田の実力であれば十分勝つことが出来るはず。国際大会における飯田の現在地と、今後を占う試金石としてこれ以上ない相手といえるだろう。飯田の豪快な「一本」に期待したい。

その他日本選手の対戦相手を簡単におさらいすると、下和田翔平(京葉ガス)は準々決勝でシリス・マレ(フランス)との対戦が濃厚。マレは立って良し寝て良しの欧州型オールラウンダーで比較的癖の少ない選手。下和田にとって戦いにくい相手ではないが、下和田もマレも取れる試合を詰めの甘さで取りこぼすことが多い選手。試合終盤まで気が抜けない展開になるはずだ。

後藤隆太郎(慶応大4年)は準々決勝で対戦するイワン・レマレンコ(UAE)が少々厄介。平常運行のレマレンコであれば後藤の勝利は固いと予想するが、レマレンコは爆発力が売りの選手であり、嵌った時の背負投一発の威力は階級屈指。負傷でしばらく大人しくしていたが、コンディション次第では厳しい戦いになる可能性もある。

ウルフアロンのブロックはヨアキム・ドファービ(スウェーデン)以外に強豪はおらず、ドファービもウルフにとって問題となるような選手ではないはず。豪快な勝ちっぷりと、準決勝で実現するであろう飯田との再戦に大いに注目したい。講道館杯を見る限りウルフの実力が明らかに一段上だが、同大会でのウルフはそれでも飯田の一発を警戒し非常に組み手厳しく戦い、飯田に持たせた場面ではあっさり頭を下げて状況を流す策に出ていた。「技有」の大幅リードを得ながらリスクを考えて徹底的に叩くところまでやり切らず、相手に「持てばいけるかもしれない」という力関係の空白域を与えた格好のあの試合がどのような影響を及ぼすか、ここを前提に試合を見守りたい。

【プールA】
第1シード:シリル・マレ(フランス)
第8シード:ウォン・ジョンホーン(韓国)
有力選手:下和田翔平(京葉ガス)

【プールB】
第4シード:グリゴリ・ミナシキン(エストニア)
第5シード:イワン・レマレンコ(UAE)
日本選手:後藤隆太郎(慶應義塾大4年)
注目選手:オドバータル・ハンガル(モンゴル)

【プールC】
第2シード:アドラン・ビスルタノフ(ロシア)
第7シード:キリル・デニソフ(ロシア)
日本選手:飯田健太郎(国士舘高3年)

【プールD】
第3シード:ウルフアロン(東海大3年)
第6シード:ヨアキム・ドファービ(スウェーデン)

■ 00kg超級・優勝候補は七戸龍と王子谷剛志、まさかの復帰となるミハイリンの出来にも注目
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昨年まで世界選手権で2大会連続銀メダルの七戸龍

(エントリー13名)

海外の強豪がほとんど参加しておらず、日本勢同士の対戦以外にほとんど見どころがないトーナメント。日本勢以外で唯一の注目ポイントは2014年に引退したはずのアレクサンドル・ミハイリン(ロシア)が復帰したこと。ミハイリンは現在37歳、棟田康幸(警視庁)のライバルとして記憶している方も多いと思われる。2014年に引退を発表して後進の指導に専念していたはずだが、どういった経緯なのか今回まさかの復帰を果たした。初戦の相手は影浦心(東海大3年)。若手ながら試合力抜群で相手の長所を消すことにも長けた影浦に対して、ミハイリンがどう戦うのか、往年の力はいまだ健在なのかに注目したい。

講道館杯で大学1年生ながら2位と大躍進した太田彪雅(東海大1年)は準々決勝でスヴェン・ハインル(ドイツ)と対戦することになる。なかなかの実力者であり太田の国際大会での適性を図るうえで注目したい一戦だ。

順当に行けば決勝戦は第1シードの七戸龍(九州電力)と第2シードの王子谷剛志(旭化成)の対戦となるはず。七戸は改めて存在感を示すため、王子谷は同期である原沢の背中をしっかり追うために是非とも優勝が欲しいはず。熱戦に期待したい。

【プールA】
第1シード:七戸龍(九州電力)
第8シード:チェン・シェン ミン(台湾)

【プールB】
第4シード:影浦心(東海大3年)
第5シード:リー・ポエン(台湾)
有力選手:アレクサンドル・ミハイリン(ロシア)

【プールC】
第2シード:王子谷剛志(旭化成)
第7シード:キム・キョンタエ(韓国)

【プールD】
第3シード:スヴェン・ハインル(ドイツ)
第6シード:ジョアオ・シウバ セザリオ(ブラジル)
日本選手:太田彪雅(東海大1年)

■ 78kg級・海外強豪選手の参戦はなし、次代の旗手を狙う日本勢同士の対戦に注目
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国内大会で圧勝を続ける佐藤瑠香

(エントリー13名)

梅木真美(環太平洋大4年)を五輪で破った因縁の相手アビゲイル・ヨー(ハンガリー)が直線でエントリー取り消し。結果海外の強豪の参戦は一切なく、ほとんど国内大会と言っても良いような顔ぶれとなった。日本勢なくばその顔ぶれのレベルは率直に言ってコンチネンタルオープンぎりぎりである。

この階級はリオデジャネイロ五輪で梅木真美が結果を残せず、五輪代表に一番手のアドバンテージはなし。国内一番手が誰なのかまだ決まっていないと言っていい状況だ。今大会の結果がダイレクトに冬季欧州シリーズ、世界選手権に反映されるわけで、全員非常に気合が入っているはず。特に今年選抜体重別、講道館杯と主要2大会を圧勝している佐藤瑠香に掛かる関係者の期待は大きい。キャリア何度目かとなる、「今度こそ」の脱皮のチャンス。健闘に期待したい。

一応海外勢にも言及しておくと、国際的な強豪の参加はないながらも若手の有望株が複数参加しており、みどころはこの選手たちの能力見積もりということになる。第4シードのクロラ・アポテイカー(スロベニア)は昨年の世界ジュニア2位で、今年のグランドスラム・チュメンで2位になっている若手注目株の一。第7シードのアンナマリア・ワグナー(ドイツ)は昨年の世界ジュニア3位で先日行われたグランドスラム・アブダビで決勝に進出し、強豪フッシェ・ステインハウス(オランダ)と熱戦を繰り広げたばかり。第6シードのサマハワ・カマラ(フランス)は昨年のユニバーシアード1位のガツガツ系パワーファイター。技はないが圧力は強く組み手がうまい、フランス若手女子の典型的なタイプ。佐藤相手にカマラがどれだけ戦えるかはなかなか楽しみである。

【プールA】
第1シード:髙山莉加(三井住友海上)
第8シード:緒方亜香里(了徳寺学園職)

【プールB】
第4シード:クロラ・アポテイカー(スロベニア)
第5シード:パク・ユジン(韓国)

【プールC】
第2シード:梅木真美(環太平洋大4年)
第7シード:アンナ マリア・ワグナー(ドイツ)

【プールD】
第3シード:佐藤瑠香(コマツ)
第6シード:サマハワ・カマラ(フランス)

■ 78kg超級・優勝候補は山部佳苗、朝比奈沙羅と高校生素根輝の戦いぶりに注目
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初の世界選手権代表に向けどうしても優勝が欲しい朝比奈沙羅

(エントリー10名)

この階級も海外からの強豪の参加はほとんどなし。サンドラ・ジャブロンスキッタ(リトアニア)とロシュレ・ヌネス(ブラジル)の参戦で辛うじて国際大会と呼べるトーナメントとなった。

とはいえ両者ともツアーの顔になり得るレベルではまったくなく、注目はやはり日本勢同士の対決。講道館杯で決勝を争った朝比奈沙羅(東海大2年)と素根輝(南筑高1年)の戦いぶりが最大の注目ポイントだろう。

山部佳苗(ミキハウス)は別格として、田知本愛(ALSOK)が怪我で長期離脱する中にあって他3選手はなんとしても冬季欧州シリーズの参加権が欲しいはず。朝比奈は講道館杯を4連覇しているが、それはとりもなおさずこの間世界大会の代表に手が届かなかった(※当年の五輪・世界選手権代表は講道館杯出場が免除される)ということで、今年はなんとしても殻を破りたいはず。山場は山部との準決勝、キャリアを左右する正念場だ。

素根はこれがシニアカテゴリの国際大会デビュー、まずはスゥン・ペイユイ(台湾)との1回戦をしっかりと勝利して波に乗りたい。朝比奈とともにトップ2を追い掛け続けて来た稲森奈見(三井住友海上)は講道館杯の敗戦で序列から滑落しそうな危機、この人にとっては後のない戦いだ。

【プールA】
第1シード:山部佳苗(ミキハウス)
第8シード:カミラ・ヤマカワ(ブラジル)

【プールB】
第4シード:朝比奈沙羅(東海大2年)
第5シード:サンドラ・ジャブロンスキッタ(リトアニア)

【プールC】
第2シード:稲森奈見(三井住友海上)
第7シード:スゥン・ペイユイ(台湾)
日本選手:素根輝(南筑高1年)

【プールD】
第3シード:ロシュレ・ヌネス(ブラジル)
第6シード:イ・インジュ(韓国)


文:林さとる/古田英毅

※ eJudoメルマガ版12月3日掲載記事より転載・編集しています。

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